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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63B |
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管理番号 | 1189550 |
審判番号 | 不服2006-11408 |
総通号数 | 110 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2009-02-27 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2006-05-09 |
確定日 | 2008-12-10 |
事件の表示 | 平成 7年特許願第506093号「ゲーム用ラケットのカウンターウエイトバランスシステム」拒絶査定不服審判事件〔平成 7年 2月16日国際公開、WO95/04575、平成 9年 7月 8日国内公表、特表平 9-506787〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続の経緯 本願は、1994年8月5日(パリ条約による優先権主張外国庁受理1993年8月5日、豪州)を国際出願日とする出願であって、平成18年1月25日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、同年5月9日付けで拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに、同年6月8日付けで明細書についての手続補正がなされたものである。 当審においてこれを審理した結果、平成19年9月25日付けで平成18年6月8日付け手続補正についての補正の却下の決定がなされるとともに、同日付けでいわゆる最後の拒絶理由を通知したところ、平成20年4月2日付けで意見書が提出されるとともに、同日付けで明細書について手続補正(以下、「本件補正」という。)がされたものである。 2.本願発明 本件補正により、本件補正前の平成17年8月18日付け手続補正書により補正された請求項1?4が、 「1.ゲーム用ラケットであって、閉じた長円形のフレームを有するラケットヘッドと、フリーエンド11付きのハンドル10と、前記ラケットヘッドを形成する前記フレームの、前記閉じた長円形の一部を形成するブリッジ6と、前記ラケットヘッドを前記ハンドル10に連結するスロート部分7と、を備え、前記閉じた長円形の第1の1/2領域は前記ハンドル10から離れており、前記ブリッジ6を含む、前記閉じた長円形の第2の1/2領域は前記ハンドル10に近く、当該ラケットの中間部分12は、前記閉じた長円形の前記第1及び第2の1/2領域間の接触部2,3から前記ハンドル10に向かって約3cmだけそれぞれがシフトした対向ポイント4,5から、前記閉じた長円形の前記第2の1/2領域の残り及びスロート部分7に沿って、前記ハンドル10の前記フリーエンド11から約21センチメートル離れて位置するポイント9まで延び、前記中間部分12は、ガットを張る前のラケットの総重量の25%以下であるゲーム用ラケット。 2.請求項1記載のゲーム用ラケットであって、当該ラケットの前記中間部分12の重量は、前記ガットを張る前のラケットの総重量の20%以下であるゲーム用ラケット。 3.ゲーム用ラケットであって、開いた長円形のフレームを有するラケットヘッドと、フリーエンド9付きのハンドル8と、前記ラケットヘッドを前記ハンドル8に連結するスロート部分7と、を備え、前記開いた長円形の第1の1/2領域は前記ハンドル8から離れて位置付けられ、前記開いた長円形の第2の1/2領域は前記ハンドル10の近くに位置付けられ、当該ラケットの中間部分10は、前記開いた長円形の前記第1及び第2の1/2領域の、対向する接触部2,3から、前記開いた長円形の前記第2の1/2領域及び前記スロート部分5に沿って、前記ハンドル8の前記フリーエンド9から約20センチメートル離れて位置するポイント7まで延び、前記中間部分10は、ガットを張る前のラケットの総重量の25%以下であるゲーム用ラケット。 4.請求項3記載のゲーム用ラケットであって、当該ラケットの前記中間部分10の重量は、前記ガットを張る前のラケットの総重量の20%以下であるゲーム用ラケット。」から 「1.テニス用のゲーム用ラケットであって、フレームを有するラケットヘッドと、グリップエンド11付きのハンドル10と、前記ラケットヘッドを形成する前記フレームの下部に位置し、前記フレームの一部を形成するブリッジ6と、前記ラケットヘッドを前記ハンドル10に連結するスロート部分7と、前記ラケットヘッドの先端1と、前記ブリッジ6の中心位置と、を結ぶ垂直線を二等分する直線が前記フレームに交わるポイント2,3から前記ハンドル10に向かって3センチメートルだけそれぞれがシフトしたポイント4,5から、前記閉じた長円形の前記第2の1/2領域の残り及びスロート部分7に沿って、前記ハンドル10の前記グリップエンド11から前記ハンドル10の方向に21センチメートル離れて位置するポイント9まで延びる中間部分12と、を備え、前記中間部分12は、ガットを張る前のラケットの総重量の25%以下にされているテニス用のゲーム用ラケット。 2.テニス用のゲーム用ラケットであって、フレームを有するラケットヘッドと、グリップエンド9付きのハンドル8と、前記ラケットヘッドを前記ハンドル8に連結するシャフト6と、前記ラケットヘッドの先端1と、前記シャフト6の頂部4と、を結ぶ垂直線を二等分する直線が前記フレームに交わるポイント2,3から、前記ハンドル8の前記グリップエンド9から前記ハンドル8の方向に20センチメートル離れて位置するポイント7まで延びる中間部分10と、前記中間部分10は、ガットを張る前のラケットの総重量の25%以下にされているテニス用のゲーム用ラケット。」と補正された。 補正前の請求項2、4は、「ガットを張る前のラケットの総重量の20%以下」という特定を有するものであるから、補正後の請求項1が補正前の請求項1に、補正後の請求項2が補正前の請求項3に対応することは明らかである。 よって、補正前の請求項2、4は削除されている。 平成19年9月25日付けの当審の拒絶理由通知は、ガットを張る前のラケットの総重量の25%以下の部分が特定できないこと、及び該部分をラケットの総重量の25%以下とした技術的意義が不明であることを主旨とするものである。 補正前の請求項1を補正後の請求項1にする補正は、補正前不明りょうな記載であった「閉じた長円形の第1の1/2領域」、「閉じた長円形の第2の1/2領域」等の用語を用いてガットを張る前のラケットの総重量の25%以下の部分を特定しようとしていたものを、「ラケットヘッドの先端1」、「ブリッジ6の中心位置」、「グリップエンド11」等特定できる部分の用語を用いてガットを張る前のラケットの総重量の25%以下の部分を特定しようとするもので、不明りょうな記載の釈明、あるいは誤記の訂正を目的にしたものである。 また、補正前の請求項3を補正後の請求項2にする補正は、補正前不明りょうな記載であった「開いた長円形の第1の1/2領域」、「開いた長円形の第2の1/2領域」等の用語を用いてガットを張る前のラケットの総重量の25%以下の部分を特定しようとしていたものを、「ラケットヘッドの先端1」、「シャフト6の頂部4」、「グリップエンド9」等特定できる部分の用語を用いてガットを張る前のラケットの総重量の25%以下の部分を特定しようとするもので、不明りょうな記載の釈明、あるいは誤記の訂正を目的にしたものである。 また、特定の部分をガットを張る前のラケットの総重量の25%以下としたゲーム用ラケットがどのようなものであるか不明りょうで、その技術的意義が不明であったものを発明の詳細な説明の項の記載に合わせ、テニス用のゲームラケットであることを明確にしたものであって、いずれも平成6年改正前特許法第17条の2第3項第1号の請求項の削除、同第3号の誤記の訂正、或いは同第4号の明りょうでない記載の釈明を目的とするものと認められる。 よって本件補正を認める。 なお、補正後の請求項1の「前記閉じた長円形の前記第2の1/2領域の残り及び」については、何を意味しているのか不明であり、その余の請求項1についての補正が前述の「閉じた長円形の第1の1/2領域」、「閉じた長円形の第2の1/2領域」等の用語ではなく、「ラケットヘッドの先端1」、「ブリッジ6の中心位置」、「グリップエンド11」等特定できる部分の用語を用いてガットを張る前のラケットの総重量の25%以下の部分を特定しようとすることを意図していることは明らかで、誤って残存しているものと認められる。 したがって、本件補正後の請求項1は、以下のように認められる。 「テニス用のゲーム用ラケットであって、フレームを有するラケットヘッドと、グリップエンド11付きのハンドル10と、前記ラケットヘッドを形成する前記フレームの下部に位置し、前記フレームの一部を形成するブリッジ6と、前記ラケットヘッドを前記ハンドル10に連結するスロート部分7と、前記ラケットヘッドの先端1と、前記ブリッジ6の中心位置と、を結ぶ垂直線を二等分する直線が前記フレームに交わるポイント2,3から前記ハンドル10に向かって3センチメートルだけそれぞれがシフトしたポイント4,5から、スロート部分7に沿って、前記ハンドル10の前記グリップエンド11から前記ハンドル10の方向に21センチメートル離れて位置するポイント9まで延びる中間部分12と、を備え、前記中間部分12は、ガットを張る前のラケットの総重量の25%以下にされているテニス用のゲーム用ラケット。」(以下、「本願発明」という)。 3.引用刊行物 原査定の拒絶の理由に引用され、本願の出願の日前に頒布された特開昭63-183082号公報(以下、「刊行物」という。)には、次の事項が図示とともにある。 ア.「(発明が解決しようとする問題点) 以上のような事実から本発明人は前記の型のテニスラケツト(特にいわゆる開放かえる股区画と、この区画をガツトの方向において画界する横ロツドとを有するラケツト)において、前述の如きパラメータを有し、しかも在来のものに比してすぐれた打撃特性を有するラケツトを供することを試みた。特に目指したことはプレーヤーの手に加わる反発モーメントを減少せしめると同時に打球力を増加させることである。 (問題を解決するための手段) 前記目的はハンドルの端面からほぼ0から100ミリメートル、特に0から50ミリメートルまでのところに位置するハンドルおもりを設け、かつラケツト頭部の自由端に設けた追加おもりまたは頭部おもりがラケツトの縦軸線に対して均一に分布されるようにし、これらおもりの全重量が50グラムから150グラムまでの間にあるようになすことによって達成される。」(第2ページ左下欄第14行目?同ページ右下欄第12行目) イ.「全長eが680ミリメートルなるテニスラケツト10はラケツト頭部12として適当に曲げられた合成ロツド13によって形成された卵形伸張枠を有し、かつエポキシレシン内に包埋されたグラフアイト繊維よりなつている。この合成ロツド13はラケツトの縦軸線Mの両側を通り、対応する肩部分14を経てプロフイル腕16に延びている。このプロフイル腕16は横方向にかえる股区画18を画界し、該区画は横ウエブ20によりラケツト頭部12に向いた側が画定されている。首またはシヤフト22は前記かえる股部分18を結合し、かつハンドル24となってハンドル端面26まで延び、このハンドルには皮が巻かれている。 ラケツト頭部12および横ウエブ20はガツト区画Qを囲繞し、該ガツト区画は横ガツト28と、これと交差する縦ガツト29とよりなっている。ガツト区画Qの最大長さhは315ミリメートルであり、最大幅bは235ミリメートルである。ガツトを張ったテニスラケツトの重量は362グラムである。 ハンドルおもり30はハンドル端面からの距離lがほぼ0のところから100ミリメートルのところまでに配置され、一方頭部おもり32はラケツトの縦軸線、すなわち対称軸線Mの両側において合成ロツド13の中に配置されている。これら頭部おもり32はラケツトの縦軸線Mと交差する直線Nの上に位置決めされ、かつこの直線はラケツト頭部12の頂点34からの距離aがほぼ0から100ミリメートルまでのところを延びている。おもり32はなるべくは球の形をなし、かつ合成ロツド13の中に固定的に装架される。」(第4ページ左下欄第9行目?同ページ右下欄第19行目) ウ.第1図より、ラケット頭部12を形成するロッド13のうち、下部の一部分が横ウェブ20により形成される点、プロフィル腕16によってラケット頭部12をハンドル24に連結している点、ラケットの対称軸線Mがラケット頭部12の頂部34を通る点が看取できる。 ア.の「ハンドルおもり30はハンドル端面からの距離lがほぼ0のところから100ミリメートルのところまでに配置され、一方頭部おもり32はラケツトの縦軸線、すなわち対称軸線Mの両側において合成ロツド13の中に配置されている。これら頭部おもり32はラケツトの縦軸線Mと交差する直線Nの上に位置決めされ、かつこの直線はラケツト頭部12の頂点34からの距離aがほぼ0から100ミリメートルまでのところを延びている。」の記載より、ラケット頭部12の頂部34を通るラケットの縦軸線M上で、ラケット頭部12の頂点34からほぼ100ミリメートルのところをラケットの縦軸線Mと交差する直線Nがロッド13を横切る点から、ハンドル内のハンドル端面からほぼ100ミリメートルの点までは、「おもりが配置されない部分」であるといえる。 この記載事項を含む刊行物全体の記載によると、刊行物には「テニスラケットであって、ロッド13を有するラケット頭部12と、ハンドル端部26を有するハンドル24と、ラケット頭部12を形成するロッド13の下部に位置し、ロッド13の一部を形成する横ウェブ20と、ラケット頭部12の頂部34を通るラケットの縦軸線M上で、ラケット頭部12の頂点34からほぼ100ミリメートルのところをラケットの縦軸線Mと交差する直線Nがロッド13を横切る点から、ハンドル内のハンドル端面からほぼ100ミリメートルの点までは、おもりが配置されない部分であるテニスラケット。」(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。 4.対比 本願発明と引用発明を対比する。 引用発明の「テニスラケット」、「ロッド13」、「ラケット頭部12」、「ハンドル端部26」、「ハンドル24」、「横ウェブ20」、「プロフィル腕16」はそれぞれ本願発明の「テニス用のゲーム用ラケット」、「フレーム」、「ラケットヘッド」、「グリップエンド」「ハンドル」、「ブリッジ」、「スロート部分」に相当する。 引用発明の「ラケット頭部12の頂部34を通るラケットの縦軸線M上で、ラケット頭部12の頂点34からほぼ100ミリメートルのところをラケットの縦軸線Mと交差する直線Nがロッド13を横切る点」と、本願発明の「ラケットヘッドの先端1と、ブリッジ6の中心位置と、を結ぶ垂直線を二等分する直線が前記フレームに交わるポイント2,3からハンドル10に向かって3センチメートルだけそれぞれがシフトしたポイント4,5」は「フレーム上の特定ポイント」である点で共通する。 引用発明の「ハンドル内のハンドル端面からほぼ100ミリメートルの点」と、本願発明の「ハンドル10のグリップエンド11からハンドル10の方向に21センチメートル離れて位置するポイント9」は「ハンドル上の特定ポイント」である点で共通する。 また、本願発明の中間部分12は、ガットを張る前のラケットの総重量の25%以下にされているから、引用発明の「おもりが配置されない部分」と本願発明の「中間部分12」は、「フレーム上の特定ポイントからハンドル上の特定ポイントまで延びる部分の重量を他の部分に比べて小さくした」部分である点で共通する。 してみると、本願発明と引用発明とは、以下の点で一致し、相違している。 <一致点> テニス用のゲーム用ラケットであって、フレームを有するラケットヘッドと、グリップエンド付きのハンドルと、ラケットヘッドを形成するフレームの下部に位置し、フレームの一部を形成するブリッジと、ラケットヘッドをハンドルに連結するスロート部分と、フレーム上の特定ポイントからハンドル上の特定ポイントまで延びる部分の重量を他の部分に比べて小さくしたテニス用のゲーム用ラケット。 <相違点> 本願発明では、フレーム上の特定ポイントが、「ラケットヘッドの先端1と、ブリッジ6の中心位置と、を結ぶ垂直線を二等分する直線が前記フレームに交わるポイント2,3からハンドル10に向かって3センチメートルだけそれぞれがシフトしたポイント4,5」であり、ハンドル上の特定ポイントが、「ハンドル10のグリップエンド11からハンドル10の方向に21センチメートル離れて位置するポイント9」であり、ラケットヘッドの先端1と、ブリッジ6の中心位置と、を結ぶ垂直線を二等分する直線がフレームに交わるポイント2,3からハンドル10に向かって3センチメートルだけそれぞれがシフトしたポイント4,5から、スロート部分7に沿って、ハンドル10のグリップエンド11からハンドル10の方向に21センチメートル離れて位置するポイント9まで延びる部分を「中間部分12」と称し、中間部分12が「ガットを張る前のラケットの総重量の25%以下にされている」と特定されているのに対し、引用発明ではそのような特定がされたものではない点。 5.相違点についての検討 <相違点>について検討する。 本願発明は、明細書の「発明の背景」に「これは、ラケットの所定の中間部12が、ガットを張る前のラケットについて、テニス用のものであればその総重量の25%以下・・・となるように製造されているという重要な特徴によって達成される。このことにより、ラケットの残りの重量を、ラケットの両端付近に、固定のあるいは異なった割合で配分することが可能となり、大きなカウンターウエイトバランスシステムが設定される。・・・ このように大きなカウンターウエイトバランスシステムを設定することにより、ゲーム用ラケットは、威力やコントロールの増大、すぐれたバランス、およびスイング時の重量の軽減といった際だった性能の特徴を発揮できる。ラケットはまた、自らが生じるラケットヘッドスピード、より大きなスィートスポット、そしてボールを打った際のラケットの振動や衝撃を大幅に減少して、腕や関連する怪我の減少に寄与できる。」と記載されるように、ラケットの中間部分の重量をラケットの残りの重量より小さくし、ラケットの残りの重量を、ラケットの両端付近に、固定のあるいは異なった割合で配分することによって発明の目的を達成するものである。 引用発明においても、ラケット頭部12の頂部34を通るラケットの縦軸線M上で、ラケット頭部12の頂点34からほぼ100ミリメートルまでのところをラケットの縦軸線Mと交差する直線Nがロッド13を横切る点から、ハンドル内のハンドル端面からほぼ100ミリメートルの点までは、おもりが配置されない部分とし、重量を他の部分に比べて小さくしたことによって、本願発明と同様の目的を達成しようとするテニスラケットが記載されている。 このように、ラケットの中間部分の重量をラケットの他の部分に比べて小さくすることは引用発明に記載されており、ラケットのどの部分を中間部分とするか、中間部分の重量をラケット全体の重量のどのくらいにするかは、当業者であれば、必要なラケットの特性が得られるように実験を行い、適宜決定しうる範囲の事項と言える。したがってフレーム上の特定ポイントを「ラケットヘッドの先端1と、ブリッジ6の中心位置と、を結ぶ垂直線を二等分する直線が前記フレームに交わるポイント2,3からハンドル10に向かって3センチメートルだけそれぞれがシフトしたポイント4,5」とし、ハンドル上の特定ポイントが、「ハンドル10のグリップエンド11からハンドル10の方向に21センチメートル離れて位置するポイント9」とし、その間の部分を「中間部分12」と称し、「ガットを張る前のラケットの総重量の25%以下にされている」とすることに困難性は認められない。 請求人は平成20年4月2日付け意見書の(b)理由2において、シミュレーションの調査結果を示し、本件発明の技術上の意義を主張しているが、シミュレーションで使用されたラケットの特殊な質量分布についてはクレームに特定されていないため、シミュレーションの調査結果が本願発明の効果の裏付けになるとは認められない。また、本願発明において限定されている事項は中間部分12が「ガットを張る前のラケットの総重量の25%以下にされている」ことのみであって、ラケットの中間部分の重量だけでなく、ラケットの残りの重量をどのように配分するかが限定されていないことからも、中間部分の重量をラケット全体の重量のどのくらいにするかは、適宜決定しうる範囲の事項と言わざるを得ない。 そして本願発明の作用効果も、刊行物に記載の発明から当業者が予測できる範囲のものである。 6.むすび したがって、本願発明は、刊行物に記載の発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができず、本願のその余の請求項について検討するまでもなく本願は拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2008-07-14 |
結審通知日 | 2008-07-15 |
審決日 | 2008-07-28 |
出願番号 | 特願平7-506093 |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(A63B)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 西村 仁志 |
特許庁審判長 |
長島 和子 |
特許庁審判官 |
酒井 進 七字 ひろみ |
発明の名称 | ゲーム用ラケットのカウンターウエイトバランスシステム |
代理人 | 特許業務法人湘洋内外特許事務所 |