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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F
管理番号 1191163
審判番号 不服2006-8271  
総通号数 111 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2009-03-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2006-04-27 
確定日 2009-01-15 
事件の表示 特願2001-269139「遊技施設情報収集システム」拒絶査定不服審判事件〔平成15年 3月11日出願公開、特開2003-71084〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は平成13年9月5日を出願日とする特許出願であって、平成17年8月8日付けで拒絶理由が通知され、その指定期間内である平成17年10月17日に意見書及び手続補正書が提出され、平成18年3月20日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、同年4月27日に拒絶査定不服審判が請求されたものである。

2.本願発明
本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、平成17年10月17日付けの手続補正書によって補正された明細書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。
なお、「前記携帯端末を電子メールで送信するガイド表示送信手段」と記載されているのは「前記携帯端末に電子メールで送信するガイド表示送信手段」の誤記として認定した(下線部が誤記と認定した箇所)。

「複数の遊技施設の店舗に関する遊技施設情報を蓄積し遊技施設データベースとする遊技施設情報収集システムにおいて、
前記遊技施設情報を収集する携帯端末と、その携帯端末から送信された前記遊技施設情報を記憶する遊技施設情報管理サーバと、その遊技施設情報管理サーバから受信した前記遊技施設情報を記憶するホストコンピュータとから成り、
前記携帯端末は、
前記遊技施設情報管理サーバから前記携帯端末に送信される電子メールによる遊技施設情報入力ガイド表示を受信する端末受信手段と、
前記遊技施設情報管理サーバから受信した前記遊技施設情報入力ガイド表示にしたがって遊技施設情報を入力する端末入力手段と、
入力された遊技施設情報を記憶する端末記憶手段と、
ネットワークに接続されている前記遊技施設情報管理サーバに前記ネットワークを介して接続する端末接続手段と、
前記ネットワークを介して前記遊技施設情報を前記電子メールにより前記遊技施設情報管理サーバへ送信する端末送信手段と
を有し、
前記遊技施設情報管理サーバは、
前記遊技施設情報入力ガイド表示を記憶するガイド表示記憶手段と、
前記携帯端末に関する登録携帯端末情報を記憶する端末情報記憶手段と、
前記ガイド表示記憶手段に記憶されている前記遊技施設情報入力ガイド表示を、前記端末情報記憶手段に記憶されている前記登録携帯端末情報にしたがって、前記携帯端末に電子メールで送信するガイド表示送信手段と、
前記携帯端末から電子メールにより前記遊技施設情報入力ガイド表示に対応した前記遊技施設情報を受信する問い合わせメール受信手段と、
前記携帯端末から受信した前記遊技施設情報を記憶するサーバ記憶手段と、
前記ホストコンピュータに前記ネットワークを介して前記サーバ記憶手段に記憶されている前記遊技施設情報を送信する遊技施設情報送信手段と、
を有し、
前記ホストコンピュータは、
前記ネットワークを介して前記遊技施設情報管理サーバから送信された前記遊技施設情報を受信するホスト受信手段と、
前記ホスト受信手段により前記遊技施設情報管理サーバから受信した前記遊技施設情報を記憶する遊技施設情報記憶手段と、
前記遊技施設情報記憶手段に記憶されている前記遊技施設情報を、受信された最新の遊技施設情報に更新する遊技施設情報更新手段と、
を有する
ことを特徴とする遊技施設情報収集システム。」

3.引用発明
原査定の拒絶の理由に引用された、特開平9-153099号公報(以下「引用文献1」という。)には、図面とともに、
【請求項20】情報を入力するための入力手段と、前記情報を参照するための参照手段と、データベースを構成する複数の項目に入力される定型情報、前記項目に関連する任意情報、および前記任意情報と前記項目とを関連づける情報を記憶するための記憶手段とを有する情報端末と、
前記データベースを構成する情報を管理する少なくとも一つの情報処理装置と、
前記情報端末と前記情報処理装置とを結ぶ通信手段とから構成されることを特徴とする各種業務支援システム。
【0009】また、本発明は、上記事情を考慮してなされたものであり、モバイルワーカーによる出先での業務において発生するような情報を携帯端末装置からサーバ装置に転送して蓄積するシステムにおいて、所望の申し送り情報またはその存在を示すメッセージを所望の相手に伝えることの可能な情報申し送り方法、情報申し送りシステム、情報入力方法及び情報入力装置を提供することを目的とする。
【0041】また、サーバ装置側では、情報を種々のデータベースで管理しているが、患者に固有の情報については、患者の生年月日や住所などのように不変あるいはほとんど変化のない情報(患者情報)と、患者の体温あるいは訪問時に処置した内容などのように訪問の都度あるいは頻繁に変化する情報(訪問記録)とに分けて、データベースを管理している。PDAからサーバ装置にアップロードされるのは、主に訪問記録に関するデータである。
【0056】図2に、本業務支援システムの第2の基本構成例を示す。
【0057】本業務支援システムは、訪問看護婦(図中1)が携帯するPDA2と、訪問看護婦1の自宅などに設置される計算機(第1の情報処理手段)5と、PDA2に入力された情報を集計し処理する訪問看護ステーションなどに設置されるサーバ装置(第2の情報処理手段)3と、サーバ装置3と計算機5を結ぶデータ通信手段4とを備えている。
【0058】訪問看護婦1は患者宅へ訪問した際、携帯したPDA2に各種情報を入力する。訪問看護婦1は、患者宅へ訪問し患者のケアを行うと、その際に患者宅でおよび/またはその後、自宅等の他の場所で、携帯したPDA2に各種情報を入力する。訪問看護婦1は、訪問が終了し帰宅した後、先にPDA2に入力した訪問情報を、所定のデータ転送手段6によりPDA2から計算機5に転送する。
【0059】計算機5に転送された情報は、前述した所定のデータ通信手段4によりサーバ装置3に転送される。
【0060】サーバ装置3では、受け取ったデータをデータベース(図示せず)に追加し、また指示に応じて申し送りファイルを作成し配送する。"
【0061】また、サーバ装置3からPDA2へのダウンロードを行う場合、サーバ装置3から所定のデータ通信手段4を介し必要なデータを一旦計算機5にダウンロードし、計算機5からデータ転送手段6によりPDA2に転送する。
【0063】データ転送手段6としては、フロッピーディスクあるいはICカードを用いる方法、光通信、もしくはRS232C等を用いた有線の通信等の方法のいずれを採用しても構わない。もちろん、任意の複数種類のデータ転送手段を備えても良い。
【0065】また、PDA2とサーバ装置3との間で直接データ通信するための手段と、PDA2から計算機5を介してサーバ装置3にデータを転送する手段とを両方備えても良い。
【0068】サーバ装置3で管理するデータベースは、例えば、サーバ装置3に内蔵されたハードディスク等の記憶装置または外部に接続されたハードディスク等の記憶装置(図示せず)に格納される。
【0117】病状と処置内容などは密接に関連しており、患者によって想定される処置内容などは限られてくる。一方、全項目を表示するとかなりの量になり、表示が細かくなって見にくくなったり、入力する際、選択に時間がかかり入力作業が煩雑になる可能性がある。このため、例えば患者の病状、既往症などに応じて、PDA2上で表示される「処置の内容」の項目を限定することもできる。この場合、・・・処置の内容の全項目はPDA2に持たせないで、患者のデータをPDA2からサーバ装置3または計算機5に吸い上げるときに、関連している項目だけを患者データにリンクしてPDA2に転送する。この方法は、処置の内容以外でも関連している項目同士であれば同様に適応できる。
【0121】図10は、PDA2の初期画面の一例である。
【0122】この初期画面は、利用者(例えば訪問看護婦)のユーザID番号および暗証番号(例えば数字あるいは英数字からなる)の入力画面となる。ここで、ユーザIDと番号暗証番号の対が登録されているものと一致すれば使用が可能となる。なお、本人が所持しているIDカードをカードスロットに挿入することで本人を証明するようにしても。ログインに成功すると、画面左下に表示された「入力/参照」、「送信」、「受信」の3つのボタンが選択可能となる。
【0123】例えば、訪問看護婦は、患者宅を訪問する前に、自宅等からPHS等を利用し通信回線を介して、訪問看護ステーションにあるサーバ装置3の患者データベースから必要なデータをダウンロードする。このとき、図10の初期画面で「受信」ボタンを押すと、まず、それまでの自分のPDA2のデータをサーバ装置3へアップロードし、サーバ装置3のデータとの比較が行われたのち、自分のデータの変更分がアップデートされる。その後、改めて全患者(利用者に参照が許可されている情報のみ)もしくは自分の担当の複数患者のデータをダウンロードする。この作業は自動化されるようにしてもよい。なお、送信、受信の作業前には「送信(受信)してもいいですか?」との確認メッセージを出すようにしてもよい。
【0135】次に、それぞれの項目に「コメント」もしくは「申し送り」をつける場合について説明する。ここでは、「処置の内容」の「じょくそうの処置」についての入力を行う場合を例に挙げて説明する。なお、「申し送り」の宛先指定等については後に詳しく説明する。
【0136】まず、例えば図14に示すような表示画面で「処置の内容」キーをクリックして選択し(白黒反転されるものとする)、処置の内容の項目一覧を表示する。そして、表示された項目のうちから所望の項目のキー選択する。ここでは、「じょくそうの処置」キーを選択すると、身体の模式図が表示され、それぞれの部位ごとに処置の方法をサブ項目から選択して入力することができるようにする。また、処置された位置は黒く塗られるようにする。
【0202】宛先のうち本システムに所属する(PDAを持つ)ユーザに対しては、前述のように患者データを一括してダウンロードして、この中から申し送りデータを参照する形態と、本システムにメールサーバ機能を持たせ、これに対して送信をし、ダウンロード時には患者データをメール(申し送り)といっしょにダウンロードする形態が考えられる。
【0212】この場合、ポケットベルによる連絡で申し送りの存在を知った担当者#jは、前述したような手順でPDAに新しい患者データをダウンロードすることにより(図中の丸数字の4,5)、その中に含まれる申し送りを前述したような手順で閲覧することができる。
【0213】また、この場合、図30のように計算機5を介してダウンロードすることも可能である(図中の丸数字の4?7)。
との記載が認められる。

摘記した上記の記載によれば、引用文献1には、
「患者宅へ訪問した際に発生する訪問情報を蓄積しデータベースとする情報申し送りシステムにおいて、
前記訪問情報を入力するPDA2と、そのPDA2から前記訪問情報が転送される計算機5と、その計算機5から受け取った前記訪問情報をデータベースで管理するサーバ装置3とを備え、
前記PDA2は、
前記計算機5からPDA2に転送された患者の病状などに関連している処置の内容の項目を受信する手段と、
前記計算機5から転送された前記処置の内容の項目に基づいて処置の内容の項目一覧を表示し、表示された項目のうちから所望の項目を選択し、部位ごとに処置の方法をサブ項目から選択して訪問情報を入力する手段と、
入力された前記訪問情報を記憶するための記憶手段と、
前記訪問情報を前記計算機5に転送するデータ転送手段6と、
を有し、
前記計算機5は、
前記処置の内容の項目をダウンロードする手段と、
ダウンロードした前記処置の内容の項目を前記PDA2に転送するデータ転送手段6と、
前記PDA2からデータ転送手段6により転送された前記訪問情報を吸い上げる手段と、
前記サーバ装置3に前記訪問情報を転送する手段と、
を有し、
前記サーバ装置3は、
前記計算機5から転送された前記訪問情報を受け取る手段と、
前記計算機5から受け取った前記訪問情報を格納する記憶装置と、
前記記憶装置に格納されている前記訪問情報に受け取った前記訪問情報を追加する手段と、
を有する
情報申し送りシステム。」
の発明(以下「引用発明」という。)が開示されていると認めることができる。

4.対比
そこで、本願発明と引用発明とを比較すると、引用発明の「PDA2」は本願発明の「携帯端末」に相当し、以下同様に、
「サーバ装置3」は「ホストコンピュータ」に、
「記憶するための記憶手段」は「記憶する端末記憶手段」に、それぞれ相当する。
また、引用文献1全体の記載等からみて、以下のことが言える。

a.引用発明の「患者宅へ訪問した際に発生する訪問情報」及び「計算機5」と本願発明の「複数の遊技施設の店舗に関する遊技施設情報」及び「遊技施設情報管理サーバ」とは、それぞれ「情報」及び「情報管理サーバ」である点で共通している。

b.引用発明の「データベース」及び「情報申し送りシステム」と本願発明の「遊技施設データベース」及び「遊技施設情報収集システム」とは、それぞれ「データベース」及び「情報収集システム」である点で共通しているから、引用発明の「患者宅へ訪問した際に発生する訪問情報を蓄積しデータベースとする情報申し送りシステム」と本願発明の「複数の遊技施設の店舗に関する遊技施設情報を蓄積し遊技施設データベースとする遊技施設情報収集システム」とは、「情報を蓄積しデータベースとする情報収集システム」である点で一致している。

c.引用発明の「入力する」、「転送される」、「受け取った」及び「とを備え」は、それぞれ本願発明の「収集する」、「送信された」、「受信した」及び「とから成り」に相当し、引用発明の「前記訪問情報」及び「計算機5」と本願発明の「前記遊技施設情報」及び「遊技施設情報管理サーバ」とはそれぞれ「前記情報」及び「情報管理サーバ」である点で共通している。
また、引用発明の「計算機5」及び「サーバ装置3」が訪問情報を記憶するものであることは明らかであるから、引用発明の「前記訪問情報を入力するPDA2と、そのPDA2から前記訪問情報が転送される計算機5と、その計算機5から受け取った前記訪問情報をデータベースで管理するサーバ装置3とを備え」と、本願発明の「前記遊技施設情報を収集する携帯端末と、その携帯端末から送信された前記遊技施設情報を記憶する遊技施設情報管理サーバと、その遊技施設情報管理サーバから受信した前記遊技施設情報を記憶するホストコンピュータとから成り」とは、「前記情報を収集する携帯端末と、その携帯端末から送信された前記情報を記憶する情報管理サーバと、その情報管理サーバから受信した前記情報を記憶するホストコンピュータとから成り」という点で一致している。

d.引用発明の「転送された」及び「受信する手段」は、それぞれ本願発明の「送信される」及び「受信する端末受信手段」に相当し、引用発明は「転送された患者の病状などに関連している処置の内容の項目」に基づいてPDA2にその項目一覧を表示した上で訪問情報を入力しているから、引用発明の「患者の病状などに関連している処置の内容の項目」と本願発明の送信される「遊技施設情報入力ガイド表示」とは「入力ガイド用の情報」である点で共通している。
よって、引用発明の「前記計算機5からPDA2に転送された患者の病状などに関連している処置の内容の項目を受信する手段」と、本願発明の「前記遊技施設情報管理サーバから前記携帯端末に送信される電子メールによる遊技施設情報入力ガイド表示を受信する端末受信手段」とは、「前記情報管理サーバから前記携帯端末に送信される入力ガイド用の情報を受信する端末受信手段」である点で一致している。

e.引用発明においても「処置の内容の項目一覧」や「サブ項目」の表示にしたがって情報が入力されていることが明らかであり、該「処置の内容の項目一覧」や「サブ項目」の表示と本願発明の携帯端末において表示される「遊技施設情報入力ガイド表示」とは「入力ガイド用の情報に基づく入力ガイド表示」である点で共通しているから、引用発明の「前記計算機5から転送された前記処置の内容の項目に基づいて処置の内容の項目一覧を表示し、表示された項目のうちから所望の項目を選択し、部位ごとに処置の方法をサブ項目から選択して訪問情報を入力する手段」と本願発明の「前記遊技施設情報管理サーバから受信した前記遊技施設情報入力ガイド表示にしたがって遊技施設情報を入力する端末入力手段」とは「前記情報管理サーバから受信した入力ガイド用の情報に基づく入力ガイド表示にしたがって情報を入力する端末入力手段」である点で一致している。

f.引用発明の「転送する」及びPDA2における「データ転送手段6」は、それぞれ本願発明の「送信する」及び「端末送信手段」に相当するので、引用発明の「前記訪問情報を前記計算機5に転送するデータ転送手段6」と、本願発明の「前記ネットワークを介して前記遊技施設情報を前記電子メールにより前記遊技施設情報管理サーバへ送信する端末送信手段」とは、「前記情報を前記情報管理サーバへ送信する端末送信手段」である点で一致している。

g.引用発明の「処置の内容の項目」と本願発明の記憶される「遊技施設情報入力ガイド表示」とは「入力ガイド用の情報」である点で共通しており、引用発明において「計算機5」が「処置の内容の項目」をダウンロードするためには記憶手段が必要であることが明らかであるから、引用発明の「前記処置の内容の項目をダウンロードする手段」と本願発明の「前記遊技施設情報入力ガイド表示を記憶するガイド表示記憶手段」とは「前記入力ガイド用の情報を記憶する入力ガイド用情報記憶手段」である点で一致している。

h.引用発明の「ダウンロードした前記処置の内容の項目」と本願発明の「前記ガイド表示記憶手段に記憶されている前記遊技施設情報入力ガイド表示」とは、上記gで述べたことを参酌すると「前記入力ガイド用情報記憶手段に記憶されている前記入力ガイド用の情報」である点で共通しているといえる。また、引用発明の「転送する」は本願発明の「送信する」に相当し、引用発明の処置の内容の項目をPDA2に転送する局面における「データ転送手段6」と本願発明の「ガイド表示送信手段」とは「入力ガイド用情報送信手段」である点で共通しているから、引用発明の「ダウンロードした前記処置の内容の項目を前記PDA2に転送するデータ転送手段6」と本願発明の「前記ガイド表示記憶手段に記憶されている前記遊技施設情報入力ガイド表示を、前記端末情報記憶手段に記憶されている前記登録携帯端末情報にしたがって、前記携帯端末に電子メールで送信するガイド表示送信手段」とは「前記入力ガイド用情報記憶手段に記憶されている前記入力ガイド用の情報を、前記携帯端末に送信する入力ガイド用情報送信手段」である点で一致している。

i.引用発明の「訪問情報」は「処置の内容の項目一覧を表示し、表示された項目のうちから所望の項目を選択し、部位ごとに処置の方法をサブ項目から選択して」入力されたものであるから、入力ガイド用の情報に基づく入力ガイド表示に対応したものであるということができる。
また、引用発明の「吸い上げる」は本願発明の「受信する」に相当し、引用発明の訪問情報はデータ転送手段6により転送されたものであって、段落【0063】によればデータ転送手段6として「有線の通信」が例示されているから、引用発明の「吸い上げる手段」には、前記訪問情報を受信する「受信手段」が含まれることが明らかである。
よって、引用発明の「前記PDA2からデータ転送手段6により転送された前記訪問情報を吸い上げる手段」と本願発明の「前記携帯端末から電子メールにより前記遊技施設情報入力ガイド表示に対応した前記遊技施設情報を受信する問い合わせメール受信手段」とは、「前記携帯端末から前記入力ガイド用の情報に基づく入力ガイド表示に対応した前記情報を受信する手段」である点で一致している。

j.引用発明の「計算機5」はPDA2から吸い上げた訪問情報をサーバ装置3に転送しているから、引用発明の「計算機5」が「PDA2から受信した前記訪問情報を記憶する記憶手段」を有していることは明らかであり、該手段と本願発明の「前記携帯端末から受信した前記遊技施設情報を記憶するサーバ記憶手段」とは「前記携帯端末から受信した前記情報を記憶する記憶手段」である点で一致している。

k.引用発明の「前記訪問情報」が上記jで述べた「記憶手段」に記憶されていることは明らかであり、引用発明の「転送する手段」と本願発明の「送信する遊技施設情報送信手段」とは「送信する情報送信手段」である点で共通しているから、引用発明の「前記サーバ装置3に前記訪問情報を転送する手段」と本願発明の「前記ホストコンピュータに前記ネットワークを介して前記サーバ記憶手段に記憶されている前記遊技施設情報を送信する遊技施設情報送信手段」とは、「前記ホストコンピュータに前記記憶手段に記憶されている前記情報を送信する情報送信手段」である点で一致している。

l.引用発明の「送信された」及び「受け取る手段」は、それぞれ本願発明の「転送された」及び「受信するホスト受信手段」に相当するから、引用発明の「前記計算機5から転送された前記訪問情報を受け取る手段」と本願発明の「前記ネットワークを介して前記遊技施設情報管理サーバから送信された前記遊技施設情報を受信するホスト受信手段」とは「前記情報管理サーバから送信された前記情報を受信するホスト受信手段」である点で一致している。

m.引用発明の「格納する」は本願発明の「記憶する」に相当している。
また、引用発明の「前記訪問情報」が「訪問情報を受け取る手段」により受信されたものであることは明らかであるから、引用発明の「前記計算機5から受け取った前記訪問情報」と本願発明の「前記ホスト受信手段により前記遊技施設情報管理サーバから受信した前記遊技施設情報」とは、「前記ホスト受信手段により前記情報管理サーバから受信した前記情報」である点で共通し、引用発明の「記憶装置」と本願発明の「遊技施設情報記憶手段」とは「情報記憶手段」である点で共通しているから、引用発明の「前記計算機5から受け取った前記訪問情報を格納する記憶装置」と本願発明の「前記ホスト受信手段により前記遊技施設情報管理サーバから受信した前記遊技施設情報を記憶する遊技施設情報記憶手段」とは「前記ホスト受信手段により前記情報管理サーバから受信した前記情報を記憶する情報記憶手段」である点で一致している。

n.引用発明において受け取った前記訪問情報を最新のものとみなしていることは明らかであり、「更新する」は「追加する」を含む概念であるから、引用発明の「前記記憶装置に格納されている前記訪問情報に受け取った前記訪問情報を追加する手段」と本願発明の「前記遊技施設情報記憶手段に記憶されている前記遊技施設情報を、受信された最新の遊技施設情報に更新する遊技施設情報更新手段」は「前記情報記憶手段に記憶されている前記情報を、受信された最新の情報に更新する情報更新手段」である点で一致している。

以上を総合すると、両者は、
「情報を蓄積しデータベースとする情報収集システムにおいて、
前記情報を収集する携帯端末と、その携帯端末から送信された前記情報を記憶する情報管理サーバと、その情報管理サーバから受信した前記情報を記憶するホストコンピュータとから成り、
前記携帯端末は、
前記情報管理サーバから前記携帯端末に送信される入力ガイド用の情報を受信する端末受信手段と、
前記情報管理サーバから受信した入力ガイド用の情報に基づく入力ガイド表示にしたがって情報を入力する端末入力手段と、
入力された前記情報を記憶する端末記憶手段と、
前記情報を前記情報管理サーバへ送信する端末送信手段と
を有し、
前記情報管理サーバは、
前記入力ガイド用の情報を記憶する入力ガイド用情報記憶手段と、
前記入力ガイド用情報記憶手段に記憶されている前記入力ガイド用の情報を、前記携帯端末に送信する入力ガイド用情報送信手段と、
前記携帯端末から前記入力ガイド用の情報に基づく入力ガイド表示に対応した前記情報を受信する手段と、
前記携帯端末から受信した前記情報を記憶する記憶手段と、
前記ホストコンピュータに前記記憶手段に記憶されている前記情報を送信する情報送信手段と、
を有し、
前記ホストコンピュータは、
前記情報管理サーバから送信された前記情報を受信するホスト受信手段と、
前記ホスト受信手段により前記情報管理サーバから受信した前記情報を記憶する情報記憶手段と、
前記情報記憶手段に記憶されている前記情報を、受信された最新の情報に更新する情報更新手段と、
を有する
ことを特徴とする情報収集システム。」
の点で一致し、以下の点で相違している。

[相違点1]本願発明は「複数の遊技施設の店舗に関する遊技施設情報」を取り扱っているのに対し、引用発明は「患者宅へ訪問した際に発生する訪問情報」を取り扱っている点。

[相違点2]本願発明は「携帯端末」に「遊技施設情報入力ガイド表示」が送信されるのに対し、引用発明では「PDA2」に「患者の病状などに関連している処置の内容の項目」が転送されており、「携帯端末」に送られる「入力ガイド用の情報」が異なっている点。

[相違点3]本願発明の「遊技施設情報管理サーバ」は「携帯端末」に「電子メール」によって「遊技施設情報入力ガイド表示」を送信しているのに対し、引用発明の「計算機5」は「PDA2」にどのような方法によって「患者の病状などに関連している処置の内容の項目」を転送しているのか明らかでない点。

[相違点4]本願発明は「遊技施設情報入力ガイド表示」が「遊技施設情報管理サーバから受信した」ものであるのに対し、引用発明の「処置の内容の項目一覧」や「サブ項目」の表示は「計算機5から転送された前記処置の内容の項目に基づいて」なされる点。

[相違点5]本願発明は「遊技施設情報管理サーバ」が「ネットワークに接続されている」とともに、「携帯端末」と「遊技施設情報管理サーバ」とを「ネットワークを介して接続する端末接続手段」を有しているのに対し、引用発明の「計算機5」はネットワークに接続されておらず、「PDA2」と「計算機5」とをどのような手段によって接続しているのか明らかでない点。

[相違点6]本願発明の「ガイド表示記憶手段」は「遊技施設情報入力ガイド表示」を記憶するものであるのに対し、引用発明の「計算機5」が有する「ダウンロードする手段」は「処置の内容の項目」を記憶するものであって、記憶する「入力ガイド用の情報」が異なっている点。

[相違点7]本願発明の「遊技施設情報管理サーバ」は「携帯端末に関する登録携帯端末情報を記憶する端末情報記憶手段」を有しているのに対し、引用発明の「計算機5」はそのような手段を有していない点。

[相違点8]本願発明の「遊技施設情報管理サーバ」は「前記端末情報記憶手段に記憶されている前記登録携帯端末情報にしたがって」遊技施設情報入力ガイド表示を携帯端末に電子メールで送信しているのに対し、引用発明の「計算機5」は「登録携帯端末情報」に相当する情報を有しておらず、処置の内容の項目をPDA2にどのようにして転送しているのか明らかでない点。

[相違点9]本願発明の「遊技施設情報管理サーバ」は「遊技施設情報」を「携帯端末から電子メールにより」受信しているのに対し、引用発明の「計算機5」は「訪問情報」を「PDA2」からどのような方法で吸い上げているのか明らかでない点。

[相違点10]本願発明は「遊技施設情報管理サーバ」が「ネットワークを介して」「遊技施設情報」を送信しているのに対し、引用発明では「計算機5」がどのような経路を介して「訪問情報」を転送しているのか明らかでない点。

[相違点11]本願発明は「ホストコンピュータ」が「ネットワークを介して」「遊技施設情報」を受信しているのに対し、引用発明では「サーバ装置3」がどのような経路を介して「訪問情報」を受け取っているのか明らかでない点。

5.判断
そこで、上記各相違点について検討する。
[相違点1について]
他店の情報を入力し通信手段で送って情報収集する点は、例えば、特開平9-297788号公報(特に、段落【0006】及び【0017】)や特開2001-125955号公報(特に、段落【0011】及び【0032】)に記載されているように、従来周知の技術(以下「周知技術1」という。)であり、調査者が訪問して遊技店の情報を収集することも、上記特開平9-297788号公報(特に、段落【0002】?【0004】)、原査定の拒絶の理由に引用された「パチンコ攻略マガジン2000 5.27号、双葉社p42-47」及び「パチンコ必勝ガイド2001 7.7号、白夜書房p62-63」に記載されるように、従来良く行われていること(以下「周知技術2」という。)である。
すなわち、遊技機の分野において調査者が訪問して遊技店の情報を収集するための遊技施設情報収集システムを構築しようという課題は、本願出願前より存在していたということができ、そのようなシステムの構築に当たって様々な情報収集に関する先行技術を検索し参考にすることは、遊技機の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が通常行う事項であるから、訪問診療、看護、介護、リハビリなどの在宅医療を支援するシステムに係る引用発明に改変を加え「患者宅へ訪問した際に発生する訪問情報」に代えて「複数の遊技施設の店舗に関する遊技施設情報」を取り扱うシステムとすることは、当業者が容易に想到し得る事項である。

[相違点2、4及び6について]
上記[相違点1について]の項で述べたように、引用発明において「患者宅へ訪問した際に発生する訪問情報」に代えて「複数の遊技施設の店舗に関する遊技施設情報」を取り扱うことは、当業者が容易に想到し得る事項であるところ、取り扱う情報を代えるに際して入力する時の画面表示(引用文献1の図14)を「複数の遊技施設の店舗に関する遊技施設情報」を入力するに適した表示画面にすることは、当業者であれば当然行うことである。
そして、引用発明で収集する「患者宅へ訪問した際に発生する訪問情報」は、患者の病状などに関連して入力すべき情報の種類が多様であるため、「患者の病状などに関連している処置の内容の項目」を「PDA2」に転送し、転送された「処置の内容の項目」について「PDA2」の画面に一覧表示を行って入力を行うようにしているが(特に、段落【0117】及び【0136】を参照)、「複数の遊技施設の店舗に関する遊技施設情報」の場合は、店舗によって入力すべき情報の種類が大きく変化することはないので、汎用の「情報入力ガイド表示」を作成し表示データとして「計算機5」にダウンロードしておき、「計算機5」から「PDA2」にその「情報入力ガイド表示」を表示データとして転送するようにして、上記相違点2、4及び6に係る構成とすることは、当業者にとって格別困難なことではない。

[相違点3、5及び7?11について]
摘記した引用文献1の段落【0202】には、「本システムにメールサーバ機能を持たせ、これに対して送信をし、ダウンロード時には患者データをメール(申し送り)といっしょにダウンロードする形態が考えられる。」と記載されている。
引用文献1の記載のみでは、メールサーバ機能を持たせた場合のシステム構成の詳細は明らかではないが、従来コンピュータや携帯端末をネットワーク接続し、コンピュータ同士、コンピュータと携帯端末、携帯端末同士をネットワークを介して接続するとともに、電子メールによって様々な情報を送受信することやネットワーク接続するコンピュータや携帯端末に関するアドレス等の情報を登録記憶させておくことが一般に慣用されていたこと(以下「慣用技術」という。)や、原査定の拒絶の理由に引用された特開2001-77844号公報(特に、段落【0010】?【0015】)に記載されているように、遊技台装置とホールサーバコンピュータ装置とをネットワークで接続し、電子メールを利用して各種情報を送受信すること(以下「引用文献2記載の技術」という。)が知られていたことを考慮すると、引用発明の「計算機5」と「PDA2」とをネットワークを介して接続し、「計算機5」と「PDA2」間で「電子メール」によって必要な「処置の内容の項目」や「PDA2」で入力された「訪問情報」を送受信できるようにするとともに、「計算機5」と「PDA2」間における情報送受信の用に供するため「計算機5」に「PDA2」に関する情報を記憶するようにして、上記相違点3、5及び7?9に係る構成とすることは当業者が容易に想到し得る事項である。
また、同様に引用発明において、「計算機5」から「サーバ装置3」にネットワークを介して「PDA2」から吸い上げた「訪問情報」を転送し、「サーバ装置3」はネットワークを介して「計算機5」から転送された「訪問情報」を受け取るようにして、上記相違点10及び11に係る構成とすることも当業者が容易に想到し得る事項である。

さらに、本願発明の作用効果も、引用発明、引用文献2記載の技術、周知技術1、2及び慣用技術から当業者が予測できる範囲のものである。

6.むすび
したがって、本願発明は、引用発明、引用文献2記載の技術、周知技術1、2及び慣用技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるので、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
そして、他の請求項(請求項2乃至6)に係る発明については検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2008-11-12 
結審通知日 2008-11-18 
審決日 2008-12-01 
出願番号 特願2001-269139(P2001-269139)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 瀬津 太朗  
特許庁審判長 小原 博生
特許庁審判官 川島 陵司
有家 秀郎
発明の名称 遊技施設情報収集システム  
代理人 藤谷 修  

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