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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 B21C
管理番号 1192036
審判番号 不服2006-20006  
総通号数 111 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2009-03-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2006-09-07 
確定日 2009-02-05 
事件の表示 特願2001-119724「コイルの検査方法及び欠陥位置情報作成装置」拒絶査定不服審判事件〔平成14年10月29日出願公開、特開2002-316213〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯・本願発明

本願は、平成13年4月18日の出願であって、その請求項1?6に係る発明は、平成18年6月5日付の手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1?6に記載された事項により特定されるとおりのものと認められるところ、そのうち、請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、次のとおりのものである。

「【請求項1】
帯板を巻取機によりコイルに巻き取り、該帯板に発生している欠陥を検査するコイルの検査方法において、
帯板を前記巻取機により巻き取る際に、センサにより該帯板に発生している欠陥を検出し、検出された欠陥の帯板長手方向位置と板厚とから、巻き取り後のコイルの端面における欠陥位置を算出してコイル端面上の欠陥位置情報を作成し、該欠陥位置情報を参照して、実際に巻き取ったコイルの端面上の欠陥を検査することを特徴とするコイルの検査方法。」


2.引用例とその記載事項

原査定の拒絶の理由に引用された、本願出願前に頒布された刊行物である特開2000-171411号公報(以下、「引用例」という。)には、次の事項が記載されている。

(a)「【請求項1】 帯状体のエッジ割れ部の検出結果に基づきエッジ割れ部の処理を自動的に行う帯状体のエッジ割れ部の自動処理方法において、検出された欠陥の種類と大きさおよび発生位置の情報を作成し、この欠陥の情報について判定処理を行い、その結果、前記欠陥の種類が所定の種類に属する場合あるいは前記欠陥の大きさが予め設定されている許容値を超える場合は、工程変更指示を発行して欠陥部を除去する工程へ帯状体を搬送し、それ以外の場合は、本来の工程に前記帯状体を搬送するとともに前記情報を送信して、エッジ割れ部の処理を行うことを特徴とする帯状体のエッジ割れ部の自動処理方法。」(2頁左欄2?13行)

(b)「 それ以外の場合は、連続焼鈍ライン等の本来の次工程に、欠陥の種類および大きさ等の情報を送信するとともに、帯状体を搬送する。次工程では、その情報を考慮して操業を行う。例えば、通板時に減速あるいは張力を加減する等の欠陥部に対応した処置を、オペレータによる手動で、あるいは自動的に行う。」(3頁左欄25?30行)

(c)「エッジ割れ・穴明き検出装置1からの検出出力は、タンデムミルのプロセスコンピュータ10に送信される。タンデムミルのプロセスコンピュータ10によるデータ処理結果は各種の指示情報として、次工程の連続焼鈍ライン、あるいは電解清浄ラインのプロセスコンピュータ20、30に送信される。」(3頁右欄43?48行)

(d)「1(当審注:原文は丸囲み数字、以下同様) 優先度A(エッジ割れ・穴明きの面積が上限値以上)の場合:タンデムミルでは、異常票を発行する。この異常票は、エッジ割れ・穴明きの大きさ(mm^(2) )・位置(コイル先端からの長さ(m) )・発生箇所(いずれの側のエッジか:オペレータ側OP・ドライブ側DR)等のエッジ割れに関する情報を持っている。」(4頁左欄8?13行)

(e)「2(丸囲み) 優先度B(ヘアークラックあり)の場合:タンデムミルでは、注意喚起の指示書を発行する。・・・この指示書には、1(丸囲み)と同様のエッジ割れに関する情報とともに、次工程(連続焼鈍ライン)に対する作業指示に関する情報を持っている。連続焼鈍ラインのオペレータは、ディスプレ等でこの指示書の内容を確認し、指示内容に従いエッジ割れ部の目視チェックを行う。」(4頁左欄20?27行)

(f)「目視結果により、別途定めた作業基準等に基づき、そのまま通板あるいは1(丸囲み)と同様、工程変更を行う。この場合の工程変更は、連続焼鈍ラインのオペレータが、操作端末から手入力する。これにより、コイルは電解清浄ラインに搬送され、エッジ割れ部を切断された後、再度、連続焼鈍ラインに搬送されてくる。」(4頁左欄28?33行)

(g)「鋼帯9は、タンデムミル5の最終スタンドを出た後、エッジ割れ・穴明き検出装置1を通過し、エッジ割れ等を検出される。その後、ピンチロール6でガイドされ、巻取り機(テンションリール)8でコイルに巻取られる。」(4頁右欄5?9行)


3.引用例記載の発明

上記摘記(a)、(b)、(g)によれば、帯状体のエッジ割れ・穴明きは、帯状体の欠陥を意味し、この欠陥の検出は、エッジ割れ・穴明き検出装置を用いて巻取り機で巻き取る際に行われることがわかる。
また、上記摘記(e)によれば、オペレータは指示書の内容を確認し、エッジ割れ部の目視チェックを行うことが、さらに、上記摘記(f)によれば、目視結果により工程変更を行う場合は連続焼鈍ラインのオペレータが操作端末から手入力することにより、コイルが電解洗浄ラインに搬送されることが記載されており、これらの記載によれば、目視チェックの結果によりコイルが搬送されるのであるから、エッジ割れ部の目視は、コイルの状態で行われるものといえる。
さらに、摘記(d)、(e)によれば、オペレータがエッジ割れ部の目視チェックを行うための情報として、位置(コイル先端からの長さ(m))を用いることがわかる。そして、この位置(コイル先端からの長さ(m))の情報は、コイル状態での目視チェックに用いられるものであって、コイル状態でのエッジ割れ部の目視チェックとはコイル端面の目視チェックにほかならないから、オペレータは、エッジ割れ部の位置(コイル先端からの長さ(m))の情報に基づき、コイル端面のエッジ割れ部の大まかな位置の情報を獲得しているといえる。

以上の事項を考慮して、摘記(a)?(g)の記載事項を整理すると、引用例には、次の「コイルの検査方法」についての発明(以下、「引用例発明」という。)が記載されていると認められる。

「帯状体を巻取り機によりコイルに巻き取り、該帯状体に発生している欠陥を検査するコイルの検査方法において、
帯状体を前記巻取り機により巻き取る際に、エッジ割れ・穴明き検出装置により該帯状体に発生している欠陥を検出し、検出された欠陥の位置(コイル先端からの長さ(m))から、巻き取り後のコイルの端面における欠陥位置情報を獲得し、該欠陥位置情報を参照して、実際に巻き取ったコイルの端面上の欠陥を検査することを特徴とするコイルの検査方法。」


4.対比・判断

引用例発明における「帯状体」、「エッジ割れ・穴明き検出装置」、「位置(コイル先端からの長さ(m))」は、本願発明における「帯板」、「センサ」、「帯板長手方向位置」にそれぞれ相当する。

以上によれば、両者は、

「帯板を巻取機によりコイルに巻き取り、該帯板に発生している欠陥を検査するコイルの検査方法において、
帯板を前記巻取機により巻き取る際に、センサにより該帯板に発生している欠陥を検出し、検出された欠陥の帯板長手方向位置から、巻き取り後のコイルの端面における欠陥位置情報を獲得し、該欠陥位置情報を参照して、実際に巻き取ったコイルの端面上の欠陥を検査することを特徴とするコイルの検査方法。」の点で一致し、次の点で相違する。

<相違点>
本願発明では、コイル端面上の欠陥位置情報を獲得するにあたり、帯板の板厚も用いて欠陥位置を算出して欠陥位置情報を作成しているのに対し、引用例発明ではそのことが明らかでない点。

以下、上記相違点について検討する。

圧延により製造される帯板には、その用途等に応じて様々な厚さのものが存在するのであり、仮に先端から100mの位置にエッジ割れ等の欠陥が存在するという情報があったとしても、その帯板が巻き取られてコイルになった場合に、その欠陥がコイルの半径方向のどの位置に存在するかを知るためには、その帯板の厚さも考慮しなくてはならないことは明らかであるから、引用例発明において、欠陥部の帯板長手方向位置情報を用いてオペレータがコイル端面を検査する際には、当該帯板長手方向位置情報に加えて帯板の板厚をも考慮して欠陥を検査していたものと解するのが自然である。
そして、機械による自動化は当然要求されることであることからすれば、引用例発明においてオペレータが行っていたことを機械的に算出するようにすることは、当業者であれば容易に想到し得たものというべきである。

そして、本願発明は、引用例の記載から予測できないような格別に顕著な効果を奏するとは認められない。
したがって、本願発明は、引用例に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。


5.むすび

以上のとおりであるから、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、その余の発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2008-11-20 
結審通知日 2008-11-25 
審決日 2008-12-10 
出願番号 特願2001-119724(P2001-119724)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (B21C)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 松本 要  
特許庁審判長 綿谷 晶廣
特許庁審判官 諸岡 健一
鈴木 正紀
発明の名称 コイルの検査方法及び欠陥位置情報作成装置  
代理人 高矢 諭  
代理人 牧野 剛博  
代理人 松山 圭佑  

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