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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F
審判 査定不服 特17条の2、3項新規事項追加の補正 特許、登録しない。 A63F
管理番号 1192686
審判番号 不服2006-12458  
総通号数 112 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2009-04-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2006-06-15 
確定日 2009-02-12 
事件の表示 特願2000-345656「遊技機の図柄表示装置」拒絶査定不服審判事件〔平成14年 5月21日出願公開、特開2002-143449〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続きの経緯
本願は平成12年11月13日に出願されたものであって、平成17年11月22日付の拒絶理由が通知され、平成18年1月27日付で意見と手続補正がなされ、平成18年5月8日付で拒絶査定がなされたのに対して、平成18年6月15日付で審判請求がなされ、平成18年7月14日付で手続補正がなされ、平成20年6月23日付の審尋がなされ、これに対して、平成20年8月20日付で回答がなされものである。

2.平成18年7月14日付の手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成18年7月14日付の手続補正を却下する。

[理由]
[1]補正の内容と補正の適否
(1)補正の内容
平成18年7月14日付の手続補正(以下、「本件補正」という。)は、平成18年1月27日付の手続補正書の請求項1である
「【請求項1】 図柄表示器と制御装置とを備え、制御装置が図柄表示器に変動表示される図柄を主図柄と副図柄とで構成し、制御装置が変動開始後における主図柄と副図柄との相対位置を変化させることによって再抽選表示を行い、その後、制御装置が図柄表示器で表示された図柄の組合せによる当り又は外れの遊技の確定されたことを表現する確定図柄を構成する主副図柄の組合せを特定したことを特徴とする遊技機の図柄表示装置。」(以下、「本願発明」という。)

を、

「【請求項1】図柄表示器と制御装置とを備え、制御装置が図柄表示器に変動表示される図柄を主図柄と副図柄とで構成し、制御装置が変動開始後における主図柄と副図柄との相対位置を変化させることによって再抽選表示を行い、その後、制御装置が図柄表示器で表示された図柄の組合せによる当り又は外れの遊技の確定されたことを表現する確定図柄を構成する主副図柄の組合せおよび副図柄の表情を特定したことを特徴とする遊技機の図柄表示装置。」(以下、「本願補正発明」という。)
とするものである。

(2)補正の適否
本願補正発明は、本願発明の「確定図柄を構成する主副図柄の組合せを」に「および副図柄の表情」なる構成を付加して「確定図柄を構成する主副図柄の組合せおよび副図柄の表情を」としたものである。
以下に、補正の適否を検討する。
1) 請求人は、審尋への回答書において、『 請求項1の「副図柄」の意味について、「副図柄」は明細書段落【0014】及び図3には、「目や口といった顔の一部が表示されていない図柄、即ち無表情という表情(a),(e),(i)の図柄である。そして、無表情という表情(a),(e),(i)の副図柄は図柄表示器3による図柄変動が完全に停止し、図柄の組み合わせによる当り又は外れの遊技が確定したことを表現する図柄として用いられる。一方で、(a),(e),(i)の副図柄以外の副図柄は無表情の表情の(a),(e),(i)に口や目等といった顔の一部が表現され、かつ、口や目の形状を変えることにより無表情に対して有表情の表現(「喜び」,「大喜び」,「悲しみ」等)がなされたものであり、(a),(e),(i)以外の副図柄は図柄変動中におけるリーチ予告に用いられる。つまり、無表情という表情の副図柄(a,e,i)は図柄の組み合わせによる当り又は外れの遊技が確定したことを表現し、有表情という表情の副図柄は図柄変動中におけるリーチ予告に用いられ、有表情という表情における目や口が消え、無表情の表情(a,e,i)になる(特定される)ことによって、図柄の組み合わせによる当り又は外れの遊技が確定したことを表現するものである。」なる記載があるから、前記の(a),(e),(i)を全体として見れば「太陽」、「雲」、「傘」といった無表情の表情が表現されているのであり、口や目等の顔の一部に関する表示がないことのみをもって「表情というものがない」ということはできず、また、本発明は前記のとおり、有表情という表情が表現された副図柄の目や口が消えることによって、副図柄の無表情という表情が特定され、図柄の組み合わせによる当り又は外れの遊技が確定したことを表現するものであり、「副図柄の表情を特定した」との事項は明細書段落【0014】の記載及び図3の記載から自明な事項である。 』と主張している。
2) また、本願の願書に最初に添付した明細書又は図面(以下、「出願当初の明細書」という。)には、「【0014】 図3において、(a)の「太陽」、(e)の「雲」、(i)の「閉じた傘」なる副図柄14の種類が異なる。(b)の副図柄14は「太陽が喜び」の表情を表現し、(c)の副図柄14は「太陽が大喜び」の表情を表現し、(d)の副図柄14は「太陽が悲しみ」の表情を表現している。(f)の副図柄14は「雲が喜び」の表情を表現し、(g)の副図柄14は「雲が大喜び」の表情を表現し、(h)の副図柄14は「雲が悲しみ」の表情を表現している。(j)の副図柄14は「開いた傘が喜び」の表情を表現し、(k)の副図柄14は「開いた傘が大喜び」の表情を表現し、(l)の副図柄14は「開いた傘が悲しみ」の表情を表現している。又、(a);(e);(i)それぞれの副図柄14は、図柄表示器3(図1参照)において図柄変動が完全に停止し、図柄の組合せによる当り又は外れの遊技が確定したことを表現する図柄(以下、確定図柄と称する)に使用され、それ以外の表情変化の有る副図柄14は図柄変動中でのリーチ予告に使用される。」と記載されており、喜び、大喜び、悲しみの表情変化のある副図柄(太陽の形状(b)(c)(d)、雲の形状(f)(g)(h)、傘の形状(j)(k)(l))は、リーチ予告を表示する際に用いられるものであるのに対して、副図柄として図3に示された太陽、雲、傘((a);(e);(i))は、確定図柄を表示する際に、主図柄とともに使用されるものである。
3) ところで、一般的に「表情」とは、心中の感情・情緒を、外貌や身振りに出し表すことであり、「無表情」とは、表情のないこと、表情に乏しいこと、その様をいうものである(必要であれば、広辞苑(1990年1月8日第3版)等の辞書を参照されたい。)。
そうすると、前記2)の副図柄として図3に示された太陽、雲、傘((a);(e);(i))は、太陽の形状、雲の形状および傘の形状を有するものであって、単に形状を示すことができるものの、心中の感情・情緒を表現し得る顔等の外貌を有しているということはできず、また、身振りを行っているということはできないのであるから、副図柄として図3に示された太陽、雲、傘((a);(e);(i))は、感情や気分を示すことができないと解される。
したがって、請求人の「太陽の形状、雲の形状および傘の形状は無表情という表情を有する。」という主張は採用できない。
4) 以上のとおり、補正前の請求項1に「および副図柄の表情」を付加して「確定図柄を構成する主副図柄の組合せおよび副図柄の表情を」とする補正は、出願当初の明細書に記載した事項の範囲においてしたものではない。
してみると、本願補正発明とする本件補正は、上記改正前の特許法第17条の2第3項の規定に反するものである。

(3)まとめ
上記のとおりであるので、本願補正発明とする本件補正は、上記改正前の特許法第17条の2第3項の規定に適合していないので、同法第159条第1項で準用する同法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。

3.本願発明について
平成18年7月14日付の手続補正は上記のとおり却下されたので、平成18年1月27日付の手続補正書に記載された本願発明は、上記2.平成18年7月14日付の手続補正についての補正却下の決定、[理由]、[1]補正の内容と補正の適否、(1)補正の内容、で示したとおりに特定されるものである。

「【請求項1】 図柄表示器と制御装置とを備え、制御装置が図柄表示器に変動表示される図柄を主図柄と副図柄とで構成し、制御装置が変動開始後における主図柄と副図柄との相対位置を変化させることによって再抽選表示を行い、その後、制御装置が図柄表示器で表示された図柄の組合せによる当り又は外れの遊技の確定されたことを表現する確定図柄を構成する主副図柄の組合せを特定したことを特徴とする遊技機の図柄表示装置。」(本願発明を再掲)

なお、本願発明の出願当初の明細書の「【0019】図6において、・・・要するに、a図における・・・通常ではない組合せを一時的に停止した状態で表現した後、a図からc図までにおける副図柄14の変化と主図柄13と副図柄14との位置変化により再抽選処理があたかも行われたかのような再抽選表示を表現し、c図で・・・正規の組合せで完全に停止した確定図柄により・・・スーパーラッキー大当たりを表現した状態である。」なる記載および図6に基づけば、本願発明の「変動開始後における再抽選表示」とは、再変動を含む変動開始後に再抽選を行うことなく、あたかも再抽選が行われたかのような表示をすることと解される。
以下、そのように解して、検討を進める。

(1)引用例について
1)引用例1について
原査定の拒絶理由に引用された刊行物である特開2000-225252号公報(以下、「引用例1」という。)には、以下の事項が図面とともに記載されている。

・記載事項1
「【0024】遊技盤2の中央部分には、特別図柄表示装置(以下、単に「表示装置」という)13が組込まれている。表示装置13は、液晶ディスプレイ(LCD)よりなる表示部13aを備えており、・・・
【0025】各図柄列14?16は、基本的には、図2,3に示すように、複数種類で複数個の図柄17A?17Hと、1種類で複数個の図柄17Kとによって構成されている。各図柄17A?17Hは、各種「犬」のキャラクタDG1?DG8と、「1」?「8」の数字図柄N1?N8との組合せによって構成されている。「1」?「8」の数字図柄N1?N8は、上図柄列14については降順に、中、下図柄列15,16については昇順にそれぞれ配列されている。より詳しくは、図柄17Aは「1」の数字図柄N1及び「ドーベルマン」のキャラクタDG1の組み合わせによって構成されている。また、図柄17Bは「2」の数字図柄N2及び「ダックスフンド」のキャラクタDG2、図柄17Cは「3」の数字図柄N3及び「プードル」のキャラクタDG3、図柄17Dは「4」の数字図柄N4及び「オールドシープドッグ」のキャラクタDG4、図柄17Eは「5」の数字図柄N5及び「土佐犬」のキャラクタDG5、図柄17Fは「6」の数字図柄N6及び「テリア」のキャラクタDG6、図柄17Gは「7」の数字図柄N7及び「ブルドッグ」のキャラクタDG7、図柄17Hは「8」の数字図柄N8及び「セントバーナード」のキャラクタDG8の組み合わせによって、それぞれ構成されている。但し、本実施の形態において、大当たり状態(特別遊技状態)の発生に関しては、数字図柄N1?N8(大当たり判定図柄:特定図柄)が意味を持っており、各キャラクタDG1?DG8は、各数字図柄N1?N8(モード判定図柄:確率変動判定図柄)に対し付随的に表示されるものである。・・・」
・記載事項2
「【0031】図5,6は、・・・同図に示すように、大当たり図柄は、リーチ遊技状態(リーチ状態)を経た後、遊技者に有利な特別遊技状態としての大当たり状態を発生させるための図柄である。詳しくは、全ての図柄列14?16の変動が停止させられたとき、表示されている図柄17A?17H(特に数字図柄N1?N8)の組合せが、予め定められた大当たりの組合せ、すなわち、同一種類の図柄17A?17H(特に数字図柄N1?N8)が大当たりラインL1?L5に沿って並んでいるときの同図柄17A?17H(特に数字図柄N1?N8)の組合せとなる場合がある(例えば「1」「1」「1」や「2」「2」「2」等)。当該組合せを構成する図柄が「大当たり図柄」である。」
・記載事項3
「【0033】また、図7(a)?(d)に示すように、リーチ状態とは、大当たり直前の状態をいう(もちろん大当たり状態に至らない場合もある)。リーチ状態には、下図柄列16の図柄変動が、大当たりラインL1?L5上において上図柄列14の停止図柄と同一種類の図柄で停止する状態が含まれる。例えば図7(a)に示す例では、大当たりラインL1上において、上図柄列14及び下図柄列16が同一の図柄17A(数字図柄N1)で停止しており、中図柄列15の図柄17A?17H,17Kが未だ変動中の状態を示している。この場合において、中図柄列15の大当たりラインL1上における停止図柄が図柄17A(数字図柄N1)であることを必要条件に、大当たり状態が発生させられる。
【0034】上記のリーチ状態には、中図柄列15の図柄変動が、最終的に上・下両図柄列14,16の停止図柄と同一種類の図柄(大当たり図柄)で停止して大当たり状態になるもの以外にも、異なる種類の図柄(これを「外れリーチ図柄」という)で停止して、大当たり状態とならないもの(以下、「外れリーチ状態」という)が含まれる。さらには、中図柄列15の図柄変動が一旦停止した後、再度全図柄列(或いは一部の図柄列)が変動し、その後全図柄列14?16の図柄17A?17H,17K(数字図柄N1?N8)が停止するような場合(再変動リーチとも称される)も含まれる。
【0035】上記リーチ状態においては、種々のリーチパターンが設定されている。リーチパターンとしては、中図柄列15の図柄17A?17H,17K(特に数字図柄N1?N8)が単にスクロールする「ノーマルリーチ」の外に、キャラクタとしてどろぼうが表示される「どろぼうリーチ(図7(a)参照)」、川及び丸太が表示される「丸太リーチ(図7(b)参照)」、背景画面に氷が表示される「氷リーチ(図7(c)参照)」、キャラクタとして女の子が表示される「女の子リーチ(図7(d)参照)」等が設定されている。これらリーチパターンのうち、「ノーマルリーチ」以外のリーチパターンは、いわゆる「スーパーリーチ」と称されるものである。「スーパーリーチ」の動作が開始された場合には、「ノーマルリーチ」の場合に比べて、大当たり状態が発生する期待値(大当たり期待値)が高くなるようになっている。また、「スーパーリーチ」においても、各リーチパターンによって大当たり期待値が異なったものとなっている(例えば、「どろぼうリーチ」よりも「女の子リーチ」の方が大当たり期待値は高い)。これらのリーチパターンは、図8に示すリーチ種別決定カウンタCVに基づいて決定される。なお、上記各リーチパターンの動作状態等については後述することとする。」
・記載事項4
「【0039】本実施の形態では、各スイッチ20?23の検出結果に基づき大入賞口用ソレノイド12、表示装置13(表示部13a)、各保留ランプ18a?18d、スピーカ等をそれぞれ駆動制御するために制御装置24が設けられている。制御装置24は、読み出し専用メモリ(ROM)、中央処理装置(CPU)、ランダムアクセスメモリ(RAM)等を備えている。ROMは所定の制御プログラムや初期データを予め記憶しており、CPUはROMの制御プログラム等に従って各種演算処理を実行する。RAMは、CPUによる演算結果を、図9に示す図柄乱数バッファ31?36、図10に示す図柄乱数エリア41(i)?45(i)、図11に示す停止図柄エリア46?48等に一時的に記憶する。」
・記載事項5
「【0075】さて、前記ステップS1203で肯定判定された場合には、ステップS1205に移行する。ステップS1205において、制御装置24はステップS905で取得したリーチパターンが、「丸太リーチ」でないか否かを判定する。そして、否定判定された場合(「丸太リーチ」の場合)には、ステップS1206において、丸太リーチ動作処理を行う。この場合においては、図7(b)に示すように、中図柄列15に川及び丸太を表示するとともに、図柄17A?17HのキャラクタDG1?DG8が川を泳ぐとともに、川に浮かんでいる丸太を飛び越すかの如く見せる等の処理が行われる。
【0076】但し、この飛び越しに際しては、それまで相互に重なりあうよう表示されていた数字図柄N1?N8及びキャラクタDG1?DG8が、一時的に離間表示される。より詳しくは、まずキャラクタDG1?DG8が障害物たる丸太を飛び越すべく、数字図柄N1?N8から離間表示され、その後、それに追従するようにして数字図柄N1?N8も丸太を飛び越し、再度元の状態(相互に重なり合った状態)に復帰する。」
・記載事項6
「【0079】さて、前記ステップS1209で肯定判定された場合には、いずれのリーチ動作処理をも行うことなく、当該「リーチ動作処理ルーチン」を一旦終了する。また、ステップS1202,1204,1206,1208,1210の各リーチ処理動作処理を実行した後においても、当該「リーチ動作処理ルーチン」を一旦終了する。
【0080】上記のように、ステップS120(「リーチ動作処理ルーチン」)の処理を実行した後、制御装置24は、ステップS130(図15参照)において、中図柄列15での図柄変動を停止させる。
【0081】続いて、制御装置24は、ステップS135において、再変動処理を実行する。詳しくは、再変動処理を実行する条件が成立しているか否かを判定し、再変動処理実行条件が成立している場合には、前記リーチ動作処理における各リーチ動作と同じ背景で、全図柄列14?16の図柄17A?17H,17Kを同時に再変動させる。そして、所定条件が成立した後、全図柄列14?16の図柄17A?17Lを停止させる。一方、再変動処理を実行する条件が成立していない場合には、何らの処理をも実行しない。
【0082】さて、再変動処理を行った後、制御装置24は、次に、ステップS140において、図柄17A?17H(数字図柄N1?N8)の組合せが大当たりの組合せであるか否かを判定する。なお、この際には、停止図柄の差替えが正しく行われたか否かの確認も行われる。そして、この判定条件が満たされていない場合には、「特別電動役物制御ルーチン」を終了する。また、図柄17A?17Hの組合せが大当たりの組合せである場合(実際に再変動が行われた場合も、この場合に該当する)には、ステップS145へ移行する。
【0083】ステップS145において、制御装置24は、次回の(大当たり状態終了後の)遊技に際しての遊技モードを示唆する処理を実行する。詳しくは、図19の「遊技モード示唆ルーチン」に示すように、ステップS1451において、まず制御装置24は、表示部13aの大当たり状態となっている図柄17A?17H,17Kのうち、数字図柄N1?N8を消去するとともに、図柄17Kをも消去する。これにより、表示部13a上には、キャラクタDG1?DG8のみが表示されることとなる。例えば、図5(a)の状態で、右側の大当たりラインL1上において、図柄17Aで大当たりとなった場合(「1」「1」「1」の数字図柄N1で大当たりとなった場合)には、図21(a)に示すような表示を行う。なお、当該消去に際し、同図に示すように、大当たりラインL1に相当する部分を明確にするような表示(図では、破線で示すような囲い表示)を行うこととしてもよい。
【0084】次に、制御装置24は、ステップS1452において、表示部13aにおいて、キャラクタDG1?DG8の再変動を行う。すなわち、図21(b)に示すように、上・中・下の各図柄列14?16において、キャラクタDG1?DG8が右から左へ移動しているかの如く表示を行う。なお、この再変動に際しては、各種演出表示が行われる。例えば、背景画面がフラッシュしたり、他のキャラクタが登場し種々の演出を行ったり、上・中・下の各図柄列14?16の変動速度を変更したり、各キャラクタDG1?DG8が種々の動作を行ったりといった演出が行われる。また、確変モードに関連する「ドーベルマン」のキャラクタDG1、「プードル」のキャラクタDG3、「土佐犬」のキャラクタDG5、又は「ブルドッグ」のキャラクタDG7の表示色を、他のキャラクタDG2,DG4,DG6,DG8との区別を容易ならしめるために目立つ色に変更したりするといった処理も実行される。
【0085】さらに、続くステップS1453において、制御装置24は、前記キャラクタDG1?DG8の変動を停止表示する。但し、このとき、例えば図21(c)に示すように、前記大当たりラインL1上に(破線の囲い内に)同一のキャラクタ(図ではDG3)が揃うように、キャラクタDG1?DG8を停止させる。そして、当該停止表示により、遊技者は、大当たり終了後における遊技モードが通常モードであるのか、或いは確変モードであるのかを認識する。」
・記載事項7
「【0095】以上詳述したように、本実施の形態によれば、数字図柄N1?N8の停止態様によって大当たり状態が発生したか否かが示唆される。また、当該数字図柄N1?N8の変動中には、表示部13aに当該数字図柄N1?N8とは別のキャラクタDG1?DG8が数字図柄N1?N8に対応して表示される。そして、決定された遊技モードは、最終的に停止されたキャラクタDG1?DG8に基づいて遊技者に対し示唆される。つまり、遊技者は大当たり状態の発生を確認した後、大当たり図柄(N1?N8)ではなく、その後再変動停止されるキャラクタDG1?DG8に基づいて、遊技モードが決定されるかの如き感覚を覚える。そのため、大当たり図柄(N1?N8)の種類に応じて一義的に遊技モードが決定されるわけではないため、遊技者は、大当たり状態の発生とは別に、遊技モードの結果についてわくわくどきどきしながら堪能することができる。その結果、興趣の比較的な向上を図ることができる。」
・記載事項8
「【0099】加えて、遊技モードを示唆するためのキャラクタDG1?DG8は、数字図柄N1?N8が最終的に停止された後、再度変動表示され、停止表示される。従って、大当たり状態の発生を確信することと、遊技モードを把握することとに時差が生じるため、当該遊技モードの示唆についての過程をわくわくしながら堪能することができる。」

以上の記載事項1?8及び図面によれば、引用例1には以下の発明が記載されていると認められる。(以下、「引用例1発明」という。)

「 特別図柄表示装置13と制御装置24とを備え、制御装置24が特別図柄表示装置13に変動表示される図柄17A?図柄17Hを数字図柄N1?N8とキャラクタDG1?DG8とで構成し、制御装置24が再変動処理を実行し、再変動処理を行った後、確変モードに関連するキャラクタが表示される場合には、制御装置24が特別図柄表示装置13で表示された数字図柄N1?N8と、目立つ色に変更でき、かつ、変動表示される図柄から離間表示可能なキャラクタDG1、DG3、DG5又はDG7との組合せにより停止表示し、大当たり終了後に遊技モードが通常モードであるのか、確変モードであるのかを遊技者に認識させる数字図柄N1?N8とキャラクタDG1?DG8の組合せを停止表示する遊技機の特別図柄表示装置13。 」

2)引用例2について
原査定の拒絶理由に引用された刊行物である特開2000-279593号公報(以下、「引用例2」という。)には、以下の事項が図面とともに記載されている。
・記載事項イ
「【0007】請求項2に記載の本発明は、請求項1に記載の発明の構成に加えて、前記遊技制御手段は、・・・遊技状態決定手段と、・・・演出表示内容選択手段とを含み、前記演出表示制御手段は、前記演出表示内容選択手段の選択結果に従って前記第1の演出表示または前記第2の演出表示を行なうことを特徴とする。
【0008】請求項3に記載の本発明は、請求項1に記載の発明の構成に加えて、前記遊技制御手段は、・・・特別遊技状態制御手段と、・・・遊技状態決定手段と、・・・演出表示内容選択手段とを含み、・・・」
・記載事項ロ
「【0036】・・・可変表示装置8の画像表示領域9で可変表示される特別図柄が所定の組合せで停止表示されたとき、大当りが発生するが、その大当り図柄が複数種類の大当り図柄のうちの予め定められた確変図柄(たとえば、この実施の形態では赤色の図柄)である場合には、通常遊技状態に比べて大当りが発生する確率が高く変動した確率変動状態(高確率状態)となる。以下、確変図柄による大当りを確変大当りといい、確変図柄以外の大当り図柄(非確変図柄)による大当りを非確変大当りという。
【0037】通常遊技状態中に一旦、確変大当りが発生すると、たとえば、少なくとも予め定められた確変継続回数(たとえば、1回、あるいは2回)大当りが発生するまで確率変動状態に継続制御される。また、確率変動状態中に再度確変大当りが発生すれば、その確変大当り以降、改めて確変継続回数が計数され、その後、少なくとも確変継続回数だけ大当りが発生するまで確率変動状態が継続する。そして、確変継続回数に達した大当りが確変図柄以外の非確変図柄によるものであった場合には、確率変動の生じていない通常遊技状態に戻る。」
・記載事項ハ
「【0039】機構板36には、・・・可変表示制御ユニット29、・・・遊技制御用マイクロコンピュータ等が搭載された遊技制御基板(主制御基板)31、可変表示制御ユニット29と遊技制御基板31との間の信号を中継するための中継基板33、および・・・賞球基板37が設置されている。さらに、機構板36には、モータの回転力を利用して打玉を遊技領域7に発射する打球発射装置34と、遊技効果LED28a、遊技効果ランプ28b,28c、確変判定図柄表示部200、賞球ランプ51、および、玉切れランプ52に信号を送るためのランプ制御基板35とが設置されている。」
・記載事項ニー1
「【0059】・・・まず、0?293の範囲でカウントするランダムカウンタC_RND1のカウント数を抽出する。
【0060】高確率時(確率変動状態)でない通常時(通常遊技状態)では、その抽出値が「7」のときには大当りを発生させることが事前決定される。なお、C_RND1の抽出値が「7」以外のときには、外れが事前決定され、・・・
【0061】一方、高確率時(確率変動状態)の場合には、C_RND1の抽出値が7,11,79のときに特定遊技状態(大当り状態)を発生させることが決定される。一方、高確率時(確率変動状態)においてランダム1の抽出値が7,11,79以外のときに、外れが事前決定される。」
・記載事項ホ
「【0113】・・・表示制御基板80の表示制御用CPU101は左,中,右図柄90a,90b,90cを低速で変動開始させる。このとき、画像表示領域9では、それまで前回の可変表示の結果として行なわれていた停止表示が、図17の(a)に示すような、左,中,右図柄90a,90b,90cのスクロールでの可変表示に切替わる。・・・
【0114】・・・図17の(b)に示すように、画像表示領域9において、左図柄90aの下方から演出用キャラクタA 92aが飛出すような態様で出現する。
【0115】・・・図17の(b)に示すように、画像表示領域9において、「7」の図柄が左図柄90aとして表示される。なお、T1とT2との時間間隔は微小であるために、左図柄90aの差替え表示とほぼ同時にキャラクタAが出現したような表示態様となる。
【0116】・・・左図柄90aが揺れながら表示される。なお、以下、このような揺れ状態を準停止ともいう。
【0117】・・・画像表示領域9において、右図柄90cの下方から演出用キャラクタB 92bが飛出すような態様で出現する。
【0118】・・・画像表示領域9において、「7」の図柄が右図柄90cとして表示され、左図柄90aと右図柄90cとが揃ったリーチ状態が成立する。なお、T4とT5との時間間隔は微小であるために、右図柄90cの表示とほぼ同時に演出用キャラクタB 92bが出現したような表示態様となる。
【0119】・・・画像表示領域9において、右図柄90cが揺れながら表示され、右図柄90cが準停止状態となる。
【0120】・・・画像表示領域9において、中図柄の下方から演出用キャラクタキャラクタC 92cが飛出すような態様で出現する。
【0121】・・・図17の(c)に示すように、画像表示領域9において、中図柄90bとして「2」の図柄が表示される。この段階では、図17の(c)に示すように「727」の外れの表示態様となっている。
【0122】・・・中図柄90bが揺れながら表示され、その結果、左,中,右の各図柄90a,90b,90cが揺れながら表示される。
【0123】・・・全キャラクタA,B,Cを合体させる表示を行なった後、合体キャラクタとして確変図柄キャラクタ(たとえば、赤の数字図柄「7」)を表示することが指定される。これにより、まず、図17(d)に示すように、演出用キャラクタ(A,B,C)を覆い包むような煙のごときキャラクタ92e(以下、煙キャラクタ92eという)が表示され、該煙キャラクタ92eを含む演出用キャラクタ(A,B,C)のうちの演出用キャラクタ(A,B)が点滅し始める。その後、たとえば、両演出用キャラクタ(A,B)が中央位置に集合し、融合されていくような表示がなされる。そして、演出用キャラクタ同士の合体が成功し、図17(e)に示すように新たな合体キャラクタ93が左図柄90aと中図柄90bの一部の領域を覆うようにして図柄90a,90bの前面側に出現する。この合体キャラクタ93は、非確変図柄と同一形態の非確変図柄キャラクタ93であり、たとえば、この例では青色の数字図柄「7」である。なお、図では、非確変図柄キャラクタ93が青色の数字図柄であることを、数字を構成する線で囲まれる領域に斜線を付することによって示している。
【0124】・・・画像表示領域9には、演出用キャラクタ(A,B,C)を覆い包む煙キャラクタ92eが表示され、該煙キャラクタ92eを含む演出用キャラクタ(A,B)が点滅し始める。その後、たとえば、演出用キャラクタ(A,B)が中央位置に集合し、融合されていくような表示がなされた後、演出用キャラクタ(A,B)が合体に失敗する表示(たとえば、合体に失敗して元の演出用キャラクタA,Bに分離)がなされ、その後、外れの表示結果が確定し、次の始動入賞に基づいた新たな可変表示が開始される。
【0125】図17(e)の表示態様となった後、続いて、図17(f)に示すように、演出用キャラクタC 92cと非確変図柄キャラクタ93とを覆い包む煙キャラクタ92eが表示され、演出用キャラクタC 92cと非確変図柄キャラクタ93とが点滅し始める。その後、たとえば、両キャラクタが中央位置に集合し、融合されていくような表示がなされる。そして、演出用キャラクタ同士の合体が成功し、図17(g)に示すように新たな合体キャラクタ95が中図柄90bの一部の領域を覆うようにして中図柄90bの前面側に出現する。この合体キャラクタ95は、確変図柄と同一形態の確変図柄キャラクタ95であり、たとえば、この例では赤色の数字図柄「7」である。・・・
【0126】・・・左図柄90aが中速度変動でのスクロールにより変動開始される。
【0127】・・・右図柄90cが中速度変動でのスクロールにより変動開始される。
【0128】・・・中図柄90bが中速度変動でのスクロールにより変動開始される。
【0129】・・・画像表示領域9において、「7」の図柄が左図柄90aとして表示される。
【0130】・・・「7」の左図柄90aが揺れながら表示される。
【0131】・・・画像表示領域9において、「7」の図柄が右図柄90cとして表示される。
【0132】・・・「7」の右図柄90cが揺れながら表示される。
【0133】・・・画像表示領域9において、中図柄90bとして「7」の図柄が表示される。
【0134】・・・中図柄90bが揺れながら表示され、その結果、左図柄,中図柄,右図柄90a,90b,90cが「7」を示した状態で揺れながら表示される。
【0135】・・・図17の(h)に示すように、画像表示領域9において、揺れていた全図柄90a,90b,90cが同時に停止表示される。その結果、左,中,右の各図柄の表示結果が「7」(中図柄は赤色の確変図柄)に揃って、大当り状態が発生し、大当り制御状態に移行する。この場合の大当りは、合体キャラクタ(確変図柄キャラクタ)93の表示により予告された確変大当りであるため、確率変動状態に制御される。
【0136】・・・合体演出によって画像表示領域9に合体キャラクタ(非確変図柄キャラクタ)93が出現した後、演出用キャラクタC 92cと非確変図柄キャラクタ93とを覆い包む煙キャラクタ92eが表示され、各キャラクタが点滅し始める。その後、たとえば、演出用キャラクタC 92cと非確変図柄キャラクタ93とが中央位置に集合し、融合されていくような表示がなされた後、合体に失敗する表示(たとえば、合体に失敗して元の演出用キャラクタC 92cと非確変図柄キャラクタ93とに分離)がなされ、その後、各図柄の再変動が行なわれた結果、非確変大当りとなる。」

引用例2について以下のことがいえる。
1)そして、引用例2の記載事項ホおよび図17に基づけば、左図柄90a、中図柄90c、右図柄90bは、「7」、「2」、「7」を表示すると共に、各図柄の下部に演出用キャラクタ92aとして「A」、演出用キャラクタ92cとして「C」、演出用キャラクタ92bとして「B」が表示される(図17(c)参照)。その後、時間T9経過後に、左、中、右の各図柄90a、90c、90bが揺れながら表示され、演出用キャラクタ「A」、「C」、「B」は、煙キャラクタ92eにより覆い包まれて、演出用キャラクタ「A」、「C」は、合体して合体キャラクタ93となり、青の数字図柄「7」を非確変図柄キャラクタとして画像表示領域9のやや左側に拡大表示し、演出用キャラクタ「C」(92c)を画像表示領域9の右側に表示し(図17(e)参照)、煙キャラクタ92eが表示され、演出用キャラクタ「C」(92c)は画像表示領域9の右側からやや中央側に移動し(図17(f)参照)、その後、青の数字図柄「7」と演出用キャラクタ「C」(92c)は合体して、赤の数字図柄「7」を確変図柄キャラクタとして画像表示領域のほぼ中央位置で拡大表示し(図17(g)参照)、その後、各数字図柄は、左図柄、右図柄、中図柄の順で変動を開始して左図柄に数字図柄「7」を表示して、揺れ変動し、右図柄に数字図柄「7」を揺れながら表示し、中図柄に赤の数字図柄「7」が揺れながら表示されて、左、中、右図柄は揺れながら表示された後、全ての数字図柄は停止表示される(図17(h))のであり、かつ、一旦数字図柄「7」、「2」、「7」と演出用キャラクタ「A」、「B」、[C]で、画像表示領域に表示されて停止され、その後、数字図柄と演出用キャラクタは合体して、画像表示領域のほぼ中央位置で拡大表示されるのであり、一旦停止後の再変動も変動開始後に含まれるから、引用例2の制御装置が、「変動開始後における数字図柄に対して、演出用キャラクタの位置を変化させることによって表示を行っている」といえる。
2)また、記載事項ニに基づけば、第1実施の形態において、大当たりの抽選は、始動入賞口14に打玉が入って、始動口スイッチで打玉の入賞が検出されると、カウンタランダムカウンタC_RND1は、カウント数を抽出するものであって、その抽出されたカウント数により(例えば、「7」および「7」以外であれば)、大当たり状態および外れを発生させることが事前に決定されるものであり、画像表示領域9内の特別図柄の画像は、スクロールされて、一定時間経過後に停止され、大当たり図柄の組合せで停止した場合には、大当たり状態に移行するものであり、カウンタランダムカウンタC_RND1以外に、大当たり外れを抽選するカウンタはない。一方、引用例2において、再度そのランダムカウンタC_RND1を用いるとの記載はないから、引用例2の制御装置は、再変動を含む変動開始後において再抽選を行っておらず、「変動開始後の演出用キャラクタの表示はあたかも再抽選を行ったかに見える表示を表現している」ということができ、「再抽選表示を行っている」といえる。
3)引用例2において、「数字図柄」および「演出用キャラクタ」は、その表示機能から見て、本願発明の「主図柄」、「副図柄」に相当しているといえ、かつ、引用例2において「遊技制御基板と表示制御基板等」は、本願発明の「制御装置」を構成していることは明らかである。

以上の記載事項イ?記載事項ホ及び図面並びに上記1)?3)から、引用例2には以下の発明が記載されていると認められる。(以下、「引用例2発明」という。)

「 制御装置が、変動開始後における主図柄に対して、副図柄の位置を変化させることによって再抽選表示を行う遊技機。 」

(2)対比
引用例1発明と本願発明を対比すると、引用例1発明の「特別図柄表示装置13」は本願発明の「図柄表示器」に相当し、以下同様に、「制御装置24」は「制御装置」に、「停止表示する」は「特定した」に、それぞれ相当している。
そして、引用例1発明については、以下のことがいえる。
1) 記載事項5の「【0075】・・・【0076】但し、この飛び越しに際しては、それまで相互に重なりあうよう表示されていた数字図柄N1?N8及びキャラクタDG1?DG8が、一時的に離間表示される。より詳しくは、まずキャラクタDG1?DG8が障害物たる丸太を飛び越すべく、数字図柄N1?N8から離間表示され、その後、それに追従するようにして数字図柄N1?N8も丸太を飛び越し、再度元の状態(相互に重なり合った状態)に復帰する。」なる記載に基づけば、数字図柄N1?N8とキャラクタDG1?DG8は、互いに離間表示可能な状態で図柄17A?図柄17Hを構成している。
また、記載事項6の「【0079】・・・
【0084】次に、制御装置24は、ステップS1452において、表示部13aにおいて、キャラクタDG1?DG8の再変動を行う。すなわち、図21(b)に示すように、上・中・下の各図柄列14?16において、キャラクタDG1?DG8が右から左へ移動しているかの如く表示を行う。・・・また、確変モードに関連する「ドーベルマン」のキャラクタDG1、「プードル」のキャラクタDG3、「土佐犬」のキャラクタDG5、又は「ブルドッグ」のキャラクタDG7の表示色を、他のキャラクタDG2,DG4,DG6,DG8との区別を容易ならしめるために目立つ色に変更したりするといった処理も実行される。
【0085】さらに、続くステップS1453において、制御装置24は、前記キャラクタDG1?DG8の変動を停止表示する。・・・そして、当該停止表示により、遊技者は、大当たり終了後における遊技モードが通常モードであるのか、或いは確変モードであるのかを認識する。」なる記載に基づけば、数字図柄N1?N8とキャラクタDG1?DG8は互いに離間表示可能であり、キャラクタDG1?DG8は、表示部13aにおいて移動可能であり、遊技モードが確変モードである場合には、キャラクタDG1?DG8のうち、確変モードに関連するキャラクタ、ドーベルマンDG1、プードルDG3、土佐犬DG5、ブルドックDG7の表示色を、他のキャラクタDG2、DG4、DG6、DG8と区別を容易にするために、目立つ色に変更される。
そうすると、キャラクタDG1?DG8は、数字図柄N1?N8と組合わされて、当たり又は外れを表現し、当たりの場合には、確変モードと通常モードであるか否かを示す遊技モードを表現するために用いられているのであるから、「数字図柄N1?N8」を「主図柄」、「キャラクタDG1?DG8」を「副図柄」、「図柄17A?図柄17H」を「主副図柄の組合せ」ということができる。
2) また、上記記載事項6の「【0079】・・・【0080】・・・ステップS120(「リーチ動作処理ルーチン」)の処理を実行した後、制御装置24は、・・・中図柄列15での図柄変動を停止させる。【0081】・・・制御装置24は、・・・再変動処理を実行する。詳しくは、再変動処理を実行する条件が成立しているか否かを判定し、再変動処理実行条件が成立している場合には、・・・全図柄列14?16の図柄17A?17H,17Kを同時に再変動させる。そして、所定条件が成立した後、全図柄列14?16の図柄17A?17Lを停止させる。【0082】さて、再変動処理を行った後、制御装置24は、・・・図柄17A?17H(数字図柄N1?数字図柄N8)の組合せが大当たりの組合せであるかを判定する。・・・【0083】・・制御装置24は、次回の(大当たり状態終了後の)遊技に際しての遊技モードを示唆する処理を実行する。・・・まず制御装置24は表示部13aの大当たり状態となっている図柄17A?17H、17Kのうち、数字図柄N1?N8を消去するとともに、図柄17Kをも消去する。・・・【0084】次ぎに、制御装置24は、・・・表示部13aにおいて、キャラクタDG1?DG8の再変動を行う。・・・また、確変モードに関連する「ドーベルマン」のキャラクタDG1、・・・・の表示色を、他のキャラクタDG2、・・・との区別を容易にならしめるために目立つ色に変更したりするといった処理も実行される。【0085】・・・制御装置24は、前記キャラクタDG1?DG8の変動を停止表示する。・・・当該停止表示により、遊技者は、大当たり終了後における遊技モードが通常モードであるのか、或いは確変モードであるのかを認識する。」、記載事項7の「【0095】・・・そして、決定された遊技モードは、最終的に停止されたキャラクタDG1?DG8に基づいて遊技者に対し示唆される。つまり、遊技者は大当たり状態の発生を確認した後、大当たり図柄(N1?N8)ではなく、その後再変動停止されるキャラクタDG1?DG8に基づいて、遊技モードが決定されるかの如き感覚を覚える。・・・」、および記載事項8の「【0099】加えて、遊技モードを示唆するためのキャラクタDG1?DG8は、数字図柄N1?N8が最終的に停止された後、再度変動表示され、停止表示される。従って、大当たり状態の発生を確信することと、遊技モードを把握することとに時差が生じるため、当該遊技モードの示唆についての過程をわくわくしながら堪能することができる。」なる記載に基づけば、引用例1発明においては、内部乱数カウンタCIで大当たり値を抽選した後、数字図柄N1?N8とキャラクタDG1?DG8からなる図柄17A?17Hと図柄17Kの図柄の組合せで特別図柄表示装置13において一旦停止させ、次いで、その図柄の組合せは再変動処理が実行されて再変動表示され、その後、制御装置24は、図柄17A?17H(数字図柄N1?N8)の組合せが、大当たりの組合せであるかを判定して、大当たり図柄である場合には、次回の遊技モードを示唆する処理を実行するために、大当たり図柄である図柄17A?17Hのうちの数字図柄N1?N8を消去するとともに図柄17Kを消去して、キャラクタDG1?DG8のみが表示され、次いで、キャラクタDG1?DG8は再変動され、かつ、表示色が変更されて、再変動を停止させるものである。
ところで、引用例1における「再変動」も「変動」に含まれるから、制御装置24は、再変動開始後に数字図柄N1?N8とキャラクタDG1?DG8からなる図柄17A?図柄17Hで表示を行っていることは明らかであり、また、引用例1発明の「確変モードに関連するキャラクタが表示される場合には、制御装置24が特別図柄表示装置13で表示された数字図柄N1?N8と、目立つ色に変更でき、かつ、変動表示される図柄から離間表示可能なキャラクタDG1、DG3、DG5又はDG7との組合せにより停止表示し、」は、確定図柄を構成する数字図柄N1?N8とキャラクタDG1、DG3、DG5又はDG7との組合せにより特別図柄表示装置13に停止表示しているのであるから、本願発明の「当たり又は外れの遊技の確定されたことを表現する確定図柄を構成する主副図柄の組合せを特定し」と言い換えできることも明らかである。
そして、引用例1発明の「制御装置24」、「数字図柄N1?N8」、「キャラクタDG1?DG8」、「特別図柄表示装置13」、「図柄17A?図柄17H」および「停止表示」は、本願発明の「制御装置」、「主図柄」、「副図柄」、「図柄表示器」、「図柄の組合せ」および「特定した」にそれぞれ相当している。
そうすると、引用例1発明の「制御装置24が特別図柄表示装置13に変動表示される図柄17A?図柄17Hを数字図柄N1?N8とキャラクタDG1?DG8とで構成し、制御装置24が再変動処理を実行し、再変動処理を行った後、確変モードに関連するキャラクタが表示される場合には、制御装置24が特別図柄表示装置13で表示された数字図柄N1?N8と、目立つ色に変更でき、かつ、変動表示される図柄から離間表示可能なキャラクタDG1、DG3、DG5又はDG7との組合せにより停止表示し、」なる構成は、「制御装置が変動開始後における主図柄と副図柄によって表示を行い、その後、制御装置が図柄表示器で表示された図柄の組合せによる当たり又は外れの遊技の確定されたことを表現する確定図柄を構成する主副図柄の組合せを特定した」なる構成と実質的に言い換えできる。

以上1)?2)を考慮すると、本願発明と引用例1発明は、以下の点で一致するとともに相違している。

<一致点>
「図柄表示器と制御装置とを備え、制御装置が図柄表示器に変動表示される図柄を主図柄と副図柄とで構成し、制御装置が変動開始後における主副図柄と副図柄によって表示を行い、その後、制御装置が図柄表示器で表示された図柄の組合せによる当り又は外れの遊技の確定されたことを表現する確定図柄を構成する主副図柄の組合せを特定した遊技機の図柄表示器。」

<相違点>
制御装置が変動開始後における主副図柄と副図柄によって行う表示を、本願発明においては、主図柄と副図柄の相対位置を変化させて再抽選表示とするのに対して、引用例1発明は、主図柄と副図柄との相対位置を変化させるものでなく、かつ、再抽選表示であるか否か不明である点。

(3)判断
上記相違点について、検討する。
引用例2発明は、 「 制御装置が、変動開始後における主図柄に対して、副図柄の位置を変化させることによって再抽選表示を行う遊技機。 」である。
そして、引用例1発明および引用例2発明はともに、遊技機の主副図柄の組合せを用いて、遊技者に当たり又は外れの遊技が確定されたことを表現している点で共通するのであるから、両者の間で相互に技術利用することに格別の困難性を見出せない。
そうすると、引用例1発明の副図柄であるキャラクタに代えて、引用例2発明の副図柄である演出用キャラクタを採用する際に、制御装置が、変動開始後における主図柄と副図柄との相対位置を変化させることによって再抽選表示を行うようにすること、すなわち、本願発明の上記相違点に係る構成となすことは、当業者が容易になし得る程度のことということができる。

(4)作用効果
よって、本願発明は、引用例1発明および引用例2発明に基づいて、当業者が容易に想到することができたものであり、本願発明によって奏する効果も、引用例1発明および引用例2発明に基づいて、普通に予測できる範囲内のものであって格別のものがあると認められない。

(5)むすび
以上のとおり、本願発明は、引用例1発明および引用例2発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2008-11-27 
結審通知日 2008-12-02 
審決日 2008-12-25 
出願番号 特願2000-345656(P2000-345656)
審決分類 P 1 8・ 561- Z (A63F)
P 1 8・ 121- Z (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 伊藤 陽  
特許庁審判長 三原 裕三
特許庁審判官 ▲吉▼川 康史
小原 博生
発明の名称 遊技機の図柄表示装置  
代理人 宮園 純一  

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