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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G11B
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G11B
管理番号 1186303
審判番号 不服2006-99  
総通号数 108 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2008-12-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2006-01-04 
確定日 2008-10-15 
事件の表示 平成8年特許願第112835号「ローディング機構」拒絶査定不服審判事件〔平成8年12月24日出願公開、特開平8-339599〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成8年5月7日(パリ条約による優先権主張1995年5月6日、ドイツ国)の出願であって、平成17年6月16日付け拒絶理由に対して同年8月10日付けで手続補正がなされたが、同年9月28日付けで拒絶査定がされ、これに対し、平成18年1月4日に拒絶査定不服審判が請求されるとともに、同年2月3日付けで手続補正がなされたものである。

第2 平成18年2月3日付の手続補正についての補正却下の決定

[補正却下の決定の結論]
平成18年2月3日付の手続補正を却下する。

[理由]
1.本件補正
1-1.補正事項の概略
平成18年2月3日付の手続補正(以下、「本件補正」という。)による特許請求の範囲についての補正事項は、概略、次のとおりである。
(1)請求項1について、補正前に
(a)「情報ディスクに対し情報を記録及び/又は再生する装置のためのローディング機構であって、ディスク縁部のためのガイドを有し、該ガイドが押圧されるディスク縁部の支持部材として構成された支持ガイドと回転駆動可能な移送ホイールとして構成された装填ガイドとを含み、該装填ガイドは装填及び脱着する目的で情報ディスクを転動させて装置に対し導入、脱着を行い、該支持ガイドと該装填ガイドとによって情報ディスクを装填路に沿って案内するローディング機構において、
支持ガイド及び装填ガイドが装填面内で移動可能に支持され、かつ、
使用者が情報ディスクを挿入しかつローディング機構が自動的に情報ディスクを転動させ挿入する中間位置において、情報ディスクの位置決め孔がハウジングの前面から突き出ており、それによって使用者の手が情報ディスクの位置決め孔の内側縁部及び情報ディスクの周辺部のみで情報ディスクに触れた状態で情報ディスクを手で挿入することが可能となることを特徴とするローディング機構。」とあったところを、
(b)「情報ディスクに対し情報を記録及び/又は再生する装置のためのローディング機構において、
該ローディング機構は、ディスク縁部のためのガイドを有し、
該ガイドが、ディスク縁部を押圧する支持部材として構成された支持ガイドと、回転駆動可能な移送ホイールとして構成された装填ガイドとを含み、
支持ガイド及び装填ガイドが前記装置の装填面内で移動可能に支持され、装填ガイドを回転駆動させるとともに、支持ガイドと装填ガイドによる案内によって、前記装填路に沿う情報ディスクの装填及び脱着を可能にし、かつ、前記装填時に使用者が手で情報ディスクを挿入する位置であってかつ情報ディスクを転動させて自動的に装填を開始するローディング機構の始動位置である中間位置、および使用者が手で情報ディスクを取り出すエジェクト位置の双方にて、支持ガイドと装填ガイドの間でディスク縁部を加圧保持した状態で、情報ディスクの位置決め孔がハウジングの前面から突き出ており、それによって使用者の手が、情報ディスクの位置決め孔の内側縁部及び情報ディスクの周辺部のみで情報ディスクに触れた状態で、情報ディスクの、前記中間位置までの挿入および前記エジェクト位置での取出しが可能となることを特徴とするローディング機構。」と補正する。
(2)本件補正前の請求項15を削除し、同請求項16ないし18の項番号をそれぞれ1ずつ繰り上げて請求項15ないし17とするとともに、引用する請求項番号を整合させる。

2-2. 補正の目的の検討
上記1-1.の(1)に記載した補正事項は、本件補正前の請求項1に対して、単に表現上の修正と認められる記載順序の変更等を除くと、概略、「支持ガイド及び装填ガイドが前記装置の装填面内で移動可能に支持され」ていることを限定し、「中間位置」及び「イジェクト位置」についても限定を加え、さらに「手で挿入することが可能となる」とあったところを、「前記中間位置までの挿入および前記エジェクト位置での取出しが可能となる」と限定することにより特許請求の範囲を減縮しようとするものと認められるから、平成18年改正前特許法第17条の2第4項第2号に掲げる事項を目的とするものに該当する。
また、上記1-1.の(2)に記載した補正事項は、請求項の削除であるから平成18年改正前特許法第17条の2第4項第1号に掲げる事項を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正による特許請求の範囲に記載された発明が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(平成18年改正前特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか)否かを、本件補正による請求項1に記載された発明(前記1-1.(1)の(b)参照。以下、「本願補正発明」という。)について以下に検討する。

2.引用例
(1)原査定の拒絶の理由に引用された実願昭58-198606号(実開昭60-106250号)のマイクロフィルム(以下、「引用例1」という。)には、スロットイン式ディスク再生装置について、図面と共に次の事項が記載されている(なお、下線は当審で付した。)。
ア.「箱体に形成したスロット孔からディスクを挿入するスロットイン式ディスク再生装置において、対向部に上記ディスクの外周部を嵌入するガイド溝をそれぞれ有すると共に所定距離隔ててほぼ平行に配置した1対のスライドガイドと、上記スライドガイドを相反する方向に移動して嵌入状態にある上記ディスクを釈放する駆動機構とを設けたことを特徴とするスロットイン式ディスク再生装置。」(1頁「2.実用新案登録請求の範囲」。なお、記載箇所を示す頁は、マイクロフィルムに写し込まれた明細書に記載された頁である。以下同様。)

イ.「第1図は本考案の一実施例によるスロットイン式ディスク再生装置を示し、再生装置の箱体1の前面2にはスロット孔3が形成されている。このスロット孔3の奥には一対のスライドガイド20a,20bが設けられ、その最小対向距離はディスク4の直径より小さくなっている。更に、このスライドガイド20a,20bは第2図に示すように、その対向部の中央にディスク4を嵌合するガイド溝21a,21bを有している。このガイド溝21a,21bは、その断面形状がV字状になっているが、他の形状でも良くほぼV字状であれば良い。このガイド溝の形成にあたっては、図示の如くディスク4をスライドガイド20a,20bの方向に移動可能にゆるく嵌合したとき、ディスク4が脱落しないように成されている。略V字状のガイド溝21a,21bはディスク4の外周部のみと接することになり、ディスク4の記録面を傷つけることはない。」(2頁16行?3頁12行)

ウ.「ディスク4を再生装置の所定の位置にセットする場合は、ディスク4をスロット孔3から第2図に示すようにガイド溝21a,21bに沿って押入して行ない、所定の挿入位置に達したのをセンサー5が検出して駆動機構22が動作し、スライドガイド20a,20bからディスク4を釈放することによって所定位置にセットする。」(4頁5行?11行)

エ.「第3図は他の実施例によるスロットイン式ディスク再生装置を示し、スライドガイドの構成に特徴がある。スライドガイド25a,25bからディスク4を釈放する駆動機構については説明を省略する。スライドガイド25a,25bは、第2図と同様に配置されると共にガイド溝26a,26bを有してベルトにされており、それぞれ2本のプーリー23a、24a、および23b,24b間に巻かれている。第4図に示すようにプーリー24aもしくはプーリー24bに、モータ27の回転軸を結合することによって、ベルト状スライドガイド25a,25bを回動させている。従って、反時計方向に回動しているスライドガイド25aと、静止あるいは時計方向に回動しているスライドガイド25b間にディスク4を挿入すると、ディスク4は箱体1内に送り込まれて所定の挿入位置に達する。その後、図示しない駆動機構によってプーリー23a,23bをそれぞれ相反する方向に開いて、スライドガイドから釈放したディスク4を所定位置にセットする。ディスク4の取り出しはモーター27を逆転させて行なう。
この実施例によれば、ディスク4の挿入を自動的に行なえる他、先の実施例と同等の効果を得ることができる。」(4頁20行?6頁3行)

オ.「第5図は更に他の実施例によるスロットイン式ディスク再生装置を示し、スライドガイド28a,28bの構成が先の実施例と相違している。
スライドガイド28a,28bは、支持板29a,29bに可回転的に支持した複数のガイド30を有しており、各ガイド30はディスク4の挿入操作が容易になる。」(6頁4行?11行)

カ.引用例1は、主にディスク再生装置において「ディスク4の挿入」「ディスク4の取り出し」のための機構について記載されていることが明らかである。
第2図には、ガイド溝21a,21bの断面形状がV字状であることが図示されている。
第3図には、中央に孔のあるディスク4と、箱体1内のベルト状スライドガイド25a,25bが図示されており、ベルト状スライドガイド25aは、前プーリー24aと後プーリー23a間にガイド溝26aのベルトを有すること、ベルト状スライドガイド25bは、前プーリー24bと後プーリー23b間にガイド溝26bのベルトを有していることが図示されている。
第4図には、ベルト状スライドガイド25aの前プーリー24aにモータ27の回転軸が結合され、前プーリー24bにはモータの回転軸は結合されていないことが図示されている。
第5図には、ガイド溝21aを有するガイド30が、ホイール形状であることが見て取れる。

以上の摘記事項から、特に第3図及び第4図の実施例を中心に、ベルト状スライドガイドを設けたスロットイン式ディスク再生装置について整理すると、引用例1には、次の発明(以下、「引用例1発明」という。)が記載されていると認められる。

「箱体に形成したスロット孔からディスクを挿入するスロットイン式ディスク再生装置の、ディスクの挿入及び取り出しのための機構において、
ディスクの外周部を嵌入するガイド溝をそれぞれ有すると共に所定距離隔ててほぼ平行に配置した一対のベルト状スライドガイドと、
ベルト状スライドガイドを相反する方向に移動して嵌入状態にあるディスクを釈放する駆動機構とを設け、
前記一対のベルト状スライドガイドは、それぞれ前プーリーと後プーリー間にベルトの巻かれたベルト状スライドガイドであり、そのうち一方には前プーリーにモータの回転軸が結合され、それぞれ後プーリーが相反する方向に開くように駆動され、
箱体前面のスロット孔にディスクが挿入されると、反時計方向に回動しているベルト状スライドガイドと静止または時計方向に回動しているベルト状スライドガイド間で、ディスクを嵌入状態にして、ディスクを所定の挿入位置まで送り込み、その後、後プーリーを相反する方向に開いて、嵌入状態にあるディスクを釈放して所定位置にセットし、
ディスクの取出しはモータを逆転させて行なう、
スロットイン式ディスク再生装置におけるディスクの挿入及び取り出しのための機構。」

(2)同じく原査定の拒絶の理由に引用された特開昭58-185061号公報(以下、「引用例2」という。)には、前面挿入型デイスクプレーヤについて、図面と共に次の事項が記載されている(なお、下線は当審で付した。)。
キ.「ディスク5を、上下の向きを所定の向きにしてディスク挿入口2aに挿入し、ディスク5の先がローラ7とディスク台6の間に介挿されると、ディスク台6に埋設した一対の発光素子9aと受光素子9bからなる光反射式のフォトセンサ9がディスク5の到来を検知し、ローディングモータ10を通電起動する。その結果、ローディングモータ10は正転し、ウォーム11、ホイール12、スプロケット13、チェーン14、スプロケット15を介してローラ軸7aに回転が伝えられる。従つて、ディスク台6に半分のつた状態のディスク5は、ローラ7とディスク5上面の間の摩擦力により、ディスク台6上を滑らかに滑走して奥方に送られる。
なお、このとき、ディスク5の両側はガイド壁16によって規制してあるため、ディスク5が左右に蛇行することはない。」(2頁左下欄5行?20行)

ク.「ディスクの再生を終えて、イジェクト釦4を押すと、ローディングモータ10が通電起動され、逆回転する。その結果、ディスク台6がディスク5を再生位置から待機位置まで押し上げ、待機位置にロックされる。このとき、スタビライザ35は、ディスク台6よりも早く上昇し、ディスク5よりも上方で停止する。
一方、ディスク台6とともに再生位置まで上昇したディスク5は、ローラ7によりディスク挿入方向とは逆の方向に押し出される。そして、ディスク5がディスク挿入口2aから半分程度送り出され、ディスク5の先端がフォトセンサ9を過ぎたとき、既にカムクラッチ28によりオンしているスイッチ32の信号とフォトセンサ9の信号により、ローディングモータ10は停止する。
このとき、ディスク5は中央部のラベルをつまんで引き出すことができる状態にあり、信号記録面5aに指紋などを付けることなく、きれいな状態でディスク5を回収することができる。」(5頁右上欄6行?左下欄4行)

ケ.「このように、上記構成になる前面挿入型ディスクプレーヤ1によれば、ディスク5をプレーヤ本体2前面のディスク挿入口2aを介して簡単に出し入れすることができ、従来のものの如く、蓋を開くスペースを必要としないため、他のオーディオ・ビデオ機器を積み重ねて使用することができる。又、ディスク5を半分挿入するだけでオートローディングがなされるから、ディスク5の信号記録面5aを手で汚す虞れはなく、又ディスク5がディスク台6上を滑走するときに、植毛部が信号記録面5aに付着したゴミを除去するので、信号の良好な再生が可能である。」(5頁左下欄13行?右下欄4行)

コ.第1図には、ディスク挿入口2aからディスク5が半分程突き出て、中央孔と同心円が示されている。
第2図には、ディスク台6に半分のった状態のディスク5が図示されており、このディスク5の外周がディスク台6に埋設した一対の発光素子9aと受光素子9bの間に位置している。

3.対比
そこで、本願補正発明と引用例1発明とを比較すると、
引用例1発明の「ディスク」は、少なくとも再生されることが前提であるから、再生されるべき情報が記録されたディスクであることが明らかで、本願補正発明の「情報ディスク」に相当し、引用例1発明の「スロットイン式ディスク再生装置」は、本願補正発明の「情報ディスクに対し情報を記録及び/又は再生する装置」に相当する。
引用例1発明の「ディスクの挿入及び取り出しのための機構」は、本願補正発明の「ローディング機構」に相当する。
引用例1発明の「ディスクの外周部」は、本願補正発明の「ディスク縁部」に相当するから、引用例1発明の「ディスクの外周部を嵌入するガイド溝をそれぞれ有すると共に所定距離隔ててほぼ平行に配置した一対のベルト状スライドガイド」は、ディスク外周をガイドする点において、本願補正発明の「ディスク縁部のためのガイド」と一致する。

引用例1発明の一対の「前プーリーと後プーリー間にベルトの巻かれたベルト状スライドガイド」のうち、一方は「前プーリーにモータの回転軸が結合され」、前記モータが回転することでベルトが駆動してディスクを送り込むことは明らかであるから、本願補正発明の「回転駆動可能な」「装填ガイド」に相当し、他方は、モータが結合されず、単にディスク外周部に嵌入するガイド溝がディスクを多少なりとも押圧することで支持しているにすぎないから、本願補正発明の「ディスク縁部を押圧する支持部材として構成された支持ガイド」に相当する。

引用例1発明の「ディスクの外周部を嵌入するガイド溝をそれぞれ有すると共に所定距離隔ててほぼ平行に配置した一対のベルト状スライドガイド」は、平行に配置されていることで、ディスクが挿入可能に形成された面を有することが明らかであるから、本願補正発明の「装填面」を形成していることになり、「後プーリーが相反する方向に開くように駆動され」ることは、本願補正発明の「支持ガイド及び装填ガイドが装置の装填面内で移動可能に支持され」たことに相当する。

引用例1発明の前記「一対のベルト上スライドガイド」は、「ディスクを所定の挿入位置まで送り込み」「ディスクを釈放して所定位置にセットし」「ディスクの取り出しはモータを逆回転させて行なう」等の動作を行うのであるから、本願補正発明のローディング機構が「装填ガイドを回転駆動させるとともに、支持ガイドと装填ガイドによる案内によって、前記装填路に沿う情報ディスクの装填及び脱着を可能にし」ていることに相当する機能を有する。

引用例1発明において、「箱体前面のスロット孔にディスクが挿入されると、反時計方向に回動しているベルト状スライドガイドと静止または時計方向に回動しているベルト状スライドガイド間で、ディスクを嵌入状態にして、ディスクを所定の挿入位置まで送り込み」及び「ディスクの取出しはモータを逆転させて行なう、」との動作から、本願補正発明における「前記装填時に使用者が手で情報ディスクを挿入する位置であってかつ情報ディスクを転動させて自動的に装填を開始するローディング機構の始動位置である中間位置」「使用者が手で情報ディスクを取り出すエジェクト位置」が存在することは自明であり、しかもベルトによる駆動を伴う以上、前記中間位置及びイジェクト位置の「双方にて、支持ガイドと装填ガイドの間でディスク縁部を加圧保持した状態」であることも当然である。

以上のことから、引用例1発明と本願補正発明の一致点及び相違点は、次のとおりである。

〈一致点〉
「情報ディスクに対し情報を記録及び/又は再生する装置のためのローディング機構において、
該ローディング機構は、ディスク縁部のためのガイドを有し、
該ガイドが、ディスク縁部を押圧する支持部材として構成された支持ガイドと、回転駆動可能な装填ガイドとを含み、
支持ガイド及び装填ガイドが前記装置の装填面内で移動可能に支持され、
装填ガイドを回転駆動させるとともに、支持ガイドと装填ガイドによる案内によって、装填路に沿う情報ディスクの装填及び脱着を可能にし、かつ、前記装填時に使用者が手で情報ディスクを挿入する位置であってかつ情報ディスクを転動させて自動的に装填を開始するローディング機構の始動位置である中間位置、および使用者が手で情報ディスクを取り出すエジェクト位置の双方にて、支持ガイドと装填ガイドの間でディスク縁部を加圧保持した状態で、情報ディスクの、前記中間位置までの挿入および前記エジェクト位置での取出しが可能となるローディング機構。」

相違点(1)
本願補正発明は、装填ガイドは「回転駆動可能な移送ホイールとして構成され」ているのに対して、引用例1発明では、「モータの回転軸が結合された前プーリーと後プーリー間にベルトの巻かれたベルト状スライドガイド」である点。

相違点(2)
本願補正発明は中間位置及びイジェクト位置の双方において「情報ディスクの位置決め孔がハウジングの前面から突き出ており、それによって使用者の手が、情報ディスクの位置決め孔の内側縁部及び情報ディスクの周辺部のみで情報ディスクに触れた状態で」情報ディスクの挿入および取出しが可能となるとしているのに対して、引用例1発明では、このように限定されていない点。

4.当審の判断
上記各相違点について検討する。

相違点(1)について
支持ガイドと装填ガイドが平行に配置されたディスク再生装置において、装填ガイドが「回転駆動可能な移送ホイールとして構成された」ものは、例えば特開昭61-210556号公報(動力で動くローラ26)、特開平1-189065号公報(駆動モータ4に駆動される摩擦ローラ3)等、周知にすぎず、また、引用例1には、第5図に「さらに他の実施例」として「可回転的に支持した複数のガイド30」を有する例も併せて記載されており、これら周知のローラ又はガイドは、いずれも中央部が凹んだプーリー状のもので、当該中央部でディスクが駆動又は案内されるものである点で、本願補正発明における「ホイール」と共通するものであるから、引用例1発明において、装填ガイドを、回転駆動可能な移送ホイールとすることは、前記周知のローラ又はガイドを参照することにより当業者が容易に想到しうるものである。

相違点(2)について
引用例2には、前面挿入型デイスクプレーヤについて、ディスクをディスク挿入口に挿入し、ディスク台に埋設した一対の発光素子と受光素子からなる光反射式のフォトセンサがディスクの到来を検知して、ディスクを半分挿入するだけでローディングモータが通電起動して正転すること、及びイジェクト時に、ディスクが挿入口から半分程度送り出されたとき、ディスクの先端をフォトセンサが検出して、ローディングモータを停止することが記載されている。上記周知例の特開昭61-210556号公報にも、ディスクをスロットに挿入し、ディスクの位置決め孔がスロットから突き出ている状態(第1図)で、スイッチが作動して装置内に引き入れられ、また、ディスクの位置決め孔がスロットから突き出ている状態まで、ディスクが外方へ排出されることが記載されている。
さらに、引用例2には、イジェクト時のディスクが挿入口から半分程度まで送りだされたディスクは、ディスクの中央部のラベルをつまんでディスクを引き出すことができる状態にあり、ディスクの信号記録面に指紋などを付けることなく、ディスクを回収することができることも記載されている。ディスク挿入時についても、イジェクト時と同様に、挿入口にディスクの半分まで挿入されると解しうるものである。
また、ディスクが記録面に手が触れて汚すことがないディスクの取扱い方として、ディスクの中央部のラベルをつまむ他に、周知のCDのように外径が120mm程度しかなく、ディスク位置決め孔が15mmもあるディスクを扱う場合には、外周縁の中心線の対向部分をつまんだり、ディスク位置決め孔の内側縁部と外周縁をつまむことにより記録面に触れずにディスクをつまむことができることは自明である。
使用者の手がディスクの記録面に触れないようにすることが望ましいことは、技術常識にすぎないから、引用例1発明のディスクにおいても、引用例2に記載された発明及び周知事項を参酌して、ディスク挿入時及び取出し時に、ディスク記録面に手が触れないように、ディスク縁部を検出するセンサーを設けてモータを駆動制御し、ディスク挿入時に使用者が手でディスクを半分程度スロット孔に挿入する位置であってモータが正転する位置、および逆転するモータでディスクが半分スロット孔から突き出た位置で、ディスク縁部を検出し、双方の位置にて、ディスクの位置決め孔がハウジングの前面から突き出ている状態のディスクを、使用者の手が、ディスクが記録面に触れずに、ディスクの位置決め孔の内側縁部及び情報ディスクの周辺部のみでディスクに触れる状態とし、使用者が手で、ディスクの中間位置までの挿入および取出し位置での取出しが可能となるようにすることは、当業者が容易に想到し得るものである。

以上のとおりであるから、上記各相違点は、格別なものではなく、また、上記相違点を総合的に検討しても本願補正発明の奏する効果は、引用例1及び2並びに周知事項から当業者が予測しうる範囲のものである。

したがって、本願補正発明は、引用例1及び2に記載された発明、並びに周知事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

5.むすび
以上のとおり、本件補正は、平成18年改正前特許法第17条の2第5項で準用する同法第126条第5項に規定する要件を満たさないものであるから、特許法第159条第1項で読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。


第3 本願発明について
1.本願発明
平成18年2月3日付の手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1ないし18に係る発明は、平成17年8月10日付けで手続補正された特許請求の範囲の請求項1ないし18に記載されたとおりのものと認められるところ、請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、上記「第2 1.本件補正 (a)」に本件補正前の請求項1として記載したとおりのものである。

2.引用例
原査定の拒絶の理由に引用された引用例の記載事項は、前記「第2 2.引用例」に記載したとおりである。

3.対比・判断
本願発明は、上記「第2 1.本件補正」で検討した本願補正発明から、単に表現上の修正と認められる記載順序の変更等のほか、「支持ガイド及び装填ガイドが前記装置の装填面内で移動可能に支持され」ているとの限定を削除し、「中間位置」及び「イジェクト位置」についての限定を一部削除し、「前記中間位置までの挿入および前記エジェクト位置での取出しが可能となる」と限定のあったところを単に「手で挿入することが可能となる」としたものに相当する。
そうすると、本願発明の構成要件をすべて含み、さらに他の構成要件を付加したものに相当する本願補正発明が、前記「第2 4.当審の判断」に記載したとおり、引用例1及び2に記載された発明、並びに周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も同様の理由により、引用例1及び2に記載された発明、並びに周知事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

4.むすび
以上のとおりであるから、本願の請求項1に係る発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、他の請求項について検討するまでもなく、本願は、拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2008-05-08 
結審通知日 2008-05-20 
審決日 2008-06-05 
出願番号 特願平8-112835
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G11B)
P 1 8・ 575- Z (G11B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 船越 亮▲吉▼澤 雅博  
特許庁審判長 山田 洋一
特許庁審判官 吉川 康男
江畠 博
発明の名称 ローディング機構  
代理人 藤谷 史朗  
代理人 徳永 博  
代理人 杉村 興作  
代理人 岩佐 義幸  
代理人 高見 和明  
代理人 伊東 忠彦  
代理人 来間 清志  
代理人 冨田 和幸  
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