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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G01N
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G01N
管理番号 1190013
審判番号 不服2006-2055  
総通号数 110 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2009-02-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2006-02-06 
確定日 2009-01-05 
事件の表示 平成10年特許願第534549号「家禽卵に選択的に注射するための方法及び装置」拒絶査定不服審判事件〔平成10年 7月23日国際公開、WO98/31995、平成13年 7月24日国内公表、特表2001-509895〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、1998年1月16日(パリ条約による優先権主張外国庁受理1997年1月17日、米国(US))を国際出願日とする出願であって、平成16年4月27日付けで拒絶理由が通知され、その指定期間内である同年11月11日付けで意見書及び手続補正書が提出されたが、平成17年10月28日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、平成18年2月6日に拒絶査定に対する審判請求がなされると共に、同年3月8日付けで手続補正がなされたものである。

2.平成18年3月8日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成18年3月8日付けの手続補正を却下する。

[理由]
(1)本件補正の内容
平成18年3月8日付け手続補正は、その補正内容として、本件補正前の特許請求の範囲の請求項1(平成16年11月11日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1)を、
「1.家禽卵を分類するための装置であって、
卵運搬装置と、
前記卵運搬装置の一方の側に配置された光源と前記光源の反対側にある前記卵運搬装置の他方の側に配置された光検出器とを有する光測定システムと、
毎秒100サイクルより高い周波数の前記光源の強度を周期変化させるために前記光源と機能的に接続しているスイッチ回路とを含む装置。」
から、
「【請求項1】 家禽卵を分類するための装置であって、
卵運搬装置と、
前記卵運搬装置と機能的に接続している駆動システムであって、所定の速度で前記卵運搬装置を動かすように構成されている駆動システムと、
前記卵運搬装置の一方の側に配置された光源と前記光源の反対側にある前記卵運搬装置の他方の側に配置された光検出器とを有する光測定システムであって、前記卵運搬装置が少なくとも10インチ毎秒の速度で前記駆動システムによって動かされている間に、前記動いている卵運搬装置の中で周囲光中にある卵を、前記動いている卵運搬装置から持ち上げることなく、前記卵を通過した光の量に従って分類する光測定システムと、
毎秒100サイクルより高い周波数の前記光源の強度を周期変化させるために前記光源と機能的に接続しているスイッチ回路とを含む装置。」(下線部は補正箇所を示す。)と補正するものを含むものである。

上記補正は、請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「卵運搬装置」についての卵を運搬するための構成について、「前記卵運搬装置と機能的に接続している駆動システムであって、所定の速度で前記卵運搬装置を動かすように構成されている駆動システムと、」との限定を付加し、同じく、「光測定システム」に関する構成について「前記卵運搬装置が少なくとも10インチ毎秒の速度で前記駆動システムよって動かされている間に、前記動いている卵運搬装置の中で周囲光中にある卵を、前記動いている卵運搬装置から持ち上げることなく、前記卵を通過した光の量に従って分類する光測定システムと、」との限定を付加するものであって、平成18年改正前の特許法第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正後の前記請求項1に記載された発明(以下、「本願補正発明」という。)が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(平成18年改正前の特許法第17条の2第5項で準用する同法第126条第5項の規定に適合するか)について、以下に検討する。

(2)引用例
原査定の拒絶の理由に引用された刊行物である特開昭51-133080号公報(以下、「引用例」という。)には、図面とともに次の事項が記載されている。
ア.「本発明は透光性の異なる第1の物質中の例えば血液などの別な透光性物質を検出するシステムまたは装置に関する。さらに詳言すれば、本発明は検査している卵に血が入つていて不良卵であるか否かを判別するための検査または透光検査装置に関する。卵検査装置に限定されないが、本発明はこれに具体例をとつてすなわち取引において「血卵または血玉(bloods)と称される卵を排除するための卵の自動透光検査装置について説明する。」(第7頁右上欄第2?10行)

イ.「血液が選択的に吸収しない波長すなわち基準波長λの光が一方のビームに、また他方のビームには血(ヘモグロビン)が選択的に吸収する別な波長の光すなわち測定波長λ_(h)の光が含まれている。これらの両ビームは、交互に投光されるビームフラツシユに応答して検査中の卵を透過した光の透過率を示す電圧を発生する光感知検出装置により交互に受光される。これらの電圧は、何らかの範囲を越えて検査中の卵内に存在するヘモグロビンにより光吸収が起きたときには不良または排除信号を発生するように検出回路で信号処理される。実際には卵を透過した第1の光ビームに比例する第1の電圧が同じ卵を透過した第2の光ビームに比例する第2の電圧と比較される。この結果、これら両電圧の差の絶対値は血卵を排除するさいの境界値を与える。この公知の装置では、先ず血を含まないことが分かつている卵を上記の両光ビーム経路中に置き、いずれか一方の光に対する電圧を両電圧が相殺し合うように調整する。・・・・・
従つて、本発明は、例えば血などの第1の透光性物質が第2の異なつた透光性物質中に存在するようなときこれの検出率を向上することを主たる目的とする。さらに本発明は従来技術に避けられなかつた難点を克服して誤作動による排除を検査過程から事実上なくし検査を最適化するとともに、検査すべき卵を例えば1個/秒で移送中に時間をかけずにしかも厄介な調節操作を要することなく搬送装置と組合わせて利用し得る信頼性が高く経時的に安定な検卵装置を提供することを目的とする。」(第7頁右上欄第14行?第8頁左上欄第2行)

ウ.「本発明による検卵装置は、同じ光軸に沿つて第1の光ビームと第2の光ビームとをそれぞれ発生指向せしめるための光学系、上記第1の光ビーム中の光線と同様に上記第2の光ビーム中の光線が上記光軸に沿つて卵を透過するように検査用の卵を支持するための支持部材、測定波長λ_(h)で検査中の卵を透過した光に比例する第1の電圧を発生するとともに基準波長λで検査中の卵を透過した光に比例する第2の電圧を発生する光感知検出装置、これら第1の電圧と第2の電圧とから導出される比の値およびλ_(h)における卵の光透過率をλ_(r)における卵の光透過率とが所定の限界値を越えているかいなかを判別する電気的検査装置、から成り立つている。・・・・・
上述の実施例は、例えば一連の卵をコンベアシステムによつて連続的に検査部所に沿つて移動させここで検査卵に光ビームを透過させるにさいし、コンベアに卵を載せたまま光ビーム経路にこれらの卵が入つてくるようにすることができる。」(第8頁左上欄第3行?同頁右下欄第1行)

エ.「第5図は2つの光源、これに対するレンズ系、光出力の制御手段を示す。2つの光源すなわち水銀スペクトルランプ1とハロゲンランプ2の発光はレンズ3および4によりほぼ平行なビームに変換され干渉フィルター5,6により578nm、600nmの光がろ(さんずいに「戸」)光される。直流モータ7により駆動されるバタフライシヤツタ8でチヨツパされた後2本のビームは同一の光軸をもつようになされる。1本の細いビームが各入力側フアイバビーム12,13から分割されてこれらの細いビームは検出器14で合一される。もう1つの分割されたビームは回転バタフライシヤツタとの同期信号を検出器15に与える。位相ロツク用ループのような制御信号回路16によって、制御信号が同期信号から導出されてから2つの測定回路17,18(サンプル回路と保持回路)に印加される。これら2つの測定回路は、検出器14からの信号が波長λ_(h)、λ_(r)の光でそれぞれ卵を照射している間同期しているため、逆位相に制御される。バタフライシヤツタの回転数には制限はない。λ_(h)およびλ_(r)で測定された後に得た信号は、差動増巾器で比較され、制御信号が可調整安定化電圧電源20に印加されてハロゲンランプ2の給電に用いられるさいにこのハロゲンランプを制御するのである。ランプ1は安定化電流電源21により給電される。閉ループの高利得は検出器14に到達する2種の光(従つて卵を照射する光)どうしの比を平均して一定に保つのに大きなはたらきをする(0.1%以下の変動に抑える)。上記のスペクトルランプの光出力の変動に対して上記の制御系の帯域は約100Hzである。その結果、例えば、水銀ランプ中のアーク放電の断続に伴う変動は十分迅速に補償される。
本発明は電気光学的に卵5個/秒で透光検査することを目指す。これは、卵1個につき測定時間が約100ミリ秒であることを示す。卵の移動中に横ずれしてこの卵の光透過率が変化するので、各波長ごとに十分な測定がなされることにより透過率比はかなり正確に測定できるようにする。このためサンプリング周波数として250Hzが選ばれ、卵の通過中両光波長で25個のサンプルを扱い得るようにしてある。」(第12頁右下欄第11行?第13頁左下欄第7行)

オ.「第6図は波長λ_(h),λ_(r)における光透過率の比を測定する電子式検出回路のブロツク図を示す。卵23を透過した光はシリコンホトダイオードを含む検出器22に入射する。これはランプ制御のためになされるので、2つの波長における卵の透過率に関するデータは、逆相で制御されている2つの同期したサンプリング回路と保持回路とによつて上記検出器の出力信号から導出される。次に、それぞれ波長λ_(r),λ_(h)における透過率に比例した合成信号の比だけが測定される。しかし、2つの信号の絶対値が1:1000の動的範囲を有することに注目する必要がある。このような範囲にわたつて十分迅速かつ正確に回路を構成して正確に比の値を測定することはかなり困難である。それ故、自動利得制御回路の使用に目を向けて解決した。
上記の装置における2つの透過率がそれぞれT_(r)およびT_(h)とするとともに、ここで検出器の出力側に現われる電圧はそれぞれV_(r)およびV_(h)である。可調節増巾器24、差動増巾器25およびサンプリング保持回路26を含む制御装置においては、λ_(r)での測定時間内に電圧V_(r)が一定値V_(c)を与えられるように増巾器24の利得Aが制御される。・・・・・
2つの光源の光出力どうしの比の一定のふれは係数aでたやすく修正することができる。この制御回路は電圧V_(r)を精度0.2%の範囲内で1つのサンプル内のV_(c)(持続時間?1.6ミリ秒)に合致させることができる。この制御定格は、測定中できるだけ多数のサンプルについて適用できるうえ、卵の移送による絶対透過率の変動が透過率比の定量比に影響しないという利点につながる。結果として、卵の通過時間(100msec)程度の有効測定時間が現実のものとなり、また一方、測定信号V_(3)の低域ろ(さんずいに「戸」)波は約8Hzの帯域幅で可能になる。」(第13頁右下欄第1行?第14頁左下欄第2行)

カ.第5図には、移動する卵23の一方の側に配置された光源(水銀スペクトルランプ1とハロゲンランプ2)と該光源の反対側にある前記卵の他方の側に配置された光検出器22とを有する光測定システムが、図示されている。

上記摘記事項「ア.」?「カ.」を総合すると、
「卵に血が入っていて不良卵であるか否かを判別するための検卵装置であって、
一連の卵を連続的に検査部所に沿って移動させるコンベアシステムと、
前記移動する卵23の一方の側に配置された2つの光源と前記光源の反対側にある前記移動する卵23の他方の側に配置された光検出器22とを有する光測定システムであって、前記卵23を透過した光透過率に従って判別する光測定システムであって、光源からの光をバタフライシャッタでチョッパし、サンプリング周波数を250Hzとした装置。」(以下、「引用例発明」という。)が、開示されていると認められる。

(3)対比
本願補正発明と引用例発明とを対比すると、引用例発明の「卵に血が入っていて不良卵であるか否かを判別する検卵装置」は、人が消費するための食用卵を検査対象とし、不良卵か否かを分類するものであることは明らかであって、食用卵は一般に家禽卵ということができるから、本願補正発明の「家禽卵を分類するための装置」に相当するものである。また、引用例発明の「一連の卵を連続的に検査部所に沿って移動させるコンベアシステム」が、本願補正発明の「卵運搬装置」に相当するところ、該コンベアシステムが、卵を運搬するためにコンベアを所定の速度で移動させるための駆動システムを有することは技術常識であるから、引用例発明が、「卵運搬装置と機能的に接続している駆動システムであって、所定の速度で前記卵運搬装置を動かすように構成されている駆動システム」を有していることは明らかである。さらに、引用例発明の「移動する卵23」は、上記摘記事項「ウ.」に「例えば一連の卵をコンベアシステムによって連続的に検査部所に沿つて移動させここで検査卵に光ビームを透過させるにさいし、コンベアに卵を載せたまま光ビーム経路にこれらの卵が入つてくるようにすることができる。」と記載されているように、コンベア上で移動しているものであるから、引用例発明の「前記移動する卵23の一方の側に配置された2つの光源と前記光源の反対側にある前記移動する卵23の他方の側に配置された光検出器22とを有する光測定システム」は、本願補正発明の「前記卵運搬装置の一方の側に配置された光源と前記光源の反対側にある前記卵運搬装置の他方の側に配置された光検出器とを有する光測定システム」に相当するものである。また、「光透過率」とは、入射した光の量に対する透過した光の量の比であるから、引用例発明の「卵23を透過した光透過率に従って判別する光測定システム」は、本願補正発明の「卵を通過した光の量に従って分類する光測定システム」に相当する。また、本願補正発明の「毎秒100サイクルより高い周波数の前記光源の強度を周期変化させるために前記光源と機能的に接続しているスイッチ回路」と引用例発明の「光源からの光をバタフライチョッパでチョッパし、サンプリング周波数を250Hzとした」こととは、「所定の周波数の光の強度を周期変化させるための構成」である点で共通するものである。

そうすると、両者は、
「家禽卵を分類するための装置であって、
卵運搬装置と、
前記卵運搬装置と機能的に接続している駆動システムであって、所定の速度で前記卵運搬装置を動かすように構成されている駆動システムと、
前記卵運搬装置の一方の側に配置された光源と前記光源の反対側にある前記卵運搬装置の他方の側に配置された光検出器とを有する光測定システムであって、
所定の周波数の光の強度を周期変化させるための構成とを含む装置」である点で一致し、次の点で相違する。

(相違点1)
光測定システムにおける測定について、本願補正発明では、「卵運搬装置が少なくとも10インチ毎秒の速度で前記駆動システムによって動かされている間に、前記動いている卵運搬装置の中で周囲光中にある卵を、前記動いている卵運搬装置から持ち上げることなく」行われるのに対して、引用例発明では、どのように測定するかについて明確でない点。

(相違点2)
測定する光を制御する回路について、本願補正発明では、毎秒100サイクルより高い周波数の光源の強度を周期変化させるために光源と機能的に接続しているスイッチ回路を用いているのに対して、引用例発明では、光源からの光をバタフライシャッタでチョッパし、サンプリング周波数を250Hzとした点。

(4)当審の判断
(相違点1)について
測定時の卵の運搬速度について、引用例の上記摘記事項「オ.」には、「結果として、卵の通過時間(100msec)程度の有効測定時間が現実のものになり・・・」と記載され、卵の通過時間とは、卵が測定領域を通過する時間であると認められるところ、卵の短径は家禽卵の代表的な鶏卵の場合は高々4cm程度であるから、その運搬速度は、15インチ毎秒程度となる。そして、上記摘記事項「オ.」の記載及び摘記事項「エ.」には、「本発明は電気光学的に卵5個/秒で透光検査することを目指す。これは、卵1個につき測定時間が約100ミリ秒であることを示す。卵の移動中に横ずれしてこの卵の透過率が変化するので、各波長ごと十分な測定がなされることにより透過率比はかなり正確に測定できるようにする。」と記載されているように、測定に際して、運搬される卵に対して透過率を測定しているものであって、周囲光を遮断するための構成、動いている卵を卵運搬装置から持ち上げて測定する構成を設ける点については何ら記載されておらず、それらの構成を設ける特段の必然性も無いことから、測定は、動いているコンベアの中で周囲光中にある卵を、動いているコンベアから持ち上げることなく行われているものであるから、相違点1は実質的な相違点ではない。

(相違点2)について
上記引用例発明の「光源からの光をバタフライシャッタでチョッパし、サンプリング周波数を250Hzとした」とは、上記摘記事項「エ.」を参酌すると、光源からの光をバタフライシャッタでチョッパすることによりサンプリング周波数である250Hzで変調、すなわち周期変化をさせることであると認められるが、光学測定において、変調光を測定に用いる際に、光源自体をスイッチング回路により変調させることは、周知技術(例えば、特開平6-43029号公報には、スイッチングトランジスタ14を所定の周期でオン、オフ駆動し、LED13から所定周期の変調光を発生させ、フォトダイオードPDに被測定物から16からの透過光を断続的に入射させる構成が、記載されている。)であるから、引用例発明において、光源及び光源からの光をバタフライシャッタでチョッパする構成に代えて、上記周知技術を採用し、所定の周波数の光源の強度を周期変化させるために光源と機能的に接続しているスイッチ回路を備えた光源を採用することは、当業者が容易に想到する事項であると認められる。そして、本願補正発明では、光源の強度の周期変化を、「毎秒100サイクルより高い周波数」と限定しているが、本願明細書及び図面の記載を参酌しても、光源の強度の周期変化として毎秒100サイクルを下限とすることに臨界的意義は認められず、引用例には、サンプリング周波数として250Hzを選ぶ旨が記載され、サンプリング周波数に同期して光源からの光のチョッパが行われるのは明らかであり、また上記摘記事項「エ.」には、「バタフライシヤツタの回転数に制限はない。」とも記載されていることから、照射光の周波数を毎秒100サイクルより高い周波数に設定することは測定時間、測定感度等を考慮して、当業者が適宜設定する事項であると認められる。

そして、本願補正発明の作用効果は、引用例発明及び上記周知技術から当業者が予測できる範囲のものであって格別なものであるとは認められない。

したがって、本願補正発明は、引用例発明及び上記周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

(5)むすび
以上のとおり、本件補正は、平成18年改正前特許法第17条の2第5項で準用する同法第126条第5項の規定に違反するものであるから、特許法第159条第1項の規定により読み替えて準用する特許法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。

3.本願発明について
平成18年3月8日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成16年11月11日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。
「1.家禽卵を分類するための装置であって、
卵運搬装置と、
前記卵運搬装置の一方の側に配置された光源と前記光源の反対側にある前記卵運搬装置の他方の側に配置された光検出器とを有する光測定システムと、
毎秒100サイクルより高い周波数の前記光源の強度を周期変化させるために前記光源と機能的に接続しているスイッチ回路とを含む装置。」

(1)引用例
原査定の拒絶の理由に引用された引用例、および、その記載事項は、前記「2.(2)」に記載したとおりである。

(2)対比・判断
本願発明は、前記2.で検討した本願補正発明から、「卵運搬装置」の限定事項である「前記卵運搬装置と機能的に接続している駆動システムであって、所定の速度で前記卵運搬装置を動かすように構成されている駆動システムと、」との構成を省き、「光測定システム」の限定事項である「前記卵運搬装置が少なくとも10インチ毎秒の速度で前記駆動システムよって動かされている間に、前記動いている卵運搬装置の中で周囲光中にある卵を、前記動いている卵運搬装置から持ち上げることなく、前記卵を通過した光の量に従って分類する光測定システムと、」との構成を省いたものである。

そうすると、本願発明の構成要件を全て含み、さらに他の構成要件を付加したものに相当する本願補正発明が、前記「2.(4)」に記載したとおり、引用例発明、及び、上記周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により、引用例発明、及び、上記周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。

(3)むすび
以上のとおり、本願発明は、引用例発明、及び、上記周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2008-01-15 
結審通知日 2008-01-18 
審決日 2008-01-29 
出願番号 特願平10-534549
審決分類 P 1 8・ 575- Z (G01N)
P 1 8・ 121- Z (G01N)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 樋口 宗彦横井 亜矢子  
特許庁審判長 高橋 泰史
特許庁審判官 田邉 英治
黒田 浩一
発明の名称 家禽卵に選択的に注射するための方法及び装置  
代理人 松島 鉄男  
代理人 奥山 尚一  
代理人 有原 幸一  

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