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審決分類 審判 査定不服 特36条4項詳細な説明の記載不備 特許、登録しない。 G03G
管理番号 1186892
審判番号 不服2007-13538  
総通号数 108 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2008-12-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2007-05-10 
確定日 2008-10-30 
事件の表示 特願2001- 98528「現像方法」拒絶査定不服審判事件〔平成14年10月 9日出願公開、特開2002-296900〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯等
本願は、平成13年3月30日の出願であって、「現像方法」に関するものである。
そして、特許請求の範囲の請求項1ないし請求項16に係る発明は、平成17年4月8日付け手続補正書によって補正されたとおりのものであるところ、その請求項1に係る発明は次のとおりである。

「強誘電体からなる担持体上に形成された静電潜像を現像部材によって反転現像する現像方法において、担持体の静電容量をCp(F/m^(2 ))、表面抵抗をRs(Ω)、静電潜像形成から現像完了までの時間をt(sec)、静電潜像形成時の画像領域における静電潜像の非画像部の電位をVo(V)、現像部材がソリッド画像における飽和潜像電位で現像を開始し始めるときの担持体の表面電圧をVth(V)、所望とする最小画像幅をW(m)とし、該最小画像幅における限界潜像電位V1(V)を
V1=(0.348Wr^(2 )-1.161Wr+1.0163)Vo
Wr=(1/3.63)・(Rs・Cp/t)^(1/2 )・W
としたとき、
abs(V1)<abs(Vth)
ただし、abs(X)はXの絶対値
に設定することを特徴とする現像方法。」

2.原審における拒絶理由及び拒絶査定の概要
2.1 拒絶理由
原審における平成17年1月31日付け拒絶理由通知書で指摘した拒絶理由の概要は、以下のとおりである。
『この出願は、明細書及び図面の記載が下記の点で、特許法第36条第4項及び第6項2号に規定する要件を満たしていない。

(ア).・・・<省略>・・・
(イ).本願の発明の詳細な説明中には、具体的な設定ないし調整方法が記載されておらず、本願発明の従来技術のと違い、あるいはその作用効果が不明である。
(ウ).本願の発明の詳細な説明中には、具体的な実施例が記載されておらず、本願発明の従来技術のと違い、あるいはその作用効果が不明である。
具体的な実施例が記載されていると主張するのであれば、各請求項毎に、明細書のどの部分に記載されているのか明らかにされたい。
(発明の詳細な説明中には、例えば、【0024】に、感光体1として、アルミニウムから成る円筒状の導電性基体3に、抵抗層4と強誘電体層(膜厚20μmのポリフッ化ビニリデンとテトラフルオロエチレンの共重合体)5とが積層されて形成されていることが記載され、また、表1、表2に一部数値も示されているが、これらがどの請求項の実施例に相当するのか不明である。
(エ).・・・<省略>・・・』

2.2 拒絶査定
原審における平成19年4月3日付け拒絶査定の概要は、以下のとおりである。
『この出願については、平成17年1月31日付け拒絶理由通知書に記載した理由によって、拒絶をすべきものである。
なお、意見書及び手続補正書の内容を検討したが、拒絶理由を覆すに足りる根拠が見いだせない。

備考
本願の明細書の段落【0063】には、「本発明によると、強誘電体からなる担持体の表面抵抗による潜像の電荷拡散を考慮した現像条件を設定することにより、電荷拡散による解像度劣化を防止でき、高解像度化した原稿像に対して良好な画質を得ることができる。また、実際の使用状態に則した現像条件に容易に設定可能となり、経時的な原因による画質劣化を防止することができる。したがって、強誘電体を用いた画像形成方法において、複数枚の連続印刷を行っても画質の劣化のない良好な画像が得られる。」と記載されていることから、請求項1?16に係る発明によってもたらされる作用効果は上記のとおりのものと考えられるが、発明の詳細な説明において、実際の電子写真方式の画像形成装置を用いた実施例が何ら開示されていないことから、例えば請求項1に係る発明に関して、担持体の静電容量をCp、表面抵抗をRs、静電潜像形成から現像完了までの時間をt、静電潜像形成時の画像領域における静電潜像の非画像部の電位をVoをどの程度に設定すれば abs(V1)<abs(Vth)の条件を成立させることができ、上記の作用効果を実現させることができるのか、明細書の記載のみからでは不明である。そして、上記の各々の値を適正な数値に設定し、上記の条件を成立させ、上記の作用効果を実現させるためには、当業者に、追加の実験の実施等の、過度の試行錯誤を強いるものであり、発明の詳細な説明の記載に基づいて、当業者が請求項1に係る発明を実施可能であるとは到底認められない。
請求項2?16に係る発明についても同様である。
したがって、この出願の発明の詳細な説明は、当業者が請求項1?16に係る発明を実施することができる程度に明確かつ十分に記載されておらず、特許法第36条第4項に規定する要件を満たしていない。』

3.当審の判断
3.1 本願明細書に記載されている事項(下線は当審で付与。)
(a)発明の課題などに関する記載事項
「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子写真方式の画像形成装置において、強誘電体からなる担持体上の静電潜像をトナーで可視像化する現像方法に関する。
【0002】
【従来の技術】強誘電体からなる担持体を用い、イメージデータに応じて担持体をキューリー点近くまで加熱、冷却することにより、焦電効果を利用して静電潜像を形成し、これをトナーで現像する画像形成方法が、例えば特開平11-119518号公報などに提案されている。
【0003】この強誘電体を用いた画像形成方法では、一方向に配列された双極子の一部を反転させ、双極子を加熱することにより潜像が形成される。潜像形成においては従来の感光体を用いる電子写真方式に比べてメリットは少ないが、双極子の配向状態を用いることより形成された潜像が長期に渡り保存されるので、1回の潜像形成によって複数枚の印刷を行うことができる。したがって、強誘電体を用いた画像形成方法は、高速複写印刷が可能であるといった長所を有するものである。
【0004】しかしながら、実際に複写印刷を行うと、双極子の配向状態は長期間保存されるが、潜像は複写印刷枚数の増加とともに劣化し、印刷物の画質も劣化する問題点があった。
【0005】上記中和現象を鋭意検討した結果、この現象は、強誘電体がリーク抵抗を有することに起因するものと考えられる。すなわち、担持体である強誘電体は、図2に示す等価回路のように、厚み方向の抵抗成分ΔRvおよび容量成分ΔCpと、面方向の抵抗成分ΔRsとのモデルで表すことができる。したがって、加熱による潜像形成からの時間が経過する際に、抵抗成分ΔRsが無視できるほど高ければ容量成分ΔCpに出現した電荷、すなわち静電潜像は保持される。しかし、複数枚を印刷する長時間の印刷では無視できなくなり、更に表面の吸湿や汚れの付着などによって抵抗成分ΔRsが低くなっていると、容量成分ΔCpに出現した電荷は抵抗成分を介して周囲に電荷が移動し、中和されてしまう。そのため、所望とする解像度が得られなくなってしまう。
【0006】この様子を図3に示す。図3はx=0の位置をエッジとなるように形成した静電潜像の時間経過に伴う拡散の一例を示す図である。これより、時間の経過とともに表面方向に電荷の漏れが生じ、静電潜像が変化していることがわかる。
【0007】ここで、電荷の拡散による静電潜像の時間変化の観点から感光体の解像度について検討した先行技術として、「静電潜像の解析による感光体解像度特性の検討」(電子写真学会誌 第30巻 第4号(1991) 432?438頁)がある。これによれば、感光体の静電容量および帯電部材の抵抗による静電潜像の解像度の経時劣化のシミュレーション結果が報告されており、感光体上の電位変化を
(δV/δt)=(Rs・Cp)^(-1)・(δV^(2)/δx^(2))
-V/(Rv・d・Cp) (1)
で表し、その一般解を
V=Vs(x,t)・exp(-t/(Rv・d・Cp)) (2)
で表している。
【0008】また、1次元の静電潜像のエッジ幅Wを
W=3.55(t/(Cp・Rs))^(1/2 ) (3)
で表している。
【0009】また、感光体電位、トナー層厚、トナー帯電量、現像ローラの抵抗値、現像バイアスなどの組合わせによって決まる現像特性を最適化するために現像領域をモデル化して現像特性を数式化する検討結果が種々発表されている。その代表的な先行技術として、「接触型一成分非磁性現像方式(1)」(電子写真学会誌 第31巻 第4号(1992) 531?541頁)がある。これによれば、現像領域の電界をポアソン方程式より導出し、現像方程式およびシミュレーション結果が報告されており、半導電性現像ローラを用いた場合の現像方程式として、
msi=(1/A)・(mc+(k・mo/A)・(qp/q)・R1)
/(1+(1/(A・k)・R1)) (4)
ただし、A=dp/εp+dt/εt (5)
mc=(1/A)・(-(V0-Vb)/q
+(k・mo/2)・(dt/εt)) (6)
を示している。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】前者の先行技術では、感光体を用いた電子写真方式における現像電位が感光体の未露光部の電位(反転現像ではVH)と露光部の電位(反転現像ではVL)との中点に仮定されたシミュレーションに基づくものである。これには、任意の潜像電位との相関についての開示はなく、特に強誘電体の電荷中和作用に対して、最も高い解像度を得ることができる現像電位や、汚れの付着に対しても初期の性能を保証できる現像電位など、実際の使用状態に則した任意の潜像電位における解像度がわからないという問題がある。
【0011】後者の先行技術では、感光体を用いた電子写真方式における現像ニップ部の摩擦帯電により生じた電荷qpにより流れる現像電流が拡大されすぎて取り扱われている。また、感光体側の抵抗に関しては全く配慮されていないといった問題がある。
【0012】本発明は、上記に鑑み、印刷画質と潜像形成からの経過時間とリーク抵抗との関係を検討して、強誘電体からなる担持体上の静電潜像の電荷拡散を考慮した現像条件を設定することにより、解像度劣化を防止して、良好な画質を実現できる現像方法を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明による課題解決手段は、強誘電体からなる担持体上に形成された静電潜像を現像部材によって反転現像する現像方法において、担持体の静電容量をCp(F/m^(2))、表面抵抗をRs(Ω)、静電潜像形成から現像完了までの時間をt(sec)、静電潜像形成時の画像領域における静電潜像の非画像部の電位をVo(V)、現像部材がソリッド画像における飽和潜像電位で現像を開始し始めるときの担持体の表面電圧(現像開始電圧)をVth(V)、所望とする最小画像幅をW(m)とし、該最小画像幅における限界潜像電位V1(V)を
V1=(0.348Wr^(2)-1.161Wr+1.0163)Vo
Wr=(1/3.63)・(Rs・Cp/t)^(1/2)・W
としたとき、
abs(V1)<abs(Vth)
ただし、abs(X)はXの絶対値
に設定するものである。
【0014】これによれば、電荷拡散による画質劣化の限界値、すなわち解像度の限界値を引き出すことができる現像開始電圧を設定することができる。したがって、これに基づいて現像条件を調整することにより、高解像度化された原稿像に応じた静電潜像を形成することが可能となり、1回の潜像形成により同じ画像の複数枚印刷を行っても良好な画質を実現することができる。
【0015】ここで、担持体の厚み方向の抵抗をRv(Ω・m^(2))とし、 V1’=V1・exp(-t/(Rv・Cp))とするとき、
abs(V1’)<abs(Vth)
に設定することにより、暗減衰を考慮した現像開始電圧が得られる。」
「【0018】このように、現像開始電圧をより厳密に設定すれば、高解像度化された原稿像の静電潜像に対して電荷拡散による影響を少なくして解像度の低下を防止でき、良好な画質を実現することができる。さらに、連続した複数枚印刷を行うときでも解像度の劣化を防止でき、1回の潜像形成で複数枚の高速印刷を行えるといった強誘電体を用いた画像形成方法の長所を活用できる。」

(b)実施例に関する記載事項
「【0023】
【発明の実施の形態】本発明の現像方法が適用される電子写真方式の画像形成装置の一実施形態を図面に基づいて説明する。この画像形成装置では、反転現像方式による現像が行われ、強誘電体からなる担持体であるドラム状感光体の周囲に、帯電装置、露光装置、現像装置、転写装置、クリーニング装置、除電装置が配されている。図1に画像形成装置の主要部の概略構成を示す。図示しないクリーニング装置によって残留トナーが除去された感光体1は、図示しない帯電装置によって帯電され、内部の双極子が所定の方向に配列される。原稿像の露光によって画像部に相当する部分の双極子が反転され、加熱冷却によって感光体1の表面に静電潜像が形成される。静電潜像は現像装置2から供給される現像剤によってトナー像に現像されて顕像化され、図示しない転写装置によって記録紙に転写される。
【0024】感光体1は、アルミニウムから成る円筒状の導電性基材3に、リーク電流防止等のための抵抗層4と強誘電体層5とが積層されて形成されている。基材3は、回転軸を介して回転自在に支持されるとともに、接地されている。強誘電体層5は、膜厚20μmのポリフッ化ビニリデンとテトラフルオロエチレンの共重合体を製膜して形成され、-1000Vの電圧を印加してポーリングを行うことにより、内部の双極子は所定の方向に配列される。
【0025】現像装置3は、現像部材として現像ローラ6を用い、回転自在な金属シャフト7を中心にして設けられた円筒状の導電性基材8に、低抵抗を有する弾性体からなる抵抗層9が積層されて形成される。金属シャフト7には、定電圧電源10が接続され、現像バイアスである所定の負電圧Vbが印加されている。この現像ローラ6は、感光体1の表面に現像ニップW2で密着している。なお、現像ローラ6には、図示しないトナー槽からトナーが補給され、ドクターによってそのトナー層厚が規制される。
【0026】また、感光体1は、周速vpで回転駆動され、その表面に摺接する現像ローラ6は、感光体1よりも速い周速vdで反対方向に回転駆動される。
【0027】なお、露光装置、転写装置、クリーニング装置、除電装置は図示していないが、公知のものを使用している。例えば、露光装置としてレーザー光を用いて、感光体1を照射することにより、所定の部分をキューリー点(130?140℃)以下の100℃前後に加熱する。焦電現象による電荷が出現して、-500Vの表面電位が得られる。露光装置による加熱の代わりに、熱源としてサーマルヘッドを用いてもよい。また、帯電装置には、帯電ローラを感光体1に摺接させて、従動回転させたり、あるいはコロナ放電による帯電でもよい。」

(c)効果についての記載事項
「【0063】
【発明の効果】以上の説明から明らかな通り、本発明によると、強誘電体からなる担持体の表面抵抗による潜像の電荷拡散を考慮した現像条件を設定することにより、電荷拡散による解像度劣化を防止でき、高解像度化した原稿像に対して良好な画質を得ることができる。また、実際の使用状態に則した現像条件に容易に調整可能となり、経時的な原因による画質劣化を防止することができる。したがって、強誘電体を用いた画像形成方法において、複数枚の連続印刷を行っても画質の劣化のない良好な画像が得られる。」

3.2 当審の判断
上記段落【0001】に記載されているように、本願発明は、強誘電体からなる担持体上の静電潜像をトナーで可視像化する現像方法に関するものである。
強誘電体からなる潜像担持体を用いる現像方法は、上記段落【0002】に従来例として記載されている特開平11-119518号公報の他に、特開平5-221139号公報、特開平10-181207号公報、特開平10-228161号公報、特開平11-231620号公報、特開2000-89496号公報、特開2000-122385号公報、特開2000-137372号公報、特開2000-305303号公報等に記載されており、本願出願前に周知である。
本願発明が前提とする強誘電体からなる潜像担持体を用いる現像方法は、
強誘電体からなる潜像担持体をポーリング処理して強誘電体素子の双極子の配向処理を行った後に、潜像を一回形成し、現像、転写、クリーニング、帯電等からなるサイクルを複数回繰り返すことにより、一回の潜像形成により同一の画像を複数回複写することを可能としたものである。
そして、本願発明は、上記段落【0004】に記載されているように、一回の潜像形成により複数枚の印刷を行う場合、潜像が複写印刷枚数の増加とともに劣化し、印刷物の画質も劣化するという問題点があったことに鑑み、上記段落【0014】、【0018】、【0063】に記載されているように、一回の潜像形成により同一の画像を複数枚複写するのに際して良好な画像を得ようとするものである。
上記特開平10-181207号公報の段落【0042】や、上記特開平10-228161号公報の段落【0041】等に記載されているように、同一画像を連続して複数回作成する場合、転写条件等により強誘電体の表面電位のコントラスト等が低下して、画質が低下することが知られている。
一方、上記特開平11-119518号公報の段落【0050】ないし【0054】や、上記特開2000-305303号公報の段落【0053】ないし【0057】に、潜像担持体に一回潜像を形成し、一ヶ月間明室に保管しても複数回の複写を行えることが記載されているように、強誘電体からなる潜像担持体を用いる現像方法は、潜像形成から現像までの経過時間は画質に対してほとんど影響を与えないことも知られている。
ところが、上記段落【0007】ないし【0015】に記載されているように、本願発明では、感光体表面に静電潜像が形成されてから現像完了までの時間のみが考慮されており、一回の静電潜像形成後に同一画像を連続して複数回形成するときの転写条件等について何ら考慮されていない。
したがって、本願発明が上記段落【0063】に記載されている、「複数枚の連続印刷を行っても画質の劣化のない良好な画像が得られる」という効果を奏することができることの理由が不明である。
次に、前記各文献に記載されている強誘電体からなる潜像担持体は、いずれも平板状であって(例えば上記特開平11-231620号公報の段落【0040】に、強誘電体層の表面に現像ざれたトナー像は、普通紙やフィルムを重ねた後、普通紙やフィルム裏面を帯電させることにより静電的に普通紙やフィルムにトナー像を転写することが記載されており、段落【0048】には、バーコーターを用いて塗布することにより強誘電体層を形成することが記載されている点を参照)、それらの強誘電体を配列したり、露光して潜像を形成するために、全表面に同時にコロナパルスやフラッシュ光を数秒間にわたり与えなければならないものとされている。
これに対して、上記段落【0024】ないし【0026】や【図1】に示されているように、本願発明に係る潜像担持体は通常の電子写真装置に用いられる感光体と同様に円筒状であって回転するものである。
そして、本願の発明の詳細な説明に記載されている実施例は、電子写真方式の画像形成装置に適用したものとされているが、強誘電体からなり、通常の電子写真装置に用いられる感光体と同様の円筒状の強誘電体からなる潜像担持体が、帯電手段によってどのように配列処理され、露光手段によってどのように露光され、どのように所望の潜像が形成されるのであるかについて発明の詳細な説明に何ら記載されていない。
したがって、本願の発明の詳細な説明は、当業者が本願の請求項1ないし請求項16に係る発明の実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものでない。

4.むすび
以上のとおり、本願の発明の詳細な説明には、当業者が請求項1ないし請求項16に係る発明を実施することができる程度に明確かつ十分に記載したものでないから、本願は、特許法第36条第4項に規定する要件を満たしていない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2008-08-25 
結審通知日 2008-08-26 
審決日 2008-09-08 
出願番号 特願2001-98528(P2001-98528)
審決分類 P 1 8・ 536- Z (G03G)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 六車 江一▲高▼橋 祐介  
特許庁審判長 山下 喜代治
特許庁審判官 下村 輝秋
森川 元嗣
発明の名称 現像方法  
代理人 稗苗 秀三  
代理人 大島 泰甫  
代理人 後藤 誠司  
代理人 小原 順子  

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