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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G08B
管理番号 1186872
審判番号 不服2006-26312  
総通号数 108 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2008-12-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2006-11-22 
確定日 2008-10-30 
事件の表示 平成10年特許願第 39979号「防犯システム」拒絶査定不服審判事件〔平成11年 8月31日出願公開、特開平11-238187〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本件出願(以下「本願」という。)は、平成10年2月23日を出願日とする出願であって、平成18年10月26日付で拒絶査定がなされ、これに対し、同年11月22日に拒絶査定不服審判の請求がなされるとともに、平成20年5月1日付の当審拒絶理由通知に対し同年7月7日付で手続補正がなされたものである。

2.本願発明の認定
本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は平成20年7月7日付の手続補正で補正された明細書及び図面の記載からみて次の事項により特定されるとおりのものと認める。
「複数の警戒区域に設置した防犯センサを端末機経由で通信可能とする信号
処理装置と、信号処理装置に操作入力を与える入力装置と、入力装置からの操作入力の結果を信号処理装置によって可視表示される表示装置とを備えて、種々の防犯センサの動作状態、警戒セット、解除等の防犯情報を表示装置に表示し、この表示装置に表示された表示画面を通じて警戒のセット、解除を行うことを可能にした防犯システムにおいて、
信号処理装置は、
防犯センサの設定状況および動作状況を各階ごとの模式的配置図にてあらわす表示装置上の画面の一部として、複数の階にまたがる警戒対象区域について防犯センサの設定状況および動作状況を表示するウィンドウを開いて表示してみせるシンボルを操作選択可能に表示させ、このシンボルを選択操作されると、前記ウィンドウに、対象とする防犯センサについて、その設置場所をテキストデータで表示するとともに、当該各防犯センサの設定状況および動作状況をシンボルマークによって表示するものであり、前記ウィンドウには、さらに、対象とする防犯センサについて、一括して警戒状態に移行するよう操作設定を可能とする警戒シンボルマークと、一括して警戒解除状態に移行するよう操作設定を可能とする警戒解除シンボルマークと、複数の階にまたがる警戒対象区域について建物内配置位置をあらわす地図を新たに表示する操作入力を可能とする表示ファンクションスイッチとを表示する、
ことを特徴とする防犯システム。」

3.引用発明の認定
当審の拒絶の理由に引用した特開平8-241481号公報(以下「引用文献」という。)には、「防犯受信装置」と題して、図面とともに次の事項が記載されている。

・「【0021】
【実施例】以下、図面を参照しつつ実施例を説明する。図1は本発明に係る防犯受信装置を用いた警備システムをビルに設置した場合の一実施例の構成を示す図であり、図中、1は防犯受信装置、2はネットワーク制御装置(以下、NCUと称す)、3は監視制御装置、5はローカル制御装置(以下、LCUと称す)、6は通信ケーブル、7は入出力ユニット(以下、BIOと称す)、8は電気錠制御部、9はマグネットセンサ、10は熱線センサ、11はシャッタセンサ、12は電気錠、13、14は通信ケーブルを示す。」

・「【0029】LCU5が管理している防犯センサ9?11には、LCU毎に一連のチャンネル番号が設定されており、それがLCU5に登録されている。例えば図1においてn階のLCU5の防犯センサの系統にm箇の防犯センサが接続されているものとすると、これらの防犯センサのそれぞれには1?mのチャンネル番号が設定され、それがLCU5に登録されている。従って、いま例えばチャンネル番号がj番の防犯センサが発報したとすると、当該防犯センサが接続されているBIO7はその発報信号を受け、チャンネル番号がj番の防犯センサが発報したことをLCU5に通知するのである。これを受けるとLCU5は、防犯センサの状態を管理するためのテーブルにチャンネルjが発報したことを書き込む。」

・「【0038】監視制御装置3は、各LCU5に対する種々の指示、及びLCU5から受けた情報の処理等、当該警備システムを統括して管理するものであり、その構成例を図2に示す。図2において、16は回路基板部、17はタッチパネル、18はカラー液晶表示装置(以下、LCDと称す。)、19はCPU、20はインターフェース(以下、I/Fと称す。)、21は表示制御部、22は音声出力部、23はスピーカ、24はI/F、25はマスタテーブルメモリ、26は画面用データメモリを示す。
【0039】タッチパネル17はLCD18の画面のサイズと略同じサイズを有しており、LCD18の前面に配置されている。なお、このような前面にタッチパネル17が設けられたはLCDは周知であるので詳細な説明は省略する。また、監視制御装置3は図2に示すように種々の回路を備えた回路基板部16を備えている。」

・「【0044】なお、ここで、防犯センサのグループはユーザが任意に設定できるものであり、例えばデパートでは同じ売場に設置されている防犯センサは一つのグループとして登録される。」

・「【0048】この全体監視画面には、当該警備システムが設置されているビルの縦断面がエリア毎に区分けされて表示され、各エリアにはエリア番号が表示されている。例えば図3においては当該ビルは8つのエリアに区分され、1から8までの通し番号が付けられている。なお、エリアの区分けをどのように行うかは任意である。またここではエリアは12区分を限度となされているものとする。」

・「【0067】そして、このエリア画面においては、各防犯センサのシンボルマークの表示色は状態によって異ならされている。例えば、防犯センサが警戒解除状態にある場合には、当該防犯センサのシンボルマークは所定の色、例えば白色で表示され、警戒状態にある場合には他の所定の色、例えば緑色で表示され、発報している場合には赤色の点滅で表示されるようになされている。」

・「【0079】さて、エリア画面が表示されている状態において制御画面ボタン41がタッチされると、CPU19は当該エリアに設置されている防犯センサを制御するための画面に遷移する。これが制御画面であり、その例を図5に示す。
【0080】この制御画面には防犯センサの一つ一つについてチャンネル番号、及びその防犯センサが属しているグループ名とループ名称が表示されている。この制御画面はエリア画面からのみ遷移できる画面であるので、当該制御画面に表示されている防犯センサは、当該制御画面の直前に表示されていたエリア画面のエリアに設置されている防犯センサということになる。
【0081】また制御画面には、エリア画面ボタン50、確認ボタン51、警戒ボタン52、解除ボタン53、取消ボタン54、及び防犯センサの一つ一つを個別に制御するためのテンキーボタン、防犯センサをグループ毎に制御するためのグループ制御ボタンの各操作ボタンが表示されている。
【0082】エリア画面ボタン50はこの制御画面の直前に表示されていたエリア画面に戻るためのボタンである。」

・「【0096】グループ制御の欄の「全」という操作ボタンは、当該エリアの全てのグループを一括して制御するためのものである。従って当該エリアの全ての防犯センサを警戒状態に設定する場合には、「全」の操作ボタン、確認ボタン51、警戒ボタン52の順にタッチすればよい。当該エリアの全ての防犯センサを警戒解除状態に設定する場合にも同様である。」

・【図5】には「全」の操作ボタン、確認ボタン51及び解除ボタン53が示されている。

これらの記載事項及び図示内容を総合すると、引用文献には次の発明が記載されていると認めることができる。
「複数のグループに設置した防犯センサをローカル制御装置5経由で通信可能とする監視制御装置3と、監視制御装置3に操作入力を与えるタッチパネル17と、タッチパネル17からの操作入力の結果を監視制御装置3によって可視表示されるカラー液晶表示装置18とを備えて、マグネットセンサ9、熱線センサ10及びシャッタセンサ11の防犯センサの動作状態、警戒状態設定、警戒解除状態設定の防犯情報をカラー液晶表示装置18に表示し、このカラー液晶表示装置18に表示された表示画面を通じて警戒状態設定、警戒状態解除設定を行うことを可能にした警備システムにおいて、
監視制御装置3は、
防犯センサの設定状況および動作状況を各階ごとのエリア画面にてあらわすカラー液晶表示装置18上の画面の一部として、エリアについて防犯センサを表示する制御画面を開いて表示してみせる制御画面ボタン41を操作選択可能に表示させ、この制御可能ボタン41を選択操作されると、前記制御画面に、対象とする防犯センサについて、そのグループ名とループ名称を表示するものであり、前記制御画面には、さらに、対象とする防犯センサについて、一括して警戒状態に移行するよう操作設定を可能とする「全」の操作ボタン、確認ボタン51及び警戒ボタン52と、一括して警戒解除状態に移行するよう操作設定を可能とする「全」の操作ボタン、確認ボタン51及び解除ボタン53と、エリアについてエリア画面を表示する操作入力を可能とするエリア画面ボタン50とを表示する、警備システム。」(以下「引用発明」という。)

4.対比
そこで、本願発明と引用発明とを対比する。
引用発明の「グループ」は本願発明の「警戒区域」に相当し、以下同様に、「ローカル制御装置」は「端末機」に、「監視制御装置」は「信号処理装置」に、「タッチパネル」は「入力装置」に、「カラー液晶表示装置」は「表示装置」に、「マグネットセンサ、熱線センサ及びシャッタセンサの防犯センサ」は「種々の防犯センサ」に、「警戒状態設定、警戒解除状態設定」は「警戒セット、解除等」に、「警備システム」は「防犯システム」に、「エリア画面」は「模式的配置図」に、「エリア」は「警戒対象区域」に、「制御画面」は「ウィンドウ」に、「制御可能ボタン」は「シンボル」に、「『全』の操作ボタン、確認ボタン及び警戒ボタン」は「警戒シンボルマーク」に、「『全』の操作ボタン、確認ボタン及び解除ボタン」は「警戒解除シンボルマーク」に、「エリア画面ボタン」は「表示ファンクションスイッチ」にそれぞれ相当する。
引用発明の「グループ名とループ名称」は文字であるから、テキストデータで表示することは明らかである。
引用発明の「防犯センサを表示するエリア画面」と本願発明の「防犯センサの設定状況および動作状況を表示するウィンドウ」は「防犯センサに関する情報を表示するウィンドウ」の概念で共通している。
引用発明の「グループ名とループ名称」と本願発明の「設置場所」は、「防犯センサデータ」の概念で共通している。
引用発明の「エリアについてエリア画面を表示する操作入力を可能とするエリア画面ボタン」と本願発明の「複数の階にまたがる警戒対象区域について建物内配置位置をあらわす地図を新たに表示する操作入力を可能とする表示ファンクションスイッチ」は、「警戒対象区域についての図を表示する操作入力を可能とする表示ファンクションスイッチ」の概念で共通している。

すると、本願発明と引用発明は次の点で一致する。
「複数の警戒区域に設置した防犯センサを端末機経由で通信可能とする信号
処理装置と、信号処理装置に操作入力を与える入力装置と、入力装置からの操作入力の結果を信号処理装置によって可視表示される表示装置とを備えて、種々の防犯センサの動作状態、警戒セット、解除等の防犯情報を表示装置に表示し、この表示装置に表示された表示画面を通じて警戒のセット、解除を行うことを可能にした防犯システムにおいて、
信号処理装置は、
防犯センサの設定状況および動作状況を各階ごとの模式的配置図にてあらわす表示装置上の画面の一部として、警戒対象区域について防犯センサに関する情報を表示するウィンドウを開いて表示してみせるシンボルを操作選択可能に表示させ、このシンボルを選択操作されると、前記ウィンドウに、対象とする防犯センサについて、その防犯センサデータをテキストデータで表示するものであり、前記ウィンドウには、さらに、対象とする防犯センサについて、一括して警戒状態に移行するよう操作設定を可能とする警戒シンボルマークと、一括して警戒解除状態に移行するよう操作設定を可能とする警戒解除シンボルマークと、警戒対象区域についての図を表示する操作入力を可能とする表示ファンクションスイッチとを表示する、防犯システム。」

一方で、本願発明と引用発明は次の相違点1-4で相違する。

<相違点1>
「警戒対象区域」について、本願発明においては、「複数の階にまたがる」との限定が付されているのに対し、引用発明においては、かかる限定について明確にされていない点。
<相違点2>
「防犯センサに関する情報を表示するウィンドウ」について、本願発明においては、「防犯センサの設定状況および動作状況」を表示「するとともに、各防犯センサの設定状況および動作状況をシンボルマークによって表示」すると限定しているのに対し、引用発明においては、かかる限定がなされていない点。
<相違点3>
「防犯センサデータ」に関して、本願発明においては、「設置場所」であるのに対して、引用発明においては、「グループ名とループ名称」である点。
<相違点4>
操作入力により「警戒対象区域についての図を表示する」態様に関して、本願発明においては、「複数の階にまたがる警戒対象区域について建物内配置位置をあらわす地図を新たに表示する」態様であるのに対し、引用発明においては、「エリア(警戒対象区域)についてエリア画面(模式的配置図)を表示する」態様である点。

5.相違点についての判断
上記相違点1-4について検討する。

まず、上記相違点1について検討する。
「複数の階にまたがる区域」は、特開平8-121849号公報(段落【0021】、【0034】-【0036】及び【図4】等参照。)に示されるように、周知の技術といえる。そして、引用文献の段落【0048】に「エリアの区分けをどのように行うかは任意である。」と記載されていることから、引用発明において警戒対象区域の区分けは当業者が適宜なし得るものと認められる。したがって、引用発明において、上記周知の技術を適用して上記相違点1に係る本願発明の構成とすることは、当業者が格段の困難性を伴うことなくなし得たことというべきである。

次に、上記相違点2について検討する。
引用発明においては、ウィンドウに「防犯センサの設定状況および動作状況」は表示されないが、引用文献の段落【0067】には、エリア画面に「防犯センサの設定状況および動作状況」が表示されること及び「防犯センサの設定状況および動作状況をシンボルマークによって表示」されることは記載されている。そして、状況を表示する画面は当業者が監視制御装置の利便性等を考慮して適宜選択し得るといえるから、引用発明においてエリア画面に表示される「防犯センサの設定状況および動作状況」を「シンボルマークによって」ウィンドウに表示することは当業者が適宜なし得たことと認められる。したがって、引用発明において、上記相違点2に係る本願発明の構成とすることは、当業者が格段の困難性を伴うことなくなし得たことというべきである。

次に、上記相違点3について検討する。
「防犯センサデータ」として何を表示するかは、当業者が、監視制御装置の利便性等を考慮して適宜選定し得る事項といえるから、引用発明において、上記相違点3に係る本願発明の構成とすることは、当業者が格段の困難性を伴うことなくなし得たことというべきである。

次に、上記相違点4について検討する。
「複数の階にまたがる建物内配置位置をあらわす地図」を表示することは特開平8-227491号公報(【請求項1】、【図3】、【図5】、【図7】【図9】【図12】及び【図14】等参照)及び特開平8-278996号公報(【請求項1】、【図2】及び【図9】等参照。)に示されるように周知の技術であるし、操作入力により地図を新たに表示することも特開平6-103237号公報(段落【0030】及び【図10】等参照。)に示されるように周知の技術である。そして、上記相違点4に係る本願発明の効果は、本件の願書に最初に添付した明細書又は図面(以下「当初明細書」という。)に記載されていないし、当初明細書の記載から自明であるとも認められないことから、上記相違点4に係る本願発明の構成は格別の技術的意義を有するものとは認められず、したがって、引用発明において、上記周知の技術を適用し本願発明の上記構成とすることは、当業者が格段の困難性を伴うことなくなし得たことというべきである。

そして、本願発明の全体構成が奏する効果も、引用発明及び上記周知の技術から当業者が予測し得た範囲内のものである。

したがって、本願発明は引用発明及び上記周知の技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

6.むすび
以上のとおりであるから、本願発明については、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2008-08-08 
結審通知日 2008-08-19 
審決日 2008-09-04 
出願番号 特願平10-39979
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (G08B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 安池 一貴白石 剛史  
特許庁審判長 田良島 潔
特許庁審判官 仁木 浩
谷口 耕之助
発明の名称 防犯システム  

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