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この審決には、下記の判例・審決が関連していると思われます。
審判番号(事件番号) データベース 権利
不服20089428 審決 特許
不服200627998 審決 特許
不服200414995 審決 特許
不服20051842 審決 特許
不服20055258 審決 特許

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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A61K
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A61K
管理番号 1189925
審判番号 不服2005-14896  
総通号数 110 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2009-02-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2005-08-04 
確定日 2008-12-25 
事件の表示 特願2001-248449「ビタミンB1配合末梢静脈投与用総合輸液剤」拒絶査定不服審判事件〔平成15年 2月26日出願公開、特開2003- 55195〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は,平成13年8月20日の出願であって,平成17年7月4日付けで拒絶査定がなされ,これに対し,同年8月4日に拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに,同年9月1日付で手続補正がなされたものである。
2.平成17年9月1日付の手続補正についての補正却下の決定

[補正却下の決定の結論]
平成17年9月1日付の手続補正を却下する。

[理由]
(1)補正後の本願発明
本件補正によるその請求項1?5に係る発明は,特許請求の範囲に記載されたとおりのものであって,その請求項1は,次のとおりのものである。
「(i)用時連通可能な隔離手段により区画された容器の一室に糖を含有する糖液が収容され他方の室にアミノ酸を含有するアミノ酸液が収容され,カルシウム塩およびリン酸塩は前記糖液に両方とも配合されるか又はいずれか一方が糖液に他方がアミノ酸液に配合されてなる用時混合型の末梢静脈投与用輸液剤であって,
(ii)前記糖液は,混合後の輸液剤の全容量に対して糖濃度が3?7.5w/v%となる量で糖を含有し,亜硫酸イオンを含有せず,ビタミンB1を含有し,pHが4.2?5.5で,且つ滴定酸度が30以下に調整されており;
(iii)前記アミノ酸液は,pHが6.5?8.5に調整されており;
(iv)隔離手段を連通させて前記輸液剤のすべての液を混合したときのpHが6.0?7.4で且つ滴定酸度が10以下となり;且つ,
(v)用時連通可能な隔離手段により区画された前記容器がガス透過性容器であって,脱酸素剤と共に,アルミ箔,アルミ蒸着フィルムまたはそれらの少なくとも1つを含む多層フィルムシートから形成されているガス非透過性外装容器に封入されている;
ことを特徴とする用時混合型のビタミンB1配合末梢静脈投与用総合輸液剤。」
上記補正は,補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項である「ビタミンB1配合末梢静脈投与用総合輸液剤」について(v)の容器に封入されているものに限定するものであって,平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで,本件補正後の前記請求項1に記載された発明(以下,「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができないものであるか(特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか)について以下に検討する。

(2)引用例
これに対して,原査定の拒絶の理由に引用された,本願の出願日前に頒布された下記の刊行物には各々,以下の事項が記載されている。

・特開平10-87497号公報(以下,「引用例1」という。)

(ア)「【請求項1】 還元糖を含有する溶液(A)と,少なくとも必須アミノ酸からなるアミノ酸組成物を含有する溶液(B)の2液からなる輸液において,溶液(A)はその滴定酸度が10以下になるように電解質の一部を含有し,かつpH3.7?5.0に調整されており,溶液(B)は電解質の残部を含有し,かつpH6.5?8.0に調整されており,両液の体積比(A):(B)が5:1?1:1であり両液を混合したときpH6.0?7.2となることを特徴とする末梢静脈投与用輸液。
……
【請求項4】 電解質のうち,カルシウム塩が溶液(A)に配合され,リン化合物が溶液(B)に配合されているものである請求項1?3のいずれかに記載の末梢静脈投与用輸液。
……
【請求項6】 溶液(A)及び(B)の混合後の組成が,
【表1】
ブドウ糖 3?10w/v%
……である請求項1?5のいずれかに記載の末梢静脈投与用輸液。」
(特許請求の範囲)
(イ)「……使用時に混合した際に,中性に近いpHとなるため,静脈炎を惹起しない末梢静脈投与用輸液に関するものである。」(【0001】)
(ウ)「アミノ酸側溶液(B)は,……pH6.5?8.0,好ましくはpH6.5?7.4に調整される。溶液(B)のpH6.5に満たないと,……混合後のpHを至適範囲に維持できなくなり,8.0を超えると,L-システイン等の酸化され易いアミノ酸がより不安定となり,好ましくない。」(【0017】)
(エ)「なお,本発明輸液は,両液とも特定pH域に設定することにより安定化が図られているが,更に必要に応じて亜硫酸水素ナトリウム等の安定化剤などを,容器(A)及び(B)のいずれにも適宜配合することができる。」(【0020】)
(オ)「本発明輸液を収容する容器としては特に限定されないが,例えば……,隔壁に開封可能な種々の連通手段を設けたもの(特公昭63-20550号公報等)などの連通可能な隔壁で隔てられた2室容器が挙げられる。……また,上記容器の材質としては,医療用容器等に慣用されている各種のガス透過性プラスチック……などが挙げられる。」(【0023】,【0024】)
(カ)「更に,上記容器に収容された本発明輸液は,変質,酸化等を確実に防止するために,該容器を脱酸素剤と共にガス非透過性外装容器で包装するのが好ましく,……上記包装に適したガス非透過性外装容器の材質としては一般に汎用されている各種材質のフィルム,シート等を使用できる。」(【0026】,【0027】)
(キ)「なお,本発明輸液の投与時には,必要に応じて他の配合薬,例えば各種ビタミン類,微量元素(ミネラル)等を任意に添加配合することもできる。該ビタミン類としては,……塩酸チアミン……等が挙げられる。」(【0029】)
(ク)溶液(B)に配合するリン化合物として「リン酸水素二カリウム」が挙げられている。(【表3】?【表11】)

・特開2000-273035号(以下,「引用例2」という。)

(ケ)「【請求項1】連通可能な隔離手段で区画され,連通後,内容物を外気にさらすことなく混合することができる3室を有する輸液容器の,A室にアミノ酸およびビタミンCを含有する輸液,B室に還元糖およびビタミンB1を含有する輸液,……A室および(または)B室の輸液にさらに電解質が含有されていることを特徴とする総合輸液剤。
……
【請求項2】A室の輸液のpHが5?8,B室の輸液のpHが2.5?5,……,混合した後のpHが4.0?7.5である請求項1記載の総合輸液剤。
……
【請求項7】電解質のうちリン供給源とカルシウム供給源とが,A室の輸液とB室の輸液とに各々わけて含有されている請求項1,2,3,4,5または6記載の総合輸液剤。」(特許請求の範囲)
(コ)「……なお,B室にはビタミンB1が含有されているので,この分解を防ぐためにB室には亜硫酸塩を添加することは好ましくない。……」(【0053】)
(サ)「本発明の総合輸液剤は,容器内の輸液の変質を防止するために,さらに酸素非透過性の膜材で外包装してもよい。前記酸素非透過性の膜材としては,……アルミニウム層を含むラミネートフィルム(たとえばポリエステルフィルム-アルミニウム層-未延伸ポリプロピレンフィルムからなるラミネートフィルムなど)……などがあげられる。また,本発明の総合輸液剤に外包装を施す場合には,必要に応じて,外包装に遮光性,紫外線遮断性をもたせることによって,さらに変質の防止をはかることができる。前記外包装と総合輸液剤との間に脱酸素剤を収容してもよく,……」(【0078】?【0081】)
(シ)塩酸チアミンを含むB室のpHが4.5であるものが実施例5,7および13に例示されている。(表9,表11)
(ス)「かかる本発明の総合輸液剤は,患者に投与する前に,連通可能な隔離手段で区画されたA室?C室の輸液を混合したのち,……経静脈的に患者に投与することができ,末梢静脈および中心静脈のいずれを経由して投与してもよい。」(【0110】)

(3)対比
引用例1には,「「還元糖を含有する溶液(A)とアミノ酸組成物を含有する溶液(B)とが開封可能な連通手段を設けた隔壁で隔てられた2室容器に収容され,溶液(A)にカルシウム塩が,溶液(B)にリン酸水素二カリウムが配合された使用時に混合する末梢静脈投与用輸液であって,溶液(A)はpHが3.7?5.0で,滴定酸度が10以下であり,且つ混合後にブドウ糖(還元糖)3?10w/v%となり,溶液(B)はpHが6.5?8.0であり,両液を混合したときpHが6.0?7.2であり,且つ前記容器がガス透過性容器であって,脱酸素剤と共にフィルム,シート状のガス非透過性外装容器で包装されている末梢静脈投与用輸液」(以下,「引用発明」という。)が記載されている(摘記事項(ア),(イ),(オ),(カ),(ク))。
そこで,引用発明と本願補正発明を対比すると,前者の「還元糖」は,後者の「糖」に含まれるものであり,前者の「リン酸水素二カリウム」は,後者の「リン酸塩」に,前者の「使用時に混合する末梢静脈投与輸液」は,後者の「用時混合型の末梢静脈投与用総合輸液剤」に,また,前者の「開封可能な連通手段を設けた隔壁で隔てられた容器」は,後者の「用時連通可能な隔離手段により区画された容器」にそれぞれ相当するものである。
よって,両発明は,「用時連通可能な隔離手段により区画された容器の一室に糖を含有する糖液が収容され,他方の室にアミノ酸を含有するアミノ酸液が収容され,カルシウム塩が糖液に,リン酸塩がアミノ酸液に配合されてなる用時混合型の末梢静脈投与用輸液剤であって,用時連通可能な隔離手段により区画された前記容器がガス透過性容器であって,脱酸素剤と共にフィルム,シート状のガス非透過性外装容器に封入されている用時混合型の末梢静脈投与用総合輸液剤」である点で一致し,以下の点で相違する。
(相違点1)本願補正発明はあらかじめ糖液にビタミンB1が配合されているのに対し,引用発明には規定がない点。
(相違点2)本願補正発明の糖液の糖濃度,pH,滴定酸度が各々「3?7.5w/v%」,「4.2?5.5」,「30以下」,本願補正発明のアミノ酸液のpHが「6.5?8.5」,及び本願補正発明の隔離手段を連通させて輸液剤のすべての液を混合したときのpH,滴定酸度が各々「6.0?7.4」,「10以下」であるのに対し,引用発明の糖液の糖濃度,pH,滴定酸度が各々「3?10w/v%」,「3.7?5.0」,「10以下」,引用発明のアミノ酸のpHが「6.5?8.0」,及び引用発明の隔離手段を連通させて輸液剤のすべての液を混合したときのpHが「6.0?7.2」であって,引用発明の隔離手段を連通させて輸液剤のすべての液を混合したときの滴定酸度については規定がない点。
(相違点3)本願発明は糖液が亜硫酸イオンを含有しないとしているのに対し,引用発明には規定がない点。
(相違点4)本願発明はガス透過性容器がアルミ箔,アルミ蒸着フィルムまたはそれらの少なくとも1つを含む多層フィルムシートから形成されているガス非透過性外装容器に封入されているとしているのに対し,引用発明にはそのようなガス非透過性外装容器が特定されていない点。

(4)相違点についての判断
・相違点1について
引用例1には末梢静脈投与用輸液剤の投与時に塩酸チアミン(ビタミンB1)を任意に添加配合しうることが記載されている(摘記事項(キ))。ところで,その輸液剤にあっては,使用時の操作性,菌汚染懸念の観点から,本出願前すでに糖質,アミノ酸,電解質,及びビタミン剤等の各種の栄養をすべて含む総合輸液剤が求められており(引用例2の【0003】),引用例2には,用時連通可能な隔離手段で区画された複数の容器からなる末梢静脈投与可能な総合輸液剤において,ビタミンB1をあらかじめpH2.5?5と酸性を帯びた糖液に配合した形で提供できることが記載されている(摘記事項(ケ),(ス))。してみれば,引用発明において,投与時に添加配合してよいとされているビタミンB1を引用例2の教示に基づき,pH3.7?5.0と酸性を帯びたpHに調整されている引用発明の糖液にあらかじめ配合してなる態様で末梢静脈投与用輸液剤を提供することは当業者が容易に着想しうることである。
・相違点2について
引用例2には,安定に保存することができる総合輸液剤に関して,輸液剤を構成する各成分が安定に存在する条件が異なるとされており(【0005】?【0011】),成分同士の相互作用に配慮すべきこと(【0020】),好適な成分配合濃度があること(【0038】),好適なpH領域があること(【0039】)が指摘されている。そして,ビタミンB1がpH2?4の酸性域で安定であることは当業界において周知である。また,末梢静脈投与用輸液剤では使用時に懸念される静脈炎を回避するためには,使用される輸液のpHが中性近辺に制御する必要性があることは公知の事実である(摘記事項(イ))。さらに,引用発明において,pH3.7?5.0の糖液と混合されるアミノ酸溶液のpHは,6.5以下では混合後のpHを至適範囲に維持することが困難であり,8.0を越えるとアミノ酸が不安定になるとされている(摘記事項(ウ))。一方,ビタミンB1を糖液に配合する末梢投与可能な輸液剤に関する引用例2には,糖液のpHは2.5?5の範囲で選択されるとされており(摘記事項(ケ)),pH4.5という通常ビタミンB1の安定には好ましくはないと考えられるpHを有する糖液にビタミンB1を配合し製剤化した例も開示されていることから(摘記事項(シ)),輸液剤においてビタミンB1をpH4を越える糖液に配合することは可能であると認められる。以上を踏まえるに,酸性を帯びた糖液の引用発明にビタミンB1を配合する際に(そのことの容易想到性については「相違点1について」で述べたとおりである。),使用される輸液のpHを中性近辺に制御するために,糖液中のビタミンB1の安定性及びアミノ酸液中のアミノ酸の安定性並びに他の配合成分の安定性を考慮の上,糖液,アミノ酸液のそれぞれのpHを最適な範囲に設定することは当業者が適宜なしうることである。その際,引用発明の糖液の糖濃度を最適化することも当業者が適宜設定しうることである。また,引用例1には,糖液の滴定酸度を10以下とすることが記載されており(摘記事項(ア),【0010】),引用例1には,さらに,糖液に配合する電解質の種類を選択することで滴定酸度の調整が可能であることも教示されているのであるから(【0010】),引用発明の糖液の滴定酸度を最適な範囲に設定することもやはり当業者が適宜なしうることである。なお,平成15年4月16日付の刊行物等提出書に記載の実験成績証明書によれば,引用発明のうち実施例3,4に記載の輸液剤の混合時の滴定酸度はそれぞれ4.7,9.5であるところ,10以下であるとする本願補正発明と重複するものである。
・相違点3について
引用例2には,ビタミンB1の分解を防ぐためには亜硫酸塩を添加することは好ましくない旨教示されている(摘記事項(コ))。また,引用例1において亜硫酸イオンは任意成分と記載されている(摘記事項(エ))。してみると,引用発明においてビタミンB1を配合する糖液にビタミンB1の安定性を損なう亜硫酸イオンを添加しないとすることは当業者の通常の創作能力の発揮によって当然なしうることにすぎない。
・相違点4について
引用例2には,輸液の変質を防止するために,末梢静脈投与用輸液剤の外部を遮光性を備えた酸素非透過性外装を施してもよく,アルミ層含有フィルムも例示されているところ(摘記事項(サ)),引用発明において,光による輸液の変質を防止すべくガス非透過性外装容器としてアルミ層含有フィルムを適用することは当業者にとって格別な技術的創意を要するものとは認められない。

そして,本願補正発明の効果についても,引用例1及び引用例2から当業者が予測できる範囲のものである。
なお,請求人は,審判請求理由補充書において提示した参考資料Cである実験報告書に基づきビタミンB1を含有する末梢静脈栄養輸液剤におけるビタミンB1の光安定性に関する本願補正発明の効果を主張するが,出願当初の明細書には,光安定性に関する効果については何ら言及されておらず,前記参考資料Cの実験報告書は,本願の出願後の実験の結果に基づく効果を論じるものであるから失当であって参酌することはできない。仮に,参酌したとしても,ビタミンB1をはじめビタミンが一般に光劣化しやすく,そのため遮光をアルミフィルムという手段で行っていたことは引用例2に記載されているとおりであるから(摘記事項(サ)),当業者にとって予測できない効果であるとすることもできない。

したがって,本願補正発明は,引用例1に記載された発明及び引用例2に記載された発明に基づいて,当業者が容易に発明することができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

(5)むすび
以上のとおり,本件補正は,平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するものであり,特許法第159条第1項で準用する特許法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。

3.本願発明について
平成17年9月1日付の手続補正は上記のとおり却下されたので,本願の請求項1?7に係る発明は,平成16年11月4付手続補正書の特許請求の範囲の請求項1?7に記載された事項により特定されるものであって,そのうち請求項1に係る発明は,以下のとおりのものである(以下,「本願発明」という。)。
「【請求項1】(i)用時連通可能な隔離手段により区画された容器の一室に糖を含有する糖液が収容され他方の室にアミノ酸を含有するアミノ酸液が収容され,カルシウム塩およびリン酸塩は前記糖液に両方とも配合されるか又はいずれか一方が糖液に他方がアミノ酸液に配合されてなる用時混合型の末梢静脈投与用輸液剤であって,
(ii)前記糖液は,混合後の輸液剤の全容量に対して糖濃度が3?7.5w/v%となる量で糖を含有し,亜硫酸イオンを含有せず,ビタミンB1を含有し,pHが4.2?5.5で,且つ滴定酸度が30以下に調整されており;
(iii)前記アミノ酸液は,pHが6.5?8.5に調整されており;および,
(iv)隔離手段を連通させて前記輸液剤のすべての液を混合したときのpHが6.0?7.4で且つ滴定酸度が10以下となる;
ことを特徴とする用時混合型のビタミンB1配合末梢静脈投与用総合輸液剤。」

(1)引用例
原査定の拒絶の理由に引用された引用例及びその記載事項は前記「2.(2)」に記載したとおりである。

(2)対比・判断
本願発明は,前記2.で検討した本願補正発明から「ビタミンB1配合末梢静脈投与用総合輸液剤」の限定事項である「(v)用時連通可能な隔離手段により区画された前記容器がガス透過性容器であって,脱酸素剤と共にアルミ蒸着フィルムまたはそれらの少なくとも1つを含む多層フィルムシートから形成されているガス非透過性外装容器に封入されている」との発明特定事項を省いたものである。
そうすると,本願発明の発明特定事項を全て含み,さらに他の発明特定事項を付加したものに相当する本願補正発明が,前記「2.(4)」に記載したとおり,引用例1及び引用例2に記載された発明に基づいて,当業者が容易に発明することができたものであるから,本願発明も,同様の理由により,引用例1及び引用例2に記載された発明に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものである。

(3)むすび
以上のとおり,本願発明は,引用例1に記載された発明及び引用例2に記載された発明に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって,結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2008-10-22 
結審通知日 2008-10-28 
審決日 2008-11-10 
出願番号 特願2001-248449(P2001-248449)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (A61K)
P 1 8・ 121- Z (A61K)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 小堀 麻子  
特許庁審判長 塚中 哲雄
特許庁審判官 穴吹 智子
伊藤 幸司
発明の名称 ビタミンB1配合末梢静脈投与用総合輸液剤  
代理人 辻 良子  

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