• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G01B
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G01B
管理番号 1186992
審判番号 不服2006-6989  
総通号数 108 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2008-12-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2006-04-13 
確定日 2008-10-30 
事件の表示 平成 9年特許願第 6969号「画像処理による位置検出方法」拒絶査定不服審判事件〔平成10年 8月 7日出願公開、特開平10-206134〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成9年1月17日の出願であって、平成16年9月27日付け手続補正(以下、「補正1」という。)及び平成17年7月25日付け手続補正(以下、「補正2」という。)により明細書又は図面についての補正がなされ、平成18年3月6日付け(発送日:同年3月14日)で拒絶査定がなされ、これに対し、同年4月13日に拒絶査定不服審判が請求されるとともに、同年5月15日付け手続補正(以下、「本件補正」という。)により明細書又は図面についての補正がなされたものである。

2.本件補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
本件補正を却下する。
[理由]
(1)補正の内容
本件補正は、特許請求の範囲の記載を、補正前の
「【請求項1】あらかじめ登録されている基準図形としての基準テンプレートに各種の回転角度で回転を施した複数の照合用テンプレートを次々に生成する第1過程と、各照合用テンプレートと与えられた入力画像内に含まれる対象図形とを順に照合して一致度を評価する第2過程と、第2過程における一致度が最大になる照合用テンプレートの基準テンプレートに対する回転角度を対象図形の回転角度と認定する第3過程とを有することを特徴とする画像処理による位置検出方法。
【請求項2】基準テンプレートに基づいて照合用テンプレートを生成するように専用化されたハードウェアを有するテンプレート生成部で次々に生成される照合用テンプレートを用い、テンプレート生成部とは別に設けた照合用演算部において対象図形と各照合用テンプレートとの照合結果から対象図形の回転角度を求めることを特徴とする請求項1記載の画像処理による位置検出方法。
【請求項3】基準図形としての基準テンプレートを各種の回転角度で回転させた形であらかじめ登録されている複数の照合用テンプレートと与えられた入力画像内に含まれる対象図形とを順に照合して一致度を評価する第1過程と、第1過程における一致度が最大になる照合用テンプレートの基準テンプレートに対する回転角度を対象図形の回転角度と認定する第2過程とを有することを特徴とする画像処理による位置検出方法。
【請求項4】対象図形と照合する照合用テンプレートの角度範囲を所定範囲に制限することを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の画像処理による位置検出方法。
【請求項5】対象図形の主軸の回転角度を求める過程を付加し、対象図形と照合する照合用テンプレートの角度範囲を、主軸の回転角度を中心とする所定の角度範囲およびその角度範囲と180°異なる角度範囲に制限することを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の画像処理による位置検出方法。
【請求項6】対象図形の回転中心となる代表点を求める過程を付加し、照合用テンプレートの回転中心となる代表点を対象図形の上記代表点に一致させた形で対象図形と照合用テンプレートとの一致度を評価することを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の画像処理による位置検出方法。」
から、補正後の
「【請求項1】与えられた入力画像内に含まれる対象図形の回転中心となる代表点を求める過程と、あらかじめ登録されている基準図形としての基準テンプレートを回転中心の周りに所定角度ずつ回転させた1周分の複数の照合用テンプレートを次々に生成する過程と、照合用テンプレートの回転中心を対象図形の代表点に一致させた形で各照合用テンプレートと対象図形とを順に照合して一致度を評価する過程と、当該過程における一致度が最大になる照合用テンプレートの基準テンプレートに対する回転角度を対象図形の回転角度と認定する過程とを有することを特徴とする画像処理による位置検出方法。
【請求項2】与えられた入力画像内に含まれる対象図形の回転中心となる代表点を求める過程と、基準図形としての基準テンプレートを回転中心の周りに所定角度ずつ回転させた形であらかじめ登録されている1周分の複数の照合用テンプレートと対象図形とを照合用テンプレートの回転中心を対象図形の代表点に一致させた形で順に照合して一致度を評価する過程と、当該過程における一致度が最大になる照合用テンプレートの基準テンプレートに対する回転角度を対象図形の回転角度と認定する過程とを有することを特徴とする画像処理による位置検出方法。」
に補正する補正事項を含むものである。
この補正は、要すれば、請求項1を引用している請求項6に記載した発明を特定するために必要な事項である「複数の照合用テンプレート」について、「各種の回転角度で回転を施した」とあるのを「回転中心の回りに所定角度ずつ回転させた」と具体化するとともに、「1周分の」との限定を付加して新たな請求項1とするとともに、請求項3を引用している請求項6にも同様の限定を付加して新たな請求項2とするものである。
したがって、この補正は、平成18年改正前特許法第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正後の前記請求項1に記載された発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるかについて以下に検討する。

(2)引用例記載の事項・発明
本願の出願前に頒布された刊行物である特開昭56-36776号公報(昭和56年4月10日発行)(以下「引用例1」という。)には、図面とともに以下の記載(a)ないし(f)がある。
(a)「この発明は、画像処理の分野において、(中略)印影照合装置に関するものである。
従来この種の装置として第1図に示すものがあつた。図において、(1)は画像入力装置、(2)はこの画像入力装置の出力をA/D変換し、デイジタル量としてとり出すデイジタル化回路、(3)はデイジタル化回路(2)の出力及び演算の途中結果などを格納する画像メモリ(中略)、(5)は印影パターンの中心を求め、中心を一致させる中心演算部、(6)は登録パターンと入力パターンの方向を一致する様に修正する回転角演算部、(7)は一対のパターンがどれ位似かよつているかという照合度を求める照合度演算部(中略)である。」(2頁左上欄14行?右上欄12行)
(b)「まず画像入力装置(1)により被写体(印影)を入力する。」(2頁右上欄13行?14行)
(c)「次に、デイジタル化回路(2)で(中略)被写体をデイジタル的に読み取る為のサンプルパルスにより、アナログの電気信号をA/D変換し(中略)デイジタル画像として、画像メモリ(3)に順次書込む。中心演算部(5)では、対象物の情報を画像メモリ(3)より読み出しながら、印影の外形の中心を求める。」(2頁右上欄19行?左下欄7行)
(d)「対象物をその中心が、例えば画像の中心、(M/2,M/2)といつた定まつた位置に一致する様に、対象物を平行移動する。」(2頁右下欄6行?8行)
(e)「登録パターンはあらかじめ登録する際に、外形の中心を平行移動画像を作成する際に用いる位置に移動させてあり、かつ印影なら“1”,背影なら“0”と2値化されたパターンである。」(3頁左上欄3行?7行)
(f)「回転角演算部(6)は、対象パターンと指定された登録パターンの方向のずれを検出し、片方のパターンを外形の中心を中心として回転させ、方向のずれを修正する機能を有する。これは例えば、片方のパターン(例えば登録パターン)を少しずつ回転させた、回転パターンを発生させ、このパターンと他方のパターン(平行移動画像)を照合度演算部(7)に導き、その出力の照合度が最大となる回転角を双方のパターンの方向のずれとする。」(3頁左上欄7行?16行)

上記記載(b)及び(c)から、
(イ)「入力されたデイジタル画像内に含まれる対象物」との技術事項が読み取れる。

上記記載(c)において、「対象物」と「印影」とが同義であることは明らかであるから、上記記載(c)より、
(ロ)「対象物の外形の中心を求める過程」との技術事項が読み取れる。

上記記載(a)、(f)から明らかなように、「登録パターン」は照合度を求めるための基準となるパターンである。そこで、これを「基準パターン」と称すれば、上記記載(a)、(e)及び(f)から、
(ハ)「あらかじめ登録されている基準パターンとしての登録パターン」との技術事項が読み取れる。

上記記載(f)において、回転パターンを複数生成する際に、登録パターンは少しずつ回転されるのであるから、各回転パターンは登録パターンを少しずつ回転する度に一つずつ生成されることになる。つまり、複数の回転パターンは次々に生成されることになるから、上記記載(f)より、
(ニ)「登録パターンを回転中心の周りに少しずつ回転させた複数の回転パターンを次々に生成する過程」との技術事項が読み取れる。

上記記載(d)における対象物の「その中心」は、上記記載(c)における印影すなわち対象物の「外形の中心」を指すものと解され、上記記載(e)において、「平行移動画像を作成する際に用いる位置」は、上記記載(d)における「定まった位置」を指すものと解される。
また、上記記載(f)において、「対象パターン」が上記記載(c)及び(d)における「対象物」と同義であることは明らかであり、登録パターンの外形の中心が回転パターンの回転中心であることは、上記記載(f)から明らかである。
すると、上記記載(c)ないし(f)から、
(ホ)「回転パターンの回転中心を対象物の外形の中心に一致させた形で各回転パターンと対象物とを順に照合して照合度を評価する過程」との技術事項が読み取れる。

上記記載(f)において、「回転角」は「回転パターン」の「登録パターン」に対する回転角度のことであり、また、「対象パターン」は上記記載(c)及び(d)における「対象物」と同義であるから、上記記載(f)より、
(ヘ)「照合度が最大になる回転パターンの登録パターンに対する回転角度を対象物と登録パターンの方向のずれと認定する過程」との技術事項が読み取れる。

上記記載(f)において、対象パターンと登録パターンの方向のずれは、両パターンの外形の中心が同一の「定まつた位置」に一致した状態(上記(ホ)参照)での両パターンの相対的な回転の結果として観念されるものである。このとき、当該相対的な回転の中心が、同一の位置に一致した両パターンの外形の中心であることは明らかである。
してみると、対象パターンの外形の中心は対象パターンの回転の中心であるといえる(「対象パターン」が「対象物」と同義であることは上記(ホ)に関して述べたとおりである。)から、上記記載(c)ないし(f)より、
(ト)「対象物の回転中心となる外形の中心」との技術事項が読み取れる。

上記記載(a)及び(f)から、
(チ)「画像処理による回転角検出方法」との技術事項が読み取れる。

以上、技術事項(イ)ないし(チ)を総合勘案すると、引用例1には次の発明が記載されているものと認められる。
「入力されたデイジタル画像内に含まれる対象物の回転中心となる外形の中心を求める過程と、あらかじめ登録されている基準パターンとしての登録パターンを回転中心の周りに少しずつ回転させた複数の回転パターンを次々に生成する過程と、回転パターンの回転中心を対象物の外形の中心に一致させた形で各回転パターンと対象物とを順に照合して照合度を評価する過程と、当該過程における照合度が最大になる回転パターンの登録パターンに対する回転角度を対象物と登録パターンの方向のずれと認定する過程とを有する画像処理による回転角検出方法。」(以下、「引用発明1」という。)

(3)対比
本願補正発明と引用発明1とを対比する。
引用発明1における、
「入力されたデイジタル画像」、「対象物」、「外形の中心」、「基準パターン」、「登録パターン」、「回転パターン」、「照合度」及び「対象物と登録パターンの方向のずれ」は、それぞれ本願補正発明における、
「与えられた入力画像」、「対象図形」、「代表点」、「基準図形」、「基準テンプレート」、「照合用テンプレート」、「一致度」及び「対象図形の回転角度」にそれぞれ相当する。
また、引用発明1における「回転中心の周りに少しずつ回転させた」も、本願補正発明における「回転中心の周りに所定角度ずつ回転させた1周分の」も、共に、「回転中心の周りに回転させた」ものである点で共通している。

してみると、両者は、
(一致点)
「与えられた入力画像内に含まれる対象図形の回転中心となる代表点を求める過程と、あらかじめ登録されている基準図形としての基準テンプレートを回転中心の周りに回転させた複数の照合用テンプレートを次々に生成する過程と、照合用テンプレートの回転中心を対象図形の代表点に一致させた形で各照合用テンプレートと対象図形とを順に照合して一致度を評価する過程と、当該過程における一致度が最大になる照合用テンプレートの基準テンプレートに対する回転角度を対象図形の回転角度と認定する過程とを有することを特徴とする画像処理による検出方法。」で一致し、以下の点で相違する。
(相違点)
・相違点1:「複数の照合用テンプレート」の生成方法について
本願補正発明では、基準テンプレート(登録パターン)を回転中心の周りに所定角度ずつ回転させた1周分のものとして複数の照合用テンプレートを生成しているのに対し、引用発明1では、登録パターン(基準テンプレート)を回転中心の周りに少しずつ回転させて生成しているにとどまっている点。
・相違点2:検出対象について
本願補正発明が対象図形(対象物)の回転角から対象図形(対象物)の位置を検出しているのに対し、引用発明1は対象物(対象図形)の回転角を検出するにとどまっている点。

(4)当審の判断
上記相違点について検討する。
(4-1)相違点1について
画像データを回転中心の周りに回転させて複数の回転後の画像データを生成するにあたり、本願補正発明のように元となる画像データを回転中心の周りに所定角度ずつ回転させて1周分の回転後の画像データを生成するようにすることは、例えば特開昭56-157579号公報(2頁左上欄11行?14行の「印影の情報を微小角Δθ(通常は0.5?8°)ずつ回転させる」旨の記載や、同頁右上欄14行?18行の「照合印鑑の印影が一回転(360°)する」旨の記載を参照のこと。)に示されているように、一般に、画像処理の技術分野において周知な技術である。
してみると、引用発明1において回転後の画像データである照合用テンプレートの生成に関し、元となる画像データを回転中心の周りに所定角度ずつ回転させた1周分の回転後の画像データを生成するよう構成することは、当業者ならば容易に想到し得たことである。

(4-2)相違点2について
画像に基づき検出される対象物の回転角を、対象物の位置検出のために用いることは、例えば、原査定の拒絶の理由に引用された特開平7-220026号公報(段落【0037】の「最大相互相関値の最大値が得られたときのウィンドウ位置,アフィン変換パラメータに基づいて,対象物の大きさ,角度,位置が決定される」旨の記載を参照のこと。)や、同じく原査定の拒絶の理由に引用された特開平8-54222号公報(段落【0002】の「従来より画像処理を施すことによって、対象物の位置、向き、形状などを認識することが行なわれている」旨の記載を参照のこと。)の他、特開平5-177457号公報(段落【0001】の「対象物を扱うロボット等において、その対象物の位置や角度を検出し、これらの情報を制御情報として得ることができる部品の位置検出方法」なる記載を参照のこと。)にも記載されているように、一般に、画像処理の技術分野において周知な技術事項である。
よって、引用発明1の回転角検出方法を用いて対象物の位置を検出することは、当業者が容易に想到し得たことである。
本願補正発明の作用効果も、引用発明1及び周知技術から当業者が予測可能なものであって格別のものではない。

したがって、本願補正発明は、引用発明1及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができない。

(5)むすび
以上のとおり、本件補正は、平成18年改正前特許法第17条の2第5項で準用する同法第126条第4項の規定に違反するものであるから、同法第159条で読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

3.本願発明について
本件補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1ないし6に係る発明は、補正1及び補正2によって補正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1ないし6に記載された事項により特定されるとおりのものと認められるところ、その請求項1に係る発明は次のとおりである。
「あらかじめ登録されている基準図形としての基準テンプレートに各種の回転角度で回転を施した複数の照合用テンプレートを次々に生成する第1過程と、各照合用テンプレートと与えられた入力画像内に含まれる対象図形とを順に照合して一致度を評価する第2過程と、第2過程における一致度が最大になる照合用テンプレートの基準テンプレートに対する回転角度を対象図形の回転角度と認定する第3過程とを有することを特徴とする画像処理による位置検出方法。」(以下、「本願発明」という。)

(1)引用例記載の事項・発明
原査定の拒絶の理由に引用された、本願の出願前に頒布された刊行物である特開平7-220026号公報(平成7年8月18日発行)(以下「引用例2」という。)には、図面とともに次の記載(g)ないし(m)がある。

(g)「この発明は,対象物の画像データをあらかじめ登録されたモデル画像データと照合することにより,対象物の認識,対象物の位置の計測等を行う画像処理装置および方法に関する。」(段落【0001】)
(h)「画像処理装置は,カメラ1,A/D変換回路2,タイミング発生回路3,アフィン変換回路4,メモリ・インターフェイス5,画像メモリ6,サーチ計測回路7,メモリ・インターフェイス8,モデル画像メモリ9,中央処理装置(CPU)10,I/O制御回路11,および記憶装置12(たとえばROMやRAM)を含んでいる。タイミング発生回路3は,クロック信号,各種同期信号を発生して上述の各回路の動作の同期をとる。CPU10は画像処理装置に含まれる各回路の動作を統括する。」(段落【0017】)
(i)「カメラ1によって撮像された対象物を表わすアナログ映像信号は,A/D変換回路2に与えられる。A/D変換回路2は入力するアナログ映像信号をディジタル画像データに変換する。このディジタル画像データはアフィン変換回路4,メモリ・インターフェイス5を通って画像メモリ6に蓄えられる。」(段落【0018】)
(j)「アフィン変換回路4は,対象物を表わす画像データを拡大/縮小しまたは回転させるためのものであり,画像メモリ6から読出す画像データのアドレスを,与えられた変換パラメータにしたがって算出する。このアドレスにしたがって画像データが画像メモリ6から読出されることにより,読出される画像データは実質的にアフィン変換される。変換パラメータは,後述する変換後の座標原点(走査開始座標値)(x0 ,y0 ),拡大/縮小倍率k,および回転角度θの3つであり,CPU10から与えられる。」(段落【0019】)
(k)「モデル画像メモリ9には,標準的な対象物を表わす画像データ(モデル画像データ)があらかじめ格納されている。モデル画像データに代えて対象物の標準的な特徴パラメータを格納してもよい。いずれにしてもモデル画像メモリ9に格納される登録データは,サーチ計測(パターン・マッチング)処理の種類に応じて定めればよい。」(段落【0020】)
(l)「サーチ計測回路7は,画像メモリ6から読出されアフィン変換された画像データ上でウィンドウを走査し,順次切出されるウィンドウ内の部分画像データと,モデル画像メモリ9に格納されているモデル画像データとの類似性の程度を表す指標値を算出する。この指標値はたとえば,部分画像データとモデル画像データとの相互相関値である。この指標値に基づいて対象物の認識または対象物の位置の計測が行われる。」(段落【0021】)
(m)「このサーチ計測処理は,変換パラメータの値を変えることによって対象画像の大きさおよび傾きを変化させながら,所定複数回繰返される。計測精度を高くしたければこの繰返し回数を増やし,より小刻みに大きさおよび傾きを変化させればよい。算出された複数の指標値のうち最も高い類似度を示す指標値が検出され,その指標値を生じさせる変換パラメータおよびウィンドウの位置により,対象物の大きさ,傾きおよび位置が決定される。」(段落【0022】)

上記記載(g)から、
(チ)「画像処理による位置計測方法」との技術事項が読み取れる。

上記記載(i)から、
(リ)「撮像された画像データ」との技術事項が読み取れる。

上記記載(j)によれば、「画像データ」を「回転角度θ」で回転するアフィン変換により、回転後の画像データ(以下、これを「回転後画像データ」と称する。)が実質的に生成されていることが把握できる。
ここで、回転後画像データを生成することの技術的意義を考察する。
「画像データ」は「対象物」を表すデータ部分を当然に含んでいるので、以下、この部分を「対象物画像データ」と称することにする。
上記記載(l)及び(m)によれば、引用例2に記載のものは、回転後画像データが生成された後に回転後画像データの部分画像データとモデル画像データとの相互相関値を算出しているところ、これは、最も高い相互相関値が得られる部分画像データから対象物の傾き等を決定するための操作である。そして、当該最も高い相互相関値が得られる部分画像データとは、明らかに回転後の対象物画像データ(以下、これを「回転後対象物画像データ」と称する。)そのものである。つまり、この操作は、回転後画像データに含まれている回転後対象物画像データとモデル画像データとの相互相関値を求めようとする作業に外ならない。これを踏まえれば、上記記載(j)における回転後画像データの生成は、画像データ内に含まれる対象物画像データに回転を施すためのものといえる。
そうすると、上記記載(j)、(l)及び(m)から、
(ヌ)「画像データ内に含まれる対象物画像データに回転を施した回転後画像データ内に含まれる回転後対象物画像データを生成する」との技術事項が読み取れる。

上記記載(m)における(対象画像の)「傾き」が、上記記載(j)における「回転角度θ」に等しいことは技術的に明らかである。
そして、上記記載(m)によれば、「傾き」を変化させることは「サーチ計測処理」の一環としてなされるものであるところ、当該サーチ計測処理は、傾きを変化させながら、所定複数回繰返されるものである。
これは、回転後画像データ及び当該回転後画像データ内に含まれる回転後対象物画像データの生成が、回転角度を変化させながら所定複数回繰返されることを意味する。
よって、上記記載(j)及び(m)から、
(ル)「各種の回転角度で回転を施した複数の回転後画像データ内に含まれる回転後対象物画像データを次々に生成する」との技術事項が読み取れる。

上記記載(k),(l)から明らかなように、「モデル画像データ」は「相互相関値」を求めるための基準となる画像データである。そこで、これを「基準画像データ」と称すれば、上記記載(k)及び(l)から、
(ヲ)「あらかじめ格納されている基準画像データとしてのモデル画像データ」との技術事項が読み取れる。

上記(ヌ)に関して説示したように、上記記載(l)及び(m)での相互相関値の算出は、各回転後画像データに含まれる回転後対象物画像データとモデル画像データとの相互相関値を求めるための作業である。
してみれば、上記記載(l)及び(m)から、
(ワ)「各回転後画像データ内に含まれる回転後対象物画像データとモデル画像データとを順に比較して相互相関値を算出する」との技術事項が読み取れる。

上記記載(m)に関して、「対象物の大きさ,傾きおよび位置」における「対象物の傾き」の決定が、「対象画像の大きさおよび傾き」における「対象画像の傾き」の認定を伴うことは技術的に明らかである。
また、当該「対象画像の傾き」が、(回転前の)対象物画像データに対する回転後対象物画像データの傾きに一致すること、及び当該「傾き」が上記記載(j)における「回転角度」に等しいことは、いずれも技術的に明らかである。
すると、上記記載(j)及び(m)から、
(カ)「相互相関値が最大になる回転後対象物画像データの対象物画像データに対する回転角度を対象物画像データの傾きと認定する」との技術事項が読み取れる。

以上、技術事項(チ)ないし(カ)を総合勘案すると、引用例2には、
「撮像された画像データ内に含まれる対象物画像データに各種の回転角度で回転を施した複数の回転後画像データ内に含まれる回転後対象物画像データを次々に生成する第1過程と、各回転後対象物画像データとあらかじめ格納されている基準画像データとしてのモデル画像データとを順に比較して相互相関値を算出する第2過程と、第2過程における相互相関値が最大になる回転後対象物画像データの対象物画像データに対する回転角度を対象物画像データの傾きと認定する第3過程とを有することを特徴とする画像処理による位置計測方法。」についての発明(以下、「引用発明2」という。)が記載されていると認められる。

(2)対比
本願発明と引用発明2とを対比する。
引用発明2における、「撮像された画像データ」、「格納」、「基準画像データ」、「モデル画像データ」、「対象物画像データ」、「比較」、「相互相関値」、「算出」、「対象物画像データの傾き」及び「位置計測方法」は、
本願発明における、
「与えられた入力画像」、「登録」、「基準図形」、「基準テンプレート」、「対象図形」、「照合」、「一致度」、「評価」、「対象図形の回転角度」及び「位置検出方法」に、それぞれ相当する。
次に、引用発明2における「撮像された画像データ内に含まれる対象物画像データ」も、本願発明における「あらかじめ登録されている基準図形としての基準テンプレート」も、共に画像を表すデータであって、いずれも回転を施される対象であるから両者は回転対象画像データである点で共通する。
また、引用発明2における「回転後画像データ内に含まれる回転後対象物画像データ」も、本願発明における「照合用テンプレート」も、共に回転対象画像データに回転を施して生成したものであるから両者は回転後画像データである点で共通する。
さらに、引用発明2における「あらかじめ格納されている基準画像データとしてのモデル画像データ」も、本願発明における「与えられた入力画像内に含まれる対象図形」も、共に画像を表すデータであって、いずれも回転を施されないものであるから両者は非回転画像データである点で共通する。
してみると、両者は
(一致点)
「回転対象画像データに各種の回転角度で回転を施した複数の回転後画像データを次々に生成する第1過程と、各回転後画像データと非回転画像データとを順に照合して一致度を評価する第2過程と、第2過程における一致度が最大になる回転後画像データの回転対象画像データに対する回転角度を対象図形の回転角度と認定する第3過程とを有することを特徴とする画像処理による位置検出方法。」で一致し、以下の点で相違する。
(相違点)
照合に用いる回転対象画像データと非回転画像データの選択に関して
本願発明が、
・回転対象画像データとして「あらかじめ登録されている基準図形としての基準テンプレート(あらかじめ格納されている基準画像データとしてのモデル画像データ)」を、
・非回転画像データとして「与えられた入力画像内に含まれる対象図形(撮像された画像データ内に含まれる対象物画像データ)」を
それぞれ選択しているのに対し、
引用発明2は、逆に、
・回転対象画像データとして「撮像された画像データ内に含まれる対象物画像データ(与えられた入力画像内に含まれる対象図形)」を、
・非回転画像データとして「あらかじめ格納されている基準画像データとしてのモデル画像データ(あらかじめ登録されている基準図形としての基準テンプレート)」を
それぞれ選択している点。

(3)当審の判断
上記相違点について検討する。
照合に用いる回転後画像データを生成するための回転対象画像データとして、対象図形(対象物画像データ)と基準テンプレート(モデル画像データ)のいずれか一方を任意に選択し、他方を非回転画像データとし得ることは、例えば、特開昭56-36776号公報(3頁左上欄11行?16行の「片方のパターン(例えば登録パターン)を少しずつ回転させた、回転パターンを発生させる」旨の記載を参照のこと。)や、特開昭61-58085号公報(3頁左上欄11行?13行の「(基準印影、照合印影のうち)一方の印影を順次回転して類似度が最大となる点を求める」旨の記載を参照のこと。)に示されているように、一般に、画像処理の技術分野において周知な技術事項である。
してみれば、引用発明2の方法において、モデル画像データ(基準テンプレート)を回転対象画像データとし、逆に対象物画像データ(対象図形)を非回転画像データとすることは、当業者が容易になし得たことである。
そして、本願発明の作用効果も、引用発明2及び周知技術から当業者が予測可能なものであって格別のものではない。

(4)むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明2及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、他の請求項に係る発明について審理するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2008-08-28 
結審通知日 2008-09-02 
審決日 2008-09-16 
出願番号 特願平9-6969
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G01B)
P 1 8・ 575- Z (G01B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 ▲うし▼田 真悟谷口 智利  
特許庁審判長 飯野 茂
特許庁審判官 下中 義之
堀部 修平
発明の名称 画像処理による位置検出方法  
代理人 森 厚夫  
代理人 西川 惠清  

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ