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審決分類 審判 査定不服 特17 条の2 、4 項補正目的 特許、登録しない。 G04G
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G04G
審判 査定不服 特17条の2、3項新規事項追加の補正 特許、登録しない。 G04G
管理番号 1186395
審判番号 不服2006-8223  
総通号数 108 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2008-12-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2006-04-27 
確定日 2008-10-16 
事件の表示 平成 9年特許願第200150号「情報表示装置」拒絶査定不服審判事件〔平成11年 2月16日出願公開、特開平11- 44786〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 【1】手続の経緯
本願は、平成9年7月25日の出願であって、平成18年3月24日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、同年4月27日に拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに、同年5月23日付けで明細書又は図面についての手続補正がなされたものである。
なお、平成17年11月21日付けの手続補正は、平成18年3月24日付けで却下の決定がなされている。

【2】平成18年5月23日付け手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成18年5月23日付けの手続補正を却下する。

[理由]
1.新規事項の有無
本件補正により、特許請求の範囲は、
補正前の
「【請求項1】 風防部材と、電極を形成した一対の基板間に液晶と高分子ポリマーとを含む液晶層を封入した液晶表示パネルとを備え、前記風防部材上に紫外線防止シートを設けることを特徴とする情報表示装置。
【請求項2】 前記風防部材の裏面側に、前記紫外線防止シートを設けたことを特徴とする請求項1に記載の情報表示装置。
【請求項3】 前記紫外線防止シートは樹脂にビーズを混入するものであることを特徴とする請求項1に記載の情報表示装置。
【請求項4】 前記一対の基板における一方の基板と、前記紫外線防止シートの間には遮蔽板を設けることを特徴とする請求項1に記載の情報表示装置。
【請求項5】 前記遮蔽板は前記一方の基板上に配置されていることを特徴とする請求項4に記載の情報表示装置。
【請求項6】 前記遮蔽板は前記紫外線防止シート上に配置されていることを特徴とする請求項4に記載の情報表示装置。」(以下、「補正前の請求項」という。)から、
補正後の
「【請求項1】 風防部材と、電極を形成した一対の基板間に液晶層を封入した液晶表示パネルとを備え、前記液晶層は、液晶と高分子モノマーを前記一対の基板間に注入した後、前記高分子モノマーに紫外線照射して架橋反応した高分子ポリマーを含む液晶層であり、前記風防部材上に、前記高分子ポリマーを含む液晶層への紫外線の入射を制限する紫外線防止シートと、前記液晶表示パネルの加工端面またはシール材を遮蔽するための遮蔽物である遮蔽板との両方を設けることを特徴とする情報表示装置。
【請求項2】 前記風防部材の裏面側に、前記紫外線防止シートを設けたことを特徴とする請求項1に記載の情報表示装置。
【請求項3】 前記紫外線防止シートは樹脂にビーズを混入するものであることを特徴とする請求項1に記載の情報表示装置。
【請求項4】 前記遮蔽板は前記紫外線防止シート上に配置されていることを特徴とする請求項2に記載の情報表示装置。」(以下、「補正後の請求項」という。)に補正された。

そこで、補正後の特許請求の範囲の請求項1に記載した「風防部材上に、前記高分子ポリマーを含む液晶層への紫外線の入射を制限する紫外線防止シートと、前記液晶表示パネルの加工端面またはシール材を遮蔽するための遮蔽物である遮蔽板との両方を設ける」という事項(以下「補正後の事項」ともいう。)が、願書に最初に添付した明細書又は図面(以下「当初明細書」という。)に記載した事項の範囲内においてなされたものか否かについて検討する。

(1)観点1
上記補正後の事項に関連して当初明細書には、以下の記載がある。
摘記事項ア 「【0041】
以下、本発明の第3の実施形態における液晶表示パネルと液晶表示パネルを利用する腕時計装置について図面を用いて説明する。図7は、第3の実施形態における腕時計装置の構造を示す断面模式図である。図7は、第1の実施形態に示すB-B線の断面に相当する。以下に、図7を用いて第3の実施形態を説明する。
【0042】
腕時計装置は、に利用する実施形態を図3と図4とを用いて説明する。腕時計装置は、時計ケース31に、風防ガラス32と裏蓋部33を有する。風防ガラス32側より、紫外線防止シート51と第2の基板3と液晶層5とシール材25と第1の基板1とを配置する。第1の基板1の下面(裏蓋側)には、液晶表示パネルを駆動する回路基板34と回路基板34上には、補助光源37としてエレクトロルミネッセント(EL)ライトを実装し、さらに回路基板34と液晶表示パネルとの電気接続は、ストライプ上の導電性材料と非導電性材料を繰り返し積層するゼブラゴム36により行う。
【0043】(略)
【0044】
さらに、風防ガラス32の裏蓋(裏面)側に紫外線防止シート51と紫外線防止シート51上に、遮蔽板29を設け、さらに、風防ガラス32と遮蔽板29との距離を離すことにより、遮蔽板29の影と液晶表示パネルの散乱性により、透過部への透過部周囲からの光の入射を防止することが可能となり、液晶表示パネルのコントラスト比が向上する。」

摘記事項アの「風防ガラス32の裏蓋(裏面)側に紫外線防止シート51と紫外線防止シート51上に、遮蔽板29を設け」なる記載からみて、摘記事項アで説明している時計装置の構造を示した図7において、部品番号「52」は紫外線防止シートを示す「51」の誤記であり、また、部品番号「52」の上に設けられた部材は遮蔽板(部品番号29は図示されていない。)であることは明らかである。
そうすると、図7には、風防ガラス32に接して紫外線防止シート51を設け、かつ、上記紫外線防止シート51に接して遮蔽板を設けることが記載されている。

そうしてみると、摘記事項ア及び図7の記載からみて、風防ガラス32上に紫外線防止シート51を設け、上記紫外線防止シート51上に遮蔽板29を設けることは、記載されているに等しい事項である。
また、摘記事項ア及び図7の記載からみて、当初明細書における、時計装置の構造要素の位置関係を規定する「上に」なる語句は、「に接して」の意味で用いられていることは明らかである。

そこで、風防ガラスと遮蔽板との位置関係について検討する。
摘記事項アに「風防ガラス32の裏蓋(裏面)側に紫外線防止シート51と紫外線防止シート51上に、遮蔽板29を設け」と記載されるとともに、更に「風防ガラス32と遮蔽板29との距離を離す」と記載されていることからみて、遮蔽板29は、紫外線防止シート51上には設けられているものの、風防ガラス32「に接して」設けられている、すなわち、風防ガラス32上に設けられているとはいえない。

したがって、摘記事項ア及び図7の記載からみて、風防ガラス32上に紫外線防止シート51を設けることは、当初明細書に記載されているに等しい事項であるが、風防ガラス32上に遮蔽板を設けることは、当初明細書に記載されているに等しい事項とはいえない。

上記補正後の事項に関連して当初明細書には、以下の記載がある。
摘記事項イ「【0025】
また、第2の基板3の風防ガラス32側には、第2の基板3と回路基板34との接続部とシール材25、あるいは、外光の透過部への光の入射を防止するために、遮蔽板32を設ける。さらに、風防ガラス32の第2の基板3側には、紫外線による液晶の分解劣化を防止するために、紫外線防止シート39を設ける。紫外線防止シート39を風防ガラス32へ設けることにより、遮蔽板29の加工性と紫外線防止シート39の接着による液晶層5の劣化を防止するためである。」

摘記事項イの「第2の基板3の風防ガラス32側には、第2の基板3と回路基板34との接続部とシール材25、あるいは、外光の透過部への光の入射を防止するために、遮蔽板32を設ける。」との記載から、当初明細書には、 第2の基板3の風防ガラス32側に遮蔽板32を設けることは記載されているものの、風防ガラス上に遮蔽板32を設けることは記載されていない。
また、摘記事項イで説明の対象である図4において、図4には風防ガラス32に紫外線防止シート39のみが接していることが図示されている。遮蔽板32が図示されているか否かさえ不明である。

してみると、摘記事項イ及び図4の記載から、風防ガラスに接して遮蔽板を設けること、即ち、風防ガラス上に遮蔽板を設けることは、当初明細書に記載されているに等しい事項とはいえない。

上記補正後の事項に関連して当初明細書には、以下の記載がある。
摘記事項ウ「【0038】
さらに図6に示すように、第2の基板3の風防ガラス32側には、液晶層5への紫外線の照射防止と、補助光源37の非点灯時に液晶表示パネルの透過部への風防ガラス32からの直接入射光を低減するために、樹脂にビーズを混入する紫外線防止シート51を設ける。さらに、紫外線防止シート51上には、アナログ式時計用の時刻文字47と液晶表示パネルの加工端面、シール材25を遮蔽するために遮蔽板(図示せず)を設ける。」

摘記事項ウには、紫外線防止シート51上に遮蔽板を設けることが記載されているにすぎなく、また、摘記事項ウで説明している図6には、風防ガラス32に接して如何なる部材も設けられていない状況が図示されているから、風防ガラス上に遮蔽板を設けることは、当初明細書に記載されているに等しい事項とはいえない。

以上のとおり、当初明細書には、風防ガラス上に遮蔽板を設けることは、当初明細書に記載されているに等しい事項とはいえない。
また、当初明細書の摘記事項アないしウ及び図面には、風防ガラス32に遮蔽板29を接して設ける旨の記載を導く記載はされていないから、風防ガラス上に遮蔽板を設けることは、当初明細書の記載から自明な事項とはいえない。

したがって、風防ガラス上に遮蔽板を設けることは、補正後の特許請求の範囲の請求項1に記載した上記事項の一部の事項であるから、補正後の特許請求の範囲の請求項1に記載した上記事項も、当初明細書に記載されているに等しい事項とはいえず、また、当初明細書の記載から自明な事項とはいえない。

(2)観点2
また、別の観点から上記補正後の事項が新規事項か否かについて検討する。

当初明細書には、風防ガラス32と遮蔽板29との位置関係について、
「【0025】
また、第2の基板3の風防ガラス32側には、第2の基板3と回路基板34との接続部とシール材25、あるいは、外光の透過部への光の入射を防止するために、遮蔽板32を設ける。」なる記載や、
「【0044】
さらに、風防ガラス32の裏蓋(裏面)側に紫外線防止シート51と紫外線防止シート51上に、遮蔽板29を設け」なる記載がある。

これらの記載からみて、当初明細書には、遮蔽板を風防ガラス32の裏蓋(裏面)側に設ける点は記載されているが、遮蔽板を風防ガラス32の裏蓋(裏面)側とは反対側に設ける点は当初明細書に明示的に記載されておらず、また、当初明細書の記載から自明な事項ともいえない。

ところで、本件補正により、補正後の特許請求の範囲の請求項1には「風防部材上に、前記高分子ポリマーを含む液晶層への紫外線の入射を制限する紫外線防止シートと、前記液晶表示パネルの加工端面またはシール材を遮蔽するための遮蔽物である遮蔽板との両方を設ける」という事項が記載されている。
この事項を 遮蔽板と風防ガラスとの関係からみると、風防部材上に遮蔽板を設けるというものであり、風防部材の裏蓋(裏面)側でも、裏蓋(裏面)側とは反対側でも遮蔽板が設けられることを規定する事項である。
しかしながら、上記したように、遮蔽板を風防ガラス32の裏蓋(裏面)側とは反対側に設ける点は当初明細書に明示的に記載されておらず、また、当初明細書の記載から自明な事項ともいえない。

したがって、補正後の特許請求の範囲の請求項1に記載した事項は、この観点からみても、当初明細書に明示的に記載されておらず、また、当初明細書の記載から自明な事項ともいえない。

(3)まとめ
そうしてみると、特許請求の範囲の請求項1についての補正は、当初明細書に記載した事項の範囲内においてなされたものであるとはいえない。

したがって、本件補正は、特許法第17条の2第3項の規定に違反するから、特許法第159条第1項で読み替えて準用する特許法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。

2.目的要件について、
以上のとおり、本件補正は却下されるべきものであるが、仮に、当初明細書に記載した範囲内でなされた補正とした場合、目的要件についての違反の有無(特許請求の範囲についてする補正が、平成18年改正前特許法第17条の2第4項に規定する事項を目的とするものであるか否か)について検討する。

本件補正により、請求項の数が6から4になったから、請求項の削除を目的とする補正に該当する。
しかしながら、本件補正前後の特許請求の範囲の各請求項を比較すると、単に請求項が削除されただけではなく、請求項に記載した事項を補正することを伴う補正であることは明らかである。
そこで、本件補正により、請求項に記載した事項を補正する目的が平成18年改正前特許法第17条の2第4項の規定に適合するか検討する。

(1)特許請求の範囲の減縮
ア 理由1
特許請求の範囲の請求項に記載した事項を、引用する請求項の記載事項まで考慮すると、「遮蔽板」という発明特定事項が記載された請求項の数は、補正前は3つであり、本件補正後は4つである。
してみると、本件補正により、請求項1ないし4のうち、3つの請求項は、仮に、補正前の請求項に記載した発明特定事項である遮蔽板を限定する補正としても、残りの1つ請求項には、本件補正前に請求項に記載されていない「遮蔽板」という発明特定事項が追加されたといえる。
したがって、本件補正は、平成18年改正前特許法第17条の2第4項第2号の括弧書に規定する、「その補正前の当該請求項に記載した発明を特定する事項を限定するものであって」という要件を満たさないことになる。

イ 理由2
特許請求の範囲の請求項に記載した事項を、引用する請求項の記載事項まで考慮すると、本件補正前の請求項には、「前記一対の基板における一方の基板と、前記紫外線防止シートの間には遮蔽板を設ける」という事項が記載されていない請求項は、請求項1ないし請求項3であり、また、上記事項が記載されている請求項は、請求項4ないし請求項6である。一方、本件補正後の請求項1ないし請求項4には、上記事項がいずれにも記載されていない。
してみると、本件補正後の請求項1ないし請求項4のうち1つの請求項は、上記発明特定事項が削除されたといえる。
したがって、本件補正は、平成18年改正前特許法第17条の2第4項第2号の括弧書に規定する、「その補正前の当該請求項に記載した発明を特定する事項を限定するものであって」という要件を満たさないことになる。

ウ まとめ
以上のとおり、上記理由1又は理由2により、 本件補正は、仮に、当初明細書に記載した範囲内でなされた補正とした場合、平成18年改正前特許法第17条の2第4項第2号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とする補正に該当しない。

(2)誤記の訂正、明りょうでない記載の釈明
本件補正の目的が、誤記の訂正、明りょうでない記載の釈明に該当しないことは明らかである。

(3)目的要件のまとめ
以上のとおり、本件補正は、仮に、当初明細書に記載した範囲内でなされた補正とした場合、平成18年改正前特許法第17条の2第4項の規定に違反するから、特許法第159条第1項で読み替えて準用する特許法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。

【3】本願発明
平成18年5月23日付けの手続補正は前記のとおり却下され、また、平成17年11月21日付けの手続補正は、平成18年3月24日付けで却下の決定がなされている。
したがって、本願の請求項1に係る発明は、平成17年7月15日付け手続補正書中の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される次のとおりのものと認められる。
「【請求項1】 風防部材と、電極を形成した一対の基板間に液晶と高分子ポリマーとを含む液晶層を封入した液晶表示パネルとを備え、前記風防部材上に紫外線防止シートを設けることを特徴とする情報表示装置。」(以下、「本願発明」という。)。

【4】引用発明
原査定の拒絶の理由で引用され、本願出願前に頒布された刊行物である特開昭52-111755号公報(以下、「引用例」という。)には、時計ガラス(発明の名称)に関し、図面と共に以下の記載がある。

a.「本発明は紫外線吸収効果を有する、主として液晶表示時計に用いる時計ガラスに関するものである。
液晶表示のデジタル腕時計に使われている液晶は紫外線に弱くこれにより劣化をおこす。したがってカバーガラスに紫外線カット性能を持たすか又はカバーガラスと液晶の中間に紫外線を吸収する中間層を挿入することが必要となる。」(公報1頁左下欄8行?15行)
b.「すなわち本発明は、無機質または有機質透明時計ガラスの上面および下面の片面又は両面に真空蒸着又はエレクトロンビーム蒸着によって高屈折率膜物質(・・・)と、低屈折率膜物質(・・・)を交互に重ね合わせて多層膜を形成し紫外線吸収効果を持たせたものである。」(1頁右下欄10行?17行)

そして、記載事項a.の「液晶表示のデジタル腕時計」との記載から、デジタル腕時計が、液晶表示部を有することは明らかである。

したがって、以上の記載事項を考慮すると、引用例には、次の発明が記載されているものと認められる。
「無機質または有機質透明時計ガラスのカバーガラスと、液晶表示部とを有し、前記カバーガラスの上面および下面の片面又は両面に紫外線吸収効果を持たせた多層膜を真空蒸着又はエレクトロンビーム蒸着したデジタル腕時計。」(以下、「引用発明」という。)。

【5】対比
本願発明と引用発明とを対比する。
(1)引用発明の「無機質または有機質透明時計ガラスのカバーガラス」は、本願発明の「風防部材」に相当する。

(2)引用発明の「液晶表示部とを有し」と本願発明の「電極を形成した一対の基板間に液晶と高分子ポリマーとを含む液晶層を封入した液晶表示パネルとを備え」とは、液晶表示部とを備えている点で共通する。

(3)引用発明の「上面および下面の片面又は両面に」は、本願発明の「上に」に相当し、引用発明の「紫外線吸収効果を有する多層膜」と本願発明の「紫外線防止シート」とは、紫外線防止層の点で共通する。また、引用発明の「真空蒸着又はエレクトロンビーム蒸着した」は、本願発明の「設ける」に相当する。
したがって、引用発明の「前記カバーガラスの上面および下面の片面又は両面に紫外線吸収効果を持たせた多層膜を真空蒸着又はエレクトロンビーム蒸着した」と本願発明の「前記風防部材上に紫外線防止シートを設ける」とは、前記風防部材上に紫外線防止層を設ける点で共通する。

(4)引用発明の対象である「デジタル腕時計」は、本願発明の対象である「情報表示装置」に相当する。

したがって、本願発明と引用発明の両者は、
(一致点)
風防部材と、液晶表示部とを備え、前記風防部材上に紫外線防止層を設ける情報表示装置、
の点で一致し、次の点で相違する。

(相違点)
相違点1:「液晶表示部」について、
本願発明では「電極を形成した一対の基板間に液晶と高分子ポリマーとを含む液晶層を封入した液晶表示パネル」であるのに対し、引用発明では液晶表示部の具体的構成が限定されていない点。

相違点2:風防部材上に設けられる「紫外線防止層」について、
本願発明では「紫外線防止シート」であるのに対し、引用発明では「紫外線吸収効果を持たせた多層膜」である点。

【6】当審の判断
(相違点1について)
液晶を用いた情報表示装置において、電極を形成した一対の基板間に液晶と高分子ポリマーとを含む液晶層を封入した液晶表示素子を有するものは従来周知の技術である〔例えば、特開平9-5714公報(段落【0007】?【0008】、段落【0023】?【0024】参照〕。
そして、液晶表示部を有する「デジタル腕時計」の引用発明と上記従来周知の液晶表示装置に関する技術とは、液晶表示技術の分野に属する点で共通するから、引用発明の液晶表示部を具現化するにあたり、上記従来周知の液晶表示装置に関する技術を適用することに困難性はない。

したがって、相違点1に係る本願発明の発明特定事項は、引用発明に従来周知の液晶表示装置に関する技術を適用することにより、当業者が容易に想到し得たものである。

(相違点2について)
液晶表示装置において、液晶を紫外線照射から保護するために、液晶表示装置に紫外線を吸収するフィルムを設けることは従来周知の技術である〔実願昭61-101741号(実開昭63-8594号)のマイクロフィルム、実用新案登録請求の範囲、明細書第4ページ第5?13行〕。
したがって、引用発明で用いられる「紫外線吸収効果を有する多層膜を」を従来周知の技術の「紫外線を吸収するフィルム(紫外線防止シート)」に変更することは、カバーガラスに対する加工の困難性、紫外線の吸収性能等を勘案して、当業者が容易になし得る設計事項である。

そして、本願発明の効果は、引用例の記載から当業者が予測し得る効果である。

したがって、本願発明は、引用発明及び従来周知の技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。

【7】むすび
以上のとおり、本願の請求項1に係る発明は、引用発明及び従来周知の技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
前記のとおり、本願の請求項1に係る発明が特許を受けることができないものであるから、本願の他の請求項に係る発明について審理するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2008-08-18 
結審通知日 2008-08-19 
審決日 2008-09-03 
出願番号 特願平9-200150
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G04G)
P 1 8・ 561- Z (G04G)
P 1 8・ 57- Z (G04G)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 五閑 統一郎  
特許庁審判長 江塚 政弘
特許庁審判官 飯野 茂
堀部 修平
発明の名称 情報表示装置  

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