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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G03B
管理番号 1187222
審判番号 不服2007-28303  
総通号数 108 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2008-12-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2007-10-17 
確定日 2008-11-07 
事件の表示 特願2004- 51683「写真プリント提供装置」拒絶査定不服審判事件〔平成17年 9月 8日出願公開、特開2005-241976〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成16年2月26日の出願であって、平成19年3月14日付け拒絶理由通知に対して、同年5月24日付けで手続補正がなされ、さらに、平成19年6月12日付け拒絶理由通知に対して、同年8月17日付けで手続補正がなされたが、同年9月6日付けで、同年8月17日付け手続補正に対する補正の却下の決定がなされるととともに、同日付で拒絶査定され、これに対して、同年10月17日に拒絶査定不服審判の請求がなされ、さらに同年11月15日付けで手続補正がなされたたものである。
その後、当審から、平成20年2月21日付けで、拒絶理由を通知した。
これに対して、同年4月21日付けで意見書が提出されるとともに、同日付けで手続補正がされた。

2.本願発明
本願の請求項1に係る発明は、平成20年4月21日付け手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される次のとおりのもの(以下、「本願発明」という。)と認める。
「【請求項1】
使用者を含む被写体を撮影するカメラを有する撮影部と、
上記撮影部とそれぞれ異なる場所に配置され、上記撮影部で撮影された撮影画像に対する編集入力を受け付ける編集入力受付手段を有する第1編集部および第2編集部とを備え、使用者からの対価の受け付けに応じて上記撮影部における撮影処理と、上記第1編集部および第2編集部における撮影画像の編集処理と、上記編集処理によって得られた画像を第1編集部と第2編集部に共用のプリンタによって印刷するプリント処理を実行して使用者に対して写真プリントを提供する写真プリント提供装置であって、
装置の保守操作を装置の操作者に対して実行させる保守操作手段と、上記保守操作手段の操作を受け付けて上記操作者による装置の設定操作を受け付けるテストモード処理手段とをさらに備え、上記テストモード処理手段は、上記第1編集部の使用を不可能にする設定および第2編集部の使用を不可能にする設定を受け付けるようになっており、上記テストモード処理手段の設定に基づいて、撮影部から使用を不可能にする設定がされていない編集部へ使用者を誘導する誘導手段をさらに備えていることを特徴とする写真プリント提供装置。」

3.引用例
平成20年2月21日付け拒絶理由通知に引用された、本願の出願前に頒布された刊行物である特開2003-32586号公報(以下、引用例1という。)には、次の事項が記載されている。
(以下、下線箇所の下線は、当審にて記入したものである。)

記載事項ア
「【特許請求の範囲】
【請求項1】 被写体を撮影する撮影手段と、
前記撮影手段により撮影された前記被写体の画像を表示する第1の表示手段と、
前記撮影手段により撮影された前記被写体の画像のうち、編集対象画像として選択された前記被写体の画像を表示する第2の表示手段と、 前記第2の表示手段により表示された前記被写体の画像に対する編集入力を受け付ける第1の入力受け付け手段と、 前記第1の入力受け付け手段により受け付けられた前記編集入力に基づいて、前記被写体の画像を編集する第1の編集手段と、 前記第1の編集手段により編集された前記被写体の画像を所定の印刷媒体に印刷する第1の印刷手段と、
前記第1の印刷手段により前記被写体の画像が印刷された前記印刷媒体を排出する第1の排出手段と、
前記撮影手段により撮影された前記被写体の画像のうち、前記編集対象画像として選択された前記被写体の画像を表示する第3の表示手段と、 前記第3の表示手段により表示された前記被写体の画像に対する前記編集入力を受け付ける第2の入力受け付け手段と、 前記第2の入力受け付け手段により受け付けられた前記編集入力に基づいて、前記被写体の画像を編集する第2の編集手段と、 前記第2の編集手段により編集された前記被写体の画像を前記印刷媒体に印刷する第2の印刷手段と、
前記第2の印刷手段により前記被写体の画像が印刷された前記印刷媒体を排出する第2の排出手段とを備え、
前記撮影手段により前記被写体を撮影する撮影空間、前記第2の表示手段により表示される前記被写体の画像を編集し、前記第1の排出手段により前記印刷媒体を排出する第1の編集空間、および、前記第3の表示手段により表示される前記被写体の画像を編集し、前記第2の排出手段により前記印刷媒体を排出する第2の編集空間が、それぞれ異なる位置に設けられることを特徴とする画像印刷装置。
【請求項2】 前記画像印刷装置の所定の面を基準として、
前記第1の表示手段は、前記画像印刷装置の正面に配置され、
前記第2の表示手段および前記第1の排出手段は、前記画像印刷装置の右側面に配置され、
前記第3の表示手段および前記第2の排出手段は、前記画像印刷装置の左側面に配置されることを特徴とする請求項1に記載の画像印刷装置。
【請求項3】 前記第1の表示手段は、前記撮影空間において撮影が終了されたとき、前記第1の編集空間、または前記第2の編集空間への移動を案内する案内画面をさらに表示することを特徴とする請求項1または2に記載の画像印刷装置。」

記載事項イ
「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は画像印刷装置および方法、印刷媒体、並びにプログラムに関し、特に、ユーザの回転率を向上させ、順番待ちの時間を短縮することができるようにした画像印刷装置および方法、印刷媒体、並びにプログラムに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、ユーザの画像を撮影し、これを予め用意されたフレーム画像と合成してシール紙などに印刷して提供する画像印刷装置(例えば、プリントクラブ(商標))が知られている。そして、この画像印刷装置には、ユーザは、撮影した画像上に付属のペンで任意の文字や図形などを書き込む(編集する)ことができるようになされているものも存在する。」

記載事項ウ
「【0008】ユーザは、第1の表示手段により表示される画面を確認ながら撮影し、編集する画像を選択する。そして、ユーザは、撮影処理が終了したとき、第2の表示手段または第3の表示手段により表示される画面を確認しながら、撮影した画像を編集する(書き込みをする)。そして、ユーザは、印刷処理が終了したとき、第1の排出手段または第2の排出手段により排出されるシールシートを取得する。従って、ユーザには、撮影空間において撮影した後、第1の編集空間または第2の編集空間へ移動することが案内される。
【0009】第1の表示手段、第2の表示手段、および第3の表示手段は、例えば、図1および図2に示すように、筐体10の正面、右側面、および左側面にそれぞれ設けられる。
【0010】編集空間を複数設け、それぞれ撮影空間と異なった位置に設けることにより、例えば、順番待ちをしているユーザがいる場合、そのユーザは、先に撮影している他のユーザが撮影処理を終了し編集空間に移動したとき、それとともに撮影空間に入場し、撮影を開始することができる。また、1つの編集空間において、編集を行っている他のユーザがいても、撮影を終了したユーザは、他の編集空間に移動し、撮影した画像を編集することができる。さらに、1つの編集空間において、シールシートの不足等により印刷不可能となる場合においても同様である。」

記載事項エ
「【0015】例えば、第1の編集空間にユーザを誘導する場合、図12に示すような案内画面が第1の表示手段に表示される。また、第2の編集空間にユーザを誘導する場合、図13に示すような案内画面が第1の表示手段に表示される。これによりユーザは、複数設けられている編集空間のうちの使用されていない編集空間に移動することができる。」

記載事項オ
「【0026】
【発明の実施の形態】図1は、本発明を適用した画像印刷装置の構成例を示す斜視図である。
【0027】図1において、画像印刷装置1の筐体10の正面上方の面10-1には、撮影装置20が設置されている。この撮影装置20には、CCD(Charge Coupled Device)、あるいはCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)などよりなるカメラ21、および小型のLCD(Liquid Crystal Display)などよりなる取り込み画像表示部22が配置されている。カメラ21は、被写体の画像を取り込み、その画像(動画像)は、取り込み画像表示部22に表示される。取り込み画像表示部22がカメラ21の近傍に設けられているため、ユーザは、取り込み画像表示部22に表示されている自分の画像を確認しながら、視線をほぼカメラ21に向けた状態で撮影することができる。」

記載事項カ
「【0032】筐体10の右側面である面10-4には、CRTやLCDなどよりなる編集用モニタ61、タッチペン62、およびスピーカ63が設けられており、その下方には印刷されたシールシートを排出する印刷物取り出し口64が設けられている。
【0033】カメラ21で撮影され、編集する画像として選択され、保存された画像は、ユーザが撮影処理を終了した後、編集用モニタ61に表示される。編集用モニタ61には、タッチパネル262(図8参照)が積層されており、ユーザは、編集用モニタ61に表示されている画像に対して、タッチペン62を操作することにより、編集対象の画像(以下、適宜、編集対象画像と称する)に任意の文字や図形などを書き込む(入力する)ことができる。
【0034】すなわち、ユーザは、筐体10の正面(面10-1)前方の場所(以下、適宜撮影空間と称する)で自分自身を撮影したのち、面10-4の前方の場所(以下、適宜第1の編集空間と称する)へ移動して、撮影した自分自身の画像を編集する。・・・
【0040】図2において、画像印刷装置1の筐体10の左側面10-6には、編集用モニタ71、タッチペン72、およびスピーカ73が設けられており、その下方には印刷されたシールシートを排出する印刷物取り出し口74が設けられている。
【0041】カメラ21による撮影処理が終了した後、第1の編集空間において、撮影を終了したユーザが編集を行うことができない場合、編集対象画像として選択され、保存された画像は、編集用モニタ71に表示される。編集用モニタ71には、タッチパネル272(図8参照)が積層されており、ユーザは、編集用モニタ71に表示されている画像に対して、タッチペン72を操作することにより、編集対象画像に任意の文字や図形などを書き込む(入力する)ことができる。
【0042】すなわち、ユーザは、撮影空間で自分自身を撮影したのち、第1の編集空間において編集を行うことができない場合、面10-6の前方の場所(以下、適宜第2の編集空間と称する)へ移動して、撮影した自分自身の画像を編集する。」

記載事項キ
「【0045】図3において、画像印刷装置1の筐体10の背面10-7には、プリンタ91および92(図8参照)の保守および点検用の蓋部材81および82(開口部80)が形成されている。」

記載事項ク
「【0068】ステップS2において、CPU201は、硬貨処理部207からの出力に基づいて、所定の代金(シールシートの作成代金)が投入されたか否かを判定し、投入されたと判定するまでデモ画面を表示して待機する。一方、CPU201は、代金が投入されたと判定した場合、ステップS3に進み、操作パネル42からの入力を受け付け、ユーザの指示によるカメラ21の調整等の撮影準備を行う。このとき、CPU201は、各種の機能や撮影方法を説明する説明画面を撮影用モニタ41に表示させる。ユーザは、その撮影用モニタ41に表示された説明画面に従って、カメラ21の調整などを行う。なお、硬貨が投入されることに応じて、取り込み画像表示部22には、カメラ21が撮影している動画像が表示される。
【0069】CPU201は、ステップS4において、ユーザが撮影開始を指示するために操作する操作パネル42の撮影開始ボタンの受け付けを開始し、ステップS5において、所定の時間が経過したか否か、または、ユーザにより撮影開始のボタンが操作されたか否かを判定し、所定の時間が経過した、または、ユーザにより撮影開始ボタンが操作されたと判定するまで待機する。
【0070】所定の時間が経過した、または、ユーザにより撮影開始ボタンが操作されたと判定した場合、CPU201は、ステップS6に進み、撮影用モニタ41に、カウントダウンインジケータを表示させ、撮影を行う。このとき、カメラ21により撮影されている画像が静止画としてRAM203に記憶される。」

記載事項ケ
「【0079】撮影を終了したCPU201は、ステップS14において、映像入出力制御部261およびプリンタ91の動作状態を確認し、第1の編集空間において編集処理を行うことができるか否かを判定する。CPU201は、第1の編集空間において編集処理を行うことができると判定した場合、ステップS15に進み、撮影空間にいるユーザを第1の編集空間に移動させるために、案内画面を撮影用モニタ41に表示させる。
【0080】図12は、撮影用モニタ41に表示される案内画面の表示例を示す図である。
【0081】図12において、案内画面301は、「こちらで、落書きしてね!」の文章と、第1の編集空間の場所を示す右向きの矢印を含む。これにより、撮影を終了したユーザは、編集作業を行う場所を把握することができる。
【0082】案内画面を表示させたCPU201は、ステップS1に戻り、次のユーザに対してそれ以降の処理を繰り返す。
【0083】ステップS14において、第1の編集空間において編集処理を行うことができないと判定した場合、CPU201は、ステップS16に進み、映像入出力制御部271およびプリンタ92の動作状態を確認し、第2の編集空間において編集処理を行うことができるか否かを判定する。CPU201は、第2の編集空間において編集処理を行うことができると判定した場合、ステップS17に進み、撮影空間にいるユーザを第2の編集空間に移動させるために、案内画面を撮影用モニタ41に表示させる。
【0084】図13は、撮影用モニタ41に表示される案内画面の表示例を示す図である。
【0085】図13において、案内画面302は、「こちらで、落書きしてね!」の文章と、第2の編集空間の場所を示す左向きの矢印を含む。これにより、撮影を終了したユーザは、編集作業を行う場所を把握することができる。」

以上の記載事項ア?ケ及び図面から、引用例1には、以下の点が記載されていると言える。

(1)記載事項オの「【0027】図1において、画像印刷装置1の筐体10の正面上方の面10-1には、撮影装置20が設置されている。この撮影装置20には、CCD(Charge Coupled Device)、あるいはCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)などよりなるカメラ21、および小型のLCD(Liquid Crystal Display)などよりなる取り込み画像表示部22が配置されている。カメラ21は、被写体の画像を取り込み、その画像(動画像)は、取り込み画像表示部22に表示される。取り込み画像表示部22がカメラ21の近傍に設けられているため、ユーザは、取り込み画像表示部22に表示されている自分の画像を確認しながら、視線をほぼカメラ21に向けた状態で撮影することができる。」との記載から、引用例1には、「ユーザ」が「自分の画像」を「撮影」する「カメラ21」を有する「撮影装置20」、が記載されている。

(2)記載事項アの「被写体を撮影する撮影手段と、
前記撮影手段により撮影された前記被写体の画像を表示する第1の表示手段と、
前記撮影手段により撮影された前記被写体の画像のうち、編集対象画像として選択された前記被写体の画像を表示する第2の表示手段と、
前記第2の表示手段により表示された前記被写体の画像に対する編集入力を受け付ける第1の入力受け付け手段と、
前記第1の入力受け付け手段により受け付けられた前記編集入力に基づいて、前記被写体の画像を編集する第1の編集手段と、
前記第1の編集手段により編集された前記被写体の画像を所定の印刷媒体に印刷する第1の印刷手段と、
前記第1の印刷手段により前記被写体の画像が印刷された前記印刷媒体を排出する第1の排出手段と、
前記撮影手段により撮影された前記被写体の画像のうち、前記編集対象画像として選択された前記被写体の画像を表示する第3の表示手段と、
前記第3の表示手段により表示された前記被写体の画像に対する前記編集入力を受け付ける第2の入力受け付け手段と、
前記第2の入力受け付け手段により受け付けられた前記編集入力に基づいて、前記被写体の画像を編集する第2の編集手段と、
前記第2の編集手段により編集された前記被写体の画像を前記印刷媒体に印刷する第2の印刷手段と、
前記第2の印刷手段により前記被写体の画像が印刷された前記印刷媒体を排出する第2の排出手段とを備え、
前記撮影手段により前記被写体を撮影する撮影空間、前記第2の表示手段により表示される前記被写体の画像を編集し、前記第1の排出手段により前記印刷媒体を排出する第1の編集空間、および、前記第3の表示手段により表示される前記被写体の画像を編集し、前記第2の排出手段により前記印刷媒体を排出する第2の編集空間が、それぞれ異なる位置に設けられることを特徴とする画像印刷装置。」との記載、
また、上記「第1の編集空間」における「第2の表示手段」、「第1の入力受け付け手段」、及び「第1の編集手段」の各手段に対応する具体的構成とそれらの配置、並びに、上記「第2の編集空間」における「第3の表示手段」、「第2の入力受け付け手段」及び「第2の編集手段」の各手段に対応する具体的構成とそれらの配置を記載した、記載事項カの開示内容と、引用例1の図1、6,7からみて、

引用例1には、
・「第2の表示手段」、「第1の入力受け付け手段」及び「第1の編集手段」は、それぞれ「第1の編集空間」に存在すること。

・「第3の表示手段」、「第2の入力受け付け手段」及び「第2の編集手段」は、それぞれ「第2の編集空間」に存在すること。

・「撮影空間」、「第1の編集空間」及び「第2の編集空間」は、「それぞれ異なる位置に設けられる」こと。

・「第1」、「第2」の「入力受け付け手段」により「編集入力を受け付け」る対象画像は、「撮影手段により撮影された被写体の画像のうち、編集対象画像として選択された前記被写体の画像」(被写体には、ユーザ自身を含む)であること。
がそれぞれ記載されている。

以上をまとめると、引用例1には、

「撮影空間」と「それぞれ異なる位置に設けられ」、「撮影手段により撮影された被写体の画像のうち、編集対象画像として選択された前記被写体の画像」(被写体には、ユーザ自身を含む)に対する「編集入力を受け付ける」「第1」又は「第2」の「入力受け付け手段」が、「第1の編集空間」又は「第2の編集空間」にそれぞれ存在すること、が記載されている。

(3)さらに、上記(2)で指摘した記載箇所に加え、記載事項クの「【0068】・・・代金が投入されたと判定した場合、ステップS3に進み、操作パネル42からの入力を受け付け、ユーザの指示によるカメラ21の調整等の撮影準備を行う。・・・
【0070】所定の時間が経過した、または、ユーザにより撮影開始ボタンが操作されたと判定した場合、CPU201は、ステップS6に進み、撮影用モニタ41に、カウントダウンインジケータを表示させ、撮影を行う。このとき、カメラ21により撮影されている画像が静止画としてRAM203に記憶される。」との記載から、引用例1の「画像印刷装置」において、

・「ユーザ」からの「代金が投入されたと判定した場合」、「撮影手段」(カメラ21)により「撮影を行う」こと(なお、撮影は、「撮影空間」で行われることは、記載事項アから明らかである。)、

・「第1の編集空間」および「第2の編集空間」において「撮影手段により撮影された前記被写体の画像のうち、編集対象画像として選択された前記被写体の画像」を「第1の編集手段」と「第2の編集手段」で「編集する」こと、

・「第1の編集手段により編集された前記被写体の画像」または「第2の編集手段により編集された前記被写体の画像」を、それぞれ「第1の編集手段により編集された前記被写体の画像を所定の印刷媒体に印刷する第1の印刷手段」と、「第2の編集手段により編集された前記被写体の画像を所定の印刷媒体に印刷する第2の印刷手段」により、「所定の印刷媒体に印刷する」こと、

・「第1の印刷手段により前記被写体の画像が印刷された前記印刷媒体を排出する第1の排出手段」と、「第2の印刷手段により前記被写体の画像が印刷された前記印刷媒体を排出する第2の排出手段」により、(ユーザ)に対し、「印刷された前記印刷媒体」を排出すること、

が、それぞれ記載されている。

以上をまとめると、引用例1には、

「ユーザ」からの「代金が投入されたと判定した場合」、「撮影空間」において「撮影を行」い、「第1の編集空間」および「第2の編集空間」において「撮影手段により撮影された前記被写体の画像のうち、編集対象画像として選択された前記被写体の画像」を「第1の編集手段」と「第2の編集手段」で「編集」し、「第1の編集手段により編集された前記被写体の画像」または「第2の編集手段により編集された前記被写体の画像」を、それぞれ「第1の印刷手段」と「第2の印刷手段」により、「所定の印刷媒体に印刷」し、「第1の印刷手段により前記被写体の画像が印刷された前記印刷媒体を排出する第1の排出手段」と、「第2の印刷手段により前記被写体の画像が印刷された前記印刷媒体を排出する第2の排出手段」により、(ユーザ)に対し、「印刷された前記印刷媒体」を排出する「画像印刷装置」、が記載されている。

(4)記載事項キの「【0045】図3において、画像印刷装置1の筐体10の背面10-7には、プリンタ91および92(図8参照)の保守および点検用の蓋部材81および82(開口部80)が形成されている。」との記載から、

引用例1には、
「画像印刷装置」の「第1の印刷手段(具体例として、プリンタ91が該当する)」及び「第2の印刷手段(具体例として、プリンタ92が該当する)」の「保守及び点検」を行う点が、が開示されていると言える。

(5)記載事項ケの「【0083】ステップS14において、第1の編集空間において編集処理を行うことができないと判定した場合、CPU201は、ステップS16に進み、映像入出力制御部271およびプリンタ92の動作状態を確認し、第2の編集空間において編集処理を行うことができるか否かを判定する。CPU201は、第2の編集空間において編集処理を行うことができると判定した場合、ステップS17に進み、撮影空間にいるユーザを第2の編集空間に移動させるために、案内画面を撮影用モニタ41に表示させる。
【0084】図13は、撮影用モニタ41に表示される案内画面の表示例を示す図である。
【0085】図13において、案内画面302は、「こちらで、落書きしてね!」の文章と、第2の編集空間の場所を示す左向きの矢印を含む。これにより、撮影を終了したユーザは、編集作業を行う場所を把握することができる。」との記載、及び図12、13から、

引用例1には、
「画像印刷装置」が、「第1の編集空間」において、「編集処理をおこなうことができないと判定」された場合において、「第2の編集空間」において「編集処理を行うことができると判定」された場合に、「ユーザ」を、その「編集処理を行うことができると判定」された「第2の編集空間」へ「案内」する「案内画面」を備えている点が記載されている。

以上、記載事項ア?ケ、及び図面と、上記(1)?(5)の考察を勘案すると、引用例1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「ユーザが自分の画像を含む被写体を撮影する撮影手段により、前記被写体を撮影する撮影空間と、
前記撮影空間とそれぞれ異なる位置に設けられ、
前記撮影手段により撮影された前記被写体の画像のうち、編集対象画像として選択された前記被写体の画像に対する編集入力を受け付ける第1の入力受け付け手段が有る第1の編集空間と、前記撮影手段により撮影された前記被写体の画像のうち、編集対象画像として選択された前記被写体の画像に対する編集入力を受け付ける第2の入力受け付け手段が有る第2の編集空間とを備え、
ユーザからの代金が投入されたと判定した場合、前記撮影空間において撮影を行い、前記第1の編集空間および前記第2の編集空間において、前記撮影手段により撮影された前記被写体の画像のうち、前記編集対象画像として選択された前記被写体の画像を前記第1の編集手段と前記第2の編集手段で編集し、前記第1の編集手段により編集された前記被写体の画像または前記第2の編集手段により編集された前記被写体の画像を、それぞれ第1の印刷手段と第2の印刷手段により所定の印刷媒体に印刷し、前記第1の印刷手段により前記被写体の画像が印刷された前記印刷媒体を排出する第1の排出手段と前記第2の印刷手段により前記被写体の画像が印刷された前記印刷媒体を排出する第2の排出手段により、(ユーザ)に対し、前記印刷された前記印刷媒体を排出する画像印刷装置であって、
前記第1の編集空間において、編集処理をおこなうことができないと判定された場合であって、前記第2の編集空間において、編集処理を行うことができると判定された場合に、ユーザを、編集処理を行うことができると判定された前記第2の編集空間へ案内する案内画面とをさらに備えた画像印刷装置。」

次に、平成20年2月21日付け拒絶理由通知に引用された、本願の出願前に頒布された刊行物である特開平7-146896号公報(以下、引用例2という。)には、次の事項が記載されている。

記載事項コ
「【特許請求の範囲】
【請求項1】 ホスト機と複数台のプリンタとを備え、前記ホスト機は印字する情報に応じて予め登録された出力先のプリンタを選択し、データを送信すると共に、前記プリンタは、該ホスト機からのデータを受信して商品に関する情報を印字出力する販売登録装置において、前記ホスト機は、前記プリンタの異常発生を警報する手段と、入力操作に応じて前記異常が発生したプリンタへのデータの出力先を他のプリンタに変更する出力先変更手段と、入力操作に応じて前記変更された出力先を元のプリンタに戻す出力先変更解除手段とを具備していることを特徴とする販売登録装置。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ホスト機と、該ホスト機からデータを受信して商品名や金額等の商品に関する情報を印字出力する複数台のプリンタを備えた販売登録装置に関するものである。・・・
【0010】
【作用】本発明の販売登録装置によれば、何れかのプリンタに異常が発生した場合、ホスト機が警報するので、オペレータ等は迅速にプリンタ異常の発生を認知し、処置することができる。また、入力操作に応じてホスト機は異常が発生したプリンタへのデータの出力先を他のプリンタに変更するので、データの印字出力は変更された出力先のプリンタにて引き続き行える。」

記載事項サ
「【0038】そこで、係る場合にはオペレータはキーボード11により、図3のレジタスクにおけるステップS9のメンテナンス業務を選択し、次にステップS10のプリンタ故障処理を選択すると、制御装置2はステップS11ですでに登録されている故障プリンタ(アドレス)を表示部12に表示する。そして、次にオペレータがステップS12の故障プリンタ登録業務を選択すると、制御装置2はステップS13で故障プリンタのアドレス番号入力待ちとなる。そして、オペレータがキーボード11により前記プリンタP2のアドレス2を入力すると、ステップS14で正しいキー入力か否か判断し、正しければステップS15に進んで出力先変更のキー入力を待つ状態となる。
【0039】そして、オペレータが変更先のプリンタ、例えばP1のアドレス1を入力すると、ステップS16で正しいキー入力か否か判断し、正しければステップS17でRAM6内のプリンタ故障ファイルにこれらのデータを書き込む。図11は係るプリンタ故障ファイルを示している。このファイルには前記故障プリンタP2のアドレス2と、変更先のプリンタP1のアドレス1が登録され、同時に故障アドレス2に該当する出力先名称a、cも書き込まれる。
【0040】それと同時に制御装置2はRAM6のプリンタ出力先アドレスマスターファイルのアドレス2を1に変更し、終了したらステップS18からステップS10に戻る。これによって、これまでアドレス2のプリンタP2に出力されていた印字データはアドレス1のプリンタP1に出力されるように変更されるので、前記伝票やメニューは第1のパントリーにて支障無く印字されるようになる。」

4.対比
以下、引用発明と本願発明とを対比する。

(1)引用発明の「ユーザが自分の画像を含む被写体を撮影する撮影手段により、前記被写体を撮影する撮影空間」と
本願発明の「使用者を含む被写体を撮影するカメラを有する撮影部」とを対比すると、

ア.引用発明の「ユーザが自分の画像を含む被写体」は、本願発明の「使用者を含む被写体」に相当する。

イ.引用発明の「撮影手段」は、本願発明の「カメラ」に相当する。

ウ.引用発明の「前記被写体を撮影する撮影空間」は、「撮影手段」によって「前記被写体」の撮影がなされる場であることから、前記「撮影手段」を含む(有する)場であると言える。したがって、引用例の「撮影空間」は、本願発明の「撮影部」に相当する。

よって、上記ア.?ウ.から、両者は相当関係にある。

(2)引用発明の「前記撮影手段により撮影された前記被写体の画像のうち、編集対象画像として選択された前記被写体の画像に対する編集入力を受け付ける第1の入力受け付け手段が有る第1の編集空間と、前記撮影手段により撮影された前記被写体の画像のうち、編集対象画像として選択された前記被写体の画像に対する編集入力を受け付ける第2の入力受け付け手段が有る第2の編集空間」と、
本願発明の「上記撮影部とそれぞれ異なる場所に配置され、上記撮影部で撮影された撮影画像に対する編集入力を受け付ける編集入力受付手段を有する第1編集部および第2編集部」とを対比すると、

ア.引用発明の「撮影手段により撮影された前記被写体の画像のうち、編集対象画像として選択された前記被写体の画像」は、本願発明の「撮影部で撮影された撮影画像」に相当する。

イ.引用発明の「前記被写体の画像に対する編集入力を受け付ける第1の入力受け付け手段」と「前記被写体の画像に対する前記編集入力を受け付ける第2の入力受け付け手段」は総じて、本願発明の「撮影部で撮影された撮影画像に対する編集入力を受け付ける編集入力受付手段」に相当する。

ウ. 引用発明の「第1の編集空間」及び「第2の編集空間」は、それぞれ、本願発明の「第1編集部」及び「第2編集部」に相当する。

よって、上記ア.?ウ.から、両者は相当関係にあると言える。

(3)引用発明の「ユーザからの代金が投入されたと判定した場合、前記撮影空間において撮影を行い、前記第1の編集空間および前記第2の編集空間において、前記撮影手段により撮影された前記被写体の画像のうち、前記編集対象画像として選択された前記被写体の画像を前記第1の編集手段と前記第2の編集手段で編集し、前記第1の編集手段により編集された前記被写体の画像または前記第2の編集手段により編集された前記被写体の画像を、それぞれ第1の印刷手段と第2の印刷手段により所定の印刷媒体に印刷し、前記第1の印刷手段により前記被写体の画像が印刷された前記印刷媒体を排出する第1の排出手段と前記第2の印刷手段により前記被写体の画像が印刷された前記印刷媒体を排出する第2の排出手段により、(ユーザ)に対し、前記印刷された前記印刷媒体を排紙する画像印刷装置」と、
本願発明の「使用者からの対価の受け付けに応じて上記撮影部における撮影処理と、上記第1編集部および第2編集部における撮影画像の編集処理と、上記編集処理によって得られた画像を第1編集部と第2編集部に共用のプリンタによって印刷するプリント処理を実行して使用者に対して写真プリントを提供する写真プリント提供装置」とを対比すると、

ア.引用発明の「ユーザからの代金が投入されたと判定した場合、前記撮影空間において撮影を行い、」は「使用者からの対価の受け付けに応じて上記撮影部における撮影処理」に相当する。

イ.引用発明の「前記第1の編集空間および前記第2の編集空間において、前記撮影手段により撮影された前記被写体の画像のうち、前記編集対象画像として選択された前記被写体の画像を前記第1の編集手段と前記第2の編集手段で編集し、」は、本願発明の「上記第1編集部および第2編集部における撮影画像の編集処理と、」に相当する。

ウ.引用発明の「前記第1の編集手段により編集された前記被写体の画像または前記第2の編集手段により編集された前記被写体の画像を、それぞれ第1の印刷手段と第2の印刷手段により所定の印刷媒体に印刷し、」と、本願発明の「上記編集処理によって得られた画像を第1編集部と第2編集部に共用のプリンタによって印刷するプリント処理を実行して」とは、編集処理によって得られた画像をプリンタによって印刷するプリント処理、である点一致する。

エ.引用発明の「前記第1の印刷手段により前記被写体の画像が印刷された前記印刷媒体を排出する第1の排出手段と前記第2の印刷手段により前記被写体の画像が印刷された前記印刷媒体を排出する第2の排出手段により、(ユーザ)に対し、前記印刷された前記印刷媒体を排出する」は、本願の「使用者に対して写真プリントを提供する」に相当する。

オ.引用発明の「画像印刷装置」は、本願発明の「写真プリント提供装置」に相当する。

以上のア.?オ.から、両者は、
使用者からの対価の受け付けに応じて上記撮影部における撮影処理と、上記第1編集部および第2編集部における撮影画像の編集処理と、上記編集処理によって得られた画像をプリンタによって印刷するプリント処理を実行して使用者に対して写真プリントを提供する写真プリント提供装置、である点一致する。

(4)引用発明の「前記第1の編集空間において、編集処理をおこなうことができないと判定された場合であって、前記第2の編集空間において、編集処理を行うことができると判定された場合に、ユーザを、編集処理を行うことができると判定された前記第2の編集空間へ案内する案内画面」と、
本願発明の「装置の保守操作を装置の操作者に対して実行させる保守操作手段と、上記保守操作手段の操作を受け付けて上記操作者による装置の設定操作を受け付けるテストモード処理手段とをさらに備え、上記テストモード処理手段は、上記第1編集部の使用を不可能にする設定および第2編集部の使用を不可能にする設定を受け付けるようになっており、上記テストモード処理手段の設定に基づいて、撮影部から使用を不可能にする設定がされていない編集部へ使用者を誘導する誘導手段」とを対比すると、両者は共に、

編集処理の使用が可能である編集部へ使用者を誘導する誘導手段、である点一致する。

以上(1)?(4)の考察から、引用発明と本願発明とは、
「使用者を含む被写体を撮影するカメラを有する撮影部と、
上記撮影部とそれぞれ異なる場所に配置され、上記撮影部で撮影された撮影画像に対する編集入力を受け付ける編集入力受付手段を有する第1編集部および第2編集部とを備え、使用者からの対価の受け付けに応じて上記撮影部における撮影処理と、上記第1編集部および第2編集部における撮影画像の編集処理と、上記編集処理によって得られた画像をプリンタによって印刷するプリント処理を実行して使用者に対して写真プリントを提供する写真プリント提供装置であって、
編集処理の使用が可能である編集部へ使用者を誘導する誘導手段をさらに備えていることを特徴とする写真プリント提供装置。」
の点で一致し、以下の点で相違する。

相違点1;

編集処理によって得られた画像を印刷するプリンタが、本願発明では、「第1編集部と第2編集部に共用」のものであるのに対し、引用発明のプリンタは、「第1の編集空間」と「第2の編集空間」それぞれ別に設けられている点。

相違点2;

本願発明は、「装置の保守操作を装置の操作者に対して実行させる保守操作手段と、上記保守操作手段の操作を受け付けて上記操作者による装置の設定操作を受け付けるテストモード処理手段とをさらに備え、上記テストモード処理手段は、上記第1編集部の使用を不可能にする設定および第2編集部の使用を不可能にする設定を受け付けるようになって」おり、また、この各編集部の使用を不可能にする設定が、誘導手段による使用者への誘導の決定要因になるのに対し、引用発明にはそのような構成がない点。

5.当審の判断

(1)相違点1について

2つの異なる編集部において、編集処理された画像を、共用のプリンタで印刷することは、従来周知に行われている手段であるので(例えば、本願の出願前に頒布された刊行物である特開2004-48374号公報の【図4】及び【図6】で示された、プリンタユニット96(及びシール取り出し口31)と、編集用モニタ41-1及び編集用モニタ41-2の構成関係図を参照のこと。)、引用発明のプリンタ手段として、上記従来周知の手段(共用のプリンタで印刷すること)に置き換えることは、当業者であれば適宜なし得る程度の事項にすぎない。

(2)相違点2について

ア.写真撮影装置の分野において、装置のメンテナンス作業を行うこと、また、そのための操作手段として(テストモードなどによる)特定の処理手段を用いることは、従来周知の手段である。
(例えば、平成19年6月12日付け拒絶理由通知において、上記の周知手段の例として提示された、本願の出願前に頒布された刊行物である特許第3459915号公報には、本願発明と同種の装置(「利用者のコイン投入と操作に基づいて利用者である被写体を撮影し、それにより得られた画像をシールなどの記録媒体にプリントして提供する写真撮影装置」(同特許公報の【0002】))について、テストモードによる処理手段を用いることにより、メンテナンスを実行することが開示されている(「タイトルデモが表示されている状態で、コイン投入口26において、当該写真自動販売機を利用するためのコインの投入を受付ける(S110)。なお、上述のコインの受付けに代えて、タイトルデモ表示中にテストボタンを押下することによって、当該写真自動販売機のメンテナンスを行なうためのテストモードが起動する。」(【0057】)及び「テストモードは、写真自動販売機の設置者が写真自動販売機を操作するためのモードであり、このモードにおいては当該写真自動販売機の利用状況(たとえばコイン投入数など)の確認や、カメラ21、プリンタ12など周辺機器の調整ができる。」(【0058】の記載等参照)。
同様に、同拒絶理由通知において上記周知手段の例として提示された、本願の出願前に頒布された刊行物である登録実用新案第3093660号公報の段落【0050】、【0060】、【0061】の記載を参照のこと。前記周知例と同じく、テストモードによる処理手段を用いることにより、メンテナンスを実行することが可能な写真撮影装置が開示されている。))。

してみれば、引用発明の画像印刷装置において、上記した従来周知である、メンテナンスを行う作業、および、そのための操作手段として(テストモードなどによる)特定の処理手段を用いることは、当業者が容易になし得ることである。

イ.また、その保守の内容として、対象となる電子装置が、同種の二つのパーツ装置を併設し、その両方とも使用するものである場合、一方のパーツ装置に不具合が発生した場合や、メンテナンスのために一方のパーツ装置を休止させたい場合に、その各パーツ装置の使用を個々に不可能にするような設定を行うことも、従来周知の内容である。
(例えば、引用例2の記載事項コ、サでは、複数台あるプリンタ群のメンテナンスとして、何れかのプリンタに異常が発生した場合、(保守者の)入力操作に応じてホスト機は異常が発生したプリンタへのデータの出力先を他のプリンタに変更し、故障機での印刷動作を止める手段が開示されている(「【0010】・・・何れかのプリンタに異常が発生した場合、ホスト機が警報するので、オペレータ等は迅速にプリンタ異常の発生を認知し、処置することができる。また、入力操作に応じてホスト機は異常が発生したプリンタへのデータの出力先を他のプリンタに変更するので、データの印字出力は変更された出力先のプリンタにて引き続き行える。」)。
また、本願の出願前に頒布された刊行物である特開2001-232979号公報には、複数台あるプリンタ群のメンテナンスの際に、一方のプリンタを休止させるように設定し、他方のプリンタにバックアップさせる手段が開示されている(「【0143】・・・メンテナンスにより一方を休止させる場合に他方のプリンタをバックアップすること」)。

してみれば、引用発明の画像印刷装置において保守を行う場合に、その保守内容として、上記した従来周知の保守内容を含むことは、当業者が適宜選択する程度の事項であり、その保守対象のパーツ装置の一つとして、各編集手段は、当業者であれば当然想起するものである。

ウ.上記ア.及びイ.で述べたように、引用発明において、保守を行うとした場合の設定内容の一つとして、各編集手段の使用を個々に禁止する設定を可能とするのであれば、引用発明の誘導手段は、当然その設定状況に応じて、使用者を誘導するように制御することは、当業者が当然なす程度の事項である。

以上、ア.?ウ.の考察から、相違点2については、引用発明から、従来周知の手段に基づいて、当業者が容易に想到し得る事項である。

そして、本願発明の効果も、引用例1及び2の記載、並びに従来周知の事項から当業者が予測し得る範囲内のものである。

よって、本願発明は、引用例1に記載された発明、並びに引用例2に記載された事項及び従来周知の事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

6.むすび
以上のとおり、本願発明は、引用例1に記載された発明、並びに引用例2に記載された事項及び従来周知の事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2008-09-08 
結審通知日 2008-09-16 
審決日 2008-09-24 
出願番号 特願2004-51683(P2004-51683)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (G03B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 登丸 久寿  
特許庁審判長 末政 清滋
特許庁審判官 越河 勉
佐藤 昭喜
発明の名称 写真プリント提供装置  
代理人 森本 直之  

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