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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 F01N
審判 査定不服 特17条の2、3項新規事項追加の補正 特許、登録しない。 F01N
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 F01N
管理番号 1190320
審判番号 不服2006-4991  
総通号数 110 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2009-02-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2006-03-16 
確定日 2009-01-08 
事件の表示 特願2002- 45071「車両制御装置」拒絶査定不服審判事件〔平成15年 9月 5日出願公開、特開2003-247417〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 [1]手続の経緯
本願は、平成14年2月21日の出願であって、平成17年7月14日付けで拒絶の理由が通知され、平成17年9月20日付けで意見書及び手続補正書が提出されたが、平成18年2月9日付けで拒絶をすべき旨の査定がなされ、これに対し平成18年3月16日付けで拒絶査定不服審判が請求された後、平成18年4月14日付けで手続補正書が提出され明細書が補正されるとともに同日付け手続補正書(方式)により審判請求の理由が補正された。その後、平成20年6月30日付けで書面による審尋がなされ、これに対し平成20年8月29日付けで回答書が提出されたものである。

[2]平成18年4月14日付け手続補正書でした補正についての補正却下の決定

〔補正却下の決定の結論〕
平成18年4月14日付け手続補正書でした補正を却下する。

〔理由〕

1.本件補正の内容
平成18年4月14日付け手続補正書でした明細書の補正(以下、「本件補正」という。)は、特許請求の範囲に関して、本件補正により補正される前の下記(2)に示す請求項1の記載を下記(1)に示す請求項1のように補正するものである。
なお、請求項1を引用して記載する請求項2乃至6については、補正されていない。

(1)本件補正により補正された特許請求の範囲、請求項1
「【請求項1】 内燃機関及び電動機を搭載し前記内燃機関及び前記電動機の少なくとも一方の駆動力により走行可能な車両に設置される車両制御装置において、
前記内燃機関の排気ガスを浄化する触媒の活性度を検出する触媒活性度検出手段と、
前記触媒の活性度が所定の活性度以上であるときに前記触媒の活性度が低いほど前記触媒の活性度が高いときに比べて前記排気ガスの流量が少なくなるように流量上限値を設定し、車両要求動力に基づき算出されるエンジン要求出力と前記流量上限値に対応するエンジン出力とを比較し前記エンジン要求出力と前記流量上限値に対応するエンジン出力のうち小さい方をエンジン出力とし、そのエンジン出力により始動直後から前記内燃機関を駆動することによって前記排気ガスの流量を抑制する流量抑制手段と、
を備えたことを特徴とする車両制御装置。」(下線部は補正箇所を示す。)

(2)本件補正前の特許請求の範囲、請求項1
「【請求項1】 内燃機関及び電動機を搭載し前記内燃機関及び前記電動機の少なくとも一方の駆動力により走行可能な車両に設置される車両制御装置において、
前記内燃機関の排気ガスを浄化する触媒の活性度を検出する触媒活性度検出手段と、
前記触媒の活性度が所定の活性度以上であるときに前記触媒の活性度が低いほど前記触媒の活性度が高いときに比べて前記排気ガスの流量が少なくなるように流量上限値を設定し、車両要求動力に基づき算出されるエンジン要求出力と前記流量上限値に対応するエンジン出力とを比較しそれらの小さい方をエンジン出力とし、そのエンジン出力により前記内燃機関を駆動することによって前記排気ガスの流量を抑制する流量抑制手段と、
を備えたことを特徴とする車両制御装置。」

2.本件補正の適否
(1)本件補正の目的
本件補正は、a)本件補正前の請求項1に記載されていた「それらの出力のうち」なる点について、「前記エンジン要求出力と前記流量上限値に対応するエンジン出力のうち」とし、また、b)「始動直後から」なる事項を追加することにより内燃機関の駆動時期を限定するようにするものであり、前者a)については、「それらの」と指示語で記載されていた内容について具体的に記載するもので実質的な変更はなく、また、後者b)については、内燃機関の駆動について「始動直後から」と限定するものであるから、本件補正は、平成14年法律第24号改正附則第2条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項第2号に規定する、特許請求の範囲の減縮を目的とするものと解される。

(2)新規事項の有無
しかし、本願の願書に最初に添付した明細書及び図面(以下、「当初明細書等」という。)の記載によれば、内燃機関の駆動について「始動直後から」とするような記載があるとはいえず、かつ、この点は当初明細書等の記載から自明なことともいえない(この点について請求人が主張する、「図4に示すように、車両のエンジン2を始動し走行する場合、エンジンの始動の直後、触媒53の活性度は低い状態にある。このため、触媒53に流入する排気ガスの流量が制限され、それに伴ってエンジン出力が制限される。」なる記載からは、「エンジンの始動の直後」において、「エンジン出力が制限される」状態となっていることは読み取れるが、「始動直後から内燃機関を駆動する」というように、内燃機関の制御の始期を定めるものとして「始動の直後」が記載されていたものとまでは解されない。)。
よって、当該「始動直後から」なる事項を加える補正は、当初明細書等に記載がなく、また当初明細書等の記載から自明でもない事項を加えるものである。
なおこの点について請求人は、回答書において本願発明は「時間的起点は始動完了以前であってもよいし、始動完了直後であってもよく、その制御開始時を問わないものである。」と主張するが、本願発明において当該「始動の直後」なる点についての技術的意義の軽重と、当初明細書等に記載された範囲にない事項を構成するかとは別個の問題であり、新規事項を追加するものではないことの根拠とはならない。

したがって、本件補正においてb)「始動直後から」を追加したことは、特許法第17条の2第3項の規定に違反するものである。

3.独立特許要件について
また本件補正が、仮に上記のような新規事項を追加するものではなかったとして、本件補正後の請求項1に係る発明が、本願出願時において独立して特許を受けることができるものであるかどうかについて、以下に検討する。

(1)本願補正発明
本件補正により補正された特許請求の範囲の請求項1に係る発明は、上記[2]1.(1)に摘記したとおりのものと認められる(以下、「本願補正発明」という。)。

(2)引用刊行物に記載された発明
原査定において拒絶の理由として引用された特開平5-222966号公報(以下、「引用刊行物」という。)には、次のことが記載されている。

a)「【産業上の利用分野】本発明は、エンジン駆動と電動駆動とを選択的に、又は同時に行うことができるようにしたハイブリッド車両に関し、特にエンジンから排出される大気汚染物質の排出量を低減できるようようにした(当審注;「ようにした」の誤記と解される。)運転状態制御装置に関する。」(段落【0001】)

b)「【0015】図1,図2において、1はガソリンエンジン2,及び発電機能を有する電動機3を備えたハイブリッド車であり、上記エンジン2によって後輪4を駆動するエンジン駆動と、電動機3によって後輪4を駆動する電動駆動とを選択的に、あるいは同時に行うことができるように構成されている。
【0016】上記エンジン2に接続された吸気通路5には、該通路5を開閉する絞り弁6が回動自在に配設されている。この絞り弁6は、アーム7,ケーブル8,ばね9を介してアクセルペダル10に接続されている。 ‥
‥ ‥
【0017】また上記エンジン2に接続された排気通路12には、三元触媒コンバータ13が配設されている。該コンバータ13は、排気ガス中の一酸化炭素(CO)及び炭化水素(HC)の酸化と、窒素酸化物(NOx )の還元を同時に行うためのものである。なお、14は触媒温度を検出する触媒温度センサ、19はエンジンの冷却水温度を検出する水温センサ、20はエンジン回転数を検出する回転数センサである。」(段落【0015】?【0017】)

c)「【0021】27は絞り弁6の開度を規制する開度規制装置であり、これは絞り弁6の上記アーム7に当接して該アーム7の最大回動角度を規制するカムストッパ28と、該カムストッパ28を回動させることにより上記規制開度を変化させるパルスモータ29とで構成されている。
【0022】30は上記絞り弁6の開弁速度を規制する開弁速度規制装置であり、これはピストン31aを内蔵するシリンダ31と、該シリンダ31の上記ピストン31aで画成された一方の室から他方の室に作動油を循環させる循環通路32とで構成されている。上記ピストン31aのロッドは上記絞り弁6のアーム7に当接している。また上記循環通路32には上記ピストン31aの図示右方(絞り弁6の閉じ方向)への移動のみ自由とする逆止弁33と、図示左方への移動速度(絞り弁6の開速度)を調整するめの流量調整弁34が介設されている。
【0023】35はエンジン運転状態を制御するCPUであり、これは上記各センサ11,19,20,14,36からの吸気圧信号a,水温信号b,回転数信号c,触媒温度信号d,アクセル開度信号eが入力され、上記クラッチ18,自動変速機15,インバータスイッチ24,パルスモータ29,流量調整弁34にそれぞれ駆動信号A?Eを出力する。」
(段落【0021】?【0023】)

d)「【0024】次に本実施例の作用効果を説明する。本実施例自動車1では、図3に示すように、ガソリンエンジン2で後輪4を駆動するエンジン駆動と、電動機3で駆動する電動駆動とが選択的に、又は同時に行われる。
【0025】例えば水温,触媒温度が低温でかつ低負荷の状態(図3の領域イ)では電動駆動のみが行われる。この場合、CPU35からの駆動信号Aによりクラッチ18がオフし、駆動信号Bにより自動変速機15が車両速度に応じた速度段となり、また開度規制装置27への開度規制信号Dがファストアイドル開度(図4のT1参照)となり、開弁速度規制装置30への速度規制信号Eが零速度(図5のT1参照)となり、さらに駆動信号Cによりインバータスイッチ24が電動機3への電力を要求車両速度等に応じた値とする。
【0026】これにより、パルスモータ29がカムストッパ28をファーストアイドル開度位置に回動させ、また流量調整弁34が循環通路32を閉じる。そのため絞り弁6は、アクセルペダル10の踏み込み量,踏み込み速度に関わらずファストアイドル開度,零速度に規制され、その結果エンジン2はアイドル状態で暖機が進むのを待つこととなる。そしてこの場合は、アクセルペダル10の踏み込み量,速度に応じた駆動信号Cによりインバータスイッチ24が電動機3への電力を調整し、電動駆動のみで車両は走行する。またこの場合、クラッチ18がオフしているので、アイドル回転状態のエンジンを電動機3が駆動することはない。
【0027】また水温が上昇し、かつ低負荷の状態(図3の領域ロ)でも上記各駆動信号A,B,Cは領域イの場合と同様に設定され、電動駆動のみが行われる。しかしこの領域では絞り弁開度,開弁速度は上記領域イの場合より大きい開度,速い速度(図4,図5のT2部分)に規制される。一方、この温度状態で中負荷(領域ハ)になると、クラッチ18がオンとなり、エンジン駆動と電動駆動が併用して行われる。
【0028】また水温がさらに上昇すると(図4,図5のT3部分)暖機完了と判定して、絞り弁開度,開弁速度の規制は解除される。この温度状態でかつ低負荷,中負荷の場合(領域ニ,ホ)では、電動機3への電力供給が遮断される。これによりエンジン駆動のみが行われるとともに、電動機3はエンジンにより回転駆動され、発電機として機能し、発生した電力はダイオード25を通ってバッテリ26を充電することとなる。さらにまた上記T3の温度状態で、かつ高負荷の場合は、エンジン駆動と電動駆動とが併用して行われる。」(段落【0024】?【0028】)

e)「【0031】このように本実施例では、冷機走行時には電動機3のみで後輪4を駆動する電動駆動を選択し、また絞り弁6の開度をファストアイドル開度に規制したので、冷機走行時の排気ガス量は極めて少量に保持されている。従って触媒コンバータ13の温度が低いことに起因して、あるいは空燃比が濃いことに起因して触媒機能が不十分の状態でも、排気ガス量自体を低減した分だけ大気汚染物質を低減できる。」(段落【0031】)

f)「【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例によるハイブリッド車両の運転状態制御装置を示す模式構成図である。
【図2】上記実施例装置を備えたハイブリッド車両を示す模式構成図である。
【図3】上記実施例におけるエンジン駆動,電動駆動の選択,併用状態を示すマップ図である。
【図4】上記実施例装置の絞り弁開度の規制値を示す特性図である。
【図5】上記実施例装置の絞り弁の開速度の規制値を示す特性図である。
【符号の説明】
1 ハイブリッド車
2 エンジン
3 電動機
4 後輪(駆動輪)
16 プロペラシャフト(駆動軸)
18 クラッチ
35 CPU(駆動制御手段,クラッチ制御手段)」(【図面の簡単な説明】)

g)上記c)乃至e)からみて、引用刊行物に記載されたものは、触媒の温度に相関して「絞り弁6」の開度を制御することにより、排気ガス量を制限し、もって排気される大気汚染物質の量を減少させるようにしたものであることが分かる。

h)上記e)からみて、引用刊行物において触媒温度を検出するのは、三元触媒コンバータの触媒機能を判断するためであり、引用刊行物には三元触媒コンバータに存在する触媒の触媒機能検出手段が記載されているものといえる。

i)上記d)及び図1の記載からみて、引用刊行物に記載された運転状態制御装置の備える絞り弁6の開度は、触媒温度が所定以上の、触媒機能が完全に発揮できる段階では、アクセルペダル10の踏み込み量に対応して設定されるが、触媒温度が低く、触媒機能が十分発揮できない段階では、アクセルペダル10の踏み込み量に対応する絞り弁開度より小さい絞り弁開度規制値に設定されるものと解される。

j)以上のこと、及び図1乃至図4等の記載からみて、引用刊行物には、次の発明が記載されていると認められる。

「エンジン2及び電動機3を搭載し前記エンジン2及び電動機3の少なくとも一方の駆動力により走行可能な自動車に設置される運転状態制御装置において、
前記エンジン2の排気ガスを浄化する三元触媒コンバータ13の触媒機能を検出する触媒機能検出手段と、
前記三元触媒コンバータ13の触媒機能が所定の触媒機能であるときに前記三元触媒コンバータ13の触媒機能が低いほど前記三元触媒コンバータの触媒機能が高いときに比べて前記排気ガスの流量が少なくなるように、絞り弁開度規制値を設定し、アクセルペダル10の踏み込み量に応じた絞り弁開度と前記絞り弁開度規制値のうち小さい方を絞り弁開度とし、その絞り弁開度により前記エンジン2を駆動することによって前記排気ガスの流量を抑制する開度規制装置27と、を備えた運転状態制御装置。」(以下、「引用刊行物に記載された発明」という。)

(3)本願補正発明と引用刊行物に記載された発明との対比
本願補正発明と引用刊行物に記載された発明とを対比すると、引用刊行物に記載された発明における「エンジン2」、「自動車」、「運転状態制御装置」、「三元触媒コンバータ13」、「触媒機能」、「絞り弁開度規制値」及び「開度規制装置27」は、それぞれ本願補正発明における「内燃機関」、「車両」、「車両制御装置」、「触媒」、「活性度」、「流量上限値」及び「流量抑制手段」に相当し、また、引用刊行物に記載された発明における「絞り弁開度」は、これにより「エンジン2」が駆動されるものであるから本願補正発明の「エンジン出力」に相当するものといえる。さらに、引用刊行物に記載された発明における「アクセルペダル10の踏み込み量に対応した絞り弁開度」は、「エンジン2」に接続された「三元触媒コンバータ13」が完全な触媒機能を発揮するようになった段階において運転者がアクセルを踏み込むことにより要求するエンジン2の駆動力を設定するものであるから、引用刊行物に記載された発明における「前記三元触媒コンバータ13の触媒機能が所定の触媒機能であるときに前記三元触媒コンバータ13の触媒機能が低いほど前記三元触媒コンバータ13の触媒機能が高いときに比べて前記排気ガスの流量が少なくなるように絞り弁開度規制値を設定し、アクセルペダル10の踏み込み量に応じた絞り弁開度と前記絞り弁開度規制値のうち小さい方を絞り弁開度とし、その絞り弁開度により前記エンジン2を駆動することによって前記排気ガスの流量を抑制する開度規制装置27」は、「前記触媒(三元触媒コンバータ13)の活性度(触媒機能)が所定の活性度(触媒機能)以上であるときに前記触媒(三元触媒コンバータ13)の活性度が低いほど前記触媒(三元触媒コンバータ13)の活性度(触媒機能)が高いときに比べて前記排気ガスの流量が少なくなるように流量上限値(絞り弁開度規制値)を設定し、エンジンに要求される出力(絞り弁開度)と、流量上限値(絞り弁開度規制値)に対応するエンジン出力(絞り弁開度)のうち小さい方をエンジン出力(絞り弁開度)とし、そのエンジン出力(絞り弁開度)により内燃機関(エンジン2)を駆動することによって前記排気ガスの流量を抑制する手段」である限りにおいて、本願補正発明の「流量抑制手段」と共通するものである。

したがって、両者は以下の一致点、相違点を有するものである。

〈一致点〉
「内燃機関及び電動機を搭載し前記内燃機関及び前記電動機の少なくとも一方の駆動力により走行可能な車両に設置される車両制御装置において、
前記内燃機関の排気ガスを浄化する触媒の活性度を検出する触媒活性度検出手段と、
前記触媒の活性度が所定の活性度以上であるときに前記触媒の活性度が低いほど前記触媒の活性度が高いときに比べて前記排気ガスの流量が少なくなるように流量上限値を設定し、エンジンに要求される出力と前記流量上限値に対応するエンジン出力とを比較し前記エンジン要求出力と前記流量上限値に対応するエンジン出力のうち小さい方をエンジン出力とし、そのエンジン出力により前記内燃機関を駆動することによって前記排気ガスの流量を抑制する手段と、
を備えた車両制御装置。」

〈相違点〉
本願補正発明における「流量抑制手段」は、「エンジンに要求される出力」として「車両要求動力に基づき算出されるエンジン要求出力」を使用し、「始動直後から」駆動するものであるのに対し、引用刊行物に記載された発明における「開度規制装置27」は、「エンジンに要求される出力」として「アクセルペダル10の踏み込み量に対応した絞り弁開度」を使用して駆動するものであり、当該駆動については「始動直後から」と限定されるものではない点。

(4)当審の判断
以下、上記相違点について検討する。

内燃機関及び電動機を搭載し内燃機関及び電動機の少なくとも一方の駆動力により走行可能な、いわゆるハイブリッド車に設置される車両制御装置において、アクセルペダル踏み込み量、車速等に基づいて車両の駆動力を決定し、当該車両駆動力に基づいて算出されるエンジン(要求)出力に基づいてエンジンを駆動するようにしたことは、特開2001-355434号公報、特開平9-154205号公報に記載されているように、本願出願前において周知の技術(以下、「周知技術」という。)である。
また、引用刊行物に記載された発明により実行されるエンジン駆動制御は、特に「始動直後から」と限定されるものではなく触媒温度(若しくは機関冷却水温度)が低温の場合に実行されるものであるが、エンジンの「始動直後」に実行することに特に不向きなものでもなく、他方、本願補正発明により実行される制御についても、特に「始動直後から」実行することに特に技術的意義があるものとも解さない(この点、請求人も回答書にて認めている。)。したがって、引用刊行物に記載された発明に上記周知技術を採用し、制御の開始時期を適宜に定め、本願補正発明のようにすることは、当業者にとり通常の創作力の範囲で適宜になしうる程度のことにすぎない。

また、本願補正発明のようにした結果、引用刊行物に記載された発明及び周知技術より予測されないような著しい効果が生じたものとも認められない。

よって、本願補正発明は引用刊行物に記載された発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、独立して特許を受けることができないものである。

4.むすび
上記2.に記載したとおり、本件補正は、特許法第17条の2第3項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
また、上記3.に記載したとおり、本件補正発明は特許法第29条第2項の規定により、出願時点において独立して特許を受けることができないものであるから、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

よって、結論の通り決定する。

[3]本願発明について

1.本願発明
平成18年4月14日付け手続補正書によりなした明細書についての補正は上記の通り却下されたので、本件出願の請求項1に係る発明は、平成17年9月20日付け手続補正書により補正された明細書及び出願当初の図面の記載からみて、特許請求の範囲の、請求項1に記載された以下の事項により特定されるものである(以下、「本願発明」という。)。

(1)本願発明
「【請求項1】 内燃機関及び電動機を搭載し前記内燃機関及び前記電動機の少なくとも一方の駆動力により走行可能な車両に設置される車両制御装置において、
前記内燃機関の排気ガスを浄化する触媒の活性度を検出する触媒活性度検出手段と、
前記触媒の活性度が所定の活性度以上であるときに前記触媒の活性度が低いほど前記触媒の活性度が高いときに比べて前記排気ガスの流量が少なくなるように流量上限値を設定し、車両要求動力に基づき算出されるエンジン要求出力と前記流量上限値に対応するエンジン出力とを比較しそれらの小さい方をエンジン出力とし、そのエンジン出力により前記内燃機関を駆動することによって前記排気ガスの流量を抑制する流量抑制手段と、
を備えたことを特徴とする車両制御装置。」

2.引用刊行物に記載された発明、対比
原査定において拒絶の理由に引用された引用刊行物には、上記[2]、〔理由〕、3、(2)に指摘したとおりの発明、すなわち、引用刊行物に記載された発明が記載されている。

3.対比、判断
本願発明と本願補正発明とを比べると、実質的には、本願発明は本願補正発明における「流量制御手段」が内燃機関を駆動する時期について「始動直後から」という事項を削除したものである。

そうすると、本願発明の発明特定事項を全て含み、さらに「始動直後から」なる要件を付加したものに相当する本願補正発明が上記[2]、〔理由〕、3.に記載したとおり、引用刊行物に記載された発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明できたものであるから、本願発明についても、同様の理由により、引用刊行物に記載された発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明できたものである。

4.むすび
以上の通り、本願発明は、引用刊行物に記載された発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

よって、結論の通り審決する。
 
審理終結日 2008-11-05 
結審通知日 2008-11-11 
審決日 2008-11-25 
出願番号 特願2002-45071(P2002-45071)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (F01N)
P 1 8・ 561- Z (F01N)
P 1 8・ 121- Z (F01N)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 稲葉 大紀  
特許庁審判長 早野 公惠
特許庁審判官 森藤 淳志
金澤 俊郎
発明の名称 車両制御装置  
代理人 上田 和弘  
代理人 長谷川 芳樹  
代理人 黒木 義樹  
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