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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H04N |
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管理番号 | 1187240 |
審判番号 | 不服2007-14879 |
総通号数 | 108 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2008-12-26 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2007-05-24 |
確定日 | 2008-11-06 |
事件の表示 | 特願2005-113761「情報機器」拒絶査定不服審判事件〔平成17年 9月29日出願公開、特開2005-269671〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第一 経緯 1 手続 本願は、平成5年10月29日の出願(特願平5-294403号)の一部を新たな特許出願(特願2001-229702号)とし、更にその出願の一部を新たな特許出願(特願2004-280509号)とし、更にその出願の一部を新たな特許出願とした平成17年4月11日の出願であり、平成19年4月18日付けで拒絶査定された。 本件は、本願についてされた上記拒絶査定を不服とする平成19年5月24日の審判請求であり、請求後、平成19年6月25日付けで手続補正書(明細書、特許請求の範囲又は図面について請求の日から30日以内にする補正)が提出された。 2 査定 原査定の理由は、概略、以下のとおりである。 理 由 A この出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法第36条第5項第2号及び第6項に規定する要件を満たしていない。 記 本願の請求項に係る発明の構成のみでは、本願発明の効果を奏し得るとは認められず、本願の請求項1ないし11に係る発明は、発明の構成に欠くことのできない事項が記載されているとは認められない。 理 由 B この出願の請求項1ないし10に係る発明は、その出願前日本国内又は外国において頒布された下記刊行物に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 記 刊行物1:特開平4-123366号公報 刊行物2:特開平5-47110号公報 刊行物3:特開平4-341926号公報 刊行物4:特開平3-296976号公報 第二 本願発明 本願の請求項1ないし11に係る発明は、平成19年6月25日付け手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし11に記載される発明のとおりであるところ、そのうち請求項1に係る発明(以下「本願発明」という)は、平成19年6月25日付け手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載される事項により特定される、以下のとおりのものである。 「受信した映像情報の記録媒体への記録と、該記録媒体に記録された映像情報の読み取りとを一時的な記憶手段を介して行う情報機器であって、 映像情報の記録と読み取りを兼用して行うヘッド部と、 前記ヘッド部を読み取り位置または記録位置に移動させる位置付け部と、 使用者の指示に応じたタイミングで、受信した映像情報の前記記録媒体における所定の記録開始位置からの記録を指示する記録開始信号及び前記位置付け部に対して該記録開始位置に上記ヘッドを位置づけて受信した映像情報の記録中に前記記録済映像情報の再生要求を行なう録画再生開始要求信号を出力する信号出力部と、 使用者の指示に応じて出力される前記録画再生開始要求信号を検出した場合、前記位置付け部を制御して前記ヘッド部を記録位置から前記記録開始位置に移動させて記録済みの映像情報の読み取りを実行させ、該映像情報の所定量の読み取り後、前記録画再生開始要求信号を検出した以降に受信した映像情報の一時記憶手段を介した前記記録媒体に対する記録と、前記記録媒体に記録された映像情報の一時記憶手段を介した読み取りとを交互に繰り返させる制御部と、 前記制御部からの指示に基づき、外部から受信した映像情報の出力先を前記記録媒体とするか、表示部とするかを選択させる選択部と、 を備え、 前記記録媒体への記録と読み取りとを交互に繰り返しているときに使用者による録画再生終了の指示が検出された場合、前記制御部からの指示に基づき表示出力する映像情報を、前記選択部により外部から受信した映像情報に切り換える ことを特徴とする情報機器。」 第三 当審の判断 1 刊行物 (1)刊行物1の記載 原査定の拒絶の理由に引用された刊行物1(特開平4-123366号公報)には、図面と共に、以下の技術事項が記載されている。 ア「本発明は、テレビジョン鑑賞を中座する際に用いるテレビ信号の記録・再生装置に関する。」(第1頁右下欄第10?11行) イ「そこで、本発明の目的は、ビデオテープレコーダを用いず、工夫された簡素かつ安価な装置にテレビジョンからの映像、音声信号を記録し、再生することによって、裏番組を含めたビデオ録画の予定を狂わさず、ビデオテープや電力を浪費することなく、中座時以降の放映情報を連続して鑑賞することかできるテレビ信号の記録・再生装置を提供することにある。」(第2頁右上欄第6?13行) ウ「第1図は、本発明の記録・再生装置を備えたテレビジョンの外観斜視図であり、同図において、1は映像・音声信号の入,出力端子1a,1bを有するテレビジョン、2はこのテレビジョン1の入,出力端子1a,Ibに信号線3a,3bを介して夫々出,入力端子2b,2aを接続して設けられた記録・再生装置の一実施例としてのエンドレスレコーダ、4はこのエンドレスレコーダ2に付属し、その各指令ボタンを遠隔操作するリモートコントローラである。 上記テレビジョン1の出力端子1bは、同調,検波,増幅等の回路からなる図示しない受信部からの映像・音声信号を、エンドレスレコーダ2の入力端子2aに出力する一方、入力端子1aは、エンドレスレコーダ2の出力端子2bからの映像・音声信号を、ブラウン管1cやスピーカ1dに入力する。 上記エンドレスレコーダ2は、第2図に示すように、各指令手段としての記録、再生、停止の各指令ボタン6,7,8などを前面に設けたケース5内に、エンドレスの記録媒体としてのビデオテープ10をカセット11に収納した記録・再生機構9と、この記録・再生機構9を上記各指令ボタン6,7,8からの信号に基づいて制御するCPU12とを収納してなり、記録・再生機構9とCPUI2で記録・再生部13を構成している。 上記記録・再生機構9は、ビデオテープ10を多数のガイドローラ15,15,…を介して図中の矢印方向に定速で循環送給する送給ローラ14と、この送給ローラ14の近傍のカセット11の側壁に上記入力端子2a(第1図参照)に電気的に接続して設けられた記録ヘッド16と、この記録ヘッド16から1分,3分,15分の送給距離に対応するカセット11の側壁に夫々設けられ、上記出力端子2b(第1図参照)にCPU12により選択されて電気的に接続される3つの再生ヘッド17,18,19で構成される。」(第3頁左上欄第18行?同頁左下欄第14行) エ「テレビジョン1を鑑賞中に来客や用事があって席を離れるとき、視聴者は、テレビジョン1を電源がオン状態のエンドレスレコーダ2に接続するヒデオモートに切換え、リモートコントローラ4の記録指令ボタン23を押す。エンドレスレコーダ2のCPU12は、上記記録指令ボタン23からの指令信号を受けで、記録・再生機構9の送給ローラ14を起動し、記録ヘッド16の記録動作を開始させるとともに、中座時間の計時を開始してその計時値を時間表示部20に刻々表示させ、メッセージ表示部21に“WAIT”の文字を表示させる。これにより、テレビジョン1の受信部から出力端子1b、入力端子2bを経て記録ヘッド16に達する映像・音声信号は、エンドレスのビデオテープ10に記録され、記録済のテープは、送給ローラ14により第2図中の矢印の如く再生ヘッド17,18,19に向けて送られる。なお、このときテレビジョン1のブラウン管1c上の映像は消失する。」(第4頁左上欄第18行?同頁右上欄第16行) オ「次に、来客との応対や用事を終えてテレビジョン1に戻った視聴者は、リモートコントローラ4の再生指令ボタン24を押す。このとき、時間表示部20に表示された計時値が例えは4分30秒(第2図参照)であれば、エンドレスレコーダ2のCPU12は、上記再生指令ボタン24からの指令信号を受けて、計時値に最も近い5分の再生ヘッド19を選択し、この再生ヘッド19を出力端子2bに電気的に接続し、30秒後に計時値が5分に達したとき、再生ヘッド9の再生動作を開始させるとともに、時間表示部20に最終計時値“5’.00””を表示させたまま計時を終了し、メッセージ表示部21の表示を“PLAY”に変化させる。」(第4頁右上欄第17行?同頁左下欄第10行) カ「これにより、ビデオテープ10上の記録情報は、丁度その先頭から再生ヘッド19によって再生され、再生された映像・音声信号は、出力端子2b,入力端子1aを経てテレビジョン1のブラウン管1cとスピーカ1dに入力され、視聴者は、ブラウン管1cとスピーカ1dを介してテレビジョンを離れた時点からの放映情報を連続して鑑賞することかできる。つまり、記録ヘッド16はそれ以前から動作し続けていて、一巡してきたビデオテープ10に新たな放映情報を次々に記録し、以後再生ヘッド19も再生動作を続行するから、戻ってきた視聴者は、5分間の放映情報を更新しつつ貯える記録・再生機構9を介して、中座時以降の放映情報を連続鑑賞できるのである。」(第4頁左下欄第11行?同頁右下欄第4行) キ「最後に、テレビジョン1を見ていてエンドレスレコーダ2の時間表示部20の最終計時値(例えば5分)よりも長いコマーシャルタイムや番組の終了に気付いた視聴者は、リモートコントローラ4の停止指令ボタン25を押すとともに、テレビジョン1をエンドレスレコーダ2から切離すテレヒモードに切換える。エンドレスレコーダ2のCPU12は、上記停止指令ボタン25からの指令信号を受けて、送給ローラ14を停止させ、記録ヘッド16と再生ヘッド19の記録、再生動作を停止させるとともに、メッセージ表示部21の表示を“READY”に変える。これにより、それまで見ていたシーンよりも5分間だけ進んだ現在放映中のシーンが、エンドレスレコーダ2を介さずにテレビジョンlの受信部から直接ブラウン管1cやスピーカ1dに出力され、5分間の時間遅延か不要なコマーシャルタイムの利用で解消され、これ以降視聴者はリアルタイムの放映情報を直接鑑賞することになる。」(第4頁右下欄第5行?第5頁左上欄第2行) ク「なお、上記実施例では、エンドレスのビデオテープ10をもつ記録・再生機構9を用いたが、記録・再生部として、一定容量のビデオディスクを回転駆動しつつ、消去を兼ねる記録ピックアップおよび再生ピックアップを中座時間分の間隔をおいてディスク径方向にCPUによりエンドレス方式で駆動するビデオディスクレコーダを用いてもよい。このようにすれば、中座時間に応じて記録媒体の記録・再生領域をフレキシブルに増減でき、戻ってからの待ち時間を零にできるので有利である。」(第5頁右上欄第19行?同頁左下欄第8行) ケ「さらに、本発明の記録・再生装置は、テレビジョンに外付けされる実施例のエンドレステープやメモリなどのレコーダに限らず、テレビジョン本体内に組み込んだり、テレビジョンと共に用いられるビデオテープレコーダやビデオディスクプレーヤに組み込むこともできる。」(第5頁左下欄第13?18行) (2)刊行物1に記載された発明 刊行物1に記載された発明として、実施例に記載された発明のうち、記録媒体としてビデオディスクを用い(上記(1)ク参照)、かつ、記録・再生装置をテレビジョン本体に組み込んだ(上記(1)ケ参照)テレビジョンを認定する。 ア テレビジョン 上記(1)ア、イ、ウによれば、記録・再生装置を備えたテレビジョンが記載されており、また、上記(1)ケによれば、記録・再生装置をテレビジョン本体に組み込むことが記載されているので、刊行物1には、記録・再生装置をテレビジョン本体に組み込んだテレビジョンが記載されているといえる。 イ ビデオディスクへの記録、再生 上記(1)ウ、クによれば、刊行物1のテレビジョンは、受信した映像・音声信号のビデオディスクへの記録と、該ビデオディスクに記録された映像・音声信号の再生とを行うものであるといえる。 ウ 記録ピックアップ、再生ピックアップ 上記(1)クによれば、刊行物1のテレビジョンは、ビデオディスクに対して、映像・音声信号の記録を行う記録ピックアップと再生を行う再生ピックアップを備えているといえる。 エ 駆動する手段 上記(1)クによれば、記録媒体としてビデオディスクを用い、再生ピックアップ及び記録ピックアップを用いて再生及び記録を行うとされ、さらに、再生ピックアップ及び記録ピックアップをディスク径方向にCPUによりエンドレス方式で駆動するとされている。したがって、刊行物1のテレビジョンは、前記再生ピックアップを再生位置に、前記記録ピックアップを記録位置に駆動する手段を備えているといえる。 オ 記録指令ボタン23、再生指令ボタン24からの指令信号 上記(1)エによれば、テレビジョン鑑賞中に来客や用事があって席を離れるとき、視聴者が、受信した映像・音声信号の記録を指示する記録指令ボタン23を押すと、CPUは当該記録指令ボタンからの指令信号を出力し、当該指令信号によって、記録動作を開始させるものである。そして、記録媒体としてビデオディスクを用いた場合(上記(1)ク参照)には、ビデオディスクにおける所定の記録開始位置からの記録を開始することは当然である。 また、上記(1)オによれば、来客との応対や用事を終えてテレビジョンに戻った視聴者が、再生指令ボタン24を押すと、CPUは当該記録指令ボタン24からの指令信号を出力し、当該指令信号によって、再生動作を開始させるものである。そして、記録媒体としてビデオディスクを用いた場合(上記(1)ク参照)、上記(1)イ、カのように連続鑑賞を行うには、記録開始位置から再生動作を開始するため、前記駆動する手段に対して、該記録開始位置に上記再生ピックアップを位置づけて記録情報の再生要求を行うことは必須である。 さらに、上記(1)カには、映像・音声信号を記録しつつ、再生動作を続行することが記載されているから、刊行物1は、受信した映像・音声信号の記録中に記録情報の再生要求を行なうものといえる。 以上を総合勘案すると、刊行物1のテレビジョンは、視聴者の指示に応じて、受信した映像・音声信号の前記ビデオディスクにおける所定の記録開始位置からの記録を指示する記録指令ボタン23からの指令信号及び前記駆動する手段に対して該記録開始位置に上記再生ピックアップを位置づけて受信した映像・音声信号の記録中に記録情報の再生要求を行なう再生指令ボタン24からの指令信号を出力する手段を備えているといえる。 カ 再生指令ボタン24からの指令信号に対する制御(CPU) 上記(1)オによれば、視聴者が、再生指令ボタン24を押すと、CPUは当該再生指令ボタン24からの指令信号を出力し、当該指令信号によって、再生動作を開始させるものである。そして、記録媒体としてビデオディスクを用いた場合(上記(1)ク参照)、上記(1)イ、カのように連続鑑賞を行うには、前記記録開始位置から再生動作を開始するため、前記駆動する手段を制御して該記録開始位置に上記再生ピックアップを移動させ記録情報の再生を実行させることは必須である。 さらに、記録媒体としてビデオディスクを用いた場合(上記(1)ク参照)、上記(1)カによれば、前記再生指令ボタン24からの指令信号を検出した以降に受信した映像・音声信号の前記ビデオディスクに対する記録と、前記ビデオディスクに記録された記録情報の再生とを同時にするものといえる。 以上を総合勘案すると、刊行物1のテレビジョンは、視聴者の指示に応じて出力される前記再生指令ボタン24からの指令信号を検出した場合、前記駆動する手段を制御して前記再生ピックアップを記録位置から前記記録開始位置に移動させて記録情報の再生を実行させ、前記再生指令ボタン24からの指令信号を検出した以降に受信した映像・音声信号の前記ビデオディスクに対する記録と、前記ビデオディスクに記録された記録情報の再生とを同時にするように制御するCPUを備えているといえる。 キ 映像・音声信号の出力先の選択 上記(1)エによれば、テレビジョン鑑賞中(受信した映像・音声信号をブラウン管やスピーカから出力中)に、記録指令ボタン23が押されると、受信した映像・音声情報をビデオディスク(上記(1)ク参照)に記録し、テレビジョンのブラウン管上の映像は消失するとされている。即ち、刊行物1には、受信した映像・音声信号の出力先をブラウン管やスピーカからビデオディスクに切り替えることが記載されている。 他方、上記(1)カ、キによれば、ビデオディスク(上記(1)ク参照)に新たな放映情報を次々に記録しながら(受信した映像・音声信号をビデオディスクに出力中)、記録情報を再生して鑑賞しているとき(ビデオディスクへの記録と再生とを同時にしているとき)、停止指令ボタン25が押されると、記録動作を中断し、リアルタイムの放送情報を直接鑑賞することになるとされている。即ち、刊行物1には、受信した映像・音声信号の出力先を記録媒体からブラウン管やスピーカに切り替えることも記載されている。 そして、刊行物1において、全体の制御はCPUからの指示に基づいて行っている。 以上を総合勘案すると、刊行物1のテレビジョンは、前記CPUからの指示に基づき、外部から受信した映像・音声信号の出力先を前記ビデオディスクとするか、ブラウン管やスピーカとするかを選択させる手段を備えているといえる。 ク 停止指令ボタン25からの指令信号に対する制御 上記(1)カ、キ、及び、上記(2)キによれば、ビデオディスク(上記(1)ク参照)に新たな放映情報を次々に記録しながら(受信した映像・音声信号をビデオディスクに出力中)、記録情報を再生して鑑賞しているとき(ビデオディスクへの記録と再生とを同時にしているとき)、視聴者が押した停止指令ボタン25からの指令信号をCPUが受けると、ブラウン管やスピーカに出力する映像・音声信号を、現在放映中のリアルタイムの放送情報に切り換えるとされている。 したがって、刊行物1のテレビジョンは、前記ビデオディスクへの記録と再生とを同時にしているときに視聴者による停止指令ボタン25からの指令信号が検出された場合、前記CPUからの指示に基づきブラウン管やスピーカに出力する映像・音声信号を、前記選択させる手段により外部から受信した映像・音声信号に切り換えるものであるといえる。 ケ まとめ 上記(2)ア?ク、及び、刊行物1の第1?2図によれば、刊行物1に記載された発明(以下「刊行物1発明」という)として、以下のとおりのものを認定することができる。 「受信した映像・音声信号のビデオディスクへの記録と、該ビデオディスクに記録された映像・音声信号の再生とを行うテレビジョンであって、 映像・音声信号の記録を行う記録ピックアップと再生を行う再生ピックアップと、 前記再生ピックアップを再生位置に、前記記録ピックアップを記録位置に駆動する駆動する手段と、 視聴者の指示に応じて、受信した映像・音声信号の前記ビデオディスクにおける所定の記録開始位置からの記録を指示する記録指令ボタン23からの指令信号及び前記駆動する手段に対して該記録開始位置に上記再生ピックアップを位置づけて受信した映像・音声信号の記録中に記録情報の再生要求を行なう再生指令ボタン24からの指令信号を出力する手段と、 視聴者の指示に応じて出力される前記再生指令ボタン24からの指令信号を検出した場合、前記駆動する手段を制御して前記再生ピックアップを記録位置から前記記録開始位置に移動させて記録情報の再生を実行させ、前記再生指令ボタン24からの指令信号を検出した以降に受信した映像・音声信号の前記ビデオディスクに対する記録と、前記ビデオディスクに記録された記録情報の再生とを同時にするように制御するCPUと、 前記CPUからの指示に基づき、外部から受信した映像・音声信号の出力先を前記ビデオディスクとするか、ブラウン管やスピーカとするかを選択させる手段と、 を備え、 前記ビデオディスクへの記録と再生とを同時にしているときに視聴者による停止指令ボタン25からの指令信号が検出された場合、前記CPUからの指示に基づきブラウン管やスピーカに出力する映像・音声信号を、前記選択させる手段により外部から受信した映像・音声信号に切り換える ことを特徴とするテレビジョン。」 2 対比 本願発明と刊行物1発明とを対比する。 (1)情報機器 刊行物1発明の「テレビジョン」は、本願発明でいう「情報機器」といい得るものであるから、刊行物1発明の「テレビジョン」は、本願発明の「情報機器」に相当する。 (2)記録、読み取り 刊行物1発明の「ビデオディスク」、「映像・音声信号」、「再生」は、それぞれ、本願発明の「記録媒体」、「映像情報」、「読み取り」に相当するから、刊行物1発明の「受信した映像・音声信号のビデオディスクへの記録と、該ビデオディスクに記録された映像・音声信号の再生とを行う」は、本願発明の「受信した映像情報の記録媒体への記録と、該記録媒体に記録された映像情報の読み取りとを(一時的な記憶手段を介して)行う」に相当する。もっとも、刊行物1発明では、記録と読み取りとを「一時的な記憶手段を介して」行うものでない。相違が認められる。 (3)ヘッド部 刊行物1発明の「映像・音声信号の記録を行う記録ピックアップと再生を行う再生ピックアップ」は、本願発明の「映像情報の記録と読み取りを(兼用して)行うヘッド部」に相当する。もっとも、刊行物1発明では、ヘッド部が記録と読み取りを「兼用して」行うものではない。相違が認められる。 (4)位置付け部 刊行物1発明の「前記再生ピックアップを再生位置に、前記記録ピックアップを記録位置に駆動する駆動する手段」は、本願発明の「前記ヘッド部を読み取り位置または記録位置に移動させる位置付け部」に相当する。 (5)信号出力部 (5-1)使用者の指示 刊行物1発明の「視聴者の指示に応じて、」は、本願発明の「使用者の指示に応じたタイミングで、」に相当する。 (5-2)記録開始信号 刊行物1発明の「記録指令ボタン23からの指令信号」は、本願発明の「記録開始信号」に相当するから、刊行物1発明の「受信した映像・音声信号の前記ビデオディスクにおける所定の記録開始位置からの記録を指示する記録指令ボタン23からの指令信号」は、本願発明の「受信した映像情報の前記記録媒体における所定の記録開始位置からの記録を指示する記録開始信号」に相当するものである。 (5-3)録画再生要求信号 刊行物1発明の「再生指令ボタン24からの指令信号」は、本願発明の「録画再生開始要求信号」に相当するから、刊行物1発明の「前記駆動する手段に対して該記録開始位置に上記再生ピックアップを位置づけて受信した映像・音声信号の記録中に記録情報の再生要求を行なう再生指令ボタン24からの指令信号」は、本願発明の「前記位置付け部に対して該記録開始位置に上記ヘッドを位置づけて受信した映像情報の記録中に前記記録済映像情報の再生要求を行なう録画再生開始要求信号」に相当するものである。 (5-4)まとめ したがって、刊行物1発明の「視聴者の指示に応じて、受信した映像・音声信号の前記ビデオディスクにおける所定の記録開始位置からの記録を指示する記録指令ボタン23からの指令信号及び前記駆動する手段に対して該記録開始位置に上記再生ピックアップを位置づけて受信した映像・音声信号の記録中に記録情報の再生要求を行なう再生指令ボタン24からの指令信号を出力する手段」は、本願発明の「使用者の指示に応じたタイミングで、受信した映像情報の前記記録媒体における所定の記録開始位置からの記録を指示する記録開始信号及び前記位置付け部に対して該記録開始位置に上記ヘッドを位置づけて受信した映像情報の記録中に前記記録済映像情報の再生要求を行なう録画再生開始要求信号を出力する信号出力部」に相当するといえる。 (6)制御部 (6-1)使用者の指示 刊行物1発明の「視聴者の指示に応じて出力される前記再生指令ボタン24からの指令信号を検出した場合、」は、本願発明の「使用者の指示に応じて出力される前記録画再生開始要求信号を検出した場合、」に相当する。 (6-2)ヘッド部の移動、読み取り 刊行物1発明の「前記駆動する手段を制御して前記再生ピックアップを記録位置から前記記録開始位置に移動させて記録情報の再生を実行させ」は、「前記位置付け部を制御して前記ヘッド部を(記録位置から)前記記録開始位置に移動させて記録済みの映像情報の読み取りを実行させ」に相当するものの、刊行物1発明では、再生ピックアップは記録ピックアップと兼用されていないため、再生ピックアップを「記録位置から」移動させるものでない。 (6-3)記録と読み取りとを交互に繰り返し 刊行物1発明の「前記再生指令ボタン24からの指令信号を検出した以降に受信した映像・音声信号の前記ビデオディスクに対する記録と、前記ビデオディスクに記録された記録情報の再生とを同時にするように制御するCPU」は、本願発明の「(該映像情報の所定量の読み取り後、)前記録画再生開始要求信号を検出した以降に受信した映像情報の(一時記憶手段を介した)前記記録媒体に対する記録と、前記記録媒体に記録された映像情報の(一時記憶手段を介した)読み取りとを(交互に繰り返)させる制御部」に相当するものの、刊行物1発明では、「該映像情報の所定量の読み取り後」、「一時記憶手段を介した」記録と、「一時記憶手段を介した」読み取りとを「交互に繰り返」させるものでない。 (6-4)まとめ したがって、刊行物1発明の「視聴者の指示に応じて出力される前記再生指令ボタン24からの指令信号を検出した場合、前記駆動する手段を制御して前記再生ピックアップを記録位置から前記記録開始位置に移動させて記録情報の再生を実行させ、前記再生指令ボタン24からの指令信号を検出した以降に受信した映像・音声信号の前記ビデオディスクに対する記録と、前記ビデオディスクに記録された記録情報の再生とを同時にするように制御するCPU」は、本願発明の「使用者の指示に応じて出力される前記録画再生開始要求信号を検出した場合、前記位置付け部を制御して前記ヘッド部を(記録位置から)前記記録開始位置に移動させて記録済みの映像情報の読み取りを実行させ、(該映像情報の所定量の読み取り後、)前記録画再生開始要求信号を検出した以降に受信した映像情報の(一時記憶手段を介した)前記記録媒体に対する記録と、前記記録媒体に記録された映像情報の(一時記憶手段を介した)読み取りとを(交互に繰り返)させる制御部」に相当する。 もっとも、上記(2)及び(3)の相違に関連し、刊行物1発明では、ヘッド部が記録と読み取りとで兼用されていないため、制御部は、ヘッド部を「記録位置から」記録再生位置に移動させ、「該映像情報の所定量の読み取り後」、「一時記憶手段を介した」記録と、「一時記憶手段を介した」読み取りとを「交互に繰り返」させるものでない。相違が認められる。 (7)選択部 刊行物1発明の「ブラウン管やスピーカ」は、本願発明の「表示部」に相当するといえるから、刊行物1発明の「前記CPUからの指示に基づき、外部から受信した映像・音声信号の出力先を前記ビデオディスクとするか、ブラウン管やスピーカとするかを選択させる手段」は、本願発明の「前記制御部からの指示に基づき、外部から受信した映像情報の出力先を前記記録媒体とするか、表示部とするかを選択させる選択部」に相当する。 (8)録画再生終了の指示 刊行物1発明の「停止指令ボタン25からの指令信号」は、本願発明の「録画再生終了の指示」に相当するから、刊行物1発明の「前記ビデオディスクへの記録と再生とを同時にしているときに視聴者による停止指令ボタン25からの指令信号が検出された場合、前記CPUからの指示に基づきブラウン管やスピーカに出力する映像・音声信号を、前記選択させる手段により外部から受信した映像・音声信号に切り換える」は、本願発明の「前記記録媒体への記録と読み取りとを(交互に繰り返)しているときに使用者による録画再生終了の指示が検出された場合、前記制御部からの指示に基づき表示出力する映像情報を、前記選択部により外部から受信した映像情報に切り換える」に相当する。 もっとも、上記(6-4)の相違に関連し、刊行物1発明は、記録と読み取りとを「交互に繰り返」しているときに使用者による録画再生終了の指示を検出するものではない。相違が認められる。 3 一致点、相違点 本願発明と刊行物1発明との上記対比によれば、本願発明と刊行物1発明とは、 「受信した映像情報の記録媒体への記録と、該記録媒体に記録された映像情報の読み取りとを行う情報機器であって、 映像情報の記録と読み取りを行うヘッド部と、 前記ヘッド部を読み取り位置または記録位置に移動させる位置付け部と、 使用者の指示に応じたタイミングで、受信した映像情報の前記記録媒体における所定の記録開始位置からの記録を指示する記録開始信号及び前記位置付け部に対して該記録開始位置に上記ヘッドを位置づけて受信した映像情報の記録中に前記記録済映像情報の再生要求を行なう録画再生開始要求信号を出力する信号出力部と、 使用者の指示に応じて出力される前記録画再生開始要求信号を検出した場合、前記位置付け部を制御して前記ヘッド部を前記記録開始位置に移動させて記録済みの映像情報の読み取りを実行させ、前記録画再生開始要求信号を検出した以降に受信した映像情報の前記記録媒体に対する記録と、前記記録媒体に記録された映像情報の読み取りとをさせる制御部と、 前記制御部からの指示に基づき、外部から受信した映像情報の出力先を前記記録媒体とするか、表示部とするかを選択させる選択部と、 を備え、 前記記録媒体への記録と読み取りとをしているときに使用者による録画再生終了の指示が検出された場合、前記制御部からの指示に基づき表示出力する映像情報を、前記選択部により外部から受信した映像情報に切り換える ことを特徴とする情報機器。」の点で一致し、以下の点で相違している。 [相違点] 本願発明では、記録と読み取りとを「一時的な記憶手段を介して」行うとともに、ヘッド部が記録と読み取りを「兼用して」行うものであるので、 制御部は、ヘッド部を「記録位置から」記録再生位置に移動させ、「該映像情報の所定量の読み取り後」、「一時記憶手段を介した」記録と、「一時記憶手段を介した」読み取りとを「交互に繰り返」させるものであり、 記録と読み取りとを「交互に繰り返」しているときに使用者による録画再生終了の指示を検出するのに対し、 刊行物1発明では、記録と読み取りとを「一時的な記憶手段を介して行う」ものでなく、ヘッド部が記録と読み取りを「兼用して」行うものでないので、 制御部は、ヘッド部を「記録位置から」記録再生位置に移動させ、「該映像情報の所定量の読み取り後」、「一時記憶手段を介した」記録と、「一時記憶手段を介した」読み取りとを「交互に繰り返」させるものでなく、 記録と読み取りとを「交互に繰り返」しているときに使用者による録画再生終了の指示を検出するものではない点。 4 判断 上記相違点について検討する。 同一の記録媒体に対する記録と読み取りとを同時に行う場合、記録と読み取りとを「一時的な記憶手段を介して行う」と共に、共通のヘッド部が記録と読み取りを「兼用して」行い、「一時記憶手段を介した」記録と、「一時記憶手段を介した」読み取りとを「交互に繰り返」させることによって、同一の記録媒体に対する記録と読み取りとを見かけ上同時に行うことは周知(例えば、特開平5-47110号公報の段落【0009】?【0040】、特開平5-159301号の段落【0072】?【0085】、特開平5-109188号公報の段落【0023】?【0030】等参照)である。そして、上記周知の構成によって、構成の簡素化及びコストの低減化ができる(共通のヘッド部で記録と読み取りを兼用して行える)ので、刊行物1発明において、構成の簡素化やコストの低減化のために、上記周知の構成を採用することは当業者の通常の創作能力の発揮の範囲内である。 また、上記周知の構成を採用した場合、共通のヘッド部で記録と読み取りとを交互に行うので、記録動作後に読み取り動作を行う際、ヘッド部を(記録を行っていた)「記録位置から」(読み取りを行う)記録再生位置に移動させて記録済みの映像情報の読み取りを実行させ、「該映像情報の所定量の読み取り後」、記録と読み取りとを交互に繰り返すことは、当然得られる構成に過ぎない。 そして、使用者による録画再生終了の指示は、記録と読み取りとを交互に繰り返しているときに発生するものであるから、記録と読み取りとを「交互に繰り返」しているときに使用者による録画再生終了の指示を検出することも当然のことである。 よって、上記相違点に係る構成は当業者が容易になし得たものである。 5 効果等 本願発明の作用効果は、刊行物1及び周知技術から当業者が予測できる範囲のものである。 6 まとめ したがって、本願発明は、刊行物1に記載された発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 第四 むすび 以上のとおり、本願の請求項1に係る発明は、刊行物1に記載された発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 したがって、本願は、残る理由A及び請求項2ないし10に係る発明に対する理由Bについて検討するまでもなく、拒絶をすべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2008-09-11 |
結審通知日 | 2008-09-16 |
審決日 | 2008-09-24 |
出願番号 | 特願2005-113761(P2005-113761) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(H04N)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 豊島 洋介 |
特許庁審判長 |
新宮 佳典 |
特許庁審判官 |
奥村 元宏 岩井 健二 |
発明の名称 | 情報機器 |
代理人 | 本多 章悟 |
代理人 | 樺山 亨 |