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審決分類 |
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 B65D 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 B65D |
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管理番号 | 1189675 |
審判番号 | 不服2007-28443 |
総通号数 | 110 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2009-02-27 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2007-10-18 |
確定日 | 2008-12-12 |
事件の表示 | 特願2005-308590「手提げ袋」拒絶査定不服審判事件〔平成19年 5月10日出願公開、特開2007-112504〕について,次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は,成り立たない。 |
理由 |
I.手続の経緯 本願は,平成17年10月24日の出願であって,平成19年9月7日付けで拒絶査定がなされ,これに対し,同年10月18日付けで拒絶査定不服審判の請求がなされるとともに,同年11月19日付けで明細書についての手続補正がなされたものである。 II.平成19年11月19日付けの手続補正についての補正却下の決定 [補正却下の決定の結論] 平成19年11月19日付けの手続補正(以下,「本件補正」という。)を却下する。 [理由] 1.補正後の本願発明 本件補正により,特許請求の範囲の請求項1は,次のように補正された。 「有底にして上部が開口する袋本体の前後の胴部外面にそれぞれ紐状の把手の基部を貼り付けてなる手提げ袋であって,袋本体の開口上部に開口上端辺に沿う帯状の延伸部を設け,前記把手を平紐で構成するとともにその基部を前記延伸部よりも下方に貼着し,前記開口上部を閉ざしてから前記延伸部の上半部を前後いずれかの胴部側に折り畳むと,開口端縁が閉ざされた状態で,延伸部の下半部外面における前後いずれかの胴部外面と,当該胴部に貼着されている把手の基部内側との間に入り込んでこれら把手と胴部間に挟み込まれて安定した閉封状態が維持されるように構成してなる手提げ袋。」 2.補正の目的,特許請求の範囲の拡張,変更及び新規事項の追加の有無 本件補正は,請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「把手」に,「平紐で構成する」との限定を付加するものであり,かつ,補正後の請求項1に記載された発明は,補正前の請求項1に記載された発明と,産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるので,本件補正は,平成18年改正前特許法第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 そして,本件補正は,新規事項を追加するものではなく,特許請求の範囲を拡張又は変更するものでもない。 3.独立特許要件 そこで,本件補正後の前記請求項1に記載された発明(以下,「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるかについて以下に検討する。 3-1.引用例の記載事項 原査定の拒絶の理由に引用された,実願昭60-50528号(実開昭61-166921号公報)のマイクロフィルム(以下,「引用例」という)には,図面と共に次の事項が記載されている。 a.(4頁6?11行) 「手さげ紐(6)の手さげ紐付根止(7)は,……手さげ紙袋本体(2)の表側面に美装印刷等デザインした紙等で接着剤により貼り付け,装飾を兼ねながら固定することができる。」 b.(4頁18?末行) 「手さげ紙袋本体(2)の開口部に接続して,上方向に開閉口(4)をもつ,折り曲げ蓋(3)を設ける。」 c.(5頁15?18行) 「更に折り曲げ蓋(3)の蓋止溝穴(5)を設けず,折り曲げ蓋(3)の開閉口(4)を閉じ,片側方向に折り曲げて,手さげ紙袋本体(2)と手さげ紐(6)との間にさしはさんで固定したり……」 そして,紙袋本体(2)が有底で上部が開口すること,手さげ紐の貼り付けられている部位が手さげ紐の基部であること,且つ,手さげ紙袋本体(2)の表側面の前後両面で,且つ,折り曲げ蓋よりも下方に貼り付けられていること,さらに,折り曲げ蓋(3)が開口部上部に開口部上端辺に沿う帯状に設けられていることが図面第1図及び第3図に示されている。 これら記載事項及び図示内容を総合し,本願発明の記載ぶりに則って整理すると,引用例には,次の発明(以下,「引用発明」という。)が記載されている。 「有底にして上部が開口する手さげ紙袋本体の前後の表側面にそれぞれ手さげ紐の基部を貼り付けてなる手さげ紙袋であって,手さげ紙袋本体の開口上部に開口部上端縁に沿う帯状の折り曲げ蓋を設け,前記手さげ紐をその基部を前記折り曲げ蓋よりも下方に貼着し,前記開口部上部を閉ざしてから前記折り曲げ蓋の上半部を前後いずれかの表側面側に折ると,開口端縁が閉ざされた状態で,折り曲げ蓋の下半部外面における前後いずれかの表側面外面と,当該表側面に貼着されている手さげ紐の基部に入り込んでこれら手さげ紐と表側面に挟み込まれて安定した閉封状態が維持されるように構成してなる手さげ紙袋。」 3-2.対比 本願補正発明と引用発明とを対比すると,その構造または機能からみて,引用発明の「手さげ紙袋全体」は,本願補正発明の「袋本体」に相当し,以下同様に,「表側面」は「胴部」又は「胴部外面」に,「手さげ紐」は「把手」又は「紐状の把手」に,「手さげ紙袋」は「袋」又は「手提げ袋」に,「開口部上部」又は「開閉口」は「開口部上部」又は「開口上部」に,「折り曲げ蓋」は「延伸部」にそれぞれ相当する。 そこで,両者は次の点で一致する。 (一致点) 「有底にして上部が開口する袋本体の前後の胴部外面にそれぞれ紐状の把手の基部を貼り付けてなる手提げ袋であって,袋本体の開口上部に開口上端辺に沿う帯状の延伸部を設け,前記把手をその基部を前記延伸部よりも下方に貼着し,前記開口上部を閉ざしてから前記延伸部の上半部を前後いずれかの胴部側に折ると,開口端縁が閉ざされた状態で,延伸部の下半部外面における前後いずれかの胴部外面と,当該胴部に貼着されている把手の基部に入り込んでこれら把手と胴部に挟み込まれて安定した閉封状態が維持されるように構成してなる手提げ袋。」 そして,両者は次の点で相違する(対応する引用例記載の用語を( )内に示す)。 (相違点1) 本願補正発明は,「把手を平紐で構成する」のに対し,引用発明は把手(手さげ紐)は紐であるものの,平紐であるか明らかでない点。 (相違点2) 本願補正発明は,延伸部の上半部を「折り畳む」ことによって,「胴部外面と,当該胴部に貼着されている把手の基部内側との間に入り込んでこれら把手と胴部に挟み込まれ」るのに対し,引用発明は,延伸部(折り曲げ蓋)の上半部を「折る」ことによって,「把手(手さげ紐)の基部に入り込んでこれら把手(手さげ紐)と胴部(表側面)に挟み込まれ」る点。 3-3.相違点の判断 上記相違点について検討する。 (相違点1について) 一般に,把手を外側に固着した手提げ袋において,当該把手を平紐で構成することは,周知の技術的事項である。 例えば,周知例として,特開平9-188337号公報(特に,4頁左欄11?14行),実願昭47-43495号(実開昭49-3915号公報)のマイクロフィルム(特に,3頁13行?4頁3行)があげられる。 そこで,引用発明に,上記周知技術を適用し,相違点1に係る本願補正発明の発明特定事項のようにすることは当業者が容易に想到し得たことである。 (相違点2について) 一般に,把手を外側に固着した手提げ袋において,延伸部の上半部を折り畳むことによって,胴部外面と,当該胴部に貼着されている把手の基部内側との間に入り込んでこれら把手と胴部に挟み込まれるようにすることは,周知の技術的事項である。 例えば,周知例として,実願昭46-118108号(実開昭48-71017号)のマイクロフィルム,実願昭47-43495号(実開昭49-3915号)のマイクロフィルムがあげられる。 そこで,引用発明に,上記周知技術を適用し,相違点2に係る本願補正発明の発明特定事項のようにすることは当業者が容易に想到し得たことである。 そして,本願補正発明による効果も,引用発明及び周知技術から当業者が予測し得た程度のものであって,格別のものとはいえない。 したがって,本願補正発明は,引用発明及び周知技術に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものであるので,特許法第29条第2項の規定により,特許出願の際独立して特許を受けることができない。 3-4.むすび したがって,本件補正は,平成18年改正前特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので,特許法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 III.本願発明 本件補正は,上記のとおり却下されたので,本願の請求項1ないし5に係る発明は,平成19年5月10日付けの手続補正書により補正された明細書の,特許請求の範囲の請求項1ないし5に記載された事項により特定されるとおりのものであるところ,請求項1に記載された発明(以下,「本願発明」という。)は,以下のとおりのものである。 「有底にして上部が開口する袋本体の前後の胴部外面にそれぞれ紐状の把手の基部を貼り付けてなる手提げ袋であって,袋本体の開口上部に開口上端辺に沿う帯状の延伸部を設け,前記把手をこの延伸部よりも下方に貼着し,前記開口上部を閉ざしてから前記延伸部の上半部を前後いずれかの胴部側に折り畳むと,開口端縁が閉ざされた状態で,延伸部の下半部外面における前後いずれかの胴部外面と,当該胴部に貼着されている把手の基部内側との間に入り込んでこれら把手と胴部間に挟み込まれて安定した閉封状態が維持されるように構成してなる手提げ袋。」 IV.引用例の記載事項 原査定の拒絶の理由に引用された引用例,及び,その記載事項は,前記II.3-1に記載したとおりである。 V.対比・判断 本願発明は,前記II.1の本願補正発明から,「把手」の限定事項である「平紐で構成する」との構成を省いたものである。 そうすると,本願発明の構成要件をすべて含み,さらに,他の構成要件を付加したものに相当する本願補正発明が,前記II.3-3に記載したとおり,引用発明及び周知技術に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものであるから,本願発明も,同様に,引用発明及び周知技術に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものである。 VI.むすび 以上のとおり,本願発明は,引用発明及び周知技術に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により,特許を受けることができない。 それゆえ,本願出願は,特許請求の範囲の請求項2?5に係る発明について検討するまでもなく,拒絶すべきものである。 よって,結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2008-09-19 |
結審通知日 | 2008-09-30 |
審決日 | 2008-10-20 |
出願番号 | 特願2005-308590(P2005-308590) |
審決分類 |
P
1
8・
575-
Z
(B65D)
P 1 8・ 121- Z (B65D) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 武内 大志 |
特許庁審判長 |
松縄 正登 |
特許庁審判官 |
熊倉 強 遠藤 秀明 |
発明の名称 | 手提げ袋 |
代理人 | 加藤 恒久 |