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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G06K |
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管理番号 | 1191164 |
審判番号 | 不服2006-10291 |
総通号数 | 111 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2009-03-27 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2006-05-18 |
確定日 | 2009-01-15 |
事件の表示 | 特願2001-161039「CFカード」拒絶査定不服審判事件〔平成14年12月 6日出願公開、特開2002-352212〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続きの経緯 本願は、平成13年5月29日の出願であって、平成17年9月20日付けで拒絶理由通知がなされ、同年11月15日付けで手続補正がなされたが、平成18年4月11日付けで拒絶査定がなされ、これに対して、同年5月18日に審判請求がなされたものである。 2.本願発明 本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成17年11月15日付けの手続補正書によって補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された、次のとおりのものである。 「CFカードの規格により定められたタイプ1のCFカードの装着用に形成されたCFカード収容部を有し、該CFカード収容部のカード挿入側の上面をカード露出の開口面と成し、CFカード収容部の前端側の接続用端子ピンの上下両側に間隔を介して配置された上板と底板によって接続用端子ピンが保護されているタイプのPCカード変換アダプタに装着することが可能なCFカードであって、前記PCカード変換アダプタの接続用端子ピンと嵌合するソケット部が形成されている前側部位は、前記PCカード変換アダプタの接続用端子ピンの上下の上板と底板間の間隙に進入する間隙進入部と成し、前記PCカード変換アダプタのCFカード収容部の上部開口面から上面が露出する部位には、底面からの高さが前記間隙進入部よりも高い背高部が形成されており、この背高部の上面は、CFカードをPCカード変換アダプタのCFカード収容部に装着した状態でPCカード変換アダプタの上面と略同一平面と成し、PCカード変換アダプタに装着された状態のCFカードとPCカード変換アダプタとはPCカードとして使用されることを特徴としたCFカード。」 3.引用発明 原査定の拒絶理由に引用された刊行物である特開平11-251019号公報(以下、「引用文献1」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている。 (あ)「【0001】 【発明の属する技術分野】この発明は、パーソナルコンピュータなどの情報機器と、この情報機器に対して機能拡張を行うためのカードとの間を中継して接続するカード接続用アダプタに関する。 【0002】 【従来の技術】近年のノート型パソコン(パーソナルコンピュータ)には、PCカードスロットが備えられるのが通常である。このPCカードスロットにPCカードを装着することによって、ノート型パソコンの機能拡張を図ることができる。PCカードには、フラッシュメモリカード、モデムカード、SCASIカードなどがある。 【0003】PCカードは、PCMCIA(Personal Computer Memory Card InternatinalAssociation)が定める規格に従っており、その外形は、短辺54.0mm、長辺85.6mmの長方形の平面形状を有し、厚さが3.3mm (タイプI)のものと、5.0mm (タイプII)のものとの2種類がある。一方、ディジタルカメラ、電子手帳および携帯電話機などに代表される小型の情報機器においては、小型化に対する厳しい要求から、PCカードをそのまま用いることができず、さらに小型のCF(CompactFlash(商標))カードが用いられる場合がある。CFカードの代表例は、フラッシュメモリであり、ディジタルカメラで撮像された画像のデータや、電子手帳におけるスケジュールやアドレスのデータの記憶のために用いられる。 【0004】CFカードは、CFA(CompactFlash Association)の規格に従っており、平面視において短辺36.4mm、長辺42.5mmの矩形で、厚みが3.3mm の外形のものが従来から一般に用いられてきた。小型の情報機器は充分なデータ処理能力を有しているとは限らないから、ディジタルカメラにより収集された画像データをノート型パソコンに取り込んで編集したり、電子手帳とノート型パソコンとの間でデータのやりとりをしたりする必要性に迫られることはしばしばである。 【0005】ところが、たとえば、小型情報機器のデータをノート型パソコンに取り込むためにCFカードをノート型パソコンに装着しようとしても、PCカードスロットはPCMCIAの規格に従って構成されているので、そのままでは装着することができない。そこで、CFカードをPCカードスロットに接続するためのカード接続用アダプタが従来から提供されている。 【0006】カード接続用アダプタは、PCカードスロットに接続される第1接続部を先端に有し、CFカードに接続される第2接続部を後端に有している。この第2接続部の付近の構成を図14に図解的に示す。カード接続用アダプタ301の上面および下面には、PCカードの場合と同じく、人体からの静電気を逃がすための金属カバー板302,303が設けられている。第2接続部305には、複数の端子306が並列に植設されており、この複数の端子306の上方および下方を覆うことができる位置まで、金属カバー板302,303が延びている。この構成により、端子306を外力による変形から保護している。 【0007】カード接続用アダプタ301は、たとえば、タイプIIのPCカードを模して構成されており、金属カバー板302,303の表面間の距離(すなわち、アダプタ301の厚さ)は、5.0mm とされている。この場合、厚さ3.3mm のCFカード307は、金属カバー板302,303の間に入り込み、端子306との接続を達成することができる。 【0008】こうして、CFカード307とカード接続用アダプタ301とが一体化され、全体として、タイプIIのPCカードの形態をなして、PCカードスロットへの装着が可能となる。 【0009】 【発明が解決しようとする課題】フラッシュメモリを内蔵したCFカードにおいては、その記憶容量の増大に対する要求が大きい。この要求に応えるため、図15に示すように、平面形状は従来のものと同じで、厚みを5.0mm とする新たな規格のCFカード310が提案されている。この提案に係る規格に従うCFカードを以下では、「タイプIIのCFカード」などということにする。 【0010】タイプIIのCFカード310は、厚さが5.0mm であり、カード接続用アダプタ301と同じ厚みである。したがって、タイプIIのCFカードは、金属カバー板302、303の間に入り込むことができないから、カード接続用アダプタ301に装着することができない。カード接続用アダプタ301の厚みを厚くすることは、規格に反するため許されない。そこで、金属カバー板302,303のせり出し部分302a、303aをなくし、端子306をむき出しにすることにより、タイプIIのCFカード310の装着を可能とすることが考えられる。」 (い)「【0025】さらに具体的に説明すれば、カード接続用アダプタ100は、樹脂成型品からなるフレーム5を有し、このフレーム5の一端に第1接続部1が固定されており、フレーム5の中央付近に第2接続部2が固定されていて、これらの接続部1,2の間にプリント配線基板3が固定されている。フレーム5の上面側および下面側には、金属カバー板8,9が配置されている。この金属カバー板8,9は、プリント配線基板3の接地導体パターンと電気的に接続されており、使用者の身体から放出される静電気を放電できるようになっている。 【0026】フレーム5は、第2接続部2の両側から第1接続部1とは反対方向に向かって平行に延びて形成された一対の腕部51,52を有しており、この一対の腕部51,52の間に、CFカード110を受け入れるための装着空間55が形成されている。金属カバー板8,9には、この装着空間55を開放するための切り欠きがそれぞれ形成されており、この切り欠きの大きさは、CFカード110の平面外形とほぼ等しい。」 (う)「【0033】図5は、第2接続部2の構成を説明するための図であり、図5(a) は、側面図、図5(b) は平面図、図5(c) は図5(b) の切断面線V-Vから見た断面図である。第2接続部2は、CFカード110の前端の接続部112(図1参照)に並設された複数の端子と係合する複数の雄端子20と、この複数の雄端子20を並列に保持する樹脂成形品からなる本体部25とを有している。端子20は、本体部25を貫通しており、一方端がCFカード110の接続部112に設けられた端子と係合する接触部をなし、他方端は、プリント配線基板3に半田付けにより接続される実装部をなしている。」 上記(あ)の「【0006】カード接続用アダプタは、PCカードスロットに接続される第1接続部を先端に有し、CFカードに接続される第2接続部を後端に有している。この第2接続部の付近の構成を図14に図解的に示す。カード接続用アダプタ301の上面および下面には、PCカードの場合と同じく、人体からの静電気を逃がすための金属カバー板302,303が設けられている。第2接続部305には、複数の端子306が並列に植設されており、この複数の端子306の上方および下方を覆うことができる位置まで、金属カバー板302,303が延びている。この構成により、端子306を外力による変形から保護している。 【0007】カード接続用アダプタ301は、たとえば、タイプIIのPCカードを模して構成されており、金属カバー板302,303の表面間の距離(すなわち、アダプタ301の厚さ)は、5.0mm とされている。この場合、厚さ3.3mm のCFカード307は、金属カバー板302,303の間に入り込み、端子306との接続を達成することができる。」の記載と、 上記(い)の「【0025】さらに具体的に説明すれば、カード接続用アダプタ100は、樹脂成型品からなるフレーム5を有し、このフレーム5の一端に第1接続部1が固定されており、フレーム5の中央付近に第2接続部2が固定されていて、これらの接続部1,2の間にプリント配線基板3が固定されている。フレーム5の上面側および下面側には、金属カバー板8,9が配置されている。金属カバー板8,9には、この装着空間55を開放するための切り欠きがそれぞれ形成されており、この切り欠きの大きさは、CFカード110の平面外形とほぼ等しい。 【0026】フレーム5は、第2接続部2の両側から第1接続部1とは反対方向に向かって平行に延びて形成された一対の腕部51,52を有しており、この一対の腕部51,52の間に、CFカード110を受け入れるための装着空間55が形成されている。」の記載および図1,図2,図14の記載からすると、 上記(あ)には、従来のカード接続用アダプタが示されている。ここにおいてはカード接続用アダプタの細部は示されていないが、引用文献1に記載された発明の実施の形態を参酌するに、引用文献1に記載された発明はカード接続用アダプタの第2の接続部の端子を保護するシャッタを設けたことを要点とするのであるから、シャッタ以外のカード接続用アダプタとCFカードの接続、および、カード接続用アダプタにCFカードが結合された形態については、従来のものと同様と考えられる。つまり、上記(い)(う)の説明は従来のカード接続用アダプタの構造の細部とみることができる。 したがって、引用文献1には、厚さ3.3mm のCFカードを受け入れるための装着空間を有し、該装着空間を開放するための切り欠きが形成されており、装着空間の前端側の第2の接続部の端子の上下両側に5.0mmの距離を介して配置された金属カバー板によって端子が保護されているカード接続用アダプタが記載されている。 上記(あ)の「【0004】CFカードは、CFA(CompactFlash Association)の規格に従っており、平面視において短辺36.4mm、長辺42.5mmの矩形で、厚みが3.3mm の外形のものが従来から一般に用いられてきた。」の記載と、 上記(う)の「CFカード110の前端の接続部112(図1参照)に並設された複数の端子」の記載および図1の記載からすると、 上記(あ)には、従来のCFカードの細部は示されていないが、上記(あ)のCFカードは規格に従ったCFカードであることから、CFカードの構造については、上記(う)の説明と同様なものとみることができる。 したがって、引用文献1には、厚みが3.3mmのCFカードであり、カード接続用アダプタの端子と嵌合する接続部が形成されている前端を有し、金属カバー板によって端子が保護されているカード接続用アダプタに装着するためのCFカードが記載されている。 上記(あ)の「【0008】こうして、CFカード307とカード接続用アダプタ301とが一体化され、全体として、タイプIIのPCカードの形態をなして、PCカードスロットへの装着が可能となる。」の記載からすると、 CFカードとカード接続用アダプタとは一体化されてPCカードの形態をなしてPCカードスロットへの装着が可能となることが記載されている。 以上より、上記(あ)?(う)の記載および図1,図2,図14を参酌すると、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。 厚さ3.3mmのCFカードを受け入れるための装着空間を有し、該装着空間を開放するための切り欠きが形成されており、装着空間の前端側の第2の接続部の端子の上下両側に5.0mmの距離を介して配置された金属カバー板によって端子が保護されているカード接続用アダプタと、前記カード接続用アダプタの端子と嵌合する接続部が形成されている前端を有し、CFカードとカード接続用アダプタとは一体化されてPCカードの形態をなしてPCカードスロットへの装着が可能となることを特徴とするCFカード。 4.対比 ここで、本願発明と引用発明とを対比する。 引用発明の「装着空間の前端側の第2の接続部の端子」、「第2の接続部の端子の上下両側に5.0mmの距離を介して配置された金属カバー板」、「金属カバー板によって端子が保護されているカード接続用アダプタ」は、それぞれ、 本願発明の「CFカード収容部の前端側の接続用端子ピン」、「接続用端子ピンの上下両側に間隔を介して配置された上板と底板」、「上板と底板によって接続用端子ピンが保護されているタイプのPCカード変換アダプタ」に相当する。 引用発明の「厚さ3.3mmのCFカードを受け入れるための装着空間」における厚さ3.3mmのCFカードは、CFカードの規格により定められたタイプ1のCFカードが厚さ3.3mmのCFカードであることから、CFカードの規格により定められたタイプ1のCFカードに相当する。 そして、装着空間は厚さ3.3mmのCFカードを受け入れるように形成されており、装着空間がCFカードの規格により定められたタイプ1のCFカードを受け入れるように形成されていることは明らかである。 したがって、引用発明の「厚さ3.3mmのCFカードを受け入れるための装着空間」は、 本願発明の「CFカードの規格により定められたタイプ1のCFカードの装着用に形成されたCFカード収容部」に相当する。 引用発明の「カード接続用アダプタの端子と嵌合する接続部が形成されている前端」は、接続部がカード接続用アダプタの第2の接続部の端子と嵌合するものであることから、装着空間の前端側の第2の接続部の端子の上下両側に5.0mmの距離を介して配置された金属カバー板間の間隙に進入するものであることは明らかである。 したがって、引用発明の「カード接続用アダプタの端子と嵌合する接続部が形成されている前端」は、本願発明の「前記PCカード変換アダプタの接続用端子ピンと嵌合するソケット部が形成されている前側部位は、前記PCカード変換アダプタの接続用端子ピンの上下の上板と底板間の間隙に進入する間隙進入部と成し」に相当する。 引用発明は「装着空間を開放するための切り欠きが形成されて」おり、この装着空間の切り欠きは、装着空間のカード受け入れの上面を開口面とするものであるから、 引用発明の「装着空間を開放するための切り欠」は、本願発明の「CFカード収容部のカード挿入側の上面をカード露出の開口面」に相当する。 また、引用発明の「装着空間を開放するための切り欠き」は、装着空間のカード受け入れの上面を開口面とするものであって、装着空間にCFカードを装着した状態で、装着空間の切り欠きからカードの上面が露出する部位をなすものであることは明らかである。 したがって、引用発明と、本願発明の「前記PCカード変換アダプタのCFカード収容部の上部開口面から上面が露出する部位には、底面からの高さが前記間隙進入部よりも高い背高部が形成されており、この背高部の上面は、CFカードをPCカード変換アダプタのCFカード収容部に装着した状態でPCカード変換アダプタの上面と略同一平面と成し、」とは、 CFカードをPCカード変換アダプタのCFカード収容部に装着した状態で、PCカード変換アダプタのCFカード収容部の上部開口面からカードの上面が露出する部位をなす点で共通する。 引用発明は「CFカードとカード接続用アダプタとは一体化されてPCカードの形態をなしてPCカードスロットへの装着が可能となる」ものであるから、 CFカードをカード接続用アダプタの装着空間に装着した状態で、カード接続用アダプタに装着された状態のCFカードとカード接続用アダプタとはPCカードとして使用されるものであることは明らかである。 したがって、引用発明の「CFカードとカード接続用アダプタとは一体化されてPCカードの形態をなしてPCカードスロットへの装着が可能となる」は、 本願発明の「PCカード変換アダプタに装着された状態のCFカードとPCカード変換アダプタとはPCカードとして使用される」に相当する。 よって、本願発明と引用発明とは、以下の点で一致し、また、相違している。 (一致点) CFカードの規格により定められたタイプ1のCFカードの装着用に形成されたCFカード収容部を有し、該CFカード収容部のカード挿入側の上面をカード露出の開口面と成し、CFカード収容部の前端側の接続用端子ピンの上下両側に間隔を介して配置された上板と底板によって接続用端子ピンが保護されているタイプのPCカード変換アダプタに装着するためのCFカードであって、 前記PCカード変換アダプタの接続用端子ピンと嵌合するソケット部が形成されている前側部位は、前記PCカード変換アダプタの接続用端子ピンの上下の上板と底板間の間隙に進入する間隙進入部と成し、CFカードをPCカード変換アダプタのCFカード収容部に装着した状態で、PCカード変換アダプタのCFカード収容部の上部開口面からカードの上面が露出する部位を有し、PCカード変換アダプタに装着された状態のCFカードとPCカード変換アダプタとはPCカードとして使用されることを特徴としたCFカード。 (相違点) CFカードをPCカード変換アダプタのCFカード収容部に装着した状態で、CFカードのPCカード変換アダプタのCFカード収容部の上部開口面からカードの上面が露出する部位が、 本願発明は「底面からの高さが前記間隙進入部よりも高い背高部が形成されており、この背高部の上面は、CFカードをPCカード変換アダプタのCFカード収容部に装着した状態でPCカード変換アダプタの上面と略同一平面と成」す構成であるのに対し、 引用発明は、そのような構成を有していない点。 5.判断 上記相違点について検討する。 原査定の拒絶理由に引用された刊行物である特開平9-16738号公報に 「【0027】PCMCIAにてタイプIIとして規定されたPCカードを図3に示す。このタイプIIのPCカードの縦幅L(長辺)、横幅W(短辺)、接続部の長さC、接続部の厚さHc、基体部の厚さHb1 、Hb2 、側面接続部の幅Sは、次のように規定される。 【0028】 L= 85.6 ± 0.2 mm W= 54.0 ± 0.1 mm C≦ 10 mm Hc=3.3 ± 0.1 mm Hb1 =3.3 ± 0.2 mm Hb2 ≦5.5 mm S≦3.0 mm このタイプIIのPCカードはタイプIと同様にその接続部の端面に接続用のピンソケットが形成されている(入出力端子)。上下に34ずつ、総計68のピンソケットが所定の間隔で配列されている。」の記載および図3の記載からすると、 カードの端面に接続用のピンソケットが配列されている接続部以外の厚さを、接続部の厚さより高く形成することは周知技術である。 また、本願出願日前の平成13年1月12日に頒布された刊行物である特開2001-5939号公報に 「【0037】次に、回路基板11を低段部部位Aに延在させ、該延在部分に電子エレメントを配設する構成について、図4及び図5を用いて説明する。なお、図4及び図5において、説明の都合上、上方に示すカバーは下カバー5であり、下方に示すカバーは上カバー4である。外装体6において、下カバー5の高段部5bと上カバー4の高段部4bとで挟まれる空間部分によって高段部部位Bが形成され、下カバー5の低段部5aと上カバー4の低段部4aとで挟まれる空間部分によって低段部部位Aが形成される。低段部部位Aの長さL(カード挿入方向の長さ)はPCMCIA規格等で寸法が規定され、また、外部接続コネクタ51の外側端部の厚さも規格化されている。 【0038】低段部部位Aの端部には、外部接続コネクタ51が取り付けられる。一方、高段部部位B内には、フレームプレート3及び回路基板11が重ねられた状態で収納される。」の記載および図4,図5に記載されているように、 カードの外部接続コネクタが取り付けられている端部を厚さが薄い低段部部位とし、端部以外を厚さが厚い高段部部位とすることは周知技術である。 そして、本願出願日前の平成9年12月18日に頒布された刊行物である国際公開第97/47479号に 「(実施例5) 第8図に示した第5実施例は、第7図の第4実施例の場合と同様に、フレーム部材8a、8bの成形時に金属板2を一体化している。そして、この実施例の場合、絶縁外装部18が外側に凸の断面凹状に形成してある。絶縁外装部18をこのように凹状に形成することにより、金属に比較して剛性の小さいプラスチックの板厚を厚くして絶縁外装部18の強度(剛性)を高めることができるとともに、絶縁外装部18の内部に部品を実装できる空間を確保することができ、寸法の大きな基板4を使用することができる。」の記載および第8図に記載されているように、 カードの部品を実装する部分の厚さを、カードのコネクタ側の厚さよりも厚く形成することは周知技術である。 したがって、引用発明において、装着空間にCFカードを装着した状態で装着空間の切り欠きからカードの上面が露出するCFカードの接続部以外の厚さを、CFカードの接続部の厚さよりも高く形成することによって、CFカードをカード接続用アダプタの装着空間に装着した状態でカード接続用アダプタの上面と略同一平面と成すようにすることは、当業者が容易に想到し得たことである。 よって、相違点は格別なものではない。 上記で検討したごとく、上記相違点は格別のものではなく、そして、本願発明の構成によってもたらされる効果も、当業者であれば予測可能なものに過ぎず格別なものとは認められない。 6.むすび 以上のとおり、本願発明は、上記引用発明及び上記周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2008-11-13 |
結審通知日 | 2008-11-18 |
審決日 | 2008-12-01 |
出願番号 | 特願2001-161039(P2001-161039) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
WZ
(G06K)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 大塚 良平 |
特許庁審判長 |
吉岡 浩 |
特許庁審判官 |
冨吉 伸弥 石田 信行 |
発明の名称 | CFカード |
代理人 | 五十嵐 清 |