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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) F23N
管理番号 1186388
審判番号 不服2006-1119  
総通号数 108 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2008-12-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2006-01-17 
確定日 2008-10-16 
事件の表示 平成 8年特許願第209017号「CO安全装置付燃焼機器およびそのCO安全動作方法」拒絶査定不服審判事件〔平成10年 2月13日出願公開、特開平10- 38270〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成8年7月19日の出願であって、平成17年12月15日付けで拒絶査定がなされ(12月20日発送)、これに対し、平成18年1月17日に審判請求がなされた。そして、当審により平成19年4月6日付けで拒絶の理由が通知され(4月10日発送)、これに対して、同年6月11日付けで意見書が提出されるとともに手続補正がなされたものである。

2.本願発明
本願の特許請求の範囲の請求項1に係る発明は、平成19年6月11日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された次の事項により特定されるものである(以下、「本願発明」という。)。

排気出口に煙突が装着され当該煙突を通して排気ガスを建物の外に排出する屋内設置型の燃焼機器の排気側に排気ガス中のCO濃度を検出するCOセンサを設け、このCOセンサによって検出されるCO検出濃度の情報に基づいてCO安全動作を行う燃焼機器のCO安全動作方法において、排気ガスが室内に洩れたと仮定したときに室内に居る人がCO中毒の危険状態に達すると推定される危険到達時間を排気ガスの各CO濃度に対応させて燃料の各ガス種ごとに対応させて与えておき、燃焼開始後、燃焼運転の開始により前記COセンサによって検出されるCO濃度および使用燃料のガス種に対応した危険到達時間に達したときにCO安全動作を行うようにしたCO安全装置付燃焼機器のCO安全動作方法。

3.引用例
(1)当審での平成19年4月6日付けの拒絶の理由に引用した特開平7-260144号公報(以下、「引用例1」という。)には、図面とともに、次の事項が記載されている。

ア.「【請求項1】 ガスバーナの排気通路に設けられ排気中のCO濃度を直接,間接的に検出するセンサと、
上記ガスバーナへのガス供給流路の開閉を行なう開閉手段と、
一回の連続燃焼時間が所定制限時間に制限され該燃焼制限時間を越えると上記開閉手段により上記ガスバーナへのガス供給を停止させる停止手段とからなるガス燃焼器の不完全燃焼防止装置において、
上記検出されたCO濃度に応じて上記燃焼制限時間を変化させる変更手段を設けたことを特徴とする不完全燃焼防止装置。
【請求項2】 ガスバーナの排気通路に設けられ排気中のCO濃度を直接,間接的に検出するセンサと、
上記ガスバーナへのガス供給流路の開閉を行なう開閉手段と、
一回の連続燃焼時間が所定制限時間に制限され該燃焼制限時間を越えると上記開閉手段により上記ガスバーナへのガス供給を停止させる停止手段とからなるガス燃焼器の不完全燃焼防止装置において、
上記検出されたCO濃度値を燃焼開始時より累積して記憶する手段を設け、
上記累積されたCO濃度値が所定の値に達した時に上記停止手段によりガス供給を停止することを特徴とする不完全燃焼防止装置。」(特許請求の範囲)

イ.「図3は、一実施例としての不完全燃焼防止装置を給湯器に適用した概略構成図である。給湯器の燃焼室を形成するケース10の下部には、ガスバーナ11が配設され、ガス供給源側から直列に配置した元電磁弁12,比例電磁弁13を有するガス供給路14により燃料ガスが供給される。元電磁弁12はガス流路の開閉のみを行なう弁であり、比例電磁弁13は制御信号に応じた開度に設定されて所望のガス供給量に調整する制御弁である。また、ケース10の底部にはファン15が設けられ、ガス供給量に応じた量の燃焼用空気をケース10内に供給する。
ガスバーナ11の上方には熱交換器16が配設され、給水管17から通水された水をガスバーナ11での燃焼熱により加熱し、給湯管18に送りだす。熱交換器16よりも上方のケース10の上部はフード19を経て排気筒20に連結される。そして、この排気筒20にCO濃度を検出するCOセンサ21が装着される。
また、給湯器の本体内にはこれらの燃焼制御等を司どるコントローラ23が設けられる。コントローラ23は、図示しない周知の算術論理演算回路を構成するCPU,RAM,ROMと、各種センサからの信号を入力する入力インタフェースと、各種アクチュエータに駆動信号を出力する出力インタフェース等から構成される。そして、COセンサ21からの信号に基づいて、電磁弁12,13の開閉を行なうだけでなく湯温制御,点火制御等をも併せて行なうものであるが、本発明とは直接関係しないセンサ,点火装置等に関しては、その説明,図示は省略する。」(段落【0007】?【0009】)

ウ.「ステップ15に移行すると、検出されたCO濃度Nに応じた燃焼制限時間Tを決定する(S15)。例えば、CO濃度が1000ppm?800ppmの範囲ならT=30分、800ppm?500ppmでT=45分、500ppm以下でT=1時間とする。このようにして決定した燃焼制限時間Tが経過するまでステップ13からの処理を繰り返し、燃焼制限時間Tの経過後(S16,YES)、元電磁弁12を閉じて(S17)燃料ガスの供給を停止する。」(段落【0010】)

エ.「このように、検出されたCO濃度Nに応じて燃焼制限時間Tが決定されるので、様々な燃焼器の仕様,燃焼条件,燃焼状態あるいは設置状態に応じて、きめ細かく対応ができる。例えば、図6に示すように、器具設置室Rだけでなく他室Lにおいても排気設備Pの不良等によりCO流出している場合、室L内のCO濃度は、「室内へのCO流入量」、「室の大きさ」、「換気の度合い」、「時間」等によって決まり、一般的には次の式によって表される。
N(L)=(1-e^(-nt))QP/nV
ここにN(L):室内CO濃度(ppm)
n:換気回数(回/hr)
t:経過時間(hr)
Q:排ガス量(m^(3)/hr)
P:排気中のCO濃度(ppm)
V:室内容積(m^(3))
この式からわかるように、室内CO濃度N(L)は時間とともに増加し、200ppmを越えると中毒症状が始まり、1600ppm以上になってくると危険な状態となる。このような場合でも、燃焼制限時間Tを短く設定して、安全な時期に燃焼停止させることができる。従来では、CO濃度そのものを、燃焼制御判定のしきい値と比較しているため、基準濃度を低めに設定すると、場合によっては正常燃焼でもたびたび誤作動してしまって使い勝手が悪かったのである。
つぎに、燃焼制限を決定する別の実施例について図5を用いて説明する。この実施例は、先に示した実施例のステップ15,16に代えてステップ30,31の処理を行なうものである。つまり、繰り返し検出されるCO濃度をステップ30において順次積算、記憶する。なお、この処理は、燃焼開始の都度リセットして積算、記憶を行なう。コントローラは、積算されたCO濃度値ΣNがコントローラ内のRAM上において、あらかじめ設定された許容値Bより大きいか否かを判断し(S31)、ΣN>Bと判断した時、例えば4l(リットル)を越えると(S31,YES)、ステップ17にて元電磁弁12を閉じて燃料ガスの供給を停止する。室内CO濃度は前述の式でも示したようにQ×P=CO排出量(m^(3)/hr)に比例するものであり、例えば次式によりCO排出量を演算して積算する。
q=W×QH ×λ×p×Δt
ここにq:単位時間当りのCO排出量(m^(3)/hr)
W:燃焼量(m^(3)/hr)
QH :理論排気量(m^(3)/m^(3))
λ:過剰空気比
p:排出CO濃度
Δt:時間
上述したように、CO濃度を検出して、しかも累積された濃度値によって燃焼を停止するので、実際のCO発生状態を確実にとらえることができる。従って、先の実施例でも説明したように、CO発生が微量であるにもかかわらず長時間の放出により危険になる場合においても、事前に燃焼停止ができる。また、従来のように検出されたCO濃度値をそのまま燃焼制御の判定しきい値と比較していないので、判定が敏感になりすぎて誤作動したり、あるいはCOセンサの検知能力を越えてしまって検知できなくなるということもない。」(段落【0011】?【0013】)

オ.「【発明の効果】以上詳述したように、本発明の第1の不完全燃焼防止装置によれば、検出したCO濃度が高い時は燃焼制限時間を短く、CO濃度が低い時は長くできるので、器具の仕様,設置状態,燃焼状態等、発生しているCOに応じてきめ細かく対応が可能になる。そのため、正常燃焼であるにもかかわらず、わずかのCO発生によるガス供給の停止が原因で器具が使用できなくなるという不都合が少ないので、たいへん使い勝手が良い。一方、CO発生が急激である場合には、早期にガス供給が停止されるので、より安全性が高い。
また、第2の不完全燃焼防止装置によれば、検出されたCO濃度値を累積し実際に発生したCO量を確実に検知して、その累積量が許容値を越えた時にガス供給を停止できる。そのため、CO発生が急激であっても微量であっても、燃焼状態にかかわらず確実に安全な時期に燃焼停止ができる。また、許容値の大小による誤作動も少ない。」(段落【0014】?【0015】)

カ.図6には、排気出口に設けた煙突状の排気設備Pを通して排気を建物の外に排出する屋内設置型の燃焼機器において、他室Lに排気設備Pの不良により排気が流出していることが記載されている。

上記摘示事項及び図面の記載によれば、引用例1には次の発明が記載されている。
「排気出口に設けた煙突状の排気設備Pを通して排気を建物の外に排出する屋内設置型のガス燃焼器のガスバーナーの排気通路に排気中のCO濃度を検出するCOセンサ21を設け、このCOセンサによって検出されるCO検出濃度の信号に基づいて安全な時期に燃焼停止させる不完全燃焼防止装置付ガス燃焼器の不完全燃焼防止方法において、排気中のCOが室内に流入したときに室内に居る人がCO中毒の危険な状態となる燃焼制限時間を排気中のCO濃度に応じて変化させる変更手段を設け、燃焼開始後、燃焼運転の開始により前記COセンサによって検出されるCO濃度に応じた燃焼制限時間を越えると安全な時期に燃焼停止させるようにした不完全燃焼防止装置付ガス燃焼器の不完全燃焼防止方法。」(以下、「引用発明1」という。)

(2)同じく、当審での平成19年4月6日付けの拒絶の理由に引用した特開平8-35650号公報(以下、「引用例2」という。)には、図面とともに、次の事項が記載されている。

キ.「【請求項4】 燃焼状態を検知する不完全燃焼防止検知センサ手段と、この検知センサ手段からの出力信号により燃焼状態の異常が検知されると燃焼を停止する燃焼停止手段とを備える不完全燃焼防止装置付き開放型ガス燃焼機器において、
前記検知センサ手段の出力値を読込むセンサ出力値読込み手段と、その読込まれたセンサ出力値から許容される連続燃焼時間を設定する許容燃焼時間設定手段と、現実の連続した燃焼時間を計時する燃焼時間計時手段とを備え、この燃焼時間計時手段により計時される燃焼時間が前記許容燃焼時間設定手段により設定された許容連続燃焼時間に達したときに燃焼が停止されるように構成したことを特徴とする不完全燃焼防止装置付き開放型ガス燃焼機器。」(特許請求の範囲請求項4)

ク.「そして、この電気回路図では、熱電対(58.60)をマイクロコンピュータ100のA/D入力ポートに接続し、デジタル値としてその合成起電力値を取り込む。そして取り込んだ起電力値より燃焼制限時間T_(L)[分]をマイクロコンピュータ内のテーブル又は関数により決める。」(段落【0045】)

ケ.「図12に検知センサの合成出力値と許容される連続燃焼時間との関係を示したが、検知センサ出力値が高い程、許容される連続運転時間(T_(L))は長くしている。これは、検知センサ出力値が高い程、部屋内の空気の汚染(酸素濃度の低下)が少なく、あるいは部屋の換気が悪くない状態であることを意味し、運転時間を少々長くしても使用上安心できるとの判断に因るものである。逆に、検知センサ出力値が低い場合は部屋内の空気の汚染が進んでいる、あるいは部屋の換気が悪い等の安全上の問題があるため、運転時間を短くして早く停止させるという判断である。
そして前述のS23において連続運転時間(T_(L))が決定された後は、運転開始からの運転時間(T)がT_(L)に達したか否かが常時判断され(S24)、T_(L)に達していない限りは継続されるが、その時間(T_(L))になった時点でマグネット安全弁36がオフ(OFF)されて消火動作が行なわれ、運転は停止される。」(段落【0047】、【0048】)

コ.「本発明の趣旨は、要するにこの種の開放型ガス燃焼機器の運転状態において部屋内の空気が汚染(酸素濃度の低下)されたり、あるいは部屋の換気が悪い等によって不完全燃焼が生じ始めたときに、その燃焼(運転)時間が長くなる程燃焼を停止させるセンサしきい値(動作レベル)を高くする、あるいは検知したセンサ出力値が低くなる程連続した運転時間を短くすることにより早く燃焼を停止させるようにし、一方、燃焼時間が短いときには燃焼停止のセンサしきい値(動作レベル)を低くする、あるいは検知センサ出力値が高い程連続した運転時間を長くすることにより燃焼停止を遅らせるようにすることにある。これによりこのガス燃焼機器の使用環境(部屋の大きさ、換気性等)を考慮して適切に運転の継続・停止を行なわせるようにしたものである。
したがってこの本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更・改良が可能であることは勿論である。・・・、またその運転時間に応じて変更される検知センサの燃焼停止動作レベルあるいは検知センサ出力値に応じて変更される連続運転時間も別に段階的に変えなくとも連続した無段階的なものとすることも可能であろう。また、使用するガス種に応じて検知センサの動作レベルや、センサ出力値と燃焼時間との関係を変更できるようにガス種切替対応スイッチ等を設けてもよい。」(段落【0057】、【0058】)

上記摘示事項及び図面の記載によれば、引用例2には次の発明が記載されている。
「不完全燃焼防止装置付きガス燃焼器において、燃焼状態を検知する不完全燃焼防止検知センサ手段のセンサ出力値と燃焼時間との関係を変更できるようにガス種切替対応スイッチ等を設けること。」
(以下、「引用発明2」という。)

3.対比・判断
本願発明と引用発明1を対比すると、引用発明1の「煙突状の排気設備P」は本願発明の「煙突」に相当し、以下同様に、「ガス燃焼器」は「燃焼機器」に、「ガスバーナーの排気通路」は「排気側」に、「排気」は「排気ガス」に、「CO検出濃度の信号」は「CO検出濃度の情報」に、「安全な時期に燃焼停止させる」は「CO安全動作を行う」に、「不完全燃焼防止方法」は「CO安全動作方法」に、「排気中のCOが室内に流入したときに室内に居る人がCO中毒の危険な状態となる燃焼制限時間」は「排気ガスが室内に洩れたと仮定したときに室内に居る人がCO中毒の危険状態に達すると推定される危険到達時間」に、「排気中のCO濃度に応じて変化させる変更手段を設け」は「排気ガスの各CO濃度に対応させて与えておき」に、「燃焼制限時間を越える」は「危険到達時間に達したとき」に、「不完全燃焼防止装置」は「CO安全装置」に各々相当する。

よって、両発明の一致点及び相違点は、次のとおりである。
[一致点]
「排気出口に煙突が装着され当該煙突を通して排気ガスを建物の外に排出する屋内設置型の燃焼機器の排気側に排気ガス中のCO濃度を検出するCOセンサを設け、このCOセンサによって検出されるCO検出濃度の情報に基づいてCO安全動作を行う燃焼機器のCO安全動作方法において、排気ガスが室内に洩れたと仮定したときに室内に居る人がCO中毒の危険状態に達すると推定される危険到達時間を排気ガスの各CO濃度に対応させて与えておき、燃焼開始後、燃焼運転の開始により前記COセンサによって検出されるCO濃度に対応した危険到達時間に達したときにCO安全動作を行うようにしたCO安全装置付燃焼機器のCO安全動作方法。」

〔相違点〕
危険到達時間を排気ガスの各CO濃度に対応させて与えておき、危険到達時間に達したときにCO安全動作を行うことについて、本願発明では、燃料の各ガス種ごとに対応させているのに対し、引用発明1では、燃料の各ガス種ごとに対応させているかどうかは不明である点。

以下、この相違点について検討する。
ガス燃焼器において、ガス種切替を行うことは例示するまでもなく周知の事項である。
そして、ガス種により、ガス成分、発熱量、空気量、排気ガスの量とその成分等の燃焼特性が相違することは当業者にとって自明の事項であって、ガス種切替の際に、そのガス種の燃焼特性を考慮し、そのガス種に対応した部品の調整や制御装置の調整を行うことも周知の事項である。
引用発明2は、「不完全燃焼防止装置付きガス燃焼器において、燃焼状態を検知する不完全燃焼防止検知センサ手段のセンサ出力値と燃焼時間との関係を変更できるようにガス種切替対応スイッチ等を設ける」という、このようなガス種切替に対応する調整を行うものである。
そして、引用発明1はガス種切替を行うか不明であるが、引用発明1のCO安全動作がどのガス種に対しても適用できるようにすることは安全上の観点から当業者ならば当然試みる事項というべきである。
しかも、引用発明1は、排気ガス中のCO濃度だけでなくその排気ガスの量も考慮して室内のCO濃度の危険到達時間を変更する(摘示事項エを参照)ものであることから、引用発明1において、上記周知のガス種切替をし、ガス種切替により排気ガスの量と成分が相違するものに対応するように調整することは当業者にとって、格別困難なことではない。
したがって、引用発明1及び引用発明2は開放型か否かという相違はあるものの、いずれもセンサの出力に応じて燃焼時間を設定する不完全燃焼防止装置付ガス燃焼機器の安全動作方法に関する同じ技術分野のものであるから、引用発明1において、引用発明2を適用して、危険到達時間を各ガス種ごとに対応して与えるようにして本願発明の発明特定事項とすることは当業者が容易になし得たことである。

そして、本願発明の効果も、引用発明1及び引用発明2から当業者が予測し得た範囲内のものと認められる。

なお、請求人は平成20年7月23日付けの上申書において、引用例1の式では各ガス種の排気ガス量を正確に求められない点で本願発明と相違する旨を主張している。
しかし、本願発明には排気ガス量についての限定はなされておらず、この主張は、特許請求の範囲の記載に基づく主張ではない。
しかも、引用例1に記載されたものは、排気ガス中のCO濃度とその排ガス量から室内のCO濃度の危険到達時間を変更しているものであり、式はあくまでも近似式ともいうべき一般式として例示されたものであり、引用発明1において、実測等により、排ガス量を考慮して、CO濃度と危険到達時間の関係の精度の高いデータを求めることを阻害するものではない。
したがって、前記主張は採用できない。

4.まとめ
以上のとおり、本願の請求項1に係る発明(本願発明)は、引用発明1及び引用発明2に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2008-08-12 
結審通知日 2008-08-19 
審決日 2008-09-01 
出願番号 特願平8-209017
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (F23N)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 吉澤 伸幸  
特許庁審判長 岡本 昌直
特許庁審判官 佐野 遵
長浜 義憲
発明の名称 CO安全装置付燃焼機器およびそのCO安全動作方法  
代理人 五十嵐 清  

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