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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06Q
管理番号 1189901
審判番号 不服2004-24264  
総通号数 110 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2009-02-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2004-11-26 
確定日 2008-12-26 
事件の表示 特願2000-198732「コンピュータネットワーク利用による掲示板システム」拒絶査定不服審判事件〔平成13年10月 5日出願公開、特開2001-273432〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯

本願は、平成12年6月30日(優先権主張 平成12年1月20日 日本)の出願であって、平成16年10月19日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、平成16年11月26日付けで拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに、平成16年12月27日付けで手続補正がなされたものである。

2.平成16年12月27日付けの手続補正についての補正却下の決定

[補正却下の決定の結論]

平成16年12月27日付けの手続補正を却下する。

[理由]
2-1.補正の内容について
平成16年12月27日付けの手続補正(以下「本件補正」という。)により、請求項1乃至請求項6は以下のとおり補正された。

「 【請求項1】 コンピュータネットワークを介してシステム利用者側コンピュータと通信するシステム運営者側コンピュータよりなり、前記運営者側コンピュータを介して複数の利用者側コンピュータ間にて質問と回答をやり取りさせるコンピュータネットワーク利用による掲示板システムにおいて、
前記運営者側コンピュータは、前記利用者側コンピュータからの要求に応じて前記利用者側コンピュータに利用者登録画面を表示する手段を有し、前記利用者登録画面には利用者登録欄とともに利用者の得意なカテゴリー選択欄を表示し、前記利用者の得意なカテゴリー選択欄は利用者に予め設定した複数のカテゴリーの中から自分が他の利用者からの質問に答えられそうな得意なカテゴリーの選択を促すものであり、
前記利用者側コンピュータからの要求に応じて前記利用者側コンピュータに質問入力画面を表示する手段を有し、前記質問入力画面には質問記入欄を表示し、前記質問記入欄は利用者に質問の入力を促すものであり、
前記利用者側コンピュータからの要求に応じて前記利用者側コンピュータに質問表示画面を表示する手段を有し、前記質問表示画面には質問表示欄を表示し、
前記利用者側コンピュータからの要求に応じて前記利用者側コンピュータに回答入力画面を表示する手段を有し、前記回答入力画面には回答記入欄を表示し、前記回答記入欄は利用者に回答とともにその属性の入力を促すものであり、
前記利用者側コンピュータからの要求に応じて前記利用者側コンピュータに回答表示画面を表示する手段を有し、前記回答表示画面には回答表示欄とともにポイント入力欄への案内を表示し、前記ポイント入力欄は利用者に回答への評価としてのシステム上のポイントの入力を促すものであり、
前記利用者側コンピュータに表示する質問または回答の内容に応じて、予めデータベースに蓄積した広告情報の中からカテゴリーを共通する広告情報を選択する手段と、この選択した広告情報を前記質問または回答とともに利用者側コンピュータに表示する手段とを有することを特徴とするコンピュータネットワーク利用による掲示板システム。
【請求項2】 コンピュータネットワークを介してシステム利用者側コンピュータと通信するシステム運営者側コンピュータよりなり、前記運営者側コンピュータを介して複数の利用者側コンピュータ間にて質問と回答をやり取りさせるコンピュータネットワーク利用による掲示板システムにおいて、
前記運営者側コンピュータは、前記利用者側コンピュータからの要求に応じて前記利用者側コンピュータに利用者登録画面を表示する手段を有し、前記利用者登録画面には利用者登録欄とともに利用者の得意なカテゴリー選択欄を表示し、前記利用者の得意なカテゴリー選択欄は利用者に予め設定した複数のカテゴリーの中から自分が他の利用者からの質問に答えられそうな得意なカテゴリーの選択を促すものであり、
前記利用者側コンピュータからの要求に応じて前記利用者側コンピュータに質問入力画面を表示する手段を有し、前記質問入力画面には質問記入欄を表示し、前記質問記入欄は利用者に質問の入力を促すものであり、
前記利用者側コンピュータからの要求に応じて前記利用者側コンピュータに質問表示画面を表示する手段を有し、前記質問表示画面には質問表示欄を表示し、
前記利用者側コンピュータからの要求に応じて前記利用者側コンピュータに回答入力画面を表示する手段を有し、前記回答入力画面には回答記入欄を表示し、前記回答記入欄は利用者に回答とともにその属性の入力を促すものであり、
前記利用者側コンピュータからの要求に応じて前記利用者側コンピュータに回答表示画面を表示する手段を有し、前記回答表示画面には回答表示欄とともにポイント入力欄への案内を表示し、前記ポイント入力欄は利用者に回答への評価としてのシステム上のポイントの入力を促すものであり、
当該システムにおける利用者の質問や回答は、求人求職情報として利用されることを特徴とするコンピュータネットワーク利用による掲示板システム。
【請求項3】 コンピュータネットワークを介してシステム利用者側コンピュータと通信するシステム運営者側コンピュータよりなり、前記運営者側コンピュータを介して複数の利用者側コンピュータ間にて質問と回答をやり取りさせるコンピュータネットワーク利用による掲示板システムにおいて、
前記運営者側コンピュータは、前記利用者側コンピュータからの要求に応じて前記利用者側コンピュータに利用者登録画面を表示する手段を有し、前記利用者登録画面には利用者登録欄とともに利用者の得意なカテゴリー選択欄を表示し、前記利用者の得意なカテゴリー選択欄は利用者に予め設定した複数のカテゴリーの中から自分が他の利用者からの質問に答えられそうな得意なカテゴリーの選択を促すものであり、
前記利用者側コンピュータからの要求に応じて前記利用者側コンピュータに質問入力画面を表示する手段を有し、前記質問入力画面には質問記入欄を表示し、前記質問記入欄は利用者に質問の入力を促すものであり、
前記利用者側コンピュータからの要求に応じて前記利用者側コンピュータに質問表示画面を表示する手段を有し、前記質問表示画面には質問表示欄を表示し、
前記利用者側コンピュータからの要求に応じて前記利用者側コンピュータに回答入力画面を表示する手段を有し、前記回答入力画面には回答記入欄を表示し、前記回答記入欄は利用者に回答とともにその属性の入力を促すものであり、
前記利用者側コンピュータからの要求に応じて前記利用者側コンピュータに回答表示画面を表示する手段を有し、前記回答表示画面には回答表示欄とともにポイント入力欄への案内を表示し、前記ポイント入力欄は利用者に回答への評価としてのシステム上のポイントの入力を促すものであり、
当該システムにおける利用者の質問や回答は、求人求職情報として利用され、
前記利用者の得意なカテゴリー選択欄は、人材募集をしたいカテゴリー選択欄として人材募集をしたいカテゴリーの選択を促し、
前記質問入力画面の質問記入欄は、人材募集の登録欄として募集要項、会社データおよび登録日等の求人情報の入力を促し、
前記回答入力画面の回答入力欄は求職者側の人材募集情報申請の登録欄として自己のプロフィール、最終学歴、職歴および自己アピール等の求職情報の入力を促すことを特徴とするコンピュータネットワーク利用による掲示板システム。
【請求項4】 請求項2または3の掲示板システムにおいて、
当該システムにおける利用者の質問や回答の投稿履歴は、求人をする者が採用の諾否を判断するときの判断材料として利用されることを特徴とするコンピュータネットワーク利用による掲示板システム。
【請求項5】 コンピュータネットワークを介してシステム利用者側コンピュータと通信するシステム運営者側コンピュータよりなり、前記運営者側コンピュータを介して複数の利用者側コンピュータ間にて質問と回答をやり取りさせるコンピュータネットワーク利用による掲示板システムにおいて、
前記運営者側コンピュータは、前記利用者側コンピュータからの要求に応じて前記利用者側コンピュータに利用者登録画面を表示する手段を有し、前記利用者登録画面には利用者登録欄とともに利用者の得意なカテゴリー選択欄を表示し、前記利用者の得意なカテゴリー選択欄は利用者に予め設定した複数のカテゴリーの中から自分が他の利用者からの質問に答えられそうな得意なカテゴリーの選択を促すものであり、
前記利用者側コンピュータからの要求に応じて前記利用者側コンピュータに質問入力画面を表示する手段を有し、前記質問入力画面には質問記入欄を表示し、前記質問記入欄は利用者に質問の入力を促すものであり、
前記利用者側コンピュータからの要求に応じて前記利用者側コンピュータに質問表示画面を表示する手段を有し、前記質問表示画面には質問表示欄を表示し、
前記利用者側コンピュータからの要求に応じて前記利用者側コンピュータに回答入力画面を表示する手段を有し、前記回答入力画面には回答記入欄を表示し、前記回答記入欄は利用者に回答とともにその属性の入力を促すものであり、
前記利用者側コンピュータからの要求に応じて前記利用者側コンピュータに回答表示画面を表示する手段を有し、前記回答表示画面には回答表示欄とともにポイント入力欄への案内を表示し、前記ポイント入力欄は利用者に回答への評価としてのシステム上のポイントの入力を促すものであり、
当該システムにおける利用者の質問や回答は、業務委託受託情報として利用され、
前記利用者の得意なカテゴリー選択欄は、仕事依頼をしたいカテゴリー選択欄として仕事依頼をしたいカテゴリーの選択を促し、
前記質問入力画面の質問記入欄は、仕事依頼の登録欄として募集要項、会社データおよび登録日等の業務委託情報の入力を促し、
前記回答入力画面の回答入力欄は業務受託者側の仕事依頼情報申請の登録欄として自己のプロフィール、最終学歴、職歴および自己アピール等の業務受託情報の入力を促すことを特徴とするコンピュータネットワーク利用による掲示板システム。
【請求項6】 請求項5の掲示板システムにおいて、
当該システムにおける利用者の質問や回答の投稿履歴は、業務委託をする者が委託の諾否を判断するときの判断材料として利用されることを特徴とするコンピュータネットワーク利用による掲示板システム。 」

なお、アンダーラインは補正された部分を示すものとして当審で付したものである。

2-2.本件補正の目的について

本件補正の内容をみると、補正後の請求項1乃至請求項6は、補正前の請求項1乃至請求項6にそれぞれ対応する。
そして、請求項1、請求項2、請求項3、請求項5の各請求項において、「コンピュータネットワーク利用による掲示板システム」における、「利用者側コンピュータ」からの要求に応じて「利用者側コンピュータ」で表示し、入力を促す主体を「運営者側コンピュータ」とする補正事項を含むものである。

上記補正事項について以下検討する。
上記の補正事項のうち、請求項1に係る補正について。
補正前の請求項1に記載された発明において、「利用者側コンピュータ」からの要求に応じて「利用者側コンピュータ」で表示し、入力を促す主体を「運営者側コンピュータ」とすることは、要求に応じて表示し、入力を促す主体を「運営者側コンピュータ」に限定するものであると認められることから、特許請求の範囲の減縮を目的としてなされたものであると認められる。
上記の補正事項のうち、請求項2、請求項3、請求項5の各請求項に係る補正も同様のものであると認められることから、請求項1に係る補正と同様に特許請求の範囲の減縮を目的としてなされたものであると認められる。

したがって、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。

2-3.独立特許要件について

そこで、本件補正後の請求項1に記載された発明(以下「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか)について以下に検討する。

(1)引用例1について
原査定の拒絶理由の[理由4]で引用された特開平10-222521号公報(以下「引用例1」という。)には、図面とともに、以下の事項が記載されていると認められる。

(ア)「 【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば、個人が持つ知識、ノウハウや、個人が作成した文書、コンピュータ・ソフトウェア、絵画などの著作物や特定のグループが所有している分野の知識などの情報をコンピュータ・ネットワーク上で公開し、コンピュータ・ネットワークを介して共有できるようにする情報共有支援システムに関する。 」

(イ)「 【0022】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0023】(第1の実施形態)図1は、本発明の第1の実施形態に係る情報共有支援システムの概略的なブロック図である。図1において、情報共有システム50は、情報登録手段1、情報参照手段2、付加情報登録手段3、提示手順制御手段4、提示手順戦略手段5、付加情報通知手段6、入出力手段7、公開情報蓄積手段8、付加情報蓄積手段9、意味関係蓄積手段10、プロフィール蓄積手段11、情報内容理解手段12、用語辞書蓄積手段13から構成されている。
【0024】情報登録手段1は、個人やグループの知識やノウハウなどを記述した文書、コンピュータ・ソフトウェア、絵画などの情報を生成して、公開情報蓄積手段8に蓄積するようになっている。個人やグループの知識やノウハウなどを記述した文書が持つ情報は、組織情報や規定、外部情報等の客観的事実と、経験談、失敗談、こつ等のいわゆるノウハウ的な主観的意見に二分される。
【0025】情報参照手段2は、ユーザが公開情報蓄積手段8に蓄積された情報を検索、参照、利用するためのものである。
【0026】付加情報登録手段3は、情報参照手段2で参照している情報に対して、追加、修正、コメント等の付加情報を登録するためのものであり、この手段により登録された付加情報は付加情報蓄積手段9に蓄積され、同時に、公開情報と付加情報の意味関係が意味関係蓄積手段10に蓄積される。
【0027】提示制御手段4は、情報参照手段2に情報を提示する際に、提示手順戦略手段5にしたがって、付加情報の提示方法を制御するものである。 」

(ウ)「 【0031】以上の各手段には入出力手段7が接続され、これによりユーザが必要な情報を入力したり、システムがユーザに情報提示を行なう。
【0032】また、情報共有支援システム50は、ネットワークを介してのデータの送受信を入出力手段7で司るようになっている。すなわち、ネットワーク上に接続された複数の情報共有システム50は、入出力手段7を介して互いに通信を行なうことにより、それぞれに蓄積されている公開情報にアクセスできるようになっている。 」

(エ)「 【0112】図20(a)では、質問文入力ウィンドウ182に入力された「育児求職の申請手続きについて教えて」というユーザの質問に対してエージェントが回答している例である。このとき、エージェントのシンボル表示ウインドウ181のエージェントは笑った顔を表示している。
【0113】図20(b)は、図20(a)に示した画面の質問文入力ウィンドウ182にて、さらにユーザが「一度申請した休業期間を変更できるの?」という質問文を入力しているが、この質問に対する回答となる情報が登録されていないため、シンボル表示ウインドウ181にエージェントの困った顔を表示し、応答文表示ウィンドウ183には「少々お待ちください」と表示する。 」

(オ)「 【0175】(第4の実施形態)本発明の第4の実施形態に係る情報共有支援システムの構成は、例えば、図1に示す構成部を具備具備していれば充分である。
【0176】図34に、第4の実施形態に係る情報共有支援システムにおける公開情報蓄積手段8に蓄積される公開情報の内容例を示す。各種情報は、図32に示すように、情報識別番号D21と属性D22と属性値D23から構成される。属性には、題目、公開者、公開日、ノウハウやソフトウェアや絵画などを表す種別、業務分類やトピックやその他情報のカテゴリを表す分類、関連情報、検索のためのキーワード、内容、参照履歴などがある。図34は、具体的には、公開情報として蓄積される質問の例であり、題目が「設備の発注書類の書き方を教えて」、公開者が「田中裕一」、公開日が「96年12月8日」、種類が「質問」、分類が「手配依頼業務」、関連情報が「手配依頼一覧の入手方法」(情報識別番号#300)、キーワードが「予算」「設備」「発注」であることを示しており、また、内容として質問の文章が記述されている。
【0177】情報登録手段1を介しての情報の入力、情報参照手段2を介して情報の検索・参照については、第1の実施形態の図3、図4および図5に示すようなユーザインタフェースにもと付き指示操作および処理することができるが、情報参照手段2を介しての情報の検索・参照は、図35に示すようなユーザインタフェースを用いて実現することもできる。
【0178】ユーザは、図35において、情報検索ウィンドウD31の検索文入力領域D32に質問文を自然言語で入力する。情報参照手段2はこの自然言語文から、検索に用いるキーワードを形態素解析などの自然言語処理技術を用いて抽出し、そのキーワードにマッチする公開情報を公開情報蓄積手段8から検索する。なお、自然言語による検索実行や応答文の生成については、例えば、特願平7-86266号や特願平7-235805号に記載されている。
【0179】図36は、図35に示したユーザインタフェースを介して情報検索を行った結果を表示する検索結果表示インタフェースの一例である。図36において、結果表示領域D41に、質問文より抽出されたキーワードD42、キーワードにマッチした公開情報のタイトルの一覧D43が表示される。
【0180】例えば、タイトル一覧D43で下線が引かれているタイトルのうちどれか1つをマウスなどの入力デバイスを用いて指示することにより、ユーザはその公開情報の内容を見る事ができる。
【0181】図37は、ユーザに公開情報の内容を提示するインタフェースの一表示例である。結果表示領域D52に、ユーザが提示を要求した公開情報の題目、公開者、内容が表示されている。
【0182】ユーザが、情報参照手段2を介して参照した情報に対する付加情報を、付加情報登録手段3を介して入力する方法については、第1の実施形態と同様である。
【0183】次に、公開情報が質問である場合の公開情報の提示方法について、図38に示すフローチャートを参照して説明する。
【0184】まず、提示要求のあった公開情報を提示する(ステップS111)。次に、この公開情報が質問であるかどうかを情報内容理解手段12を用いて判断する(ステップS112)。情報内容理解手段12が公開情報の内容が主観的意見か客観的事実かを判断する方法は第1の実施形態の説明と同様であるが、さらに、公開情報の内容が質問であるかどうかも同様の方法で判断される。すなわち、用語辞書蓄積手段13に蓄積された質問表現(例えば「教えてください」「何ですか」など)を含むかどうかにより、情報理解手段12は公開情報が質問であるかどうかを判断する。
【0185】公開情報が質問以外の情報である場合には、情報参照手段2は、第1の実施形態と同様の方法で公開情報をユーザに提示する(ステップS113)。
【0186】公開情報が質問である場合には、付加情報蓄積手段9に追加質問が登録されているかどうかを調べて存在すれば表示する(ステップS114)。存在しない場合には、回答入力用のメニューを表示して、ユーザの要求を受け取る(ステップS115)。
【0187】図39は、回答入力用のメニューの一表示例である。回答入力用メニューD71は、この質問に対してユーザがとりうる操作「回答の入力」「追加の質問の入力」「回答が登録されたら通知することを要求」「メニューの消去」を提示し、ユーザにそのうちの1つを選択させるためのものである。
【0188】ユーザの要求が「回答入力の終了」である場合には、システムは提示を終了する(ステップS116)。要求が「追加の質問を入力する」である場合(ステップS117)には、システムは追加質問を入力するインタフェースを表示し、ユーザからの追加質問を公開情報に対する付加情報として獲得し、付加情報蓄積手段9に蓄積する(ステップS118)。
【0189】図42は、追加質問を入力するインタフェースの一表示例である。ユーザは付加情報入力ウィンドウD100上で追加の質問を入力するようになっている。
【0190】図40は、図39の回答入力用メニューでユーザが「回答が入力されたら通知することを要求」することを選択した場合(ステップS119)の表示例である。ユーザーは、付加情報入力用ウィンドウD72上の入力フィールドD73に自分の名前を入力する。この場合、質問に対する付加情報として、その質問に回答が付加された場合に通知を希望するユーザの名前が追加される(ステップS123)。
【0191】図41は、図39の回答入力用メニューでユーザが「回答の入力」を選択した場合(ステップS120)の表示例である。ユーザは付加情報入力用ウィンドウD91上で回答を入力して登録する。登録された回答は、付加情報蓄積手段9に蓄積される(ステップS121)。質問に対して回答が登録された場合、その質問を公開したユーザと、付加情報として通知を希望したユーザに対して、回答が登録されたことを通知する(ステップS122)。
【0192】図43が回答を通知する場合の表示の例である。この例では、回答通知ウィンドウD110が通知を希望したユーザの利用している画面上に表示され、回答が登録されたことが通知される。 」

してみると、上記摘記事項(ア)(イ)(ウ)(オ)の記載事項から、引用例1には、
「 入出力手段7を介して互いに通信を行うことにより、それぞれに蓄積されている公開情報にアクセスできるようになっている、複数の情報共有システム50の入出力手段7により、ユーザが必要な情報を入力したりシステムがユーザに情報提示を行う情報共有システム50であって、情報共有システムには公開情報蓄積手段8と付加情報蓄積手段9とを含むものであり、複数のユーザが、情報共有システム50により質問と回答する情報共有システム50において、
情報共有システム50は、ユーザの要求に応じて入出力手段7へ、情報検索ウインドウD31を表示し、情報検索ウインドウD31には質問文を自然言語で入力する検索文入力領域D32を表示してユーザへ質問の入力を促すものであり、
ユーザにより入力された質問は、公開情報蓄積手段8に蓄積されて、ユーザからの要求に応じて入出力手段7でユーザへ情報提示されるものであり、
提示された情報が質問の場合には、情報共有システム50は、ユーザの要求に応じて、入出力手段7へ、質問表示欄を有する画面を表示し、回答入力画面で回答入力用メニューを表示し、ユーザが回答の入力を選択すると、付加情報入力用ウインドウD91上に回答入力欄を表示してユーザへ回答の入力を促すものであり、
ユーザにより入力された回答は、付加情報蓄積手段9に蓄積されて、ユーザからの要求に応じて入出力手段7でユーザへ情報提示されるものであることを特徴とする情報共有システム50。 」

との発明(以下「引用例1発明」という。)が記載されている。

(2)引用例2について
原査定の拒絶理由の[理由4]で引用された特開平09-016677号公報(以下「引用例2」という。)には、図面とともに、以下の事項が記載されていると認められる。

(カ)「 【要約】
【目的】 本発明は、データベースに登録されている項目に関する記事を管理するノウハウ管理装置に関し、データベースの検索者が、検索結果の項目に関して、先行利用者に助言を仰ぐことが容易なノウハウ管理装置の提供を目的とする。 」

(キ)「 【0024】
【課題を解決するための手段】第1発明のノウハウ管理装置は、データベースに登録されている項目に対する記事を投稿する記事投稿手段と、項目に対する質問に回答し得る助言者の助言者リストを項目別に格納する助言者リスト格納手段と、項目に関するノウハウ情報の記事の投稿者をこの項目の助言者として前記助言者リストに登録する記事管理手段と、インタフェース装置から書き込まれた質問の項目に対する助言者を助言者リストから検索し、また検索した助言者にこの質問を転送する質問転送手段とを備えたことを特徴とする。 」

(3)引用例3について
原査定の拒絶理由の[理由4]で引用された特開平10-083386号公報(以下「引用例3」という。)には、図面とともに、以下の事項が記載されていると認められる。

(ク)「 【要約】
【課題】公開情報を参照した人の有益度によって公開情報を評価し、また、公開情報を利用した者の利用実績を評価して、それを情報公開者および情報参照者にフィードバックして個人が情報公開を行ったり公開情報を利用する動機づけがなされ、情報公開と組織における情報共有化を促進する。 」

(ケ)「 【0370】図100は、自然言語の質問文をもとに検索を行なった結果の表示例である。質問文入力ウィンドウB131の質問文入力フィールドB132に自然言語の質問文を入力し、情報の検索対象範囲を範囲指定メニューB133で指定する。検索を行なった結果が、結果表示ウィンドウB134上に表示されている。システムが質問文をもとにどのようなキーワードで検索を行ない、その結果何件の情報が検索できたかを示すメッセージB135が表示され、その下に検索した情報の題目B136と、その情報に対して付加されている評価情報を補助情報として表示するアイコンB137が表示される。図100の例では、情報の題目だけでなく、内容の要約B138が表示されている。
【0371】図101は、図100の結果表示ウィンドウ上に表示された結果の題目B136を指示した結果表示される情報の例である。図101において、情報の題目と評価の結果を表示するウィンドウB141と、情報の内容を表示するウィンドウB144上に、ユーザによって指示された情報が表示される。情報の題目とともに、評価の結果を示すアイコンB142が表示される。題目の下には、情報に対する簡易評価を入力するためのメニューB143が表示されている。ここで「役に立つ」「まあまあ」などの文字列を指示することにより、情報に対して評価を入力することができる。 」

(4)対比
本願補正発明と引用例1発明とを対比する。

引用例1発明の「入出力手段7を介して互いに通信を行うことにより、それぞれに蓄積されている公開情報にアクセスできるようになっている、複数の情報共有システム50の入出力手段7」は、本願補正発明の「システム利用者側コンピュータ」に相当し、以下同様に、「ユーザが必要な情報を入力したりシステムがユーザに情報提示を行う情報共有システム50であって、情報共有システムには公開情報蓄積手段8と付加情報蓄積手段9とを含むもの」は、「システム運用者側コンピュータ」に、「複数のユーザが、情報共有システム50により質問と回答する情報共有システム50」は、「運営者側コンピュータを介して複数の利用者が質問と回答をやり取りさせる」ことに、それぞれ相当する。
さらに引用例1発明の「情報共有システム」と、本願発明の「コンピュータネットワーク利用による掲示板システム」とは、コンピュータを利用してユーザが情報を提供し、ユーザが質問をし、ユーザが回答をし、これらの情報を要求に応じてユーザへ提供するものであるという点で、「コンピュータを利用したユーザ間の情報の共有システム」という概念に包摂される。
引用例1発明の「情報共有システム50は、ユーザの要求に応じて入出力手段7へ、情報検索ウインドウD31を表示」することは、本願発明の「運営者側コンピュータは利用者側コンピュータからの要求に応じて利用者側コンピュータに質問入力画面を表示」することに相当し、同様に「情報検索ウインドウD31には質問文を自然言語で入力する検索文入力領域D32を表示してユーザへ質問の入力を促す」ことは、「質問入力画面には質問記入欄を表示し、質問記入欄は利用者に質問の入力を促す」ことに相当する。
引用例1発明の「ユーザにより入力された質問は、公開情報蓄積手段8に蓄積されて、ユーザからの要求に応じて入出力手段7でユーザへ情報提示されるものであり、提示された情報が質問の場合には、情報共有システム50は、ユーザの要求に応じて、入出力手段7へ、質問表示欄を有する画面を表示」することは、本願発明の「利用者側コンピュータからの要求に応じて利用者側コンピュータに質問表示画面を表示し、質問表示画面には質問表示欄を表示」することに相当する。
引用例1発明の「回答入力画面で回答入力用メニューを表示し、ユーザが回答の入力を選択すると、付加情報入力用ウインドウD91上に回答入力欄を表示してユーザへ回答の入力を促す」ことは、本願発明の「利用者側コンピュータからの要求に応じて利用者側コンピュータに回答入力画面を表示し、回答入力画面には回答記入欄を表示し、回答記入欄は利用者に回答の入力を促す」ことに相当する。
引用例1発明の「ユーザにより入力された回答は、付加情報蓄積手段9に蓄積されて、ユーザからの要求に応じて入出力手段7でユーザへ情報提示される」ことは、本願発明の「利用者側コンピュータからの要求に応じて利用者側コンピュータに回答表示画面を表示し、回答表示画面には回答表示欄を表示」することに相当する。

そうすると、本願補正発明と引用例1発明は、
「 システム利用者側コンピュータと、システム運用者側コンピュータよりなり、前記運営者側コンピュータを介して複数の利用者が質問と回答をやり取りさせるコンピュータを利用したユーザ間の情報の共有システムにおいて、
前記運営者側コンピュータは前記利用者側コンピュータからの要求に応じて利用者側コンピュータに質問入力画面を表示する手段を有し、前記質問入力画面には質問記入欄を表示し、前記質問記入欄は利用者に質問の入力を促すものであり、
前記利用者側コンピュータからの要求に応じて前記利用者側コンピュータに質問表示画面を表示する手段を有し、前記質問表示画面には質問表示欄を表示し、
前記利用者側コンピュータからの要求に応じて前記利用者側コンピュータに回答入力画面を表示する手段を有し、前記回答入力画面には回答記入欄を表示し、前記回答記入欄は利用者に回答の入力を促すものであり、
前記利用者側コンピュータからの要求に応じて前記利用者側コンピュータに回答表示画面を表示する手段を有し、前記回答表示画面には回答表示欄を表示することを特徴とするコンピュータを利用したユーザ間の情報の共有システム。 」

の点で一致し、以下の点で相違する。

[相違点1]
本願補正発明が、「コンピュータネットワークを介してシステム利用者側コンピュータと通信するシステム運営者側コンピュータよりなり、前記運営者側コンピュータを介して複数の利用者側コンピュータ間にて質問と回答をやり取りさせるコンピュータネットワーク利用による掲示板システム」であるのに対し、引用例1発明では「システム利用者側コンピュータと、システム運用者側コンピュータよりなり、前記運営者側コンピュータを介して複数の利用者が質問と回答をやり取りさせるコンピュータを利用したユーザ間の情報の共有システム」である点。

[相違点2]
本願補正発明が、「運営者側コンピュータは、前記利用者側コンピュータからの要求に応じて前記利用者側コンピュータに利用者登録画面を表示する手段を有し、前記利用者登録画面には利用者登録欄とともに利用者の得意なカテゴリー選択欄を表示し、前記利用者の得意なカテゴリー選択欄は利用者に予め設定した複数のカテゴリーの中から自分が他の利用者からの質問に答えられそうな得意なカテゴリーの選択を促すもの」であるのに対し、引用例1発明ではそのようになっていない点。

[相違点3]
本願補正発明が、「回答記入欄は利用者に回答とともにその属性の入力を促す」ものであるのに対し、引用例1発明ではそのようになっていない点。

[相違点4]
本願補正発明が、「回答表示画面には回答表示欄とともにポイント入力欄への案内を表示し、ポイント入力欄は利用者に回答への評価としてのシステム上のポイントの入力を促す」ものであるのに対し、引用例1発明ではそのようになっていない点。

[相違点5]
本願補正発明が、「利用者側コンピュータに表示する質問または回答の内容に応じて、予めデータベースに蓄積した広告情報の中からカテゴリーを共通する広告情報を選択する手段と、この選択した広告情報を質問または回答とともに利用者側コンピュータに表示する手段とを有する」のに対し、引用例1発明ではそのようになっていない点。

(5)判断

[相違点1について]
「コンピュータネットワークを介してシステム利用者側コンピュータと通信するシステム運営者側コンピュータよりなり、運営者側コンピュータを介して複数の利用者側コンピュータ間にて質問と回答をやり取りさせるコンピュータネットワーク利用による掲示板システム」は周知の事項(以下「周知事項1」という。)である。
(例えば、月刊コンピュータ・ダイジェスト,第25巻 第12号,株式会社ティー・エー・シー企画,1999年12月10日,第98ページ,には、「チャットも投票も 掲示板に新機能 エキサイト先行組追撃 インターネットの検索サービス会社、エキサイトはチャットと投票の両機能を備えた多機能掲示板を八日に新設する。ポータルサイトなどが提供する掲示板サービスは、子育てに悩む主婦などを中心に利用者が拡大している。同サービスでは後発となるエキサイトは、チャット・投票機能を加えることで先行他社と差異化を図り、利用者獲得を目指す。新設するのは「エキサイト掲示板」で同アドレスにアクセスするとトップページと同じカテゴリが表示される。ユーザーは好みのカテゴリーに移動し、「トピック追加」ボタンを押すと独自のチャットルームを作ることができる。テーマとテーマに関した簡単な意見や問いかけを記入できる。」と記載されている。)

してみると、引用例1発明において、「システム利用者側コンピュータと、システム運用者側コンピュータよりなり、前記運営者側コンピュータを介して複数の利用者が質問と回答をやり取りさせるコンピュータを利用したユーザ間の情報の共有システム」を、 「コンピュータネットワークを介してシステム利用者側コンピュータと通信するシステム運営者側コンピュータよりなり、前記運営者側コンピュータを介して複数の利用者側コンピュータ間にて質問と回答をやり取りさせるコンピュータネットワーク利用による掲示板システム」とすることには何ら困難性がなく、当業者が容易に想到することができたものである。

[相違点2について]
引用例2の前記摘記事項(カ)(キ)には、データベースのノウハウを管理する際、データベースに登録されている項目に対する質問に回答しうる助言者を項目別に格納することが記載されている。
ここで当該助言者は、自分が他の利用者からの質問に答えられる項目に登録されるものであることを勘案すれば、引用例1発明に引用例2の上記摘記事項を適用することにより、利用者が、予め設定された複数のカテゴリの中から、自分が他の利用者からの質問に答えられそうな得意なカテゴリーを選択して、利用者として登録するよう構成することには何ら困難性がない。
さらに周知の利用者登録画面において、このようなカテゴリーを選択するカテゴリー選択欄を表示させること、利用者登録画面の利用者登録欄とともに表示させることは、当業者が利用者登録画面を設計する際に適宜なしうる設計事項である。
してみると、引用例1発明において、「運営者側コンピュータは、前記利用者側コンピュータからの要求に応じて前記利用者側コンピュータに利用者登録画面を表示する手段を有し、前記利用者登録画面には利用者登録欄とともに利用者の得意なカテゴリー選択欄を表示し、前記利用者の得意なカテゴリー選択欄は利用者に予め設定した複数のカテゴリーの中から自分が他の利用者からの質問に答えられそうな得意なカテゴリーの選択を促す」よう構成することは、当業者が容易に想到することができたものである。

[相違点3について]
引用例1の前記摘記事項(エ)には、エージェントが質問に対して回答しているときにはエージェントの笑った顔を表示し、エージェントが回答できない質問に対してはエージェントの困った顔に変更して表示することが記載されている。
とすると、回答者が自信があるのかないのかを表示すること、またそのための入力を回答者がするよう構成することには何ら困難性がない。
その際、入力のための入力欄を回答入力画面に設けることは、当業者が回答入力画面を設計する際に適宜なしうる設計事項である。
以上のとおりであることから、引用例1発明において、「回答記入欄は利用者に回答とともにその属性の入力を促す」よう構成することは、当業者が容易に想到することができたものである。

[相違点4について]
引用例3の前記摘記事項(ク)(ケ)には、質問に対する回答を表示する画面に、情報に対する評価を入力することが記載されている。
してみると、引用例1発明の回答表示画面の回答表示欄とともに評価を入力する入力欄を設けることには何ら困難性がない。
そして、評価するための指標としてシステム上のポイントを採用することは、当業者が適宜なしうる設計事項である。
以上のとおりであることから、引用例1発明において、「回答表示画面には回答表示欄とともにポイント入力欄への案内を表示し、ポイント入力欄は利用者に回答への評価としてのシステム上のポイントの入力を促す」よう構成することは、当業者が容易に想到することができたものである。

[相違点5について]
運営者側コンピュータを介して複数の利用者側端末で相互に応答をするシステムにおいて、当該応答の内容に応じて予めデータベースに蓄積した広告情報から関連する広告情報を選択して、利用者相互の応答とともに利用者端末の画面に表示することは周知の事項(以下「周知事項2」という。)である。(例えば、特開平08-147310号公報の【0014】-【0017】段落の記載、特開平11-003348号公報の【0033】-【0036】段落の記載及び図4の記載を参照されたい。)
ここで、応答の内容に関連する広告情報を選択する際、カテゴリーを共通する広告情報とすることには何ら困難性がない。
してみると、引用例1発明において、質問または回答の内容に応じて、予めデータベースに蓄積した広告情報の中からカテゴリーを共通する広告情報を選択し、この選択した広告情報を質問または回答とともに利用者側コンピュータに表示すること、すなわち、「利用者側コンピュータに表示する質問または回答の内容に応じて、予めデータベースに蓄積した広告情報の中からカテゴリーを共通する広告情報を選択する手段と、この選択した広告情報を質問または回答とともに利用者側コンピュータに表示する手段とを有する」ように構成することは、当業者が容易に想到することができたものである。

以上のとおりであることから、相違点1乃至相違点5に係る本願補正発明の構成は、引用例1乃至引用例3に記載される事項並びに周知事項1及び周知事項2から当業者が容易に想到することができたものである。

そして、本願補正発明の作用効果も、引用例1乃至引用例3に記載される事項並びに周知事項1及び周知事項2から当業者が予測できる範囲のものである。

したがって、本願補正発明は、引用例1乃至引用例3に記載される事項及び周知の事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。


2-4.むすび
以上のとおり、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するもので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。


3.本願発明について

3-1.本願発明
平成16年12月27日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、平成16年6月21日付け手続補正書(指令により補正された平成16年9月9日付け手続補正書)の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。

「 コンピュータネットワークを介してシステム利用者側コンピュータと通信するシステム運営者側コンピュータよりなり、前記運営者側コンピュータを介して複数の利用者側コンピュータ間にて質問と回答をやり取りさせるコンピュータネットワーク利用による掲示板システムにおいて、
前記利用者側コンピュータからの要求に応じて前記利用者側コンピュータに利用者登録画面を表示する手段を有し、前記利用者登録画面には利用者登録欄とともに利用者の得意なカテゴリー選択欄を表示し、前記利用者の得意なカテゴリー選択欄は利用者に予め設定した複数のカテゴリーの中から自分が他の利用者からの質問に答えられそうな得意なカテゴリーの選択を促すものであり、
前記利用者側コンピュータからの要求に応じて前記利用者側コンピュータに質問入力画面を表示する手段を有し、前記質問入力画面には質問記入欄を表示し、前記質問記入欄は利用者に質問の入力を促すものであり、
前記利用者側コンピュータからの要求に応じて前記利用者側コンピュータに質問表示画面を表示する手段を有し、前記質問表示画面には質問表示欄を表示し、
前記利用者側コンピュータからの要求に応じて前記利用者側コンピュータに回答入力画面を表示する手段を有し、前記回答入力画面には回答記入欄を表示し、前記回答記入欄は利用者に回答とともにその属性の入力を促すものであり、
前記利用者側コンピュータからの要求に応じて前記利用者側コンピュータに回答表示画面を表示する手段を有し、前記回答表示画面には回答表示欄とともにポイント入力欄への案内を表示し、前記ポイント入力欄は利用者に回答への評価としてのシステム上のポイントの入力を促すものであり、
前記利用者側コンピュータに表示する質問または回答の内容に応じて、予めデータベースに蓄積した広告情報の中からカテゴリーを共通する広告情報を選択する手段と、この選択した広告情報を前記質問または回答とともに利用者側コンピュータに表示する手段とを有することを特徴とするコンピュータネットワーク利用による掲示板システム。 」


3-2.引用例
原査定の拒絶の理由に引用された引用例1乃至引用例3に記載される事項は、前記「2-3.(1)乃至(3)」に記載したとおりである。


3-3.対比、判断
本願発明は、本願補正発明から「前記運営者側コンピュータは、」と限定する補正事項の構成を省いたものである。

そうすると、本願発明の構成要件をすべて含み、さらに他の構成要件を付加したものに相当する本願補正発明が、上記2-3.(4)(5)に記載したとおり、引用例1乃至引用例3に記載される事項及び周知の事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明は、本願補正発明と同様の理由により、引用例1乃至引用例3に記載される事項及び周知の事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。


4.審判請求人の主張について

審判請求人は審判請求書にて原査定の拒絶の理由として通知された[理由4]に関して以下のとおり主張している。

「 (A)利用者側コンピュータからの要求に応じて利用者側コンピュータに表示される利用者登録画面に利用者登録欄とともに利用者の得意なカテゴリー選択欄が表示され、この利用者の得意なカテゴリー選択欄が利用者に予め設定した複数のカテゴリーの中から自分他の利用者からの質問に答えられそうな得意なカテゴリーの選択を促すこと。これにより、利用者によって得意なカテゴリーが選択・登録されると、今回質問者として投稿する利用者が次回は回答者となり易い環境が作られることから、システム上における質問と回答のやり取りが活発化することが期待できる。
(B)利用者側コンピュータからの要求に応じて利用者側コンピュータに表示される回答入力画面の回答記入欄が利用者に回答とともにその属性の入力を促すこと。これにより、回答とともにその属性(回答の内容が質問に対する本来の回答か、アドバイスかまたは補足請求かの別、回答者が質問内容に関して素人か、専門家かまたは関係者かの別、および回答内容に自信があるかないかの別)が表示されることから、回答の信頼性を見極めるときの目安として利用できる。
(C)利用者側コンピュータに表示される質問または回答の内容に応じて、予めデータベースに蓄積した広告情報の中からカテゴリーを共通する広告情報が選択されて、この選択された広告情報が質問または回答とともに利用者側コンピュータに表示されること。これにより、広告メディアとしてのシステム価値を高めることができる。 」

しかしながら、上記主張(A)に関しては前記[相違点2]で、上記主張(B)に関しては前記[相違点3]で、上記主張(C)に関しては前記[相違点5]で、それぞれ判断したとおりであり、審判請求人の上記主張を採用することはできない。


5.むすび
以上のとおり、本願発明は、引用例1乃至引用例3に記載される事項及び周知の事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。


よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2008-10-24 
結審通知日 2008-10-29 
審決日 2008-11-11 
出願番号 特願2000-198732(P2000-198732)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G06Q)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 青柳 光代  
特許庁審判長 清田 健一
特許庁審判官 小山 和俊
久保田 健
発明の名称 コンピュータネットワーク利用による掲示板システム  
代理人 野本 陽一  

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