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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A24B
管理番号 1191098
審判番号 不服2006-20080  
総通号数 111 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2009-03-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2006-09-08 
確定日 2009-01-16 
事件の表示 特願2002-298253「健康増進に有効なタバコ型喫煙材料」拒絶査定不服審判事件〔平成15年 8月 5日出願公開、特開2003-219853〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯・本願発明
本願は、平成14年10月11日(優先権主張、平成13年11月20日)の出願であって、平成18年8月4日付けで拒絶査定がなされ(発送:同年8月9日)、これに対し、平成18年9月8日に拒絶査定不服審判の請求がなされたものであって、その請求項1に係る発明は、平成17年12月19日付け、及び平成18年10月10日付け手続補正書により補正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される次のとおりのものである(以下「本願発明」という。)。

「乾燥させた植物葉からなるタバコ型喫煙材料であって、前記植物葉が、バナバ葉を乾燥重量で1%以上の割合にて含有することを特徴とする喫煙材料。」

2.引用例
(1)原査定の拒絶の理由で引用した、特開平11-137232号公報(以下「引用例1」という。)には、次の事項が記載されている。

ア 「アロマセラピーは、近年よりポピュラーになってきている。しかしながら、アロマ、即ちフレグランス(芳香)は、種々の目的のために千年以上にわたって使用されてきたものである。例えば、中国の伝統的な薬では、疾病の治療または肉体の状態を増強させるためにハーブを焚くことが知られている。古代より、中国人は、落ち着かせたり抑鬱効果を得るために白檀香を、及び麻酔様効果を発揮させるためにローズマリーを焚いた。
同様に、エッセンシャルオイルは、西洋人により、花、葉、樹皮及び/または草本植物の種から抽出されたものである。そのようなオイルから、場合により加熱して遊離されるフレグランス及び/または分子を吸入することは、心理的ストレス、気分的ストレス、肉体的ストレス及び環境的ストレス(envirostress)を軽減するなどの、治療的効果があると考えられている。さらに、エッセンシャルオイルは、強壮薬、化粧品及び/またはリラックス効果用のマッサージまたはバスオイルとしても使用される。」(段落【0008】、【0009】)

イ 「本発明のもう一つの目的は、喫煙者に所望の効果を発揮するニコチン非含有製品を提供することである。」(段落【0016】)

ウ 「【発明の実施の形態】意外にも、本発明の目的は、煙草関連製品中の煙草植物を、アロマセラピーで慣用されているハーブまたはハーブ混合物と置換することにより達成され得る。
従って、本発明は、アロマセラピーで慣用されるハーブまたはハーブ混合物を含むハーブ製品を提供する。本発明のハーブ製品は、ニコチンを含有しないので、煙草製品代用品としての使用に好適である。」(段落【0018】、【0019】)

エ 「アロマセラピーで慣用される任意のハーブ種が、本発明での使用に好適である。そのようなハーブの例としては、これらに限定されないが、丁字、ハリエニシダ、甘草、ジャスミン、カエデ、銀杏、レタス、ビーツ、ロゴート(loguat)、茶、チョウセンニンジン、カミルレ、シナモン、ペパーミント、セージ、タイム、ローズマリー、ラベンダー、ユーカリの木等が挙げられる。本発明のハーブ製品は、単一のハーブ種または種々のハーブ種の混合物を使用し得る。ハーブ混合物の例としては、以下のものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
・・・(中略)・・・
本発明のハーブ製品は、慣用の方法で製造し得る。通常、全草本植物またはその一部を乱切り及び/またはスライスした後に乾燥し得るか、あるいは乾燥後に乱切り及び/またはスライスし得る。使用に好適な草本部分の例としては、これらに限定されないが、花、果実、茎、葉等が挙げられる。その後、乾燥し、乱切り及び/またはスライスしたハーブを調味し、慣用法によりベーキングする。紙巻き煙草または葉巻が望ましい場合には、乱切り及び/またはスライスしたハーブをチューブ状製品を製造するために可燃性包装用シートにより形成された内腔に包装する。」(段落【0021】、【0022】)

オ 「本発明で使用するハーブはアロマセラピーで慣用されるものであるから、本発明のハーブ製品の燃焼は、所望の効果を表すものとして公知の芳香または分子を直ちに産生する。さらに、ハーブは、本質的に特定の栄養素を提供する。従って、煙草代用品及び禁煙効果に加えて、本発明のハーブ製品は、さらに栄養学的及び心理学的効果をもたらす。
本発明のハーブ製品によりもたらされる知覚的な追加の効果は、使用するハーブまたはハーブ混合物に応じて変動する。以下の効果は、代表的な目的のために提供されるものである。カミルレは、不安解消、抗抑鬱性、鎮痛性、抗アレルギー性、止痒性、及び免疫-増進効果を有するアピゲニン(apigenin)から遊離可能であり;甘草に含まれるグリシルリチンは、肝機能の増進、コレステロールの低下及び動脈硬化症の予防及び、解毒薬、抗潰瘍薬、抗けいれん薬、抗炎症性薬及び虚痰薬として有用であることが知られており;含有メントール成分により、ペパーミントは、鎮痛性、麻酔性、抗炎症性、抗菌性、抗腫瘍性、去痰性、消化性強壮薬、解熱性及び発汗性であることが知られており;丁字中のオイゲノールは、鎮痛性、麻酔性、火傷治療性、抗潰瘍性、殺蠕虫性、抗菌性、抗微生物性、抗ウイルス性、抗結核性、抗喘息性及び気管支炎治療性であることが知られており;タイム由来のチモールは、肺機能を増進し、呼吸系を保護し、気管支炎及びリウマチ予防が可能であり、且つ鎮痛性及び覚醒性であることが知られており;及びジャスミンは、ジャスモン成分を含み、気分を調節し、精神安定性及び鎮痛効果を与え、且つホルモンの平衡を取ることができる。」(段落【0035】、【0036】)

記載アによると、古来より、ローズマリー等のハーブ、すなわち薬草あるいは薬用植物を焚き、揮散する有効成分を疾病の治療または肉体の状態を増強させるために用いてきた旨記載され、また、ハーブ抽出物であるエッセンシャルオイルを同様の目的のために加熱して、遊離される有効成分を利用することが窺える。

記載イ、ウによると、喫煙者に所望の効果を発揮する製品を提供することを目的として、ハーブまたはハーブ混合物からなる喫煙材料を煙草製品代用品として提供することが理解できる。

記載エによると、丁字、ハリエニシダ、甘草、ジャスミン、カエデ、銀杏、レタス、ビーツ、ロゴート(loguat)、茶、チョウセンニンジン、カミルレ、シナモン、ペパーミント、セージ、タイム、ローズマリー、ラベンダー、ユーカリの木等をハーブとして例示するとともに、かかるハーブを切断、乾燥するとともに、紙巻き煙草または葉巻が望ましい場合には、乱切り及び/またはスライスしたハーブをチューブ状製品を製造するために可燃性包装用シートにより形成された内腔に包装することが理解できる。なお、上記「ロゴート(loguat)」は、loquatともいうが、「枇杷」の英語名である。

記載オによると、かかるハーブ製品(煙草代用品)は、燃焼により所望の効果を表すものとして公知の芳香または分子を直ちに産生する旨記載され、所望の効果として、カミルレのアピゲニンによる不安解消、甘草のグリシルリチンによる肝機能の増進、ペパーミントのメントールによる鎮痛、丁字のオイゲノールによる鎮痛等の効果が例示されている。

上記記載事項を総合し、本願発明の記載ぶりに則って整理すると、引用例1には次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されている。

「乾燥させたハーブからなる煙草製品代用品。」

(2)同じく、原査定の拒絶の理由で引用した、特開2001-39880号公報(以下、「引用例2」という)には、次の事項が記載されている。

ア 「バナバ葉の熱水抽出物もしくはアルコール抽出物の濃縮物を有効成分とし、該濃縮物を水性媒体に溶解もしくは分散してなる血糖値上昇抑制のための揮散用水性液状組成物。
・・・(中略)・・・
(1)請求項1記載の水性液状組成物を含む容器および(2)該容器には、該水性液状組成物を吸い上げかつ上端部において加熱により有効成分を揮散させるための多孔質体が設置され、その多孔質体は容器内の底部から容器の上方部に至る長さを有していることを特徴とする、血糖値上昇抑制のための水性液状組成物の揮散器。」(特許請求の範囲【請求項1】?【請求項4】)

イ 「【従来の技術】バナバ葉(Lagerstroemia Speciosa、 Linn.または Pers.)は、フトモモ目ミソハギ科(Loosestrife Family of Myrtales)に属し、通称オオバナサルスベリ(Queen‘s Crape Myrtle)とも称され、フィリピンを始め、インド、マレーシア、中国南部およびオーストラリアなどの東南アジアに広く生育している。殊にフィリピンでは古来乾燥したバナバ葉や花を煎じて飲用されている。この飲用物は、糖尿病の民間治療剤としても広く知られている。」(段落【0002】)

ウ 「前記表から明らかなように第1群に対して第2群は、投与後約6時間において有効水準10%で有意差が認められた。従って本発明の液状組成物は、揮散し経気道投与することにより血糖値上昇抑制効果が認められた。」(段落【0038】)

記載アによると、バナバ抽出物が、糖尿病による血糖値上昇を抑制することと、その有効成分が加熱により揮散することが理解できる。

記載イによると、バナバが従来より糖尿病の民間治療剤として広く知られていた旨理解できる。

記載ウによると、バナバ抽出物の有効成分を揮散し経気道投与することにより、血糖値上昇抑制効果が認められた旨記載されている。

3.対比
そこで、本願発明と引用発明とを対比すると、各文言の意味、機能または作用等からみて、引用発明の「ハーブ」は植物であって葉を含むから、本願発明の「植物葉」に相当し、同様に、「煙草製品代用品」は「タバコ型喫煙材料」及び「喫煙材料」に相当する。

したがって、両者は、本願発明の用語を用いて表現すると、次の点で一致する。

(一致点)
「乾燥させた植物葉からなるタバコ型喫煙材料である喫煙材料。」

そして、両者は、次の点で相違する。
(相違点)
本願発明は、喫煙材料の乾燥させた植物葉が、バナバ葉を乾燥重量で1%以上の割合にて含有するのに対し、引用発明は、その事項に欠ける点。

4.判断
上記相違点について検討する。
バナバが薬用植物として古くから知られていたこと、及びバナバ葉の有効成分が加熱により揮散することは、引用例2の記載より明らかであるから、引用例2の教示に基づいて、有効成分の揮散による所定の薬効を期待して、喫煙材料を構成する乾燥させた植物葉(ハーブ)の少なくとも一部に乾燥バナバ葉を混合することは当業者が容易に想到し得たことである。

また、その適用にあたって、どの程度の割合でバナバ葉を混合すれば効果を期待できるかは、当業者が適宜実験により決定し得た程度の事項であるので、含有量を乾燥重量で1%以上としたことにも格別困難性は見出し得ない。

なお、引用例1に、ハーブとして、従来より糖尿病等の民間薬として知られるとともに、バナバ葉同様、葉にコロソール酸(corosolic acid)を含有することが知られているloguat(枇杷)が例示されていることを参酌すれば、ハーブとして、コロソール酸を含有するバナバ葉を採用することは、当業者にとり、一層容易であったといえる[枇杷(Eriobotrya japonica)の葉がコロソール酸を含有することについては、例えば、Tommashi ND, et al. Planta Medica 1991;57:414-416等参照]。

そして、本願発明による効果も、引用発明及び引用例2に記載されたものから当業者が予測し得た程度のものであって、格別のものとはいえない。

5.むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明及び引用例2記載されたものに基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるので、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。

したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は、拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2008-11-14 
結審通知日 2008-11-19 
審決日 2008-12-02 
出願番号 特願2002-298253(P2002-298253)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (A24B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 杉山 豊博  
特許庁審判長 岡本 昌直
特許庁審判官 渋谷 知子
清水 富夫
発明の名称 健康増進に有効なタバコ型喫煙材料  
代理人 特許業務法人みのり特許事務所  
代理人 武石 靖彦  
代理人 村田 紀子  

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