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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 C22C |
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管理番号 | 1187814 |
審判番号 | 不服2007-6164 |
総通号数 | 109 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2009-01-30 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2007-03-01 |
確定日 | 2008-11-13 |
事件の表示 | 特願2002-332710「被削性に優れた時効硬化型高強度ベイナイト鋼部品およびその製造方法」拒絶査定不服審判事件〔平成16年6月17日出願公開、特開2004-169055〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続の経緯 本願は、平成14年11月15日の出願であって、平成19年1月24日付けで拒絶査定がされ、これに対し、同年3月1日に拒絶査定不服審判の請求がされたものである。 2.本願発明 本願に係る発明は、平成18年11月30日付け手続補正書により補正された明細書の特許請求の範囲の請求項1?3に記載されたとおりのものである。そのうちの請求項1に係る発明は次のとおりのものである。 「重量比にて,S:0.04?0.30%,V:0.30?1.00%,Ca:0.0005?0.0100%,Mg:0.0005?0.0100%を含有するベイナイト主体の組織を有する低合金鋼であって,面積率で30%以下(0%を含む)のフェライトパーライト,又はマルテンサイトを含む組織からなり,熱間鍛造後の時効処理により硬さをHv340以上としてなると共に上記時効処理後に切削加工を施してあることを特徴とする被削性に優れた時効硬化型高強度ベイナイト鋼部品。」(以下、「本願発明」という。) 3.原査定の理由の概要 原査定の理由の概要は、次のとおりのものである。 本願請求項1?3に係る発明は、その出願前頒布された下記刊行物1及び2に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 記 刊行物1:特開2000-17374号公報 刊行物2:特開2000-87179号公報 4.引用刊行物とその記載事項 原査定の理由で引用された刊行物1(特開2000-17374号公報)及び刊行物2(特開2000-87179号公報)には、それぞれ、次の事項が記載されている。 (1)刊行物1:特開2000-17374号公報 (1a)「【請求項1】化学組成が重量%で、C:0.06?0.20%、Si:0.03?1.00%、Mn:1.50?3.00%、Cr:0.50?2.00%、Mo:0.05?1.00%、Al:0.002?0.100%、V:0.51?1.00%、N:0.0080?0.0200%を含有し、残部Feおよび不可避不純物からなる鋼を1150?1300℃の加熱温度にて熱間圧延もしくは熱間鍛造後、800?500℃の温度範囲の平均冷却速度:CV(℃/min)を、40/(Mn%+0.8Cr%+1.2Mo%) ≦CV ≦ 500/(Mn%+0.8Cr%+1.2Mo%)として200℃以下の温度まで冷却することで硬さをHv400以下、組織をベイナイト率70%以上でかつ旧オーステナイト結晶粒径80μm以下とし、その後必要に応じて切削加工ないし塑性加工を加え、更にその後550?700℃の温度にて時効処理を施すことにより、降伏点もしくは0.2%耐力を900MPa以上とすることを特徴とする時効硬化型高強度ベイナイト鋼。 【請求項2】化学組成が重量%で、C:0.06?0.20%、Si:0.03?1.00%、Mn:1.50?3.00%、Cr:0.50?2.00%、Mo:0.05?1.00%、Al:0.002?0.100%、V:0.51?1.00%、N:0.0080?0.0200%を含有し、残部Feおよび不可避不純物からなる鋼を1150?1300℃の加熱温度にて熱間圧延もしくは熱間鍛造後、800?500℃の温度範囲の平均冷却速度:CV(℃/min)を、40/(Mn%+0.8Cr%+1.2Mo%) ≦CV ≦ 500/(Mn%+0.8Cr%+1.2Mo%)として200℃以下の温度まで冷却することで硬さをHv400以下、組織をベイナイト率70%以上でかつ旧オーステナイト結晶粒径80μm以下とし、その後必要に応じて切削加工ないし塑性加工を加え、更にその後550?700℃の温度にて時効処理を施すことにより、降伏点もしくは0.2%耐力を900MPa以上とすることを特徴とする時効硬化型高強度ベイナイト鋼の製造方法。 (中略) 【請求項5】化学組成が重量%で、S:0.04?0.12%、 Pb:0.01?0.30%、Bi:0.01?0.30%、Ca:0.0005?0.01%、 REM:0.001?0.10%から選択した1種または2種以上を含有することを特徴とする請求項1に記載の時効硬化型高強度ベイナイト鋼。 【請求項6】化学組成が重量%で、S:0.04?0.12%、 Pb:0.01?0.30%、Bi:0.01?0.30%、Ca:0.0005?0.01%、 REM:0.001?0.10%から選択した1種または2種以上を含有することを特徴とする請求項2に記載の時効硬化型高強度ベイナイト鋼の製造方法。」 (1b)「【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は自動車エンジンのクランクシャフト、コネクティングロッドのように、高い強度と優れた被削性を必要とする部品に最適な、熱間鍛造用時効硬化型ベイナイト鋼およびその鍛造品の製造方法を提供するものであり、自動車エンジン部品の軽量化を可能とする。」 (1c)「【0006】また、前記のような鋼の高強度化による軽量化に際しては、特に降伏強度(0.2%耐力)の向上が重要となるが、V量の高いベイナイト鋼を時効処理すると、一般の調質鋼および非調質鋼に比べて同一硬さでの0.2%耐力が高くなる、すなわち高い降伏比が得られることが知見された。よって前記のような時効前の切削加工は勿論、時効処理後に切削加工する場合においても、V量の高いベイナイト鋼では一般の調質鋼および非調質鋼に比べて、同一の0.2%耐力の値における硬さが低くできるので、被削性を向上させることが可能となる。」 (1d)「【0024】組織をベイナイト率70%以上と限定した理由は、V(CN)による必要十分な時効硬化特性を得るためであり、ベイナイト率が70%未満となってフェライト・パーライトやマルテンサイトの組織分率が増えると、必要十分な時効硬化特性が得られなくなる、即ち時効処理前の硬さが高くなってしまったり、時効処理後の硬さが低くなってしまったりする。なお、前記請求範囲内の組成の鋼を加熱温度1150?1300℃にて熱間圧延もしくは熱間鍛造後、前記限定条件にて冷却した場合に、ベイナイト率は70%以上となる。」 (1e)「【0030】 【実施例】下に本発明の実施例について、比較鋼および従来鋼との比較によって説明する。表1、2は、実施例に用いた供試材の化学成分を示すものである。 (【0031】【0032】略) 【0033】成分組成が表1からなる本発明鋼と表2からなる比較鋼(従来鋼を含む)を30kg真空溶解炉にて溶製し、1200℃でφ30mmへ鍛伸した。その後φ30mm材を、1200℃加熱、1050℃鍛造の条件にて15mm厚の板材に鍛造した後、室温まで空冷処理を行い、その後A?W鋼については600℃にて時効処理を行い、X、Y、Z鋼については880℃にて焼入れ後580℃にて焼戻し処理を行い、引張試験、小野式回転曲げ疲労試験、ドリル穿孔試験、ミクロ組織観察に用いた。なお、この場合の鍛造後の空冷時における800?500℃の温度範囲の平均冷却速度は、72℃/minであった。またA?W鋼については、上記以外に鍛造後空冷ままで時効処理しない状態でもドリル穿孔試験を行うとともに、硬さ試験を実施した。 【0034】引張試験はJIS14A号試験片を作製して引張速度1mm/secの条件で行い、0.2%耐力および引張強さを測定した。小野式回転曲げ疲労試験は平行部φ8の平滑試験片を作製して試験し、10^(7)回での疲労強度を求め、これと引張強さとの比率をとった耐久比(=10^(7)回疲労強度/引張強さ)でもって評価した。ドリル穿孔試験は、時効処理前、時効処理後のいずれの場合も、ドリルがφ6mmのストレートシャンク、ドリルの材質はSKH51、ドリル回転数は966rpm、潤滑油なし、荷重75kgの条件で行い、測定した結果は従来鋼であるZ鋼の穿孔距離を100とし、それぞれの穿孔距離を整数比で評価した。 【0035】硬さ試験については、時効処理前に行ったドリル穿孔試験用の試料を用い、ビッカース硬度計にて測定荷重10kgfで行った。ミクロ組織観察については、前記引張試験片の試験後のつかみ部を切断、研磨したものを試料として用い、光学顕微鏡にて倍率400倍で観察し、ベイナイト率ならびに旧オーステナイト結晶粒径を測定した。 【0036】各種試験評価結果を本発明鋼についてを表3、比較鋼(従来鋼を含む)についてを表4に示す。」 (1f)【表1】には、発明鋼として、鋼種I,K,M,Nの化学成分(重量%、Caはppm)が示されており、それぞれの、V,S,Ca含有量について、次のとおり表示されている。 I/V:0.60,S:0.054,Ca:25 K/V:0.69,S:0.045,Ca:19 M/V:0.58,S:0.056,Ca:5 N/V:0.55,S:0.050,Ca:13 (1g)【表3】には、発明鋼として、鋼種I,K,M,Nの引張強さ(MPa)、時効前の硬さ(Hv)、ベーナイト率(%)が示されており、それぞれの、引張強さ(MPa)、時効前の硬さ(Hv)、ベーナイト率(%)について、次のとおり表示されている。 I/1227,319,94 K/1235,320,92 M/1088,305,95 N/1100,308,92 (2)刊行物2:特開2000-87179号公報 (2a)「【請求項2】重量%で、C:0.10?0.65%、Si:0.03?1.00%、Mn:0.30?2.50%、S:0.03?0.35%、Al:0.005?0.060%、Ca:0.0005?0.020%、Mg:0.0005?0.020%を含有し、Cr:0.1?2.0%、Mo:0.05?1.00%、Ni:0.1?3.5%、V:0.01?0.50%から選択した1種または2種以上を含有し、残部Feおよび不可避不純物からなり、硫化物系の介在物としてMnS、CaS、MgS、(Ca、Mn)S、(Mg、Mn)Sの1種または2種以上を含有し、さらに(Ca、Mg)S、(Ca、Mg、Mn)Sの1種または2種を含有し、機械的性質の異方性が小さく、かつ被削性が優れる機械構造用鋼。」 (2b)「【0022】Mg:0.0005?0.020%、Mgは、Caと同様の効果を示し、Caと複合で存在させた場合に大きな被削性改善効果および機械的性質の異方性改善効果が得られる。その効果を得るためには少なくとも0.0005%以上必要であるが、必要以上に含有させてもその効果は飽和状態となり無駄であるのでMgの上限を0.020%とする。 【0023】Cr:0.1?2.0%、Mo:0.05?1.00%、Ni:0.1?3.5%、Cr、Mo、Niは、鋼の焼入性および靭性を向上させる元素で、これらの性質をさらに向上させる必要のある場合に添加する。その効果を得るためにCrは0.1%以上、Moは0.05%以上、Niは0.1%以上必要であり、多量に添加した場合には被削材の硬さが増加することから、被削性確保のためにはCrは2.0%以下、Moは1.00%以下、Niは3.5%以下とする必要がある。 【0024】V:0.01?0.50%、Vは、析出強化作用の強い元素であるので、焼入焼戻し処理を省略する場合に添加する。この効果を得るには0.01%以上必要であるが、0.50%を超えて含有させても効果は飽和するので上限を0.50%とする。」 5.当審の判断 (1)引用発明 原査定で引用された刊行物1の上記(1b)の「本発明は自動車エンジンのクランクシャフト、コネクティングロッドのように、高い強度と優れた被削性を必要とする部品に最適な、熱間鍛造用時効硬化型ベイナイト鋼およびその鍛造品の製造方法を提供するものであり、自動車エンジン部品の軽量化を可能とする。」という記載によれば、刊行物1には、被削性に優れた時効硬化型高強度ベイナイト鋼部品について記載されているといえる。 そして、この被削性に優れた時効硬化型高強度ベイナイト鋼部品は、(1a)の「【請求項1】化学組成が重量%で、C:0.06?0.20%、Si:0.03?1.00%、Mn:1.50?3.00%、Cr:0.50?2.00%、Mo:0.05?1.00%、Al:0.002?0.100%、V:0.51?1.00%、N:0.0080?0.0200%を含有し、残部Feおよび不可避不純物からなる鋼・・・時効硬化型高強度ベイナイト鋼。 (中略) 【請求項5】化学組成が重量%で、S:0.04?0.12%、 Pb:0.01?0.30%、Bi:0.01?0.30%、Ca:0.0005?0.01%、 REM:0.001?0.10%から選択した1種または2種以上を含有することを特徴とする請求項1に記載の時効硬化型高強度ベイナイト鋼。」という記載によれば、【請求項5】に記載の鋼のうち、選択成分として、S:0.04?0.12%、Ca:0.0005?0.01%を選択したものは、重量比にて,V:0.51?1.00%を含有し、S:0.04?0.12%,Ca:0.0005?0.01%を含有するベイナイト主体の組織を有する低合金鋼からなるものといえる。 また、(1d)の「組織をベイナイト率70%以上と限定した理由は、V(CN)による必要十分な時効硬化特性を得るためであり、ベイナイト率が70%未満となってフェライト・パーライトやマルテンサイトの組織分率が増えると、必要十分な時効硬化特性が得られなくなる、即ち時効処理前の硬さが高くなってしまったり、時効処理後の硬さが低くなってしまったりする。」という記載によれば、面積率で30%以下(0%を含む)のフェライトパーライト,又はマルテンサイトを含む組織といえる。 以上の記載及び認定事項を本願発明の記載ぶりに則って整理すると、刊行物1には、次のとおりの発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているといえる。 「重量比にて,S:0.04?0.12%,V:0.51?1.00%,Ca:0.0005?0.01%を含有するベイナイト主体の組織を有する低合金鋼であって,面積率で30%以下(0%を含む)のフェライトパーライト,又はマルテンサイトを含む組織からなる被削性に優れた時効硬化型高強度ベイナイト鋼部品。」 (2)本願発明と引用発明との対比 そこで、本願発明と引用発明とを対比すると、両者は、 「重量比にて,S:0.04?0.12%,V:0.51?1.00%,Ca:0.0005?0.01%を含有するベイナイト主体の組織を有する低合金鋼であって,面積率で30%以下(0%を含む)のフェライトパーライト,又はマルテンサイトを含む組織からなる被削性に優れた時効硬化型高強度ベイナイト鋼部品。」という点で一致し、次の点で相違しているといえる。 相違点(イ) ベイナイト主体の組織を有する低合金鋼が、本願発明は、「Mg:0.0005?0.0100%」を含有するのに対して、引用発明は、Mgを含有していない点 相違点(ロ) 本願発明は、「熱間鍛造後の時効処理により硬さをHv340以上としてなる」のに対して、引用発明は、熱間鍛造後の時効処理により硬さをHv340以上としてなるか否か不明である点 相違点(ハ) 本願発明は、「時効処理後に切削加工を施してある」のに対して、引用発明は、時効処理後に切削加工を施してあるか否か不明である点 (3)相違点についての判断 次に、これらの相違点について検討する。 (3-1)相違点(イ)について 刊行物2の(2a)の「重量%で、C:0.10?0.65%、Si:0.03?1.00%、Mn:0.30?2.50%、S:0.03?0.35%、Al:0.005?0.060%、Ca:0.0005?0.020%、Mg:0.0005?0.020%を含有し、Cr:0.1?2.0%、Mo:0.05?1.00%、Ni:0.1?3.5%、V:0.01?0.50%から選択した1種または2種以上を含有し、残部Feおよび不可避不純物からなり、硫化物系の介在物としてMnS、CaS、MgS、(Ca、Mn)S、(Mg、Mn)Sの1種または2種以上を含有し、さらに(Ca、Mg)S、(Ca、Mg、Mn)Sの1種または2種を含有し、機械的性質の異方性が小さく、かつ被削性が優れる機械構造用鋼。」という記載、及び(2b)の「Mgは、Caと同様の効果を示し、Caと複合で存在させた場合に大きな被削性改善効果および機械的性質の異方性改善効果が得られる。」という記載によれば、S:0.03?0.35%、Ca:0.0005?0.020%、Mg:0.0005?0.020%、V:0.01?0.50%含有する被削性が優れる機械構造用鋼において、MgをCaに複合添加し、被削性の向上を図ることが記載されており、また引用発明と刊行物2に記載のものとは、被削性に優れた機械構造用鋼である点で、技術分野が共通するから、引用発明の低合金鋼(機械構造用鋼ともいえる。)において、Caの添加に加え、更に大きな被削性改善効果を得るために、更にMgを添加することは、当業者が容易に想到することといえる。 してみると、この相違点(イ)は、刊行物2に記載の発明に基づいて当業者が容易に想到することといえる。 (3-2)相違点(ロ)について 本願発明の化学成分を満足する、引用発明の具体例である(1f)の【表1】の発明鋼I,K,M,Nの化学成分の鋼について、(1g)の【表3】の発明鋼I,K,M,Nの熱間鍛造後の時効処理(刊行物1の(1e)「1200℃でφ30mmへ鍛伸した。その後φ30mm材を、1200℃加熱、1050℃鍛造の条件にて15mm厚の板材に鍛造した後、室温まで空冷処理を行い、その後A?W鋼については600℃にて時効処理を行い、・・・引張試験・・・に用いた。」という記載を参照)した後の引張強さ(MPa)を「硬さ換算表(SAE J417)」(JISハンドブック1、鉄鋼I、2002年1月31日発行、1282?1283頁)により換算すると、Hv340は1070MPaに相当し、(1g)に示された、発明鋼I,K,M,Nの引張強さ(MPa)は、それぞれ1227,1235,1088,1100であって、いずれも1070(MPa)より大きく、Hv340以上といえるから、引用発明における鋼も熱間鍛造後の時効処理により硬さをHv340以上としてなるものといえる。 してみると、この相違点(ロ)は、実質的なものとはいえない。 (3-3)相違点(ハ)について 刊行物1の(1c)の「よって前記のような時効前の切削加工は勿論、時効処理後に切削加工する場合においても、V量の高いベイナイト鋼では一般の調質鋼および非調質鋼に比べて、同一の0.2%耐力の値における硬さが低くできるので、被削性を向上させることが可能となる。」という記載によれば、引用発明の鋼部品も時効処理後に切削加工を施されたものといえる。 してみると、この相違点(ハ)は、実質的なものとはいえない。 (4)小括 したがって、本願発明は、引用発明及び刊行物2に記載の発明に基づいて当業者が容易に発明することができたものといえる。 6.結び 以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、他の発明について検討するまでもなく、本願は、拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2008-09-10 |
結審通知日 | 2008-09-16 |
審決日 | 2008-09-30 |
出願番号 | 特願2002-332710(P2002-332710) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(C22C)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 小川 武 |
特許庁審判長 |
山田 靖 |
特許庁審判官 |
近野 光知 平塚 義三 |
発明の名称 | 被削性に優れた時効硬化型高強度ベイナイト鋼部品およびその製造方法 |
代理人 | 高橋 祥泰 |
代理人 | 高橋 祥泰 |
代理人 | 高橋 祥泰 |