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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G01V
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G01V
管理番号 1188332
審判番号 不服2006-23292  
総通号数 109 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2009-01-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2006-10-12 
確定日 2008-11-19 
事件の表示 特願2001-311168「地中埋設物探知装置」拒絶査定不服審判事件〔平成15年 4月23日出願公開、特開2003-121554〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯

本件出願は,平成13年10月9日の出願であって,平成18年9月11日付けで拒絶査定がなされ,これに対し,同年10月12日に拒絶査定不服審判の請求が行われるとともに,同年11月13日付けで手続補正が行われたものである。

第2 平成18年11月13日付け手続補正についての補正却下の決定

1 補正却下の決定の結論
平成18年11月13日付け手続補正を却下する。

2 補正却下の決定の理由
(1)平成18年11月13日付け手続補正(以下「本件補正」という。)の内容

本件補正は,本件補正前の特許請求の範囲の請求項1を以下のとおり補正することを含むものである。

ア 本件補正前の特許請求の範囲の請求項1

「【請求項1】
地面に対向させる基盤に取り付けられて地中の静電容量の変化を検出する静電容量センサと,
前記地中に目標埋設物が存在しないときの静電容量の変化に応じて基準の静電容量を予め記憶する基準値記憶手段と,
前記検出した静電容量の変化と前記記憶した静電容量とを比較して前記地中の目標埋設物の存在を検出する演算手段と,
該演算手段の信号を受けて前記目標埋設物の存在を知らせる所要手段とよりなる地中埋設物探知装置であって,
前記静電容量センサは,前記基盤の下面に同心環状に配置すると共に周方向において相互間に隙間を有した測定電極及びグランド電極であることを特徴とする地中埋設物探知装置。」

イ 本件補正後の特許請求の範囲の請求項1

「【請求項1】
地面に対向させる基板に取り付けられて地中の静電容量の変化を検出する静電容量センサと,
前記地中に目標埋設物が存在しないときの静電容量の変化に応じて基準の静電容量を予め記憶する基準値記憶手段と,
前記検出した静電容量の変化と前記記憶した静電容量とを比較して前記地中の目標埋設物の存在を検出する演算手段と,
該演算手段の信号を受けて前記目標埋設物の存在を知らせる所要手段とよりなる地中埋設物探知装置であって,
前記静電容量センサは,前記基板の下面に同心円環状に配置すると共に周方向において相互間に隙間を有した測定電極及びグランド電極であることを特徴とする地中埋設物探知装置。」

(2) 本件補正の適否について

本件補正は,本件補正前の請求項1に係る発明について,(a)「基盤」を「基板」に,(b)「同心環状」を「同心円環状」とそれぞれ補正するものである。

上記(a)の補正は誤記の訂正を目的とするものに該当し,また,上記(b)の補正は,「同心環状」の構成に「円」の環状であるという構成を新たに付加することにより,「同心環状」の構成をさらに限定的に減縮する補正であるから,本件補正は,限定的に減縮する上記(b)の補正を含む補正であり,平成18年改正前の特許法第17条の2第4項第2号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。

(3) 独立特許要件について

そこで,本件補正後の特許請求の範囲の請求項1に係る発明(以下,「本件補正発明」という)が,特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(平成18年改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか)について以下に検討する。

ア 引用刊行物記載の発明

原査定の拒絶の理由に引用された,本件出願前に頒布された刊行物である特開2001-264448号公報(以下,「引用刊行物1」という。)には,「静電容量式検出装置及び自己診断装置」に関する発明が記載されており,図面とともに次の事項が記載されている。

(ア)「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は,静電容量式のセンサーを備えた静電容量式検出装置及びこの静電容量式検出装置のための自己診断装置に関するものである。」

(イ)「【0004】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため本発明に係る静電容量式検出装置は,接地部に対向配置される電極と,前記電極と前記接地部の間の静電容量の変化を検出する検出回路とを備えたことを特徴とするものである。【0005】この検出装置に用いられるセンサーは,電極と接地部の間の静電容量の変化を検出するものである。電極と接地部の間に,人や物体が侵入すると静電容量が変化するので,これを検出回路により検出することにより,人や物体の侵入等を検出することができる。つまり,非接触式のセンサーである。また,電極と接地部の大きさを十分にとることにより,容易に検出エリアを拡大することができる。その結果,検出エリアを十分確保することができる非接触のセンサーを用いた検出装置を提供することができる。」

(ウ)「【0012】本発明の第4の実施形態として,プローブ本体を備え,このプローブ本体の先端部に前記電極が配置されており,前記検出回路は,土中等に存在する特定物体を検出可能に構成されているものがあげられる。この構成によると,例えば,土中に存在する地雷の検出等を行うことができる。」

(エ)「【0027】
【発明の実施の形態】本発明の好適な実施形態を図面を用いて説明する。図1は,静電容量センサーを用いた静電容量式検出装置の検出原理を説明する図である。図1(a)において,電極10と,圧延装置の圧延ロール13とが向かい合うように配置されている。また,圧延ロール13は接地されている。この電極10と圧延ロール13の間の領域が検知領域であり,人の手の侵入等を検出する。電極10の裏側,すなわち検知領域とは反対側にはガード板11が比較的小さな間隔でもって電極10に対して平行に配置されている。ガード板11は,ステンレス鋼,銅,アルミニウム等の良導体からなり,電極10の全面を完全に覆うことのできる寸法形状を有している。以上のように構成された電極10と接地された圧延ロール13との間で,静電容量結合を生じ,この間に人体の一部が入ることにより,この静電容量が変化することになる。【0028】以上のように構成された静電容量センサーにより静電容量の変化を検出するため,検出回路42に接続されている。すなわち,電極10は,同軸ケーブル12の中心導体により検出回路42の入力端子P1に接続し,ガード板11は,同軸ケーブル12のシールドにより検出回路42の入力端子P2に接続されている。検出回路42は,いわゆるインピーダンスブリッジを用いたもので(図1(b)の原理図を参照),4辺ブリッジのうち,2辺に測定電源e1,e2が接続されている。また,4辺ブリッジのうち1辺は電極10と圧延ロール13により構成される静電容量となっており,残る1辺には平衡静電容量CBが設けられている。測定電源e1,e2の間の端子P2と接地部との間に出力アンプ14が設けられている。また,自己診断を行うための補助電極40が設けられており,スイッチ41はこの補助電極40を機能させるためのものである。これについては後述する。」

(オ)「【0031】ここで,図2に示す回路の動作を説明する。電極10と圧延ロール13の間に空気のみが存在する状態で測定電源e1,e2を投入すると,電源e1から静電容量C1を通って流れる電流は,測定電源e1の電圧がZe1×i1よりも十分に大きい場合には,インピーダンスZiにはほとんど流れず無視できる。また,静電容量Coを通って流れる電流は,静電容量C1とインピーダンスZiに分かれる。このとき,1/(ωC1)がZiよりも十分に大きい場合,電流i1のほとんどがインピーダンスZiに流れる。電圧e1とe2が同一電圧で,測定電源e2から,静電容量CBを通って流れる電流i2は,電流i1に等しく位相差が180゜とした場合,インピーダンスZiの電流はゼロとなる。いま,電極10と圧延ロール13との間に接地された誘電体が入りこむと,誘電体の比誘電率に応じた量だけCoが増加する。この増加分をΔCとすると,電流i1は,e1ωΔCだけ増加し,インピーダンスZiに電流が流れ,信号として出力される。また,誘電体が接地されておらず,いわゆるフローティングの場合でも静電容量Coが増加し,Ziに同様に電流が流れる。」

(カ)「【0033】<応用例1>本発明に係る静電容量式検出装置を種々の産業分野に応用した例を説明する。以下説明する各応用例においては、基本的に電極10の配置のみを示す。【0034】図3は、ベルトコンベア20により搬送されるアルミ缶(スチール缶でも可)Kをビン・ペットボトルBから分別するための装置である。アルミの比誘電率がビンやペットボトルの比誘電率とは異なると言う原理に基づくものである。搬送されるアルミ缶等の物体の上方に、電極10が配置されている。また、ベルトコンベア20は接地されている。電極10と接地部の間にアルミ缶Kが来たことが検出されると、シリンダ21を作動させて、アルミ缶Kを回収用器22に回収する。図3の例では、搬送経路の上方に電極10が配置されているが、搬送経路の左側や右側に電極10を配置するようにしても良い。また、床面を接地部としても良い。
【0035】その他の変形例として、逆にビンやペットボトルのみを分別して回収するようにしても良い。いろいろな種類の素材が混在した状態で、ベルトコンベアに搭載されて搬送される場合に、特定の素材のみを分別できるような検出装置にすることができる。図3の例では、金属と非金属とを分別するものであったが、非金属の中でも特定の非金属素材のみを分別できるように構成することもできる。例えば、テフロン(登録商標)の比誘電率は2.0、PETの比誘電率は3.1?3.2、軟質塩化ビニルの比誘電率は5.0?9.0であることから、これらの比誘電率の違いに着目して、特定の樹脂のみを分別できるような検出装置を構成することもできる。」

(キ)【0037】<応用例3>図5は,地雷検出器に応用した例であり,プローブ本体23の先端部に電極10が配置されている。土中に地雷24(特定物体に相当する。)が存在すると,電極10と接地部(大地)により構成される静電容量が変化するので,地雷の存在を探索して検出することができる。【0038】その他の変形例として、多種類のごみが混在したごみ捨て場から、特定の種類の金属や樹脂を探索する場合にも応用できる。また、土中ではなく、コンクリート内や水面下における特定物体の探索にも応用できる。」

(ク)「【0044】ベランダのほかに玄関の入口、窓、門、煙突等の出入口部に設けても良い。また、エレベータの扉(出入口部に相当する。)に設けても良い。家の中の、特定の部屋の出入口(ドア等)に設けても良い。図10は、玄関31に設けた例である。玄関31のドアの外側に電極10を設けることにより、玄関31の前に人が存在していることを検出することができる。これにより、呼び鈴が押されなくても、室内の居住者は訪問者が来たことを知ることができる。また、玄関31の内側に電極10を設けることにより、外部から人が入ってきたことを検出することができ、室内の照明を自動点灯させたり、警報を鳴らしたりすることができる。図10の場合は、電極10を玄関31の幅方向に沿って細長にしておき、その電極10の周辺の床面を接地部とする。この電極10を人がまたぐことにより、静電容量が変化する。」

(ケ)図5には,プローブ本体23の先端には,電極10を大地に対して対向して配置するための先端部が存在することが示されている。

上記(ア)?(ケ)の記載を参照すると,上記引用刊行物1には,
「プローブ本体の先端部に大地に対向するように配置される電極を備え,該電極と接地部(大地)により構成される静電容量の変化を検出する静電容量センサーと,前記電極と接地部(大地)により構成される静電容量について,土中に特定物体がない状態の静電容量C_(0)に対して,特定物体(地雷,特定の種類の金属や樹脂等)の存在により静電容量ΔCの変化が生じることを検出し,検出信号を出力する出力アンプを備えた検出回路とを有する土中特定物体探索器。」の発明(以下「引用刊行物1記載の発明」という。)が記載されている。

イ 本件補正発明についての対比・判断

(ア)本件補正発明と引用刊行物1記載の発明とを対比する。

a 引用刊行物1記載の発明の(a)「静電容量センサー」,(b)「特定物体(地雷,特定の種類の金属や樹脂等)」,(c)「土中」,(d)「土中特定物体探索器」は,それぞれ本件補正発明の(a)「静電容量センサ」,(b)「目標埋設物」,(c)「地中」,(d)「地中埋設物探知装置」に相当する。

b 引用刊行物1記載の発明の「電極」は,接地部(大地)とともに静電容量センサにおける静電容量を構成する電極であるから,本件補正発明における「測定電極」に相当する。

c 引用刊行物1記載の発明における「電極と接地部(大地)により構成される静電容量の変化」は,本件補正発明における「地中の静電容量の変化」に相当する。

d 引用刊行物1記載の発明の「検出信号を出力する出力アンプ」は,上記(ク)に摘記したように,警報等の特定物体の存在を知らせる所要手段に出力するものであることは明らかであるから,引用刊行物1記載の発明が特定物体の存在を知らせる所要手段,すなわち,本件補正発明と同様に「目標埋設物の存在を知らせる所要手段」を有することは明らかである。

e 引用刊行物1記載の発明の「接地部(大地)」と,本件補正発明における「グランド電極」とは,「静電容量を構成するグランド側要素」であるという点で共通するものである。

f 引用刊行物1記載の発明の「プローブ本体の先端部」と,本件補正発明における「基板」とは,「センサ取付部材」である点で共通するものである。

g 引用刊行物1記載の発明における「電極と接地部(大地)により構成される静電容量について,土中に特定物体がない状態の静電容量C_(0)に対して,特定物体(地雷,特定の種類の金属や樹脂等)の存在により静電容量ΔCの変化が生じることを検出し,検出信号を出力する出力アンプを備えた検出回路」においては,土中に特定物体が存在しないときの静電容量センサーの静電容量と,土中に特定物体が存在することにより生じる変化ΔCに基づいて前記特定物体を検出しているから,本件補正発明における「地中に目標埋設物が存在しないときの静電容量の変化に応じて基準の静電容量を予め記憶する基準値記憶手段」及び「前記検出した静電容量の変化と前記記憶した静電容量とを比較して前記地中の目標埋設物の存在を検出する演算手段」とは,「地中に目標埋設物が存在しないときの前記静電容量センサの基準の静電容量と比較して,前記検出した静電容量に生じる変化にもとづいて前記地中の目標埋設物の存在を検出する検出手段」であるという点で共通するものである。

そうすると,本件補正発明と引用刊行物1記載の発明とは,
「地面に対向させるセンサ取付部材に取り付けられて地中の静電容量の変化を検出する静電容量センサと,
前記地中に目標埋設物が存在しないときの前記静電容量センサの基準の静電容量と比較して,前記検出した静電容量に生じる変化にもとづいて前記地中の目標埋設物の存在を検出する検出手段と,
該検出手段の信号を受けて前記目標埋設物の存在を知らせる所要手段とよりなる地中埋設物探知装置であって,
前記静電容量センサは,測定電極及び該測定電極とともに静電容量センサにおける静電容量を構成するグランド側要素からなる地中埋設物探知装置。」である点で一致し,次の点で相違している。

(相違点1)
測定電極及びグランド側要素を有し,地中の静電容量の変化を検出する静電容量センサが,本件補正発明においては,「基板の下面に同心円環状に配置すると共に周方向において相互間に隙間を有した測定電極及びグランド電極」により構成され,センサ取付部材である前記「基板」に取り付けられているのに対して,引用刊行物1記載の発明においては,「電極」と「接地部(大地)」により構成され,センサ取付部材である「プローブ本体の先端部」に配置されている点。

(相違点2)
地中に目標埋設物が存在しないときの前記静電容量センサの基準の静電容量と比較して,前記検出した静電容量に生じる変化にもとづいて前記地中の目標埋設物の存在を検出する検出手段が,本件補正発明においては,「前記地中に目標埋設物が存在しないときの静電容量の変化に応じて基準の静電容量を予め記憶する基準値記憶手段」と,「前記検出した静電容量の変化と前記記憶した静電容量とを比較して前記地中の目標埋設物の存在を検出する演算手段」であるのに対して,引用刊行物1記載の発明においては,「電極と接地部(大地)により構成される静電容量について,土中に特定物体がない状態の静電容量C_(0)に対して,特定物体(地雷,特定の種類の金属や樹脂等)の存在により静電容量ΔCの変化が生じることを検出し,検出信号を出力する出力アンプを備えた検出回路」である点。

(イ)当審の判断

(イー1)上記相違点1について判断する。

測定対象の静電容量の変化を検出する静電容量センサにおいて,「基板に設けられ,同心円環状に配置すると共に周方向において相互間に隙間を有した複数の電極」により静電容量を検出する静電容量センサは,例えば,特開昭56-157848号公報2頁左上欄1-14行,図4,特開昭60-169719号公報3頁右上欄11-20行,図12,特表2000-510408号公報27頁7-26行,図21等に示されるように周知であるから,引用刊行物1記載の発明の静電容量センサにおける測定電極及びグランド側要素として,上記周知技術の「基板に設けられ,同心円環状に配置すると共に周方向において相互間に隙間を有した複数の電極」を用い,静電容量センサを構成することは,当業者が容易に想到し得ることである。そして周知技術を用いて静電容量センサを構成すれば,該静電容量センサが「基板」に取り付けられることは明らかである。

(イー2)上記相違点2について判断する。

引用刊行物1記載の発明における上記検出回路は,基準の静電容量と検出された静電容量との比較結果を出力する比較回路である。一般に,比較回路を,基準値を記憶する記憶手段及び前記基準値と比較して結果を演算する演算手段より実現する技術は周知であり,引用刊行物1記載の発明における上記検出回路を,上記周知技術のように記憶手段及び演算手段により実現することは当業者が適宜なし得ることである。

そして,本件補正発明の効果は,上記引用刊行物1記載の発明及び周知の技術事項から予測される範囲内のものであって,格別のものではない。

したがって,本件補正発明は,引用刊行物1記載の発明及び周知の技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

(4)補正却下の決定についてのむすび

以上のとおりであるから,本件補正は,平成18年改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するものであり,同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明について

1 本願発明

平成18年11月22日付けの手続補正は上記のとおり却下されるものとなったので、本願の請求項1?5に係る発明は、平成18年8月22日付け手続補正書により補正された明細書の特許請求の範囲の請求項1?5に記載された事項により特定されるとおりのものであって、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、上記「第2 2(1)ア」に記載したように、以下のとおりのものである。

「【請求項1】
地面に対向させる基板に取り付けられて地中の静電容量の変化を検出する静電容量センサと,
前記地中に目標埋設物が存在しないときの静電容量の変化に応じて基準の静電容量を予め記憶する基準値記憶手段と,
前記検出した静電容量の変化と前記記憶した静電容量とを比較して前記地中の目標埋設物の存在を検出する演算手段と,
該演算手段の信号を受けて前記目標埋設物の存在を知らせる所要手段とよりなる地中埋設物探知装置であって,
前記静電容量センサは,前記基板の下面に同心環状に配置すると共に周方向において相互間に隙間を有した測定電極及びグランド電極であることを特徴とする地中埋設物探知装置。」

なお、上記「第2 2 (2)」の「本件補正の適否について」に記載したように、「基盤」は「基板」の誤記と認められるので、本願発明を上記のように認定した。

2 引用刊行物の記載事項

原査定の拒絶の理由に引用された引用刊行物の記載事項は上記「第2 2(3)ア」に記載したとおりである。

3 対比・判断

本願発明は、上記「第2 2(3)イ」で検討した本件補正発明から、「同心環状」の環状の構成が「円」の環状であるとの限定を削除したものに相当する。

そうすると、本願発明を限定した本件補正発明が、前述のとおり、上記引用刊行物1記載の発明及び周知の技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により引用刊行物1記載の発明及び周知の技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

4 むすび

以上のとおり、本願発明は、引用刊行物1記載の発明、引用刊行物2記載の発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、その他の請求項に係る発明について言及するまでもなく、本件出願は拒絶されるべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2008-09-24 
結審通知日 2008-09-25 
審決日 2008-10-08 
出願番号 特願2001-311168(P2001-311168)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G01V)
P 1 8・ 575- Z (G01V)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 本郷 徹  
特許庁審判長 後藤 時男
特許庁審判官 秋田 将行
秋月 美紀子
発明の名称 地中埋設物探知装置  
代理人 須藤 雄一  

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