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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06Q 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G06Q 審判 査定不服 特29条特許要件(新規) 特許、登録しない。 G06Q |
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管理番号 | 1186945 |
審判番号 | 不服2003-22084 |
総通号数 | 108 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2008-12-26 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2003-11-13 |
確定日 | 2008-10-30 |
事件の表示 | 特願2001-46622「入札公開サーバ」拒絶査定不服審判事件〔平成14年9月13日出願公開,特開2002-259740〕について,次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は,成り立たない。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は,平成13年2月22日(優先権主張平成12年12月27日)の出願であって,平成15年5月8日付けの拒絶理由通知に対して,同年7月14日付けで意見書が提出されるとともに同日付けで手続補正がなされたが,同年10月8日付けで拒絶の査定がなされ,この拒絶の査定を不服として,同年11月13日に審判請求がなされるとともに同年12月12日付けで手続補正がなされたものである。 第2 本願発明 本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は,平成15年12月12日付けの手続補正により補正された明細書及び図面の記載からみて,次のとおりのものと認める。 「【請求項1】 顧客の通信端末,顧客の要望に応じて少なくとも製品またはサービスを含む商品を提供する提供業者の通信端末とに情報ネットワークを介して接続し,顧客の通信端末と提供業者の通信端末との間で通信情報をやりとりする通信処理部と, 複数のソフトウエアを記憶するソフトウエア記憶部と, 前記ソフトウエア記憶部に記憶されているソフトウエアに従って処理を実行する制御部とを備え,情報ネットワークを使用して入札公開する入札公開サーバであって, 前記制御部は, 操作入力を促す操作画面を顧客の通信端末に送信するように前記通信処理部を制御する操作画面送信制御手段と, 顧客の通信端末から前記通信処理部を介して受信した操作情報に従って,前記ソフトウエア記憶部から読み出した商品を提供するための商品設計を行うアプリケーションソフトウエアを実行して設計データを作成するように制御する設計データ作成制御手段と, 作成した設計データを顧客毎の保存領域に記憶する設計データ記憶手段と, 顧客の通信端末から前記通信処理部を介して商品の入札公開を要求するための入札公開要求を受信した場合には,前記設計データ記憶手段から読み出した該当設計データから作成した概略的な公開データに基づいて,前記ソフトウエア記憶部から読み出したウエブサーバソフトウエアを実行して,提供業者の通信端末に表示可能な閲覧ページを作成するように制御する閲覧ページ作成制御手段と, 作成した閲覧ページを提供業者の通信端末に送信するように前記通信処理部を制御する閲覧ページ送信制御手段と, 提供業者の通信端末から前記通信処理部を介して受信した当該公開データに関する見積情報に基づいて,前記ソフトウエア記憶部から読み出したウエブサーバソフトウエアを実行して,当該顧客の通信端末に表示可能な入札ページを作成するように制御する入札状況ページ作成制御手段とを備えたことを特徴とする入札公開サーバ。」 なお,特許請求の範囲の請求項1には「前記ソフトウエア記憶に記憶されているソフトウエア」と記載されているが,先行して「ソフトウエア記憶部」と記載されていることから,「前記ソフトウエア記憶部に記憶されているソフトウエア」の誤記と認め,上記のように認定した。 第3 原査定の拒絶の理由 原査定の拒絶の理由の概要は,次のとおりである。 『[理由1] この出願の下記の請求項に係る発明は,下記の点で特許法第29条第1項柱書に規定する要件を満たしていないので,特許を受けることができない。 記 請求項1-7に記載された「入札公開システム」は,請求項1等「・・・データを作成して・・・操作画面に付加する・・・手段」「・・・ホームページを掲載する・・・手段」「・・・・入札状況サイトを掲載する・・・・手段」請求項2「・・・入札状況サイトを作成する・・・手段」請求項4「・・・電子掲示板を開設する・・・手段」等を備えるものであるが,これらの各手段は「入札公開システム」の果たすべき機能を単に「手段」として表現したものであって,ソフトウエアとハードウエア資源とが協同した具体的な手段として構成されているものとは認められないから,請求項1-7に係る「発明」は,自然法則を利用した技術的思想の創作とは認められない。 (途中略) [理由4] この出願の下記の請求項に係る発明は,その出願前日本国内又は外国において 頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用 可能となった発明に基いて,その出願前にその発明の属する技術の分野における 通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法 第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 記 (引用文献等については引用文献等一覧参照) ・請求項1-7 ・引用例1-3 ・備考 例えば,引用例1に記載されるように,仕様書(設計データ)の作成を手助けし,オンラインオークション(入札)を行う際に用いられるコンピュータシステムは周知である。また,ユーザによるプランニング(設計データ)を作成するためのコンピュータシステムは例えば引用例2に記載されるように周知であり,例えば,引用例3に記載されるように,商談のための専用の掲示板を用いて交渉を行うためのコンピュータシステムは周知である。 引 用 文 献 等 一 覧 1.特開2000-35990号公報 2.ネットの本質に直面するECサイト デジタルビジネス時代におけるビジネスプロセスの再構築,INTEROP MAGAZINE,ソフトバンクパブリッシング株式会社,2000年3月1日,第10巻第3号,P.166-171 3.特開平11-259576号公報 (以下略)』 そして,原査定の備考において,次の旨を指摘している。 『[理由1] 補正後の請求項1-7に記載された各手段は,ソフトウエアとハードウエア資源とが協同した具体的な手段として構成されているものとは認められないままであるから,補正後の請求項1-7に係る「発明」は,自然法則を利用した技術的思想の創作とは認められない。(「ソフトウェアを実行して」との記載では,ソフトウエアとハードウエア資源とが協同した具体的な手段として構成されているものとは認められない) (途中略) [理由4] 例えば,先の拒絶理由通知書の引用例2にも記載されるように,企業間の入札等の電子商取引を仲介するためのコンピュータシステムは周知であるから,具体的に仲介必要な入札のためのページ等を作成していることは,当業者であれば当然首肯すべき事項に過ぎず,本願発明のような何らかのページを作成するための構成を有することは,当業者であれば容易になし得る事項であると認められる。 したがって,補正後の請求項1-7に係る発明は,上記拒絶理由通知書において引用した引用例1-3及び周知の技術により容易に発明することができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。 (以下略)』 第4 理由1(特許法第29条第1項柱書)について 本願発明は,「顧客側の提供業者選択の幅を広げ提供業者側にも自らの能力を公開する機会を与えることができ,さらに,顧客の希望する商品設計を顧客自らの手でインターネットを介して行うことにより,その希望する商品内容を顧客側に特殊な公開の為の準備・負荷をかける事なく即座に利用・制作でき提供業者側に伝達することが可能になり,交渉に要する時間を大幅に短縮することができる入札公開サーバを提供すること」(【発明の詳細な説明】の【発明が解決しようとする課題】の段落【0004】)を目的とするものであり,本願発明の「入札公開サーバ」は実質的にコンピュータであると認められるので,本願発明は,その実施にソフトウェアを必要とする発明,すなわち,コンピュータ・ソフトウェア関連発明である。 このコンピュータ・ソフトウェア関連発明において,特許法第2条第1項で特許法での「発明」の定義としていうところの「自然法則を利用した技術的思想の創作」であるのは,発明がそもそもが一定の目的を達成できる具体的なものになっていなければならないことから,ソフトウェアによる情報処理がハードウェア資源を用いて具体的に実現されている場合であり,そのためには,ソフトウェアとハードウェア資源とが協働した具体的手段によって,目的に応じた特有の情報処理装置又はその動作方法が構築されていることが提示されている必要がある。 そこで,本願発明が,ソフトウェアによる情報処理がハードウェア資源を用いて具体的に実現されたものであるのか否かについて検討する。 本願発明の「顧客の通信端末,顧客の要望に応じて少なくとも製品またはサービスを含む商品を提供する提供業者の通信端末とに情報ネットワークを介して接続し,顧客の通信端末と提供業者の通信端末との間で通信情報をやりとりする通信処理部」は,「通信処理部」が「顧客の通信端末と提供業者の通信端末との間で通信情報をやりとりする」ことを記載しているが,通信情報の内容を特定するものではなく,情報処理を具体的に提示するものではない。 本願発明の「複数のソフトウエアを記憶するソフトウエア記憶部」及び「前記ソフトウエア記憶部に記憶されているソフトウエアに従って処理を実行する制御部」は,コンピュータが通常備える構成を記載しており,情報処理を具体的に提示するものではない。 本願発明の「情報ネットワークを使用して入札公開する入札公開サーバ」は,本願発明の「入札公開サーバ」の概括的な機能を記載しており,情報処理を具体的に提示するものではない。 本願発明の「顧客の通信端末から前記通信処理部を介して受信した操作情報に従って,前記ソフトウエア記憶部から読み出した商品を提供するための商品設計を行うアプリケーションソフトウエアを実行して設計データを作成するように制御する設計データ作成制御手段」は,「設計データ作成制御手段」が「顧客の通信端末から前記通信処理部を介して受信した操作情報に従って,前記ソフトウエア記憶部から読み出した商品を提供するための商品設計を行うアプリケーションソフトウエアを実行して設計データを作成するように制御する」という情報処理を行うことを記載している。しかしながら,「顧客の通信端末から前記通信処理部を介して受信した操作情報に従って,前記ソフトウエア記憶部から読み出した商品を提供するための商品設計を行うアプリケーションソフトウエアを実行して設計データを作成するように制御する」という情報処理は,本願発明の他の発明特定事項をあわせみても,「顧客の通信端末から前記通信処理部を介して受信した操作情報」をどのように利用し,どのような情報をどのように処理して「設計データ」を作成するのか提示しておらず,ハードウェア資源をどのように用いてどのような情報の演算又は加工をして実現されるのか把握されるものではない。 本願発明の「顧客の通信端末から前記通信処理部を介して商品の入札公開を要求するための入札公開要求を受信した場合には,前記設計データ記憶手段から読み出した該当設計データから作成した概略的な公開データに基づいて,前記ソフトウエア記憶部から読み出したウエブサーバソフトウエアを実行して,提供業者の通信端末に表示可能な閲覧ページを作成するように制御する閲覧ページ作成制御手段」は,「閲覧ページ作成制御手段」が「前記設計データ記憶手段から読み出した該当設計データから作成した概略的な公開データに基づいて,前記ソフトウエア記憶部から読み出したウエブサーバソフトウエアを実行して,提供業者の通信端末に表示可能な閲覧ページを作成するように制御する」という情報処理を行うことを記載している。しかしながら,「前記設計データ記憶手段から読み出した該当設計データから作成した概略的な公開データに基づいて,前記ソフトウエア記憶部から読み出したウエブサーバソフトウエアを実行して,提供業者の通信端末に表示可能な閲覧ページを作成するように制御する」という情報処理は,本願発明の他の発明特定事項をあわせみても,「前記設計データ記憶手段から読み出した該当設計データ」からどのように処理して「概略的な公開データ」を作成し,また,「概略的な公開データ」を基にどのように処理して「提供業者の通信端末に表示可能な閲覧ページ」を作成するのか提示しておらず,ハードウェア資源をどのように用いてどのような情報の演算又は加工をして実現されるのか把握されるものではない。 本願発明の「提供業者の通信端末から前記通信処理部を介して受信した当該公開データに関する見積情報に基づいて,前記ソフトウエア記憶部から読み出したウエブサーバソフトウエアを実行して,当該顧客の通信端末に表示可能な入札ページを作成するように制御する入札状況ページ作成制御手段」は,「入札状況ページ作成制御手段」が「提供業者の通信端末から前記通信処理部を介して受信した当該公開データに関する見積情報に基づいて,前記ソフトウエア記憶部から読み出したウエブサーバソフトウエアを実行して,当該顧客の通信端末に表示可能な入札ページを作成するように制御する」という情報処理を行うことを記載している。しかしながら,「提供業者の通信端末から前記通信処理部を介して受信した当該公開データに関する見積情報に基づいて,前記ソフトウエア記憶部から読み出したウエブサーバソフトウエアを実行して,当該顧客の通信端末に表示可能な入札ページを作成するように制御する」という情報処理は,本願発明の他の発明特定事項をあわせみても,「提供業者の通信端末から前記通信処理部を介して受信した当該公開データに関する見積情報」を基にどのように処理して「当該顧客の通信端末に表示可能な入札ページ」を作成するのか提示しておらず,ハードウェア資源をどのように用いてどのような情報の演算又は加工をして実現されるのか把握されるものではない。 すなわち,本願発明の「設計データ作成制御手段」が行う「顧客の通信端末から前記通信処理部を介して受信した操作情報に従って,前記ソフトウエア記憶部から読み出した商品を提供するための商品設計を行うアプリケーションソフトウエアを実行して設計データを作成するように制御する」という情報処理及び「閲覧ページ作成制御手段」が行う「前記設計データ記憶手段から読み出した該当設計データから作成した概略的な公開データに基づいて,前記ソフトウエア記憶部から読み出したウエブサーバソフトウエアを実行して,提供業者の通信端末に表示可能な閲覧ページを作成するように制御する」という情報処理及び「入札状況ページ作成制御手段」が行う「提供業者の通信端末から前記通信処理部を介して受信した当該公開データに関する見積情報に基づいて,前記ソフトウエア記憶部から読み出したウエブサーバソフトウエアを実行して,当該顧客の通信端末に表示可能な入札ページを作成するように制御する」という情報処理は,ハードウェア資源をどのように用いてどのような情報の演算又は加工をして実現されるのか提示するものではない。 そして,本願発明の「操作画面送信制御手段」が行う「操作入力を促す操作画面を顧客の通信端末に送信するように前記通信処理部を制御する」という情報処理が送信処理として把握され,「操作情報」を「顧客の通信端末から前記通信処理部を介して受信」するという情報処理が受信処理として把握され,「設計データ記憶手段」が行う「作成した設計データを顧客毎の保存領域に記憶する」という情報処理が記憶処理として把握され,「顧客の通信端末から前記通信処理部を介して商品の入札公開を要求するための入札公開要求を受信」するという情報処理が受信処理として把握され,「閲覧ページ送信制御手段」が行う「作成した閲覧ページを提供業者の通信端末に送信するように前記通信処理部を制御する」という情報処理が送信処理として把握され,「公開データに関する見積情報」を「提供業者の通信端末から通信処理部を介して受信」するという情報処理が受信処理として把握されるとしても,それらの情報処理は「顧客側の提供業者選択の幅を広げ提供業者側にも自らの能力を公開する機会を与えることができ,さらに,顧客の希望する商品設計を顧客自らの手でインターネットを介して行うことにより,その希望する商品内容を顧客側に特殊な公開の為の準備・負荷をかける事なく即座に利用・制作でき提供業者側に伝達することが可能になり,交渉に要する時間を大幅に短縮することができる」ために本願発明が行う情報処理の一部分の処理にしかすぎず,本願発明は,全体として,その目的を達成するための情報処理がハードウェア資源をどのように用いてどのような情報の演算又は加工をして実現されるのか提示するものではない。 したがって,本願発明は,全体として,ソフトウェアによる情報処理が,ハードウェア資源を用いて具体的に実現されたものとは認められない。 以上のとおりであるから,本願発明は,「自然法則を利用した技術的思想の創作」とはいえず,特許法第2条第1項に定義された「発明」に該当せず,特許法第29条第1項柱書に規定する要件を満たしていないので,特許を受けることができない。 第5 理由4(特許法第29条第2項)について 1 引用例 原査定の拒絶の理由に引用されたネットの本質に直面するECサイト デジタルビジネス時代におけるビジネスプロセスの再構築,INTEROP MAGAZINE,ソフトバンクパブリッシング株式会社,2000年3月1日,第10巻第3号,P.166-171(以下「引用例1」という。)には,インターネットを活用した電子商取引サイトの解説として, 「フリーマーケッツは,企業間の電子商取引の変化に着目した新しいインフォメディアリーである。同社は,仲介業者として,クライアント,特に機器メーカーが必要とする消耗品や部品の厳密な仕様書を作成するのを手助けし,さらに条件を満たしたサプライヤを招いてオンラインオークションを開催している。公開競争入札を簡単に行えるので,バイヤーの原材料費の節約率は25%に達することもある。しかも入札にかかる時間も大幅に短縮できる。」(167頁中欄29行?同頁右欄8行)と記載されている。 インターネットを介してサービスを提供するのにサーバを用いることが慣用手段であるから,上記記載において,「クライアント,特に機器メーカーが必要とする消耗品や部品の厳密な仕様書を作成するのを手助け」し,「条件を満たしたサプライヤを招いてオンラインオークションを開催し,公開競争入札を行う」のに,サーバによることは自明のことである。 したがって,上記記載から,引用例1には, 「消耗品や部品を必要とする機器メーカー等のクライアントの通信端末と,消耗品や部品を提供するサプライヤの通信端末とにインターネットを介して接続され,消耗品や部品を必要とする機器メーカー等のクライアントの通信端末と消耗品や部品を提供するサプライヤの通信端末との間で通信情報をやりとりする仲介業者のサーバであって, 機器メーカー等のクライアントが必要とする消耗品や部品の仕様書を作成するのを手助けし, 作成された仕様書に基づいて機器メーカー等のクライアントが必要とする消耗品や部品を入手するために,消耗品や部品を提供するサプライヤが参加するオンラインオークションを開催し,公開競争入札を行う 仲介業者のサーバ。」 の発明(以下「引用例1に記載された発明」という。)が記載されていると認められる。 同じく引用された特開2000-35990号公報(以下「引用例2」という。)には,「【特許請求の範囲】【請求項1】 クライアント装置とサーバー装置とが通信網によって通信可能に接続されたシステムであって,前記クライアント装置は,住宅設計に必要な情報を,前記サーバー装置に送信する処理手段と,受信した住宅設計に関する情報を出力する出力手段と,を備え,前記サーバー装置は,前記住宅設計に必要な情報を受け取って,住宅設計に関する情報を生成して前記クライアント装置に送信する処理手段を,備えることを特徴とする住宅販売支援システム。」,「【0001】【発明の属する技術分野】本発明は,クライアント装置とサーバー装置との間の情報のやりとりによって,住宅の間取り設計等をコンピュータ上で仮想的に行なうためのシステムおよびこれに用いられるサーバー装置に関する。」,「【0055】さらに,以上説明してきた本発明の実施の形態によれば,住宅プラニングの情報のみのやりとりについて説明してきたが,住宅プラニング情報の他に,他の各種の商品,例えば,自動車,家電等の販売情報を同時にやりとりすることによって,多種多様なサービスを提供することができる。」と記載されており,これらの記載及び図面の記載から,引用例2には, クライアント装置とサーバー装置との情報のやりとりによって,商品設計をコンピュータ上で行うように,サーバー装置が,クライアント装置から商品設計に必要な情報を受け取って,商品設計に関する情報を生成してクライアント装置に送信するサービスを提供すること が記載されていると認められる。 2 対比 本願発明(以下「前者」という。)と引用例1に記載された発明(以下「後者」という。)とを対比すると, (イ)後者の「機器メーカー等のクライアント」は,前者の「顧客」に相当し, (ロ)後者の「消耗品や部品」は,売買の対象となる品であるから,前者の「少なくとも製品またはサービスを含む商品」に相当し, (ハ)後者のサプライヤは,前者の「提供業者」に相当し, (ニ)後者の「インターネット」は,前者の「情報ネットワーク」に相当し, (ホ)後者が,通信情報をやりとりするのに,通信処理部を有することは明らかであり, (ヘ)後者が,機器メーカー等のクライアントが必要とする消耗品や部品の仕様書を作成するのを手助けし,作成された仕様書に基づいて機器メーカー等のクライアントが必要とする消耗品や部品を入手するために,消耗品や部品を提供するサプライヤが参加するオンラインオークションを開催し,公開競争入札を行うのに,複数のソフトウエアを記憶するソフトウエア記憶部と該ソフトウエア記憶部に記憶されているソフトウエアに従って処理を実行する制御部とを備えることは明らかであり, (ト)後者の「仲介業者のサーバ」は,オンラインオークションを開催し,公開競争入札を行うのであるから,前者の「入札公開サーバ」と,「入札公開サーバ」として共通し, (チ)後者の「機器メーカー等のクライアントが必要とする消耗品や部品の仕様書を作成するのを手助けし,作成された仕様書に基づいて機器メーカー等のクライアントが必要とする消耗品や部品を入手するために,消耗品や部品を提供するサプライヤが参加するオンラインオークションを開催し,公開競争入札を行う」ことは,前者の「顧客の通信端末から前記通信処理部を介して受信した操作情報に従って,前記ソフトウエア記憶部から読み出した商品を提供するための商品設計を行うアプリケーションソフトウエアを実行して設計データを作成する」こと及び「該当設計データから作成した概略的な公開データに基づいて,前記ソフトウエア記憶部から読み出したウエブサーバソフトウエアを実行して,提供業者の通信端末に表示可能な閲覧ページを作成する」こと及び「作成した閲覧ページを提供業者の通信端末に送信する」こと及び「提供業者の通信端末から前記通信処理部を介して受信した当該公開データに関する見積情報に基づいて,前記ソフトウエア記憶部から読み出したウエブサーバソフトウエアを実行して,当該顧客の通信端末に表示可能な入札ページを作成する」ことと,「顧客の通信端末から受信した操作情報に従って,商品に関するデータを作成し,作成した商品に関するデータを利用して該商品について入札公開する」こととして共通している。 したがって,両者は, 「顧客の通信端末,顧客の要望に応じて少なくとも製品またはサービスを含む商品を提供する提供業者の通信端末とに情報ネットワークを介して接続し,顧客の通信端末と提供業者の通信端末との間で通信情報をやりとりする通信処理部と, 複数のソフトウエアを記憶するソフトウエア記憶部と, 前記ソフトウエア記憶部に記憶されているソフトウエアに従って処理を実行する制御部とを備え,情報ネットワークを使用して入札公開する入札公開サーバであって, 顧客の通信端末から受信した操作情報に従って,商品に関するデータを作成し, 作成した商品に関するデータを利用して該商品について入札公開する入札公開サーバ。」 である点で一致し,以下の点で相違している。 [相違点1] 前者は,制御部が,操作入力を促す操作画面を顧客の通信端末に送信するように通信処理部を制御する操作画面送信制御手段と,顧客の通信端末から通信処理部を介して受信した操作情報に従って,ソフトウエア記憶部から読み出した商品を提供するための商品設計を行うアプリケーションソフトウエアを実行して設計データを作成するように制御する設計データ作成制御手段と,作成した設計データを顧客毎の保存領域に記憶する設計データ記憶手段とを備えるのに対して,後者は,顧客(機器メーカー等のクライアント)が必要とする商品(消耗品や部品)の仕様書を作成するのを手助けするものであるが,前者のようなものではない点。 [相違点2] 前者は,制御部が,顧客の通信端末から通信処理部を介して商品の入札公開を要求するための入札公開要求を受信した場合には,設計データ記憶手段から読み出した該当設計データから作成した概略的な公開データに基づいて,ソフトウエア記憶部から読み出したウエブサーバソフトウエアを実行して,提供業者の通信端末に表示可能な閲覧ページを作成するように制御する閲覧ページ作成制御手段と,作成した閲覧ページを提供業者の通信端末に送信するように通信処理部を制御する閲覧ページ送信制御手段と,提供業者の通信端末から通信処理部を介して受信した当該公開データに関する見積情報に基づいて,ソフトウエア記憶部から読み出したウエブサーバソフトウエアを実行して,当該顧客の通信端末に表示可能な入札ページを作成するように制御する入札状況ページ作成制御手段とを備えるのに対して,後者は,作成された仕様書に基づいて顧客(機器メーカー等のクライアント)が必要とする商品(消耗品や部品)を入手するために,商品(消耗品や部品)を提供する提供業者(サプライヤ)が参加するオンラインオークションを開催し,公開競争入札を行うものであるが,前者のようなものではない点。 3 判断 [相違点1]について検討する。 引用例2に,クライアント端末とサーバとの情報のやりとりによって,商品設計をコンピュータ上で行うように,サーバが,クライアント端末から商品設計に必要な情報を受け取って,商品設計に関する情報を生成してクライアント端末に送信するサービスを提供することが記載されているから,後者において,顧客(機器メーカー等のクライアント)が必要とする商品(消耗品や部品)の仕様書を作成するのを手助けするというサービスを提供する上で,顧客の通信端末との情報のやりとりによって,顧客の通信端末から商品設計に必要な情報を受け取り,商品設計をコンピュータ上で行うサービスを提供するようにすることは,当業者が容易に推考し得たことである。 その際に,コンピュータがユーザの端末操作を受けて情報処理するのに,端末に操作入力を促す操作画面を送ること,記憶手段に記憶したソフトウエアを制御手段により実行して情報処理すること,情報処理の結果を記憶手段に記憶することのいずれもが慣用手段であり,また,複数の顧客にサービスを提供することが自明のことであって,複数のデータを記憶するのにデータの属性毎の保存領域に記憶することが例示するまでもなく周知のことであるから,制御部に,操作入力を促す操作画面を顧客の通信端末に送信するように通信処理部を制御する操作画面送信制御手段と,顧客の通信端末から通信処理部を介して受信した操作情報に従って,ソフトウエア記憶部から読み出した商品を提供するための商品設計を行うアプリケーションソフトウエアを実行して設計データを作成するように制御する設計データ作成制御手段と,作成した設計データを顧客毎の保存領域に記憶する設計データ記憶手段とを設けるようにして,前者のようにすることは,当業者が格別に思考することなくなし得たことである。 [相違点2]について検討する。 必要とする品の入手のために公開競争入札を行うサービスを顧客に提供するのに,必要とする品の仕様が定まった後に必要とする品の公開競争入札による入手の要求が顧客にあることを確認して公開競争入札を行うことは当業者が当然に考えることであり,また,公開競争入札の対象の品について作成した設計データの全てを公開競争入札の場で公開する必要がないことは自明のことであり,さらに,顧客に公開競争入札の入札状況を示すことも当業者が当然に考えることであるから,後者において,作成された仕様書に基づいて顧客(機器メーカー等のクライアント)が必要とする商品(消耗品や部品)を入手するために,商品(消耗品や部品)を提供する提供業者(サプライヤ)が参加するオンラインオークションを開催し,公開競争入札を行うというサービスを提供する上で,顧客の通信端末から商品の入札公開を要求するための入札公開要求を受信した場合には,該当設計データから作成した概略的な公開データに基づいて,提供業者の通信端末に表示可能な閲覧情報を作成して,作成した閲覧情報を提供業者の通信端末に送信し,提供業者の通信端末から受信した当該公開データに関する見積情報に基づいて,入札状況を示す入札情報を作成して,当該顧客の通信端末に提示するようにすることは,当業者が容易になし得たことである。 その際に,コンピュータが情報処理するのに,外部との通信情報のやりとりを通信処理部により行うこと,データを記憶手段から読み出して情報処理すること,記憶手段に記憶したソフトウエアを制御手段により実行して情報処理すること,情報処理の結果を記憶手段に記憶することのいずれもが慣用手段であり,また,情報を提示するのにページの形で表示することも通常行われていることであるから,制御部に,顧客の通信端末から通信処理部を介して商品の入札公開を要求するための入札公開要求を受信した場合には,設計データ記憶手段から読み出した該当設計データから作成した概略的な公開データに基づいて,ソフトウエア記憶部から読み出したウエブサーバソフトウエアを実行して,提供業者の通信端末に表示可能な閲覧ページを作成するように制御する閲覧ページ作成制御手段と,作成した閲覧ページを提供業者の通信端末に送信するように通信処理部を制御する閲覧ページ送信制御手段と,提供業者の通信端末から通信処理部を介して受信した当該公開データに関する見積情報に基づいて,ソフトウエア記憶部から読み出したウエブサーバソフトウエアを実行して,当該顧客の通信端末に表示可能な入札ページを作成するように制御する入札状況ページ作成制御手段とを設けるようにして,前者のようにすることは,当業者が格別に思考することなく想到し得たことである。 そして,本願発明の効果も,引用例1,2に記載された発明及び周知の事項の効果から,当業者が容易に予測し得た程度のものである。 したがって,本願発明は,引用例1,2に記載された発明及び周知の事項に基いて,当業者が容易に発明をすることができたものと認められるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 第6 むすび 上記第4の項で述べたとおり,本願発明は,「自然法則を利用した技術的思想の創作」とはいえず,特許法第2条第1項に定義された「発明」に該当せず,特許法第29条第1項柱書に規定する要件を満たしていないので,特許を受けることができない。 また,仮に,本願発明が,特許法第2条第1項に定義された「発明」に該当し,特許法第29条第1項柱書に規定する要件を満たしているとしても,上記第5の項で述べたとおり,本願発明は,引用例1,2に記載された発明及び周知の事項に基いて,当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 よって,結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2008-09-01 |
結審通知日 | 2008-09-02 |
審決日 | 2008-09-16 |
出願番号 | 特願2001-46622(P2001-46622) |
審決分類 |
P
1
8・
575-
Z
(G06Q)
P 1 8・ 121- Z (G06Q) P 1 8・ 1- Z (G06Q) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 青柳 光代 |
特許庁審判長 |
清田 健一 |
特許庁審判官 |
田川 泰宏 山本 穂積 |
発明の名称 | 入札公開サーバ |
代理人 | 三好 秀和 |