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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G01C
審判 査定不服 特17条の2、3項新規事項追加の補正 特許、登録しない。 G01C
管理番号 1188336
審判番号 不服2007-3585  
総通号数 109 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2009-01-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2007-02-06 
確定日 2008-11-19 
事件の表示 平成 9年特許願第315273号「地図表示装置、地図表示方法及び記録媒体」拒絶査定不服審判事件〔平成11年 6月 2日出願公開、特開平11-148834〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成9年11月17日の出願であって、平成19年1月9日付で拒絶査定がなされ、これに対し、同年2月6日に拒絶査定に対する審判請求がなされると共に、同日付で手続補正(以下、「本件補正」という。)がなされたものである。

2.本件補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
本件補正を却下する。

[理由]
(1)補正の内容
本件補正は、特許請求の範囲の請求項1を、
「地図データを記憶する地図記憶手段と、
上記地図データにおける出発地点及び目的地点を指定する指定手段と、
上記地図記憶手段が記憶している地図データを用い、上記指定手段で指定された出発地点から目的地点に至る経路を計算する経路計算手段と、
この経路計算手段で得た経路に、上記目的地点を起点とした第一の一定間隔で、上記目的地点までの残距離が音声案内されることとなる第一のポイント記号を付して表示するとともに、上記経路に、上記第一のポイント記号を起点とした上記第一の一定間隔よりも短い第二の一定間隔で、上記目的地点までの残距離が音声案内されることのない第二のポイント記号を、上記第一のポイント記号と識別可能に付して表示する表示手段と
を具備したことを特徴とする地図表示装置。」
と補正する補正事項を含むものである。

(2)補正事項の検討
上記補正事項によれば、補正後の請求項1に係る発明(以下、「補正後発明」という。)は、「第一のポイント記号を起点とした第一の一定間隔よりも短い第二の一定間隔」で「第二のポイント記号」を付して表示するものとなる。
ここで、「第一の一定間隔よりも短い第二の一定間隔」という関係には、「第一の一定間隔」が「第二の一定間隔」の整数倍である場合のみならず任意の大きさとされている場合も含まれることになるため、補正後発明には、「第一の一定間隔」が「第二の一定間隔」の整数倍であって、「第二のポイント記号」の複数個に1個が「第一のポイント記号」として設定し得る場合のもののみならず、「第一の一定間隔」が「第二の一定間隔」の任意の大きさであって、「第二のポイント記号」の複数個に1個を「第一のポイント記号」として設定し得ない場合のものも含まれることになると解される。
さらに、補正後発明は、「第一のポイント記号」の「第一の一定間隔」が「目的地点を起点」としているのに対し、「第二のポイント記号」の「第二の一定間隔」は、目的地点ではなく「第一のポイント記号を起点」としているものであると解される。

一方、願書に最初に添付した明細書又は図面(以下、「当初明細書等」という。)には、段落【0038】に「さらにこの誘導経路GRにおいて、例えば白丸の記号を用いて目的地までの残走行距離案内としてのポイントマークPM,PM,…を設定した一定間隔、例えば地図中の1km毎に表示すると共に、これらポイントマークPM,PM,…の複数個、例えば10個に1個を黒丸の記号を用いた音声案内ポイントマークVM,VM,…として設定して表示している。」と記載されている。
この記載によれば、「白丸の記号を用いて目的地までの残走行距離案内としてのポイントマークPM,PM,…を設定した一定間隔」が補正後発明の「第二のポイント記号」の「第二の一定間隔」に相当し、同様に、「これらポイントマークPM,PM,…の複数個、例えば10個に1個を黒丸の記号を用いた音声案内ポイントマークVM,VM,…として設定」したものが「第一のポイント記号」の「第一の一定間隔」に相当することから、「第二のポイント記号(ポイントマークPM)」の複数個(例えば10個)に1個が「第一のポイント記号(音声案内ポイントマークVM)」として設定・表示されることになり、このような設定・表示は、補正後発明の「第一の一定間隔よりも短い第二の一定間隔」で「第二のポイント記号」を付して表示することと符合している。
さらに、当初明細書等の【図4】には、ポイントマークPM及び音声案内ポイントマークVMがいずれも目的地を起点として表示された態様が示されていることから、「第一のポイント記号(音声案内ポイントマークVM)」に関しては、補正後発明の「第一のポイント記号」の「第一の一定間隔」が「目的地点を起点」としていることと符合している。

しかしながら、当初明細書等には、「第一の一定間隔」が「第二の一定間隔」の任意の大きさであって、「第二のポイント記号」の複数個に1個を「第一のポイント記号」として設定し得ない場合に関する事項や、「第二のポイント記号」の「第二の一定間隔」が、目的地点を起点とするのではなく「第一のポイント記号を起点」とした場合に関する事項について、何等の記載及び示唆もされていない。
また、これらの事項が、当初明細書等の記載から、当業者に自明であるとも、当初明細書等に記載されていたに等しい事項であるともいえない。
したがって、上記補正事項を含む補正は、当初明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものとは認められない。

なお、当審における平成20年4月25日付の審尋に対し、請求人は、平成20年6月26日付の回答書を提出し、上記補正事項中の「上記第一のポイント記号を起点とした上記第一の一定間隔よりも短い第二の一定間隔で、上記目的地点までの残距離が音声案内されることのない第二のポイント記号を・・・表示する」との事項は、段落【0038】及び【図4】に記載されたものと実質的に同一であるか、当初明細書等の記載から自明である旨主張しているが、この点に関しては上述したとおりであり、請求人の主張は採用できない。

よって、上記補正事項を含む補正は、平成18年改正前特許法第17条の2第3項の規定に適合しないものである。

(3)むすび
以上のとおり、本件補正は、平成18年改正前特許法第17条の2第3項の規定に違反するものであり、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下を免れない。

3.本願の発明について
本件補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、同項記載の発明を「本願発明」という。)は、平成18年4月17日付手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。
「地図データを記憶する地図記憶手段と、
上記地図データにおける出発地点及び目的地点を指定する指定手段と、上記地図記憶手段が記憶している地図データを用い、上記指定手段で指定された出発地点から目的地点に至る経路を計算する経路計算手段と、
この経路計算手段で得た経路に上記目的地点を起点とした一定間隔のポイント記号を付して表示する表示手段と
を具備したことを特徴とする地図表示装置。」

(1)引用例
これに対し、原査定の拒絶の理由に引用された特開平9-222330号公報(以下、「引用例」という。)には、図面と共に次の事項が記載されている。

・「【0001】
【発明の属する技術分野】この発明はナビゲーション装置に係り、詳しくは表示装置の画面上に表示された経路(道路)に沿って距離スケール(距離目盛)を表示することで、進路変更地点や目的地等までの距離を直感的にかつ正確に認識できるようしたナビゲーション装置に関するものである。」

・「【0010】
【発明の実施の形態】以下この発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。図1はこの発明に係るナビゲーション装置のブロック構成図である。ナビゲーション装置1は、地図データ記憶手段2と、自車位置検出手段3と、経路設定手段4と、地図表示制御手段5と、目盛表示制御手段6と、目盛表示形態指定手段7と、経路誘導手段8と、音声合成出力装置9と、画像合成手段10と、画像表示装置11とからなる。」

・「【0013】経路設定手段4は、図示しない操作部から目的地や必要に応じて経由地,出発地が入力されると、地図データ記憶手段2に記憶されている道路地図データを参照して、指定された出発地または車両の現在位置から目的地へ至る経路を自動設定し、設定した誘導経路データ4aを出力する。」

・「【0019】図2は目盛表示制御手段の一具体例を示すブロック構成図である。目盛表示制御手段6は、目盛表示範囲設定手段61と、目盛表示道路抽出手段62と、目盛幅・基準点設定手段63と、目盛作画手段 64とからなる。目盛表示道路抽出手段62は、交差点・進路変更地点抽出手段65と、目的地・経由地抽出手段66と、指定距離範囲抽出手段67とを備える。」

・「【0026】目盛幅・基準点設定手段63は、目盛基準点を自車位置とするか否かの目盛基準点データ77に基づいて距離を示す目盛の基準点を設定するとともに、目盛表示幅指定データ78に基づいて距離目盛を何メートル毎に表示するかの設定を行なう。目盛幅・基準点設定手段63は、目盛表示幅指定がなされていない時は、表示地図縮尺データ50に対応して予め設定した目盛表示幅を指定する。」

・「【0032】誘導経路が設定されており、目盛表示形態指定手段7によって、次の進路変更地点を基準として自車位置までの間に目盛を表示することが指定された場合、目盛表示制御手段6は、図6に示すように、次の進路変更地点から自車位置の間に距離を示す目盛Mを表示させる。なお、目的地や経由地が表示画面上に表示されている状態で、目的地や経由地を基準として自車位置までの間に目盛を付けることが指定された場合、目盛表示制御手段6は、目的地や経由地から自車位置まで誘導経路に沿って距離を示す目盛を表示させる。」

これらの記載事項及び図示内容を総合すると、引用例には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認めることができる。
「道路地図データを記憶する地図データ記憶手段と、
目的地や出発地を入力する操作部と、上記地図データ記憶手段が記憶している道路地図データを参照し、上記操作部で指定された出発地から目的地に至る経路を自動設定する経路設定手段と、
この経路設定手段で得た経路に沿って上記目的地を基準とした距離を示す目盛を表示する目盛表示制御手段と
を具備したナビゲーション装置。」

(2)対比
そこで、本願発明と引用発明とを対比すると、その機能・作用からみて、後者における「道路地図データ」が前者における「地図データ」に相当し、以下同様に、「地図データ記憶手段」が「地図記憶手段」に、「目的地や出発地を入力する操作部」が「地図データにおける出発地点及び目的地点を指定する指定手段」に、「道路地図データを参照し」が「地図データを用い」に、「出発地から目的地」が「出発地点から目的地点」に、「自動設定」が「計算」に、「経路設定手段」が「経路計算手段」に、「経路に沿って」が「経路に」に、「ナビゲーション装置」が「表示手段」に、それぞれ相当している。
また、後者の「目盛」は一定間隔で印されたものであるから、後者の「目的地を基準とした距離を示す目盛を表示する目盛表示制御手段」と前者の「目的地点を起点とした一定間隔のポイント記号を付して表示する表示手段」とは、「目的地点を起点とした一定間隔の印を付して表示する表示手段」との概念で共通している。

したがって、両者は、
「地図データを記憶する地図記憶手段と、
上記地図データにおける出発地点及び目的地点を指定する指定手段と、上記地図記憶手段が記憶している地図データを用い、上記指定手段で指定された出発地点から目的地点に至る経路を計算する経路計算手段と、
この経路計算手段で得た経路に上記目的地点を起点とした一定間隔の印を付して表示する表示手段と
を具備した地図表示装置。」
の点で一致し、以下の点で相違している。
[相違点]
一定間隔の印に関し、本願発明は「ポイント記号」であるのに対し、引用発明は「目盛」である点。

(3)判断
上記相違点について以下検討する。
まず、本願発明において、一定間隔の印を「ポイント記号」として表示することの技術的意義を検討するに、本願明細書の段落【0006】の「本発明は上記のような実情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、誘導経路上の任意のポイントから目的地点に至るまでの残走行距離を容易に知ることができる・・・地図表示装置、地図表示方法及び記録媒体を提供することにある。」なる記載によれば、残走行距離を容易に知ることができるところにあるものと解される。
なお、本願明細書の段落【0038】及び【図4】には、「白丸の記号」や「黒丸の記号」が具体的な「ポイント記号」として記載されているものの、かかる「ポイント記号」の具体的な形状に基づく技術的意義については、本願明細書及び図面に記載ないし示唆されていない。
一方、引用例には、【図14】に「距離目盛に当たる間隔部」を表示するようにした実施例が示されているように、距離目盛そのものでなく、距離目盛に相当する他の印でも実施し得ることが示唆されている。
そうすると、引用発明において、「目的地等までの距離を直感的にかつ正確に認識できる」(引用例の【0001】参照。)との課題(本願発明の「残走行距離を容易に知ることができる」との課題に相当。)の下に、目盛を他の印の一種である「ポイント記号」に改変することは、当業者が必要に応じて適宜なし得る設計的事項というべきである。

そして、本願発明の全体構成により奏される作用効果も、引用発明から当業者が予測し得る範囲内のものである。
したがって、本願発明は、引用発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。

(4)むすび
以上のとおりであって、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないため、本願は拒絶をすべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2008-09-04 
結審通知日 2008-09-09 
審決日 2008-09-24 
出願番号 特願平9-315273
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G01C)
P 1 8・ 561- Z (G01C)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 本庄 亮太郎  
特許庁審判長 田中 秀夫
特許庁審判官 田良島 潔
谷口 耕之助
発明の名称 地図表示装置、地図表示方法及び記録媒体  

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