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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A47G
管理番号 1185643
審判番号 不服2006-9973  
総通号数 107 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2008-11-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2006-04-14 
確定日 2008-08-18 
事件の表示 平成 9年特許願第196333号「携帯用箸」拒絶査定不服審判事件〔平成11年 1月12日出願公開、特開平11-4744号〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 I.手続の経緯・本願発明
本願は、平成9年6月17日の出願であって、平成18年1月16日付け(再送日:平成18年3月14日)で拒絶査定がなされ、これに対し、平成18年4月14日に拒絶査定不服審判の請求がなされたものであって、その請求項1に係る発明は、平成18年4月25日付け手続補正書により補正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される次のとおりのものである(以下、「本願発明」という)。

「箸先とキャップからなる箸と、該箸を使用状態より短くした状態で収納する収納ケースからなることを特長とする携帯用箸。」

II.引用例の記載事項
A.これに対して、原査定の拒絶の理由で引用した、実公昭29-6265号公報(以下、「引用例1」という)には、次の事項が図面とともに記載されている。
(なお、原審の平成17年3月28日付け拒絶理由通知では、「特公昭29-6265号公報」と記載されているが、これは上記公報の誤記である旨原審において出願人に連絡され、出願人は、これを「実公昭29-6265号公報」と読み替えて意見を述べているので、当審で再度拒絶理由を通知することはしない。)

1.「中空管状の鞘体1内に対して尖端部から出入自在に挿入収蔵し得られるようにした小箸2」(1ページ左欄5?6行)

2.「第1図実線で示す箸使用の場合の小箸2と鞘体1との継合部に弛緩がたつきを生ぜず安全であり、同図の虚線2’で示す如く小箸2を鞘体1内に収蔵した場合も小箸が鞘体から妄に抜け出る虞がない。」(1ページ右欄5?9行)

そして第1図には、一部を切り欠いて示した鞘体とともに、使用状態の小箸2が実線で図示されるとともに、鞘体に収蔵した状態の小箸2’が虚線(二点鎖線)で図示されている。

上記記載事項及び図示内容を総合し、本願発明の記載ぶりに則って整理すると、引用例1には次の発明(以下、「引用発明」という)が記載されている。
「小箸2と鞘体1とからなる箸であって、該箸を使用状態より短くできる箸」

B.また、同じく原査定の拒絶の理由で引用した、特開平6-90845号公報(以下、「引用例2」という)には、次の事項が図面とともに記載されている。
3.「次に、携帯用として適した箸とするために頭部と先端部を別々に製造した箸を、図4の5・6の部分で接続できるように加工し、図5のような従来の約半分の長さでしかも紐またはキーホルダーのついたの専用ケースに入れることによって、持ち運びし易いものとし、更に、ケースの表面に様々なデザインをつけることによってファッション性をもたせようとするものである。ケース本体の内部は、半分に分離されて4本になった箸が固定されるように、図5・図6の9の部分で箸を受けられるように加工する。」(【0010】段落)

そして、図5には、携帯用に半分に分離された箸を収容する専用ケースが図示されている。

上記記載事項及び図示内容より、引用例2には、半分に分離可能な箸と、携帯用に半分に分離した箸を収容する専用ケースが記載されている。

III.対比
そこで、本願発明と引用発明とを対比すると、各文言の意味、機能または作用等からみて、引用発明の「小箸2」は、本願発明の「箸先」に相当し、以下同様に、「鞘体1」は「キャップ」に、「箸」は「箸」に、それぞれ相当する。
また、引用発明の「箸」は、小箸2と鞘体1とに分離し、使用状態より短くできる箸であるので、携帯しやすいものであるといえるので、引用発明の「箸」は、実質的に本願発明の「携帯用箸」に相当する。
したがって、両者は、本願発明の用語を用いて表現すると、次の点で一致する。
(一致点)
「箸先とキャップからなる箸からなる携帯用箸。」

そして、両者は、次の点で相違する。
(相違点)
本願発明は、箸を使用状態より短くした状態で収納する収納ケースを有するのに対し、引用発明は、箸を使用状態より短くできるものであるが、短くした箸を収納する収納ケースを有しない点。

IV.判断
上記相違点について検討する。
引用例2には、半分に分離可能な箸、すなわち分離した結果使用状態より短くなる箸と、携帯用に半分に分離した箸を収容する専用ケースが記載されている。
そして、引用例2記載の「専用ケース」は、本願発明の「収納ケース」に相当する。
そこで、引用発明に引用例2記載のものを適用して、使用状態より短くなった箸を収納する収納ケース(専用ケース)を備えるようにし、相違点に係る本願発明の発明特定事項のようにすることは、当業者が容易に想到し得たことである。

そして、本願発明による効果も、引用発明及び引用例2に記載されたものから当業者が予測し得た程度のものであって、格別のものとはいえない。

V.むすび
したがって、本願発明は、引用発明及び引用例2に記載されたものに基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるので、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2008-06-19 
結審通知日 2008-06-24 
審決日 2008-06-26 
出願番号 特願平9-196333
審決分類 P 1 8・ 121- Z (A47G)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 村山 睦  
特許庁審判長 山崎 豊
特許庁審判官 増沢 誠一
鏡 宣宏
発明の名称 携帯用箸  

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