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この審決には、下記の判例・審決が関連していると思われます。
審判番号(事件番号) データベース 権利
無効2007800236 審決 特許
不服2005361 審決 特許
不服200523424 審決 特許
不服2009390 審決 特許
不服200425112 審決 特許

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審決分類 審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない。 C12N
管理番号 1190311
審判番号 不服2005-24685  
総通号数 110 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2009-02-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2005-12-22 
確定日 2009-01-08 
事件の表示 特願2002-272125「耐熱性プロリン含有ジペプチド分解酵素」拒絶査定不服審判事件〔平成16年 4月 8日出願公開、特開2004-105091〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成14年9月18日の出願であって、平成17年11月14日付で拒絶査定がなされ、これに対し、同年12月22日に拒絶査定に対する審判請求がなされたものである。

2.本願発明
本願の請求項に係る発明は、平成17年10月21日に受け付られた手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし請求項8に記載された事項により特定されるとおりのものであるところ、そのうちの請求項4の記載は以下の通りである。

「【請求項4】
配列表の配列番号3に記載のポリヌクレオ配列を有することを特徴とする請求項3に記載のDNA。」
ここで、請求項4で引用する請求項3、並びに請求項3で引用する請求項1および2の記載は、それぞれ、
「【請求項3】
請求項1または2に記載のPro-Pro分解活性を有する耐熱性プロリン含有ジペプチド分解酵素をコードすることを特徴とするDNA。」
「【請求項1】
配列表の配列番号4に記載のアミノ酸配列を有することを特徴とする、Pro-Pro分解活性を有する耐熱性プロリン含有ジペプチド分解酵素。」
「【請求項2】
配列表の配列番号4に記載のアミノ酸配列において、1または数個のアミノ酸残基が欠失、置換、または付加されたアミノ酸配列を有することを特徴とする、Pro-Pro分解活性を有する耐熱性プロリン含有ジペプチド分解酵素。」
というものであるところ、配列番号3のポリヌクレオチド配列は配列番号4のアミノ酸配列をコードするものであるから、請求項4の記載は、それが引用する請求項3が請求項1を引用している場合には以下のとおりに言い換えることができる。

「【請求項4】
配列表の配列番号3に記載のポリヌクレオチド配列を有し、配列表の配列番号4に記載のアミノ酸配列を有することを特徴とするPro-Pro分解活性を有する耐熱性プロリン含有ジペプチド分解酵素をコードすることを特徴とするDNA。」(なお、請求項4の記載中「ポリヌクレオ配列」は「ポリヌクレオチド配列」の誤記であることは明白である。以下、これを本願発明という。)

3.引用文献に記載された発明
(1)引用文献1に記載された事項
これに対して、原審の拒絶査定の理由で引用した、本願の出願前である平成10年に頒布された「DNA RESEARCH, Vol.5, p55-76」(以下、これを引用文献1という。)には、「Complete Sequence and Gene Organization of the Genome of a Hyper-thermophilic Archaebacterium, Pyrococcus horikoshii OT3」と題された記事が掲載されており、以下の事項が記載されている。

(1-1)
「要約 超好熱性古細菌Pyrococcus horikoshii OT3のゲノムの全配列が、…決定された。ゲノム全体の長さは、1738505bpであった。(中略)可能性のあるタンパク質コード領域として、全部で2061のオープンリーディングフレーム(ORFs)が割り当てられ、公知のデータベースに対する相同性検索により、そのうちの406(19.7%)が推定機能を有する遺伝子と関連づけられ、453(22.0%)が機能未知として登録されていた配列と関連づけられた。(後略)」(第55ページ要約欄)

(1-2)
「本ゲノムシークエンスの全長は、DDBJ/Genebank/EMBL データベースに、AP000001-AP000007のアクセッションナンバーの下に記載されている。」(第55ページ脚注)

(1-3)
Table4(第62?73ページ)に、「既知又は未知の機能とともに登録されている遺伝子に相同性を示すORFのリスト」が記載されており、その中に、Initiation positionが1044427でありTermination positionが1043372であるORF(ORFIDがPH1149のもの)が、X-Pro dipeptidaseをコードすることが予測されるものとして、記載されている。(第64ページ)

(2)引用文献1で参照するDDBJ/Genebank/EMBL データベースに掲載された事項
引用文献1の(1-2)で参照される、DDBJ/Genebank/EMBL データベースにAP000001-AP000007のアクセッションナンバーの下に記載されている配列の1044427?1043372 positionには、本願の配列番号3に記載のポリヌクレオチド配列と同じ配列が掲載されている。

(3)引用文献1に実質的に記載された発明
引用文献1には、本願発明4の配列番号3に示す塩基配列自体は記載されていない。しかしながら、当業者であれば、引用文献1の(1-3)及び(1-2)の記述に基づき、ポリヌクレオチド配列データベースとして周知であるDDBJ/Genebank/EMBL データベースに、AP000001-AP000007のアクセッションナンバーの下に記載されている配列の1044427?1043372 positionの配列自体に何の困難もなくアクセス可能であることから、引用文献1には、実質的に、DDBJ/Genebank/EMBL データベースのAP000001-AP000007のアクセッションナンバーの下に記載されている配列の1044427?1043372 position部分の配列、すなわち本願における配列番号3に記載のポリヌクレオチド配列が、蛋白質をコードするORF、すなわち、具体的には配列番号4のアミノ酸配列を有する蛋白質をコードする配列として記載されているに等しいと言える。
従って、引用文献1には、「配列表の配列番号3に記載のポリヌクレオチド配列を有し、配列表の配列番号4に記載のアミノ酸配列を有する蛋白質をコードするDNA。」が実質的に記載されている。

4.本願発明と引用文献1に記載された発明との対比
そこで、引用文献1に記載の発明と本願発明とを対比すると、
両者は、「配列表の配列番号3に記載のポリヌクレオチド配列を有し、配列表の配列番号4に記載のアミノ酸配列を有する蛋白質をコードすることを特徴とするDNA」
である点で一致する。
一方、本願発明は、本願発明のDNAが「配列表の配列番号4に記載のアミノ酸配列を有するPro-Pro分解活性を有する耐熱性プロリン含有ジペプチド分解酵素をコードする」ものであることが特定されているのに対し、引用文献1では、X-Pro分解活性を有するプロリン含有ジペプチド分解酵素をコードするものであることが予測されているにとどまる点で、両者は一見相違する。

5.判断
上記相違点について検討する。
本願発明は、「DNA」という化学物質に係る発明である。従って、当該DNAに対する本願発明の上記「配列表の配列番号4に記載のアミノ酸配列を有するPro-Pro分解活性を有する耐熱性プロリン含有ジペプチド分解酵素をコードする」という特定事項は、本願発明に係る「配列表の配列番号3に記載のポリヌクレオチド配列を有するDNA」という化学物質の有する固有の属性を記述するにとどまるものであって、当該特定の有無によって、「DNA」という化学物質自体が異なることにはならない。
そうしてみると、本願発明に係る「DNA」は、引用文献1に実質的に記載された発明に係る上記「DNA」と異なるところはない。
これにつき、審判請求人は、平成18年3月16日に受け付けられた審判請求書についての手続補正書において、「引用文献1にはORF ID、PH1149と名付けられたORFについて、予想産物がX-pro dipeptidase である旨記載されてはいますが、これはパイロコッカス ホリコシOT3株の全ゲノムシーケンス中、開始コドン、ATGあるいはGTGから始まるORFについて、コンピュータを用いてデータベース中の既存の配列との相同検索を行った結果がそのまま記載されているにすぎません。したがって、引用文献1においては、何らの確認実験も行われておらず、上記PH1149が、本当にX-pro dipeptidaseの遺伝子であるか否かは不明であります。 遺伝子あるいはその遺伝子産物の発明は、その機能が立証されて初めて発明が完成されているといえるのであって、引用文献1の記載のように何らの確認もなされておらず、本当にPH1149がX-pro dipeptidaseの遺伝子かどうか立証されていない状態では、発明として完成されていないものとすべきであります。」と主張する。
しかしながら、引用文献1には、上述のとおり、「配列表の配列番号3に記載のポリヌクレオチド配列を有するDNA」が、蛋白質のORF、すなわち、具体的には「配列表の配列番号4に記載のアミノ酸配列を有する蛋白質をコードする」可能性のあるものとして記載されていたのであり、少なくとも当該DNAが蛋白質をコードするものとして存在することを疑うべき理由はない。そして、引用文献1に本願発明の新規性を失わせる発明が記載されていると言うためには、引用文献1に当該DNAが製造できる程度に記載されていれば足り(なお、配列が知られていれば、常法により当該DNAを製造することができる)、その有用性(例えばそれがコードする蛋白質の有用性)について記載されている必要はないというべきである(平成11年3月2日東京高裁平成9年(行ケ)第330号判決参照)。DNAが製造可能に開示されている引用文献1の記載に基づいて、実際にそれを製造し、当該DNAが本来有している属性であるその有用性を見い出したことをもって、当該DNA自体に新規性が生じるとすると、該DNAを初めて製造可能に開示した者であっても有用性を明らかにできなかった者は、実施可能要件違反あるいは発明未完成であるとの理由で、その物の発明について特許を取得できないのに対し、既に製造可能に開示されているDNAについてその有用性を明らかにしただけの者が特許を取得できることとなり、新たな技術開示の代償として保護を与えられるという、特許制度の趣旨からみて、明らかに不合理であると言わざるを得ない。
よって、請求人の上記主張は採用できない。

したがって、原審の拒絶査定で指摘したとおり、本願発明は、引用文献1に記載された発明である。

6.むすび
以上のとおりであるから、本願発明は、特許法第29条第1項3号の規定により特許を受けることができないものであり、その余の請求項について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2008-11-06 
結審通知日 2008-11-11 
審決日 2008-11-25 
出願番号 特願2002-272125(P2002-272125)
審決分類 P 1 8・ 113- Z (C12N)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 濱田 光浩小暮 道明  
特許庁審判長 種村 慈樹
特許庁審判官 加々美 一恵
鵜飼 健
発明の名称 耐熱性プロリン含有ジペプチド分解酵素  
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