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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H05K
管理番号 1188870
審判番号 不服2007-13778  
総通号数 109 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2009-01-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2007-05-11 
確定日 2008-12-04 
事件の表示 平成10年特許願第255679号「電気機器の操作パネルの操作キー構造」拒絶査定不服審判事件〔平成12年 3月31日出願公開、特開2000- 91762〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本件審判に係る出願は、平成10年9月9日に出願されたもので、平成19年1月26日付け拒絶理由通知書が送付され、願書に添付した明細書又は図面についての同年3月19日付け手続補正書が提出されたものの、同年4月9日付けで拒絶査定されたものである。
そして、本件審判は、この拒絶査定を不服として請求されたものである。

2.原査定
原査定の拒絶理由の1つは、以下のとおりのものと認める。

「この出願の請求項1に係る発明は、その出願前日本国内又は外国において頒布された下記の刊行物に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

1;特開平6-325659号公報
2;特開昭62-282495号公報
3;実願昭61-20743号(実開昭62-133335号)のマイクロフィルム
4;実願昭63-127420号(実開平2-49024号)のマイクロフィルム
5;実願平2-83267号(実開平4-42024号)のマイクロフィルム
6;実願平4-15875号(実開平5-77833号)のCD-ROM
7;特開平6-6052号公報
8;実願平4-54860号(実開平6-9023号)のCD-ROM
9;特開平7-114858号公報」

なお、ここにおける、「特開平06-325659号公報」、「実願昭61-20743号(実開昭62-133335号)のマイクロフィルム」及び「実願平4-15875号(実開平5-77833号)のCD-ROM」を、以下、「引用例1」、「引用例3」及び「引用例6」という。

3.当審の判断

3-1.本件の発明

1)本件の請求項1に係る発明(以下、「本件発明」という。)は、願書に添付した明細書又は図面(以下、「本件明細書等」という。)の請求項1に記載の事項により特定されるものであって、同項の記載は、以下のとおりのものと認める。

「電気機器の操作パネルに、この操作パネルと一体に形成された操作キーの前面に、この操作キーに被せるように化粧板を貼着し、前記化粧板に操作キーに対応するキー表示の印刷を施し、前記化粧板には、操作キーの位置変更によってキー表示箇所を変更するようにし、前記化粧板に印刷されたキー表示箇所を押すことにより、この化粧板の撓みによって、前記操作キーを押す構造とし、前記操作キーの操作によってオン・オフされるスイッチに対して前記操作キーの後端部を、前記化粧板のキー表示箇所を押すことによる操作キーの操作によって下向きに回転する構成として、この操作キーの後端部の回転によって前記スイッチをオン・オフするようにし、前記操作キーは、前記操作パネルと薄肉のヒンジ部を介して一体に形成され、その後部にリブを有する操作長板部が奥部に向けて水平向きに一体に延設されていて、前記操作キーを押し操作すると前記操作長板部が前記ヒンジ部を中心に下向きに回動し、この操作長板部の後端部によって、前記スイッチをオン・オフするように構成したことを特徴とする電気機器の操作パネルの操作キー構造。」

2)上記請求項1には、「前記化粧板に操作キーに対応するキー表示の印刷を施し、前記化粧板には、操作キーの位置変更によってキー表示箇所を変更するようにし、」と記載された事項が認められる。
一方、本件発明は、その末尾の記載からも明らかなとおり、電気機器の操作パネルの操作キー構造、という物に係る発明であり、そこで、あらためて、上記事項を検討すると、「前記化粧板には、操作キーの位置変更によってキー表示箇所を変更するようにし」との記載は、本件明細書等の記載全体によれば、物に係る発明の、所謂、発明特定事項を記載するものではなく、上記事項は、結局のところ、化粧板には操作キーに対応するキー表示の印刷が施こされている、とのことであると認められる。そして、付言すれば、「前記化粧板には、操作キーの位置変更によってキー表示箇所を変更するようにし」との記載は、電気機器の製造において、該電気機器の仕様、即ち、操作キーの位置が変更された場合に、化粧板に施こす印刷に係るキー表示箇所を、仕様変更前から変更すること等と認められるが、いずれにしても、物に係る発明の発明特定事項に係る記載ではないことに変わりはない。

3-2.刊行物の記載
引用例1、3又は6には、以下の記載が認められる。

引用例1:
1a;「【0002】
【従来の技術】従来の操作機構の第1の例について図を用いて説明する。図2は車載操作器の外観を示し、図9は側面の断面を示す。操作器1は上ケース2と下ケース3を有し、上ケース2の表面側が操作パネル4とされる。操作パネル4には開口5が設けられ、この開口5に対向して照明付スイッチ11がケース2,3内に配置される。このスイッチ11は、上ケース2の突起7にネジ9により固定した基板8に取り付けられる。
【0003】操作パネル4の表面には、意匠パネル14が貼り付けられる。意匠パネル14には、その裏面側にスイッチ11の操作部15を操作するための凸部24が設けられる。意匠パネル14は、半透明の可撓性材料により形成される。意匠パネル14のスイッチ11に対向する部分の表面には、そのスイッチ11の機能を表す表示17が印刷される。照明付スイッチ11からの光は意匠パネル14の凸部24を通して拡散されて表面の表示17を裏面側から照明する。
【0004】この操作器1を操作する際には、意匠パネル14上の裏面から照明されている表示17の部分を指で押すことにより、意匠パネル14の凸部24がスイッチ11の操作部15を押し、スイッチ11を動作させる。」及び【図9】(5頁)
1b;「【0006】次に、従来の操作機構の第2の例について図10を用いて説明する。本例については、前記第1の例と異なる点についてのみ説明する。本例の意匠パネル14には凸部24が設けられずに、意匠パネル14とスイッチ11の操作部15の間にスイッチスペーサ25が設けられる。このスイッチスペーサ25は半透明材料により形成される。
【0007】このように、意匠パネル14とスイッチスペーサ25を別体として、照明付スイッチ11からの光をスイッチスペーサ25により拡散できるようにしたため、意匠パネル14は透明材料の1枚のパネルで構成することが可能となる。したがって、本例では、表示17を意匠パネル14の裏面に印刷できることとなるので、外部から印刷面に触れられることがなくなり表示17が剥げ落ち難くなる。」及び【図10】(5頁)
1c;「【0011】
【実施例】本発明の操作機構を車載操作器に適用した例について図を用いて説明する。図1は、車載操作器の側面の断面を示し、図2は車載操作器の外観を示す。車載操作器1は上ケース2と下ケース3を有し、上ケース2の表面側が操作パネル4とされる。・・・(審決注;「・・・」は記載の省略を示す。以下、同様。)、操作パネル4の表面に意匠パネル14が貼り付けられる。
【0014】意匠パネル14は可撓性のある透明材料で形成され、スイッチ11の位置とその機能を表す表示17が意匠パネル14の裏面に印刷により描かれる。なお、この表示17はスイッチスペーサ13の表面に施すことも可能である。また、スイッチスペーサ13は、可撓性のある半透明材料で形成される。照明付スイッチ11から照射された光は、スイッチスペーサ13を通って拡散され、意匠パネル14の表示17の部分を裏面から照明する。
【0015】意匠パネル14の表示17部分を押すと、図3に示すように意匠パネル14とスイッチスペーサ13が変形し、スイッチ11の操作部15が押されてスイッチ11が動作する。」、及び【図1】?【図3】(4頁)

引用例3:
3a;「以下、本考案の一実施例を図面に従って説明する。
図中において、8は合成樹脂等で全体が一体に形成された押釦本体であり、頭部9と該頭部9の裏面に設けられた押圧板部10と前記頭部9の一方の側面にヒンジ部11を介して連結された固定板部12とから構成されている。前記押圧板部10の一方の面にはリブ10aを形成し、押釦本体8を押圧した際に所定の位置で後述のプリント基板13の端面と当接するようにしている。
14は所定の位置に窓孔14aが穿設されたパネルであり、前記窓孔14aの下方にはビス止め用のボス14bが設けられている。
一方、プリント基板13には端縁部近傍に押圧スイッチ15が取付けられている。
上記のように形成された押釦本体8は、パネル14のボス14bに固定板部12をビス止めすることで取付けられ、またプリント基板13は、押釦本体8の頭部9を押圧した際に押圧板部10が押圧スイッチ15を押圧操作するように、パネル14の裏面に配置されるものである。
このようにして構成される押釦取付装置の場合、押釦本体8の頭部9を押圧した際に、押釦本体8が所定の位置(例えば、押圧スイッチ15が押圧板部10により押圧操作され作動する位置)まで回動すると、リブ10aがプリント基板13の端面に当接するため、押釦本体8が過度に押し込まれることがない。」(明細書3頁10行?4頁17行)及び第1図?第3図

引用例6:
6a;「【請求項1】 筐体本体の上に電気回路および部品を備えたプリント基板を設け、これらの上面をカバーする筐体カバーを設け、前記筐体本体と前記筐体カバーを固定するとともに、前記プリント基板上には、電子機器を操作するためのスイッチを電気的および機械的に接続し、前記スイッチを操作するためにプリント基板に対し水平方向に働く操作ボタンの動作力を前記操作ボタンの一体的に成型された操作ボタンの足部により垂直方向に変換することで、前記プリント基板上の前記スイッチの操作を可能ならしめる構造とし、かつ前記操作ボタンを前記筐体カバーと一体的に樹脂成型した電子機器操作装置。」
6b;「【0014】
筐体カバー1の前面の操作ボタン2を配した電子機器操作装置において、操作ボタン2は筐体カバー1と一体的に成型したもので、かつその腕部4は基部3に対して薄肉に成型し、操作ボタン2を矢印A図3のように押すことにより、樹脂の弾性によりたわむものである。また、表面にはパネル5が設けてあり、これは可動な操作ボタン2と筐体カバー1を一体成型するため必然的に生じるスリット6を覆うとともに操作の説明表示を行うものである。一方、筐体本体7には電子機器の操作に必要なスイッチ9を直接取り付けたプリント基板8が固定されており、前記操作ボタン2の足部10は矢印Aに対して直角に曲がり先端に中心がほぼ一致してスイッチ9の可動部11が配置されている。」及び【図3】(2頁)

3-3.引用例6の発明
引用例6には、記載6aによれば、「筐体本体の上に電気回路および部品を備えたプリント基板を設け、これらの上面をカバーする筐体カバーを設け、前記筐体本体と前記筐体カバーを固定するとともに、前記プリント基板上には、電子機器を操作するためのスイッチを電気的および機械的に接続し、前記スイッチを操作するためにプリント基板に対し水平方向に働く操作ボタンの動作力を前記操作ボタンの一体的に成型された操作ボタンの足部により垂直方向に変換することで、前記プリント基板上の前記スイッチの操作を可能ならしめる構造とし、かつ前記操作ボタンを前記筐体カバーと一体的に樹脂成型した電子機器操作装置」の発明が記載されていると認められる。
そして、この発明の具体例を説明していることが明らかな記載6bには、操作ボタンは、足部に加え、筐体カバーにおける基部3に対して薄肉に成型されている腕部4から構成されていることが記載され、記載6bの【図3】からは、腕部4には突起部(【図3】において、「A」の矢印で指示されている部分を参照。)が見て取れ、該突起部は、後述するパネル5の貫通孔を通して、パネル5の表面から突出していることも見て取れる。そして、前記具体例は、パネル5から突出する突起部を押し操作して操作ボタン全体を水平方向に押すことにより、基部3と腕部4との境界領域における腕部部分を中心に操作ボタン全体を下向きに回動させ、この回動によって、足部が垂直方向に動かされてスイッチに接触し、スイッチを操作することが可能な構造としていることは明らかで、この構造が上記発明の「プリント基板に対し水平方向に働く操作ボタンの動作力を操作ボタンの足部により垂直方向に変換することで、前記プリント基板上のスイッチの操作を可能ならしめる構造」の具体的構造であることも明らかであり、また、このスイッチの操作が、スイッチをオン・オフしていることは、普通に想到し得るものである。
更に、記載6bには、上記操作ボタンを覆うとともに操作の説明表示を行うパネル5、即ち、上述したように貫通孔のあるパネル5が設けられていることも記載されている。
以上のことを踏まえると、引用例6には、以下の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

「筐体本体の上に電気回路および部品を備えたプリント基板を設け、これらの上面をカバーする筐体カバーを設け、前記筐体本体と前記筐体カバーを固定するとともに、前記プリント基板上には、電子機器を操作するためのスイッチを電気的および機械的に接続し、前記操作ボタンを前記筐体カバーと一体的に樹脂成型した電子機器操作装置において、操作ボタンは、足部と、筐体カバーにおける基部3に対して薄肉に成型されている、突起部のある腕部4から構成され、パネル5の表面から突出する該突起部を押し操作して操作ボタン全体を水平方向に押すことにより、基部3と腕部4との境界領域における腕部部分を中心に操作ボタン全体を下向きに回動させ、この回転によって、足部が垂直方向に動かされてスイッチに接触し、スイッチをオン・オフすることが可能な構造とし、更に、上記パネル5は、上記操作ボタンを覆うとともに操作の説明表示を行う、電子機器操作装置」

3-4.対比判断

1)本件発明と引用発明とを対比する。
引用発明の「筐体カバー」及び「操作ボタン」は、本件発明の「操作パネル」及び「操作キー」に対応している。
また、引用発明において、操作ボタンは、筐体カバーと一体的に樹脂成型されたものであり、しかも、引用発明の「筐体カバーの基部3と操作ボタンの腕部4との境界領域における腕部部分」は、本件発明の「ヒンジ部」に対応しているから、引用発明の操作ボタンは、筐体カバーと薄肉のヒンジ部を介して一体に形成されているということができる。
そして、引用発明である電子機器操作装置は、電気機器の筐体カバーの操作ボタン構造の発明としても捉えられる。
以上のことを踏まえると、本件発明は、引用発明とは、
「電気機器の操作パネルと一体に形成された操作キーの操作によってスイッチをオン・オフするようにし、前記操作キーは、前記操作パネルと薄肉のヒンジ部を介して一体に形成され、該操作キーを押し操作すると前記ヒンジ部を中心に下向きに回動し、前記スイッチをオン・オフするように構成した、電気機器の操作パネルの操作キー構造。」である点で一致し、
以下の点において相違していると認められる。

相違点A;本件発明は、「操作パネルに、操作キーの前面に、この操作キーに被せるように化粧板を貼着し、前記化粧板に操作キーに対応するキー表示の印刷を施し、前記化粧板には、操作キーの位置変更によってキー表示箇所を変更するようにし、前記化粧板に印刷されたキー表示箇所を押すことにより、この化粧板の撓みによって、前記操作キーを押す構造とし」た点。
相違点B;本件発明は、「操作キーの後端部を、操作キーを押す操作によって下向きに回転する構成として、この操作キーの後端部の回転によってスイッチをオン・オフするようにし、前記操作キーは、その後部にリブを有する操作長板部が奥部に向けて水平向きに一体に延設されていて、前記操作キーを押し操作すると前記操作長板部が下向きに回動し、この操作長板部の後端部によって、前記スイッチをオン・オフするように構成した」点。

2)相違点Aについて検討する。
相違点Aの「前記化粧板には、操作キーの位置変更によってキー表示箇所を変更するようにし、」との記載事項は、先に「3-1」の「2)」で述べたことから明らかなように、物に係る発明である本件発明の発明特定事項ではないことを、まずは、述べておく。
そして、引用例1には、操作機構についての発明が記載され、記載1aを参照した記載1b、及び記載1cによれば、引用例1において、従来技術としての発明及び本発明としての発明は、共に、操作パネル4の表面に意匠パネル14が貼り付けられ、その意匠パネル14には、スイッチ11の機能を表す表示17が印刷されており、その表示17の部分を押すことにより意匠パネル14を撓ませ、スイッチスペーサ13、25を介して所定のスイッチを操作する上記発明が記載されている。そして、意匠パネル14は、スイッチスペーサ13、25の前面に、そして、スイッチスペーサ13、25に被せるように、操作パネル4の表面に貼り付けられていることが見て取れ、引用例1に記載の「操作パネル4」、「意匠パネル14」及び「スイッチスペーサ13、25」は、本件発明との関係でいえば、本件発明の「操作パネル」、「化粧板」及び「操作キー」に対応するものといえる。
一方、引用発明の操作ボタンは、引用例1に記載の「スイッチスペーサ13、25」に対応し、しかも、引用発明は、操作ボタンを覆うとともに操作の説明表示を行うパネル5が設けられ、この説明表示が、突起部を押し操作することにより、結果的に足部がスイッチに接触し、そのことによりオン・オフされる該スイッチの機能を表すものであることも普通に想到し得るもので、引用発明のパネル5と、引用例1に記載の意匠パネル14とは、スイッチの機能を表す点で共通していることから、引用発明の、パネル5及びその表面から突出する突起部を押し操作することによってスイッチをオン・オフする構成に代えて、上述した引用例1に記載された発明を適用し、「操作ボタンを、その腕部4に突起部の無いものとし、筐体カバーに、該操作ボタンの前面に、この操作ボタンに被せるように意匠パネル14を貼着し、該意匠パネル14に操作ボタンがオン・オフするスイッチの機能を表す表示17の印刷を施し、前記意匠パネル14に印刷された表示17箇所を押すことにより、この意匠パネル14の撓みによって、前記操作ボタンを押す構造とし」、このことによってスイッチをオン・オフするよう構成すること、即ち、相違点Aは、容易に為し得るものといえる。

3)相違点Bについて検討する。
引用例3には、押釦取付装置についての発明が記載され、特に第1図?第3図を参照しつつ、記載3aによれば、押釦本体8は、頭部9、該頭部9に設けられた、リブ10aを形成した押圧板部10、及び前記頭部9にヒンジ部11を介して連結された固定板部12とから構成され、この頭部9を押すことによりヒンジ部11を中心に、押釦本体8全体が下向きに回動することが見て取れ、詳しくは、押釦本体8の後端部である、押圧板部10の一端部を、頭部9を押し操作することによって下向きに回転する構成として、この一端部の回転によって押圧スイッチ15を押圧操作するようにし、頭部9には、リブ10aを形成した押圧板部10が奥部に向けて水平向きに一体に延設されていて、頭部9を押し操作すると押圧板部10が下向きに回動し、この押圧板部10の一端部が押圧スイッチ15に接触することよって、押圧スイッチ15を押圧操作するように構成した、上記発明が記載されていると認められる。
その一方で、引用発明は、突起部を押し操作することにより、操作ボタン全体を下向きに回動させ、足部がスイッチに接触し、スイッチをオン・オフすることが可能な構造としているもので、引用発明の足部と、引用例3の上記発明における押圧板部10とは、スイッチに接触してスイッチを操作する点で共通するから、引用発明の足部によりスイッチを操作する構成に代えて、上述した引用例3に記載された発明を適用し、「操作ボタンの後端部である、押圧板部10の一端部を、操作ボタンを押す操作によって下向きに回転する構成として、この後端部の回転によってスイッチをオン・オフするようにし、前記操作ボタンは、その後部に、リブ10aを形成した押圧板部10が奥部に向けて水平向きに一体に延設されていて、前記操作ボタンを押し操作すると前記押圧板部10が下向きに回動し、この押圧板部10の一端部によって、前記スイッチをオン・オフするように構成した」こと、即ち、相違点Bは、容易に為し得るものといえる。

4)以上のことから、本件発明は、引用発明、引用例1に記載の発明及び引用例3に記載の発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

4.結び
原査定は、妥当である。
したがって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2008-09-30 
結審通知日 2008-10-07 
審決日 2008-10-21 
出願番号 特願平10-255679
審決分類 P 1 8・ 121- Z (H05K)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 内田 博之  
特許庁審判長 鈴木 由紀夫
特許庁審判官 坂本 薫昭
平塚 義三
発明の名称 電気機器の操作パネルの操作キー構造  

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