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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H04N
審判 査定不服 特17条の2、3項新規事項追加の補正 特許、登録しない。 H04N
管理番号 1189487
審判番号 不服2006-20934  
総通号数 110 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2009-02-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2006-09-20 
確定日 2008-12-11 
事件の表示 平成10年特許願第347637号「画像処理装置および画像処理方法」拒絶査定不服審判事件〔平成12年 6月23日出願公開、特開2000-175031〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯

本願は、平成10年12月7日に出願されたものであって、平成18年3月20日付けで拒絶理由が通知され、これに対し平成18年5月24日付けで手続補正書が提出されたが、平成18年8月18日付けで拒絶査定されたものである。
これに対して平成18年9月20日付けで拒絶査定不服審判が請求されるとともに、同日付けで手続補正がなされている。

第2 平成18年9月20日の手続補正についての補正却下の決定

[補正却下の決定の結論]
平成18年9月20日付けの手続補正を却下する。

[理由]

1.補正後の特許請求の範囲の記載

平成18年9月20日付け手続補正書による特許請求の範囲の補正の内、請求項1および請求項6の記載は以下のとおりである。
「【請求項1】 原稿画像を走査して当該原稿に対応した画像データを生成する画像データ生成手段と、
前記画像データ生成手段が生成した前記画像データを用いて、前記原稿画像中に所定の禁止画像が存在するか否かを判別する判別手段と、
前記判別手段によって前記禁止画像が存在すると判別された場合には前記原稿画像とは明らかに異なる画像になるように前記画像データを加工して出力する加工手段と、
前記加工手段が出力した前記画像データを、自装置の外部機器に送信される対象となる画像データとして、各々のページ単位で蓄積する蓄積手段と
を具備することを特徴とする画像処理装置。」

【請求項6】 画像処理装置における画像処理方法であって、 原稿画像を走査して当該原稿に対応した画像データを生成する第1のステップと、
前記第1のステップにて生成した前記画像データを用いて、前記原稿中に所定の禁止画像が存在するか否かを判別する第2のステップと、
前記第2のステップにて前記禁止画像が存在すると判別された場合には前記原稿画像とは明らかに異なる画像になるように前記画像データを加工して出力する第3のステップと
前記第3のステップで出力された前記画像データを、前記画像処理装置の外部機器に送信される対象となる画像データとして、各々のページ単位で蓄積する第4のステップと
を有することを特徴とする画像処理方法。
(下線部は補正箇所)

2.補正の適否について

平成18年9月20日付けの手続補正による「自装置の外部機器に送信される対象となる画像データとして、」および「前記画像処理装置の外部機器に送信される対象となる画像データとして、」は、文章上「前記加工手段が出力した前記画像データ」について限定するものであって、特許請求の範囲の減縮を目的とする補正であると考えられるから、これが平成18年改正前特許法第17条の2第4項第2号の要件を満たすものであるとして、本件補正後の発明が特許出願の際に独立して特許を受けることができるものであるか(同法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか)について以下に検討する。

(1)請求項1において、「自装置」「自装置の外部機器」とは何か明確でない。
請求項6において「画像処理装置の外部機器」とは何か明確でない。
「自装置」が請求項1自体で定義される画像処理装置のことであるとしても、「自装置の」とは、その画像処理装置の外部機器とは何を示すのか不明である。
「自装置の」とは、通常、他装置のものでない、すなわち専用機器という意味と解されるが、何が自装置で、何が他装置であるのか、他装置のものではないというとはどういう意味をもつのか、発明の詳細な説明を参酌しても、その点を明確にすることはできない。
また、「前記画像処理装置の」についても、その画像処理装置以外のものではないということであるが、その画像処理装置専用の外部機器であって、その画像処理装置以外の画像処理装置の外部機器ではないということが、具体的にどういうものであるか明確にすることができない。

したがって、請求項1、請求項6における当該補正内容は、意味が明りょうでない。

詳細に述べる。
発明の詳細な説明および図面を参酌しても、外部機器が何か明確には定義されない。
また、出願当初の明細書には、「自装置」という文言は記載されていない。

「外部機器」なる文言は計9箇所に記載されているが、「ネットワークに接続された」「ネットワーク上の」とされているのが7箇所、「インターフェースを介して外部機器から入手した画像データ」とあるのが1箇所、「通常のコピー作業のみならず外部機器と接続されて使用するようなシステム形態」とあるのが1箇所である。
「ネットワークに接続された」「ネットワーク上の」とは、ネットワークという共有の構成を介して外部機器が接続されていることであり、ネットワークを介して使用する機器は通常共有であることが普通であって、当該外部機器が「自装置の」もの、あるいは「画像処理装置の」ものであるということをこの記載から読み取ることはできない。他の2箇所の記載も、外部機器が「自装置の」あるいは「画像処理装置の」ものであるということにはならない。

また、例えば段落0049には、第1実施例に関し、「画像出力部104では、画像処理部102から出力されるY/M/C/K信号に従って、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の4色のトナーで、Y→M→C→Kの順番で4回の印字を行う。」と記載されている。この記載では画像出力部が直接印字を行うので、外部機器の存在は窺えない。

また、例えば段落0058には、「スキャナ1001によって原稿画像が読み込まれ、読み込まれた原稿画像は、画像蓄積部911に格納される。その後、操作者は、読み込まれた原稿画像をCRT906に表示させて、画像処理部912で合成処理や加工処理を施す。そして、例えば指定された領域内の画像をインターフェース913を介してネットワークに接続された外部機器へ送信したり、画像出力部914のプリンタ1103から出力したりする。」と記載されている。
当該段落では、外部機器がネットワークに接続されることと、画像出力部914のプリンタ1103から出力することが記載されているが、前者は「自装置の」外部機器ではなく、後者は画像出力部の「内部機器」である。

(2)そして、蓄積手段で蓄積される画像データが「送信される対象となる画像データとして」の意味が明確でない。
「として」というのは、どういう処理、加工をすることであるのか何ら説明がされていない。

そもそも、蓄積手段に蓄積されるデータが、何に用いられるかどうかは、画像処理装置の構成ではなく、画像処理装置をどのように用いるかという単なる用途の問題である。
外部機器に送信するために、何らかの特別な処理をして、送信に適応したデータ状態として蓄積するのであれば、「として」に技術的意味はあるが、その意味としての「として」は請求項1、請求項6には定義されておらず、発明を特定するために必要な構成が明らかでない。

したがって、当該「送信される対象となる画像データとして」は、単に、使用者の意図としての問題でしかない。

(3)そして、「送信される対象となる画像データとして」を意図であると解しても、「送信される対象となる画像データとして蓄積する蓄積手段」は、発明の詳細な説明には記載されていない。

段落0057にも記載されているように、画像蓄積部911は、複数枚の原稿や画像を記憶できる大容量の記憶手段であり、ハードディスク等で実現されるものである。
当該段落の記載から明らかなように、画像蓄積部に蓄積される画像データは、回転、トリミング、合成、配置や色変換、画質調整などの各種調整を画像処理部912により実行する対象のデータである。すなわち、画像蓄積部に記憶されている画像データは、「送信される対象となる画像データとして」加工されたデータではない。
段落0061?0063には、画像蓄積部911とページメモリ910を用いて印刷あるいは外部機器に送信することについて記載されている。
特に、段落0061には、「禁止画像が含まれているという判別結果が得られた場合には、画像加工部1003で加工されたRGB画像データが選択されてページメモリ910へ供給される。ページメモリ910に一旦記憶されたRGB画像データは、符号化部908により符号化された後、画像蓄積部911にページ単位で格納される。」と記載されていることから、加工データは一旦ページメモリ910に記憶されるが、このデータは符号化されて画像蓄積部911に記憶されるのであって、このステップでのページメモリへの記憶は「前記画像処理装置の外部機器に送信される対象となる画像データとして、各々のページ単位で蓄積する」ものではない。
「送信される対象となる画像データとして」記憶するのはページメモリ910であって、画像蓄積部911ではない。 画像蓄積部911に記憶されるデータは、「送信される対象となる画像データとして」意図されたものではなく、当該段落には、「送信される対象となる画像データとして」加工されたデータが画像蓄積部に蓄積されることは記載されていない。

したがって、画像蓄積部911が「自装置の外部機器に送信される対象となる画像データとして、各々のページ単位で蓄積する蓄積手段」であるとは認められず、また、「前記画像処理装置の外部機器に送信される対象となる画像データとして、各々のページ単位で蓄積する」第4のステップが、画像蓄積部911を用いている処理を指しているとも認められない。

また、ページメモリ910は、加工された画像データを一旦は記憶するものの、このデータは符号化されて画像蓄積部911にページ単位で格納される。したがって、ページメモリ910は「自装置の外部機器に送信される対象となる画像データ」を蓄積するものではない。

したがって、「自装置の外部機器に送信される対象となる画像データとして、各々のページ単位で蓄積する」との意味は不明であり、また、「前記画像処理装置の外部機器に送信される対象となる画像データとして、各々のページ単位で蓄積する」ことは、発明の詳細な説明に記載されているものではない。

よって、当該補正により補正された請求項1および請求項6の内容は、発明の詳細な説明に記載されたものでなく、またその意味が不明であるから発明を特定することができないものであるから、本願は特許法第36条第6項第1号及び第2号の規定を満たすものではないから、本件補正後の発明は特許出願の際に独立して特許を受けることができない。

したがって、本願当該補正は、平成18年改正前特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので、特許法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

なお、当該補正は、発明の詳細な説明に記載されたものでないことから、これが出願の際に願書に添付された明細書または図面に記載されていない事項であり、特許法第17条の2第3項違背の疑義もある。

第4 本願発明について

1.本願発明

平成18年9月20日付けの手続補正は、上記のとおり却下されたから、本願の請求項に係る発明は、平成18年5月24日付けの手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし8に記載されたものと認められるところ、請求項6に係る発明は次のとおりのものである。

【請求項6】 原稿画像を走査して当該原稿に対応した画像データを生成する第1のステップと、
前記第1のステップにて生成した前記画像データを用いて、前記原稿中に所定の禁止画像が存在するか否かを判別する第2のステップと、
前記第2のステップにて前記禁止画像が存在すると判別された場合には前記原稿画像とは明らかに異なる画像になるように前記画像データを加工して出力する第3のステップと、
前記第3のステップで出力された前記画像データをページ単位で蓄積する第4のステップと
を有することを特徴とする画像処理方法。
(以下、これを本願発明という。)

2.引用刊行物

原審における平成18年3月20日付け拒絶理由に引用された刊行物1(国際公開第95/01043号パンフレット)には、図面とともに以下の記載がある。

(ア)「ユーザは複写対象を原稿載置ガラス板上に置き、またはオート・フィード機構にセットして、キーボード21内にあるスタート・ボタンを押す(ステップ101)。すると、上述したように画像読取装置11によってガラス板上の複写対象に表された画像が読取られ、その画像を表すデータがメモリ12に記憶される(ステップ102)。
その後、対象画像と基準画像とのパターン・マッチングが上述したように行われる。
(明細書第21頁第2行?第10行)

(イ)「続いて紙幣についてのパターン・マッチング処理が行われる。
(中略)
一方、紙幣の特定の一部(たとえば、押印パターン、人物画パターン等)または全部の画像を表すR、G、B画像データに、上述と同じウィンドウ・コンパレータ処理およびAND処理を施すことにより得られた基準画像データ(基準パターン・データ)(複数種類の紙幣があるときははその種類の数の)が主制御装置20に予め登録されている。
パターン・マッチング回路18はメモリ17に記憶された画像データと(複数種類の)基準画像データとを照合し、いずれかの基準画像データを一致しているかどうかを判定する。」
(明細書第16頁第9行?第17頁第19行)

(ウ)「対象画像が紙幣画像を含むと判定された場合には(ステップ103でYES)、カウンタkがインクレメントされ(ステップ105 )、更新後のカウンタにの値がnに達したかどうかが判定される(ステップ106)。 カウンタにの計数値がnに達していなければ(ステップ106でNo)、メモリ12における画像データの加工が行なわれる。パターン・マツチング回路18は対象画像と基準画像(紙幣の画像)との-成度、相関値または類似度が最も高い値を示すウィンドウの位置を検出し、この位置を表わすデータを主制御装置20に与える。主制御装置20は、メモリ12において、この位置データによって表わされるアドレスによって指定される紙幣の大きさに相当する領域にわたって、黒色を表わす画像データを書込む。または、メモリ12内の紙幣の画像データが存在する領域において特定のマークを表わす画像データを書込む(ステップ107)。 この後、複写が許可され、メモリ12に格納されている画像データによって表わされる画像が用紙上に印刷される(ステップ109 、110 )。したがって、紙幣が存在する範囲が黒くベタ塗りされた用紙、または紙幣の画像上に特定のマークが印刷された用紙が複写機から出力されることになる。メモリ12がクリアされて(ステップ+11)、初期状態に戻る。黒ベタの印刷は半導体レーザによって黒画像を感光ドラムに描画するときに、半導体レーザを制御することによっても達成できる。このとき、表示装置19に紙幣の複写を行なわないように忠告の表示を行うことが好ましい。
紙幣の複写が連続して試みられる限り、ステップ103?107、109?111の動作が繰返される。この不正行為がn回目に達すると(ステップ+06でYES)、複写が不許可になる(ステップ112)。」
(明細書第22頁第2行?第23頁第8行)

通常、複写対象を原稿載置ガラス板上の原稿を読み取る画像読取手段は原稿画像を走査するものであり、読み取った画像を表すデータは原稿に対応して生成された画像データに他ならないから、当該(ア)?(ウ)の記載、また当該記載事項に対応する第6図の記載内容から、刊行物1には、次の(カ)なる発明が記載されていることになる。

(カ)原稿画像を走査して当該原稿に対応した画像データを生成してメモリ12に記憶し、
記憶された画像データを用いて基準画像とのパターン・マッチングが行われ、パターン・マッチングにより原稿画像中に紙幣の画像データが存在すると判定された場合には、メモリ12内の大きさに相当する領域に黒色のデータが書き込まれ、あるいはメモリ12内の紙幣の画像データが存在する領域において特定のマークの画像データが書き込まれ、紙幣の複写がn回目に達するまでは複写が許可され、メモリ12内のデータが印刷される、すなわち紙幣が存在する範囲が黒くベタ塗りされた用紙、または紙幣の画像上に特定のマークが印刷された用紙が出力される画像処理方法。
(以下、これを引用発明とする。)

3.対比

本願発明と引用発明を対比すると、
(キ)引用発明における「紙幣」は、本願発明における「所定の禁止画像」に相当する。
(ク)引用発明は「メモリ12内の大きさに相当する領域に黒色のデータが書き込まれ」、あるいは「メモリ12内の紙幣の画像データが存在する領域において特定のマークの画像データが書き込まれ」るものであって、これが印刷されるのであるから、「黒色のデータが書き込まれ」あるいは「特定のマークの画像データが書き込まれ」は、メモリ12内の画像データに、黒色、あるいは特定のマークという明らかに異なる画像になるような加工をして、再度メモリ12へ出力して記憶させていることである。
よって、「黒色のデータが書き込まれ」あるいは「特定のマークの画像データが書き込まれ」は、本願発明における「明らかに異なる画像になるように画像データを加工して出力する」および「画像データを蓄積する」ことに相当する。

そうすると、本願発明と引用発明は、次の(サ)の点において一致し、(シ)の点において一応の相違がある。

【一致点】
(サ)原稿画像を走査して当該原稿に対応した画像データを生成する第1のステップと、
前記第1のステップにて生成した前記画像データを用いて、前記原稿中に所定の禁止画像が存在するか否かを判別する第2のステップと、
前記第2のステップにて前記禁止画像が存在すると判別された場合には前記原稿画像とは明らかに異なる画像になるように前記画像データを加工して出力する第3のステップと、
前記第3のステップで出力された前記画像データを蓄積する第4のステップと
を有することを特徴とする画像処理方法。

である点で一致し、以下の点で相違する。

【相違点】
(シ)本願発明が、第4のステップにおいて、前記第3のステップで出力された前記画像データを「ページ単位で」蓄積するのに対し、引用発明では「ページ単位」で蓄積されるか否かが不明である点。

4.判断

複数枚の原稿を複写して印刷する場合に、複数枚の原稿を連続して読み取り、ページ単位で記憶し、独立して順次ページ毎に印刷を実行する方式の複写機は周知である。
引用発明をどのような方式の複写機に用いるかは単なる設計的事項であって、当業者であれば容易に想到できることである。
そして、そのような複数枚の原稿を連続して読み取り、ページ単位で記憶し、独立して順次ページ毎に印刷を実行する方式の複写機に対して、引用発明の機能を適用すれば、読み取られ加工された複数の原稿の画像データは、ページ単位で記憶され、その後印刷されることになるのは当然の結果でしかない。

したがって、本願発明は、刊行物1に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

第5 付記

上記「2.」の如く、平成18年9月20日付けの手続補正は却下し、本件特許出願は、平成18年5月24日付けの手続補正書により補正された特許請求の範囲に記載された発明ついて、上記「第4」の如く判断を行った。

しかしながら、審判請求書では、「本願発明が「画像データをネットワーク上に接続されている外部機器に送信する」ものであり、そして、刊行物1に記載の発明は、処理後に「メモリがクリアされて初期状態に戻る」ものであるから、本願発明は引用刊行物に記載の発明から容易に発明をすることができたものではない」旨が主張されているので、この主張について検討を付記する。

本願発明が、ネットワークを介してファクシミリ送信することを出力とするものであり、外部機器が、ネットワークに接続されているファクシミリ等の受信機器であることは想定可能であるから、本願発明を、そのように限定解釈し、当該補正による記載不備はないものと仮定すれば、そのような仮定に基づく発明は以下のとおり判断される。

刊行物1には次の記載がある。
(タ)「この発明はファクシミリ装置、イメージ・スキャナ、その他の画像処理装置に適用可能である。
ファクシミリ装置においては、上述した複写禁止媒体を送信禁止媒体と読み替えれば良い。複写禁止(複写動作停止)はファクシミリ装置では送信禁止(送信動作停止)と、複写禁止解除が送信禁止解除と、複写不許可が送信不許可、複写許可が送信許可とそれぞれ読み替えられる。 イメージ・スキャナは読取った画像データを伝送路を介してパーソナル・コンピュータ等に伝送する。メモリ(半導体メモリ、磁気ディスク等)に記憶する等の動作を行うものであるから、これらの動作が複写機における複写動作に対応する。したがって、伝送、記憶動作が禁止され、正当なパスワードのキー人力に応じてこの禁止が解除される。
画像が紙またはシート状の物体に可視的に表わされる代わりに、画像データとして記録媒体に記録されている場合において、その画像データが電子的複写禁止データまたは伝送もしくは出力禁止データの場合にはその旨を示す特定のデータ(機密コード・データ)が記録媒体に記録される。このような記録媒体を取扱う処理装置は、この特定のデータを検出したときに電子的複写、伝送または出力を禁止し、禁止解除権限をもつパスワードが入力されたことに応答して上記禁止状態を解除する。
第13図はファクシミリ装置の概略的な電気的構成を示すものである。 伝送すべき情報が表わされた媒体(紙等)上の情報(文字1画像情報)が画像読取装置(CCDライン・センサを含む)31によって読取られ、コンパレータ32によって2値化されてメモリ33に一旦記憶される。パターン・マツチング回路36において、メモリ33の画像データとあらかじめ定められた伝送禁止画像データとが照合され、一致しなければ制御装置35によって伝送が許可され、メモリ33の画像データは伝送装置34から他の機器に伝送され、一致すれば制御装置35によって伝送が禁止される。キーボード38から伝送許可の権限をもつ者のパスワードが入力されると、制御装置35によって伝送禁止が解除され、メモリ33内の画像データは伝送装置34から伝送される。表示装置37はファクシミリ装置の操作のための、および動作に関する情報の表示、ならびに必要に応じて伝送禁止された画像の表示を行う。さらに細かい処理は上述した複写機におけるものと同じである。伝送された。または伝送禁止されたメモリ33内の画像データは必要に応じてクリアされる。」 (明細書第31頁第13行?第33頁第10行)

この(タ)の記載によれば、この発明はファクシミリ装置装置に適用可能であり、この場合、複写禁止は送信禁止、複写許可が送信許可と読み替えられるのであるから、そうすると、刊行物1には、上記した引用発明(カ)に加え、これを読み替えた次の(チ)の発明が記載されていることになる。

(チ)原稿画像を走査して当該原稿に対応した画像データを生成してメモリ12に記憶し、
記憶された画像データを用いて基準画像とのパターン・マッチングが行われ、パターン・マッチングにより原稿画像中に紙幣の画像データが存在すると判定された場合には、メモリ12内の大きさに相当する領域に黒色のデータが書き込まれ、あるいはメモリ12内の紙幣の画像データが存在する領域において特定のマークの画像データが書き込まれ、紙幣の複写がn回目に達するまではファクシミリ送信が許可され、メモリ12内のデータがファクシミリ送信される、すなわち紙幣が存在する範囲が黒くベタ塗りされた用紙の画面、または紙幣の画像上に特定のマークが印刷された用紙の画面がファクシミリ送信される画像処理方法。
(以下、これを引用第2発明という。)

一方、近年のファクシミリ装置は、簡易型の装置を除けば、複数ページのメモリを備え、複数枚の原稿を読み取って送信する場合は、複数枚の原稿データをページ単位で、一旦メモリに記憶、蓄積し、送信先の回線が確保された後に一括して送信するものが通常の方式であるから、引用第2発明において、ファクシミリ送信方式として、そのような通常の方式の装置を想定することが普通の対応である。
刊行物1に記載の上記引用第2発明が、1ページ単位で原稿を読み取り、1ページ毎に送信処理してその内容をクリアするものであるからといって、1ページ毎にバッファをクリアして送信処理を行う必然性はない。
刊行物1に記載の発明を、そのような通常のファクシミリ装置に適用するのであれば、通常のファクシミリ装置の機能のまま、複数ページを読み取って、バッファにページ単位で記憶、蓄積して処理するように設計することが自然の発想である。
したがって、本願発明は、そのような周知の方式のファクシミリに引用発明を単に適用したものにすぎないから、本願発明は、当業者が刊行物1に記載の発明(引用第2発明)に基づいて容易に発明をすることができたものと判断する。

したがって、平成18年9月20日付けの手続補正による記載不備がないもとしても、平成18年9月20日付けの手続補正により補正された請求項1および6に係る発明は特許法第29条第2項の規定により、出願の際に独立して特許を受けることができるものではない。

したがって、本願当該補正について記載不備がないと判断しても、平成18年9月20日付け手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項に係る発明は、特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので、特許法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

なお、審判請求人は審判請求書において、本願発明が「画像データをネットワーク上に接続されている外部機器に送信する」ものであり、そして、刊行物1に記載の発明は、処理後に「メモリがクリアされて初期状態に戻る」ものであるから、本願発明とは相違することを主張している。

しかしながら、上記したように、複数枚の原稿データをページ単位で、一旦メモリに記憶、蓄積し、送信先の回線が確保された後に一括して送信するものが通常のファクシミリ機器の方式である。
どの時点でバッファメモリをクリアするかは設計的事項であって、市販のファクシミリ機器において、送信後も、メモリ容量が満杯になるまではクリアせずに、送信履歴として送信内容を保持するものも存在する。
そして、本願発明においても、メモリ(蓄積手段)の消去時期について、これを本願の発明を特定するために必要な構成要件とはしていないのであるから、審判請求人の当該主張は当を得ていない。

なお、段落0061?0063には、画像蓄積部911とページメモリ910を用いて印刷あるいは外部機器に送信することについて記載されているが、「送信される対象となる画像データとして」記憶するのはページメモリ910であって、画像蓄積部911ではない。 審判請求人は、本願発明(請求項1)における蓄積手段が画像蓄積部911に相当すると捉えている節があるが、発明の詳細な説明の記載から、「送信される対象となる画像データとして」記憶するのはページメモリ910であって、画像蓄積部911ではないと判断される。 (上記、第2 2(3)を参照。)

そして、「送信される対象となる画像データとして」記憶するのがページメモリ910であれば、これは単なるバッファであって、通常のファクシミリにおけるバッファと同様のものと考えられる。本願発明におけるページメモリ910が通常のファクシミリ装置のバッファメモリと異なるものとする理由はない。

第6 むすび

以上のとおり、本願発明は、引用刊行物1に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、特許法第29条第2項の規定に基づいてした拒絶査定に誤りはない。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2008-10-01 
結審通知日 2008-10-07 
審決日 2008-10-20 
出願番号 特願平10-347637
審決分類 P 1 8・ 121- Z (H04N)
P 1 8・ 561- Z (H04N)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 加内 慎也  
特許庁審判長 板橋 通孝
特許庁審判官 伊藤 隆夫
加藤 恵一
発明の名称 画像処理装置および画像処理方法  
代理人 川▲崎▼ 研二  

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