• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 特17条の2、3項新規事項追加の補正 特許、登録しない。 G09G
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G09G
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G09G
管理番号 1186621
審判番号 不服2006-1919  
総通号数 108 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2008-12-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2006-02-03 
確定日 2008-10-24 
事件の表示 特願2000-245941「画像表示装置、及び画像表示方法」拒絶査定不服審判事件〔平成14年 2月28日出願公開、特開2002- 62861〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成12年8月14日の出願であって、平成17年12月21日付け(発送日:平成18年1月4日)で拒絶査定がなされ、これに対して、平成18年2月3日に拒絶査定不服審判の請求がなされるとともに、同年3月3日付けで明細書を補正対象とする手続補正書(以下、この手続補正書による補正を「平成18年3月3日付け補正」といい、また「本件補正」ともいう。)が提出されたものである。

第2 補正の却下の決定
1 補正の却下の決定の結論
平成18年3月3日付け補正を却下する。

2 補正の却下の決定の理由
(1)本件補正の内容
本件補正は、特許請求の範囲を次のように補正する内容を含むものである。

ア 本件補正前の特許請求の範囲
「【請求項1】 マルチウィンドウシステムを用いた信号発生源から必要な情報を入手し、指定されたウィンドウ内の画像補正処理と該ウィンドウ外の画像補正処理を別々に行って表示する画像表示装置において、
1以上の調整処理により実現され、かつ、それぞれが異なる画像処理機能を有する複数の画像処理手段と、
前記指定されたウィンドウを、更に複数の補正領域に分割して指定すると同時に、前記複数の補正領域の信号のそれぞれに、前記複数の画像処理手段のいずれか一つを割り当てる信号を出力する切替信号発生手段と、
前記切替信号発生手段の出力する信号に従い、前記複数の補正領域のそれぞれに、前記複数の画像処理手段のいずれかの画像処理後の出力を割り当てて表示する画像処理回路選択手段と、
を設けたことを特徴とする画像表示装置。
【請求項2】 前記複数の画像処理手段に加えて、画像処理を行わずに元画像をそのまま出力する手段を更に備え、
前記画像処理選択手段は、前記切替信号発生手段の出力する信号に従い、前記複数の補正領域のそれぞれに、前記複数の画像処理手段のいずれかの画像処理後の出力を割り当てて表示するか、もしくは未処理の出力を割り当てて表示すること
を特徴とする請求項1に記載の画像表示装置。
【請求項3】 マルチウィンドウシステムを用いた信号発生源から必要な情報を入手し、指定されたウィンドウ内の画像補正処理とウィンドウ外の画像補正処理を別々に行って表示する画像表示装置において、
1以上の調整処理により実現される単一の画像処理機能を有する単一の画像処理手段と、
前記指定されたウィンドウを、更に複数の補正領域に分割して指定すると同時に、前記複数の補正領域の信号に、前記単一の画像処理手段を、割り当てるか否かの信号を出力する切替信号発生手段と、
前記切替信号発生手段の出力する信号に従い、前記複数の補正領域のそれぞれに、前記単一の画像処理手段の画像処理後の出力か、もしくは未処理の出力を割り当てて表示する画像処理回路選択手段と、
を設けたことを特徴とする画像表示装置。
【請求項4】 マルチウィンドウシステムを用いた信号発生源から必要な情報を入手し、指定されたウィンドウ内の画像補正処理とウィンドウ外の画像補正処理を別々に行って表示する画像表示装置において、
輝度の調整処理、色相の調整処理、シャープネスの調整処理のいずれかを少なくとも含む1以上の調整処理により実現される複数の画像処理機能を提供する単一の画像処理手段と、
前記指定されたウィンドウを、更に複数の補正領域に分割して指定すると同時に、前記複数の補正領域の信号に、前記単一の画像処理手段の複数の調整処理のいずれかを実施するか否かを指示する信号を出力する切替信号発生手段と、
前記切替信号発生手段の出力する信号に従い、前記複数の補正領域のそれぞれに、前記単一の画像処理の複数の調整処理のいずれかを実施した画像処理後の出力か、もしくは未処理の出力を割り当てて表示する画像処理回路選択手段と、
を設けたことを特徴とする画像表示装置。
【請求項5】 マルチウィンドウシステムを用いた信号発生源から必要な情報を入手し、指定されたウィンドウ内の画像補正処理とウィンドウ外の画像補正処理を別々に行って表示する画像表示方法において、
1以上の調整処理により実現され、かつ、それぞれが異なる画像処理機能を有する複数の画像処理と、
前記指定されたウィンドウを、更に複数の補正領域に分割して指定すると同時に、前記複数の補正領域の信号のそれぞれに、前記複数の画像処理のいずれか一つを割り当てる信号を出力する切替信号発生処理と、
前記切替信号発生処理の出力する信号に従い、前記複数の補正領域のそれぞれに、前記複数の画像処理のいずれかの画像処理後の出力を割り当てて表示する処理と、
を含むことを特徴とする画像表示方法。
【請求項6】 前記複数の画像処理に加えて、画像処理を行わずに元画像をそのまま出力する処理を更に備え、
前記切替信号発生処理の出力する信号に従い、前記複数の補正領域のそれぞれに、前記複数の画像処理のいずれかの画像処理後の出力を割り当てて表示するか、もしくは未処理の出力を割り当てて表示すること
を特徴とする請求項5に記載の画像表示方法。
【請求項7】 マルチウィンドウシステムを用いた信号発生源から必要な情報を入手し、指定されたウィンドウ内の画像補正処理とウィンドウ外の画像補正処理を別々に行って表示する画像表示方法において、
1以上の調整処理により実現される単一の画像処理機能を有する単一の画像処理と、
前記指定されたウィンドウを、更に複数の補正領域に分割して指定すると同時に、前記複数の補正領域の信号に、前記単一の画像処理を、割り当てるか否かの信号を出力する切替信号発生処理と、
前記切替信号発生処理の出力する信号に従い、前記複数の補正領域のそれぞれに、前記単一の画像処理の画像処理後の出力か、もしくは未処理の出力を割り当てて表示する処理と、
を含むことを特徴とする画像表示方法。
【請求項8】 マルチウィンドウシステムを用いた信号発生源から必要な情報を入手し、指定されたウィンドウ内の画像補正処理とウィンドウ外の画像補正処理を別々に行って表示する画像表示方法において、
輝度の調整処理、色相の調整処理、シャープネスの調整処理のいずれかを少なくとも含む1以上の調整処理により実現される複数の画像処理機能を提供する単一の画像処理と、 前記指定されたウィンドウを、更に複数の補正領域に分割して指定すると同時に、前記複数の補正領域の信号に、前記単一の画像処理の複数の調整処理のいずれかを実施するか否かを指示する信号を出力する切替信号発生処理と、
前記切替信号発生処理の出力する信号に従い、前記複数の補正領域のそれぞれに、前記単一の画像処理の複数の調整処理のいずれかを実施した画像処理後の出力か、もしくは未処理の出力を割り当てて表示する処理と、
を含むことを特徴とする画像表示方法。」

イ 本件補正後の特許請求の範囲
「【請求項1】 マルチウィンドウシステムを用いた信号発生源から必要な情報を入手し、指定されたウィンドウ内の画像補正処理とウィンドウ外の画像補正処理を別々に行って表示する画像表示装置において、
輝度の調整処理と、色相の調整処理、または、シャープネスの調整処理のいずれかとを少なくとも含む2以上の調整処理により実現される複数の画像処理機能を提供する単一の画像処理手段と、
前記指定されたウィンドウを、更に複数の補正領域に分割して指定すると同時に、前記複数の補正領域の信号に、前記単一の画像処理手段の複数の調整処理のいずれかを実施するか否かを指示する信号を出力する切替信号発生手段と、
前記切替信号発生手段の出力する信号に従い、前記複数の補正領域のそれぞれに、前記単一の画像処理の複数の調整処理のいずれかを実施した画像処理後の出力か、もしくは未処理の出力を割り当てて表示する画像処理回路選択手段と、
を設けたことを特徴とする画像表示装置。
【請求項2】 マルチウィンドウシステムを用いた信号発生源から必要な情報を入手し、指定されたウィンドウ内の画像補正処理とウィンドウ外の画像補正処理を別々に行って表示する画像表示方法において、
輝度の調整処理と、色相の調整処理、または、シャープネスの調整処理のいずれかとを少なくとも含む2以上の調整処理により実現される複数の画像処理機能を提供する単一の画像処理と、
前記指定されたウィンドウを、更に複数の補正領域に分割して指定すると同時に、前記複数の補正領域の信号に、前記単一の画像処理の複数の調整処理のいずれかを実施するか否かを指示する信号を出力する切替信号発生処理と、
前記切替信号発生処理の出力する信号に従い、前記複数の補正領域のそれぞれに、前記単一の画像処理の複数の調整処理のいずれかを実施した画像処理後の出力か、もしくは未処理の出力を割り当てて表示する処理と、
を含むことを特徴とする画像表示方法。」
なお、アンダーラインは補正箇所を示すために請求人が付したものである。

(2)本件補正についての判断
新規事項の追加
本件補正が、願書に最初に添付した明細書又は図面(以下「当初明細書等」という。)に記載した事項の範囲内においてしたものであるか否かについて検討する。
本件補正は、本件補正前の請求項4及び8の「輝度の調整処理、色相の調整処理、シャープネスの調整処理のいずれかを少なくとも含む1以上の調整処理」との記載を、それぞれ、「輝度の調整処理と、色相の調整処理、または、シャープネスの調整処理のいずれかとを少なくとも含む2以上の調整処理」と補正し、それぞれを新たな請求項1及び2と補正するものである。
そして、本件補正後の請求項1及び2の「輝度の調整処理と、色相の調整処理、または、シャープネスの調整処理のいずれかとを少なくとも含む2以上の調整処理」との記載によると、「2以上の調整処理」は、「輝度の調整処理」と、「色相の調整処理、または、シャープネスの調整処理のいずれか」とを少なくとも含むものとなっている。すなわち、本件補正後の請求項1及び2では、調整処理として、「輝度の調整処理」を少なくとも含むことが発明特定事項として記載されていることとなる。

これに対し、当初明細書等には、「第3の実施の形態は、・・・複数の画像処理機能を持つ一つの画像処理回路で構成し、例えば、補正領域毎に輝度の調整や色相調整、シャープネスの調整など複数の処理を独立かつ、同時に実行する場合の実施の形態である。」(段落【0024】)及び「図5において、画像処理回路51は、パーソナルコンピュータやワークステーションからの映像信号を、処理1から処理nの回路において、独立かつ同時に、輝度の調整や色相調整、シャープネスの調整などの処理を行う。」(段落【0026】)との記載がある。当初明細書等のこれらの記載では、「輝度の調整」,「色相調整」及び「シャープネスの調整」の各処理は、何れの処理についても同等な選択肢の1つとして記載されていることから、例えば、この中から敢えて2つの処理を選択するときには、「輝度の調整処理」を含めずに、「色相調整」及び「シャープネスの調整」の2つの処理を選択できることが明らかである。そして、当初明細書等のその余の記載を見ても、「処理」すなわち「調整処理」が「輝度の調整処理」を少なくとも含むことは、記載も示唆もされていない。

したがって、本件補正後の請求項1及び2において、「輝度の調整処理と、色相の調整処理、または、シャープネスの調整処理のいずれかとを少なくとも含む2以上の調整処理」とした補正は、当初明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものではない。
よって、本件補正は、特許法第17条の2第3項の規定に違反する。

イ 独立特許要件
本件補正が、仮に当初明細書等に記載した事項の範囲内においてした補正であるとした場合、本件補正が適法であるかについて検討する。

(ア)補正の目的について
本件補正の特許請求の範囲についてする補正は、請求項1-3,5-7を削除し、本件補正前の請求項4及び8に係る発明を特定するために必要な事項である「調整処理」について、「輝度の調整処理、色相の調整処理、シャープネスの調整処理のいずれかを少なくとも含む1以上の調整処理」を、「輝度の調整処理と、色相の調整処理、または、シャープネスの調整処理のいずれかとを少なくとも含む2以上の調整処理」と限定し、同時に、本件補正前の請求項4及び8に記載された「1以上の調整処理」を「2以上の調整処理」とすることにより、拒絶査定の備考欄なお書きに示す事項について明確化して、新たな請求項1及び2とするものであるから、平成18年法律第55号による改正前の特許法(以下、単に「特許法」という。)第17条の2第4項第1号の請求項の削除、同項第2号の特許請求の範囲の減縮及び同項第4号の明りょうでない記載の釈明を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正後の請求項2に記載されている事項により特定される発明(以下、「本件補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか)について、以下に検討する。

(イ)本件補正発明
「【請求項2】 マルチウィンドウシステムを用いた信号発生源から必要な情報を入手し、指定されたウィンドウ内の画像補正処理とウィンドウ外の画像補正処理を別々に行って表示する画像表示方法において、
輝度の調整処理と、色相の調整処理、または、シャープネスの調整処理のいずれかとを少なくとも含む2以上の調整処理により実現される複数の画像処理機能を提供する単一の画像処理と、
前記指定されたウィンドウを、更に複数の補正領域に分割して指定すると同時に、前記複数の補正領域の信号に、前記単一の画像処理の複数の調整処理のいずれかを実施するか否かを指示する信号を出力する切替信号発生処理と、
前記切替信号発生処理の出力する信号に従い、前記複数の補正領域のそれぞれに、前記単一の画像処理の複数の調整処理のいずれかを実施した画像処理後の出力か、もしくは未処理の出力を割り当てて表示する処理と、
を含むことを特徴とする画像表示方法。」

(ウ)引用例
原査定の拒絶の理由である平成17年6月17日付け拒絶理由通知書の理由2に引用された、本願の出願前に頒布された刊行物である特開平10-326091号公報(以下「引用例」という。)には、「画像表示システムにおける情報処理装置の制御方法及びその実施の為のプログラムの記録媒体」の発明に関して、図面とともに次の事項が記載されている。

a 「【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、情報処理装置から出力された画像信号の表示属性を変更して画像表示装置に表示する画像表示システムに関し、特に、情報処理装置から出力されたテキストデータや動画データ等の画像信号を画像表示装置の表示画面に表示する際に、表示するデータの種類に合わせて画像信号のコントラストを変更して表示する画像表示システムに適用して有効な技術に関するものである。」

b 「【0015】【発明の実施の形態】(実施形態1)以下に、表示画面上の特定領域の表示属性を変更する為の領域属性情報を情報処理装置から画像表示装置に送信し、前記特定領域の表示属性を画像表示装置で変更して表示する実施形態1の画像表示システムについて説明する。
【0016】図1は、本実施形態の画像表示システムの概略構成を示す図である。図1に示す様に、この画像表示システムでは、画像表示装置110から画像表示装置情報を受信して画像信号及び領域属性情報を送信する情報処理装置100と、情報処理装置100から画像信号及び領域属性情報を受信し、表示画面上の特定領域の表示属性を変更して表示する画像表示装置110とが接続されている。」

c 「【0066】情報処理装置100では、予め属性情報が設定された表示データの表示処理を行うと、領域属性情報生成手段201または領域属性情報生成手段212により前記表示データが表示される特定領域の表示属性を変更する為の情報である領域属性情報250を生成する。
【0067】前記生成される領域属性情報250は、表示データが表示される特定領域の位置を指定する領域情報と、表示データが表示されるときの表示属性を指定する属性情報とを含んでいる。領域属性情報250の属性情報としては、コントラスト、ブライトネス、色度、γ特性等があり、また、前記属性情報は、表示データの種類毎、表示要素等の特定の単位毎に設定されるものとする。」

d 「【0077】アプリケーションプログラム200は、前記の様にして生成した属性情報及び領域情報から成る領域属性情報250を、オペレーティングシステム210を介して画像表示装置110に送り、画像表示装置110の特定領域表示属性変換手段113により動画表示画面812の表示属性を高コントラストに変更して表示データの表示を行う。
【0078】前記の様にして生成される領域属性情報250の領域情報には、以下の様に幾つかの表現形式が考えられる。」

e 「【0085】図9は単一のウィンドウ部分の表示属性を変更する為のウィンドウの領域情報について示しているが、複数のウィンドウの表示属性を変更することも考えられる。
【0086】図10は、本実施形態の複数の表示領域の領域情報の概要を示す図である。図10に示す様に、複数の表示領域の領域情報では、重なりの無いウィンドウA及びウィンドウBの表示属性を変更する例を表しており、この場合には、図9で示したウィンドウAの領域情報に加え、ウィンドウBの領域情報を画像表示装置110に送ることにより複数の表示領域の領域情報を送ることができる。
【0087】この様に、本実施形態の画像表示システムでは、更に追加されるウィンドウの領域情報が規定されており、重なりの無い複数のウィンドウの領域情報については、所要数のウィンドウの領域情報を画像表示装置110に与えることにより、複数のウィンドウの表示属性の変更を可能としている。」

f 「【0091】図12は、本実施形態の重なり合う複数の表示領域で形成される領域情報の概要を示す図である。図12に示す様に、重なり合う複数の表示領域で形成される領域情報では、ウィンドウが複数存在し、それぞれが重なり合っている場合の領域情報の規定の仕方を表しており、複数のウィンドウ領域が存在する場合に、それぞれのウィンドウが重なり合う場合の表示属性の変更も行うことができる。
【0092】図12(a)はウィンドウBが最上面に表示されている場合を表しており、図12(b)はウィンドウBがウィンドウAの下に一部隠れている場合を示している。以下、ここでは簡潔の為、ウィンドウAは通常の表示属性のウィンドウであり、そのウィンドウAに対して表示属性を変更したウィンドウBを適正に表示画面上に表示させることを主題として説明する。
【0093】図12(a)の場合には、ウィンドウBの領域情報は全て表示されるので、上述の矩形ウィンドウの場合と同様に処理できる。一方、図12(b)の場合には領域情報を上述の多角形情報として規定し直すか、或いは複数の矩形ウィンドウ領域に分割して規定し直すことによりウィンドウBの適正な表示を実現する。
【0094】多角形情報として規定する場合は、図12(b)中の各黒点の座標情報を作成し、また、複数の矩形ウィンドウとして規定する場合には、例えば、図12(b)に示す様に、ウィンドウBを上側矩形ウィンドウ領域と下側の矩形ウィンドウ領域の2つに分割して領域情報を作成する様にする。この場合、図12(b)に示した分割は1例であり、ウィンドウBの分割は、その他の分割方法でも実現可能であることはいうまでもない。」

g 「【0097】以下に、本実施形態の画像表示システムにおいて、情報処理装置100から画像表示装置110に送信される各種情報の例を示す。
・・・
【0100】【表3】
内容
属性情報 ・制御対象ウィンドウ番号指示
・ウィンドウ部コントラスト制御
・ウィンドウ部ブライトネス制御
・ウィンドウ部色温度制御
・ウィンドウ部R/G/Bゲイン制御
・ウィンドウ部γ値設定
・ウィンドウ部コントラスト制御」
(当審注:表3からウィンドウ部の制御に関するものを抜粋した。)
h 「【0101】表1は、領域情報に先だって画像表示装置110側へ送られる表示属性変更の為に必要な画像信号情報の例を示す表である。また、表2は、前記の表示属性の変更を行う領域情報の例を表しており、表2において、対応レベルとは、ウィンドウの数、形状及び重なりを示すパラメータである。例えば、表2に示されたレベル1は、単一の矩形ウィンドウの領域情報をウィンドウ始点情報及び終点情報で表す例を示しており、レベル2は、レベル1の領域情報が複数ある場合について示している。」

i 「【0102】更に、表3は、領域情報の後に情報処理装置100から画像表示装置110に送られる属性情報の例を示す表であり、前記属性情報には先だって送られた領域情報が示す特定領域のコントラストやブライトネス等の表示属性を示す情報が含まれている。
【0103】表3において、対応レベル切替えは、画像表示装置110が表2に示した領域情報の各レベルに対応可能な場合に、どのレベルで表示を行うかを決定する為の切替情報を示しており、表示属性変更制御オン・オフは、画像表示装置110の表示属性変更制御を許可するか否かの情報を示している。
【0104】全画面属性変更/ウィンドウ属性変更切替えは、画像表示装置110に表示される表示画面全体或いは領域情報に示される部分のどちらの表示属性を変更するかを決定する切替情報であり、本情報を使用すると、以下に示す全表示画面に対する表示属性変更または領域情報に示される部分の表示属性変更のどちらかが行われる。
【0105】全画面コントラスト制御は、画像表示装置110の全表示画面のコントラストを制御する為の制御情報であり、コントラスト制御ウィンドウ個数は、領域情報に示される幾つの表示部分のコントラストを制御するかを示す情報である。
【0106】制御対象ウィンドウ番号指示は、属性情報を変更可能な表示領域(ウィンドウ)が複数個存在する場合に各表示領域に割り当てた番号を指定し、制御対象を明確化する為の指示情報であり、ウィンドウ部コントラスト制御は、指定表示領域のコントラスト制御情報である。
【0107】全画面ブライトネス制御は、表示全体のブライトネス制御情報であり、ウィンドウ部ブライトネス制御は、指定表示領域のブライトネス制御情報である。
【0108】ABL制御方式切替えは、表示画面全体の平均輝度を一定とするか特定表示領域を除いた表示領域の平均輝度を一定とするかの切替え情報であり、ABL制御レベル指定は、選択したABL制御方式で輝度制御される部分の最大輝度レベル(CRTディスプレイ322の定格以上にビーム電流が流れない様に抑制するレベル)を指定する情報である。
【0109】全面色温度制御は、表示全体の白色表示の色温度設定(赤味がかった白か青味がかった白か)情報であり、ウィンドウ部色温度制御は、特定表示領域の色温度設定情報である。
【0110】ウィンドウ部R/G/Bゲイン制御は、特定表示領域のRGB各色のビデオ利得制御情報であり、全面γ値設定は、表示部全体のγ特性(ビデオ電圧振幅と表示輝度特性)を補正する為の情報で、ウィンドウ部γ値設定は、特性領域のγ特性補正情報である。
【0111】表示属性変更部縁取りオン/オフは、表示属性の変更を行う特定領域に対して縁取りを行うか否かの切替え情報であり、縁取り色設定は、上記縁取りを行う場合の縁取りの色を設定する情報で、表示属性変更部分の拡大縮小は、表示属性の変更を行う部分を拡大または縮小表示するか否かの制御情報である。
【0112】尚、表3の各制御情報は、全てが伝送される必要はなく、必要に応じた情報が情報処理装置100側から画像表示装置110側へ伝送されれば良い。」

j 「【0131】次に、前記初期化処理の結果、画像表示装置110で特定領域の表示属性の変更が可能である場合に、アプリケーションプログラム200で動画データを高コントラストで再生する表示属性変更処理について説明する。」

k 「【0132】図15は、本実施形態のアプリケーションプログラム200の表示属性変更処理の処理手順を示すフローチャートである。図15に示す様に、アプリケーションプログラム200の表示属性変更処理では、アプリケーションプログラム200によって動画データを再生するときに動画データを再生する動画ウィンドウを高コントラストで表示する表示属性変更処理の概要を表している。
・・・
【0137】続いて、ステップ1504の処理で、アプリケーションプログラム200の領域属性情報生成手段201は、前記動画ウィンドウが高コントラストとなる様に、前記動画ウィンドウの表示の際に指定した領域情報と実行時のパラメータとして予め設定されている動画データのコントラスト値を示す属性情報とにより領域属性情報250を生成し、前記表示した動画ウィンドウを高コントラスト化する高コントラスト化命令をオペレーティングシステム210に指示する。
【0138】ステップ1513の処理で、オペレーティングシステム210の表示属性変更制御手段211は、領域属性情報取得手段213によりアプリケーションプログラム200からの前記高コントラスト化命令を受け取ると、初期化処理で設定した属性変更フラグを参照し、画像表示装置110が特定領域の表示属性を変更可能な装置である場合には、USBデバイスドライバ230に領域属性情報251を伝え、高コントラスト化を指示する。
【0139】ステップ1521の処理で、USBデバイスドライバ230は、USBのプロトコルに合う様に前記高コントラスト化を行う為の領域属性情報251を格納した命令パケットを組み立て、USBコントローラ107にそのパケットを送る。USBコントローラ107は、受け取った命令パケットを電気信号に直してUSBコントローラ107に接続された画像表示装置110に領域属性情報252を伝える。USBコントローラ107に接続された画像表示装置110は、USBコントローラ115を介して自分宛の命令パケットを受信し、領域情報とコントラスト情報を取り出し、指定された動画ウィンドウのコントラストを変更する。
【0140】ステップ1505の処理で、アプリケーションプログラム200は、選択された動画ファイルの動画データをファイルシステムドライバ及びDVDインタフェースを経由して読み出してメインメモリ102に転送し、メインメモリ102に転送した動画データを、画像表示デバイスドライバ240及び表示コントローラ105を経由して画像表示装置110に送って、表示属性が動画データ用の高コントラスト値に変更された動画ウィンドウに動画を再生する。」

上記摘記事項aないし摘記事項kから、引用例には、以下の事項が記載されていると認められる。

(a)
・複数のウィンドウが表示される画像表示システム(摘記事項eの段落【0087】)
・画像表示システムの情報処理装置100から画像信号及び領域属性情報を受信し、表示画面上の特定領域の表示属性を変更して表示する方法(摘記事項bの段落【0016】)
・画像表示装置110に表示される表示画面全体或いは領域情報に示される部分のどちらかの表示属性を変更する(摘記事項iの段落【0104】)
そして、表示画面上の「特定領域」は、「領域情報に示される部分」、「表示画面全体」あるいは「ウィンドウ」であることは明らかである。
また、「表示画面上の特定領域の表示属性を変更して表示する方法」は、画像表示方法であることは明らかである。

したがって、引用例には、複数のウィンドウが表示される画像表示システムの情報処理装置100から画像信号及び領域属性情報を受信し、表示画面上のウィンドウ或いは表示画面全体のどちらかの表示属性を変更して表示する画像表示方法が記載されている。

(b)
・情報処理装置100から画像表示装置に送られる属性情報として、制御対象ウィンドウ番号指示、ウィンドウ部コントラスト制御、ウィンドウ部ブライトネス制御、ウィンドウ部色温度制御、ウィンドウ部R/G/Bゲイン制御、ウィンドウ部γ値設定がある(摘記事項gの段落【0100】の【表3】、摘記事項iの段落【0102】)
そして、例えば属性情報である上記ウィンドウ部コントラスト制御に基づいて、画像表示装置110においてコントラストの変更をする表示属性変更処理が行われる(段落【0131】)。
また、「表3の各制御情報は、全てが伝送される必要はなく、必要に応じた情報が情報処理装置100側から画像表示装置110側へ伝送されれば良い。」(摘記事項iの段落【0112】)と記載されている。

したがって、段落【0112】の上記記載を踏まえると、【表3】に記載された属性情報に対応して、引用例には、コントラスト制御、ブライトネス制御、色温度制御、R/G/Bゲイン制御、γ値設定の内、全ての必要はなく、必要に応じた制御情報に基づいて表示属性を変更する表示属性変更処理、及び、必要に応じた制御情報を含む属性情報が記載されている。

(c)
・複数のウィンドウが重なり合うときに表示属性の変更も行う際(摘記事項fの段落【0091】)
・例えば、ウィンドウBがウィンドウAの下に一部隠れている場合(同段落【0092】)
・複数の矩形ウィンドウとして規定する場合には、例えば、図12(b)に示す様に、ウィンドウBを上側矩形ウィンドウ領域と下側の矩形ウィンドウ領域の2つに分割して領域情報を作成する(同段落【0094】)

したがって、引用例には、複数のウィンドウが重なり合うときに表示属性の変更も行う際、例えば、ウィンドウBがウィンドウAの下に一部隠れている場合、複数の矩形ウィンドウ領域に分割して作成した領域情報が記載されている。

(d)
・例えば、領域属性情報生成手段が、動画ウィンドウの表示の際に指定した領域情報と動画データのコントラスト値を示す属性情報による領域属性情報を生成し、表示した動画ウィンドウを高コントラスト化する高コントラスト化命令を指示した場合(摘記事項kの段落【0137】)
・表示属性が動画データ用の高コントラスト値に変更された動画ウィンドウに動画を再生する処理(同【0140】)

したがって、引用例には、例えば、領域属性情報生成手段が、動画ウィンドウの表示の際に指定した領域情報と動画データのコントラスト値を示す属性情報による領域属性情報を生成し、表示した動画ウィンドウを高コントラスト化する高コントラスト化命令を指示した場合、表示属性が動画データ用の高コントラスト値に変更された動画ウィンドウに動画を再生する処理が記載されている。

そうすると、上記摘記事項aないし摘記事項k、及び図面からみて、引用例には、以下の発明(以下「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。

「複数のウィンドウが表示される画像表示システムの情報処理装置100から画像信号及び領域属性情報を受信し、表示画面上のウィンドウ或いは表示画面全体のどちらかの表示属性を変更して表示する画像表示方法において、
コントラスト制御、ブライトネス制御、色温度制御、R/G/Bゲイン制御、γ値設定の内、全ての必要はなく、必要に応じた制御情報に基づいて表示属性を変更する表示属性変更処理と、
必要に応じた制御情報を含む属性情報と、複数のウィンドウが重なり合うときに表示属性の変更も行う際、例えば、ウィンドウBがウィンドウAの下に一部隠れている場合、複数の矩形ウィンドウ領域に分割して作成した領域情報とを含む領域属性情報を出力する領域属性情報生成処理と、
例えば、領域属性情報生成手段が、動画ウィンドウの表示の際に指定した領域情報と動画データのコントラスト値を示す属性情報による領域属性情報を生成し、表示した動画ウィンドウを高コントラスト化する高コントラスト化命令を指示した場合、表示属性が動画データ用の高コントラスト値に変更された動画ウィンドウに動画を再生する処理と、
を含む表示属性を変更する画像表示方法。」

(エ)対比
本件補正発明と引用発明とを対比する。

a 引用発明の「複数のウィンドウ」は、本件補正発明の「マルチウィンドウ」に相当するから、引用発明の「複数のウィンドウが表示される画像表示システム」は、本件補正発明の「マルチウィンドウシステム」に相当する。
そして、引用発明の「情報処理装置100」は、画像信号及び領域属性情報を送信することになるので、引用発明の「情報処理装置100」は、本件補正発明の「信号発生源」に相当する。
引用発明の「画像信号及び領域属性情報」、「受信し」は、本件補正発明の「必要な情報」「入手し」に相当する。
また、引用発明の「表示属性を変更する」ことは、本件補正発明の「画像補正処理」に相当するから、引用発明の「表示画面上のウィンドウ或いは表示画面全体のどちらかの表示属性を変更して表示する」は、本件補正発明の「指定されたウィンドウ内の画像補正処理とウィンドウ外の画像補正処理を別々に行って表示する」に相当する。

したがって、引用発明の「複数のウィンドウが表示される画像表示システムの情報処理装置100から画像信号及び領域属性情報を受信し、表示画面上のウィンドウ或いは表示画面全体のどちらかの表示属性を変更して表示する画像表示方法」は、本件補正発明の「マルチウィンドウシステムを用いた信号発生源から必要な情報を入手し、指定されたウィンドウ内の画像補正処理とウィンドウ外の画像補正処理を別々に行って表示する画像表示方法」に相当する。

b 引用発明の「変更」及び「制御」は、本件補正発明の「調整処理」に相当し、引用発明の「ブライトネス制御」、「R/G/Bゲイン制御」は、それぞれ本件補正発明の「輝度の調整処理」、「色相の調整処理」に相当する。
引用発明の「全ての必要はなく、必要に応じた制御情報」は、複数の制御情報を選択できることが明らかであるから、引用発明の「必要に応じた制御情報に基づいて表示属性を変更する表示属性変更処理」と、本件補正発明の「少なくとも含む2以上の調整処理」とは、「複数の調整処理」である点で共通する。
そして、引用発明の「表示属性を変更する」は、その具体的な処理内容からみて、本件補正発明の「画像処理機能」の1つであるといえるから、引用発明が、複数の制御情報に基づいて表示属性を変更することは、本件補正発明の「調整処理により実現される複数の画像処理機能を提供する」ことにも相当する。また、引用発明の「表示属性変更処理」は、画像に関するものであるから、本件補正発明の「画像処理」に相当する。

したがって、引用発明の「コントラスト制御、ブライトネス制御、色温度制御、R/G/Bゲイン制御、γ値設定の内、全ての必要はなく、必要に応じた制御情報に基づいて表示属性を変更する表示属性変更処理」と本件補正発明の「輝度の調整処理と、色相の調整処理、または、シャープネスの調整処理のいずれかとを少なくとも含む2以上の調整処理により実現される複数の画像処理機能を提供する単一の画像処理」とは、「複数の調整処理により実現される複数の画像処理機能を提供する画像処理」の点で共通する。

c 引用発明の「矩形ウィンドウ領域」は、本件補正発明の「補正領域」に相当するから、引用発明の「複数のウィンドウが重なり合うときに表示属性の変更も行う際、例えば、ウィンドウBがウィンドウAの下に一部隠れている場合、領域情報を複数の矩形ウィンドウ領域に分割して作成した」は、本件補正発明の「前記指定されたウィンドウを、更に複数の補正領域に分割して指定する」に相当し、引用発明の「必要に応じた制御情報を含む属性情報」は、本件補正発明と同様に「複数の調整処理のいずれかを実施するか否かを指示する」という機能を有するものである。また、引用発明の「領域情報」のそれぞれと「属性情報」とは互いに対応関係にあることが明らかである。
そうすると、引用発明の「必要に応じた制御情報を含む属性情報と、複数のウィンドウが重なり合うときに表示属性の変更も行う際、例えば、ウィンドウBがウィンドウAの下に一部隠れている場合、複数の矩形ウィンドウ領域に分割して作成した領域情報とを含む領域属性情報」と、本件補正発明の「前記指定されたウィンドウを、更に複数の補正領域に分割して指定すると同時に、前記複数の補正領域の信号に、前記単一の画像処理の複数の調整処理のいずれかを実施するか否かを指示する信号」とは、「前記指定されたウィンドウを、更に複数の補正領域に分割して指定すると同時に、前記複数の補正領域の信号に、前記画像処理の複数の調整処理のいずれかを実施するか否かを指示する信号」である点で共通する。
そして、引用発明の「領域属性情報生成処理」と、本件補正発明の「切替信号発生処理」とは、「信号生成処理」である点で共通する。

d 引用発明の「表示属性が動画データ用の高コントラスト値に変更された動画ウィンドウに動画を再生する処理」は、複数の矩形ウィンドウ領域においても行われることは明らかである。
したがって、引用発明の「表示属性が動画データ用の高コントラスト値に変更された動画ウィンドウに動画を再生する処理」と本件補正発明の「前記切替信号発生処理の出力する信号に従い、前記複数の補正領域のそれぞれに、前記単一の画像処理の複数の調整処理のいずれかを実施した画像処理後の出力か、もしくは未処理の出力を割り当てて表示する処理」とは、前記信号生成処理の出力する信号に従い、前記複数の補正領域を表示する処理の点で共通する。

以上の相当関係から、本件補正発明と引用発明とは、以下の一致点で一致し、以下の相違点1ないし3で相違する。

(一致点)
「マルチウィンドウシステムを用いた信号発生源から必要な情報を入手し、指定されたウィンドウ内の画像補正処理とウィンドウ外の画像補正処理を別々に行って表示する画像表示方法において、
複数の調整処理により実現される複数の画像処理機能を提供する画像処理と、
前記指定されたウィンドウを、更に複数の補正領域に分割して指定すると同時に、前記複数の補正領域の信号に、前記画像処理の複数の調整処理のいずれかを実施するか否かを指示する信号を出力する信号生成処理と、
前記信号生成処理の出力する信号に従い、前記複数の補正領域を表示する処理と、
を含む画像表示方法。」

(相違点1)
複数の調整処理により実現される複数の画像処理機能を提供する画像処理が、本件補正発明は、「輝度の調整処理と、色相の調整処理、または、シャープネスの調整処理のいずれかとを少なくとも含む2以上の調整処理により実現される複数の画像処理機能を提供する単一の画像処理」であるのに対して、引用発明は、そのように限定されていない点。

(相違点2)
指定されたウィンドウを、更に複数の補正領域に分割して指定すると同時に、前記複数の補正領域の信号に、前記画像処理の複数の調整処理のいずれかを実施するか否かを指示する信号を出力する信号生成処理が、本件補正発明は、「指定されたウィンドウを、更に複数の補正領域に分割して指定すると同時に、前記複数の補正領域の信号に、単一の画像処理の複数の調整処理のいずれかを実施するか否かを指示する信号を出力する切替信号発生処理」であるのに対して、引用発明は、そのように限定されていない点。

(相違点3)
信号生成処理の出力する信号に従い、複数の補正領域を表示する処理が、本件補正発明は、「切替信号発生処理の出力する信号に従い、前記複数の補正領域のそれぞれに、単一の画像処理の複数の調整処理のいずれかを実施した画像処理後の出力か、もしくは未処理の出力を割り当てて表示する処理」であるのに対して、引用発明は、そのように限定されていない点。

(オ)当審の判断
上記各相違点について検討する。

(相違点1について)
先ず、本件補正発明の「輝度の調整処理と、色相の調整処理、または、シャープネスの調整処理のいずれかとを少なくとも含む2以上の調整処理」について検討する。
引用発明の表示属性変更処理には、「コントラスト制御、ブライトネス制御、色温度制御、R/G/Bゲイン制御、γ値設定」があるが、どの表示属性変更処理を必須の表示属性変更処理としたり、残りの表示属性変更処理の中から何を選択するかは、特定領域の画像を最適化にあたり必要に応じて当業者が適宜に決める設計事項である。
さらに、上述したように、引用発明の「ブライトネスの変更」、「R/G/Bゲインの変更」は、それぞれ本件補正発明の「輝度の調整処理」、「色相の調整処理」に相当し、これらの表示属性変更処理を必須のものとして選択することも、当業者が適宜なし得ることである。

次に、本件補正発明の「単一の画像処理」について検討する。
引用例には、以下の記載がある。
「【0368】図48は、本実施形態の表示コントローラ105の内部構成を示す図である。図48に示す様に、表示コントローラ105では、特定領域表示属性変換手段4500に相当する色情報コントローラ2400に原表示データ2203と位置情報2350とが入力されており、色情報コントローラ2400でコントラスト等の表示属性の調節をすることが可能で、また、ブライトネス、色温度、γ特性、RGBレベル等の調節を行っても良い。」

この記載からみて、画像表示方法において、「色情報コントローラ2400」という本件補正発明でいう、単一の画像処理で2以上の「調整処理」を行っていることは明らかである。
また、複数の画像処理機能を提供する画像処理には、画像処理機能の種類に応じて複数の画像処理とするか、関連する画像処理機能をまとめて画像処理の数を減らすか、複数の画像処理機能を1つの画像処理でまとめて行うかは、必要に応じて当業者が適宜に決める設計事項である。

してみると、相違点1に係る本件補正発明の発明特定事項は、何れも必要に応じて当業者が適宜に決める設計事項に過ぎなく、格別なものではない。

(相違点2について)
本件補正発明の「単一の画像処理」の点については、「(相違点1について)」の項で検討済みである。
引用発明においても、指定されたウィンドウを、更に複数の補正領域に分割して指定すると同時に、前記複数の補正領域の信号に、前記画像処理の複数の調整処理のいずれかを実施するか否かを指示する信号を出力する信号生成処理を行っており、本件補正発明のように該信号生成処理を切替信号発生処理と限定することは容易である。

したがって、相違点2に係る本件補正発明の発明特定事項は、引用例に記載された発明に基づいて当業者が容易に想到し得たものである。

(相違点3について)
本件補正発明の「単一の画像処理」の点については、「(相違点1について)」の項で検討済みである。
また、引用例には、画像表示方法に関して以下の記載がある。
「【0375】色情報制御レジスタ2640の領域0制御ビット(CC00、CC01)=(0、1)が設定されているとすると、領域範囲内では制御信号2651には01Bが出力され、範囲外であれば00Bが出力される。
【0376】増幅器2540は、制御信号2651により、アナログデータ2531?2533を増幅するか否かを決定する。
【0377】領域範囲内では制御信号2651からは01Bが出力され、増幅器2540でアナログデータ2531?2533は2倍に増幅される。
【0378】また、範囲外であれば00Bが出力され、増幅器2540ではアナログデータ2531?2533は増幅されないで、そのままアナログ表示データ2501?2503に出力される。
【0379】この様に、領域0開始位置レジスタ2610、領域0終了位置レジスタ2620、色情報制御レジスタ2640で任意の領域のコントラストを制御することが可能であり、また、ブライトネス、色温度、γ特性、RGBレベル等の調節を行っても良い。」

これらの記載において、アナログデータ2531?2533は画像信号のR,G、B成分であることは明らかであるから、引用例には、画像信号のR,G、B成分であるアナログデータ2531?2533は、増幅器で2倍に増幅されて(本件補正発明の「調整処理」に相当する。)アナログ表示データを出力するか、そのままアナログ表示データ2501?2503に出力(本件補正発明の「未処理の出力」に相当する。)する発明も記載されている。

したがって、相違点3に係る本件補正発明の発明特定事項は、引用例に記載された発明に基づいて当業者が容易に想到し得たものである。

そして、本件補正発明の作用効果も、引用例の記載から当業者が予測できる範囲のものである。
したがって、本件補正発明は、引用例に記載の発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。

(カ)独立特許要件についてのむすび
以上のとおりであるから、本件補正後の請求項2に係る発明は、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができない。

(3)本件補正についてのむすび
以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第3項の規定に違反するものであるから、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものであり、また、仮に本件補正が特許法第17条の2第3項の規定に適合するとした場合、本件補正は特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するものであるから、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明
平成18年3月3日付け補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1ないし8に係る発明は、平成17年8月15日付けの手続補正書により補正された明細書の特許請求の範囲の請求項1ないし8に記載された事項により特定されるとおりのものであると認められるところ、本願の請求項8に係る発明(以下「本願発明」という。)は次のとおりのものである。

「【請求項8】 マルチウィンドウシステムを用いた信号発生源から必要な情報を入手し、指定されたウィンドウ内の画像補正処理とウィンドウ外の画像補正処理を別々に行って表示する画像表示方法において、
輝度の調整処理、色相の調整処理、シャープネスの調整処理のいずれかを少なくとも含む1以上の調整処理により実現される複数の画像処理機能を提供する単一の画像処理と、 前記指定されたウィンドウを、更に複数の補正領域に分割して指定すると同時に、前記複数の補正領域の信号に、前記単一の画像処理の複数の調整処理のいずれかを実施するか否かを指示する信号を出力する切替信号発生処理と、
前記切替信号発生処理の出力する信号に従い、前記複数の補正領域のそれぞれに、前記単一の画像処理の複数の調整処理のいずれかを実施した画像処理後の出力か、もしくは未処理の出力を割り当てて表示する処理と、
を含むことを特徴とする画像表示方法。」

第4 引用例
原査定の拒絶の理由である平成17年6月17日付け拒絶理由通知書の理由2に引用された引用例及びその記載事項は、前記「第2 2(2)イ(ウ)引用例」に記載したとおりのものである。

第5 対比
本願発明と引用発明とを対比するに、上記「第2 2(2)イ(エ)」で検討した相当関係を考慮すると、両者は以下の一致点で一致し、以下の相違点aないし相違点cで相違する。

(一致点)
「マルチウィンドウシステムを用いた信号発生源から必要な情報を入手し、指定されたウィンドウ内の画像補正処理とウィンドウ外の画像補正処理を別々に行って表示する画像表示方法において、
1以上の調整処理により実現される複数の画像処理機能を提供する画像処理と、
前記指定されたウィンドウを、更に複数の補正領域に分割して指定すると同時に、前記複数の補正領域の信号に、前記画像処理の複数の調整処理のいずれかを実施するか否かを指示する信号を出力する信号生成処理と、
前記信号生成処理の出力する信号に従い、前記複数の補正領域を表示する処理と、
を含む画像表示方法。」

(相違点a)
1以上の調整処理により実現される複数の画像処理機能を提供する画像処理が、本願発明は、「輝度の調整処理、色相の調整処理、シャープネスの調整処理のいずれかを少なくとも含む1以上の調整処理により実現される複数の画像処理機能を提供する単一の画像処理」であるのに対して、引用発明は、そのように限定されていない点。

(相違点b)
指定されたウィンドウを、更に複数の補正領域に分割して指定すると同時に、前記複数の補正領域の信号に、前記画像処理の複数の調整処理のいずれかを実施するか否かを指示する信号を出力する信号生成処理が、本願発明は、「指定されたウィンドウを、更に複数の補正領域に分割して指定すると同時に、前記複数の補正領域の信号に、単一の画像処理の複数の調整処理のいずれかを実施するか否かを指示する信号を出力する切替信号発生処理」であるのに対して、引用発明は、そのように限定されていない点。

(相違点c)
信号生成処理の出力する信号に従い、複数の補正領域を表示する処理が、本願発明は、「切替信号発生処理の出力する信号に従い、前記複数の補正領域のそれぞれに、単一の画像処理の複数の調整処理のいずれかを実施した画像処理後の出力か、もしくは未処理の出力を割り当てて表示する処理」であるのに対して、引用発明は、そのように限定されていない点。

第6 当審の判断
上記各相違点について検討する。
(相違点aについて)
先ず、本願発明の「輝度の調整処理、色相の調整処理、シャープネスの調整処理のいずれかを少なくとも含む1以上の調整処理」について検討する。
引用発明の表示属性変更処理には、「コントラスト制御、ブライトネス制御、色温度制御、R/G/Bゲイン制御、γ値設定」があるが、どの表示属性変更処理を必須の表示属性変更処理としたり、残りの表示属性変更処理の中から何を選択するかは、特定領域の画像を最適化にあたり必要に応じて当業者が適宜に決める設計事項である。
さらに、上述したように、引用発明の「ブライトネスの変更」、「R/G/Bゲインの変更」は、それぞれ本願発明の「輝度の調整処理」、「色相の調整処理」に相当し、いずれかの表示属性変更処理を必須のものとして選択することも、当業者が適宜なし得ることである。

次に、本願発明の「単一の画像処理」について検討する。
引用例には、以下の記載がある。
「【0368】図48は、本実施形態の表示コントローラ105の内部構成を示す図である。図48に示す様に、表示コントローラ105では、特定領域表示属性変換手段4500に相当する色情報コントローラ2400に原表示データ2203と位置情報2350とが入力されており、色情報コントローラ2400でコントラスト等の表示属性の調節をすることが可能で、また、ブライトネス、色温度、γ特性、RGBレベル等の調節を行っても良い。」
この記載からみて、画像表示方法において、「色情報コントローラ2400」という本願発明でいう、単一の画像処理で2以上の「調整処理」を行っていることは明らかである。
また、複数の画像処理機能を提供する画像処理には、画像処理機能の種類に応じて複数の画像処理とするか、関連する画像処理機能をまとめて画像処理の数を減らすか、複数の画像処理機能を1つの画像処理でまとめて行うかは、必要に応じて当業者が適宜に決める設計事項である。

してみると、相違点aに係る本願発明の発明特定事項は、引用例に記載されている事項か、または設計事項に過ぎなく、格別なものではない。

(相違点bについて)
本願発明の「単一の画像処理」の点については、「(相違点aについて)」の項で検討済みである。
引用発明においても、指定されたウィンドウを、更に複数の補正領域に分割して指定し、前記複数の補正領域の信号に、前記画像処理の複数の調整処理のいずれかを実施するか否かを指示する信号を出力する処理を行っており、本願発明のように該処理を切替信号発生処理と限定することは容易である。

したがって、相違点bに係る本願発明の発明特定事項は、引用例に記載された発明に基づいて当業者が容易に想到し得たものである。

(相違点cについて)
本願発明の「単一の画像処理」の点については、「(相違点aについて)」の項で検討済みである。
また、引用例には、画像表示方法に関して以下の記載がある。
「【0375】色情報制御レジスタ2640の領域0制御ビット(CC00、CC01)=(0、1)が設定されているとすると、領域範囲内では制御信号2651には01Bが出力され、範囲外であれば00Bが出力される。
【0376】増幅器2540は、制御信号2651により、アナログデータ2531?2533を増幅するか否かを決定する。
【0377】領域範囲内では制御信号2651からは01Bが出力され、増幅器2540でアナログデータ2531?2533は2倍に増幅される。
【0378】また、範囲外であれば00Bが出力され、増幅器2540ではアナログデータ2531?2533は増幅されないで、そのままアナログ表示データ2501?2503に出力される。
【0379】この様に、領域0開始位置レジスタ2610、領域0終了位置レジスタ2620、色情報制御レジスタ2640で任意の領域のコントラストを制御することが可能であり、また、ブライトネス、色温度、γ特性、RGBレベル等の調節を行っても良い。」

これらの記載において、アナログデータ2531?2533は画像信号のR,G、B成分であることは明らかであるから、引用例には、画像信号のR,G、B成分であるアナログデータ2531?2533は、増幅器で2倍に増幅されて(本願発明の「調整処理」に相当する。)アナログ表示データを出力するか、そのままアナログ表示データ2501?2503に出力(本願発明の「未処理の出力」に相当する。)する発明も記載されている。

したがって、相違点cに係る本願発明の発明特定事項は、引用例に記載された発明に基づいて当業者が容易に想到し得たものである。

そして、本願発明の作用効果も、引用例の記載から当業者が予測できる範囲のものである。

なお、原査定の備考欄では引用文献1及び4に記載された発明と請求項4,8に係る発明との関係が記載され、引用文献3、すなわち、この審決の「引用例」に記載された発明との関係についての記載は省かれている。
しかし、原査定の拒絶の理由である平成17年6月17日付け拒絶理由通知書の理由2では、「・請求項4、8 理由2 引用文献1、3、4」とあるように、引用文献3を引用することが明記されている。
また、請求人も、平成18年3月3日付の審判請求書を補正対象書類とする手続補正書により補正された請求の理由において、「引用文献2及び3にも、構成要件1については記載されておらず、構成要件1を設けることの効果も記載されていません。上述しますように、引用文献1?4には構成要件1は記載されておらず、構成要件1を設けることの効果も記載されていないため、引用文献1?4を組み合わせることでは、本願発明の請求項1の特徴的構成である構成要件1に想到する契機とはなり得ないものであると思量いたします。従いまして、請求項1は、引用文献1?4を基に容易になし得た発明ではないものと思量します。そして、請求項2は、請求項1と実質同一の構成要件を備えるため、請求項1と同様に引用文献1?4を基に容易になし得た発明ではないものと思量します。」と主張して、引用文献3の記載内容を検討した上での反論も行っている。
してみると、請求人に拒絶理由を改めて通知するまでもないといえる。

したがって、本願発明は、引用例に記載の発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。

第7 むすび
以上のとおりであるから、本願の請求項8に係る発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
そして、請求項8に係る発明が特許を受けることができないから、その余の請求項に係る発明について論及するまでもなく、本願は、拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2008-08-19 
結審通知日 2008-08-26 
審決日 2008-09-09 
出願番号 特願2000-245941(P2000-245941)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (G09G)
P 1 8・ 561- Z (G09G)
P 1 8・ 121- Z (G09G)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 福永 健司  
特許庁審判長 江塚 政弘
特許庁審判官 下中 義之
堀部 修平
発明の名称 画像表示装置、及び画像表示方法  
代理人 松尾 直樹  
代理人 森 隆一郎  
代理人 渡辺 浩史  
代理人 棚井 澄雄  
代理人 宮川 壮輔  

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ