• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06Q
管理番号 1187205
審判番号 不服2004-26411  
総通号数 108 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2008-12-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2004-12-27 
確定日 2008-11-07 
事件の表示 特願2000-257549「スケジュール管理システム」拒絶査定不服審判事件〔平成14年 3月12日出願公開、特開2002- 73924〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成12年8月28日の出願であって、平成16年11月16日付で拒絶査定がなされ、これに対し、同年12月27日に拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに、平成17年1月25日付で手続補正がなされ、平成20年3月31日付で審尋がなされたものである。なお、前記審尋に対して回答がなされていない。

2.平成17年1月25日付の手続補正について
平成17年1月25日付の手続補正(以下「本件補正」という。)により、補正前の請求項1-11は、
「 【請求項1】
スケジュール被管理者が端末から情報通信ネットワークを介してスケジュールデータ記憶手段にアクセスしてスケジュールを管理することが可能なスケジュール管理システムにおいて、
前記スケジュールデータ記憶手段を備えたスケジュールサーバと、
スケジュールが選択的に表現された選択データを所定形式で記憶する選択データ記憶手段と、
問い合わせ者からのスケジュールが選択的に表現された内容の問い合わせの電子メールを受信したことに応答して、前記スケジュールが選択的に表現された内容を前記選択データに変換して前記選択データ記憶手段に記憶させるとともに、前記変換されて記憶された選択データにアクセス可能な通知の電子メールを生成する生成手段とを備え、
前記通知の電子メールを前記スケジュール被管理者の端末で受信した後、前記情報通信ネットワークを介して前記選択データ記憶手段に記憶された前記選択データにアクセスしていずれかのデータを選択する前記スケジュール被管理者の端末の操作入力に応答して、前記スケジュールサーバの前記スケジュールデータ記憶手段に前記選択されたデータをスケジュールデータとして記憶させることを特徴とする、スケジュール管理システム。
【請求項2】
前記選択データには、前記スケジュールデータとして記憶されるべき選択データと前記スケジュールデータとして記憶されるべきでない選択データとが含まれ、
前記スケジュールサーバは、前記スケジュールデータとして記憶されるべき選択データと前記スケジュールデータとして記憶されるべきでない選択データとを判定する判定手段を備え、
前記スケジュールサーバの前記スケジュールデータ記憶手段に、前記判定手段の判定結果に応じて前記スケジュールデータとして記憶されるべき選択データのみ記憶させることを特徴とする、請求項1記載のスケジュール管理システム。
【請求項3】
前記所定形式はHTML形式である、請求項1又は2に記載のスケジュール管理システム。
【請求項4】
前記選択データ記憶手段は、前記情報通信ネットワークを介して前記選択データにアクセスしていずれかのデータを選択する前記スケジュール被管理者の端末の操作入力に応答して、前記選択データ記憶手段に記憶された選択データを消去することを特徴とする、請求項1から3のいずれかに記載のスケジュール管理システム。
【請求項5】
スケジュール被管理者が端末から情報通信ネットワークを介してスケジュールデータ記憶手段にアクセスしてスケジュールを管理することが可能なスケジュール管理システムにおいて、
前記スケジュールデータ記憶手段を備えたスケジュールサーバと、
スケジュールが選択的に表現された選択データを所定形式で記憶する選択データ記憶手段と、
問い合わせ者の端末とを備え、
前記問い合わせ者の端末は、当該問い合わせ者の端末の操作入力に応じて、前記選択データ記憶手段に記憶された選択データにアクセス可能な通知の電子メールを生成する生成手段を備えており、
前記通知の電子メールを前記スケジュール被管理者の端末で受信した後、前記情報通信ネットワークを介して前記選択データ記憶手段に記憶された前記選択データにアクセスしていずれかのデータを選択する前記スケジュール被管理者の端末の操作入力に応答して、前記スケジュールサーバの前記スケジュールデータ記憶手段に前記選択されたデータをスケジュールデータとして記憶させることを特徴とする、スケジュール管理システム。
【請求項6】
前記選択データにアクセスしていずれかのデータを選択する前記スケジュール被管理者端末の操作入力に応答して、前記問い合わせ者宛ての返事の電子メールを生成し、かつ送信する返信メール生成手段をさらに備えることを特徴する、請求項5記載のスケジュール管理システム。
【請求項7】
前記スケジュール被管理者の端末は、携帯電話又はPHSである、請求項1から6のいずれかに記載のスケジュール管理システム。
【請求項8】
スケジュール被管理者が端末から情報通信ネットワークを介してスケジュールサーバにアクセスしてスケジュールを管理することが可能なスケジュール管理方法において、
前記スケジュールサーバはスケジュールデータ記憶手段を備え、
一方、サーバは、HTML選択データ記憶手段と、通知メール生成手段と、返信メール生成手段とを備え、
問い合わせ者の端末からスケジュールが選択的に表現された内容の問い合わせの電子メールをサーバが受信したことに応答して、前記スケジュールが選択的に表現された内容をHTML形式の選択データに変換して前記HTML選択データ記憶手段に記憶させるとともに、前記変換された選択データにアクセス可能な通知の電子メールを前記通知メール生成手段に生成させ、
前記生成された電子メールを前記スケジュール被管理者の端末で受信した後、前記記憶された選択データにアクセスしていずれかのデータを選択する前記スケジュール被管理者の端末の操作入力に応答して、前記返信メール生成手段に前記問い合わせ者宛ての返事の電子メールを生成させかつ送信させ、及び前記スケジュールサーバの前記スケジュールデータ記憶手段に前記選択されたデータをスケジュールデータとして記憶させることを特徴とする、スケジュール管理方法。
【請求項9】
スケジュール被管理者が端末から情報通信ネットワークを介してスケジュールサーバにアクセスしてスケジュールを管理することが可能なスケジュール管理方法において、
前記スケジュールサーバはスケジュールデータ記憶手段を備え、
一方、サーバは、HTML選択データ記憶手段と、返信メール生成手段とを備え、
スケジュールが選択的に表現された内容がHTML形式の選択データとして前記HTML選択データ記憶手段に記憶されており、
問い合わせ者の端末の操作入力に応じて作成され、かつ前記問い合わせ者端末から前記スケジュール被管理者宛に送信される、前記HTML選択データ記憶手段に記憶された選択データにアクセス可能な通知の電子メールを、前記スケジュール被管理者の端末が受信し、
前記送信された通知の電子メールを前記スケジュール被管理者の端末で受信した後、前記HTML選択データ記憶手段に記憶された選択データにアクセスしていずれかのデータを選択する前記スケジュール被管理者の端末の操作入力に応答して、前記サーバの前記返信メール生成手段に前記問い合わせ者宛ての返事の電子メールを生成させかつ送信させ、及び前記スケジュールサーバの前記スケジュールデータ記憶手段に前記選択されたデータをスケジュールデータとして記憶させることを特徴とする、スケジュール管理方法。」
と補正された。
そして、本件補正は、補正前及び補正後の特許請求の範囲の記載からみて、以下補正事項を含むものと認められる。
(a)補正前の請求項1-4及び8を削除する補正事項。
(b)補正前の請求項1を引用した補正前の請求項5を独立形式に記載し、補正後の請求項1とする補正事項。
(c)補正前の請求項2を引用した請求項5を補正後の請求項2とする補正事項。
(d)補正前の請求項3を引用した請求項5を補正後の請求項3とする補正事項。
(e)補正前の請求項4を引用した請求項5を補正後の請求項4とする補正事項。
(f)補正前の請求項1を引用した請求項6を補正後の請求項5とする補正事項。
(g)補正前の請求項7,9,10,11を補正後の請求項6-9とする補正事項。
以上の補正事項からみて、本件補正は、請求項1-4及び8を削除し、その削除に伴い、補正前の請求項5-7及び9-11の記載の形式を変更したものにすぎず、補正前の請求項5-7及び9-11に記載された発明を実質的に変更するものでないから、特許法第17条の2第4項第1号に掲げられた「請求項の削除」を目的とするものに該当する。
したがって、本件補正は、特許法第17条の2第4項に規定する要件を満たしており、適法になされたものである。

3.本願発明
平成17年1月25日付の手続補正は適法になされたものであるので、本願の請求項5に係る発明(以下「本願発明」という。)は、同日付の手続補正書の特許請求の範囲の上記請求項5に記載された事項により特定されるものである。

4.引用文献
原査定の拒絶の理由Bに引用された特開2000ー3316号公報(以下「引用例1」という。)には、図面とともに、以下の事項が記載されている。
(a)「【0009】
【発明の実施の形態】以下図面により本発明の実施の形態について説明する。
(第1実施形態)図1は本発明のメール装置の実施形態に係わるパーソナルコンピュータの電子回路の構成を示すブロック図である。
【0010】このパーソナルコンピュータは、コンピュータ等からなる制御部(CPU)11を備えている。制御部(CPU)11は、図示しないキーボードやマウスを有する入力装置12から入力される各種の入力データに応じて、記憶装置13内のROMに予め記憶されているシステムプログラムを起動させ、あるいは外部記録媒体14に予め記憶されている計算機制御用プログラムや通信装置15を介して受信される計算機制御用プログラムを記憶装置13内のRAMに読み込んで起動させ、RAM16をワークメモリとして回路各部の動作制御を行なうものである。
【0011】この制御部(CPU)11には、前記入力装置12、記憶装置13、通信装置15、RAM16の他、表示装置17が接続される。入力装置12のキーボードには、例えば汎用されるパーソナルコンピュータと同種のキーボードが使用されるもので、テンキーや文字キー,実行キー,カーソルキー、各種ファンクションキー等が備えられる。
【0012】記憶装置13は、半導体メモリからなるROMを備えると共に、フロッピディスクドライバ等の外部記録媒体14の読み込み装置、ハードディスク装置等のRAMを備えている。
【0013】例えば前記記憶装置13のROMには、本パーソナルコンピュータの電子回路における全体の処理を司るシステムプログラムデータが予め記憶されると共に、受信メールの開封に伴ない返信メールの作成,送信を行なうための図3に示すメール開封処理等、各種の制御処理を司るサブプログラムデータである制御プログラムデータも予め記憶される。
【0014】また、前記記憶装置13のROMには、前記メール開封処理に伴なう返信メールの自動作成に際して使用される定型文のメッセージデータが予め記憶される自動返信メッセージメモリ13aが備えられる。
【0015】図2は前記パーソナルコンピュータのROM内に備えられる自動返信メッセージメモリ13aにおけるメッセージデータの記憶状態を示す図である。この自動返信メッセージメモリ13aには、メール開封処理の起動に伴なうメールウインドウW(図5参照)上にて示される自動返信選択ボタン「はい(Yes)」「いいえ(No)」のそれぞれの操作に対応付けて使用される返信用書き込みメッセージ「中村です。OKです。」「中村です。残念ながらNOです。」が予め記憶される。
【0016】この返信用書き込みメッセージは、受信メールを選択しその内容を表示させた状態で、これに対する自動返信選択ボタン「はい(Yes) 」を選択操作すると、前記受信メールの先頭部分に返信用書き込みメッセージ「中村です。OKです。」が書き込まれて返信メールが自動作成され、また、「いいえ(No)」を選択操作すると、同受信メールの先頭部分に返信用書き込みメッセージ「中村です。残念ながらNOです。」が書き込まれて返信メールが自動作成される。
【0017】RAM16には、前記記憶装置13のROMに予め記憶された各種の制御処理プログラムの実行に必要な様々な種類のデータを一時記憶するためのメモリエリアが備えられ、例えばメールの送受信処理で必要な通信先のメールアドレスを記憶するアドレスリストのメモリエリアや、送信,受信,返信の各メールデータを記憶するメモリエリア、スケジュールデータのメモリエリア、ToDoデータのメモリエリア等も備えられる。
【0018】通信装置15は、通信ネットワークNに接続され、この通信ネットワークNを介して接続されている他のコンピュータ端末装置との間で電子メール等のデータ通信(送受信)が行なわれる。
【0019】次に、前記構成によるパーソナルコンピュータにおける受信メールの開封処理に伴ない返信メールを作成して送信する際の動作について説明する。図3は前記パーソナルコンピュータにおけるメール開封処理を示すフローチャートである。
【0020】図4は前記パーソナルコンピュータのメール開封処理に伴なう受信メール一覧表示画面Gの表示状態を示す図である。図5は前記パーソナルコンピュータのメール開封処理に伴なうメールウインドウWの表示状態を示す図である。
【0021】図6は前記パーソナルコンピュータのメール開封処理に伴なう自動返信メール作成画面の表示状態を示す図であり、同図(A)は受信メールを肯定するための返信(Yes) メール作成画面G1の表示状態を示す図、同図(B)は受信メールを否定するための返信(No)メール作成画面G2の表示状態を示す図である。
【0022】まず、表示装置17の表示画面上に表示されているコマンドバーのメールボックスが指示されてクリックされることで、記憶装置13内のROMに予め記憶されているメール処理プログラムが読み込まれ、図3における受信メール開封処理が起動されると、図4に示すように、このコンピュータ端末のメールアドレスを指定して受信されている全てのメールデータがRAM16内の受信メールメモリエリアに記憶されると共に、各受信メールの日時,発信先,題名が配列された受信メール一覧表示画面Gが表示装置17に表示される(ステップS1)。
【0023】この受信メール一覧表示画面Gが表示装置17に表示された状態で、任意の受信メールが選択指示されてクリックされると、図5に示すように、選択された受信メールの内容が読み出され、メールウインドウWとして表示装置17に表示される(ステップS2→S3)。
【0024】このメールウインドウWのコマンドバー21には、返信メールの作成,送信を行なうための返信ボタン22、転送メールの作成,送信を行なうための転送ボタン23等の通常のメール処理に必要なコマンドボタンの他に、受信メールに対する返信メールを自動で作成して送信するための自動返信選択ボタン「はい(Yes)」24a,「いいえ(No)」24bが設けられる。
【0025】このメールウインドウWにおいて、例えば図5に示すように、日時,場所を指定して出席・欠席の確認を促すための受信メールが表示されている状態で、そのコマンドバー21に設けられた自動返信選択ボタン「はい(Yes) 」24aが操作されると、これに対応して記憶装置13内の自動返信メッセージメモリ13a(図2参照)に記憶されているメール肯定のための返信用書き込みメッセージ「中村です。OKです。」が読み出され、図6(A)に示すように、この返信用書き込みメッセージ「中村です。OKです。」が前記受信メールの内容の先頭に書き込まれて付加された返信(Yes) メールG1が生成表示され、この返信(Yes) メールG1は、対応する前記受信メールの発信先であるメールアドレスを指定して通信装置15から送信される(ステップS4→S5,S6)。
【0026】すると、スケジュール及びToDoのメニュー選択用のアイコンが表示装置17に表示され、例えばスケジュールのメニュー選択用アイコンが選択指示されてクリックされると、前記受信メール(図5参照)に記述されている日時,場所,題名等からなるメールデータが、スケジュールデータとしてRAM16内に備えられるスケジュールメモリに登録される(ステップS7,S8→S9)。
【0027】また、前記表示装置17に表示されたスケジュール及びToDoのメニュー選択用アイコンについて、例えばToDoのメニュー選択用アイコンが選択指示されてクリックされると、前記受信メール(図5参照)に記述されている日時,場所,題名等からなるメールデータが、ToDo(何時までに・何をする)データとしてRAM16内に備えられるToDoメモリに登録される(ステップS7,S8→S9)。
【0028】一方、前記ステップS4において、メールウインドウW上のコマンドバー21に設けられた自動返信選択ボタン「いいえ(No)」24bが操作されると、これに対応して記憶装置13内の自動返信メッセージメモリ13a(図2参照)に記憶されているメール否定のための返信用書き込みメッセージ「中村です。残念ながらNOです。」が読み出され、図6(B)に示すように、この返信用書き込みメッセージ「中村です。残念ながらNOです。」が前記受信メールの内容の先頭に書き込まれて付加された返信(No)メールG2が生成表示され、この返信(No)メールG2は、対応する前記受信メールの発信先であるメールアドレスを指定して通信装置15から送信される(ステップS4→S10,S11)。
【0029】なお、前記ステップS4において、メールウインドウW上の返信ボタン22が指定されてクリックされると、メール内容の全体を作成して,送信する通常のメール返信処理に移行される(ステップS4→S12)。また、前記メールウインドウW上の転送ボタン23が指定されてクリックされると、通常のメール転送処理に移行される(ステップS4→S13)。
【0030】したがって、前記構成のパーソナルコンピュータにおける受信メール開封処理に伴なう返信メールの作成,送信機能によれば、任意の受信メールを開封してその内容をメールウインドウWに表示させた状態で、当該メールウインドウW上のコマンドバー21に表示された自動返信選択ボタン「はい(Yes) 」24aが操作されると、自動返信メッセージメモリ13aに予め記憶されたメール肯定のための返信用書き込みメッセージ「中村です。OKです。」が読み出されて前記受信メールの先頭に書き込み付加された返信(Yes) メールG1が生成表示されて前記受信メールの発信先であるメールアドレスを指定して送信され、また、自動返信選択ボタン「いいえ(No)」24bが操作されると、自動返信メッセージメモリ13aに予め記憶されたメール否定のための返信用書き込みメッセージ「中村です。残念ながらNOです。」が読み出されて前記受信メールの先頭に書き込み付加された返信(No)メールG2が生成表示されて前記受信メールの発信先であるメールアドレスを指定して送信されるので、会議への出欠確認等、簡単な受信メールを開封した場合の発信先への応答としては、メールウインドウW上に共に表示された自動返信選択ボタン「はい(Yes) 」24a又は「いいえ(No)」24bを操作するだけで、非常に簡単に肯定又は否定メッセージが自動的に付加された返信メールが生成されて送信されるようになる。」(第3頁左欄第12行-第4頁右欄第46行)

また、発信メールはメール機能を備えた発信者のコンピュータ端末装置から送信されていることは明らかである。

また、本願発明は、請求項5の記載内容からみて、問い合わせ者の端末が生成手段を備えており、本願の明細書の発明の詳細な説明の段落【0051】?【0057】に記載された実施の形態に対応するものであり、その実施の形態の記載からみて、通知のメールは、単に、日付の指定、時間の指定、場所の指定、その場所で行う項目を記載しているだけであり、また、選択データとして、「OK」、「NG」、「検討しますので待って下さい。」という選択データを記憶している。
これに対して、引用例1に記載された事項では、第5図の内容からみて受信メールは、「2月25日」という日付けを指定しており、「AM10:00?12:00」は、時間の指定をしており、「場所ミーティングルームA」は、場所の指定をしており、「仕様説明会」は、その場所で行う項目を特定していると認められ、引用例1の第2図からみて、引用例1に記載された事項の「返信メール」のメッセージは「中村です。OKです。」と「中村です。残念ながらNOです。」であり、引用例1に記載された事項の「中村です。OKです。」は上記実施の形態の選択データの「OK」に対応し、同様に「中村です。残念ながらNOです。」は「NG」に対応する。
以上の点を考慮すると、引用例1に記載された事項の「発信メール」は、本願発明の「通知の電子メール」と同様に、返信用書き込みメッセージを選択して返信できる内容のものであると認められ、また、「発信者のコンピュータ端末装置」は、本願発明の「問い合わせ者の端末」と同様に、前記発信者のコンピュータ端末装置の操作入力に応じて、「自動返信メッセージメモリ(13a)」に記憶された返信用書き込みメッセージにアクセス可能な発信メールを生成する生成手段を備えていると認められる。
また、同様に、引用例1に記載された事項の「返信用書き込みメッセージ」は、本願発明の「選択データ」と同様に、スケジュールが選択的に表示されたものであると認められる。

また、引用例1に記載された事項において、返信用書き込みメッセージは、所定形式で「自動返信メッセージメモリ13(a)」に記憶されていることは明らかである。

してみると、引用例1には、
「発信メールの受信者がパーソナルコンピュータのスケジュールメモリにアクセスしてスケジュールを管理することが可能なメール装置において、
前記発信メールの受信者のパーソナルコンピュータと発信メールの発信者のコンピュータ端末装置を備え、
前記受信者のパーソナルコンピュータは、
スケジュールメモリと、
スケジュールが選択的に表示された返信用書き込みメッセージを所定形式で記憶する「自動返信メッセージメモリ(13a)」と、を備え、
前記発信メールの発信者のコンピュータ端末装置は、
当該発信メールの発信者のコンピュータ端末装置の操作入力に応じて、「自動返信メッセージメモリ(13a)」に記憶された返信用書き込みメッセージにアクセス可能な発信メールを生成する生成手段を備えており、
前記発信メールを前記発信メールの受信者のパーソナルコンピュータで受信した後、前記「自動返信メッセージメモリ(13a)」に記憶された返信用書き込みメッセージにアクセスしていずれかのメッセージを選択する発信メールの受信者のパーソナルコンピュータの選択ボタンの操作入力に応答して表示されたスケジュール及びToDoのメニュー選択用のアイコンのスケジュール選択用アイコンのクリック操作に応答して、前記発信メールの受信者のパーソナルコンピュータのスケジュールメモリに選択された発信メールのメールデータをスケジュールデータとして記憶させることを特徴とするメール装置。」
との発明(以下「引用例発明」という。)が記載されている。

5.対比
本願発明と、引用例発明を比較すると、引用例発明の「発信メールの受信者」、「受信者のパーソナルコンピュータ」、「スケジュールメモリ」、「返信用書き込みメッセージ」、「自動返信メッセージメモリ(13a)」、「発信メールの発信者」、「発信者のコンピュータ端末装置」、「発信メール」、「メールデータ」、「メール装置」は、それぞれ、本願発明の「スケジュール被管理者」、「スケジュール被管理者の端末」、「スケジュールデータ記憶手段」、「選択データ」、「選択データ記憶手段」、「問い合わせ者」、「問い合わせ者の端末」、「通知の電子メール」、「スケジュールデータ」、「スケジュール管理システム」に相当するので、両者は、
「スケジュール被管理者がスケジュールデータ記憶手段にアクセスしてスケジュールを管理することが可能なスケジュール管理システムにおいて、
スケジュールが選択的に表現された選択データを所定形式で記憶する選択データ記憶手段と、
問い合わせ者の端末とを備え、
前記問い合わせ者の端末は、当該問い合わせ者の端末の操作入力に応じて、前記選択データ記憶手段に記憶された選択データにアクセス可能な通知の電子メールを生成する生成手段を備えており、
前記通知の電子メールを前記スケジュール被管理者の端末で受信した後、前記選択データ記憶手段に記憶された前記選択データにアクセスしていずれかのデータを選択する前記スケジュール被管理者の端末の操作入力に応答して、前記スケジュールデータ記憶手段に前記選択されたデータをスケジュールデータとして記憶させることを特徴とする、スケジュール管理システム。」
の点で一致し、以下の点で相違する。

(相違点1)
本願発明では、スケジュール記憶手段がスケジュールサーバに備えられ、選択データ記憶手段がスケジュール被管理者の端末とは別に設けられ、スケジュール管理者がスケジュール記憶手段及び選択データ記憶手段に情報通信ネットワークを介してアクセスするのに対し、引用例発明では、スケジュール記憶手段及び選択データ記憶手段がスケジュール被管理者の端末に備えられており、スケジュール被管理者がスケジュール記憶手段及び選択データ記憶手段に情報通信ネットワークを介してアクセスしていない点。

6.当審の判断
(相違点1について)
所定のデータを端末の記憶手段に記憶せず、外部の記憶手段に記憶したり、サーバを新たに設けて、そのサーバの記憶手段に記憶したりすることは周知事項であり、また、外部の記憶手段に対して通信手段として情報通信ネットワークを用いてアクセスすることは周知事項であるので、引用例発明において、スケジュール記憶手段及び選択データ記憶手段をスケジュール被管理者の端末に設けず、選択データ記憶手段を端末の外部に設け、また、サーバを新たに設け、スケジュールデータを前記サーバのスケジュール記憶手段に記憶し、選択データ記憶手段及び前記スケジュール記憶手段にネットワークを介してアクセスすることは当業者が容易に考えられる事項である。
したがって、相違点1に係る本願発明の構成は、引用例発明及び周知事項に基づいて当業者が容易に想到し得たものである。

そして、本願発明の作用効果も、引用例1及び周知事項から当業者が予測できる範囲のものである。
したがって、本願発明は、引用例発明及び周知事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

7.むすび
以上のとおり、本願発明は、引用例1に記載された発明及び周知事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2008-08-28 
結審通知日 2008-09-02 
審決日 2008-09-16 
出願番号 特願2000-257549(P2000-257549)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G06Q)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 山下 達也  
特許庁審判長 赤穂 隆雄
特許庁審判官 小山 和俊
久保田 健
発明の名称 スケジュール管理システム  
代理人 松本 孝  
代理人 黒田 健二  

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ