• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) E03F
管理番号 1192155
審判番号 不服2007-3267  
総通号数 111 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2009-03-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2007-01-31 
確定日 2009-02-05 
事件の表示 平成 9年特許願第331003号「導水溝ブロック」拒絶査定不服審判事件〔平成11年 6月 2日出願公開、特開平11-148165〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 【1】手続きの経緯・本願発明
本願は、平成9年11月14日の出願であって、平成18年12月26日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、平成19年1月31日に審判請求がなされるとともに、同年2月20日に手続補正がなされ、これに対して、前置審査において、平成19年4月16日付けで、本願は、刊行物に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない旨の拒絶理由を通知し、期間を指定して意見書を提出する機会を与えたが、請求人からは何らの応答もなかったものである。
そして、その請求項1に係る発明は、平成19年2月20日付けの手続補正書により補正された明細書および図面の記載からみて、特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される次のとおりのものと認める。

「雨水等を排水路に導いて排水するためのブロックであって、上面、底面及び側壁を備えたブロック本体と、このブロック本体の内部に設けられた排水路と上面から該排水路に連通するように形成された導水口とから構成されてなるとともに、前記ブロック本体の側壁に傾斜面が形成され、この傾斜面に前記導水口とは別に排水路と連通する補助導水口が設けられ、この補助導水口が前記排水路へと水を導く導水路とされてなることを特徴とする導水溝ブロック。」
(以下、請求項1に係る発明を「本願発明」という。)

【2】刊行物
上記拒絶理由に引用され、本願出願前に頒布された刊行物である、特開平9-242161号公報(以下、「刊行物1」という。)には、段落【0048】?【0050】に以下の記載がある。

「つぎに、本発明の側溝の第16実施例を図31に基づいて説明する。この第16実施例の側溝は、卵形側溝であり、コンクリートなどからなる側溝本体81の全体が一体になっており、蓋体はない。側溝本体81は、底壁82の両側から立ち上がる側壁83の上部がそれぞれ内側へ張り出しており、これら両側壁83の上部間に、側溝本体81内の空間に通じる狭いスリット85が形成されている。このスリット85は、側溝本体81の上からの水を排水するとともに、掃除用具を通すためのものである。
そして、側溝本体81の一方の側壁83の上部には、その外面における道路の透水性表層5に接する位置から側溝本体81内の空間84に通じる排水路としての複数の本体排水孔86が貫通形成されている。
そして、透水性表層5に浸透した水は、本体排水孔86を通って、側溝本体81内の空間84に排水される。本第16実施例においても、前記第15実施例などと同様の理由により、透水性表層5に浸透した水を円滑に排水できるとともに、この排水効果を永く維持できる。」

上記の記載事項及び図31を含む図面の記載からみて、刊行物1には、以下の発明が記載されている。

「水を空間84に導いて排水するための側溝であって、底壁82から立ち上がる側壁83の上部がそれぞれ内側に張り出してなる側溝本体81と、両側壁83の上部間に形成された、側溝本体81内の空間84に通じるスリット85とから構成されてなるとともに、前記側溝本体81の側壁83の上部に前記空間84に通じる排水路としての本体排水孔86が貫通形成され、道路の透水性表層に浸透した水がこの本体排水孔86を通って前記空間84へ排水される側溝。」(以下、「刊行物1記載の発明」という。)

同、特開平8-253964号公報(以下、「刊行物2」という。)には、図1とともに、段落【0015】に以下の記載がある。

「【実施例】図1は本発明をU字型道路排水用コンクリートブロック(以下U字型ブロックと略記)に実施した例であって、(a)は斜視図、(b)は施工後の断面図である。この例では通常使用されているJISタイプのU字型ブロックの側壁1の上縁部へ傾斜した肩部1aを形成し、その部分から斜めに溝内へ向けて排水切欠2を設けている。肩部1aを形成したことによる補強のためにブロックの端部を厚肉にしている。排水切欠2のU字型ブロック内出口は蓋受段部1b方向に形成され、蓋3に排水切欠2と合致する位置に排水を円滑にする排水用切欠3aを設けている。道路の多孔質舗装層4がこのようなU字型ブロックの側壁1の上縁部の傾斜した肩部1aへ接するように形成されている。したがって、路面の水が多孔質舗装層4から前記排水切欠2を通ってU字型ブロック内へと導かれる。」

【3】対比
本願発明と刊行物1記載の発明とを対比すると、刊行物1記載の発明の「側壁83の上部がそれぞれ内側に張り出してなる」部分、「底壁82」、「側壁83」、「側溝本体81」、「空間84」、「スリット85」、「本体排水孔86」、「側溝」は、それぞれ、本願発明の「上面」、「底面」、「側壁」、「ブロック本体」、「排水路」、「導水口」、「補助導水口」、「(導水溝)ブロック」に相当するから、両者は、

「雨水等を排水路に導いて排水するためのブロックであって、上面、底面及び側壁を備えたブロック本体と、このブロック本体の内部に設けられた排水路と上面から該排水路に連通するように形成された導水口とから構成されてなるとともに、前記ブロック本体の側壁に前記導水口とは別に排水路と連通する補助導水口が設けられ、この補助導水口が前記排水路へと水を導く導水路とされてなる導水溝ブロック。」
の点で一致し、下記の点で相違している。

<相違点>
本願発明は、ブロック本体の側壁に傾斜面が形成され、この傾斜面に補助導水口が設けられるのに対し、刊行物1記載の発明は、補助導水口は側壁に設けられるが、側壁は傾斜面が形成されたものではなく、当然、補助導水口が傾斜面に形成されたものではない点。

【4】判断
上記相違点について検討するために、刊行物2をみると、刊行物2には、「道路排水用コンクリートブロック(本願発明の「ブロック本体」に相当。)の側壁1上縁部に傾斜した肩部1a(本願発明の「傾斜面」に相当。)を形成し、この傾斜した肩部の部分から斜めに溝内に向けて排水切欠2(本願発明の「補助導水口」に相当。)を設けて、道路の多孔質舗装層から路面の水を前記ブロック内へと導く技術」(以下、「刊行物2記載の技術」という。)が記載されており、上記相違点に係る本願発明の構成は、公知である。
そして、刊行物1記載の発明と刊行物2記載の技術は側溝ブロックの技術分野で共通するので、刊行物2記載の技術を刊行物1記載の発明に採用して、刊行物1記載の発明の側壁83に傾斜面を形成し、この傾斜面に本体排水孔86を設けるようにすることは当業者であれば容易に想到し得ることである。
さらに、本願発明の効果も刊行物1記載の発明、及び、刊行物2記載の技術から当業者が予測し得る範囲のものであって格別なものということができない。

【5】むすび
以上のとおり、本願発明は、刊行物1記載の発明及び刊行物2記載の技術から当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、本願は、拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2008-11-20 
結審通知日 2008-11-26 
審決日 2008-12-11 
出願番号 特願平9-331003
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (E03F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 田畑 覚士  
特許庁審判長 山口 由木
特許庁審判官 宮崎 恭
家田 政明
発明の名称 導水溝ブロック  
代理人 清原 義博  

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ