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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A45C
管理番号 1188520
審判番号 不服2006-21262  
総通号数 109 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2009-01-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2006-09-21 
確定日 2008-11-27 
事件の表示 特願2001-105091号「携帯用物品に取り付けるストラップ」拒絶査定不服審判事件〔平成14年10月8日出願公開、特開2002-291515号〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯・本願発明

本願は、平成13年4月3日の出願であって、平成18年8月25日に拒絶査定がなされ、これに対し、同年9月21日に拒絶査定不服審判の請求がなされたものであり、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、出願時の明細書及び図面の記載からみて、特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
「芯糸入りの細めの組紐状物からなるU字状ループ部(a)と前記(a)の組紐状物より太い組紐状物または袋織紐状物からなるU字状ループ部(b)とが、(a)と(b)の結合部分に存在する樹脂ジョイント部(c)を介して互いにほぼ反対方向に伸びている携帯用物品に取り付けて使用するためのストラップであり、(a)の芯糸及び組紐状物、(b)の組紐状物または袋織紐状物がいずれもポリ乳酸繊維からなり、(c)のジョイント部を形成する樹脂が、ポリ乳酸樹脂からなることを特徴とする生分解性ストラップ。」

2.引用例の記載事項

これに対して、原査定の拒絶の理由で引用した登録実用新案第3040165号公報(以下、「引用例1」という。)には、図面とともに次の事項が記載されている。
(ア)「【考案の属する技術分野】
本考案は、携帯用品吊り下げ用の吊り下げ紐に関する。詳しくは、携帯電話機、カメラ、テープレコーダ等の携帯用品を持ち運びが便利となるように吊り下げるための吊り下げ紐であって、外観優美で、且つ製造時の歩留りを向上可能とした吊り下げ紐に関する。」(段落【0001】)
(イ)「【課題を解決するための手段】
本考案の請求項1の吊り下げ紐に於いては、携帯用品吊り下げ用の吊り下げ紐であって、手提げ用の第1の紐20と、携帯用品を吊支する第2の紐21と、該第1、第2の紐20,21を接続する樹脂製の接続部22とにより構成され、前記第1の紐20は、所定の幅及び所定の厚さの略矩形状断面を有する所定長さの樹脂押出し材であり、前記第2の紐21は、所定の太さで、所定長さの組紐であり、前記接続部22は、前記第1の紐20の両端部で前記第2の紐21の両端部を挟んで重ね合わせた状態で該部を樹脂にてモールドされて成ることを特徴とする。この構成により光沢または透明感を有する外観優美な吊り下げ紐が得られる。」(段落【0006】)
(ウ)「【考案の実施の形態】
図1は本考案の実施の形態を示す図で、(a)は斜視図、(b)及び(c)は(a)図のb-b線における拡大断面図である。本実施の形態は、図1(a)に示すように手提げ用の第1の紐20と、携帯用品吊り下げ用の第2の紐21と、該第1、第2の紐20,21を接続する樹脂接続部22とにより構成されている。
そして、第1の紐20は、所定の幅(例えば7?8mm)、及び所定の厚さ(例えば1.5mm程度)の略矩形状(矩形の四隅にアールを付したもの、あるいは長辺にふくらみを持たせたものを含む。)の断面を有する所定長さ(例えば30?40cm)で、強度及び柔軟性のある樹脂押し出し材である。なお、この樹脂押し出し材の材料には強度及び柔軟性が有り、さらに温度に対して強度及び柔軟性があまり変化しないものが良く、たとえば塩化ビニール、ナイロン等が用いられ、特に塩化ビニールが好適である。また第2の紐21は、樹脂繊維よりなる太さ1mm程度、長さ10cm程度の組紐が用いられる。なお該組紐の材料としては熱融着が可能なナイロンが好適である。また第1,第2の紐20,21の幅、厚さ、長さ等は対象とする携帯用品の大きさ、重量等を勘案して適宜に選択する必要がある。
また、樹脂接続部22は第2の紐21をループ状にしてその両端を平行にして、この平行にした部分を第1の紐20の両端で挟み込み、この部分を図1(b)の如く樹脂にてインサートモールドしたものである。この樹脂接続部22の材料としては第1の紐20及び第2の紐21に接着し易いナイロンが好適である。なお、樹脂接続部22を形成する前に予め第2の紐21の両端部を平行にして熱圧着し、且つこの部分を挟み込んだ第1の紐20と共に図1(c)に示すように木綿糸23で縫い合わせておけば接続部の強度を向上することができる。」(段落【0013】?【0015】)

上記記載事項(ア)を参酌すると、吊り下げ紐は、携帯用物品に取り付けて使用するためのものであることは明らかである。
また、上記記載事項(ウ)によれば、第2の紐21は、樹脂繊維よりなる太さ1mm程度、長さ10cm程度の組紐から形成されるものであるから、その構成からみて、細めの組紐状物ということができ、一方、第1の紐20は、所定の幅(例えば7?8mm)、及び所定の厚さ(例えば1.5mm程度)の略矩形状(矩形の四隅にアールを付したもの、あるいは長辺にふくらみを持たせたものを含む。)の断面を有する所定長さ(例えば30?40cm)のものであるから、その構成に照らせば、上記第2の紐21すなわち細めの組紐状物より太い紐状物ということができる。そして、図1をも併せてみれば、上記第1の紐20及び第2の紐21は、いずれも、U字状ループ部と呼び得る形状をなすとともに、それらの結合部分に存在する樹脂接続部22を介して互いにほぼ反対方向に伸びているものであることは明らかといえる。

上記記載事項、明らかな事項及び図示内容を総合し、本願発明の記載ぶりに倣って整理すると、引用例1には次の発明(以下、「引用発明1」という。)が記載されているものと認められる。
「細めの組紐状物からなるU字状ループ部である第2の紐21と前記第2の紐21の組紐状物より太い紐状物からなるU字状ループ部である第1の紐20とが、第2の紐21と第1の紐20の結合部分に存在する樹脂接続部22を介して互いにほぼ反対方向に伸びている携帯用物品に取り付けて使用するための吊り下げ紐であり、第2の紐21の組紐状物はナイロン等の樹脂繊維から、第1の紐20の紐状物は塩化ビニール等の樹脂押し出し材からそれぞれなり、樹脂接続部22の接続部を形成する樹脂がナイロン等からなる吊り下げ紐。」

同じく、原査定の拒絶の理由で引用した特開平8-154725号公報(以下、「引用例2」という。)には、図面とともに次の事項が記載されている。
(エ)「【産業上の利用分野】本発明は、カメラや携帯ラジオ、携帯電話、その他各種機器類や手提げバッグ等の被吊体に対して取付けられる吊紐用としてのハンドストラップに関するものである。」(段落【0001】)
(オ)「図1?2は、本発明によるハンドストラップを示す。同図に示すように、取付用細紐ベルト1とストラップ太紐ベルト2及び両ベルト間に止着した止具4とよりなる。
ストラップ太紐ベルト2は、図6?7に示すように、扁平袋状に形成した一定長さのものを中途よりU字形に2つ折りとなしたもので、通常組紐等として用いられる袋織りにて形成する他、一定巾の帯状生地を2枚重ねにして両側縁を縫着し、又は広巾のものを巾方向平行に折り立てて2重となし、片側を縫着して袋紐状となす。太紐ベルト2の両端部は開口2a.2bしている。
細紐ベルト1は、細くて強靱な断面丸形又は角形の紐からなり、前記太紐ベルト2の長さより充分に長いものが用いられる。この細紐ベルト1は通常、松葉ひもと称される組紐を用いることもできる。
止具4は図1.図3.図5に示すように合成樹脂の成形品からなる扁平角筒形に形成したものとすることができる。」(段落【0008】?【0011】)

また、図1、2には、ハンドストラップの太紐ベルト2がループ状をなしている態様が図示されている。

3.対比

本願発明と引用発明1とを対比すると、後者の「樹脂接続部22」は、その機能または構成からみて、前者の「樹脂ジョイント部(c)」に相当し、したがって、後者の「接続部」は前者の「ジョイント部」に相当する。
また、後者の「細めの組紐状物からなるU字状ループ部である第2の紐21」と前者の「芯糸入りの細めの組紐状物からなるU字状ループ部(a)」は、その構成に照らせば、いずれも「細めの組紐状物からなるU字状ループ部(a)」である点で共通するから、これを踏まえれば、後者の「前記第2の紐21の組紐状物より太い紐状物からなるU字状ループ部である第1の紐20」と前者の「前記(a)の組紐状物より太い組紐状物または袋織紐状物からなるU字状ループ部(b)」は、いずれも「前記(a)の組紐状物より太い紐状物からなるU字状ループ部(b)」である点で共通するといえる。
そして、後者の「吊り下げ紐」と前者の「ストラップ」或いは「生分解性ストラップ」は、いずれも「ストラップ」である点で変わるところはない。

したがって、両者は、本願発明の記載ぶりに倣って表現すると、次の点で一致する。
「細めの組紐状物からなるU字状ループ部(a)と前記(a)の組紐状物より太い紐状物からなるU字状ループ部(b)とが、(a)と(b)の結合部分に存在する樹脂ジョイント部(c)を介して互いにほぼ反対方向に伸びている携帯用物品に取り付けて使用するためのストラップ。」

そして、両者は次の点で相違する。
(相違点1)
U字状ループ部(a)が、本願発明では、芯糸入りのものであるのに対し、引用発明1では、そのようなものであるか不明である点。
(相違点2)
U字状ループ部(b)の紐状物が、本願発明では、組紐状物または袋織紐状物であるのに対し、引用発明1では、樹脂押し出し材である点。
(相違点3)
本願発明では、U字状ループ部(a)、U字状ループ部(b)及び樹脂ジョイント部(c)の各構成部材の材料にポリ乳酸が用いられ、ストラップが生分解性であるのに対し、引用発明1では、U字状ループ部(a)の構成部材の材料にはナイロン等が、U字状ループ部(b)の構成部材の材料には塩化ビニール等が、樹脂ジョイント部(c)の構成部材の材料にはナイロン等がそれぞれ用いられ、ストラップが生分解性ではない点。

4.判断

上記相違点について検討する。
(相違点1)について
一般に、携帯用物品に取り付けて使用するためのストラップにおいて、該携帯用物品に直接取り付けられる細い紐の部分を芯材入りとして強度や耐久性等を高めることは周知技術にすぎないから(例えば、特開平9-140437号公報、登録実用新案第3021086号公報等を参照)、該周知技術を引用発明1のU字状ループ部(a)に適用して上記相違点1に係る本願発明の発明特定事項とすることは、当業者であれば容易に想到し得ることである。
(相違点2)について
引用例2には、上記記載事項(エ)、(オ)及び図示内容を総合すると、各種携帯用物品の吊紐用としてのハンドストラップにおいて、扁平袋状に形成した一定長さのものを中途よりU字形に2つ折りとなしたループ状の太紐ベルト2を、通常組紐等として用いられる袋織りにて形成すること、すなわち、本願発明の表現を用いていいかえれば、携帯用物品に取り付けて使用するためのストラップのU字状ループ部を、組紐状物または袋織紐状物で形成する発明(以下、「引用発明2」という。)が開示されているということができる。そして、引用発明1と引用発明2は、いずれも、携帯用物品に取り付けて使用するためのストラップである点で共通しているから、引用発明1のU字状ループ部(b)に引用発明2を適用して上記相違点2に係る本願発明の発明特定事項とすることは、当業者であれば容易に想到し得ることである。
(相違点3)について
一般に、廃棄時の環境への影響等を考慮し、各種物品の材料に生分解性のあるポリ乳酸を用いることは周知技術であり(例えば、特開平10-87796号公報、特開2000-117920号公報、特開2001-72785号公報等を参照)、また、上記相違点1についての検討で示したように、携帯用物品用ストラップの紐に芯材を設けることが従来周知の技術にすぎないことを勘案すれば、上記各種物品の材料にポリ乳酸を用いる周知技術を引用発明1のストラップに適用し、上記相違点3に係る本願発明の発明特定事項とすることは、当業者であれば容易に想到し得ることである。

そして、本願発明が奏する効果も、引用発明1、引用発明2及び上記周知技術から当業者が予測し得る範囲内のものであって、格別なものということはできない。

5.むすび

したがって、本願発明は、引用発明1、引用発明2及び上記周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2008-09-26 
結審通知日 2008-09-30 
審決日 2008-10-14 
出願番号 特願2001-105091(P2001-105091)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (A45C)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 村山 睦  
特許庁審判長 川本 真裕
特許庁審判官 蓮井 雅之
鏡 宣宏
発明の名称 携帯用物品に取り付けるストラップ  
代理人 池内 寛幸  
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