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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G09G
管理番号 1188847
審判番号 不服2006-21330  
総通号数 109 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2009-01-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2006-09-22 
確定日 2008-12-04 
事件の表示 特願2004- 99140「表示制御装置及び表示システム及びTV装置」拒絶査定不服審判事件〔平成16年11月11日出願公開、特開2004-318121〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成15年4月4日にされた出願(特願2003-101655号)に基づく優先権を主張して平成16年3月30日にされた特許出願(特願2004-99140号)であって、平成18年8月25日付け(発送日:同年8月29日)で拒絶査定がなされたところ、同年9月22日に拒絶査定に対する審判が請求されたものである。

第2 本願発明
本願の請求項1ないし8に係る発明は、平成16年8月24日付け、及び、平成18年4月20日付けの手続補正書により補正された特許請求の範囲、明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1ないし8に記載された事項により特定されるとおりのものであると認められるところ、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は次のとおりのものと認める。

「【請求項1】 表示領域上に複数の画面を表示できる表示装置を制御するための表示制御装置であって、
複数の入力装置から入力されたコマンドに応じて、前記表示装置を制御する表示制御回路を有しており、
該表示制御回路は、前記複数の入力装置のうちの所定の入力装置から入力された所定のコマンドに応じて、
他の入力装置によって制御される画面領域が設定されている場合には、前記表示装置の電源をOFFにせずに前記所定の入力装置によって制御されている画面領域の削除を行い、他の入力装置によって制御される画面領域が設定されていない場合には前記表示装置の電源をOFFにするように前記表示装置を制御するものである表示制御装置。」

第3 引用例
原査定の拒絶の理由に引用された、本願の優先日前に頒布された刊行物である特開2001-94900号公報(以下「引用例」という。)には、図面とともに、次の事項が記載されている。

1 「【0001】【発明の属する技術分野】本発明は一つのディスプレイ上に表示された複数の画面を複数の視聴者が視聴する場合の画面表示方法に関するものである。
【0002】【従来の技術】従来テレビジョン番組等を視聴する場合は、ディスプレイ上には一つの番組が表示され、その一つの番組を一人もしくは複数人で視聴するといった形態が一般的であった。最近では、ディスプレイ上に子画面を有するような、複数の番組が表示されるディスプレイも登場してきており、同時に複数の番組を視聴するという視聴形態も可能となってきた。
【0003】近年テレビジョンディスプレイやコンピュータディスプレイ等の表示装置は大画面化してきており、今後液晶やPDP等の薄型ディスプレイの登場により、さらに大画面化することが予測される。100インチ程度のディスプレイが家庭内に導入されると、これまでのように単一の番組を大画面で視聴するといった形態や、複数の番組を一人で視聴するといった形態のみならず、複数人が複数の番組を別々に視聴するといった視聴形態も登場してくるものと思われる。」

2 「【0018】【発明の実施の形態】実施の形態1.以下、本発明の実施の形態1による画像表示方法について、図面を参照しながら説明する。図1は本実施の形態1による画像表示方法の動作フローを示すフローチャート図である。本実施の形態1による画像表示方法においては、1つのディスプレイに対して複数個のリモコンが用意されており、視聴者は各自の専用のリモコンを用いてディスプレイの操作を行う。図1は一つのリモコンの電源オンから電源オフまでのフローであり、一つのリモコンの電源がオンされることにより動作が開始される(ステップS100)。リモコンの電源が入れられると、ステップS101でリモコンの位置(視聴位置)が計測される。リモコン位置の検出方法は、例えば赤外線リモコンを用いる場合、ディスプレイの前面に指向性の高い受光部を水平方向に複数設け、最も光量の多い受光部の位置をリモコンの位置とすればよい。ステップS101で視聴者の位置が検出されると、その視聴者の位置に応じて画面表示がなされる(ステップS102)。
【0019】図2は本実施の形態1による画像表示方法における画面の表示動作を説明するための図であり、図2において200はディスプレイ、210,220,230,240は視聴者、211,221,231,241は、それぞれ視聴者210,220,230,240が視聴している画面である。図2(a)に示す状態で、視聴者210がリモコンの電源を押すと、視聴者210の位置が検出される。視聴者210は、ディスプレイ200のほぼ中央付近に位置するので、画面211がディスプレイ200のほぼ中央に表示される。画面のサイズについては、図2(a)のように任意設定可能であり、図2(b)で示されるように、全画面モードにしてもよい。
【0020】この状態で、図1のステップS103からステップS104では、チャンネル切替がある毎に視聴者の位置を検出し、視聴者の位置に変化がある場合のみ画面表示位置を視聴者の視聴位置に応じて変化する。図2(a)において、視聴者210が実線の位置から破線の位置へ移動したとする。そして、移動時もしくは移動後に何らかのリモコン操作を行った場合に、画面211は実線の位置から破線の位置へと移動する。
【0021】次に、複数の視聴者が視聴する場合について述べる。視聴者が2人になった場合、画面のサイズがあらかじめ設定されたサイズとすると、図2(c)に示すように、視聴者の位置に応じてそれぞれの画面が表示される。垂直方向の表示位置は、あらかじめ決められた上下2段の位置としてもよいし、画面サイズを犠牲にして横一列に画面を表示してもよい。また図2(d)に示すように、視聴者の位置情報は、210が220の左側に存在するという相対的な位置情報のみを用いて、全画面を2分割して表示してもよい。
【0022】複数人視聴の場合、すなわちリモコンが複数操作された場合、図1のフローにおけるステップS103のリモコン操作は、他のリモコンの操作の有無も含まれる。すなわち、自分が視聴している画面の位置は、自分がリモコンを操作したとき以外に、他視聴者が電源をオンしたり、チャンネルを切り替える等の操作をした場合でも変化する。
【0023】視聴者が、3人、4人となった場合も同様で、それぞれ図2(e)?(h)のように画面が表示される。また、例えば図2(e)において、視聴者220と230の位置が入れ替わった場合でも、リモコン操作をすれば、画面221と画面231との場所が入れ替わり、それぞれの視聴者のほぼ正面に画面が表示される。
【0024】このように、本実施の形態1による画像表示方法では、視聴者の視聴位置に応じてその視聴者が視聴している画面の表示位置を変更するようにしたから、視聴人数が増えた場合、また視聴者の位置が変化した場合でも、ほぼ良好な画面位置で視聴することができるような画面表示を実現できる。」

3 「【0040】図9は本実施の形態4による画像表示方法の動作フローを示すフローチャート図である。本実施の形態4による画像表示方法における表示処理動作は、新しい画面が開かれたときに開始される(ステップS900)。ステップS901ではその画面の視聴者数が検出される。各視聴者はそれぞれリモコン等を所持しており、ディスプレイ上に新規に画面を開くこともできるし、また既存の画面から視聴したい画面を選択することができる。これらのリモコンの操作により、その画面を視聴している視聴者数がステップS901で検出される。
【0041】そして視聴者数の変化がある場合、ステップS903で他画面のサイズおよび視聴者数を検出し、当該画面のサイズを決定してステップS904で当該画面サイズを、他画面へ通知する。ステップS902で視聴者数の変化がない場合は、他画面からのサイズ変更通知の有無が判断される。変更通知があれば、変更通知を出力した画面のサイズが大きくなることにより自画面とオーバーラップしないかどうかのチェックが行われ、オーバーラップする場合には、ステップS907で自画面の縮小が行われる。ステップS908は終了判定のステップであり、電源がオフされるとステップS909で終了処理される。」

4 図面の図1には、ステップS107に「終了?」のステップが描かれ、「Y」のときには、ステップS108の「END」のステップに進むように、フローチャートが描かれている。

5 図面の図2(a),(b)には、1人の視聴者210に対し1つの画面211がディスプレイ200に表示されることが、図2(c),(d)には、2人の視聴者210,220に対し2つの画面211、221がディスプレイ200に表示されることが、図2(e),(f)には、3人の視聴者210,220,230に対し3つの画面211、221,231がディスプレイ200に表示されることが、図2(g),(h)には、4人の視聴者210,220,230,240に対し4つの画面211、221,231,241がディスプレイ200に表示されることが、それぞれ描かれている。(当審注:図2(d)の右側の画面の符号「211」は、「221」の誤記であり、図2(f)の上の画面の符号「210」は、「211」の誤記であり、図2(g)の左上の画面の符号「211」は、「241」の誤記であると認められる。)
そして、摘記事項1の段落【0003】の記載からみて、ディスプレイ200は、表示装置におけるものであることは明らかである。

6 図面の図9には、ステップS908に「終了?」のステップが描かれ、「Y」のときには、ステップS909の「END」のステップに進むように、フローチャートが描かれている。

上記摘記事項1ないし3及び図面の記載から、引用例には、以下の事項が記載されているものと認められる。

(1)図面の図2(c)ないし(h)には、表示装置における「ディスプレイ200上に複数の画面211,221,231,241を表示する」ことが記載されている。
(2)摘記事項2の段落【0018】には、「各自の専用のリモコンによりディスプレイの操作が行われる」ことが記載されている。
(3)摘記事項1の段落【0019】ないし【0023】、並びに、図面の図2(a)ないし(h)には、「1人または複数の視聴者210,220,230,240が視聴する場合には、視聴者の人数と同じ数の画面211,221,231,241が表示される」ことが記載されている。
(4)摘記事項2の段落【0018】の「図1は一つのリモコンの電源オンから電源オフまでのフローであり」との記載から、図1に描かれたフローチャートにおいて、ステップS107の「終了?」で、「Y」が選択され、ステップS108の「END」に進んだときが、一つのリモコンの電源オフに対応していることが明らかである。そして、引用例には、ステップS107及びステップS108についての具体的説明はないが、リモコンの電源オフがされたときに、何らかの処理を行うことは技術常識であり、また、引用例の図面の図9には、ステップS908の「終了?」で「Y」を選択したときにステップS909の「END」に進むように、図1のS108及びS109と同様のフローが描かれるとともに、上記摘記事項3の段落【0041】には、「ステップS908は終了判定のステップであり、電源がオフされるとステップS909で終了処理される。」と記載されていることから、同様にして、図1の一つのリモコンが電源オフされたときのステップS108の「END」に進んだときの処理として、何らかの「終了処理」を行うことは、引用例に記載されているに等しい事項である。

そうすると、上記摘記事項1ないし3及び図面の記載から、引用例には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。

「ディスプレイ200上に複数の画面211,221,231,241を表示する表示装置であって、
各自の専用のリモコンによりディスプレイの操作が行われ、
1人または複数の視聴者210,220,230,240が視聴する場合には、視聴者の人数と同じ数の画面211,221,231,241が表示され、
一つのリモコンが電源オフされると終了処理される表示装置。」

第4 対比
本願発明と引用発明とを対比する。
1 引用発明の「ディスプレイ200上」及び「複数の画面211,221,231,241」が、本願発明の「表示領域上」及び「複数の画面」に相当する。また、引用発明の「ディスプレイ200上に複数の画面211,221,231,241を表示する表示装置」は、複数の画面を表示するために、本願発明の「表示装置を制御するための表示制御装置」に相当する構成を有していることが明らかである。
2 引用発明の「各自の専用のリモコン」及び「ディスプレイの操作が行われ」は、本願発明の「複数の入力装置」及び「表示装置を制御する」に相当する。また、上記1で記載したように、引用発明は、本願発明の「表示装置を制御するための表示制御装置」に相当する構成を有していることが明らかであるから、「表示制御装置」における具体的回路構造としての「表示制御回路」についても有していることが明らかである。そして、その「表示制御回路」に着目すれば、引用発明は、各自の専門のリモコンがディスプレイの操作を行うための制御信号を表示制御回路に与え、その制御信号に応じて、表示制御回路がディスプレイの操作を行うものであるということができる。
したがって、引用発明の「各自の専用のリモコンによりディスプレイの操作が行われ」は、本願発明の「複数の入力装置から入力されたコマンドに応じて、前記表示装置を制御する」に相当し、引用発明は、本願発明の「表示制御回路」に相当する構成を有していることが明らかである。
3 引用発明の「一つのリモコン」は、本願発明の「前記複数の入力装置のうちの所定の入力装置」に相当する。そして、上記2で記載したのと同様にして、1つのリモコンが電源オフされると、表示装置を制御する表示制御回路に制御信号が与えられて、電源オフに対応する処理がなされることとなるから、引用発明の「一つのリモコンが電源オフされると」は、本願発明において、表示制御回路に、前記複数の入力装置のうちの所定の入力装置から所定のコマンドを入力することに相当することとなる。さらに、本願発明の「画面領域の削除」は、画面領域を終了させる処理であり、本願発明の「前記表示装置の電源をOFFにする」は、表示装置を終了させる処理であるといえるから、引用発明の「終了処理される」と、本願発明の「他の入力装置によって制御される画面領域が設定されている場合には、前記表示装置の電源をOFFにせずに前記所定の入力装置によって制御されている画面領域の削除を行い、他の入力装置によって制御される画面領域が設定されていない場合には前記表示装置の電源をOFFにするように前記表示装置を制御する」とは、「終了に関する処理をする」点で共通する。

そうすると、本願発明と引用発明とは以下の一致点で一致し、以下の相違点で相違する。

(一致点)
「表示領域上に複数の画面を表示できる表示装置を制御するための表示制御装置であって、
複数の入力装置から入力されたコマンドに応じて、前記表示装置を制御する表示制御回路を有しており、
該表示制御回路は、前記複数の入力装置のうちの所定の入力装置から入力された所定のコマンドに応じて、
終了に関する処理をする表示制御装置。」

(相違点)
「終了に関する処理」が、本願発明では、「他の入力装置によって制御される画面領域が設定されている場合には、前記表示装置の電源をOFFにせずに前記所定の入力装置によって制御されている画面領域の削除を行い、他の入力装置によって制御される画面領域が設定されていない場合には前記表示装置の電源をOFFにするように前記表示装置を制御するものである」のに対し、引用発明では、どのような処理が行われるのかが不明である点。

第5 当審の判断
上記相違点について検討する。
引用例の段落【0022】には、「複数人視聴の場合、すなわちリモコンが複数操作された場合、図1のフローにおけるステップS103のリモコン操作は、他のリモコンの操作の有無も含まれる。すなわち、自分が視聴している画面の位置は、自分がリモコンを操作したとき以外に、他視聴者が電源をオンしたり、チャンネルを切り替える等の操作をした場合でも変化する。」(摘記事項2)と記載され、段落【0023】には、「視聴者が、3人、4人となった場合も同様で、それぞれ図2(e)?(h)のように画面が表示される。」(摘記事項2)と、また、段落【0024】には、「視聴人数が増えた場合、・・・した場合でも、ほぼ良好な画面位置で視聴することができるような画面表示を実現できる。」(摘記事項2)と記載されている。そして、図面の図2(a),(b)には、1人の視聴者に対して1つの画面が、図2(c),(d)には、2人の視聴者に対して2つの画面が、図2(e),(f)には、3人の視聴者に対して3つの画面が、図2(g),(h)には、4人の視聴者に対して4つの画面がディスプレイ200に表示されるように描かれている。そうすると、引用例の上記段落【0022】ないし【0024】の記載及び図面の図2の記載から、他のリモコンの操作として、他の視聴者が電源をオンしたときに、視聴者の人数と画面の数が同数となるように、表示する画面の数を増やす処理を行うことが読みとれる。
引用例には、他視聴者がリモコンの電源オフをしたときの処理については記載されていないが、他視聴者がリモコンの電源オフをしたときには、視聴者の人数が1人減るのであるから、他視聴者が電源をオンしたときとは逆の処理を行うこと、すなわち、図2(g),(h)の状態から、図2(e),(f)の状態に、図2(e),(f)の状態から、図2(c),(d)状態に、さらには、図2(c),(d)の状態から、図2(a),(b)の状態へと、表示する画面の数を視聴者の人数に応じて減少させる処理を行うことに格別の困難はない。そして、表示する画面の数を視聴者の人数に応じて減少させることは、減少する視聴者の画面を削除することにほかならない。
また、このようにして、視聴者の人数が減少していったときに、最終的には、図2(a),(b)のように1人の視聴者に対して1つの画面が表示される状態となるところ、この状態は、1つの画面を1人の視聴者が視聴するという表示装置を視聴するときの通常の一般的な使用状態であって、このような状態において、視聴者がリモコンの電源オフの操作をしたときには、終了処理として、表示装置の電源を切るという通常の終了処理を行うことは、格別の創作能力を要するものではない。
してみれば、引用発明において、一つのリモコンが電源オフされるときの終了処理として、それぞれの場合における最適な終了処理を選択することにより、複数の視聴者に対して複数の画面が表示されていたときには、視聴者が減少することにより、減少した視聴者の画面の削除を行うこととし、最終的に、1人の視聴者が視聴してディスプレイに1つの画面のみが表示されていたときには、電源を切るという通常の終了処理を行うこととして、上記相違点に係る本願発明の発明特定事項とすることに格別の困難性はない。

そして、本願発明の作用効果も、引用例の記載から当業者が予測できる範囲のものである。
したがって、本願発明は、引用発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。
第6 むすび
以上のとおりであるから、本願の請求項1に係る発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
そして、請求項1に係る発明が特許を受けることができないから、その余の請求項に係る発明について論及するまでもなく、本願は、拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2008-10-03 
結審通知日 2008-10-07 
審決日 2008-10-22 
出願番号 特願2004-99140(P2004-99140)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G09G)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 後藤 亮治  
特許庁審判長 江塚 政弘
特許庁審判官 飯野 茂
堀部 修平
発明の名称 表示制御装置及び表示システム及びTV装置  
代理人 西山 恵三  
代理人 内尾 裕一  

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