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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 B65H |
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管理番号 | 1188848 |
審判番号 | 不服2007-382 |
総通号数 | 109 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2009-01-30 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2007-01-10 |
確定日 | 2008-12-04 |
事件の表示 | 平成 9年特許願第215858号「帳票処理装置」拒絶査定不服審判事件〔平成11年 2月16日出願公開,特開平11- 43239〕について,次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
I.手続の経緯 本願は,平成9年7月25日の出願であって,平成18年10月30日付けで拒絶査定がなされ,これに対し,平成19年1月10日に拒絶査定不服審判の請求がなされたものである。 II.当審の判断 1.本願発明 本願の請求項1ないし2に係る発明は,平成18年8月4日付けの手続補正書により補正された明細書の,特許請求の範囲の請求項1ないし2に記載された事項により特定されるとおりのものであるところ,請求項2に係る発明(以下,「本願発明」という。)は,以下のとおりのものである。 「帳票の搬送経路に,幅方向に間隔をあけて配置した複数のコンベアベルトを備えた帳票処理装置において,前記複数のコンベアベルトの,搬送経路中心側のエッジの位置を,前記搬送経路を搬送される,郵便物に適した帳票のエッジに重ならないように設定したことを特徴とする帳票処理装置。」 2-1.引用例の記載事項 (1)原査定の拒絶の理由に引用された,実願昭63ー100972号(実開平2ー22959号)のマイクロフィルム(以下,「引用例」という。)には,図面とともに次の事項が記載されている。 a.(1頁下から3行?2頁2行) 「本考案は……小切手等のシート原稿……特に記録済の連続的に排出されるシート原稿を排出順に整列積載する装置に関する。」 b.(5頁13?18行) 「3はガイド板で,排出ローラ33,34より排出されたシート原稿を下方へ導くようにガイドする。15は吸引ダクトで,第2図のように,搬送ベルト35,ベルト搬送軸5,ステー4に囲まれた位置に配設される。」 c.(図面第2図) シート原稿の搬送経路に複数の搬送ベルト35が幅方向に間隔をあけて配置されていることが図示されている。 これら記載事項及び図示内容を総合し,本願発明の記載ぶりに則って整理すると,引用例には,「シート原稿の搬送経路に,幅方向に間隔をあけて配置した複数の搬送ベルトを備えたシート原稿を排出順に整列積載する装置。」に関する発明(以下,「引用発明」という。)が開示されている。 2-2.対比 本願発明と引用発明とを対比すると,その構造または機能からみて,引用発明の「シート原稿」は,本願発明の「帳票」に相当し,以下同様に,「搬送ベルト」は「コンベアベルト」に,「シート原稿を排出順に整列積載する装置」は「帳票処理装置」にそれぞれ相当する。 そこで,本願発明の用語を用いて表現すると,両者は次の点で一致する。 (一致点) 「帳票の搬送経路に,幅方向に間隔をあけて配置した複数のコンベアベルトを備えた帳票処理装置。」 そして,両者は次の点で相違する なお,対応する引用例記載の用語を括弧内に示す。 (相違点1) 本願発明は,「複数のコンベアベルトの,搬送経路中心側のエッジの位置を,前記搬送経路を搬送される,帳票のエッジに重ならないように設定した」のに対し,引用発明は,この設定の明示がない点。 (相違点2) 本願発明は,帳票が「郵便物に適した」ものであるのに対し,引用発明はこの明示がない点。 2-3.相違点の判断 上記相違点について検討する。 (相違点1について) 帳票の搬送分野において,従来より,搬送経路が,幅方向に間隔をあけて配置した複数のコンベアベルト(搬送ベルト)で構成されている場合,「搬送する帳票1の横方向のサイズによっては,帳票がガイド3bにひっかかってジャムを発生するとか,コンベアベルト4aの下に入り込んでトラブルを起こすということがあった。」(本願明細書の段落0003?0004)ことが知られている。 引用発明においても,本願発明と同じく,搬送経路が,幅方向に間隔をあけて配置した複数のコンベアベルト(搬送ベルト)で構成されたものであるから,当然,同じ課題を抱えているものである。そのため,帳票(シート原稿)のエッジとベルトコンベヤ(搬送ベルト)の中心側のエッジとの位置関係を,トラブルが発生しないような設計とすることは,常套手段として行われているといえる。 してみると,引用発明に,上記常套手段を適用して,相違点1に係る本願発明の発明特定事項のようにすることは,当業者が容易に想到し得たことである。 (相違点2について) 上記相違点1で述べたとおり,帳票(シート原稿)のエッジとベルトコンベヤ(搬送ベルト)の中心側のエッジとの位置関係を,トラブルが発生しないような設計とすることは,常套手段として行われていることである。これは,帳票が郵便物のようにサイズが予め決まっているものについても同様のことである。 そこで,引用発明に上記常套手段を適用して,相違点2に係る本願発明の発明特定事項のようにすることは,当業者が容易に想到し得たことである。 そして,本願発明による効果も,引用発明から当業者が予測し得た程度のものであって,格別のものとはいえない。 III.むすび 以上のとおり,本願発明は,引用発明に記載された発明に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により,特許を受けることができない。 それゆえ,本願出願は,特許請求の範囲の請求項1に係る発明について検討するまでもなく,拒絶すべきものである。 よって,結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2008-10-01 |
結審通知日 | 2008-10-07 |
審決日 | 2008-10-21 |
出願番号 | 特願平9-215858 |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(B65H)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 関谷 一夫 |
特許庁審判長 |
松縄 正登 |
特許庁審判官 |
村山 禎恒 熊倉 強 |
発明の名称 | 帳票処理装置 |
代理人 | 乗松 恭三 |