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審決分類 |
審判 査定不服 4号2号請求項の限定的減縮 特許、登録しない。 G06F 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06F |
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管理番号 | 1192676 |
審判番号 | 不服2006-6868 |
総通号数 | 112 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2009-04-24 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2006-04-12 |
確定日 | 2009-02-12 |
事件の表示 | 特願2003- 86693「マニュアル管理システム」拒絶査定不服審判事件〔平成16年10月21日出願公開、特開2004-295446〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1.手続の経緯 この出願(以下、「本願」という。)は、平成15年3月27日に出願したものであって、平成17年6月21日付けで拒絶理由が通知され、これに対して同年8月29日付けで手続補正がなされ、同年12月7日付けで最後の拒絶理由が通知され、これに対して、平成18年2月13日に手続補正がなされたが、同年3月2日付けで平成18年2月13日付け手続補正の却下の決定がなされるとともに拒絶査定がなされ、これに対して同年4月12日に拒絶査定不服審判が請求され、同年5月12日に手続補正がなされたものである。 第2.平成18年5月12日付け手続補正についての補正の却下の決定 [補正却下の決定の結論] 平成18年5月12日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。 [理由] 1.補正の概要 本件補正は、特許請求の範囲の請求項1を、 「【請求項1】 ユーザ側の端末とサーバとがネットワークを介して接続され、前記端末からの要求に応じて前記サーバがマニュアルを提供するマニュアル管理システムであって、 前記サーバは、 前記マニュアルに関するテキストデータを記憶する第1の記憶手段と、 前記マニュアルに関するストリーミングデータを記憶する第2の記憶手段と、 前記端末からの要求により、前記第1の記憶手段に記憶されている前記テキストデータと、前記第2の記憶手段に記憶されている前記ストリーミングデータの中から、前記端末から送信されてきた検索キーに対応するものを検索する検索手段と、 前記検索手段によって検索された前記テキストデータおよび前記ストリーミングデータの少なくともいずれかを前記ネットワークを介して前記端末に送信する送信手段と、 前記送信手段によって前記端末に送信された前記テキストデータおよび前記ストリーミングデータの少なくともいずれかに対応する識別情報を前記端末のユーザ毎に履歴情報として記憶する第3の記憶手段と、 前記履歴情報に基づいて、前記端末から要求のあった前記テキストデータおよび前記ストリーミングデータの要求頻度をカウントするカウント手段と、 前記カウント手段によるカウント結果を出力手段と を備え、 前記端末は、 前記サーバに対して、前記第1の記憶手段に記憶されている前記テキストデータと、前記第2の記憶手段に記憶されている前記ストリーミングデータの中から、所定の検索キーに対応するものを検索するよう要求する要求手段と、 前記要求手段による要求に応じて前記サーバから送信されてきた前記テキストデータおよび前記ストリーミングデータの少なくともいずれかの前記検索キーに対応するものを受信する受信手段と、 前記受信手段によって受信された前記テキストデータおよび前記ストリーミングデータの少なくともいずれかの前記検索キーに対応するものを表示する表示手段と を備え、 前記テキストデータの所定の文字列と前記ストリーミングデータとが関連付けられている場合には、前記表示手段のマニュアル表示領域に表示された前記文字列の選択に応じて、関連する前記ストリーミングデータが前記マニュアル表示領域に隣接するストリーミングデータ表示領域に表示されることを特徴とするマニュアル管理システム。」 とする補正を含むものである。 2.補正の適否 本件補正によって、原査定時(以下、「補正前」という。)の請求項1に対して「前記テキストデータの所定の文字列と前記ストリーミングデータとが関連付けられている場合には、前記表示手段のマニュアル表示領域に表示された前記文字列の選択に応じて、関連する前記ストリーミングデータが前記マニュアル表示領域に隣接するストリーミングデータ表示領域に表示されることを特徴とする」との記載が追加されている。 該追加された記載によって、文字列とストリーミングデータとの関連付け、文字列の選択、及び、文字列の選択に応じて関連するストリーミングデータの表示という、補正前の請求項1に記載されていない新たな構成及び機能・作用が追加されるから、この補正は、請求項に記載した発明を特定するために必要な事項を限定するものとはいえない。 したがって、この補正は平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項第2号で規定する、特許請求の範囲の減縮(第36条第5項の規定により請求項に記載した発明を特定するために必要な事項を限定するものであって、その補正前の当該請求項に記載された発明とその補正後の当該請求項に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるものに限る。)を目的とするものには該当しない。 また、請求項の削除、誤記の訂正、明りょうでない記載の釈明(拒絶理由通知に係る拒絶の理由に示す事項についてするものに限る。)のいずれにも該当しない。 3.むすび したがって、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 よって結論の通り決定する。 第3.本願発明について 1.本願発明 平成18年5月12日付けの手続補正は上記のとおり却下された。また、平成18年2月13日付け手続補正は、平成18年3月2日付けで却下されている。そのため、本願の請求項に係る発明は、平成17年8月29日付け手続補正書により補正された明細書の特許請求の範囲の請求項1乃至4に記載されたとおりのものであるところ、請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、次のとおりのものである。 「【請求項1】 ユーザ側の端末とサーバとがネットワークを介して接続され、前記端末からの要求に応じて前記サーバがマニュアルを提供するマニュアル管理システムであって、 前記サーバは、 前記マニュアルに関するテキストデータを記憶する第1の記憶手段と、 前記マニュアルに関するストリーミングデータを記憶する第2の記憶手段と、 前記端末からの要求により、前記第1の記憶手段に記憶されている前記テキストデータと、前記第2の記憶手段に記憶されている前記ストリーミングデータの中から、前記端末から送信されてきた検索キーに対応するものを検索する検索手段と、 前記検索手段によって検索された前記テキストデータおよび前記ストリーミングデータの少なくともいずれかを前記ネットワークを介して前記端末に送信する送信手段と、 前記送信手段によって前記端末に送信された前記テキストデータおよび前記ストリーミングデータの少なくともいずれかに対応する識別情報を前記端末のユーザ毎に履歴情報として記憶する第3の記憶手段と、 前記履歴情報に基づいて、前記端末から要求のあった前記テキストデータおよび前記ストリーミングデータの要求頻度をカウントするカウント手段と、 前記カウント手段によるカウント結果を出力する出力手段と を備え、 前記端末は、 前記サーバに対して、前記第1の記憶手段に記憶されている前記テキストデータと、前記第2の記憶手段に記憶されている前記ストリーミングデータの中から、所定の検索キーに対応するものを検索するよう要求する要求手段と、 前記要求手段による要求に応じて前記サーバから送信されてきた前記テキストデータおよび前記ストリーミングデータの少なくともいずれかの前記検索キーに対応するものを受信する受信手段と、 前記受信手段によって受信された前記テキストデータおよび前記ストリーミングデータの少なくともいずれかの前記検索キーに対応するものを表示する表示手段と を備えることを特徴とするマニュアル管理システム。」 2.引用例・周知例 (1)引用例 これに対し、原査定の拒絶理由で引用文献1として引用した、特開2002-269147号公報(以下、「引用例」という。)には、図面とともに以下の記載がある。 (あ)「【0032】〔実施の形態〕 (電子マニュアル提供システムの構成)まず、この発明の本実施の形態にかかる電子マニュアル提供システム全体の構成を説明する。図1はこの発明の本実施の形態にかかる電子マニュアル提供システム全体の構成を機能的に説明するブロック図である。 【0033】この電子マニュアル提供システム100では、ホストコンピュータ101とクライアントコンピュータ102がネットワーク103を経由して接続されるように構成されている。ここでは接続形態の例をネットワーク103としているが、インターネット、イントラネット等によるネットワーク接続のほかにも、クライアントコンピュータ102として携帯電話等の携帯端末を使用した形態、有線・無線による接続、ホストコンピュータ101とクライアントコンピュータ102が一体となった製品等も実施の形態として考えられる。 【0034】また、ホストコンピュータ101は、クライアントコンピュータ102とデータの受け渡しをおこなう入出力制御部(入出力制御手段)111、入力された情報を解析する解析部(解析手段)112、製品の各メディア向けのマニュアル情報を格納するマニュアル情報記憶部(マニュアル情報記憶手段)113、マニュアル情報を各メディア向けに最適化するデータ変換部(データ変換手段)114から構成されるようになっている。 【0035】さらに、クライアントコンピュータ102は、キーボード、マウス等の入力装置121、ディスプレイ等の表示装置122、ホストコンピュータ101とデータの受け渡しをおこなう入出力制御部123により構成されるようになっている。 【0036】(電子マニュアル提供システムの動作)以上の実施の形態における電子マニュアル提供システムの動作を図2の説明図を参照して説明する。図2は本実施の形態における電子マニュアル提供システムの動作説明図である。図2の説明においては、適宜、図1の構成を参照するものとする。 【0037】図1におけるマニュアル情報記憶部113には、マニュアルの出力メディアとしてテキスト・静止画・動画・音声等に向けた情報200が格納されている。図2はこれらメディア向け情報の格納例を示すものである。 【0038】たとえば、ある機能の説明と操作手順をマニュアルで提供するには、機能タイトル231、機能の説明232、最初の操作手順233、その操作をおこなうときの画面例234、次の操作手順235、その画面例236等の情報が必要である。 【0039】これらの情報は、その情報の種別ごとにテキスト241、静止画242、動画243、音声244のように分類されている。操作手順235を行ったときには、音声237が聞こえるようになっている。また動画238は操作手順233から画面例236までの操作と画面例を再生する動画であり、これには音声237の情報も記録される。 【0040】マニュアル情報の利用者は、図1におけるクライアントコンピュータ102の入力装置121を使って、説明が欲しいマニュアルの範囲と出力したいメディアを指定する。マニュアルの範囲の指定方法としては、表示装置122にマニュアル情報の目次のみを表示し、その中から必要な部分を指定するなどの方法が考えられる。 【0041】また、出力メディアとしては、紙、オンラインヘルプ、動画・音声を含んだオンラインヘルプ等が考えられる。ここでは紙メディア用として機能タイトル231に示した項目「縮小コピーのとりかた」が指定されたものとする。 【0042】指定された情報は、図1における入出力制御部123からホストコンピュータ101の入出力制御部111に送られ、利用者から要求されたマニュアルの範囲とメディアが解析部112において解析される。 【0043】このようにして、解析結果に基づいて、要求されたマニュアルの範囲と出力メディアの情報が、図1におけるマニュアル情報記憶部113に送られる。マニュアル情報記憶部113では受け取った情報に該当するマニュアル情報を図3に示す流れで抽出する。 【0044】図2において、機能タイトル231はテキスト241形式で縮小コピーのとりかたを記載してある。また、機能の説明232はテキスト241の形式で原稿を縮小してコピーすることを記載している。操作手順233はテキスト241の形式で原稿をセットすることを記載してある。画面例234,236は静止画242と動画243を選択できる。操作手順235はテキスト形式で縮小率のキーを押すことを記載してあり、音声237よるガイダンスが得られる。 【0045】図3は図2の動作説明図のさらに詳細な動作例を示す図である。図3の説明においては、適宜、図1および図2の構成を参照するものとする。 【0046】まず、要求されたマニュアルの範囲に該当する部分では、(図3の「縮小コピーのとりかた」に関する部分)が、図1におけるマニュアル情報記憶部113から中間ファイル310として抽出される。 【0047】さらに、抽出された中間ファイル310から出力メディアには、必要な部分のみが出力ファイル320として取り出される。最終的に取り出された情報は出力メディアが「紙」の場合はテキストと静止画を含んだ紙メディア用ファイル330となる。また、出力メディアが「オンラインヘルプ」の場合は、一例としてテキストと動画を含んだヘルプ用ファイル340が考えられる。もちろん、オンラインヘルプの表示媒体が音声等もサポートしているときは、ヘルプ用ファイルの中に音声を含めることも可能になる。 【0048】次に出力ファイル300は、図1におけるデータ変換部114においてテキストと静止画の結合および印刷したときに見やすいようなフォーマットに整形され、同図の入出力制御部111に送られる。入出力制御部111は、このデータをクライアントコンピュータ102に送り、データが表示装置122に表示される。この情報は利用者が表示装置122上で確認することができ、印刷して利用することもできる。」 引用例の記載(あ)から、引用例には以下の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているといえる。 「ホストコンピュータ101とクライアントコンピュータ102がネットワーク103を経由して接続されるように構成されている電子マニュアル提供システム100であって、 ホストコンピュータ101は、クライアントコンピュータ102とデータの受け渡しをおこなう入出力制御部(入出力制御手段)111、入力された情報を解析する解析部(解析手段)112、製品の各メディア向けのマニュアル情報を格納するマニュアル情報記憶部(マニュアル情報記憶手段)113、マニュアル情報を各メディア向けに最適化するデータ変換部(データ変換手段)114から構成され、 クライアントコンピュータ102は、キーボード、マウス等の入力装置121、ディスプレイ等の表示装置122、ホストコンピュータ101とデータの受け渡しをおこなう入出力制御部123により構成され、 マニュアル情報記憶部113には、マニュアルの出力メディアとしてテキスト・静止画・動画・音声等に向けた情報200が格納されており、 マニュアル情報の利用者が、クライアントコンピュータ102の入力装置121を使って、表示装置122にマニュアル情報の目次のみを表示し、その中から必要な部分を指定するなどの方法で、説明が欲しいマニュアルの範囲と出力したいメディアを指定すると、 指定された情報は、入出力制御部123からホストコンピュータ101の入出力制御部111に送られ、利用者から要求されたマニュアルの範囲とメディアが解析部112において解析され、 解析結果に基づいて、要求されたマニュアルの範囲と出力メディアの情報が、マニュアル情報記憶部113に送られ、 マニュアル情報記憶部113では受け取った情報に該当するマニュアル情報を抽出し、 抽出された中間ファイル310から出力メディアには、必要な部分のみが出力ファイル320として取り出され、 出力メディアが「オンラインヘルプ」の場合は、一例としてテキストと動画を含んだヘルプ用ファイル340が考えられ、 出力ファイル300は、入出力制御部111に送られ、 入出力制御部111は、このデータをクライアントコンピュータ102に送り、データが表示装置122に表示され、利用者が表示装置122上で確認することができる、 電子マニュアル提供システム」 (2)周知例1 原査定の拒絶理由で引用文献4として引用した 特開2002-7454号公報(以下、「周知例1」という。)には、図面とともに以下の記載がある。 (い)「【特許請求の範囲】 【請求項1】 URL蓄積エンジンがユーザ端末から発行されたURLをURLデータベースにユーザ毎に蓄積するURL蓄積処理と、 URL分析エンジンが前記URLデータベースにユーザ毎に蓄積されている前記URLからユーザの検索頻度の高い前記URLを抽出するユーザ指向分析処理と、 パーソナル・ポータルサイト作成エンジンが前記URL分析エンジンで抽出された前記URLをマッピングすることにより、パーソナル・ポータルサイトを作成するパーソナル・ポータルサイト作成処理とを備えたことを特徴とするポータルサイト提供方法。」 (う)「【0029】...ユーザは、パーソナル・ポータルサイト57の提供を受けるための前提として、ポータルサイト提供事業者に登録しておく必要がある。... 【0030】このように、ユーザがポータルサイト提供事業者に登録することにより、URL-DB52にユーザ用のURL及びカテゴリーデータを蓄積する領域が確保され、パーソナル・ポータルサイト作成エンジン56は、そのユーザにマッチしたパーソナル・ポータルサイト57を作成する。 【0031】図4に戻ると、ユーザがホームページを参照しようとする場合、ユーザは、ユーザ端末1のWebブラウザを操作してパスワードの入力などを行うことによって、アクセス網2を介してISP3にアクセスすると(ステップST1)、ユーザ端末1は、ISP3に接続され、ISP3からインターネット4を介して事業者端末5にアクセスされる(ステップST1)。 【0032】事業者端末5は、ユーザ端末1からのアクセスがあると、URL分析エンジン53によって、アクセスしてきたユーザの指向を分析する(ステップST2)。ユーザ指向の分析は、URL分析エンジン53によってURL-DB52に蓄積されているデータに基づいて行われる。 【0033】即ち、URL分析エンジン53は、URL-DB52にユーザ毎に蓄積されているURLから検索頻度の高いURLを抽出し、またURL-DB52にユーザ毎に蓄積されているカテゴリーデータの検索頻度の最も数値の大きいカテゴリー(図2の例では、スポーツ)をユーザ指向カテゴリーとして抽出する。URL分析エンジン53は、抽出したURL及びユーザ指向カテゴリーをパーソナル・ポータルサイト作成エンジン56に出力する。」 (3)周知例2 原査定と同時に行われた補正の却下の決定で参考文献として提示した、特開2002-342664号公報(以下、「周知例2」という。)には、図面とともに以下の記載がある。 (え)「(57)【要約】 【課題】 所定案内情報が提供される特定顧客についての顧客情報の作成及びその管理を適正に且つ容易になし得る顧客管理方法及び顧客管理プログラムを提供する。 【解決手段】 クライアント13からの所定ウェブページの閲覧要求に対応してサーバ11から送信した当該ウェブページに関する閲覧履歴情報がサーバ11側の閲覧情報記憶手段19に記憶される。また、各クライアント13から送信された当該クライアント13の使用者に関する個人情報がサーバ11側の個人情報記憶手段20に記憶される。そして、前記両記憶手段19,20の登録情報内容に基づきCPU14は招待客となる特定顧客の顧客情報を作成し、イベント情報記憶手段21に登録する。その後、このイベント情報記憶手段21の登録内容に基づきCPU14は招待状発行装置22を駆動制御し、招待状23を発行する。」 (お)「【0024】また、前記閲覧情報記憶手段19は、前記各クライアント13を介したウェブページの閲覧履歴情報を記憶するための閲覧履歴データベースとして構成されている。即ち、この閲覧情報記憶手段19には、図2に示すように、各クライアント13に付与される端末番号31をインデックスとして、当該クライアント13を介して閲覧された閲覧ページ32と当該ページの累計閲覧時間(閲覧度)33及び累計閲覧回数(閲覧度)34が閲覧履歴情報として記憶されている。」 (か)「【0032】さて、閲覧履歴登録ルーチンは、クライアント13における所定ウェブページの閲覧履歴情報をサーバ11が集計記録して前記閲覧情報記憶手段19に書き込み記録するルーチンであり、以下のような手順により処理される。なお、以下においては、ウェブ識別引数が「ITSEV」である物流システム展示会を紹介するウェブページ閲覧のアクセス要求(以下、「閲覧要求」という。)があったという前提で説明する。」 (き)「【0054】すると次に、前記CPU14は、ステップS22において、前記閲覧情報記憶手段19の記録内容からウェブ識別引数「ITSEV」の閲覧ページ32について閲覧履歴の記録のある端末番号31を抽出する。例えば、図2に示す閲覧履歴データベース内容の場合には、端末番号31の値が「1」と「3」及び「4」の各端末番号31が該当する。そして、次のステップS23では、各該当端末番号31(「1」,「3」,「4」)のクライアント13における当該閲覧ページ32の閲覧度(閲覧時間33,閲覧回数34)が招待客(特定顧客)として識別するための所定条件をクリアしているか否かが判断される。」 3.対比 本願発明と引用発明とを対比する。 引用発明における「ホストコンピュータ」、「クライアントコンピュータ」、「ネットワーク」は、それぞれ、本願発明における「サーバ」、「ユーザ側の端末」、「ネットワーク」に相当する。 引用発明における「電子マニュアル」は、本願発明における「マニュアル」に相当する。 引用発明において、ホストコンピュータからクライアントコンピュータに送信されるマニュアル情報の出力ファイルとして、テキストと動画を含んだヘルプ用ファイルが挙げられており、引用発明においてクライアントコンピュータに送信されるマニュアルの情報として、「テキスト」と「動画」が含まれることは明らかである。 一方、本願発明における「ストリーミングデータ」との記載は、それ自体はストリーミング形式でやりとりされるデータであると解されるが、受信した端末の表示手段で表示されること、及び、発明の詳細な説明の記載から、「動画」を含むことは明らかである。してみると、引用発明における「動画」は、本願発明における「ストリーミングデータ」と、「動画」である点で共通する。 また、引用発明における「テキスト」は、本願発明における「テキストデータ」に相当する。 そして、引用発明における「マニュアル情報」は、テキストと動画を含むから、本願発明におけるマニュアルに関する「テキストデータ」及び「ストリーミングデータ」とは、「テキストデータと動画からなるマニュアルに関する情報」である点で共通する。 引用発明における「マニュアル情報記憶部(マニュアル情報記憶手段)113」は、ホストコンピュータ(本願発明ではサーバ)において動画とテキストを含むマニュアルに関する情報(データ)を記憶する手段である点で、本願発明における「前記マニュアルに関するテキストデータを記憶する第1の記憶手段」、及び、「前記マニュアルに関するストリーミングデータを記憶する第2の記憶手段」と共通する。 引用発明における、マニュアル情報の利用者が、クライアントコンピュータ102の入力装置121を使って「説明が欲しいマニュアルの範囲と出力したいメディア」について入力し、クライアントコンピュータの入出力制御部からサーバの入出力制御部に送られる「指定された情報」は、本願発明における、「検索キー」に相当する。 引用発明における、「解析部112」は指定され情報を解析し、マニュアル情報記憶部からマニュアル情報を抽出することから、本願発明における「検索手段」に相当する。 引用発明における、クライアントコンピュータに送信される「出力ファイル」と、本願発明における「検索手段によって検索された前記テキストデータおよび前記ストリーミングデータの少なくともいずれか」とは、いずれも検索されたマニュアル情報である点で共通する。 引用発明における、ホストコンピュータの「入出力制御部」は、抽出されたマニュアル情報をクライアントコンピュータに送信する機能を有するから、本願発明における「送信手段」に相当する。 引用発明における、クライアントコンピュータは、マニュアル情報の利用者が、クライアントコンピュータ102の入力装置121を使って、表示装置122にマニュアル情報の目次のみを表示し、その中から必要な部分を指定するなどの方法で、説明が欲しいマニュアルの範囲と出力したいメディアについて入力し、クライアントコンピュータの入出力制御部からサーバの入出力制御部に送信する構成を有しており、説明が欲しいマニュアルについての要求を送信していることは明らかである。してみると、引用発明における「入力装置」、「表示装置」、及び、「入出力制御部」は、本願発明における「所定の検索キーに対応するものを検索するよう要求する要求する要求手段」に相当する。 引用発明における、クライアントコンピュータは、指定した「説明が欲しいマニュアルの範囲と出力したいメディア」に対して抽出されたマニュアル情報についての出力ファイルを受信する構成を有しており、クライアントコンピュータの入出力制御部が受信していることは明らかである。してみると、引用発明におけるクライアントコンピュータの「入出力制御部」は、本願発明における端末の「受信手段」に相当する。 引用発明における、クライアントコンピュータの「表示装置」は、指定された情報に対応するマニュアル情報を表示するものであるから、本願発明における「表示手段」に相当する。 してみると、本願発明と引用発明との一致点、相違点1?3はそれぞれ以下のとおりである。 一致点: 「ユーザ側の端末とサーバとがネットワークを介して接続され、前記端末からの要求に応じて前記サーバがマニュアルを提供するマニュアル管理システムであって、 前記サーバは、 前記動画とテキストを含むマニュアルに関する情報を記憶する記憶手段と、 前記端末からの要求により、前記記憶手段に記憶されている情報の中から、前記端末から送信されてきた検索キーに対応するものを検索する検索手段と、 前記検索手段によって検索された情報を前記ネットワークを介して前記端末に送信する送信手段と、 を備え、 前記端末は、 前記サーバに対して、前記記憶手段に記憶されている情報の中から、所定の検索キーに対応するものを検索するよう要求する要求手段と、 前記要求手段による要求に応じて前記サーバから送信されてきた情報であって前記検索キーに対応するものを受信する受信手段と、 前記受信手段によって受信された情報であって前記検索キーに対応するものを表示する表示手段と を備えることを特徴とするマニュアル管理システム。」 である点。 相違点: (相違点1) 本願発明は、マニュアルに関する情報のうち、動画を「ストリーミングデータ」として取り扱うように記載されているのに対して、引用発明はそのようになっていない点。 (相違点2) 本願発明は、サーバにおけるマニュアルに関する情報を記憶する記憶手段が、「マニュアルに関するテキストデータを記憶する第1の記憶手段」と、「マニュアルに関するストリーミングデータを記憶する第2の記憶手段」であるのに対して、引用発明はそのようになっていない点。 (相違点3) 本願発明は、サーバが、「前記送信手段によって前記端末に送信された前記テキストデータおよび前記ストリーミングデータの少なくともいずれかに対応する識別情報を前記端末のユーザ毎に履歴情報として記憶する第3の記憶手段」と、「前記履歴情報に基づいて、前記端末から要求のあった前記テキストデータおよび前記ストリーミングデータの要求頻度をカウントするカウント手段」と、「前記カウント手段によるカウント結果を出力する出力手段」とを備えるのに対して、引用発明はそのようになっていない点。 4.判断 上記相違点について判断する。 (相違点1について) ネットワークを介してサーバからクライアントに動画等を送信する際に、ストリーミング形式を用いることは、この出願の出願前において一般的に行われていることであるから、引用発明において、マニュアル情報の動画をストリーミングデータとすることは、当業者が必要に応じて適宜採用すべき程度のことである。 (相違点2について) データ形式に応じて記憶手段を分離することは当業者が必要に応じて適宜実施すべき程度のことである。 (相違点3について) ネットワークを介してサーバからクライアント提供した情報についての履歴をユーザ毎に記憶し、その頻度をカウントし、出力することは、例えば周知例1,2に記載されているようにこの出願の出願前において周知の事項であり、業者が必要に応じて適宜付加すべき程度のことである。 また、本願発明の効果は引用例及び周知の事項から当業者が予想可能な範囲内のものであり、格別のものではない。 以上のとおり、本願発明は、引用例に記載された発明及び周知の事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 5.むすび 以上のとおり、本願の請求項1に係る発明は特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。 したがって、その余の請求項について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2008-12-03 |
結審通知日 | 2008-12-09 |
審決日 | 2008-12-24 |
出願番号 | 特願2003-86693(P2003-86693) |
審決分類 |
P
1
8・
572-
Z
(G06F)
P 1 8・ 121- Z (G06F) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 辻本 泰隆 |
特許庁審判長 |
田口 英雄 |
特許庁審判官 |
飯田 清司 菅原 浩二 |
発明の名称 | マニュアル管理システム |
代理人 | 塩田 康弘 |
代理人 | 堀 城之 |