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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 B65D 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 B65D |
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管理番号 | 1191895 |
審判番号 | 不服2007-17573 |
総通号数 | 111 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2009-03-27 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2007-06-22 |
確定日 | 2009-02-04 |
事件の表示 | 特願2001-250430号「容器」拒絶査定不服審判事件〔平成15年3月5日出願公開、特開2003- 63551号〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続の経緯 本願は、平成13年8月21日の出願であって、平成19年5月21日付けで拒絶査定がされ、これに対し、同年6月22日に拒絶査定不服審判がされるとともに、同年7月23日付けで手続補正がなされたものである。 2.平成19年7月23日付けの手続補正についての補正却下の決定 [補正却下の決定の結論] 平成19年7月23日付けの手続補正を却下する。 [理由] (1)補正の目的の適否について 補正前の本願の特許請求の範囲は、平成18年10月31日付け手続補正により補正された明細書の特許請求の範囲に記載された 「【請求項1】容器本体に内容物を収容したのちにキャップで密閉する容器において、内容物の遊動を抑制するための遊動抑制用凸状部分をキャップの内側に設けられた容器であって、上記キャップの内面に保存用剤の通気用スリット付き格納室が設けられ、通気用スリットを内方から被覆するろ紙が配設され、上記保存用剤は、脱臭剤、脱酸素剤、帯電防止剤等保存用剤であることを特徴とする容器。 【請求項2】容器本体に内容物を収容したのちにキャップで密閉する容器において、上記キャップの内面に保存用剤の通気用スリット付き格納室と、上記保存用剤格納室に鍔状部とが設けられ、通気用スリットを内方から被覆するろ紙が配設され、上記保存用剤は、脱臭剤、脱酸素剤、帯電防止剤等保存用剤であることを特徴とする容器。 【請求項3】請求項1に係る容器において、遊動抑制用凸状部分の先端側半分若しくは全部が先の尖った円錐形若しくは球面である容器であって、上記遊動抑制用凸状部分は、弧状スリットが一定間隔の車座配置で設けられ、短い筒形状部又は長い筒形状部のいずれか一方を具備することを特徴とする容器。」である。 これに対し、本件平成19年7月23日付け補正(以下「本件補正」という。)により、特許請求の範囲は、 「【請求項1】有底筒状の容器本体と、上記容器本体に着脱可能に固定され、全体略皿形状に形成され、天壁内面には、筒状の小径側垂下壁および大径側垂下壁が設けられたキャップと、上記小径側垂下壁の外側部に係合して固定され、2本の同心円線上個所に多数本の第1の弧状スリットが開設された乾燥剤等格納容器と、全体略筒形状に形成され、上記乾燥剤等格納容器の下方に設けられ、上記大径側垂下壁に係合して固定され、第2の弧状スリットを有する内容物の遊動抑制用部材とを備えたことを特徴とする容器。 【請求項2】上記第1弧状スリットは、その外側の開口幅が狭く内側が広いテーパ状断面形に形成されていることを特徴とする請求項1記載の容器。 【請求項3】上記遊動抑制部材は下半部が円錐形状に形成されていることを特徴とする請求項1又は2のいずれか1項に記載の容器。 【請求項4】上記遊動抑制部材は下半部が半球状に形成されていることを特徴とする請求項1又は2のいずれか1項に記載の容器。」 と補正された。 本件補正によって、請求項1は、「通気用スリットを内方から被覆するろ紙が配設され」る点が削除されるものであり、これは直列的に記載された発明特定事項の一部の削除であって、特許請求の範囲の限定的減縮には該当しない。 (なお、この補正は、「保存用剤格納室に鍔状部とが設けられ」たことを特徴とする補正前の請求項2および「遊動抑制用凸状部分は、弧状スリットが一定間隔の車座配置で設けられ、短い筒形状部又は長い筒形状部のいずれか一方を具備する」ことを特徴とする補正前の請求項3を削除し、補正後の請求項1に対して、新たな請求項2ないし4を従属させるものであり、請求項数を増加するものであって、この点でも、特許請求の範囲の限定的減縮には該当しない。) また、この補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項に規定された、請求項の削除、誤記の訂正、明りようでない記載の釈明のいずれに該当するとも認められない。 したがって、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 (2)独立特許要件について 前述のとおり、本件補正により「通気用スリットを内方から被覆するろ紙が配設され」との特定事項が削除されたが、後述のとおり、一般に、乾燥剤等を格納するに当たり、内容物との間にろ紙を配置するか否かは、乾燥剤や内容物の材質、種類等に応じ、本願出願前より適宜採用されていることであり、新しい技術思想が導入されるものでもない。 そして、本件補正により、補正前の請求項1に記載された「遊動抑制用凸状部分」が「全体略筒形状に形成され、上記乾燥剤等格納容器の下方に設けられ、上記大径側垂下壁に係合して固定され、第2の弧状スリットを有する」ものと限定された。 そこで、念のため、本件補正が請求項1の減縮を目的とするものとした上で、本件補正後の前記請求項1に記載された発明(以下、「本願補正発明1」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(平成18年改正前特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか)についても以下に検討することとする。 (a)引用例 (a-1)実公昭37-30179号公報(以下、「引用例1」という。)には、以下の記載がある。 (イ)「図面に示す通り把持部1ならびに閉塞栓部2を有する蓋体3において該閉塞栓部2の内面空所に錠剤押え用の屈伸脚4を底部に一体的に数多突設せしめしかも数多の細孔9を開口したドラム5を嵌合可能に設け、かつこれの内部に防湿剤を収納の上前記閉塞栓部2の内面空所に嵌合せしめて成る防湿兼備の錠剤定置栓の構造。」(実用新案登録請求の範囲) (ロ)「また、前記数多の屈伸脚4を突設せしめたドラム5も、蓋体3と同質の復元力を有する材質より成るもので、これの底部には数多の細孔9が開孔され、防湿剤の収納室10と壜11の内部とに連通するように設けたものである。 なお図中12は防湿剤の収納室10に収納せしめられた乾燥剤、13は壜11に収納せしめられた錠剤を示すものである。 しかして本案の防湿兼備の錠剤定置栓は前述のごとき構成としたから、これを錠剤物収容の細長の壜11の開口に栓体として使用するならば、数多の屈伸脚4の弾力性のある屈伸性によつて例えば積み重ねた錠剤の高さに変動があつてもよくこれを上方向から押圧定置して壜内の錠剤が盲動して粉砕することを未然に防止出来ると共に防湿剤を収納するドラム5は蓋体3に嵌合するものであるから収納する防湿剤の交換が容易であり」(第1頁左欄第21行から右欄第13行) ここで、壜11及びこれの開口に栓体として着脱される蓋体3は有底筒状であり、蓋体3は底が浅いので全体略皿状といえる。また、凹部8の内側にドラム5の突出部7が係止する閉塞栓部2も筒状と認められる。以上の記載及び第1?3図によれば、引用例1には、次の発明(以下「引用発明1」という。)が開示されていると認めることができる。 「有底筒状の壜11と、上記壜11に着脱可能に固定され、全体略皿形状に形成され、天壁内面には筒状の閉塞栓部2が設けられた蓋体3と、上記閉塞栓部2の内側に係合して固定され、内部に防湿剤が収納されて底部に多数の細孔9が開孔されたドラム5と、当該ドラム5の底部に数多一体的に突設せしめた錠剤押さえ用の屈伸脚4とを備えた容器。」 (a-2)特開2000-335633号(以下、「引用例2」という。)には、以下の記載がある。 (イ)「【0020】 【発明の実施の形態】 本発明にかかるはんだボール用容器は、図4の分解斜視図に示すように、ガラスやプラスチック等の透明材料からなる有底筒状体から成る本体1、外蓋2、および中蓋3から構成され、上部に開口4が形成されており、上部外側には牡ネジ5が螺設されている。外蓋2は、キャップ状であり、その内側に前述本体1の牡ネジ5と螺合する牝ネジ6が螺設されている。 【0021】 本発明によれば、中蓋3は、底の浅い有底筒体から成り、底部には突出体8が設けられ、外径が本体1の開口4と略同一径となっており、上部にフランジ7が形成されている。中蓋3は、フランジ7まで本体1の開口4に嵌入することにより開口4を密封するようになっている。 【0022】 本発明のはんだボール用容器に使用する突出体8は、容器に入れられたボールの充填層内に先端が挿入されてもボールを圧迫して変形させないような形状、例えば図4や図5(1)に示すように突出体8の断面が流線型の形状、図5(2)に示すような断面が逆円錐型のの形状、図5(3)に示すような先端が半球状或いは図示しない逆円錐型となった円柱体等である。 【0023】 空隙ができる状態にボールが充填された容器内のボール充填層内に突出体を没入すると、突出体がボールを押しのけてボールを上昇させ空隙を小さくする。そのため容器内のボールは移動が少なくなって黒化や帯電がなくなる。さらに容器内のボール充填層内に突出体を没入すると、空隙が多少残っていて輸送中にボールが移動しようとしても突出体がボールの移動を妨げるようになる。 【0024】 ………。 【0025】 図示例では、突出体は中蓋に取り付けられているが、上蓋に直接取り付けられてもよい。その場合には中蓋は省略可能である。 すなわち、本発明の容器は、突出体が中蓋に形成されていて外蓋と突出体が別々となったものでもよいし、また外蓋と突出体が完全に一体、或いは外蓋と突出体を嵌合させて一体にしたものでもよい。」 ここで、外蓋2は内側の牝ネジ6で、本体1の牡ネジ5と螺合して着脱可能に固定され、中蓋3と同様に底が浅い有底筒状であり、全体略皿形状であるといえる。また、突出体は輸送中のはんだボールBの移動を妨げるので、内容物の遊動抑制部材といえ、先端が半球状或いは逆円錐型となった円柱体等であるが、内部が中空なので、全体略円筒形状であるといえる。 よって、以上の記載及び第1?7図によれば、引用例2には、次の発明(以下「引用発明2」という。)が開示されていると認めることができる。 「有底筒状の本体1と、上記本体1に着脱可能に固定される全体略皿形状の外蓋2と、上記外蓋2に嵌合して一体化する、内容物の遊動抑制部材としての、全体略円筒形状の突出体8とを備えた容器。」 (b)対比 そこで、本願補正発明1と引用発明1とを比較すると、引用発明1の「壜11」は、本願補正発明1の「容器本体」に相当し、以下同様に、「蓋体3」は「キャップ」に、「閉塞栓部2」は「小径側垂下壁」に、「ドラム5」は「乾燥剤等格納容器」にそれぞれ相当し、引用発明1の蓋体3の上面を形成する壁の下面が本願補正発明1の「天壁内面」に相当し、本願補正発明1の「防湿剤」は、その働きからみて「乾燥剤等」に相当するものと認めることができる。 また、引用発明1の「細孔9」と本願補正発明1の「第1の弧状スリット」とは、「乾燥剤等格納容器」内と「容器本体」内を連通させる「通気孔」である限りにおいて一致し、引用発明1の「ドラム5の底部に数多一体的に突設せしめた錠剤押さえ用の屈伸脚4」と本願補正発明1の「全体略筒形状に形成され、上記乾燥剤等格納容器の下方に設けられ、上記大径側垂下壁に係合して固定され、第2の弧状スリットを有する内容物の遊動抑制用部材」とは、「乾燥剤等格納容器」の下方に位置して「容器本体」内の「内容物」の遊動を防止する「遊動抑制用部材」である限りにおいて一致する。 そこで、本願補正発明1と引用発明1を対比すると、両者は、 「有底筒状の容器本体と、上記容器本体に着脱可能に固定され、全体略皿形状に形成され、天壁内面には、筒状の小径側垂下壁が設けられたキャップと、上記小径側垂下壁に係合して固定され、多数の通気孔が開設された乾燥剤等格納容器と、上記乾燥剤等格納容器の下方に設けられる内容物の遊動抑制用部材とを備えた容器。」 である点で一致し、以下の点で相違している。 [相違点1] 本願補正発明1では、乾燥剤等格納容器の通気孔が、2本の同心円線上個所に多数本の第1の弧状スリットが開設されるものであり、当該乾燥剤等格納容器が小径側垂下壁の外側部に係合して固定されるのに対し、引用発明1では、乾燥剤等格納容器の通気孔が、底部に設けた多数の細孔であり、該乾燥剤等格納容器が小径側垂下壁の内側部に係合して固定される点。 [相違点2] 本願補正発明1では、遊動抑制用部材を、全体略筒形状に形成し、第2の弧状スリットを有するものとし、当該遊動抑制用部材を、乾燥剤等格納容器の外側に設けた、キャップの天壁内面から垂下する大径側垂下壁に係合して固定したのに対し、引用発明1では、遊動抑制用部材を、数多の屈伸脚からなし、当該遊動抑制用部材を、乾燥剤等格納容器の底部に一体的に突設した点。 (c)判断 [相違点1]について 乾燥剤等格納容器を小径側垂下壁の内側部に係合して固定すること、また、通気孔を2本の同心円線上個所に多数本の弧状スリットを開設したものにすることは周知である(実願平5-33035号(実開平7-2260号)のCD-ROMの段落【0012】?【0014】及び第1?5図参照)。 よって、相違点1係る本願補正発明1の構成は、引用発明1及び周知技術に基づいて、当業者が容易に想到し得たものである。 [相違点2]について 遊動抑制用部材を全体略筒形状に形成し、キャップに係合させることは引用発明2に示されており、また、特開平7-215403号公報の段落【0014】及び段落【0020】に記載されたように、蓋体に設けた保存用剤を格納した室の外側に、当該蓋体の天壁内面から垂下する垂下壁を介して、容器の内の内容物を押圧する構成(受圧板17)を設けること、及び当該内容物を押圧する構成に通気孔を形成することは周知であって、引用発明1の遊動抑制用部材を弧状スリットを有する全体略筒形状のものとして、その支持構造として、乾燥剤等格納容器の外側にキャップの天壁内面から垂下させた垂下壁を設けて、これに当該遊動抑制用部材を係合する構成を採用できないとする理由も見当たらないから、相違点2に係る本願補正発明の構成は,引用発明1、引用発明2及び周知技術に基づいて、当業者が容易に想到し得たものである。 そして、本願補正発明1の作用効果も、引用発明1、引用発明2及び周知技術から当業者が予測できる範囲のものであり、格別顕著なものとはいえない。 したがって、本願補正発明1は、引用発明1、引用発明2及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。 (d)むすび 以上のとおり、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 3.本願発明について 平成19年7月23日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下,「本願発明」という。)は、平成18年10月31日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される以下のとおりのものである。 「【請求項1】容器本体に内容物を収容したのちにキャップで密閉する容器において、内容物の遊動を抑制するための遊動抑制用凸状部分をキャップの内側に設けられた容器であって、上記キャップの内面に保存用剤の通気用スリット付き格納室が設けられ、通気用スリットを内方から被覆するろ紙が配設され、上記保存用剤は、脱臭剤、脱酸素剤、帯電防止剤等保存用剤であることを特徴とする容器。」 (1)引用例 原査定の拒絶の理由に引用された引用例、及びその記載事項は,上記「2.(2)(a)」に記載したとおりである。 (2)対比 そこで、本願発明と引用発明1とを比較すると、引用発明1の「壜11」は、本願発明の「容器本体」に相当し、以下同様に、「蓋体3」は「キャップ」に、「ドラム5」は「格納室」にそれぞれ相当し、引用発明1の蓋体3の上面を形成する壁の下面側が本願発明の「キャップの内側」に相当するものと認めることができる。 また、引用発明1の「細孔9」と本願発明の「通気用スリット」とは、「格納室」内と「容器本体」内を連通させる「通気孔」である限りにおいて一致し、引用発明1の「ドラム5の底部に数多一体的に突設せしめた錠剤押さえ用の屈伸脚4」と本願発明の「内容物の遊動を抑制するための遊動抑制用凸状部分」とは、キャップの内側に設けられて「容器本体」内の「内容物」の遊動を防止する「遊動抑制用凸状部分」である限りにおいて一致する。 さらに、引用発明1では錠剤物を収容した壜11が蓋体3で栓をされて密閉されるものと認めることができ、本願明細書の段落【0017】に「また、通気用スリット付き格納室内に乾燥剤31、脱臭剤、脱酸素剤、ろ紙32、帯電防止剤等保存用剤を予め収容してあるときには、変質あるいは変色の防止を尚一層高くして商品価値の低下を完全もしくは充分に回避する。」と記載されていることから、これらのうちの乾燥剤と同じ働きをする引用発明1の「防湿剤」も本願発明の「保存用剤」に含まれると認めることができる。 そこで、本願補正発明1と引用発明1を対比すると、両者は、 「容器本体に内容物を収容したのちにキャップで密閉する容器において、内容物の遊動を抑制するための遊動抑制用凸状部分をキャップの内側に設けた容器であって、上記キャップの内面に保存用剤の通気孔付き格納室が設けられた容器。」 である点で一致し、以下の点で相違している。 、 [相違点1]本願発明では、格納室の通気孔が、通気用スリットであるのに対し、引用発明1では、格納室底部に設けた多数の細孔である点。 [相違点2]本願発明では、保存用剤が脱臭剤、脱酸素剤、帯電防止剤等であり、通気孔を内方から被覆するろ紙が配設されているのに対し、引用発明1では、防湿剤であり、通気孔を内方から被覆するろ紙が配設されていない点。 (3)判断 [相違点1]について 上記「2.(2)(c)」に記載したように、通気孔としてスリットを用いることは周知であり、当業者が適宜なし得た事項にすぎない。 よって、相違点1係る本願発明の構成は、引用発明1及び周知技術に基づいて、当業者が容易に想到し得たものである。 [相違点2]について ろ紙及び脱臭剤を用いて脱臭を行うことは周知であり(特開平11-285462号公報又は特開平6-285315号公報参照)、引用発明1の格納室の通気孔を内方から被覆するろ紙を配設し、保存用剤として脱臭剤等を用いることも当業者が適宜なし得た事項にすぎない。 よって、相違点2に係る本願発明の構成は,引用発明1及び周知技術に基づいて、当業者が容易に想到し得たものである。 そして、本願発明の作用効果も、引用発明1及び周知技術から当業者が予測できる範囲のものであり、格別顕著なものとはいえない。 したがって、本願発明は、引用発明1及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 (4)むすび 以上のとおり、本願発明は、引用例1に記載された発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条2項の規定により特許を受けることができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2008-11-28 |
結審通知日 | 2008-12-01 |
審決日 | 2008-12-17 |
出願番号 | 特願2001-250430(P2001-250430) |
審決分類 |
P
1
8・
575-
Z
(B65D)
P 1 8・ 121- Z (B65D) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 柳田 利夫、渡邊 真 |
特許庁審判長 |
石原 正博 |
特許庁審判官 |
村上 聡 熊倉 強 |
発明の名称 | 容器 |
代理人 | 木村 高明 |