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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 H04N |
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管理番号 | 1189893 |
審判番号 | 不服2006-16582 |
総通号数 | 110 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2009-02-27 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2006-08-02 |
確定日 | 2009-01-14 |
事件の表示 | 平成 9年特許願第185861号「ランレングス符号化方法および画像処理装置」拒絶査定不服審判事件〔平成11年 1月22日出願公開、特開平11- 17959、請求項の数(2)〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 |
理由 |
1.本願発明 本願の請求項1?3に係る発明は、明細書の特許請求の範囲の請求項1?3にその記載のあるとおりのものであるところ、本願特許請求の範囲の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、次のとおりのものである。 「【請求項1】 プログラムされたコンピュータによって白画素および黒画素の連続数を符号化する方法であって、 画像データを走査して該画像データ中の符号化対象領域内で黒画素を含む矩形領域を検出する有効矩形領域検出工程と、 前記有効矩形領域検出工程により検出された矩形領域のライン毎に出現する白画素の連続数または黒画素の連続数を取得する連続数取得工程と、 前記連続数取得工程により取得された白画素の連続数または黒画素の連続数に基づいて、白画素の連続数を記述する長さ5ビットの白ランレングス符号と黒画素の連続数を記述する長さ3ビットの黒ランレングス符号とからなる長さ8ビットの最頻符号を生成する最頻符号生成工程と、 前記白画素の連続数が前記白ランレングス符号で表す最大値を超える場合に、前記最頻符号に続けて白画素の連続数を記述する長さ8ビットの超過白ランレングス符号を生成する超過白ランレングス符号生成工程と、 前記黒画素の連続数が前記黒ランレングス符号の最大値を超える場合に、前記最頻符号に続けて黒画素の連続数を記述する長さ8ビットの超過黒ランレングス符号を生成する超過黒ランレングス符号生成工程と、 を備えたことを特徴とするランレングス符号化方法。」 2.引用例 (1)平成18年10月13日付けの拒絶理由通知書にて引用された引用例 引用例1.特開昭63-184482号公報 「白ランと黒ランの各ラン長によるランレングスベクトル表現された画像データを圧縮する画像データ圧縮方式において、最大ラン長が2^(15)-1=32767画素以下のランレングスベクトルで表現される前記画像データについて、m+n=16を満たす自然数m、nを設定し、 (i)隣接する白ランと黒ランの白ラン長が2^(m)-2画素以下でかつ黒ラン長が2^(n)-2画素以下の場合、 白ランをmビット整数表現した符号と、黒ランをnビット整数表現した符号を用いて符号化し、 (ii)隣接する白ランと黒ランの白ラン長が2^(m)-2画素を越えていてかつ黒ラン長が2^(n)-2画素以下の場合、 白ラン長が2^(m)-2画素を越えていることを示すmのビット符号と、黒ランをnビット整数表現した符号と、白ラン長を16ビット整数表現した符号を用いて符号化し、 (iii)隣接する白ランと黒ランの白ラン長が2^(m)-2画素以下でかつ黒ラン長が2^(n)-2画素を越えている場合、 白ランをmビット整数表現した符号と、黒ラン長が2^(n)-2画素を越えていることを示すnビットの符号と、黒ラン長を16ビット整数表現した符号を用いて符号化し、 (iv)隣接する白ランと黒ランの白ラン長が2^(m)-2画素を越えていてかつ黒ラン長も2^(n)-2画素を越えている場合には、 白ラン長が2^(m)-2画素を越えていることを示すmビットの符号と、黒ラン長が2^(n)-2画素を越えていることを示すnビットの符号と、白ラン長16ビット整数表現した符号と、黒ラン長を16ビット整数表現した符号を用いて符号化する画像データ圧縮方式。」 なお、引用例1に記載された画像データ圧縮方式は、m+n=16を満たす自然数としてmを9?11の範囲で、またnを7?5の範囲でそれぞれ設定可能となるように、自然数m,nの値を限定するものである。 (2)平成18年10月24日付けの前置報告書にて引用された引用例 引用例2.特開平02-78373号公報 「画像開始位置検出手段および画像終了位置検出手段が検出した画像開始位置情報と画像終了位置情報とを、圧縮画像データに付加して伝送することにより、画像の存在しない部分については何も伝送する必要がないので、伝送時間を短縮できる画像データ伝送装置。」 引用例3.特開昭60-72377号公報 「メモリに記憶された原画像情報を白情報領域が除去されたセグメントに分割し、各セグメント内で夫々デ-タ圧縮することにより、圧縮度を向上して白領域を除去し、効果的にデ-タ圧縮を行うイメージ情報入力装置。」 3.対比 本願発明と引用例1に記載された発明(以下、「引用発明」という。)とを対比すると、本願発明と引用発明とは次の各点で相違する。 (相違点1) 本願発明は、画像データを走査して該画像データ中の符号化対象領域内で黒画素を含む矩形領域を検出する有効矩形領域検出工程と、 前記有効矩形領域検出工程により検出された矩形領域のライン毎に出現する白画素の連続数または黒画素の連続数を取得する連続数取得工程とを、備えているのに対して、 引用発明は、有効矩形領域検出工程と連続数取得工程とに対応する工程を全く備えていない点。 (相違点2) 本願発明の最頻符号生成工程は、連続数取得工程により取得された白画素の連続数または黒画素の連続数に基づいて、白画素の連続数を記述する長さ5ビットの白ランレングス符号と黒画素の連続数を記述する長さ3ビットの黒ランレングス符号とからなる長さ8ビットの最頻符号を生成する工程であるのに対し、 引用発明の最頻符号生成工程は、白画素の連続数を記述する長さmビット(m=9?11)の白ランレングス符号と黒画素の連続数を記述する長さnビット(n=7?5)の黒ランレングス符号とからなる長さm+n(m+n=16)ビットの最頻符号を生成する工程である点。 (相違点3) 本願発明の超過白ランレングス符号生成工程は、 白画素の連続数が白ランレングス符号で表す最大値を超える場合に、最頻符号に続けて白画素の連続数を記述する長さ8ビットの超過白ランレングス符号を生成し、 また、本願発明の超過黒ランレングス符号生成工程は、 黒画素の連続数が黒ランレングス符号の最大値を超える場合に、最頻符号に続けて黒画素の連続数を記述する長さ8ビットの超過黒ランレングス符号を生成するのに対して、 引用発明の超過白および黒ランレングス符号生成工程は、隣接する白ランと黒ランに於ける白ラン長が2^(m)-2画素を越えていてかつ黒ラン長も2^(n)-2画素を越えている場合には、白ラン長が2^(m)-2画素を越えていることを示すmビットの符号と、黒ラン長が2^(n)-2画素を越えていることを示すnビットの符号と、白ラン長16ビット整数表現した符号と、黒ラン長を16ビット整数表現した符号を用いて符号化している点。 4.当審の判断 相違点3から判断する。 本願発明の「超過白ランレングス符号生成工程」を図示すると、 (1)「最頻符号」+「白画素の連続数を記述する長さ8ビットの超過白ランレングス符号」 となる。 引用発明の「超過白ランレングス符号生成工程」を図示すると、 (2)「白ラン長が2^(m)-2画素を越えていることを示すmビットの符号」+「白ラン長を16ビット整数表現した符号」 となる。 そして、上記(1)と(2)を引き比べてみるに、 本願発明は、白(黒)ラン長が最大値を超える場合に、先ず、白ならば5ビット、黒ならば3ビットの「最頻符号」を出力し、最頻符号化できない残りの部分(それは当然連続する白または黒のみの部分である。)を表現しかつ特定するために、次に、最頻符号に加算すべき残りのラン長に対応する数のデータを生成し出力しているが、 引用発明は、白(黒)ラン長が最大値を超える場合に、先ず、ラン長が所定画素数を超えていることを示す符号それ自体を出力し、次に、白(黒)ラン長そのもの、すなわち全白(黒)ラン長を表現した符号を出力しており、 本願発明と引用発明とでは、白(黒)ラン長が最大値を超える場合の、符号化の形式が全く相違しており、本願発明は、引用発明の16ビット構成を8ビット構成にし、そのデータ構造を単に縮小したものではない。 かつ、原審はその相違性(相違点)を消失させるに足る何らの周知事実をも提示していない。 してみると、先の相違点3は容易性の範囲を超えているといわざるを得ない。 したがって、他の相違点1及び2について判断するまでもなく、本願補正発明は、引用発明及び引用例2、3に記載された発明そして周知事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたとすることはできない。 そして、請求項2に係る発明についても本願発明と同様の理由により当業者が容易に発明をすることができたとすることはできない。 また、他の拒絶理由も見いだせない。 よって結論のごとく審決する。 |
審決日 | 2008-12-15 |
出願番号 | 特願平9-185861 |
審決分類 |
P
1
8・
121-
WY
(H04N)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 松永 稔 |
特許庁審判長 |
原 光明 |
特許庁審判官 |
加藤 恵一 畑中 高行 |
発明の名称 | ランレングス符号化方法および画像処理装置 |
代理人 | 中倉 和彦 |