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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H04M 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 H04M |
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管理番号 | 1191487 |
審判番号 | 不服2006-12100 |
総通号数 | 111 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2009-03-27 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2006-06-13 |
確定日 | 2009-01-23 |
事件の表示 | 特願2004-327168「プレゼンスサーバ、セッション制御サーバ、パケット中継システム、サーバ、及びシステム」拒絶査定不服審判事件〔平成17年11月10日出願公開、特開2005-318503〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1.手続の経緯 本願は、平成16年11月11日(国内優先権主張 平成16年3月29日)の出願であって、平成18年5月2日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、同年6月13日に拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに、同日付けで審判請求時の手続補正がなされたものである。 第2.補正却下の決定 [補正却下の決定の結論] 平成18年6月13日付けの手続補正を却下する。 [理由] 1.本願発明と補正後の発明 上記手続補正(以下、「本件補正」という。)は補正前の平成17年12月28日付けの手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された 「複数の端末間の通信接続制御を行う接続制御サーバに接続され、かつ前記複数の端末の状態情報を管理するプレゼンスサーバであって、 回線インターフェースと、 該回線インターフェースで受信したパケットの送信元端末の端末種別情報を前記受信パケット内の情報から抽出する制御部と、 前記抽出された端末種別情報と、前記送信元端末と通信を行っている相手端末と前記送信元端末間でセッションが確立されているか否かを示すセッション状態情報とを対応させて記憶する記憶部とを有し、 前記回線インターフェースは、前記送信元端末の端末種別情報と、該端末種別情報と対応させて記憶されている前記セッション状態情報を、前記相手端末に送信することを特徴とするプレゼンスサーバ。」 という発明(以下、「本願発明」という。)を、 「複数の端末間の通信接続制御を行う接続制御サーバに接続され、かつ前記複数の端末の状態情報を管理するプレゼンスサーバであって、 回線インターフェースと、 該回線インターフェースで受信したパケットの送信元端末の端末種別情報を前記受信パケット内の情報から抽出する制御部と、 前記抽出された端末種別情報と、前記送信元端末と通信を行っている相手端末と前記送信元端末間でセッションが確立されているか否かを示すセッション状態情報とを対応させて記憶する記憶部とを有し、 前記回線インターフェースは、前記送信元端末の端末種別情報と、該端末種別情報と対応させて記憶されている前記セッション状態情報を、前記相手端末に送信し、 前記セッション状態情報は、前記接続制御サーバが、前記端末から受信した該端末の通信相手端末宛てのセッション制御メッセージから抽出し、該プレゼンスサーバに送信したものであることを特徴とするプレゼンスサーバ。」 という発明(以下、「補正後の発明」という。)に変更することを含むものである。 2.新規事項の有無、補正の目的要件について 本件補正は、願書に最初に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内において、補正前の「セッション状態情報」を「前記セッション状態情報は、前記接続制御サーバが、前記端末から受信した該端末の通信相手端末宛てのセッション制御メッセージから抽出し、該プレゼンスサーバに送信したものである」という限定を付加することにより特許請求の範囲を減縮するものである。 したがって、本件補正は、特許法第17条の2第3項(新規事項)及び平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項第2号(補正の目的)の規定に適合している。 3.独立特許要件について 本件補正は特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるから、上記補正後の発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるのかどうかについて以下に検討する。 (1)補正後の発明 上記「1.本願発明と補正後の発明」の項で「補正後の発明」として認定したとおりである。 (2)引用発明及び周知技術 A.原審の拒絶理由に引用された『中村仁美、湯本一磨、清藤聡史、吉内英也、井内秀則、「SIPサーバによる端末プレゼンス情報発行方式」、2003年電子情報通信学会通信ソサイエティ大会、電子情報通信学会、2003年9月10日、B-6-170、p.170』(以下、「引用例」という。)には図面とともに以下の事項が記載されている。 イ.「3.SIPサーバによるプレゼンス情報発行方式 ここでは,端末の基本情報を管理するSIPサーバが,端末プレゼンス情報を代理発行する方式を提案する。図1にシステム全体の構成を示す。 提案方式は,機能配備,プレゼンス情報種別,情報発行契機の点で以下の特徴を持つ。 【機能配備】SIPサーバがPUAの機能を持ち,配下の端末のプレゼンス情報を,プレゼンスサーバへ登録する。 【プレゼンス情報種別】SIPサーバが管理する端末情報として,網への接続状態(オンライン/オフライン)や,通話状態(話中/着信可能)などがある。またこの他にも,SIPサーバがアクセスできる端末情報として,SIPメッセージボディに含まれるセッション情報などがある。SIPサーバは,これらの情報をプレゼンス情報として発行する。 【情報発行契機】プレゼンス情報の発行は,端末状態の変化を契機に行う。端末の接続状態と通話状態に関して,SIPサーバが状態変化を検出するタイミングを以下に記す。 (1)接続状態(オンライン/オフライン)の遷移契機 -REGISTERメッセージによる端末登録時に,「オンライン」状態へ遷移する。 -REGISTERメッセージによる登録削除時や,登録のタイムアウト時に,「オフライン」状態へ遷移する。 (2)通話状態(話中/着信可能)の遷移契機 -INVITEに対する200 OKまたはACKの受信時に,「話中」状態へ遷移する。 -BYEまたはBYEに対する200 OKの受信時に,「着信可能」状態へ遷移する。 本方式のシーケンス例を図2に示す。SIPサーバは,SIPメッセージの送受信を契機に端末の状態変化を検知し,端末プレゼンス情報を,プレゼンスサーバへと通知する。」 上記引用例の記載及び関連する図面ならびにこの分野における技術常識を考慮すると、上記「SIPサーバ」は「SIP(セッション接続プロトコル)に従って複数の端末間の通信接続制御を行う接続制御サーバ」のことであり、上記「プレゼンスサーバ」は、例えば図1のシステムの概要によれば、「前記SIPサーバに接続され」るものであり、かつ「複数の端末のプレゼンス情報(例えば接続状態/通話状態、SIPメッセージボディに含まれるセッション情報)を登録」するものであり、当該プレゼンス情報を登録するためには、当然に「セッション情報を含む複数の端末のプレゼンス情報を記憶する記憶部を有」するものである。また上記「INVITE」や「BYE」又はそれらに対する「200 OK」等はいわゆる「セッション制御メッセージ」であり、前記セッション情報はこれらの「セッション制御メッセージ」からその状態変化及び対象端末のID等を検知する(即ち、抽出する)ものである。また、上記「端末プレゼンス情報を,プレゼンスサーバへと通知する」構成は「セッション情報を含むプレゼンス情報をプレゼンスサーバに送信する」ことである。また上記「セッション情報」は、例えば図2のシーケンス例によれば、「複数の端末間(即ち、送信元端末と通信を行っている相手端末と前記送信元端末間)でセッションが確立されているか否かを示すセッション状態情報」のことである。 したがって、上記引用例には以下の発明(以下、「引用発明」という。)が開示されている。 (引用発明) 「複数の端末間の通信接続制御を行う接続制御サーバに接続され、かつ前記複数の端末のプレゼンス情報を登録するプレゼンスサーバであって、 送信元端末と通信を行っている相手端末と前記送信元端末間でセッションが確立されているか否かを示すセッション状態情報を含むプレゼンス情報を記憶する記憶部を有し、 前記セッション状態情報は、前記接続制御サーバが、前記端末から受信した該端末の通信相手端末宛てのセッション制御メッセージから抽出し、該プレゼンスサーバに送信したものであるプレゼンスサーバ。」 B.例えば特開2003-189009号公報(以下、「周知例1」という。)、特開2002-73512号公報(以下、「周知例2」という。)、特開2004-5092号公報(以下、「周知例3」という。)には図面とともに以下の事項が記載されている。。 (周知例1) イ.「【0033】プレゼンスサーバ30は、送受信部32、装置情報管理部34を備える。送受信部32は、携帯電話機10又はPC20から送信される接続先通知情報、ユーザID及び装置IDを受信する。装置情報管理部34は、受信側利用者毎に、当該受信側利用者に関する情報と、当該受信側利用者が所有する受信側通信装置(ここでは携帯電話機10及びPC20)に関する情報とによって構成されるテーブル(以下「受信側関連情報テーブル」と称する)を管理する。 【0034】図2は、受信側関連情報テーブルの一例を示す図である。同図に示すように、受信側関連情報テーブルは、受信側利用者のユーザID、当該受信側利用者の状況(例えば会議中、就寝中、受信拒否中等)に関する情報(ユーザプレゼンス情報)、当該受信側利用者が所有する携帯電話機10とPC20の装置ID、IPアドレス及び装置機能情報、携帯電話機10とPC20の接続状態(接続中か未接続か)を示す情報(接続状態情報)、通信速度等の携帯電話機10とPC20のネットワーク環境に関する情報(ネットワーク環境情報)によって構成される。」(6頁10欄、段落33?34) (周知例2) イ.「【0015】本発明の状況通知ネットワークシステムを、サーバ装置を含む形で実現するに際しては、サーバ装置の状況通知情報送信手段を、ユーザを指定する指定情報を含む状況通知要求を受信した際に、その指定情報で指定されるユーザに関する状況通知情報を、その状況通知要求の送信元に対して送信する手段としておくとともに、ユーザ端末のそれぞれに、状況情報記憶手段に状況情報が記憶されているユーザのそれぞれについて、そのユーザの指定情報を含む状況通知要求をサーバ装置に対して送信する処理を実行する機能を有し、当該処理を所定周期で繰り返す状況通知要求送信手段を付加しておくことが出来る。 【0016】また、ユーザ端末のそれぞれが備える状況変化通知情報送信手段として、自身を含むユーザ端末が起動された際と停止される際とに、それぞれ、その旨を示す状況変化通知情報を通信媒体上に送信する手段を採用し、ユーザ端末のそれぞれが備える状況情報記憶手段として、ユーザが離席している状況にあるか着席している状況にあるかそのユーザのユーザ端末が起動されていない状況にあるかを示す状況情報を記憶する手段を採用し、ユーザ端末のそれぞれが備える状況情報変更手段は、あるユーザのユーザ端末が起動されたことを示す状況通知情報を受信したときには、そのユーザについて状況情報記憶手段に記憶された状況情報を、当該ユーザが着席している状況にあることを示すものに変更し、あるユーザのユーザ端末が停止していることを示す状況通知情報を受信したときには、その状況通知情報が状況を示しているユーザについて状況情報記憶手段に記憶された状況情報を、ユーザ端末が起動されていない状況にあることを示すものに変更する手段を採用しておいても良い。」(4頁5?6欄、段落15?16) ロ.「【0024】サーバ装置10が備える状況管理データベース12は、図2(a)に模式的に示したように、ユーザIDと状況情報とアドレス情報とを含むレコードを記憶するためのデータベースである。また、端末側状況管理データベース22は、図2(b)に模式的に示したように、ユーザIDと名前と状況情報とを含むレコードを記憶するためのデータベースとなっている。」(5頁7欄、段落24) (周知例3) イ.「【0029】 (i)複数のクライアント端末が設けられ、該クライアント端末毎に備えられたサーバ装置を含むネットワークシステムに接続されたストレージ装置を利用した情報共有方法において、前記クライアント端末がユーザのプレゼンス情報を更新するステップと、前記サーバ装置が前記更新された情報を前記ストレージ装置に転送するステップと、前記ストレージ装置が有する同期制御ユニットは前記更新された情報を受けて、前記システムが備える他の前記ストレージ装置に対し、前記更新情報を通知するステップとを含むことを特徴とする情報共有方法。」(7頁、段落29) ロ.「【0036】 図5および図6は、データ記録部16に記録する情報の管理テーブル500、600である。図5は即時に同期を取る情報の管理テーブルの一例を、図6はフレキシブルな同期の対象となる情報の管理テーブルの一例を示している。ここでは両管理テーブル500及び600を分けて示しているが、統一した情報管理テーブルで管理しても構わない。」(8頁、段落36) ハ.図5、図6には、端末ID及び端末種別に相当するデータを含むテーブルが記載されている。 例えば上記周知例1、2に開示されているように「プレゼンスサーバが送受信機能(即ち、回線インターフェース)と、プレゼンス情報データベース(即ち、端末IDとプレゼンス情報を対応させて記憶する記憶部)とプレゼンス情報を要求した端末に送信する機能」を備えるものであることは周知であり、また上記周知例1の「装置機能情報」はいわゆる「端末種別」であるから、例えば上記周知例1、3に開示されているように「プレゼンス情報として端末種別がある」ことも周知である。 C.例えば特開2003-162476号公報(以下、「周知例4」という。)、特開2002-169741号公報(以下、「周知例5」という。)には図面とともに以下の事項が記載されている。。 (周知例4) イ.「【0048】環境変数抽出手段116は、端末装置410,420,510,520が所定のプロトコル(HTTP)に従ってアクセスしてきたときに、当該プロトコルに従って送られる、端末の種別又はこれに相当する情報(当該種別に変換可能な情報)を含む環境変数(HTTP_USER_AGENT等)を抽出し、不図示の記憶装置に一時的に記憶する処理を行う。但し、本発明が成立するためには、画像情報を含む情報の受け手側(移転先)としての端末装置510,520が少なくとも上述の所定のプロトコルに従っていればよい。」(6頁10欄、段落48) (周知例5) イ.「【0023】(・・・中略・・・)また、ユーザが使用している携帯電話や携帯端末の種別情報を (1)クライアント端末の送信するメッセージに端末の種別を特定する情報が含まれている場合、それを利用する。 (2)接続開始直後にメニュー形式等でユーザに選択させる。 (3)ユーザ認証テーブル12にユーザアカウントに対応させた端末の種別を特定する情報を記録し、ユーザ認証情報から端末の種別を特定する。 のいずれかの方法で取得することにより、接続端末の種別を特定し(ステップS3)、接続状態テーブル11には、どの接続装置にどのユーザがどの種類の携帯電話や携帯端末で接続しているかを記録する。また、図3(b)には、端末の種別を表すID番号に関連づけて、端末の種別と、通信方式と、転送速度と、利用可能記憶容量が記録されている。」(7頁12欄、段落23) 例えば上記周知例4、5に開示されているように「サーバが送受信メッセージ中の端末種別を抽出して利用すること」ことは周知である。 (3)対比・判断 補正後の発明と引用発明を対比すると、補正後の発明の「状態情報を管理する」構成と引用発明の「プレゼンス情報を登録する」構成は「状態情報」が「プレゼンス情報」の一種であり、「登録」が「管理」の一要素であることを考慮すると、両者はいずれも「プレゼンス情報を管理する」構成である点で一致している。 また引用発明のプレゼンスサーバはプレゼンス情報を登録する(即ち、プレゼンス情報を受信する)ものではあるが、補正後の発明でいう「回線インターフェース」を備えているか否かは不明である。 また引用発明は補正後の発明の「該回線インターフェースで受信したパケットの送信元端末の端末種別情報を前記受信パケット内の情報から抽出する制御部」を備えていない。 また補正後の発明の「前記抽出された端末種別情報と、前記送信元端末と通信を行っている相手端末と前記送信元端末間でセッションが確立されているか否かを示すセッション状態情報とを対応させて記憶する記憶部とを有し」という構成と引用発明の「送信元端末と通信を行っている相手端末と前記送信元端末間でセッションが確立されているか否かを示すセッション状態情報を含むプレゼンス情報を記憶する記憶部を有し」という構成はいずれも「送信元端末と通信を行っている相手端末と前記送信元端末間でセッションが確立されているか否かを示すセッション状態情報を含むプレゼンス情報を記憶する記憶部を有し」という構成の点で一致している。 また引用発明は「セッション状態情報を含むプレゼンス情報を記憶する」ものではあるものの、補正後の発明の「前記回線インターフェースは、前記送信元端末の端末種別情報と、該端末種別情報と対応させて記憶されている前記セッション状態情報を、前記相手端末に送信し」という構成は備えていない。 したがって、補正後の発明と引用発明は、以下の点で一致し、また、相違している。 (一致点) 「複数の端末間の通信接続制御を行う接続制御サーバに接続され、かつ前記複数の端末のプレゼンス情報を管理するプレゼンスサーバであって、 送信元端末と通信を行っている相手端末と前記送信元端末間でセッションが確立されているか否かを示すセッション状態情報を含むプレゼンス情報を記憶する記憶部を有し、 前記セッション状態情報は、前記接続制御サーバが、前記端末から受信した該端末の通信相手端末宛てのセッション制御メッセージから抽出し、該プレゼンスサーバに送信したものであるプレゼンスサーバ。」 (相違点1)「プレゼンス情報を管理する」構成に関し、補正後の発明は「状態情報を管理する」構成であるのに対し、引用発明は「プレゼンス情報を登録する」構成である点。 (相違点2)補正後の発明は「回線インターフェース」を備えているのに対し、引用発明が当該構成を備えているか否かは不明である点。 (相違点3)補正後の発明は「該回線インターフェースで受信したパケットの送信元端末の端末種別情報を前記受信パケット内の情報から抽出する制御部」とを備えているのに対し、引用発明は当該構成を備えていない点。 (相違点4)「送信元端末と通信を行っている相手端末と前記送信元端末間でセッションが確立されているか否かを示すセッション状態情報を含むプレゼンス情報を記憶する記憶部を有し」という構成に関し、補正後の発明は「前記抽出された端末種別情報と、前記送信元端末と通信を行っている相手端末と前記送信元端末間でセッションが確立されているか否かを示すセッション状態情報とを対応させて記憶する記憶部とを有し」という構成であるのに対し、引用発明は「送信元端末と通信を行っている相手端末と前記送信元端末間でセッションが確立されているか否かを示すセッション状態情報を含むプレゼンス情報を記憶する記憶部を有し」という構成である点。 (相違点5)補正後の発明は「前記回線インターフェースは、前記送信元端末の端末種別情報と、該端末種別情報と対応させて記憶されている前記セッション状態情報を、前記相手端末に送信し」という構成を備えているのに対し、引用発明は「セッション状態情報を含むプレゼンス情報を記憶する」ものではあるものの、前記補正後の発明にかかる構成は備えていない点。 そこで、まず、上記相違点1の「プレゼンス情報を管理する」構成について検討するに、例えば引用例及び上記周知例1?3に開示されているように「プレゼンス情報」の代表例は「端末の状態情報」であり、プレゼンスサーバは前記「端末の状態情報」を登録/配信(即ち、管理)するのであるから、これらの知見に基づいて引用発明の「プレゼンス情報を登録する」構成を補正後の発明のような「状態情報を管理する」構成とする程度のことは当業者であれば適宜なし得ることである。 ついで、上記相違点2の『補正後の発明は「回線インターフェース」を備えているのに対し、引用発明が当該構成を備えているか否かは不明である点』について検討するに、例えば上記周知例1、2に開示されているように「プレゼンスサーバが送受信機能(即ち、回線インターフェース)」を備えるものであることは周知であり、当該周知技術を引用発明に適用する上での阻害要因は何も見あたらないから、当該周知技術に基づいて、引用発明のプレゼンスサーバが「送受信機能(即ち、回線インターフェース)」を備えるように構成する程度のことも当業者であれば適宜なし得ることである。 ついで、上記相違点3の『補正後の発明は「該回線インターフェースで受信したパケットの送信元端末の端末種別情報を前記受信パケット内の情報から抽出する制御部」とを備えているのに対し、引用発明は当該構成を備えていない点』及び上記相違点4の「送信元端末と通信を行っている相手端末と前記送信元端末間でセッションが確立されているか否かを示すセッション状態情報を含むプレゼンス情報を記憶する記憶部を有し」という構成についてまとめて検討するに、例えば上記周知例1、3に開示されているように「プレゼンス情報として端末種別がある」ことは周知であり、当該周知技術を引用発明に適用する上での阻害要因もまた何ら見あたらないから、当該周知技術に基づいて、引用発明の「セッション状態情報を含むプレゼンス情報」を「端末種別」と「セッション状態情報」の二つの情報で構成すること自体は当業者であれば適宜なし得ることである。そして、引用発明は「SIPサーバ(即ち、接続制御サーバ)が端末プレゼンス情報を代理発行する方式」なのであるから、「セッション状態情報を含むプレゼンス情報」に「端末種別」を含める場合、当該「端末種別」は「SIPサーバ(即ち、接続制御サーバ)により抽出され、プレゼンスサーバに通知される」ものとなり、これら二つのプレゼンス情報を記憶する「記憶部」は「端末に対応させて当該端末の端末種別及びセッション状態情報を記憶する」ものとなることは自明のことである。また、例えば上記周知例4、5に開示されているように「サーバが送受信メッセージ中の端末種別を抽出して利用すること」は周知であり、情報の送受信にパケットを用いること、パケットには送受信を可能ならしめるための例えば送信先や送信元に関する情報が含まれること等も周知であるから、これらの周知技術に基づいて、前記「端末種別」を抽出するに際し、前記端末情報として「回線インターフェースで受信したパケットの送信元端末の端末種別情報」を採用することやそのための「制御部」を設ける程度のことは単なる設計的事項に過ぎないものである。したがって、引用発明に「該回線インターフェースで受信したパケットの送信元端末の端末種別情報を前記受信パケット内の情報から抽出する制御部」を追加して設けるように構成する(相違点3)程度のことも、当業者であれば適宜なし得ることである。 また、記憶部の構成に関し、例えば上記周知例1、2に開示されているようにプレゼンスサーバが「プレゼンス情報データベース(即ち、端末IDとプレゼンス情報を対応させて記憶する記憶部)」を備えていることは周知であり、プレゼンス情報に「端末種別」を含めることが適宜なし得ることであることは上記したとおりであるから、これらの周知技術に基づいて、引用発明の「送信元端末と通信を行っている相手端末と前記送信元端末間でセッションが確立されているか否かを示すセッション状態情報を含むプレゼンス情報を記憶する記憶部を有し」という構成を、二つのプレゼンス情報に合わせて、補正後の発明のような「前記抽出された端末種別情報と、前記送信元端末と通信を行っている相手端末と前記送信元端末間でセッションが確立されているか否かを示すセッション状態情報とを対応させて記憶する記憶部とを有し」という構成とする(相違点4)程度のことも当業者であれば適宜なし得ることである。 ついで、上記相違点5の『補正後の発明は「前記回線インターフェースは、前記送信元端末の端末種別情報と、該端末種別情報と対応させて記憶されている前記セッション状態情報を、前記相手端末に送信し」という構成を備えているのに対し、引用発明は「セッション状態情報を含むプレゼンス情報を記憶する」ものではあるものの、前記補正後の発明にかかる構成は備えていない点』について検討するに、例えば上記したように「プレゼンスサーバが送受信機能(即ち、回線インターフェース)と、プレゼンス情報データベース(即ち、端末IDとプレゼンス情報を対応させて記憶する記憶部)とプレゼンス情報を要求した端末に送信する機能」を備えることは周知であり、プレゼンス情報に「端末種別」を含めることが適宜なし得ることであることは上記相違点3、4で検討したとおりであるから、これらの周知技術に基づいて、引用発明の記憶されたプレゼンス情報を回線インターフェイスを介して情報要求端末に送信する手段を追加することにより、補正後の発明のような「前記回線インターフェースは、前記送信元端末の端末種別情報と、該端末種別情報と対応させて記憶されている前記セッション状態情報を、前記相手端末に送信し」という構成を得る程度のことも当業者であれば適宜なし得ることである。 以上のとおりであるから、補正後の発明は、引用発明及び周知技術に基づいて容易に発明できたものであり、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。 4.結語 以上のとおり、本件補正は、補正後の発明が特許出願の際独立して特許を受けることができないものであるから、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する特許法第126条第5項の規定に適合していない。 したがって、本件補正は、特許法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 第3.本願発明について 1.本願発明 本件補正(審判請求時の手続補正)は上記のとおり却下されたので、本願発明は、上記「第2.補正却下の決定」の「1.本願発明と補正後の発明」の項で「本願発明」として認定したとおりである。 2.引用発明 引用発明は、上記「第2.補正却下の決定」の項中の「3.独立特許要件について」の項中の「(2)引用発明及び周知技術」の項で認定したとおりである。 3.対比・判断 そこで、本願発明と引用発明とを対比するに、本願発明は上記補正後の発明から当該補正に係る限定を省いたものである。 そうすると、本願発明の構成に当該補正に係る限定を付加した補正後の発明が、上記「第2.補正却下の決定」の項中の「3.独立特許要件について」の項で検討したとおり、引用発明及び周知技術に基づいて容易に発明できたものであるから、上記補正後の発明から当該補正に係る限定を省いた本願発明も、同様の理由により、容易に発明できたものである。 4.むすび 以上のとおり、本願発明は、上記引用発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものと認められるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2008-11-18 |
結審通知日 | 2008-11-25 |
審決日 | 2008-12-08 |
出願番号 | 特願2004-327168(P2004-327168) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(H04M)
P 1 8・ 575- Z (H04M) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 稲葉 和生 |
特許庁審判長 |
竹井 文雄 |
特許庁審判官 |
山本 春樹 松元 伸次 |
発明の名称 | プレゼンスサーバ、セッション制御サーバ、パケット中継システム、サーバ、及びシステム |
代理人 | 井上 学 |