• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

この審決には、下記の判例・審決が関連していると思われます。
審判番号(事件番号) データベース 権利
不服200520859 審決 特許

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A61K
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A61K
管理番号 1192519
審判番号 不服2005-18486  
総通号数 112 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2009-04-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2005-09-26 
確定日 2009-02-12 
事件の表示 平成10年特許願第517974号「液状毛髪処理剤における、花から採取されたワックスの使用」拒絶査定不服審判事件〔平成10年 4月23日国際公開、WO98/16188、平成12年 2月29日国内公表、特表2000-502366〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成9年10月4日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 1996年10月13日,独国)を国際出願日とする出願であって、拒絶理由通知に応答して平成17年5月13日付けで手続補正がなされたが、その後平成17年6月21日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、同年9月26日に拒絶査定不服審判が請求されるとともに、同年10月19日付けで手続補正がなされたものである。

2.平成17年10月19日付けの手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成17年10月19日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。

[理由]
(1)補正後の本願発明
本件補正により、特許請求の範囲は、
補正前(平成17年5月13日付け手続補正書参照)の
「1.液状毛髪処理剤における0.001?20重量%の量での、植物の花から分離されたワックスの使用。
2.毛髪保護、毛髪の光沢改良、添加された香料の固定化、皮膚温和性の改良、保湿及び/又は油分回復効果のための、請求項1記載のワックスの使用。
3.前記ワックスが、ジャスミン、ミモザ、水仙、ビターオレンジ及び野性カミツレから成るグループより選ばれた植物の花から分離されたものであることを特徴とする請求項1又は2記載のワックスの使用。
4.前記ワックスが、ヘアケア剤、シャンプー、スタイリング調合剤、泡状の毛髪処理剤、毛髪染色剤、ヘアスプレー及びヘアローションにて利用されることを特徴とする請求項1?3のいずれか1項に記載のワックスの使用。
5.前記毛髪処理剤が、溶液、油/水型-又は水/油型-エマルジョン、流動性を有したゲル又は液状の泡の形態であることを特徴とする請求項1?4のいずれか1項に記載のワックスの使用。
6.下記の工程a)及びb):
a)ジャスミン、ミモザ、水仙、ビターオレンジ及び野性カミツレから成るグループより選ばれた植物の花から分離されたワックスを0.001?20重量%含有する液状毛髪処理剤を調製する工程、及び
b)前記液状毛髪処理剤を毛髪に塗布する工程
を含むことを特徴とする毛髪処理方法。」から、
補正後の
「【請求項1】 毛髪保護、毛髪の光沢改良、添加された香料の固定化、皮膚温和性の改良、保湿及び/又は油分回復効果効果のために、植物の花から分離されたワックスを使用する方法であって、前記ワックスが、ジャスミン、ミモザ、水仙、ビターオレンジ及び野性カミツレから成るグループより選ばれた植物の花から分離されたものであり、しかも、液状毛髪処理剤に0.001?20重量%の量で添加されることを特徴とする、植物の花から分離されたワックスの使用方法。
【請求項2】 前記ワックスが、ヘアケア剤、シャンプー、スタイリング調合剤、泡状の毛髪処理剤、毛髪染色剤、ヘアスプレー及びヘアローションにて利用されることを特徴とする請求項1に記載のワックスの使用方法。
【請求項3】 前記毛髪処理剤が、溶液、油/水型-又は水/油型-エマルジョン、流動性を有したゲル又は液状の泡の形態であることを特徴とする請求項1又は2に記載のワックスの使用。
【請求項4】 下記の工程a)及びb):
a)ジャスミン、ミモザ、水仙、ビターオレンジ及び野性カミツレから成るグループより選ばれた植物の花から分離されたワックスを0.001?20重量%含有する液状毛髪処理剤を調製する工程、及び
b)前記液状毛髪処理剤を毛髪に塗布する工程
を含むことを特徴とする毛髪処理方法。」
と補正された。

上記補正について、審判請求理由において請求人は、「補正前の請求項2及び3に記載されていた特徴を請求項1に加入すると共に、方法発明としての技術的手段を明瞭に表現するために、・・・」と説明していることを勘案すると、補正後の請求項1は、請求項1に係る発明を特定するために必要な事項である「植物の花から分離されたワックス」について、「ジャスミン、ミモザ、水仙、ビターオレンジ及び野性カミツレから成るグループより選ばれた植物の花から分離されたものであり」との限定を付加すると共に、「毛髪保護、毛髪の光沢改良、添加された香料の固定化、皮膚温和性の改良、保湿及び/又は油分回復効果効果のために、」との効果を特定し、「使用。」を「使用方法。」と明確にしたものであって、少なくとも特許法第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
(なお、補正後の請求項1は、補正前の請求項1,2を削除すると共に、補正前の請求項3において、請求項2(該請求項2は請求項1を引用している)を引用する選択肢を残し、請求項1を引用する選択肢を削除したものとも解されるが、そのように解しても、特許請求の範囲の減縮を目的とすることに変わりはなく、以下の検討内容に実質的な差異は生じないから、請求人の前記説明に従い上記のように認定した。)

そこで、本件補正後の前記請求項1に係る発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(平成18年改正前特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか)について以下に検討する。

(2)引用例
原査定の拒絶理由に引用された本願優先権主張日前の刊行物である特開昭59-21608号公報(以下、引用例という。)には、次の技術事項が記載されている。 なお、下線は、当審が付したものである。
(i)「モクセイ科の植物であるジャスミン(ソケイ,Jasminum)の花から抽出されるワックスを含有することを特徴とする化粧料」(特許請求の範囲参照)
(ii)「本発明のジャスミンワックスはジャスミンの花を溶媒(例えばヘキサン)で抽出し、溶媒を除去したのち、ジャスミンコンクリートを作り、ジャスミンコンクリートからエタノールを溶媒として使用して、absolute oilとジャスミンワックスに分離し、脱色、脱臭する。」(第1頁右下欄8?14行参照)
(iii)「本発明のジャスミンワックスは、炭化水素をほぼ50%含有し、天然ワックスとしては特色のある組成を示す。尚植物のワックスで炭化水素を多量に含有し、しかも化粧品に使用されているものはカンデリラワックスしか知られていない。
本発明のジャスミンワックスはその成分として非極性の炭化水素から極性のエステル,アルコール,脂肪酸まで幅広く含有するため、化粧品原料との相溶性に優れている。また優れた抱水性、乳化性を示し、粘度,つやを化粧品に与えることが出来る。」(第2頁左上欄14行?同頁右上欄5行参照)
(iv)「以下本発明の化粧料の実施例を示す。
実施例 1 (乳液)
(A)ジャスミンワックス 0.5%
ベヘニルアルコール 0.5
(NIKKOL ベヘニルアルコール65)
イソオクタン酸セチル(NIKKOL CIO) 5.0
スクワラン(NIKKOL スクワラン) 5.0
モノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン 1.0
(NIKKOL TS-10)
モノステアリン酸グリセリン(NIKKOL MGS-B)1.0
テトラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビット 0.5
(NIKKOL GO-430)
ブチルパラベン 0.1
(B)カルボキシビニルポリマー 0.1%
1,3-ブチレングリコール 5.0
メチルパラベン 0.1
精 製 水 76.2
(C)水酸化ナトリウム 0.03%
精 製 水 4.97
(A)を80℃に加温溶解し、(B)も80℃に加温し、(B)を(A)に攪拌しながら加え冷却して45℃まで攪拌した。その後(C)を混合した。以下の実施例でも同様に行なった。
実施例 2 (クリーム)
(A)ジャスミンワックス 6.0%
・・・中略・・・
実施例 3 (口紅)
ジャスミンワックス 15.0%
・・・中略・・・
実施例 4 (ヘアスティック)
ジャスミンワックス 10.0%
モクロウ 10.0
ミツロウ 10.0
香 料 適量
色 素 適量
防腐剤 適量
ヒマシ油で 100%」(第2頁右上欄6行?第3頁左上欄1行参照)

(3)対比、判断
そこで、本願補正発明と引用例に記載された発明を対比する。
引用例には、上記(2)の摘示事項からみて、そして、ワックスを含有する化粧料であることは、ワックスを添加するワックスの使用方法であることに他ならないことを勘案し、次の発明(以下、「引用例発明」という。)が記載されていると認めることができる。
「ジャスミンの花から抽出されるワックスを化粧料に添加するワックスの使用方法。」

引用例発明の「ジャスミンの花」は本願補正発明で言う「植物の花」に相当することは明らかで、引用例発明の「花から抽出される」は本願補正発明の「花から分離された」に相当し、本願補正発明の「液状毛髪処理剤」が「化粧料」に対応することも明らかであるから、両発明は、
「植物の花から分離されたワックスを使用する方法であって、前記ワックスが、ジャスミンの花から分離されたものであり、化粧料に添加される、植物の花から分離されたワックスの使用方法。」
で一致し、次の相違点A,Bで相違している。
<相違点>
A.本願補正発明が、「毛髪保護、毛髪の光沢改良、添加された香料の固定化、皮膚温和性の改良、保湿及び/又は油分回復効果効果のために」と特定しているのに対し、引用例発明ではそのような表現では特定されていない点
B.本願補正発明が、「液状毛髪処理剤に0.001?20重量%の量で添加される」と特定しているのに対し、引用例発明ではそのような表現では特定されていない点

そこで、先ず相違点Bについて検討し、次いで相違点Aについて検討する。
(i)相違点Bについて
引用例には、化粧料(化粧品)について格別の説明はなされていないものの、特定の剤に限定されているわけではなく、化粧品の範疇に毛髪処理剤が包含されることは明らかであり、就中、「ヘアスティック」の例(実施例4)が引用例に記載されていることを勘案すると、引用例発明が「毛髪処理剤」も意図していることは明らかであるといえる。
ところで、「ヘアスティック」は固体状であって、液状ではない。しかし、引用例では、化粧料の形状(剤型)を特定するものではなく、むしろ、乳剤、クリーム、口紅、スティック(順に実施例1?4)のように種々の形態で実施されていて、乳剤(実施例1)即ち液状の形態でも使用できることが示されているのであるから、毛髪処理剤の形態として「液状」の形態を採用してみることは、当業者であれば容易に思い至る程度のことというべきである。
よって、引用例発明において、化粧料として「液状毛髪処理剤」を対象とすることは、当業者が容易に想到し得たものである。

次に、引用例発明では、ジャスミンの花から抽出したワックスの使用割合(添加割合)について格別の説明はなされていないものの、実施例で用いられている割合は、それぞれ0.5%,6.0%,15.0%,10.0%(実施例1?4の順)であり、該%は重量%との記載は無いものの一般的に重量%の意味と解するのが相当であり、いずれも本願補正発明で特定する「0.001?20重量%」の範囲内であることからみて、引用例発明において、本願補正発明で特定するその「0.001?20重量%」の範囲内でジャスミンの花から抽出したワックスを添加することは適宜なされているものと認められる。
よって、液状毛髪処理剤にジャスミンの花から抽出したワックスを添加するに際し、「0.001?20重量%」の範囲内の割合で添加することは、当業者が適宜に採用し得ることといえる。

(ii)相違点Aについて
引用例には、「ジャスミンワックスは・・・・・化粧品原料との相溶性に優れている。また優れた抱水性、乳化性を示し、粘度,つやを化粧品に与えることが出来る。」(摘示(iii))とされていて、即ち、ジャスミンワックス(ジャスミンの花から抽出したワックス)の添加によって化粧品に「つや」を与えることができるとされているのであるから、毛髪処理剤として使用する場合に、毛髪の光沢の改良効果は当業者が容易に想到し得たことである。

なお、「毛髪保護」や「添加された香料の固定化、皮膚温和性の改良、保湿及び/又は油分回復効果」は、毛髪処理剤として期待される作用効果を評価したにすぎず、また本願明細書に単に定性的に記載されているにすぎないことから、本願補正発明の上記容易性を否定できるほど顕著なものであるとは解し得ない。
ところで、本願明細書には、毛髪に対する「育成力」はレントゲン-光電子分光学(XPS)で証明できるとされ、XPSでは約10nm程度の深さまでの毛髪表面の元素組成を分析でき、理髪剤の組成は実質的に炭素原子と酸素原子であり、窒素と硫黄は少量か全く存在しないから、毛髪手入れ剤を用いて処理した表面の硫黄と窒素について測定された含量は、「毛髪手入れ剤の育成力についての尺度となる」とされているが、そのような評価は単に毛髪への付着の程度を表すに過ぎず、直ちに育成力が良くなることを意味するものであると解すべき理由はない。そして、図1には、基礎調合物(花から採取されたワックスを配合していない)にジャスミンワックスを添加した場合とリンゴワックスを添加した場合(従来例)について、XPSで測定された毛髪表面の窒素原子と硫黄原子の割合の対比データ(10%程度の差)が示されているものの、上記のとおりジャスミンワックスを添加することは引用例の記載から当業者にとって容易であると解されるのであるから、仮に育成力の点で多少の改善があったとしても、単に引用例で測定していなかった作用効果を評価したにすぎず、本願補正発明の容易性を否定できるほど格別顕著なものであるとは認められない。

したがって、本願補正発明は、引用例発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

(4)むすび
以上のとおり、本件補正は、平成18年改正前特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するものであり、特許法第159条第1項の規定において読み替えて準用する特許法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。

3.本願発明について
平成17年10月19日付けの手続補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項1?6に係る発明は、平成17年5月13日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1?6に記載された事項により特定されるのもと認められるところ、そのうち請求項1に係る発明(以下、同項記載の発明を「本願発明」という。)は、以下のとおりのものである。
「1.液状毛髪処理剤における0.001?20重量%の量での、植物の花から分離されたワックスの使用。」

(1)引用例
原査定の拒絶理由に引用される引用例およびその記載事項は、前記「2.(2)」に記載したとおりである。

(2)対比、判断
本願発明は、前記2.で検討した本願補正発明から「植物の花から分離されたワックス」の限定事項である「ジャスミン、ミモザ、水仙、ビターオレンジ及び野性カミツレから成るグループより選ばれた植物の花から分離されたものであり」との構成を省き、「毛髪保護、毛髪の光沢改良、添加された香料の固定化、皮膚温和性の改良、保湿及び/又は油分回復効果効果のために」との効果を省いたものであり、「使用方法。」を「使用。」と表現を訂正したものである。
そうすると、本願発明の構成要件を全て含み、さらに他の構成要件を付加したものに実質的に相当する本願補正発明が、前記「2.(3)」に記載したとおり、引用例発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により、引用例発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

(3)むすび
以上のとおりであるから、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願はその余の請求項について論及するまでもなく拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2008-09-11 
結審通知日 2008-09-17 
審決日 2008-10-01 
出願番号 特願平10-517974
審決分類 P 1 8・ 575- Z (A61K)
P 1 8・ 121- Z (A61K)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 岩下 直人  
特許庁審判長 川上 美秀
特許庁審判官 弘實 謙二
谷口 博
発明の名称 液状毛髪処理剤における、花から採取されたワックスの使用  
代理人 村田 紀子  
代理人 武石 靖彦  

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ