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審判番号(事件番号) | データベース | 権利 |
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不服200625545 | 審決 | 特許 |
不服20051624 | 審決 | 特許 |
不服200721854 | 審決 | 特許 |
不服200627219 | 審決 | 特許 |
不服200510192 | 審決 | 特許 |
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審決分類 |
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 C07D 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 C07D |
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管理番号 | 1191111 |
審判番号 | 不服2005-3150 |
総通号数 | 111 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2009-03-27 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2005-02-23 |
確定日 | 2009-01-13 |
事件の表示 | 特願2001- 27688「3,6-ジアルキル-5,6-ジヒドロ-4-ヒドロキシ-2H-ピラン-2-イルの合成」拒絶査定不服審判事件〔平成13年 8月14日出願公開、特開2001-220387〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続の経緯 本願は、平成13年2月5日(優先権主張2000年2月4日、米国)の出願であって、平成16年11月25日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、平成17年2月23日に拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに、同日付けで手続補正がなされたものである。 2.平成17年2月23日付けの手続補正についての補正却下の決定 [結論] 平成17年2月23日付けの手続補正を却下する。 [理由] (1)補正後の本願発明 本願の請求項46は、 「a)下記式: 【化34】(化学構造式省略) のβ-シロキシアシルハライド、 b)下記式: 【化35】(化学構造式省略) のδ-シロキシ-β-シリルエノールエーテルエステル、及び c)下記式: 【化36】(化学構造式省略) (上記式中、 R^(1)は、C_(1)-C_(20)アルキルであり;R^(2)は、H又はC_(1)-C_(10)アルキルであり;R^(5) は、C_(1)-C_(6)アルキル、C_(5)-C_(20)アリール又はC_(6)-C_(20)アリールアルキルであり;R^(8)、R^(9)、R^(10)、R^(11)、R^(12) 及びR^(13)のそれぞれは、独立して、C_(1)-C_(6) アルキル又はフェニルであり、そしてXは、ハライドである)のδ-シロキシ-β-ケトエステルからなる群から選択される化合物 (ただし、 エチル5-(トリメチルシロキシ)-3-オキソ-デカノエート メチル(S)-5-(t-ブチルジフェニルシロキシ)-2-メチル-3-オキソ-ヘキサノエート メチル(S)-5-(t-ブチルジフェニルシロキシ)-3-オキソ-ヘキサノエート メチル(S)-5-(t-ブチルジメチルシロキシ)-3-オキソ-ヘキサノエート メチル(S)-5-(t-ブチルジメチルシロキシ)-3-オキソ-ヘプタノエート メチル(S)-5-(t-ブチルジフェニルシロキシ)-3-オキソ-ヘプタノエート メチル(S)-5-(t-ブチルジメチルシロキシ)-3-オキソ-デカノエート メチル(S)-5-(t-ブチルジメチルシロキシ)-7-メチル-3-オキソ-オクタノエート 及び、R^(1) がメチルであり、R^(11)、R^(12)及びR^(13)がそれぞれ独立してC_(1)?C_(6)アルキルである、上記a)のβ-シロキシアシルハライドを除く)。」 と補正された。 上記補正は、請求項46のa)のβ-シロキシアシルハライドにおいて除かれる化合物を、補正前の一般式における置換基R^(1) がメチルであり、R^(11)、R^(12)及びR^(13)がそれぞれ独立してC_(1)?C_(5)アルキルである化合物から、R^(1) がメチルであり、R^(11)、R^(12)及びR^(13)がそれぞれ独立してC_(1)?C_(6)アルキルである化合物に拡大する補正であるので、平成18年改正前特許法第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 そこで、本件補正後の請求項46に記載された発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(平成18年改正前特許法第17条の2第5項において準用する特許法第126条第5項の規定に適合するか)について以下に検討する。 (2)引用例 原査定の拒絶の理由に引用された特開昭63-170357号公報(以下、「引用例」という。)には、次の事項が記載されている。 (a) 次式のキラルなアゼチジノン化合物を製造する方法に於いて、 (一般式III 略) 次のキラルブチリル化合物と、 (一般式I 略) 次のイミンとを (一般式II 略) この反応のための有機溶剤中で、……アゼチジノンIII を得るのに十分な反応時間接触させる工程を含んでなる製造方法[ここにおいてR^(1)、R^(2) およびR^(3)はそれぞれ独立に反応条件で不活性な基で置換することができるC_(1)-C_(5)アルキル基またはアリール基であり、Dはハロゲンかまたは反応条件下で脱離する効果的な有機基であり、……。]。(特許請求の範囲第1項) (b) R^(1)、R^(2)、R^(3) は通常の置換基であり、例えば、本発明方法において障害とならない基により置換されていることができる C_(1)-C_(5) 線状または分枝状アルキルまたはアリール基である。代表的な例には、メチル、エチル、イソ-プロピル、ブチル、セカンダリーブチル、ターシャリーブチル、およびペンチル、アリール基があり、アリール基の場合にはフェニルおよび置換フェニルであることができ、置換フェニルの置換基であり、目的とする反応を障害しない置換基例えばメトキシ、クロル、またはニトロ基らが含まれている。好適なシリル保護基としては、ジメチル-t-ブチルシリル、トリメチルシリル、フェニルジメチルシリル、ベンジルジメチルシリルおよびこれに類する基がある。この中でも好適なシリル保護基は、ジメチル-t-ブチルシリル基である。(5頁右下欄10行?6頁左上欄7行) (c) 3-(R)-(t-ブチルジメチルシリルオキシ)酪酸とオキサリルクロリドとを反応させて、(R)-3-(t-ブチルジメチルシリルオキシ)ブチリルクロリドを得たことが同定値と共に記載されている。(9頁右上欄6行?左下欄9行、実施例1の工程D.) (3)対比・判断 本願補正発明は、a)下記式: 【化34】(化学構造式省略) (以下、「一般式a)」という。) (上記式中、 R^(1)は、C_(1)-C_(20)アルキルであり;R^(11)、R^(12) 及びR^(13)のそれぞれは、独立して、C_(1)-C_(6) アルキル又はフェニルであり、そしてXは、ハライドである)(ただし、 R^(1) がメチルであり、R^(11)、R^(12)及びR^(13)がそれぞれ独立してC_(1)?C_(6)アルキルである、上記a)のβ-シロキシアシルハライドを除く)で表されるβ-シロキシアシルハライド化合物である。 すなわち、本願補正発明は、R^(1)がメチルである場合として、 一般式a) (上記式中、R^(1)がメチル、R^(11)、R^(12) 及びR^(13)のそれぞれは、独立して、C_(1)-C_(6) アルキル又はフェニルであり、かつ、少なくともR^(11)、R^(12) 及びR^(13)の1つはフェニル、Xがハライドである。)で表されるβ-シロキシアシルハライド化合物(以下、「本願補正β-シロキシアシルハライド化合物発明」という。)を含むものである。 そこで、以下、この本願補正β-シロキシアシルハライド化合物発明について検討する。 一方、引用例には、その特許請求の範囲の請求項1のキラルブチリル化合物である(R)-3-(t-ブチルジメチルシリルオキシ)ブチリルクロリドが製造実施例及び同定値とともに記載されており(上記 (c))、引用例には、化学物質の発明である(R)-3-(t-ブチルジメチルシリルオキシ)ブチリルクロリド(以下、「引用発明」という。)が記載されている。 そこで、本願補正β-シロキシアシルハライド化合物発明と引用発明を対比する。 引用発明は、補正後の本願明細書の特許請求の範囲請求項46に記載された一般式a)において、R^(1)がメチル(C_(1)アルキル)であり、R^(11)、R^(12) 及びR^(13)のうち1つが、t-ブチル、2つがメチルであり、そしてXがクロリド(ハライドの一種)に相当する化合物である。 また、引用発明は、(R)体であり、エナンチオマーであるが、本願補正β-シロキシアシルハライド化合物発明では、一般式a)ではエナンチオマーであることは明示して記載されていない。 しかし、本願補正発明において、一般式a)の化学構造から3位が不斉炭素であることは明らかであり、かつ、本願補正明細書の特許請求の範囲の請求項47では、同請求項46を引用して(R)-3-トリメチルシロキシテトラデカノイルクロリドとエナンチオマーとして記載されているから、本願補正β-シロキシアシルハライド化合物発明がエナンチオマーを包含することは明らかである。 そして、本願補正発明において、R^(1) がメチルであり、R^(11)、R^(12)及びR^(13)がそれぞれ独立してC_(1)?C_(6)アルキルである、上記a)のβ-シロキシアシルハライドは除かれているから、本願補正β-シロキシアシルハライド化合物発明において、R^(1) がメチルの場合は、R^(11)、R^(12) 及びR^(13)のそれぞれは、独立して、C_(1)-C_(6) アルキル又はフェニルであり、かつ、少なくともR^(11)、R^(12) 及びR^(13)の1つはフェニルである。 したがって、本願補正β-シロキシアシルハライド化合物発明と引用発明は、 本願補正β-シロキシアシルハライド化合物発明の一般式a)において、R^(1)がメチルであり、そしてXがクロリドである化合物である点で一致し、R^(11)R^(12)R^(13)Si-(以下、「シリル基」ともいう。)が、前者では、R^(11)、R^(12) 及びR^(13)のそれぞれは、独立して、C_(1)-C_(6) アルキル又はフェニルであり、かつ、少なくともR^(11)、R^(12) 及びR^(13)の1つはフェニルであるシリル基であるのに対し、後者では、t-ブチルジメチルシリル(R^(11)、R^(12) 及びR^(13)のうち1つが、t-ブチル、2つがメチルである)である点で相違する。 そこで、上記相違点について検討するに、引用例には、その特許請求の範囲第1項において、一般式Iで示されるキラルブチリル化合物において、シリル基であるR^(1)R^(2)R^(3)Si-について、R^(1)、R^(2)及びR^(3)はそれぞれ独立に反応条件で不活性な基で置換することができるC_(1)-C_(5)アルキル基またはアリール基と定義されており(上記(a))、その発明の詳細な説明には、R^(1)、R^(2)及びR^(3)は通常の置換基であり、引用例の発明方法において障害とならない基により置換されていることができる旨説明されており、代表的な例として、アリール基の場合には、フェニル基および置換フェニル基が例示され、好適なシリル保護基としては、ジメチル-t-ブチルシリル、トリメチルシリル、フェニルジメチルシリル、ベンジルジメチルシリル基が例示されている(上記(b))。 そうすると、引用例記載の発明の実施例である引用発明において、シリル基を、t-ブチルジメチルシリルに代えて、フェニルジメチルシリルとすることは当業者が引用例の記載に基づいて容易に想到し得ることであり、フェニルジメチルシリルは、本願補正β-シロキシアシルハライド化合物発明において、R^(11)、R^(12) 及びR^(13)の1つがフェニル、2つがメチルである場合に相当し、「R^(11)、R^(12) 及びR^(13)のそれぞれは、独立して、C_(1)-C_(6) アルキル又はフェニルであり、かつ、少なくともR^(11)、R^(12) 及びR^(13)の1つはフェニルである」ものであるので、上記相違点をもって本願補正β-シロキシアシルハライド化合物発明が、進歩性を有するものと認めることはできない。 なお、引用例には、「この中でも好適なシリル保護基は、ジメチル-t-ブチルシリル基である。」との記載があるが、好適なシリル保護基として、ジメチル-t-ブチルシリルとともに、フェニルジメチルシリルが挙げられているのであるから、この記載を持って、当業者が、引用発明において、シリル基を、t-ブチルジメチルシリルに代えて、フェニルジメチルシリルとするとの着想を阻害する事項であるとはいえない。 また、上記のとおり、当業者が、引用例の記載に基づいて、本願補正β-シロキシアシルハライド化合物発明の化学物質を容易に発明することができるのであるから、その化学物質が、本願明細書に記載された製造方法の中間体として使用することが当業者にとって容易に想到し得るかどうかに関係なく、本願補正β-シロキシアシルハライド化合物発明は特許を受けることはできない。 そして、本願補正発明は、上記のとおり当業者が引用例に記載された発明に基づいて容易に発明することができた本願補正β-シロキシアシルハライド化合物発明を含むものであるから、本願補正発明も、引用例に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。 (4)むすび 以上のとおり、本件補正は、平成18年改正前特許法第17条の2第5項において準用する特許法第126条第5項の規定に違反するので、特許法第159条第1項において読み替えて準用する特許法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 3.本願発明について 平成17年2月23日付の手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項46に係る発明は、平成16年6月22日付手続補正書の特許請求の範囲の記載のとおりのものである。 「a)下記式: 【化34】(化学構造式省略) のβ-シロキシアシルハライド、 b)下記式: 【化35】(化学構造式省略) のδ-シロキシ-β-シリルエノールエーテルエステル、及び c)下記式: 【化36】(化学構造式省略) (上記式中、 R^(1)は、C_(1)-C_(20)アルキルであり;R^(2)は、H又はC_(1)-C_(10)アルキルであり;R^(5) は、C_(1)-C_(6)アルキル、C_(5)-C_(20)アリール又はC_(6)-C_(20)アリールアルキルであり;R^(8)、R^(9)、R^(10)、R^(11)、R^(12) 及びR^(13)のそれぞれは、独立して、C_(1)-C_(6) アルキル又はフェニルであり、そしてXは、ハライドである)のδ-シロキシ-β-ケトエステルからなる群から選択される化合物 (ただし、 エチル5-(トリメチルシロキシ)-3-オキソ-デカノエート メチル(S)-5-(t-ブチルジフェニルシロキシ)-2-メチル-3-オキソ-ヘキサノエート メチル(S)-5-(t-ブチルジフェニルシロキシ)-3-オキソ-ヘキサノエート メチル(S)-5-(t-ブチルジメチルシロキシ)-3-オキソ-ヘプタノエート メチル(S)-5-(t-ブチルジフェニルシロキシ)-3-オキソ-ヘプタノエート メチル(S)-5-(t-ブチルジメチルシロキシ)-3-オキソ-デカノエート メチル(S)-5-(t-ブチルジメチルシロキシ)-7-メチル-3-オキソ-オクタノエート 及び、R^(1) がメチルであり、R^(11)、R^(12)及びR^(13)がそれぞれ独立してC_(1)?C_(5)アルキルである、上記a)のβ-シロキシアシルハライドを除く)。」 (1)引用例 原査定の拒絶の理由に引用された引用例及びその記載事項は、前記「2.(2)」に記載したとおりである。 (2)対比・判断 本願の請求項46に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、前記2.で検討した本願補正発明を包含するから、前記「2.(3)」に記載した理由で、引用例に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 なお、請求人は、平成17年8月12日付け上申書において、特許請求の範囲の補正案を提示し補正をしたい旨主張しているが、補正の手続には時期的な制限があり、この主張は時機を逸したものであり許されない。 (3)むすび 以上のとおり、本願発明は、引用例に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2008-08-05 |
結審通知日 | 2008-08-12 |
審決日 | 2008-08-26 |
出願番号 | 特願2001-27688(P2001-27688) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(C07D)
P 1 8・ 575- Z (C07D) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 新留 素子、安藤 倫世 |
特許庁審判長 |
塚中 哲雄 |
特許庁審判官 |
穴吹 智子 弘實 謙二 |
発明の名称 | 3,6-ジアルキル-5,6-ジヒドロ-4-ヒドロキシ-2H-ピラン-2-イルの合成 |
復代理人 | 田中 洋子 |
復代理人 | 齋藤 房幸 |
代理人 | 篠田 文雄 |
代理人 | 津国 肇 |