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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G09F
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G09F
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G09F
管理番号 1192006
審判番号 不服2005-22948  
総通号数 111 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2009-03-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2005-11-29 
確定日 2009-02-05 
事件の表示 特願2001-245115「色相比較システムボード」拒絶査定不服審判事件〔平成15年 2月28日出願公開、特開2003- 58063〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は平成13年8月13日の出願であって、平成17年10月28日付けで拒絶の査定がされたため、これを不服として同年11月29日付けで本件審判請求がされるとともに、同年12月28日付けで明細書についての手続補正(以下「本件補正」という。)がされたものである。

第2 補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
平成17年12月28日付けの手続補正を却下する。

[理由]
(1)補正の内容
本件補正は、補正前請求項1?3の記載を、補正後請求項1乃至3の記載のとおり補正したものである。

・補正前請求項1?3の記載(平成16年10月18日付け手続補正書)
「【請求項1】枠内を左右方向に複数区分すると共に、前記枠内を上下方向に複数区分してなり、
前記左右方向、若しくは上下方向のいずれか一方を背景となる背景色に区分した背景色区分欄とし、
他方を色の種類に区分した色系区分欄とし、
前記背景色区分欄と前記色系区分欄との交わった区分には、色相カラーを記載した色相カラー区分欄とし、
前記色相カラー区分欄には、前記色相カラーと比較可能なカラー見本を取り外し可能に取り付け、
前記背景色区分欄は、4種類とし、前記色系区分欄は黄色系、緑系、青色系、赤系、無彩色系の5種類とし、
前記背景色区分欄と前記色系区分欄との交わった区分欄には、各背景色区分欄の黄色系、緑系、青色系、赤系、無彩色系の色相カラーを記載すると共に、この各区分欄の同位置に各背景色区分欄の黄色系、緑系、青色系、赤系、無彩色系の色相カラーを記載してなることを特徴とする色彩比較システムボード。
【請求項2】前記背景色は肌色、室内の壁、建物、緑地、車の色である請求項1に記載の色彩比較システムボード。
【請求項3】前記カラー見本は、着色した髪の毛と、布地と、宝石の見本である請求項1に記載の色彩比較システムボード。」

・補正後請求項1の記載 (平成17年12月28日付け手続補正書)
「【請求項1】枠内を左右方向に複数区分すると共に、前記枠内を上下方向に複数区分してなり、
前記左右方向、若しくは上下方向のいずれか一方を背景色に区分した背景色区分欄とし、
他方を色の種類に区分した色系区分欄とし、
前記背景色区分欄と前記色系区分欄との交わった区分には、色相カラーを記載した色相カラー区分欄とし、
前記色相カラー区分欄には、前記色相カラーと比較可能なカラー見本を取り外し可能に取り付け、
前記背景色区分欄は、4種類とし、前記色系区分欄は黄色系、緑系、青色系、赤系、無彩色系の5種類とし、
前記背景色区分欄と前記色系区分欄との交わった区分欄には、各背景色区分欄の黄色系、緑系、青色系、赤系、無彩色系の色相カラーを記載すると共に、この各区分欄の同位置に各背景色区分欄の黄色系、緑系、青色系、赤系、無彩色系の色相カラーを記載し、
前記背景色を肌色にし、前記カラー見本を着色した髪の毛及び布地の見本にしてなる色彩比較システムボード。」

(2)補正目的について
本件補正には、以下の補正事項が含まれている。

ア.補正事項1:補正前請求項1で特定されている「背景色区分欄」に関して「前記左右方向、若しくは上下方向のいずれか一方を背景となる背景色に区分した」とあったのを、補正後請求項1では、「前記左右方向、若しくは上下方向のいずれか一方を背景色に区分した」とし、補正前の「背景となる」との表現を削除する補正事項

イ.補正事項2:補正前請求項1で特定されている「背景色区分欄」に関して、補正後請求項1では、「前記背景色を肌色にし、」とする補正事項

ウ.補正事項3:補正前請求項で特定されている「カラー見本」に関して、補正後請求項1では、「前記カラー見本を着色した髪の毛及び布地の見本とし」とする補正事項

本件補正について、上記補正事項順に検討する。
補正事項1における補正前の「背景となる」との表現を削除する点は、特定されていた表現を削除している以上、形式的にみた場合に拡張の可能性がある。
ここで、本願明細書の記載を参照するに、「背景色区分欄」がはたして背景色なる色をもって着色されているか否かの明記はないものの、【目的】に「どの背景色にはどの色が最適かが容易に解り易い色相比較システムボードを提供する事を目的とする。」と記載されており、背景色と色系区分欄との色を直ちに対比可能とすることが、本願発明の特徴と解される。
してみるに、「背景色に区分した背景色区分欄」と表現した時点で、当該「背景色区分欄」が「背景色」なる色をもって着色した状態にあることを意図したと解し得る余地があり、補正前の「背景となる」との表現を削除したとしても、これにより直ちに拡張されたとまでは解し得ない。
よって、当該補正事項1は、補正前の冗長な記載を修正した程度のものと解することとして、補正目的の適否を問わないこととする。
次に補正事項2は、「背景色区分欄」に関して、「前記背景色を肌色にし、」を追加するものであるが、補正前の請求項2には、「前記背景色は肌色、室内の壁、建物、緑地、車の色である」なる特定があり、当該補正事項2は、ここで特定されるうちの「前記背景色は肌色、」を選択したものと解される。
また、補正事項3は、「カラー見本」に関して、「前記カラー見本を着色した髪の毛及び布地の見本とし」を追加するものであるが、補正前の請求項3には、「前記カラー見本は、着色した髪の毛と、布地と、宝石の見本である」なる特定があり、当該補正事項3は、ここで特定されるうちの「前記カラー見本は、着色した髪の毛と、布地・・・の見本である」を選択したものと解される。
以上のとおり、補正事項1?3は、補正前の請求項1に係る「背景色区分欄」及び「カラー見本」について、補正前の請求項2、3にあった特定の一部を選択して追加特定したものと解され、少なくとも補正事項2、3は、補正前の請求項1の特定を減縮したものと解される。
また、本件補正により、結果として補正前の請求項2及び3は削除されたものと解される。
したがって、本件補正は、補正前の請求項1の記載に追加特定することで、総体として特許請求の範囲の減縮を目的としており、平成14年法律第24号改正附則第2条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項の規定を満たすものと認め得るので、本件補正後の前記請求項1に記載された発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか)について以下に検討する。

(3)独立特許要件について
(3-1)本願補正発明の認定
本願特許請求の範囲は本件補正により補正されたことで、前記「(1)補正の内容」の「 ・補正後請求項1の記載 (平成17年12月28日付け手続補正書)」に示したように記載されている。
補正後請求項1において、「背景色区分欄」が背景色なる色をもって着手されていることの明記がなく、本願明細書の記載を参照して把握せざるを得ないことは、前記「(2)補正目的について」で検討したとおりである。
このように、補正後請求項1の記載による特定内容は、当該記載のみから明確とは言い難いので、本願明細書を参照した上で、本願補正発明を認定する。

補正後請求項1には、欄区分に関して、「前記背景色区分欄と前記色系区分欄との交わった区分には、色相カラーを記載した色相カラー区分欄とし、」と記載されると共に、「カラー見本」に関して、「前記色相カラー区分欄には、前記色相カラーと比較可能なカラー見本を取り外し可能に取り付け、」との記載がある。
すると、前記で確認したところの「背景色区分欄」として「背景色なる色をもって着手されている」に加えて、当該記載によれば、「前記背景色区分欄と前記色系区分欄との交わった区分」として特定された「区分欄」に「色相カラー」を記載することから、当該欄を「色相カラー区分欄」と呼称していることが把握される。
よって、当該記載は、予め「背景色」が配された「色系区分欄」に「色相カラー」が表示されること、当該「色系区分欄」には、これに加えて「カラー見本」が取り外し可能にて取り付けられていることをいうものと解される。

次に、補正後請求項1には、「前記背景色区分欄は、4種類とし、前記色系区分欄は黄色系、緑系、青色系、赤系、無彩色系の5種類とし、」と記載されており、要は、背景色として4種類表示すること、色系として5種類表示することが把握できる。
ただし、当該補正後請求項1の記載においては、
「前記背景色区分欄と前記色系区分欄との交わった区分欄には、」に係る「各背景色区分欄の黄色系、緑系、青色系、赤系、無彩色系の色相カラーを記載する」なる表現と、
「この各区分欄の同位置に」に係る「各背景色区分欄の黄色系、緑系、青色系、赤系、無彩色系の色相カラーを記載し、」なる表現とされ、繰り返される「色相カラー」の両者をどのように理解すべきか明らかでない。
ここでいずれかの「色相カラー」が「色名」或いは「色に関連した情報」を意味する可能性について本願明細書記載の実施の形態を参照するに(段落【0012】?【0021】及び【図1】?【図5】)、「背景色区分欄」に係る色系の名前表示は最上欄にされており(「summer」、「winter」、「spring」及び「autumn」)、また、「色相カラー区分欄」に係る色系の名前表示も最左欄にされており(「yellow」、「green」、「blue」、「red」及び「non-」)、特段に前記「前記背景色区分欄と前記色系区分欄との交わった区分欄」に「色名」を表示するものは示されていないので、前記のように解釈することは不適当である。
他方、前記記載からは、実施態様として、「背景色区分」を4種類、「色系区分」を5種類としたするものが示されていることは明らかであって、前記「前記背景色区分欄は、4種類とし、前記色系区分欄は黄色系、緑系、青色系、赤系、無彩色系の5種類とし、」なる記載と整合する。
そこで、次に、「この各区分欄の同位置に」なる表現に注目して、本願明細書を再度参照するに、以下の各記載が発見できる。
段落【0010】「背景色を肌色とした場合には、背景色区分欄は4種類とし、前記色系区分欄は黄色系、緑系、青色系、赤系、無彩色系の5種類とし、前記背景色区分欄と前記色系区分欄との交わった区分欄には、各背景色区分欄の肌色を引き立たせる黄色系、緑系、青色系、赤系、無彩色系の色相カラーを記載すると共に、この各区分欄の同位置に各背景色区分欄の肌色を引き立たせる黄色系、緑系、青色系、赤系、無彩色系の色相カラーを記載してなることが好ましい。」
段落【0011】「かかる色相比較システムボードは、黄色系、緑系、青色系、赤系、無彩色系から各自の肌色ではどの色がいいか判断する際、黄色系であっても、各区分欄の同位置に各背景色区分欄の肌色を引き立たせる黄色系の色相カラーが記載されているので、各背景色区分欄に沿って黄色系の色相カラーを見れば、比較しやすく見やすい。」
段落【0021】「このように、肌色区分欄2,3、4、5と色系区分欄6,7,8,9,10との交わった色相カラー区分欄11、12、13、14、・・・・30には、その20区分欄に肌色をひきたたせる色系の色相カラーを記載しているが、それぞれの色相カラー区分欄11、12、13、14、・・・・30の同位置に、各肌色区分欄2,3、4、5の肌色を引き立たせる黄色系6、緑系7、青色系8、赤系9、無彩色系10の色相カラーを記載している。」
段落【0022】「例えば、肌色区分欄のsummer2に対応する色系区分欄の赤色系9の色相カラー区分欄14には、肌色区分欄のsummer2の肌色をひきたたせる赤色系9の色相カラー31、32、33・・37を複数色記載し、肌色区分欄のwinter3に対応する色系区分欄の赤色系9の色相カラー区分欄19には、肌色区分欄のwinter3の肌色をひきたたせる赤色系9の色相カラー41、42、・・48は複数色記載しているが、この肌色区分欄のsummer2の肌色をひきたたせる赤色系9の色相カラー31と肌色区分欄のwinter3の肌色をひきたたせる赤色系9の色相カラー41とは同位置であり、比較しやすくしている。」
段落【0031】「又、背景色を肌色とした場合には、背景色区分欄は4種類とし、前記色系区分欄は黄色系、緑系、青色系、赤系、無彩色系の5種類とし、前記背景色区分欄と前記色系区分欄との交わった区分欄には、各背景色区分欄の肌色を引き立たせる黄色系、緑系、青色系、赤系、無彩色系の色相カラーを記載すると共に、この各区分欄の同位置に各背景色区分欄の肌色を引き立たせる黄色系、緑系、青色系、赤系、無彩色系の色相カラーを記載してなることが好ましい。
かかる色相比較システムボードは、黄色系、緑系、青色系、赤系、無彩色系から各自の肌色ではどの色がいいか判断する際、黄色系であっても、各区分欄の同位置に各背景色区分欄の肌色を引き立たせる黄色系の色相カラーが記載されているので、各背景色区分欄に沿って黄色系の色相カラーを見れば、比較しやすく見やすい。」
これらの記載を参照するに、段落【0010】冒頭に記載されるように、「背景色を肌色とした場合」について、「背景色区分欄」を縦に「色系区分欄」を横に配した場合において、両者の交差する位置にある各「色相カラー区分欄」には「背景色区分欄の肌色を引き立たせる複数の色相カラーが表示されている」こと、同じ「背景色区分欄」に属さず、同じ「色系区分欄」に属する隣りあう「色相カラー区分欄」に表示された「色相カラー」は「同位置」にあることで並べられた形態とされ比較がしやすいことが記載されている。
特に、実施の形態に係る段落【0021】、【0022】を参照するに、【図2】を参照して、「赤色系9」に属し、隣り合う「色相カラー区分欄14」と「色相カラー区分欄19」において、各々で表示される「色相カラー31」と「色相カラー41」の位置が「同一位置」として記載されている。
すると、前記で繰り返されているかにみえた表現については、
前半部分である「前記背景色区分欄と前記色系区分欄との交わった区分欄には、各背景色区分欄の黄色系、緑系、青色系、赤系、無彩色系の色相カラーを記載する」は、各々の「色相カラー区分欄」内に、複数の「色相カラー」が配されていることを意味し、
後半部分である「この各区分欄の同位置に各背景色区分欄の黄色系、緑系、青色系、赤系、無彩色系の色相カラーを記載し、」は、同じ「色系区分欄」に属する「色相カラー区分欄」内で表示される複数の「色相カラー」は同じレイアウトで表示されていることを意味していると解するべきといえる。
以上の検討から、当該「前記背景色区分欄と前記色系区分欄との交わった区分欄には、各背景色区分欄の黄色系、緑系、青色系、赤系、無彩色系の色相カラーを記載すると共に、この各区分欄の同位置に各背景色区分欄の黄色系、緑系、青色系、赤系、無彩色系の色相カラーを記載し、」については、前記で把握した内容にあわせ、
「前記背景色区分欄と前記色系区分欄との交わった区分欄には、各背景色区分欄の(色を引き立たせる)黄色系、緑系、青色系、赤系、無彩色系の(複数の)色相カラーを記載すると共に、(同じ色系区分欄において、)この各区分欄の同位置に(前記)各背景色区分欄の(色を引き立たせる)黄色系、緑系、青色系、赤系、無彩色系の色相カラーを記載し、」
と解することとする。

このように解釈した場合、後記の引用例2は請求人と同一者による別出願であって、これに記載される「色彩比較システムボード」は、本願明細書に記載される「色彩比較システムボード」と同様の態様を備えるものであるものの、本願明細書に記載される「取り外し可能に取付」られた「前記色相カラーと比較可能なカラー見本」の構成を有していないものであるから、本願明細書に記載される「色彩比較システムボード」は、当該引用例2記載の「色彩比較システムボード」における「前記肌色区分欄と前記色系区分欄との交わった区分欄には、前記肌色をひきたたせる色系の色相カラーを記載してなる」の構成に加えて、「取り外し可能に取付」られた「前記色相カラーと比較可能なカラー見本」の構成を加えたものと解されることになる。
この点について、請求人は、審判請求理由を述べるに際して、特段にそのように解すべきであるとは主張していないが、本願明細書の記載を参酌した場合、前記解釈は妥当なものと考える。

以上のことを踏まえた上で、本願補正発明は、前記「・補正後請求項1の記載 (平成17年12月28日付け手続補正書)」として示した記載に、前記で補った内容を括弧書で付加して、以下のとおりのものと認める。

「【請求項1】枠内を左右方向に複数区分すると共に、前記枠内を上下方向に複数区分してなり、
前記左右方向、若しくは上下方向のいずれか一方を背景色に区分した背景色区分欄とし、
他方を色の種類に区分した色系区分欄とし、
前記背景色区分欄と前記色系区分欄との交わった区分には、色相カラーを記載した色相カラー区分欄とし、
前記色相カラー区分欄には、前記色相カラーと比較可能なカラー見本を取り外し可能に取り付け、
前記背景色区分欄は、4種類とし、前記色系区分欄は黄色系、緑系、青色系、赤系、無彩色系の5種類とし、
前記背景色区分欄と前記色系区分欄との交わった区分欄には、各背景色区分欄の(色を引き立たせる)黄色系、緑系、青色系、赤系、無彩色系の(複数の)色相カラーを記載すると共に、(同じ色系区分欄において、)この各区分欄の同位置に(前記)各背景色区分欄の(色を引き立たせる)黄色系、緑系、青色系、赤系、無彩色系の色相カラーを記載し、
前記背景色を肌色にし、前記カラー見本を着色した髪の毛及び布地の見本にしてなる色彩比較システムボード。」

なお、出願当初における本願の発明の名称は「色相比較システムボード」であり、特許請求の範囲にもそのように記載されていたが、平成16年10月18日付け手続補正書により特許請求の範囲が「色彩比較システムボード」に変更され、これが平成17年12月28日付け手続補正書でも維持されている。
そこで、本願補正発明の名称は、当初に示した「色相比較システムボード」でなく、当該「色彩比較システムボード」であるものと認める。

(3-2)引用例
原査定の拒絶の理由に引用された文献を、以下、順に「引用例1」及び「引用例2」といい、それぞれ、図面とともに以下の事項が記載されている。

(3-2-1)引用例1:特開平10-198278号公報
【特許請求の範囲】
「【請求項1】 メイクアップ化粧料の販売促進に用いられる販売促進用シートであって、シート表面に、縦,横それぞれに複数の欄を有する表が表示されており、上記表の左端の縦一列の欄が、縦方向の各欄に表される項目を示す項目欄に形成され、上記表の上端の横一列の欄が、横方向の各欄に表される項目を示す項目欄に形成され、上記縦,横のいずれか一方の項目欄の各欄には、色の異なる複数種類のファンデーションの各色が、その色を象徴する記号とともにそれぞれ表示され、他方の項目欄の各欄には、色の異なる複数種類のメイクアップ化粧料の各色が、その色を象徴する記号とともにそれぞれ表示され、表中の各欄には、その欄が属する項目として示されているファンデーションの色を地色とし、その上に、その欄が属する項目として示されているメイクアップ化粧料の色を重ねて塗り付けた図柄が表示されていることを特徴とする販売促進用シート。
【請求項2】 上記メイクアップ化粧料が口紅,アイシャドウおよび頬紅のいずれかである請求項1記載の販売促進用シート。」

段落【0003】「【発明が解決しようとする課題】しかしながら、化粧品のなかでも、口紅,アイシャドウ,頬紅等のメイクアップ化粧料は、素顔に彩りを添えるものであり、その人その人の好みや肌の色,目的等に応じて使い分けることができるように、色の種類が豊富に揃っている。そのため、顧客自身が、自分に最も似合う色を選定することは容易ではない。すなわち、メイクアップ化粧料は、実際に、ファンデーションを塗布した顔に重ねて塗布してみないことには、その印象を捉えることが難しいにもかかわらず、上記セルフ方式の店頭では、試供品を実際に自分の顔に塗布することができない。せいぜい、自分の手に試供品を塗布して、その色味を試すことができる程度である。しかし、色味自体はわかっても、メイクアップ化粧料の色の感じは、ベースとなる顔の色(ファンデーションの色)に左右されるため、顔の色とは異なる手の上に塗布しても、実際の感じはイメージしにくいのである。」

段落【0004】「本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、実際に顔に供試することなく、メイクアップ化粧料をファンデーションの上に重ねて塗布した状態を一目で確認することができ、商品選択の参考にすることのできる優れた販売促進用シートの提供をその目的とする。」

段落【0023】「【発明の効果】以上のように、本発明の販売促進用シートは、そのシート表面に、色の異なる複数種類のファンデーションの各色と、色の異なる複数種類のメイクアップ化粧料の各色とが、それぞれその色を象徴する記号とともに縦,横の項目欄に表示され、上記ファンデーションの各色を地色とし、その上にメイクアップ化粧料の各色を重ねて塗り付けた図柄が各欄に表示されてなる表が設けられたものである。したがって、この販売促進用シートを店頭に備えておけば、顧客は、メイクアップ化粧料を、実際に顔に塗らなくても、自分の顔色(ファンデーションの色)が上記表に示されているファンデーションの色のいずれに近いかを確認した上で(あるいは、今使用しているファンデーションの色記号がわかっている場合には、その色記号を選択した上で)、その項目に属する欄を目で追いながら、これと組み合わせて好印象となるようなメイクアップ化粧料の色を選択することができる。このように、顧客にとっては、セルフ方式の店頭において、実際にメイクアップ化粧料を顔に塗布することなく、その化粧料を顔の色と組み合わせた印象を把握することができ、自分に合ったメイクアップ化粧料を容易に選定することができる。また、対面方式の店頭においても、店員が、顧客の顔色に合ったメイクアップ化粧料を、この販売促進用シートの表を利用して客観的に提示することができるため、商品の推奨をスムーズに行うことができる。」

段落【0009】「この販売促進用シートは、厚紙(厚み1.2mm)の表裏面をプラスチックフィルムでラミネートしたシート1からなり、その表面に、色の異なる7種類のファンデーションと、色の異なる12種類の口紅とを、互いに組み合わせて用いた場合の印象がどのようになるかを一覧表として示す表2が印刷されている。」

段落【0010】「より詳しく説明すると、この表2は、縦7段、横12列の欄を有し、その左側の、縦7段の項目欄3には、それぞれ色の異なる7種類のファンデーションの各色が示されている。すなわち、この項目欄3の各欄には、「OC-B1」,「OC-C1」,………といった、その欄が示すファンデーションの色を象徴的に示す記号が表示されており、その欄内が、上記ファンデーションの色で塗りつぶされている。ちなみに、「OC-B1」はオークル系でやや茶色がかった色を示し、「OC-C1」はオークル系の標準色を示している。これらの記号は、顧客が色を特定しやすいよう、このメーカーがファンデーションの商品に共通して付しているものである。なお、上記項目欄3のさらに左側に、縦長の四角枠4が設けられ、そこに「ファンデーションカラー」の見出し5が表示されている。」

段落【0011】「また、表2の上段の、横12列の項目欄6には、それぞれ色の異なる12種類の口紅の各色が示されている。すなわち、この項目欄6の各欄には、「SV04」,「PU07」,………といった、その欄が示す口紅の色を象徴的に示す記号が表示されており、その欄内が、上記口紅の色で塗りつぶされている。これらの記号も、顧客が色を特定しやすいよう、このメーカーが口紅の商品に共通して付しているものである。なお、上記項目欄6の上には、12種類の口紅が、その特徴別にさらに区分されることを示す見出し7が表示されている。すなわち、12種類の口紅のうち、左側の7種類のものは、特殊なエッセンスが入っていて唇にエステ効果があり、それがさらに「SFタイプ(Slim&Fit)と「Lタイプ(Lasting)」に区分されることがわかる。また、右側の5種類のものは、唇から落ちにくく他の物にもつかないという効果があり、それがさらに「SFタイプ」と「Lタイプ」に区分されることがわかる。」

段落【0012】「そして、上記項目欄3,6に囲われた、縦7段、横12列の各欄8には、その欄が属する縦の段の項目として項目欄3に示されているファンデーションの色を地色とし、その上に、その欄が属する横の列の項目として項目欄6に示されている口紅の色を重ねて塗り付けた図柄が表示されている。なお、この図柄において、口紅の色は、いかにも口紅を塗ったような、太いら線を重ねた形状で描かれている。」

段落【0013】「例えば、最下段の左から3番目の欄9(図において斜線で示す)は、ファンデーションカラーとしては、最下段の項目欄3に従い「OC-E1」の色に属し、口紅の色としては、左から3列目の項目欄6に従い「PK138」の色に属するため、その欄内の地色が、「OC-E1」の色で、その上に、「PK138」の色を塗り付けた図柄が表示されている。」

段落【0014】「したがって、上記販売促進用シートを、セルフ方式の化粧品店の、口紅の商品陳列台の近傍に、見やすい状態で備えておく(貼る,台上に置く等)ことにより、顧客は、口紅を、実際に唇に塗らなくても、自分の顔色(ファンデーションの色)が表2に示されている7種類のファンデーションの色のいずれに近いかを確認した上で(あるいは、今使用しているファンデーションの色記号がわかっている場合には、その色記号を選択した上で)、その段を横方向に目で追いながら、これと組み合わせて好印象となるような口紅の色を選択することにより、求める口紅を選定することができる。なお、実際の色を確認する場合は、従来と同様、テスター品を見、実際に手に塗ってみる。このようにして、顔の色と組み合わせた場合をイメージしながら口紅を選ぶことができるため、自分に合った口紅を容易に選定することができる。」

前記段落【0003】、【0004】の記載から、当該引用例1に記載される発明では、メイクアップ化粧料をファンデーションの上に重ねて塗布した状態を一目で確認することができるようにすることが目的とされている。

前記段落【0009】の記載によれば、当該引用例1に係る販売促進用シートは、厚紙(厚み1.2mm)の表裏面をプラスチックフィルムでラミネートしたシートが想定されており、その場合には、ボードとも呼称し得るものである。
また、段落【0010】の記載によれば、左右方向に並んだ項目欄には、左から2番目の欄に「ファウンデーションカラー」の見出しが表示され、これに対して右側につながる各欄内は、見出し表示された前記ファンデーションの色で塗りつぶされており、段落【0011】、【0012】の記載によれば、上下方向に並んだ項目欄には、上から3番目の欄に「口紅色」を示す見出しが表示され、これに対して下側につながる各欄内には、見出し表示された前記「口紅色」を前記ファンデーションの色に重ねて塗り付けた図柄が表示されている。

前記段落【0014】、【0023】の記載によれば、当該引用例1に係る販売促進用シートには、自分の顔色とみなし得るファンデーションの色に重ねて口紅を塗り付けた図柄表示故に、顧客が口紅を実際に唇に塗らなくても、ファンデーションの色を選択した上で、横方向に目で追うことで、自分の好みの口紅の色を選択できることが記載されている。

よって、当該引用例1からは、以下の発明が把握できる。

「メイクアップ化粧料の販売促進に用いられる販売促進用シートであって、シート表面に、縦,横それぞれに複数の欄を有する表が表示されており、
上記表の左端の縦一列の欄が、縦方向の各欄に表される項目を示す項目欄に形成され、上記表の上端の横一列の欄が、横方向の各欄に表される項目を示す項目欄に形成され、
上記縦,横のいずれか一方の項目欄の各欄には、色の異なる複数種類のファンデーションの各色が、その色を象徴する記号とともにそれぞれ表示され、
他方の項目欄の各欄には、色の異なる複数種類のメイクアップ化粧料の各色が、その色を象徴する記号とともにそれぞれ表示され、
表中の各欄には、その欄が属する項目として示されているファンデーションの色を地色とし、その上に、その欄が属する項目として示されているメイクアップ化粧料の色を重ねて塗り付けた図柄が表示されている販売促進用シート。」
(以下、「引用例1記載発明」という。)

(3-2-2)引用例2:実用新案登録第3069967号公報
【実用新案登録請求の範囲】
「【請求項1】 枠内を左右方向に複数区分すると共に、前記枠内を上下方向に複数区分してなり、
前記左右方向、若しくは上下方向のいずれか一方を人の肌色に区分した肌色区分欄とし、
他方を色の種類に区分した色系区分欄とし、
前記肌色区分欄と前記色系区分欄との交わった区分欄には、前記肌色をひきたたせる色系の色相カラーを記載してなることを特徴とする色相比較システムボード。
【請求項2】 前記肌色区分欄は4種類とし、前記色系区分欄は黄色系、緑系、青色系、赤系、無彩色系の5種類とし、前記肌色区分欄と前記色系区分欄との交わった区分欄には、各肌色区分欄の肌色を引き立たせる黄色系、緑系、青色系、赤系、無彩色系の色相カラーを記載すると共に、この各区分欄の同位置に各肌色区分欄の肌色を引き立たせる黄色系、緑系、青色系、赤系、無彩色系の色相カラーを記載してなることを特徴とする請求項1に記載の色相比較システムボード。」

段落【0001】「【考案の属する技術分野】 本考案はその人の肌色を引き立たせる色を容易に選択することができる色相比較システムボードに関する。」

段落【0002】「【従来の技術】 今日、自分を輝かせる色彩はどのような色なのか、各自は非常に敏感で、どの色が最も自分を引き立たせるか関心が高い。
従来、その人を引き立たせる色は、その人の肌色により決まり、その際、その人の肌色を引き立たせる色を説明するには、肌色ごとにその肌色を引き立たせる色をグループ化し、その色を環状に並べて説明していた。」

段落【0003】「 このような説明では、グループ化した色が環状に並べてあるので、肌色ごとの比較が解りずらい。
例えば、黄色系でも、薄い黄色、明るい黄色、濃いい黄色等があり、肌色によっては、その人を薄い黄色が引き立たせるし、又は明るい黄色がその人を引き立たせる場合がある。
そのような場合に、グループ化した色が環状に並べてあると、肌色ごとの黄色系の区分が解りずらく、見ずらい。」

段落【0004】「【考案が解決しようとする課題】 そこで、本考案は、人の肌の色を複数に区分し、その中から、各自の肌がどの肌色に属するかを判断し、各自の肌には色系のどの色がその肌を引き立たせるか並べ、各自の肌を引き立たせる色はどれか判断しやすく、他の色系との比較が簡単で見やすい色相比較システムボードを提供することである。」

段落【0001】の記載によれば、当該引用例2に記載のものは、人の肌の色を引き立たせる色を選択するためのものであって、これを「色相比較システムボード」と呼称していることが把握できる。
そして、段落【0002】、【0003】の記載によれば、従来の技術における色説明では、グループ化するに際して、環状に並べた表示がされている故に、肌色ごとの比較が解りずらいことが問題として挙げられ、これを解消すべく、枠内を左右方向に複数区分すると共に、前記枠内を上下方向に複数区分したレイアウト構成を採用したことが把握できる。

(3-3)引用例1記載発明と本願補正発明の対比
引用例1記載発明における「メイクアップ化粧料の販売促進に用いられる販売促進用シート」は、前記段落【0009】を参照するに、厚紙(厚み1.2mm)の表裏面をプラスチックフィルムでラミネートしたシートが想定されており、その場合には、ボードとも呼称し得ることからして、本願補正発明における「色相比較システムボード」に相当する。
引用例1記載発明においては、シート表面に、縦,横それぞれに複数の欄を有する表が表示されており、「上記表の左端の縦一列の欄が、縦方向の各欄に表される項目を示す項目欄に形成され、上記表の上端の横一列の欄が、横方向の各欄に表される項目を示す項目欄に形成され、」と特定されているように、前記縦方向或いは横方向に各項目欄が設けられており、他方、本願補正発明においては、「枠内を左右方向に複数区分すると共に、前記枠内を上下方向に複数区分してなり、」と特定されていることから、両者は、枠を設け、この中を左右方向に複数区分すると共に、上下方向に複数区分している点で相当関係にある。
そして、引用例1記載発明における「縦方向或いは左右方向の項目欄」と、本願補正発明における「左右方向、若しくは上下方向の区分欄」とは、縦方向或いは左右方向の項目欄でカテゴリーの異なる色の表示を行うものとされている点で相当関係にある。
また、引用例1記載発明における「メイクアップ化粧料の販売促進に用いられる販売促進用シート」においては、前記段落【0010】に記載されているように、左右方向に並んだ各欄内は一つのファンデーション色で塗りつぶされていることが想定されており、続く段落【0011】、【0012】に記載されているように、上下方向に並んだ各欄ではファンデーションの各に重ねて一つの「口紅色」を重ねて塗りつけた図柄が表示されており、いわばファンデーションの色を背景として、口紅色を表示した態様とされている。
よって、引用例1記載発明の「同じファンデーションの色で塗りつぶされた欄」は、本願補正発明の「背景色区分欄」に、引用例1記載発明の「同じ口紅の色が重ねて塗りつけられた欄」は、本願補正発明の「色系区分欄」に、そして、引用例1記載発明のこれら「同じファンデーションの色で塗りつぶされた欄」と「同じ口紅の色が重ねて塗りつけられた欄」が交わった欄は、本願補正発明の「色相カラー区分欄」に相当する。

してみれば、引用例1記載発明と本願補正発明とは、以下の点で一致する一方、以下の相違点を有する。

<一致点>
「枠内を左右方向に複数区分すると共に、前記枠内を上下方向に複数区分してなり、
前記左右方向、若しくは上下方向のいずれか一方を背景色に区分した背景色区分欄とし、
他方を色の種類に区分した色系区分欄とし、
前記背景色区分欄と前記色系区分欄との交わった区分には、色相カラーを記載した色相カラー区分欄とし、
前記背景色区分欄と前記色系区分欄との交わった区分欄には、各背景色区分欄の色相カラーを記載すると共に、
前記背景色を肌色にしてなる色彩比較システムボード。」

<相違点1>本願補正発明においては、「前記背景色区分欄は、4種類とし、前記色系区分欄は黄色系、緑系、青色系、赤系、無彩色系の5種類とし、」と特定されているのに対して、
引用例1記載発明においては当該特定を有しない点。

<相違点2>本願補正発明においては、「前記背景色区分欄と前記色系区分欄との交わった区分欄には、各背景色区分欄の(色を引き立たせる)黄色系、緑系、青色系、赤系、無彩色系の(複数の)色相カラーを記載すると共に、(同じ色系区分欄において、)この各区分欄の同位置に(前記)各背景色区分欄の(色を引き立たせる)黄色系、緑系、青色系、赤系、無彩色系の色相カラーを記載し、」と特定されているのに対して、
引用例1記載発明においては当該特定を有しない点。

<相違点3>本願補正発明においては、「前記色相カラー区分欄には、前記色相カラーと比較可能なカラー見本を取り外し可能に取り付け、」と特定されているのに対して、
引用例1記載発明においては当該特定を有しない点。

<相違点4>本願補正発明においては、「前記背景色を肌色にし、前記カラー見本を着色した髪の毛及び布地の見本にしてなる」と特定されているのに対して、
引用例1記載発明においては当該特定を有しない点。

(3-4)相違点に係る判断
(3-4-1)相違点1について
引用例1に係る販売促進用シートにおいても、肌の色と同一視し得るファンデーションカラーを複数準備すると共に、顧客がファンデーションに合わせる口紅の色を複数準備して前記ファンデーションに組み合わせることが意図されている。
そして、このように準備されたファンデーションカラーを「4種類」、口紅の色を「黄色系、緑系、青色系、赤系、無彩色系の5種類」のように特定することは、用途要請に応じて当業者が適宜になし得る設計事項でしかない。

(3-4-2)相違点2について
前記相違点1で検討したように、引用例1に係る販売促進用シートにおいても複数のファンデーションカラー、及び複数の口紅の色を準備している。
そして、顧客に勧める口紅の色として同色系に属する複数のものを用意する程度のことは、通常の発想であって格別なこととはいえない。
また、各々の欄内に表示される複数の色が存在する場合に、その配列すなわちレイアウトを決定することは、当業者が使用される状況を踏まえて適宜に決めることであって、同一色系区分欄内において同一のレイアウトとなすことは、要請に応じて適宜になし得た程度のことである。

(3-4-3)相違点3について
引用例1に係る販売促進用シートにおける口紅の色は、各々の区分欄に表示されており、当該区分欄を塗りつぶしたファンデーションカラーの上に重ねて塗りつけた図柄をもって表示されている(引用例1の段落【0010】?【0012】記載参照)。
それ故に、本願補正発明に係る「取り外し可能な色見本」を引用例1に係る販売促進用シートは有していない。
しかしながら、一般に色見本は、色を用いる対象箇所に合わせ得るようにされるもの(実願昭58-28752号(実開昭59-136667号)のマイクロフィルム、実願平5-63479号(実開平7-33209号)のCD、特開2001-112538号公報等参照)であって、周知の技術である。
よって、色彩比較システムボードの欄に表示する色に加えて、更に、別体の「色見本」を加えることは、当業者であれば用途要請に応えて容易になし得る程度のことである。
そして、このような色見本を対象箇所に合わせる際に、当該箇所に保持可能とすべく接着或いは磁気付着可能な構成とすることは、前記実願昭58-28752号(実開昭59-136667号)のマイクロフィルムにみられるように、当業者であれば適宜になし得た程度のことである。

(3-4-4)相違点4について
当該相違点4に係る本願補正発明の特定のうち、「前記背景色を肌色にし、」の点は、引用例1記載発明と一致することは既に指摘したとおりである。
そして、色見本として着色した布地の見本は、前記実願昭58-28752号(実開昭59-136667号)のマイクロフィルムにみられるように、周知の技術であるし、着色した髪の毛を用いて、紙の毛を染色した際の仕上がり具合を顧客に示すことは、美容院等で一般的に行われている周知のことであって、実願平5-63479号(実開平7-33209号)のCDが示し得る。
してみるに、当該相違点4に係る本願補正発明の特定を行うことは当業者であれば容易になし得た程度のことである。

(3-4-5)まとめ
以上、各相違点1?4について個別に検討したが、いずれも、引用例1記載発明及び従来周知の技術に基づいて当業者であれば容易になし得た程度のことであって、これらを寄せ集めた作用効果も当業者であれば容易に想到可能なものでしかない。

(3-5)むすび
したがって、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本件審判請求についての判断
1.本願発明の認定
本件補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成16年10月18日付けで補正された特許請求の範囲請求項1に記載されたとおりのものと認める(上記第2(1)における「・補正前請求項1?3の記載(平成16年10月18日付け手続補正書)」の請求項1記載参照)。

2.引用例
原査定の拒絶の理由に引用された文献及びその記載事項は、前記「第2(3)」に記載したとおりである。

3.対比・判断
本願発明は、前記第2で検討した本願補正発明と引用例1記載発明との相違点4に係る「前記背景色を肌色にし、前記カラー見本を着色した髪の毛及び布地の見本にしてなる」との特定を削除したものである。
そうすると、実質的に本願発明の発明を特定する事項を全て含み、さらに他の発明を特定する事項を付加したものに相当する本願補正発明が、前記「第2(3)」に記載したとおり、引用例1記載発明及び従来周知の技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により、引用例1記載発明及び従来周知の技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

また、本願発明の効果は、引用例1記載発明及び従来周知の技術から予測しうる範囲内のものである。

第4 むすび
以上のとおり、本願発明は引用例1記載発明及び従来周知の技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。
本願発明が特許を受けることができない以上、本願のその余の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶を免れない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2008-11-12 
結審通知日 2008-11-25 
審決日 2008-12-09 
出願番号 特願2001-245115(P2001-245115)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G09F)
P 1 8・ 575- Z (G09F)
P 1 8・ 121- Z (G09F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 秋山 斉昭  
特許庁審判長 酒井 進
特許庁審判官 佐藤 宙子
菅野 芳男
発明の名称 色相比較システムボード  
代理人 窪谷 剛至  

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