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審決分類 |
審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない。 B60N 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 B60N |
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管理番号 | 1186537 |
審判番号 | 不服2006-13014 |
総通号数 | 108 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2008-12-26 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2006-06-22 |
確定日 | 2008-10-30 |
事件の表示 | 平成 8年特許願第319888号「内装材」拒絶査定不服審判事件〔平成10年 6月16日出願公開、特開平10-157506号〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続の経緯・本願発明 本願は、平成8年11月29日の出願であって、その特許請求の範囲の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成18年4月10日付けの手続補正によって補正された明細書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される次のとおりのものである。 「一乃至複数層のウェブからなる内装材であって、少なくとも一層が紙材からなるウェブであることを特徴とする内装材。」 2.引用刊行物 原査定の拒絶の理由に引用された本願出願前に頒布された刊行物である実願平4-80933号(実開平6-36953号)のマイクロフィルム(以下、「引用例」という。)には、図面とともに次の事項が記載されている。 (ア)「【産業上の利用分野】 本考案は例えば自動車の床敷用として供される成形カーペットに関するものである。」(段落【0001】) (イ)「【課題を解決するための手段】 本考案は上記従来の課題を解決するための手段として、カーペット本体(2)の裏面に合成樹脂からなるバックコート層(3)を介して紙(5)を積層し、所定形状に積層されている成形カーペット(1)を提供するものである。」(段落【0004】) (ウ)「【実施例】 本考案を図1に示す一実施例によって説明すれば、(2)はカーペット本体であり、本考案においてはニードルパンチカーペット、タフトカーペットの何れも対象となる。 (3)は該カーペット本体(2)の裏面に形成されるバックコート層であり、該バックコート層(3)は例えばポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-酢酸ビニル共重合体、酢酸ビニル樹脂、アクリル樹脂、スチレン-ブタジエンゴム等の溶融物、溶液、エマルジョン等を塗布し乾燥することによって形成され、該バックコート層(3)は通常50?800g/m^(2) 程度にされる。」(段落0006) (エ)「(5)は紙であり、該バックコート層(3) を介して該カーペット本体(2)に積層されており、該紙(5)としては通常100?500g/m^(2)のものが使用される。該紙(5)には例えばポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-酢酸ビニル共重合体、酢酸ビニル樹脂、アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、スチレン-ブタジエンゴム、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂のような熱可塑性合成樹脂あるいは熱硬化性合成樹脂が片面または両面に塗布または含浸せしめられていてもよく、また更に剛性を上げたい場合にはアルミニウム箔、ステンレススチール箔等の金属箔をラミネートしてもよい。」(段落【0007】) (オ)「(4)はインシュレーターであり、該インシュレーター(4)の材料としてはフェルト、ポリウレタン発泡体等が使用され、該インシュレーター(4)はホットメルト接着剤あるいは通常の接着剤によって紙(5)に接着される。その際紙(5)は種々の接着剤に対して良好な接着性を示すので、接着剤の選択巾が広がりまたインシュレーター(4)は強固に接着される。 なおインシュレーター(4)は本考案にとっては必須の構成要素ではない。」(段落【0008】) 上記記載事項を総合すると、引用例には、 「カーペット本体(2)の裏面に紙(5)を積層してなる成形カーペット(1)。」 の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているといえる。 3.対比・判断 そこで、本願発明と引用発明とを対比すると、引用発明における「成形カーペット(1)」は、その機能・構造等からみて本願発明における「内装材」に相当する。 ところで、本願発明における「一乃至複数層のウェブ」が具体的にどのような構成を意味するのかが必ずしも明確でないので、本願の発明の詳細な説明の記載を参酌すると、段落【0023】には「上記内装材を製造するには、・・・(中略)・・・表皮材2と裏打ち材3を重ね合わせ、この積層体(内装材構成ウェブ)を・・・(中略)・・・加圧する。」と記載されているから、表皮材2と裏打ち材3を重ね合わせて積層体としたものが「一乃至複数層のウェブ」に相当するものと考えられる。そして、「表皮材2」については、本願の発明の詳細な説明の段落【0021】に「カーペット等の表皮材2」と記載されており、引用発明の「カーペット本体(2)」も引用例の上記記載事項(ウ)を参酌すると、ニードルパンチカーペット、タフトカーペット等のカーペットからなるものであるから表皮材に相当するものであり、引用発明の「紙(5)」はカーペット本体(2)の裏面に積層してなるものであるから、裏打ち材に相当するものである。そうすると、引用発明の「カーペット本体(2)の裏面に紙(5)を積層してなる成形カーペット(1)」は、本願発明の「一乃至複数層のウェブからなる内装材」に相当するといえる。 また、本願発明における「紙材からなるウェブ」についても具体的にどのような構成を意味するのかが必ずしも明確でないので、本願の発明の詳細な説明の記載を参酌すると、段落【0021】には「内装材1は・・・(中略)・・・カーペット等の表皮材2と、その下面に固着される裏打ち材3とから構成されている。」と記載されており、段落【0022】には「上記裏打ち材3は、紙材から構成されており・・・(中略)・・・紙材の種類は・・・(中略)・・・例えば、新聞巻取紙、印刷用紙、包装用紙、薄葉紙、雑種紙、あるいはこれらの再生紙等が用いられている。」と記載されているのであるから、内装材1を構成する表皮材2と裏打ち材3のうち紙材から構成されている「裏打ち材3」が、本願発明の「紙材からなるウェブ」に相当するものと考えられるが、本願の発明の詳細な説明には、紙材を表皮材に固着したり、加熱した成形型で成形することは記載されているものの、紙材自体に何らかの加工を施すことは記載されていないのであるから、本願発明における「紙材からなるウェブ」は、新聞巻取紙、印刷用紙、包装用紙、薄葉紙、雑種紙、あるいはこれらの再生紙等の普通の紙をそのまま用いる場合を含むものと考えざるを得ない。また、「ウェブ」には、「織物、織布」、「くもの巣状のもの」又は「一巻の印刷用紙」等の意味があり(「研究社 新英和大辞典(第4版)」(株式会社研究社)、紙は、拡大してみれば繊維が寄せ集まってくもの巣状になっているといえるものであるから、このことからみても新聞巻取紙、印刷用紙、包装用紙、薄葉紙、雑種紙、あるいはこれらの再生紙等の普通の紙をそのまま用いたものは「ウェブ」ということができる。そうすると、引用発明の「紙(5)」も普通の紙を用いていると考えられるから、引用発明の「紙(5)」は、本願発明の「少なくとも一層が紙材からなるウェブ」に相当するといえる。 したがって、両者は、 「一乃至複数層のウェブからなる内装材であって、少なくとも一層が紙材からなるウェブであることを特徴とする内装材。」 の点で一致し、相違点はない。 なお、請求人は、審判請求の理由において、本願発明の「紙材からなるウェブ」は、紙を材料として構成された綿状構造を有するシート状の部材から構成され、高い空隙率を有することにより高い遮音性能を持たせているのに対して、引用発明の紙はこのようなウェブではなく、この点で両者は構成が相違している旨主張(平成18年9月20日付け手続補正書の第2頁第19?28行)しているが、仮に審判請求人が主張するように、本願発明における「紙材からなるウェブ」が、普通の紙をそのまま用いたものとは構造的に異なる綿状構造を有するシート状のものを意味するとしても、そのような「紙材からなるウェブ」は周知の材料にすぎず(例えば、特公平1-15620号公報の第8欄第27行?第9欄第1行、実願平2-52754号(実開平4-13610号)のマイクロフィルムの請求項1、特開平7-316315号公報の段落【0013】等参照)、引用発明の紙(5)の材料として該周知の材料を採用する程度のことは当業者であれば容易に想到できることである。 4.むすび したがって、本願発明は、引用発明であるか、引用発明と周知の材料に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、または特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2008-08-19 |
結審通知日 | 2008-08-26 |
審決日 | 2008-09-16 |
出願番号 | 特願平8-319888 |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(B60N)
P 1 8・ 113- Z (B60N) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 林 茂樹 |
特許庁審判長 |
北川 清伸 |
特許庁審判官 |
八木 誠 豊永 茂弘 |
発明の名称 | 内装材 |
代理人 | 小谷 悦司 |
代理人 | 樋口 次郎 |