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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H05K
管理番号 1191540
審判番号 不服2006-5365  
総通号数 111 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2009-03-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2006-03-23 
確定日 2009-01-19 
事件の表示 特願2000- 42969「実装基板、バッドマーク検出装置及びバッドマーク検出方法」拒絶査定不服審判事件〔平成13年 8月31日出願公開、特開2001-237506〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯・本願発明
本願は、平成12年2月21日の出願であって、その請求項1、2に係る発明は、平成18年1月30日付け手続補正書により補正された明細書の特許請求の範囲の請求項1、2に記載された事項により特定されるものと認められるところ、そのうち、請求項1に係る発明(以下、「本願発明1」という。)は、次のとおりのものである。

「【請求項1】 電子部品が実装される複数枚の割基板の集合体である多面取り基板に付されたバッドマークを検出するバッドマーク検出装置において、
前記多面取り基板を構成する複数の割基板群を任意のブロックに組分けするブロック設定データを記憶する記憶装置と、
前記記憶装置に記憶されたブロック設定データに対応する各ブロック毎に付された第1のバッドマークを検出する第1の検出手段と、
前記第1の検出手段によりバッドマークが検出された所望ブロック内の全ての割基板に対し、各割基板毎に付された第2のバッドマークを検出する第2の検出手段とから成ることを特徴とするバッドマーク検出装置。」

2.当審の拒絶理由の概要
当審において通知した平成20年7月2日付け拒絶理由は、要するところ、平成18年1月30日付け手続補正書により補正された明細書の特許請求の範囲の請求項1、2に記載された発明は、本願出願前に日本国内において頒布された刊行物である引用文献1、2に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものと認められるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、というものである。

3.引用文献とその記載事項
上記拒絶理由に引用された、本願の出願前に頒布された刊行物である特開平4-123492号公報(以下、「引用文献1」という。)、実願平4-10130号(実開平5-72197号)のCD-ROM(以下、「引用文献2」という。)には、図面とともに次の事項が記載されている。

(1)引用文献1:特開平4-123492号公報
(1a)
「多枚取りプリント基板をグループ分けし、各グループを代表するプリント基板上にそのグループ内の不良プリント基板の存在の有無を表示するマークをつけるとともに、不良プリント基板には不良品マークをつけ、その不良品マークを読み取り、不良プリント基板には部品実装を行わない多枚取りプリント基板の部品実装方法。」(特許請求の範囲)
(1b)
「(第1の実施例)
第1図は10枚取りプリント基板である。・・・上部の5枚をAグループ、下部の5枚をBグループとグループ分けをする。各グループの左端のプリント基板の右上隅には、そのグループ内に不良品プリント基板がある場合は、不良ありマーク7がつけられる。・・・図ではプリント基板A4が不良であるのでA4の左上隅に不良品マーク6がつけられると同時にA1の右上隅にAグループに不良があるのを表示する不良ありマーク7がつけられている。Bグループは不良がないので、不良ありマーク7も不良品マーク6もついていない。」(第2頁右上欄3?15行)
(1c)
「検査装置5はまずAグループに不良品が含まれているかどうかA1基板の右上隅を見る。不良ありマーク7があると、Aグループのうちどのプリント基板が不良かを見るためにAグループ全プリント基板の不良品マークを調べ、A4プリント基板が不良品であるのを発見する。次にBグループについて同じ検査をするが、B1プリント基板に不良ありマークがないのでBグループの検査は終了し、以上の検査情報が実装機の制御装置へ送られ、A4プリント基板以外のプリント基板が実装される。・・・本実施例では不良ありマークのないBグループは不良品マークを検査しないので、それだけ作業時間が短縮される。」(2頁右上欄16行?左下欄11行)
(1d)
「上記の実施例では10枚取りプリント基板を5枚ずつの2グループに分けたが、・・・作業場の実態にあわせて、不良プリント基板の発生頻度とのかね合いで最適のグループ分けを行う・・・。」(第2頁右下欄7?13行)
(1e)
「発明の効果
・・・本発明では、多数取りプリント基板をグループに分け、グループ内の不良の有無を表示するマークをつけることによって各プリント基板の不良品マークを検査する工程を減らし、またはなくし、実装作業時間を短縮している。」(第2頁右下欄15?20行)
(1f)
第1図には、多枚取りプリント基板が、複数のプリント基板の集合体であることが示されている。
(1g)
第3図には、第1の実施例のフローチャートとして、グループA良品か否かを判断するステップ及びグループB良品か否かを判断するステップを設けることが示されている。

(2)引用文献2:実願平4-10130号(実開平5-72197号)のCD-ROM
(2a)
「【0023】 (69)は記憶装置としてのRAMで、基板(2)上のバットマーク(7)の位置に関するデータ・・・等のNCデータを記憶する。」
(2b)
「【0028】 先ず、ステップ1(M001)のコントロールコマンド(C)にバットマーク検出指令「B」が出されており、バットマーク位置である基板(2)上の座標位置(X1,Y1)が入力されている。」


4.当審の判断
(1)引用文献1に記載された発明
引用文献1の摘示(1a)には、多枚取りプリント基板をグループ分けし、各グループを代表するプリント基板上にそのグループ内の不良プリント基板の存在の有無を表示するマークをつけるとともに、不良プリント基板には不良品マークをつけることが記載されている。
摘示(1b)には、多枚取りプリント基板の各グループの左端には、そのグループ内に不良品プリント基板がある場合に、不良ありマークをつけることが記載されているから、不良ありマークは、上記「グループ内の不良プリント基板の存在の有無を表示するマーク」であることが理解できる。
摘示(1f)によれば、多枚取りプリント基板は、複数のプリント基板の集合体であることができるし、摘示(1a)の「不良プリント基板には部品実装を行わない」、摘示(1c)の「A4プリント基板以外のプリント基板が実装される。」という記載に照らして、上記プリント基板は部品実装されるものであることも理解できる。
摘示(1c)には、検査装置は、不良ありマークがあると、当該グループのうちどのプリント基板が不良かを見るために、当該グループ全プリント基板の不良品マークを調べ、不良品を発見することが記載されている。
摘示(1c)、(1g)によれば、検査装置は各グループにつけられる不良ありマークを見ることによって、各グループ良品か否かを判断するのであるから、検査装置に対して、不良ありマークを見るための情報、すなわち、グループに関する情報を用いるものといえる。
摘示(1d)によれば、プリント基板のグループ分けは、作業場の実態にあわせて、不良プリント基板の発生頻度とのかね合いで任意にグループ分けを行うことが理解できる。

これらを考慮して、摘示(1a)?(1d)、(1f)、(1g)の記載を総合すると、引用文献1には、次の「装置」の発明(以下、「引用文献1発明」という。)が記載されていると認められる。
「部品実装される複数のプリント基板の集合体である多枚取りプリント基板をグループ分けし、各グループを代表するプリント基板上に不良ありマークをつけるとともに、不良プリント基板には不良品マークをつけ、任意に分けられたグループに関する情報を用い、不良ありマークがあると、当該グループのうちどのプリント基板が不良かを見るために、当該グループ全プリント基板の不良品マークを調べ、不良品を発見する検査装置を有する、装置。」

(2)本願発明1と引用文献1発明との対比
本願発明1と引用文献1発明を対比すると、引用文献1発明における「部品」は、本願発明1における「電子部品」に相当し、以下同様に、「プリント基板」は「割基板」に、「多枚取りプリント基板」は「多面取り基板」に、「グループ」は「ブロック」に、「グループに関する情報」は「多面取り基板を構成する複数の割基板群をブロックに組分けするデータ」に、「装置」は「バッドマーク検出装置」に、それぞれ相当する。
引用文献1発明における「不良ありマーク」は、各グループを代表するプリント基板上につけられるものであるから、本願発明1における「各ブロック毎に付された第1のバッドマーク」に相当し、同様に、「不良品マーク」はプリント基板につけられるものであるから、本願発明1における「第2のバッドマーク」に相当する。
また、引用文献1発明における「検査装置」は、「不良ありマーク」及び「不良品マーク」を見るものであるから、本願発明1における「第1の検出手段」乃至「第2の検出手段」に相当する。

そうすると、両者は、
「電子部品が実装される複数枚の割基板の集合体である多面取り基板に付されたバッドマークを検出するバッドマーク検出装置において、
多面取り基板を構成する複数の割基板群を任意のブロックに組分けするデータと、
各ブロック毎に付された第1のバッドマークを検出する第1の検出手段と、
前記第1の検出手段によりバッドマークが検出された所望ブロック内の全ての割基板に対し、各割基板毎に付された第2のバッドマークを検出する第2の検出手段とから成る、バッドマーク検出装置。」
で一致するが、次の点で相違する。

相違点:本願発明1における「多面取り基板を構成する複数の割基板群をブロックに組分けするデータ」は、「各ブロックに対応したブロック設定データ」であって「記憶装置」に記憶されるのに対して、引用文献1発明は、この点が記載されていない点。

(3)相違点についての検討
引用文献2の摘示(2a)、(2b)には、電子部品が実装される基板に付されるバッドマークの位置に関するデータを、NCデータとして記憶装置に記憶することが記載されている。
一方、引用文献1発明も、摘示(1a)に「検査情報が実装機の制御装置に送られ」と記載されているように、検査装置も含めて制御装置による自動制御がなされていると解されるから、「多面取り基板を構成する複数の割基板群をブロックに組分けするデータ」として、引用文献2に記載されているように、バッドマークの位置を含むNCデータのような「設定データ」として記憶装置に記憶させておくことに、格別の困難性は認められない。
また、引用文献1発明における不良ありマークは、各グループと1対1に対応するものであるから、かかる不良ありマークの位置を含むデータが「各ブロックに対応する」ものであることも明らかである。

そして、本願発明1の奏する効果も、引用文献1の摘示(1d)に記載されているように、引用文献1の記載から予測し得る程度のものであって、格別に顕著なものとは認められない。

したがって、本願発明1は、引用文献1、2に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

5.むすび
以上のとおり、本願発明1は、引用文献1、2に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができた発明であるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2008-11-20 
結審通知日 2008-11-25 
審決日 2008-12-08 
出願番号 特願2000-42969(P2000-42969)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (H05K)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 鳥居 稔  
特許庁審判長 綿谷 晶廣
特許庁審判官 國方 康伸
川真田 秀男
発明の名称 実装基板、バッドマーク検出装置及びバッドマーク検出方法  
代理人 相澤 清隆  

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