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審決分類 審判 査定不服 特36条4項詳細な説明の記載不備 取り消して特許、登録 C09C
審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 取り消して特許、登録 C09C
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 C09C
審判 査定不服 1項3号刊行物記載 取り消して特許、登録 C09C
管理番号 1188305
審判番号 不服2004-17052  
総通号数 109 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2009-01-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2004-08-16 
確定日 2008-12-12 
事件の表示 特願2001-323485「構造変性された官能化ケイ酸」拒絶査定不服審判事件〔平成14年6月26日出願公開、特開2002-179946、請求項の数(3)〕についてした平成19年2月6日付けの審決に対し、知的財産高等裁判所において審決取消の判決(平成19年(行ケ)第10213号、平成20年9月29日判決言渡)があったので、更に審理の結果、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯

本願は、平成13年10月22日(パリ条約による優先権主張2000年10月21日 欧州特許庁(EP))の出願であって、平成16年1月20日付けで拒絶の理由が通知され、同年4月22日付けで手続補正がされたところ、同年5月14日付けで拒絶査定がされ、同年8月16日に拒絶査定に対する審判請求がされるとともに、同日付けで手続補正がされ、平成18年5月17日付けで当審において拒絶の理由が通知され、同年11月24日付けで意見書及び物件提出書が提出されたところ、平成19年2月6日付けで審判の請求は成り立たない旨の審決がされた。
これに対し、知的財産高等裁判所において審決取消の判決(平成19年(行ケ)第10213号、平成20年9月29日判決言渡)がされたものである。

第2 本願発明

本願の請求項1?3に係る発明は、平成16年4月22日付けの手続補正書及び同年8月16日付けの手続補正書により補正された明細書の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1?3に記載された事項により特定されるとおりの次のものと認める。

【請求項1】
「熱分解法により製造され、官能化され、機械的作用により構造変性された官能化ケイ酸において、表面上に固定された官能基を有し、その際、前記官能基は3-メタクリルオキシプロピルシリル及び/又はグリシジルオキシプロピルシリルであり、次の物理化学的特性データ:
BET表面積[m^(2)/g] 25?380
一次粒子径[nm] 6?45
突固め密度[g/l] 50?400
pH 3?10
炭素含有量[%] 0.1?15
DBP数[%] <200
を有することを特徴とする、構造変性された官能化ケイ酸。」
【請求項2】
「請求項1記載の構造変性された官能化ケイ酸の製造方法において、ケイ酸を、適した混合容器中で激しく混合しながら、場合により最初に水又は希酸、ついで表面変性試薬又は幾つかの表面変性試薬の混合物と共に噴霧し、場合により15?30分間後混合し、100?400℃の温度で1?6時間の期間に亘り熱処理し、ついで官能化されたケイ酸を機械的作用により破壊/圧縮し、場合によりミル中で後粉砕することを特徴とする、請求項1記載の構造変性された官能化ケイ酸の製造方法。 」
【請求項3】
「請求項1記載の構造変性された官能化ケイ酸からなる塗料の耐引っかき性を改善するための塗料添加剤。」

第3 前審決の概要

前審決の概要は、次の(i)、(ii)のとおりである。
(i)本願請求項1?3に記載された発明は、(1)BET表面積、(2)一次粒子径、(3)突固め密度、(4)pH、(5)炭素含有量、及び(6)DBP数の6つのパラメータの各々を「特許出願人が特許を受けようとする発明を特定するために必要と認める事項」とし、これら6つのパラメータの全部が本願請求項1に記載されるとおりの特定の数値範囲内にあることを必要不可欠としているところ、本願明細書の発明の詳細な説明に記載される実施例のものは、「AEROSIL200」の使用量が不明であるなど、出発原料や製造方法の具体的な詳細について明確かつ十分に開示されていないので、上記6つのパラメータの全部を同時に満たす「官能化ケイ酸」を製造するためには、当業者に期待しうる程度を越える試行錯誤を行う必要が生じることとなる。また、上記意見書の主張を参酌しても、「AEROSIL200」の使用量や「140℃で熱処理」する時間等の詳細については、依然として明らかにされていない。
よって、本願明細書の発明の詳細な説明は、当業者が本願請求項1?3に記載された発明の実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載されているとは認められず、特許法第36条第4項の規定に適合しない。
(ii)本願請求項2に記載された発明は、「1?6時間の期間に亘り熱処理」することを発明特定事項としているところ、本願明細書に記載された例1のものにおいては、熱処理の時間が記載されていないので、本願請求項2に記載された発明は、特許を受けようとする発明が発明の詳細な説明に記載したものではなく、特許法第36条第6項第1号の規定に適合しない。

第4 判示事項の概要

判決は、前審決の理由(ii)について、当業者の技術常識を踏まえると、本願明細書の実施例において熱処理の時間が記載されていないことを理由として、本願請求項2に記載された発明がサポート要件を満たさないとすることはできない、と判示し、前審決の理由(i)について、本願明細書の例1における熱処理において温度のみが記載され、時間が記載されていなくても、「140℃で熱処理」する時間が明らかにされてないことを理由として、本願明細書の発明の詳細な説明の記載が実施可能要件を満たさないとすることはできず、本願明細書の例1においてAEROSIL200の使用量が明らかにされていないことを理由として、本願明細書の発明の詳細な説明の記載が実施可能要件を満たさないとすることはできない、また、前記6つのパラメータの値を規定範囲内のものとし、これらのパラメータ値を同時に満たす官能化ケイ酸を製造することに特段の困難はない、と判示した。

第5 当審で通知した他の拒絶の理由について

判示された事項とは別に、当審で平成18年5月17日付けで通知した拒絶の理由は、さらに、(iii)本願請求項1に係る発明は、刊行物Bに記載された発明である、(iv)本願請求項1?3に係る発明は、本願出願前に頒布された刊行物である刊行物A?Gに記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである、というものを含んでいるので、これらの理由について判断する。
(iii)について
刊行物Bに記載された発明は、構造変性はされていないから、本願請求項1に係る発明が刊行物Bに記載された発明である、とはいえない。
(iv)について
拒絶の理由では、「本願請求項1?3に係る発明と刊行物A記載の発明とは、表面変性試薬が、前者においては、3-メタクリルオキシプロピルシリル及び/又はグリシジルオキシプロピルシリルを官能基として有する化合物であるのに対して、後者においては、具体的にはヘキサメチルジシラザンである点でのみ相違する。」としたうえで、「上記記載事項B-2、C-1及びD-1に示されるように、官能化ケイ酸を製造するために、3-メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシランや3-グリシドキシプロピルトリメトキシシランなどのシランカップリング剤を表面変性試薬として用いることは、刊行物B?Dなどに記載されるように普通に知られているから、刊行物Aに記載される発明のヘキサメチルジシラザンに代えて、周知慣用のシランカップリング剤を用いる構成にすることは、当業者にとって格別困難なことではない。」、「本願請求項1?3に係る発明に、格別予想外の顕著な作用効果の改善は認められない。」と示している。
しかしながら、刊行物Aに記載された「ヘキサメチルジシラザン」を「3-メタクリルオキシプロピルシリル及び/又はグリシジルオキシプロピルシリルを官能基として有する化合物」にすることが、拒絶の理由で示すとおり、当業者にとって格別困難なことではないとしても、本願請求項1?3に係る発明の効果を予測することはできない。
すなわち、本願明細書には、特に実施例において、「3-メタクリルオキシプロピルシリル及び/又はグリシジルオキシプロピルシリルを官能基として有する化合物」を用いたものが、従来技術である、例えば本願明細書の段落【0003】に記載された「ヘキサメチルジシラザン」を用いたものに比して、低粘稠化の効果に優れることが記載されているが、このことは、刊行物A?Gには記載も示唆もされておらず、技術常識であるということもできない。
そうしてみると、本願請求項1?3に係る発明について、刊行物A?Gに記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである、とはいえない。

第6 むすび

以上のとおり、本願について、前審決の理由及び当審で通知した他の拒絶の理由を検討しても、それらの理由によって拒絶すべきものとすることはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2007-01-24 
結審通知日 2007-01-26 
審決日 2008-11-28 
出願番号 特願2001-323485(P2001-323485)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (C09C)
P 1 8・ 536- WY (C09C)
P 1 8・ 113- WY (C09C)
P 1 8・ 537- WY (C09C)
最終処分 成立  
前審関与審査官 山田 泰之  
特許庁審判長 西川 和子
特許庁審判官 鈴木 紀子
杉江 渉
発明の名称 構造変性された官能化ケイ酸  
代理人 アインゼル・フェリックス=ラインハルト  
代理人 ラインハルト・アインゼル  
代理人 山崎 利臣  
代理人 矢野 敏雄  
代理人 久野 琢也  
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