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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G09G |
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管理番号 | 1187182 |
審判番号 | 不服2005-8986 |
総通号数 | 108 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2008-12-26 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2005-05-12 |
確定日 | 2008-10-29 |
事件の表示 | 平成10年特許願第190838号「画像表示装置」拒絶査定不服審判事件〔平成12年 1月21日出願公開、特開2000- 20014〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、平成10年7月6日の出願であって、平成17年3月30日付け(発送日:同年4月12日)で拒絶査定がなされ、これに対して、同年5月12日に拒絶査定不服審判請求がなされたものであるところ、当審において、平成20年1月10日付け(発送日:同年1月22日)で拒絶の理由(以下「当審拒絶理由」という。)を通知し、これに対して平成20年4月14日付けで意見書が提出されるとともに、同日付けで手続補正がなされたものである。 第2 本願発明 よって、本願の請求項1及び2に係る発明は、平成16年10月1日付け、平成17年6月13日付け及び平成20年4月14日付けの手続補正書により補正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1及び2に記載された事項により特定されるのとおりのものと認められるところ、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は次のとおりである。 「【請求項1】 所定の水平画素数と垂直画素数が各々設定された表示パネルにおいて、入力される映像信号の水平画素数よりも前記表示パネルの水平画素数が多い場合に、水平方向に映像信号の補完処理を行う際、前記映像信号の一水平画素ラインをなす複数個の原画像データの各々の位置と相関の近いデータ割り当て位置に前記原画像データの各々をそのまま収容するとともに、残りのデータ割り当て位置には該割り当て位置に隣接する割り当て位置に収容される2つの原画像データから得られる演算結果を収容する補間データ演算生成回路を具備し、 前記補間データ演算生成回路において、入力される映像信号の解像度の仕様に対応した前記補完データを演算する式を用いて、前記残りのデータ割り当て位置に前記2つの原画像データのうちの一方のデータに係数を乗じたものと他方のデータに係数を乗じたものとを加算した結果を収容し、補間処理前の各原画像データに対する補間処理後の対応する各原画像データの拡大倍率の最大値と最小値の差が前記最大値に対して25%以下となるよう、前記式において前記各係数を設定するものであり、 前記原画像データがVGAであり、前記表示パネルの解像度がXGAである場合、 8個の割り当て位置に対して、前記原画像データを、前記解像度の仕様に対応して5個の画素A,B,C,D,Eからなる画像データ単位に分割してブロックとし、画素A及びB間と、画素C及びD間と画素D及びE間に収容する補完データX,W,Zを隣接する画素に前記係数を乗じて以下の式により求め、 X=A×0.5+B×0.5 Y=C×0.67+D×0.325 Z=D×0.325+E×0.625 あるいは、 X=A×0.5+B×0.5 Y=C×0.5+D×0.5 Z=D×0.5+E×0.5 前記原画像データがVGAであり、前記表示パネルの解像度がUXGAである場合、 12個の割り当て位置に対して、前記原画像データを、前記解像度の仕様に対応して5個の画素A,B,C,D,Eからなる画像データ単位に分割してブロックとし、画素A及びB間と、画素D及びE間との2箇所に収容する補完データX,Yを隣接する画素に前記係数を乗じて以下の式により求め、 X=A×0.5+B×0.5 Y=C×0.5+D×0.5 前記表示パネルに表示することを特徴とする画像表示装置。」 第3 引用例記載の発明 1 引用例1 当審拒絶理由で引用した本願の出願前に頒布された刊行物である特開平10-20847号公報(以下「引用例1」という。公開日:平成10年1月23日)には、図面とともに、次の事項が記載されている。 (1)「【特許請求の範囲】【請求項1】 特定位置の画素に関しては入力画像の構成画素の画素値とし、他の位置の画素に関しては入力画像の構成画素の画素値に基づいて演算した画素値とした出力画像を生成する画像処理装置であって、入力画像の構成画素の画素値に対して2のべき乗の数の和で表現される変換係数を乗じて、出力画像のうち前記他の位置の画素の画素値を決定する演算手段と、入力画像の構成画素と前記演算手段により画素値を決定した前記他の位置の画素とを合成して出力画像を生成する出力画像生成手段と、を備えることを特徴とする画像処理装置。」 (2)【0003】情報処理装置は、CRTに対してビデオ信号を供給し、画像を表示させる。このビデオ信号としては、アナログの画像信号と、垂直及び水平同期信号またはこれらの複合信号(コンポジット信号)との組合わせが使用される。ビデオ信号の組合わせは多伎に及び、特にパーソナルコンピュータの場合には、複数の解像度に対応可能なものがある。例えば、IBM社のPC/AT互換機には、320×200、640×400、720×400、640×350、640×480、800×600、1024×768、1280×1024の解像度に対応可能な機種がある。」 (3)「【0006】従って、低解像度のビデオ信号に基づいて高解像度のドットマトリクスディスプレイに表示する場合には、補間処理により不足した画素を補う必要がある。この補間処理に関する一般的な方法は、以下の3つに大別することができる。・・・ 【0009】第3の方法は、内挿位置にある画素データ以外に関してはオリジナルデータ(入力データ)を保存し、内挿位置にある画素データのみを計算する方法である。・・・ 【0012】第3の方法としては、内挿データのみを部分的に線形補間する方法(以下、部分線形補間法という)等がある。 【0013】上記の方法の中で、第3の方法である部分線形補間法は、比較的小規模なハードウエアで実現することができ、かつ滑らかな補間画質が得られる方法である。」 (4)「【0029】<第1の実施の形態>図1は、本発明の第1の実施の形態に係る表示制御装置の構成を示すブロック図である。表示制御装置100は、同期信号分離部101、システム制御部102、クロック発生部103、A/D変換部104、補間処理部105、駆動制御部107を備える。 【0030】同期信号分離部101は、RGB信号等のアナログの画像信号と、コンポジットシンク、セパレートシンクまたはシンクオングリーン等の同期信号とを含むビデオ信号を情報処理装置より受け取り、画像信号と同期信号とを分離する。さらに、同期信号分離部101は、分離した同期信号より、水平同期信号及び垂直同期信号を生成する。こららの水平、垂直同期信号は、システム制御部102及びクロック発生部103に供給される。一方、分離された画像信号(アナログ多値画像信号)は、A/D変換部104に供給される。 【0031】クロック発生部103は、水平、垂直同期信号、並びにシステム制御部102より通知される情報(垂直同期信号の極性を示す情報)に基づいて、A/D変換のためのサンプリングクロックを生成し、A/D変換部104に供給する。A/D変換部104は、このサンプリングクロックに従ってアナログの画像信号(多値)をA/D変換し、補間処理部107に供給する。これにより、補間処理部105は、表示装置108の仕様(表示モード)に適合した出力画像を生成することができる。」 (5)「【0045】次に、図2?図4を参照しながら補間処理部105における補間処理について説明する。・・・ 【0046】以下では、本実施の形態の一例として、4段階の鮮鋭度を選択可能な補間処理について述べる。図3の(a)は入力画像の一例を示す図、図3の(b)は、4段階の鮮鋭度の補間画像を示す図である。図3の(b)において、鮮鋭度は、301、302、303、304の順に高くなり、滑らかさは、304、303、302、301の順に増す。 【0047】本実施の形態における補間処理は、入力データを構成する画素データを補間後データの一部の画素データとして用い、入力データに基づいて内挿データ(内挿位置の画素データ)を演算し、この内挿データを入力データの間に挿入するものである。 【0048】図2は、本実施の形態の補間処理により、入力データの8/5倍の画素数を有する補間後データを生成する方法を示す図である。同図の(a)は、入力データを構成する画素データ(以下、入力画素データともいう)と補間後データを構成する画素データ(以下、補間後画素データともいう)の位置関係を示しており、a1,a2,a3・・・は、夫々入力画素データであり、b1,b2,b3・・・は、夫々補間後画素データである。例えば、補間後画素データb2は、入力画素データa1とa2の距離を5:3に分割した位置に配置される。 【0049】本実施の形態においては、補間後画素データのうち、入力画素データとの距離が近い位置に配置される画素データに関しては、入力画素データの値をそのまま補間後画素データとする。 【0050】図2に示す例においては、入力画素データa1,a2,a3,a4,a5の値は、夫々補間後画素データb1,b3,b4,b6,b7の値とされる。そして、内挿データである補間後画素データb2,b5,b8の値は、夫々入力画素データa1とa2,a3とa4,a5とa6(不図示)の値に基づいて、線形演算により算出される。 【0051】本実施の形態に係る補間処理においては、前述のように、1組の補間式の補間係数を変更することにより鮮鋭度を変更することができる。式(1)は、入力データの画素数を8/5倍する補間処理に使用する補間式の一例である。なお、A,B,C,Dは補間係数、nは0以上の整数である。 【0052】 b8n+1 = a5n+1 b8n+2 = A×a5n+1 + B×a5n+2 b8n+3 = a5n+2 b8n+4 = a5n+3 b8n+5 = C×a5n+3 + D×a5n+4 b8n+6 = a5n+4 b8n+7 = a5n+5 b8n+8 = B×a5n+5 + A×a5n+6 ・・・式(1) 式(1)において、補間係数A,Dを大きくすると滑らかな補間画像が選られ、補間係数B,Cを大きくするとシャープな補間画像が得られる。例えば、補間係数Aを3/8、補間係数Bを5/8、補間係数Cを1/2、補間係数Dを1/2とすると、滑らかな補間画像が得られ、補間係数A,Dを共に0とし、補間係数B,Cを共に1にすると、シャープな補間画像が得られる。 【0053】式(2)は、式(1)において鮮鋭度を4段階に切替える場合の補間変数A,B,C,Dの設定例を示す。 【0054】 A=3/8,B=5/8,C=1/2,D=1/2 (第1段階) A=2/8,B=6/8,C=1/2,D=1/2 (第2段階) A=1/8,B=7/8,C=1,D=0(第3段階) A=0,B=1,C=1,D=0 (第4段階)・・・(2) 図3の(b)において、301?304は、夫々式(2)の第1段階?第4段階の補間係数を設定し、式(1)に基づいて生成した補間画像の一例である。」 (6)図面の図1には、表示制御装置100及び表示部108からなる表示装置が描かれている。 上記摘記事項(1)ないし(6)からみて、引用例1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。 「表示制御装置100及び表示部108からなる表示装置であって、 表示制御装置100は、表示部108の仕様(表示モード)に適合した出力画像を生成する補間処理部105を具備し、 補間処理部105における補間処理は、補間後画素データのうち、入力画素データとの距離が近い位置に配置された画素データに関しては、入力画素データの値をそのまま補間後画素データとし、入力画素データに基づいて内挿データを演算し、この内挿データを入力データの間に挿入するものであり、 入力データの画素数を8/5倍する補間処理の場合には、 b8n+1 = a5n+1 b8n+2 = A×a5n+1 + B×a5n+2 b8n+3 = a5n+2 b8n+4 = a5n+3 b8n+5 = C×a5n+3 + D×a5n+4 b8n+6 = a5n+4 b8n+7 = a5n+5 b8n+8 = B×a5n+5 + A×a5n+6 ・・・式(1) の補間式により補間後画素データを求めるものであり、補間変数A,B,C,Dを A=3/8,B=5/8,C=1/2,D=1/2 (第1段階) に設定した表示装置。」 第4 対比 本願発明と引用発明とを対比する。 1 本願発明の「所定の水平画素数と垂直画素数が各々設定された表示パネル」における、「前記原画像データがVGAであり、前記表示パネルの解像度がXGAである場合」及び「前記原画像データがVGAであり、前記表示パネルの解像度がUXGAである場合」との記載の意味するところを検討するに、発明の詳細な説明には、「例えばパーソナルコンピュータ用等の画像表示装置においては、表示パネルの画素数に規格が定められており、VGA規格、SVGA規格、XGA規格、SXGA規格、UXGA規格等が代表的なものとして広く知られている。」と記載され、また、本願発明の各実施形態について、「表示パネル6の解像度がXGA規格(水平画素数:1024)」(段落【0017】、第1の実施形態)、「XGA用の表示パネル」(段落【0024】、第1の実施形態)、「XGA用表示パネル」(段落【0026】、第2の実施形態)、「UXGA用表示パネル」(段落【0031】、第3の実施形態)、「XGA用表示パネル」(段落【0035】、第4の実施形態)及び「XGA用表示パネル」(段落【0041】、第5の実施形態)と、それぞれ独立した規格の表示パネルが記載されていることからすれば、本願発明の上記記載は、本願発明の画像表示装置が上記2つの場合の双方に対応し、両者を切り替えることができるように構成されたものではなく、2つの場合が択一的に記載されたものであり、本願発明は、上記2つの場合のうち、いずれか一方の場合のみを具備するものを含むものであると解するのが相当である。 2 引用発明の特定の仕様(表示モード)を有する「表示部108」は、本願発明の「所定の水平画素数と垂直画素数が各々設定された表示パネル」に相当する。 3 引用発明の「補間処理部105」は、本願発明の「補間データ演算生成回路」に相当し、引用発明の「入力データの画素数を8/5倍する補間処理の場合」は、本願発明の「入力される映像信号の水平画素数よりも前記表示パネルの水平画素数が多い場合」に相当し、引用発明の「補間後画素データのうち、入力画素データとの距離が近い位置に配置された画素データに関しては、入力画素データの値をそのまま補間後画素データとし」は、本願発明の「水平方向に映像信号の補完処理を行う際、前記映像信号の一水平画素ラインをなす複数個の原画像データの各々の位置と相関の近いデータ割り当て位置に前記原画像データの各々をそのまま収容する」に相当し、引用発明において、内挿データを式「b8n+2=A×a5n+1+B×a5n+2」,「b8n+5=C×a5n+3+D×a5n+4」及び「b8n+8=B×a5n+5+A×a5n+6」により演算して挿入することは、本願発明の「残りのデータ割り当て位置には該割り当て位置に隣接する割り当て位置に収容される2つの原画像データから得られる演算結果を収容する」に相当する。 4 引用発明において、補間変数を(第1段階)に設定したものについて、補間処理前の各原画像データに対する補間処理後の対応する各原画像データの拡大倍率を計算すると、最大値は14/8(a5n+1,n≧1に対しての拡大倍率)、最小値は11/8(a5n+1,n=0に対しての拡大倍率)となることから、上記(第1段階)に設定したものについての拡大倍率の最大値と最小値の差は3/8となり、最大値14/8の25%以下となる。したがって、引用発明の「補間変数A,B,C,DをA=3/8,B=5/8,C=1/2,D=1/2(第1段階)に設定した」ものは、本願発明の「補間処理前の各原画像データに対する補間処理後の対応する各原画像データの拡大倍率の最大値と最小値の差が前記最大値に対して25%以下となるよう、前記式において前記各係数を設定するもの」に相当する。 5 引用発明の「入力データの画素数を8/5倍する補間処理の場合」と、本願発明の「前記原画像データがVGAであり、前記表示パネルの解像度がXGAである場合」とは、「原画像データに対する表示パネルの解像度が8/5倍である場合」である点において共通する。 6 請求項1に記載の「Y=C×0.67+D×0.325」及び「Z=D×0.325+E×0.625」は、発明の詳細な説明の記載から見て、それぞれ、「Y=C×0.675+D×0.325」及び「Z=D×0.325+E×0.675」の明らかな誤記であると認められる。 7 上記6の誤記を訂正して対比すると、引用発明において「b8n+1=a5n+1,b8n+2=A×a5n+1+B×a5n+2,b8n+3=a5n+2,b8n+4=a5n+3,b8n+5=C×a5n+3+D×a5n+4,b8n+6=a5n+4,b8n+7=a5n+5,b8n+8=B×a5n+5+A×a5n+6の補間式により補間後画素データを求め、補間変数A,B,C,DをA=3/8,B=5/8,C=1/2,D=1/2(第1段階)に設定」することと、本願発明の「8個の割り当て位置に対して、前記原画像データを、前記解像度の仕様に対応して5個の画素A,B,C,D,Eからなる画像データ単位に分割してブロックとし、画素A及びB間と、画素C及びD間と画素D及びE間に収容する補完データX,W,Zを隣接する画素に前記係数を乗じて以下の式により求め、X=A×0.5+B×0.5,Y=C×0.675+D×0.325, Z=D×0.325+E×0.675」ることとは、8個の割り当て位置に対して、前記原画像データを、前記解像度の仕様に対応して5個の画素A,B,C,D,Eからなる画像データ単位に分割してブロックとし、3つの画素間に収容する補完データX,W,Zを隣接する画素に前記係数を乗じた式により求め」る点において共通する。 そうすると、本願発明と引用発明とは、以下の一致点で一致し、以下の相違点で相違する。 (一致点) 「所定の水平画素数と垂直画素数が各々設定された表示パネルにおいて、入力される映像信号の水平画素数よりも前記表示パネルの水平画素数が多い場合に、水平方向に映像信号の補完処理を行う際、前記映像信号の一水平画素ラインをなす複数個の原画像データの各々の位置と相関の近いデータ割り当て位置に前記原画像データの各々をそのまま収容するとともに、残りのデータ割り当て位置には該割り当て位置に隣接する割り当て位置に収容される2つの原画像データから得られる演算結果を収容する補間データ演算生成回路を具備し、 前記補間データ演算生成回路において、入力される映像信号の解像度の仕様に対応した前記補完データを演算する式を用いて、前記残りのデータ割り当て位置に前記2つの原画像データのうちの一方のデータに係数を乗じたものと他方のデータに係数を乗じたものとを加算した結果を収容し、補間処理前の各原画像データに対する補間処理後の対応する各原画像データの拡大倍率の最大値と最小値の差が前記最大値に対して25%以下となるよう、前記式において前記各係数を設定するものであり、 原画像データに対する表示パネルの解像度が8/5倍である場合、 8個の割り当て位置に対して、前記原画像データを、前記解像度の仕様に対応して5個の画素A,B,C,D,Eからなる画像データ単位に分割してブロックとし、3つの画素間に収容する補完データX,W,Zを隣接する画素に前記係数を乗じた式により求め、 前記表示パネルに表示することを特徴とする画像表示装置。」 (相違点1) 原画像データに対する表示パネルの解像度が8/5倍である場合に関して、本願発明が「前記原画像データがVGAであり、前記表示パネルの解像度がXGAである場合」であるのに対し、引用発明では、単に「入力データの画素数を8/5倍する」と規定しているのみであって、入力画素データ及び補間後画素データのそれぞの解像度について具体的に記載されていない点。 (相違点2) 本願発明が、補間データX,Y,Zを画素A及びB間と、画素C及びD間と画素D及びE間に収容し、補完データX,W,Zを、 X=A×0.5+B×0.5 Y=C×0.675+D×0.325 Z=D×0.325+E×0.675 の式により求めるのに対し、引用発明では、内挿データの挿入位置が異なるとともに、式の係数も異なる点。 第5 当審の判断 そこで、上記相違点について検討する。 (1)相違点1について VGAもXGAも、例示するまでもなく周知の規格であって、例えば、特開平9-247574号公報及び特開平9-325740号公報に記載されるように、VGAの入力信号をXGAの液晶パネルに表示することも従来より普通に行われており、XGAの水平画素数がVGAの水平画素数の8/5倍であることも技術常識である。 そうすると、引用発明において、8/5倍の画素数を有する補間後画素データを生成することは、規格間の画素数の対応関係に基づけば、当業者であれば、VGAをXGAに変換する対応関係に適用できることが容易に想起できるというべきであり、引用例に具体的な解像度の記載がないとしても、引用発明をVGAからXGAへの解像度の変更に適用して、相違点1に係る本願発明の構成とすることは当業者が容易になし得たものである。 (2)相違点2について 本願発明と引用発明とは、「映像信号の一水平画素ラインをなす複数個の原画像データの各々の位置と相関の近いデータ割り当て位置に前記原画像データの各々をそのまま収容するとともに、残りのデータ割り当て位置には該割り当て位置に隣接する割り当て位置に収容される2つの原画像データから得られる演算結果を収容する」点において、技術思想が共通する。 上記技術思想に基づき何れの位置に内挿データを挿入するかについては、当業者が適宜選択できる事項であり(内挿データの挿入位置を適宜変更できる点について、特開平8-286658号公報及び特開平7-114359号公報も参照のこと。)、また、引用発明の入力画素データは、一水平画素ラインがa5n+1ないしa5n+5を1つのブロックとする画素データの繰り返しとして把握されるところ、a5n+3を各ブロックの先頭のデータとしたときには、引用発明における内挿データの挿入位置と本願発明の補間データの収容位置は同じものとなるのであるから、引用発明において、入力画素データの5個の画素と補間後画素データ8個の画素を対応付けるにあたり、各ブロックの区切り位置を適宜変更して補間式を設定することにより、内挿データの挿入位置を異なるものとすることに格別の困難性はない。また、引用発明における補間変数A,B,C,Dの具体的数値を適宜調整することも、当業者が容易になし得ることであり、引用発明における補間係数A,Bを、A=3/8及びB=5/8から、A=0.325及びB=0.675に変更して、相違点2に係る本願発明の構成とすることにも格別の困難性はない。 なお、前記原画像データがVGAであり、前記表示パネルの解像度がUXGAである場合についても付言すれば、UXGAも当業者にとって周知の規格であり、この場合は画素数を12/5倍する補間処理となるところ、画素数を2倍とするときには、単純に2つずつ入力画素データを割り当てることは当業者が普通に行うことであるから、それより大きい倍率である12/5倍とするときには、画素数を2倍としたものを基準とし、内挿データを適宜設定することにより、本願発明の前記原画像データがVGAであり、前記表示パネルの解像度がUXGAである場合のごとく構成することにも格別の困難性はない。 そして、本願発明の奏する効果も、引用例1の記載事項に基づいて当業者が予測可能な範囲内のものである。 したがって、本願発明は、引用発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 第6 むすび 以上のとおりであるから、本願の請求項1に係る発明は特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。そして、請求項1に係る発明が特許を受けることができないものであるから、その余の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は、当審で通知した上記拒絶の理由によって拒絶をすべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2008-05-23 |
結審通知日 | 2008-05-27 |
審決日 | 2008-06-16 |
出願番号 | 特願平10-190838 |
審決分類 |
P
1
8・
121-
WZ
(G09G)
|
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 橋本 直明 |
特許庁審判長 |
杉野 裕幸 |
特許庁審判官 |
堀部 修平 飯野 茂 |
発明の名称 | 画像表示装置 |
代理人 | 志賀 正武 |
代理人 | 志賀 正武 |