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審決分類 |
審判 訂正 4項(134条6項)独立特許用件 訂正する H04M 審判 訂正 ただし書き1号特許請求の範囲の減縮 訂正する H04M |
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管理番号 | 1191073 |
審判番号 | 訂正2008-390124 |
総通号数 | 111 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2009-03-27 |
種別 | 訂正の審決 |
審判請求日 | 2008-11-25 |
確定日 | 2009-01-08 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 特許第3311365号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 特許第3311365号に係る明細書を本件審判請求書に添付された訂正明細書のとおり訂正することを認める。 |
理由 |
第1.請求の要旨 本件審判の請求の要旨は、特許第3311365号発明(平成3年5月29日特許出願、平成14年5月24日設定登録)の明細書(以下、「特許明細書」という。)を審判請求書に添付した訂正明細書のとおり、すなわち、下記(1)-(4)のとおり訂正することを求めるものである。 (1)訂正事項1 特許明細書の特許請求の範囲の請求項1について、 「自動着呼モードのオン・オフを設定するための自動着呼キーと、 応答音声情報を記憶しているメモリ手段と、 前記自動着呼キーのオン設定時にはリンガ音を鳴動させずに着呼を受けるとともに、前記メモリ手段に記憶されている応答音声情報を読み出す制御手段とを備え、 前記自動着呼モードがオフ設定のときに、着信をうけたとき、前記自動着呼キーを操作すると、前記リンガ音の鳴動を停止し、前記メモリ手段に記憶されている応答音声情報を読み出すことを特徴とする携帯電話装置。」 とあるのを、 「自動着呼モードのオン・オフを設定するための自動着呼キーと、 応答音声情報を記憶しているメモリ手段と、 前記自動着呼キーのオン設定時にはリンガ音を鳴動させずに着呼を受けるとともに、前記メモリ手段に記憶されている応答音声情報を読み出す制御手段とを備え、 前記自動着呼モードがオフ設定のときに、着信をうけたとき、前記自動着呼キーを操作すると、前記リンガ音の鳴動を停止し、前記メモリ手段に記憶されている応答音声情報を読み出すとともに前記自動着呼モードをオン設定にすることを特徴とする携帯電話装置。」 と訂正する。(下線部は訂正箇所を示す。以下同じ。) (2)訂正事項2 特許明細書の特許請求の範囲の請求項2について、 「自動着呼モードのオン・オフを設定するための自動着呼キーと、 応答音声情報を記憶しており、且つ発信者が発した音声を記憶するメモリ手段と、 前記自動着呼キーのオン設定時にはリンガ音を鳴動させずに着呼を受けるとともに、前記メモリ手段に記憶されている応答音声情報を読み出し且つ受信音声を記憶させる一方、受信音声再生キーのオン操作時には前記メモリ手段に記憶している受信音声を読み出す制御手段とを備え、 前記自動着呼モードがオフ設定のときに、着信をうけたとき、前記自動着呼キーを操作すると、前記リンガ音の鳴動を停止し、前記メモリ手段に記憶されている応答音声情報を読み出し、受信音声を記憶させる一方、受信音声再生キーのオン操作時には前記メモリ手段に記憶することを特徴とする携帯電話装置。 ていることを特徴とする携帯電話装置。」 とあるのを、 「自動着呼モードのオン・オフを設定するための自動着呼キーと、 応答音声情報を記憶しており、且つ発信者が発した音声を記憶するメモリ手段と、 前記自動着呼キーのオン設定時にはリンガ音を鳴動させずに着呼を受けるとともに、前記メモリ手段に記憶されている応答音声情報を読み出し且つ受信音声を記憶させる一方、受信音声再生キーのオン操作時には前記メモリ手段に記憶している受信音声を読み出す制御手段とを備え、 前記自動着呼モードがオフ設定のときに、着信をうけたとき、前記自動着呼キーを操作すると、前記リンガ音の鳴動を停止し、前記メモリ手段に記憶されている応答音声情報を読み出し、受信音声を記憶させるとともに前記自動着呼モードをオン設定にする一方、受信音声再生キーのオン操作時には前記メモリ手段に記憶している受信音声を読み出すことを特徴とする携帯電話装置。」 と訂正する。 (3)訂正事項3 特許明細書の段落[0007]における、 「請求項第1項の発明に係る携帯電話装置は、上記の課題を解決するために、自動着呼モードのオン・オフを設定するための自動着呼キーと、応答音声情報を記憶しているメモリ手段と、前記自動着呼キーのオン設定時にはリンガ音を鳴動させずに着呼を受けるとともに、前記メモリ手段に記憶されている応答音声情報を読み出す制御手段とを備えていることを特徴としている。」 とあるのを、 「請求項第1項の発明に係る携帯電話装置は、上記の課題を解決するために、自動着呼モードのオン・オフを設定するための自動着呼キーと、応答音声情報を記憶しているメモリ手段と、前記自動着呼キーのオン設定時にはリンガ音を鳴動させずに着呼を受けるとともに、前記メモリ手段に記憶されている応答音声情報を読み出す制御手段とを備え、前記自動着呼モードがオフ設定のときに、着信をうけたとき、前記自動着呼キーを操作すると、前記リンガ音の鳴動を停止し、前記メモリ手段に記憶されている応答音声を読み出すとともに前記自動着呼モードをオン設定にすることを特徴としている。」 と訂正する。 (4)訂正事項4 特許明細書の段落[0008]における 「請求項第2項の発明に係る携帯電話装置は、自動着呼モードのオン・オフを設定するための自動着呼キーと、応答音声情報を記憶しており、且つ発信者が発した音声を記憶するメモリ手段と、前記自動着呼キーのオン設定時にはリンガ音を鳴動させずに着呼を受けるとともに、前記メモリ手段に記憶されている応答音声情報を読み出し且つ受信音声を記憶させる一方、受信音声再生キーのオン操作時には前記メモリ手段に記憶している受信音声を読み出す制御手段とを備えていることを特徴している。」 とあるのを、 「請求項第2項の発明に係る携帯電話装置は、自動着呼モードのオン・オフを設定するための自動着呼キーと、応答音声情報を記憶しており、且つ発信者が発した音声を記憶するメモリ手段と、前記自動着呼キーのオン設定時にはリンガ音を鳴動させずに着呼をうけるとともに、前記メモリ手段に記憶されている応答音声情報を読み出し且つ受信音声を記憶させる一方、受信音声再生キーのオン操作時には前記メモリ手段に記憶している受信音声を読み出す制御手段とを備え、前記自動着呼モードがオフ設定のときに、着信をうけたとき、前記自動着呼キーを操作すると、前記リンガ音の鳴動を停止し、前記メモリ手段に記憶されている応答音声情報を読み出し、受信音声を記憶させるとともに前記自動着呼モードをオン設定する一方、受信者音声再生キーのオン操作時には前記メモリ手段に記憶している受信音声を読み出すことを特徴としている。」 と訂正する。 第2.当審の判断 (1)訂正の目的の適否、新規事項の有無、及び拡張・変更の存否について 1.訂正事項1について 訂正事項1は、請求項1に係る発明について、訂正前の「メモリ手段に記憶されている応答音声情報を読み出すことを特徴とする」を「メモリ手段に記憶されている応答音声情報を読み出すとともに前記自動着呼モードをオン設定にすることを特徴とする」と訂正するもので、「とともに前記自動着呼モードをオン設定にする」という構成を付加するものであって、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 そして、この訂正は、特許明細書段落[0023]「…なお、通常モードにおいて、着呼があってリンガ音が発せされた後に、…、自動着呼キー16を押せばその後のリンガ音発生を停止して自動でオフフックして応答メッセージを送出させる制御を行うことにより、自動着呼モード設定忘れによる途中からの該モード移行に対処することができる。」の記載に基づくものであり、願書に添付した明細書に記載した事項の範囲内においてしたものである。また、この訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。 2.訂正事項2について 訂正事項2は、請求項2に係る発明について訂正しようとするもので、3つの訂正事項(以下、それぞれを、「訂正事項2-1」,同「2-2」,同「2-3」とする。)からなる。以下に、それぞれの訂正について判断する。 イ)訂正事項2-1 訂正前の「受信音声を記憶させる一方、」を「受信音声を記憶させるとともに前記自動着呼モードをオン設定にする一方、」と訂正するものであり、上記訂正事項1と同様に「とともに前記自動着呼モードをオン設定にする」という構成を付加することにより、特許請求の範囲の減縮をするものである。 また、この訂正は、上記訂正事項1と同様に特許明細書段落[0023]の記載に基づくものであって、願書に添付した明細書に記載した事項の範囲内においてしたものである。また、この訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。 ロ)訂正事項2-2 訂正前の「受信音声再生キーのオン操作時には前記メモリ手段に記憶する」を、「受信音声再生キーのオン操作時には前記メモリ手段に記憶している受信音声を読み出す」と訂正するものである。 請求項2の「制御手段」(注;請求項2の「制御手段」については、訂正前後で変更がない。)における、「受信再生キーのオン操作時には前記メモリ手段に記憶している受信音声を読み出す」という記載、及び、特許明細書の段落[0012]の「…受信音声再生キー22は受信音声を再生させる際に操作されるキーである。…」という記載からして、訂正前の「…メモリ手段に記憶する」は誤記であり、本来、記憶している受信音声を読み出すべきものであることは明らかである。よって、この訂正は、誤記の訂正を目的とするものと認められる。 また、この訂正は、願書に添付した明細書又は図面に記載された事項の範囲内のものであって、かつ、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものでない。 ハ)訂正事項2-3 訂正前の「携帯電話装置。ていることを特徴とする携帯電話装置。」を、「携帯電話装置。」に訂正するものである。この訂正は、単純なタイプミスを正すものであり、誤記の訂正を目的とするものである。 また、この訂正は、願書に添付した明細書又は図面に記載された事項の範囲内のものであって、かつ、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものでない。 3.訂正事項3について 訂正事項3は、訂正された請求項1に係る発明と整合を図るため、発明の詳細な説明における[課題を解決するための手段]を訂正しようとするものであり、明りようでない記載の釈明を目的とするものである。 また、この訂正は、願書に添付した明細書又は図面に記載された事項の範囲内のものであって、かつ、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものでない。 4.訂正事項4について 訂正事項4は、特許明細書の段落[0008]を訂正しようとするもので、2つの訂正事項(以下、それぞれを、「訂正事項4-1」,同「4-2」とする。)からなる。以下に、それぞれの訂正について判断する。 イ)訂正事項4-1 訂正前の「…制御手段とを備えていることを」を、「…制御手段とを備え、前記自動着呼モードがオフ設定のときに、着信をうけたとき、前記自動着呼キーを操作すると、前記リンガ音の鳴動を停止し、前記メモリ手段に記憶されている応答音声情報を読み出し、受信音声を記憶させるとともに前記自動着呼モードをオン設定する一方、受信者音声再生キーのオン操作時には前記メモリ手段に記憶している受信音声を読み出すことを」に訂正するものである。 この訂正は、訂正された請求項2に係る発明と整合を図るため、発明の詳細な説明における[課題を解決するための手段]の記載を訂正しようとするものであり、明りようでない記載の釈明を目的とするものである。 また、この訂正は、願書に添付した明細書又は図面に記載された事項の範囲内のものであって、かつ、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものでない。 ロ)訂正事項4-2 訂正前の「特徴している。」を「特徴としている。」と訂正するものである。この訂正は、脱字を正すものであり、誤記の訂正を目的とするものであることは明らかである。 また、この訂正は、願書に添付した明細書又は図面に記載された事項の範囲内のものであって、かつ、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものでない。 以上のとおりであるから、上記訂正事項1-4は、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第6条第1項の規定により、なお従前の例によるものとされた同法「第1条の規定」による改正前の特許法第126条第1項ただし書第1号乃至第3号及び第2項の規定に適合する。 (2)独立特許要件について 訂正後の特許請求の範囲の請求項1及び請求項2に係る発明が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものか否かについて検討する。 訂正後の特許請求の範囲の請求項1及び請求項2に係る発明は、「自動着呼モードがオフ設定のときに、着信をうけたとき、」「自動着呼キーを操作すると、」、音声による自動応答処理を行い、最終的に「自動着呼モードをオン設定にする」点を含むものである。ここで、審判請求人が請求の理由において提示した公知文献である「特開昭62-10957号公報」には、この点が記載も示唆もされていない。 よって、訂正後の特許請求の範囲の請求項1及び請求項2に係る発明は、当該公知文献に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 また、本件特許に対し、特許異議の申立てもなく、無効の審判も請求されておらず、他に特許出願の際独立して特許を受けることができないとすべき理由は見当たらない。 したがって、訂正後の特許請求の範囲の請求項1及び請求項2に係る発明は、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第6条第1項の規定により、なお従前の例によるものとされた同法「第1条の規定」による改正前の特許法第126条第3項の規定に適合する。 第3.むすび したがって、本件審判の請求は、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第6条第1項の規定により、なお従前の例によるものとされた同法「第1条の規定」による改正前の第126条第1項ただし書第1号乃至第3号に掲げる事項を目的とし、かつ同条第2項及び第3項の規定に適合するものである。 よって、結論の通り審決する。 |
発明の名称 |
(54)【発明の名称】 携帯電話装置 (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 自動着呼モードのオン・オフを設定するための自動着呼キーと、 応答音声情報を記憶しているメモリ手段と、 前記自動着呼キーのオン設定時にはリンガ音を鳴動させずに着呼を受けるとともに、前記メモリ手段に記憶されている応答音声情報を読み出す制御手段とを備え、 前記自動着呼モードがオフ設定のときに、着信をうけたとき、前記自動着呼キーを操作すると、前記リンガ音の鳴動を停止し、前記メモリ手段に記憶されている応答音声情報を読み出すとともに前記自動着呼モードをオン設定にすることを特徴とする携帯電話装置。 【請求項2】 自動着呼モードのオン・オフを設定するための自動着呼キーと、 応答音声情報を記憶しており、且つ発信者が発した音声を記憶するメモリ手段と、 前記自動着呼キーのオン設定時にはリンガ音を鳴動させずに着呼を受けるとともに、前記メモリ手段に記憶されている応答音声情報を読み出し且つ受信音声を記憶させる一方、受信音声再生キーのオン操作時には前記メモリ手段に記憶している受信音声を読み出す制御手段とを備え、 前記自動着呼モードがオフ設定のときに、着信をうけたとき、前記自動着呼キーを操作すると、前記リンガ音の鳴動を停止し、前記メモリ手段に記憶されている応答音声情報を読み出し、受信音声を記憶させるとともに前記自動着呼モードをオン設定にする一方、受信音声再生キーのオン操作時には前記メモリ手段に記憶している受信音声を読み出すことを特徴とする携帯電話装置。 【発明の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】 本発明は、リンガ音による周囲の人達への迷惑を回避できるようにした携帯電話装置に関する。 【0002】 【従来の技術】 携帯電話装置は、一般的に、図3に示す構成を有しており、電話局から電波で発せられた呼出信号は、アンテナ1を通って受信無線部2で復調され、ベースバンドデータとなりデータプロセッサ3でデータ処理され、この処理により、前記呼出信号が自局呼出信号か否かの判断(着呼判断)がなされる。 【0003】 着呼したとの判断がなされると、コントローラ4は、リンガジェネレータ5を作動させてリンガスピーカ6からリンガ音を発生させる。リンガ音の発生により、ユーザは着呼を知り、通信を行うために通話スイッチ7(有線系電話のフックスイッチに相当する)をオンする。通話状態に入ると、ユーザの発した音声は、マイク8で電気信号に変換され、送信オーディオ処理回路9において、そのバンドパスフィルタ、コンプレッサ、およびエンファシスにより、帯域制限や圧縮等の送信音声処理が行われ、その後、送信無線部10で送信キャリアを変調しアンテナ1から送出される。 【0004】 一方、相手先からの音声信号は、アンテナ1で受信され、受信無線部2でオーディオ信号に復調され、受信オーディオ処理回路11において、そのバンドパスフィルタにより帯域制限されると共に、ディエンファシス、エキスパンダにより伸長等の処理が施されて自然な音声信号に戻される。そして、この音声信号が、イヤスピーカ12から発せられて、ユーザの耳に届くことになる。なお、かかる携帯電話装置には、以上の通話処理に必要な回路の他、テンキー14、プッシュホンを発するためのDTMFジェネレータ13、表示部15等が備えられる。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】 ところで、携帯電話装置は、何処へでも持ち運びができて必要なときに通話ができるという利便性に最大の利点があるのであるが、着呼を受けたときのリンガ音や通話時の話声が、場所によっては、周囲の人達に大変に迷惑になる場合がある。例えば、コンサートホール、レストラン、電車内がこの場所にあたる。このため、これらレストラン等の静粛を好む場所では、携帯電話装置の持込みや使用が禁止している所もある。 【0006】 従って、このような場所では、携帯電話装置のユーザは、携帯電話装置の電源スイッチをオフにしなければならず、その間にかかってきた電話に対しては何の応答もできないことになり、携帯電話装置の利便性が損なわれる。また、リンガ音を発することがないように設定できる電話装置が考えられる。しかし、これであると、発呼相手には、リングバックトーンが聞こえてるのにも関わらず、リンガ音が鳴らず、ユーザがその呼び出しに対して応答しないので、そのままの状態となる。それにより、発呼相手は呼び出し続け、相手が出ない理由のわからないままに、そして、電話を掛けた目的も相手へ伝えることなく、発呼を止めざるを得なかった。本発明は、静粛を求められる場所などでは、ユーザ操作により、リンガ音を発することなく着呼を受け、かつ、ユーザが自ら通話することなく応答できる携帯電話装置を提供することを目的とする。 【0007】 【課題を解決するための手段】 請求項第1項の発明に係る携帯電話装置は、上記の課題を解決するために、自動着呼モードのオン・オフを設定するための自動着呼キーと、応答音声情報を記憶しているメモリ手段と、前記自動着呼キーのオン設定時にはリンガ音を鳴動させずに着呼を受けるとともに、前記メモリ手段に記憶されている応答音声情報を読み出す制御手段とを備え、前記自動着呼モードがオフ設定のときに、着信をうけたとき、前記自動着呼キーを操作すると、前記リンガ音の鳴動を停止し、前記メモリ手段に記憶されている応答音声を読み出すとともに前記自動着呼モードをオン設定にすることを特徴としている。 【0008】 請求項第2項の発明に係る携帯電話装置は、自動着呼モードのオン・オフを設定するための自動着呼キーと、応答音声情報を記憶しており、且つ発信者が発した音声を記憶するメモリ手段と、前記自動着呼キーのオン設定時にはリンガ音を鳴動させずに着呼を受けるとともに、前記メモリ手段に記憶されている応答音声情報を読み出し且つ受信音声を記憶させる一方、受信音声再生キーのオン操作時には前記メモリ手段に記憶している受信音声を読み出す制御手段とを備え、前記自動着呼モードがオフ設定のときに、着信をうけたとき、前記自動着呼キーを操作すると、前記リンガ音の鳴動を停止し、前記メモリ手段に記憶されている応答音声情報を読み出し、受信音声を記憶させるとともに前記自動着呼モードをオン設定する一方、受信者音声再生キーのオン操作時には前記メモリ手段に記憶している受信音声を読み出すことを特徴としている。 【0009】 【作用】 上記の構成によれば、ユーザが必要と判断して自動着呼キーをオンしたときには、着呼ありと判断をしてもリンガ音を鳴らさないため、静粛を要求される場所に当該携帯電話装置を持ち込んでも周囲の人に迷惑をかけることがない。そして、着呼ありの判断をしたときには、ユーザにより通話スイッチが押されなくても自動でオフフックして、予め録音してある応答音声(例えば、“今、電話が使えない場所にいますので、後ほどおかけ下さい”といった内容)を再生して発信者に送るため、発信者は被呼側の状況(ユーザ自身が応答できないという状況)を知り、後で電話をかけ直すことになる。 【0010】 さらに、請求項第2項の発明では、上記の応答音声において、例えば、“メッセージが有れば、お話し下さい”といった内容を付加しておくことにより、発信者は、一方的に要件を話して通話を終了することになる。このとき、発信者の話した内容は、メモリ手段に録音されるので、そのメッセージ内容を後で再生して聞くことができる。 【0011】 【実施例】 本発明の一実施例を、図1および図2に基づいて説明すれば、以下の通りである。なお、従来例で示した回路・機器と同一の回路・機器には同一の符号を付記してその説明を省略している。本発明に係る携帯電話装置は、従来例で示したアンテナ1、受信無線部2、データプロセッサ3、コントローラ4、リンガジェネレータ5、リンガスピーカ6、通話スイッチ7、マイク8、送信オーディオ処理回路9、送信無線部10、受信オーディオ処理回路11、イヤスピーカ12、DTMFジェネレータ13、テンキー14、および表示部15に加え、自動着呼キー16、応答音声登録キー17、応答音声メモリ18、A/D変換器19、D/A変換器20、第1スイッチ21、受信音声再生キー22、受信音声メモリ23、A/D変換器24、D/A変換器25、および第2スイッチ26を備えて構成される。 【0012】 前記の自動着呼キー16は自動着呼モードのオン・オフを設定するためのキーであり、応答音声登録キー17は応答音声を登録する際に操作されるキーであり、受信音声再生キー22は受信音声を再生させる際に操作されるキーである。これらキー16・17・22は、携帯電話装置の操作パネル部に配され、コントローラ4に各々接続されている。 【0013】 第1スイッチ21は、マイク8と送信オーディオ処理回路9との間に設けられたものであって、通常モードにおいてマイク8に接続されるものであるが、自動着呼キー16がオンされたときには、D/A変換器20側に接続するようになっている。また、第2スイッチ26は、受信オーディオ処理回路11とイヤスピーカ12との間に設けられたものであり、通常モードにおいて受信オーディオ処理回路11に接続されるものであるが、受信音声再生キー22がオンされたときには、D/A変換器25側に接続するようになっている。 【0014】 応答音声メモリ18は、応答音声を記憶させておくためのメモリであって、A/D変換器19を介してマイク8に接続されると共に、D/A変換器20および第1スイッチ21を介して送信オーディオ処理回路9に接続されている。前記の応答音声登録キー17がオンされているときには、マイク8から入力された音声は、A/D変換器19でデジタル信号化されて音声応答メモリ18に格納されることになる。一方、自動着呼キー16がオンされて第1スイッチ21がD/A変換器20側に接続されているときは、音声応答メモリ18に格納されている音声情報が、D/A変換器20でアナログ信号化されて送信オーディオ処理回路9に入力されることになる。 【0015】 受信音声メモリ23は、受信音声を記録するためのメモリであり、A/D変換器24を介して受信オーディオ処理回路11に接続されると共に、D/A変換器25および第2スイッチ21を介してイヤスピーカ12に接続されている。前記の自動着呼キー16がオンされているときには、受信オーディオ処理回路11を経た音声信号は、A/D変換器24でデジタル信号化されて受信音声メモリ23に格納されることになる。一方、受信音声再生キー22がオンされて第2スイッチ26がD/A変換器25側に接続されているときは、受信音声メモリ23に格納されている音声情報が、D/A変換器25でアナログ信号化されてイヤスピーカ12に入力されることになる。 【0016】 コントローラ4は、携帯電話装置における基本的制御を行う他、自動着呼キー16、応答音声登録キー17、或いは、受信音声再生キー22がユーザにより操作されたとき、そのキーに対応するモードの動作させるための必要な制御を行うようになっている。図2は、コントローラ4の制御内容を示すフローチャートである。まず、いずれのモードに設定されているか否かが判断される(S1)。 【0017】 自動着呼キー16がオンされた場合は自動着呼モード(録音モード)となり、このキー16がオンされても受信音声メモリ23を備えていない場合(その他、特別に設けられた非録音キーがオンされた場合)には自動着呼(非録音モード)となり、応答音声録音キー17がオンされた場合には、応答音声録音モードとなり、受信音声再生キー22がオンされた場合には、受信音声再生モードとなる。いずれのキーもオンされていない場合には、通常モードとなり、通常処理が実行される。 【0018】 応答音声録音モードの場合には、音声応答メモリ18をライトモードにする等の応答音声録音モード設定処理が行われる(S2)。その後、ユーザが、例えば、“はい、○○です、今電話が使えない場所にいますので、10時ごろにおかけ直しいただくか、メッセージをお入れ下さい”といったことをマイク8に向かって話すと、この音声情報がA/D変換器19で処理され(S3)、音声応答メモリ18に格納されることになる。そして、一定時間の後、或いはモードが切り替えられると、終了と判断し(S4)、リターンする。 【0019】 自動着呼モード(録音モード)の場合には、第1スイッチ21をD/A変換器20側に切り替え、又、応答音声メモリ18をリードモードにし、受信音声メモリ23をライトモードにする等の自動着呼モード設定処理が行われる(S5)。次に、リンガ音発生系の作動を行わせないための処理を実行し(S6)、着呼があるか否かの判断を行う(S7)、着呼があれば、自動でオフフックして前記の予め録音してある応答音声を送出し(S8)、その後、発信者が発した音声、即ち、受信音声を録音する処理を実行する(S9)。つぎに、終了したか否か(発呼側が電話を切ったか否か、或いは一定時間が経過したか等)を判断し(S10)、終了したなら回線断処理を実行する(S11)。なお、受信音声を録音した旨を表示部15上に表示させる処理を実行してユーザに知らせるようにしてもよいものである。 【0020】 自動着呼モード(非録音モード)の場合には、前記と同様の自動着呼モード設定処理(S12)、リンガ音発生系の作動を行わせないための処理(S13)、着呼判断処理(S14)、および応答音声送出処理(S15)を行った後、直ちに回線断処理を実行する(S16)。なお、このときの応答音声には、“メッセージをお入れ下さい”の部分は入っていない。 【0021】 受信音声再生モードの場合には、第2スイッチ26をD/A変換器25側に接続し、又、受信音声メモリをリードモードにする等の受信音声再生モード設定処理が行われる(S17)。次に、前記受信音声メモリ23に格納されている音声情報がD/A変換器25で処理され(S18)、イヤスピーカ12より受信音声が発せられ、全ての受信音声の出力を終了すると(S19)、リターンする。 【0022】 上記の構成によれば、自動着呼モードが設定されているときにおいては、着呼ありと判断をしてもリンガ音を鳴らさないため、静粛を要求される場所に当該携帯電話装置を持ち込んでも周囲の人に迷惑をかけることがない。そして、着呼ありの判断をしたときには、ユーザにより通話スイッチ7が押されなくても自動でオフフックして、予め録音してある応答音声を再生して発信者に送るため、発信者は被呼側の状況(ユーザ自身が応答できないという状況)を知り、後で電話をかけ直すことになる。 【0023】 さらに、自動着呼モード(録音モード)では、“メッセージが有れば、お話し下さい”といった応答音声が発せられ、これに応えて発信者が話した内容は、受信音声メモリ23に録音されるので、そのメッセージ内容を後で再生して聞くことができる。なお、通常モードにおいて、着呼があってリンガ音が発せられた後に、静粛が要求される場所であると気付いたときでも、自動着呼キー16を押せばその後のリンガ音発生を停止して自動でオフフックして応答メッセージを送出させる制御を行うことにより、自動着呼モード設定忘れによる途中からの該モード移行に対処することができる。 【0024】 【発明の効果】 以上のように、本発明によれば、静粛を求められる場所などでは、ユーザの自動着呼キーの操作のみで、リンガ音を発することなく着呼を受け、かつ、ユーザが自ら通話することなく応答できるので、携帯電話装置の利便性を損なうことがないという効果と、ユーザの処理が簡単になるという効果を奏する。さらに、発呼者のメッセージも記憶できるので、相手側からの伝えたい伝言が容易にわかるという効果を奏する。 【図面の簡単な説明】 【図1】本発明の一実施例としての携帯電話装置の構成を示すブロック図である。 【図2】コントローラの制御内容を示すフローチャートである。 【図3】従来の携帯電話装置の構成を示すブロック図である。 【符号の説明】 4 コントローラ 16 自動着呼キー 17 応答音声登録キー 18 応答音声メモリ 21 第1スイッチ 22 受信音声再生キー 23 受信音声メモリ 26 第2スイッチ |
訂正の要旨 |
審決(決定)の【理由】欄参照。 |
審決日 | 2008-12-24 |
出願番号 | 特願平3-125719 |
審決分類 |
P
1
41・
851-
Y
(H04M)
P 1 41・ 856- Y (H04M) |
最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 梶尾 誠哉 |
特許庁審判長 |
石井 研一 |
特許庁審判官 |
山本 春樹 柳下 勝幸 |
登録日 | 2002-05-24 |
登録番号 | 特許第3311365号(P3311365) |
発明の名称 | 携帯電話装置 |