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審決分類 審判 査定不服 (159条1項、163条1項、174条1項で準用) 特許、登録しない。 A63F
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F
管理番号 1192698
審判番号 不服2006-17937  
総通号数 112 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2009-04-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2006-08-17 
確定日 2009-02-12 
事件の表示 平成 7年特許願第252667号「パチンコ機の電飾装置」拒絶査定不服審判事件〔平成 9年 4月 8日出願公開、特開平 9- 94322〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由
第一、手続きの経緯
本願は、平成7年9月29日の出願であって、平成18年4月4日付けで拒絶理由が通知され、これに対し、平成18年6月8日付けで手続補正がなされ、同年7月12日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、同年8月17日に拒絶査定不服の審判請求がなされるとともに、同年9月15日付け手続補正によって明細書の一部が補正されたものである。

第二、平成18年9月15日付けの手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成18年9月15日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。
[理由]
(第二、1)補正の目的について
本件補正は、平成18年6月8日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲の、
「 【請求項1】 機枠の内部に組み付けられるゲージ盤が遊技板と遊技板の前面に結合されたセルシートと遊技板の裏面に取り付けられたドライバー回路とを備え、セルシートが光透過性の表面パネルの裏面に非発光表示部とエレクトロルミネセンスランプからなる発光表示部とからなるデザイン図を有し、遊技板の裏面にはドライバー回路がゲージ盤のアウト口や機枠の賞球払い出し口を避けるように横方向に位置をずらして取り付けられ、ゲージ盤の下縁のドライバー回路より真下となる位置には凹部が下側および前後側に開口する形状に形成され、ドライバー回路とエレクトロルミネセンスランプとを接続する電線が凹部の内部を通してゲージ盤の表裏に跨がって配線されたことを特徴とするパチンコ機の電飾装置。」
を以下のように補正するものである。

「 機枠の内部に組み付けられるゲージ盤が遊技板と遊技板の前面に結合されたセルシートとを備え、セルシートが光透過性の表面パネルの裏面に非発光表示部とエレクトロルミネセンスランプからなる発光表示部とからなるデザイン図を有し、遊技板の裏面にはドライバー回路がゲージ盤のアウト口や機枠の賞球払い出し口を避けるように横方向に位置をずらして取り付けられ、ゲージ盤の下縁のドライバー回路より真下となる位置には凹部が下側および前後側に開口する形状に形成され、上記遊技板の裏面に取り付けられたドライバー回路と上記遊技板の前面に結合されたエレクトロルミネセンスランプとを接続する電線が上記凹部から下側に出っ張ることなく当該凹部の内部を通ってゲージ盤の表裏に跨がって配線されたことを特徴とするパチンコ機の電飾装置。」(下線は当審で記載)

本件補正の前後において、「ドライバー回路」は「遊技板の裏面に取り付けられ」、遊技板の前面に結合されたセルシートに備えられている「エレクトロルミネセンスランプ」は「遊技板の前面に結合され」ているから、「ドライバー回路」及び「エレクトロルミネセンスランプ」と遊技板との関連構成について相違する技術事項は認められない。
また、「ゲージ盤の表裏に跨がって配線された電線」について、「凹部」は下側に開口する形状に形成されているから、本件補正前の「凹部の内部を通して配線された」と本件補正後の「凹部から下側に出っ張ることなく当該凹部の内部を通って配線された」との間に相違する技術事項は認められない。
(第二、2)むすび
以上のとおり、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項各号に規定する、請求項の削除、特許請求の範囲の減縮、誤記の訂正、及び明りょうでない記載の釈明のいずれをも目的とするものでないことは明らかであるから、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第三、本願発明について
平成18年9月15日付けの手続補正は上記のとおり却下すべきものとなったので、本願の請求項1に係る発明は、平成18年6月8日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載されたとおりのものであり(以下、「本願発明」という。)、その内容は、上記(第二、1)に記載のとおりのものである。

(第三、あ)刊行物に記載された発明
刊行物1;特開平7-108084号公報(平成7年4月25日公開)
刊行物2;特開平6-86858号公報

原査定の拒絶理由通知に引用された特開平7-108084号公報(以下、「引用刊行物1」という。)には、以下の記載がある。
(1-1)「【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、種々の形象を施した化粧シートを盤面に設けて成るパチンコゲーム機に関する。」、
(1-2)「【0004】本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、盤面の意匠に対して形状及び色彩の他に光による照明という要素を加えることができると共に、その照明箇所を任意に選択することができるようになって、盤面の意匠による演出効果を大幅に向上させ得るなどの効果を奏するパチンコゲーム機を提供することにある。」、
(1-3)「【0019】
【実施例】以下、本発明の第1実施例について図1?図4を参照しながら説明する。パチンコゲーム機の正面外観を示す図4において、パチンコゲーム機1は、機枠2の前面側に、盤面3、上皿4、下皿5、パチンコ玉発射機構の操作ダイヤル6などを備えた構成となっている。
【0020】上記盤面3には、例えば・・・電動チューリップ8aを備えたスタート入賞孔8、・・・例えば3桁の数字列を表示するためのメインデジタル表示器13、・・・などが設けられている(釘は図示されていない)。また、盤面3には、その全体に散在するようにして着色された状態の種々の形象が施されているものであり、図1(当審注:「図4」の誤記と認められる)には、本発明の要旨に関係した例えば4個の形象15a?15dのみを図示している。・・・」、
(1-4)「【0023】・・・即ち、図1に示すように、盤面3は、ベニヤ板より成る基板16上に、面状発光体としてのエレクトロルミネセンスパネル(以下ELパネルと略称)17を配置すると共に、このELパネル17上に前記形象15a?15dを施したプラスチック製化粧シート18を重ね合わせた構成となっている。」、
(1-5)「【0027】即ち、図2において、ELパネル17は、盤面3の略全域に渡る大きさ(若しくはこれに近い大きさ)に形成されるものであり、前記形象15a?15dに対応した位置に、対応する各形象と近似した形状(同一形状でも可)の透明電極を形成することにより、個別に発光可能な4個の発光部19a?19d(理解を容易にするために図2では斜線帯を施して示す)を設けて成る。また、各発光部19a?19dを構成する透明電極に接続される導電パターン20a?20dは、ELパネル17の端縁部においてフレキシブル配線基板より成る給電線21に接続されており、この給電線21にはELパネル17の背面側に位置した共通電極も接続される構成となってる。尚、ELパネル17には、図示しないDC-ACインバータから上記給電線21を通じて給電されるようになっている。」、
(1-6)「【0029】図1に翻って、前記化粧シート18は、少なくとも前記形象15a?15d(図1では形象15a、15のみ図示)に対応した部分が透光性を備えた状態に形成されるものであり、従って、各形象15a?15dに対応した発光部19a?19dの発光に応じて対応する形象15a?15dを選択的に透過照明できることになる。
【0030】この場合、各発光部19aの発光モードは種々考えられるが、例えば、パチンコゲーム機1が定常状態にあるときには、形象15a?15cに対応した発光部19a?19c比較的遅い周期でサイクリックに発光され、このような定常状態時に、電動チューリップ8aが開放されたときには、その開放期間中だけ当該電動チューリップ8a周囲の形象15dに対応した発光部19dが間欠的に発光される構成となっている。また、メインデジタル表示器13が所謂リーチ状態(2桁分の表示数字の変動動作が停止した時点でそれらの数字が揃っている状態)を呈したときには、全部の発光部19a?19dが同時に点滅され、パチンコゲーム機1が大当たり状態となったときには、各発光部19a?19dが比較的早い周期でサイクリックに点滅される構成となっている。」。
(1-7)なお、【図1】及び【図2】には「基板16の上側から基板16の側方へ配された給電線21」が示されている。

したがって、これらの記載をまとめると、
引用刊行物1には、
「 機枠2の前面側に盤面3などを備えたパチンコゲーム機1において、
その全体に散在するようにして着色された状態の種々の形象が施されている前記盤面3は、ベニヤ板より成る基板16上に、面状発光体としてのエレクトロルミネセンスパネル(ELパネル)17を配置すると共に、このELパネル17上に4個の形象15a?15dを施したプラスチック製化粧シート18を重ね合わせた構成となっており、
前記化粧シート18は、少なくとも前記形象15a?15dに対応した部分が透光性を備えた状態に形成され、
前記ELパネル17は、前記形象15a?15dに対応した位置に、個別に発光可能な4個の発光部19a?19dを設けて成り、各発光部19a?19dはフレキシブル配線基板より成る給電線21に接続されており、DC-ACインバータから上記給電線21を通じて基板16の上側のELパネル17に側方から給電されるようになっているものであり、
パチンコゲーム機1が定常状態にあるときには、形象15a?15cに対応した発光部19a?19cが比較的遅い周期でサイクリックに発光され、電動チューリップ8aが開放されたときには、その開放期間中だけ当該電動チューリップ8a周囲の形象15dに対応した発光部19dが間欠的に発光され、メインデジタル表示器13が所謂リーチ状態を呈したときには、全部の発光部19a?19dが同時に点滅され、大当たり状態となったときには、各発光部19a?19dが比較的早い周期でサイクリックに点滅され、
各形象15a?15dに対応した発光部19a?19dの発光に応じて対応する形象15a?15dを選択的に透過照明できる、パチンコゲーム機1。」の発明(以下、「引用発明1」という。)が記載されていると認められる。

原査定の拒絶理由通知に引用された特開平6-86858号公報(以下、「引用刊行物2」という。)には、以下の記載がある。
(2-1)「【0035】玉寄せ部材の構造
次に、図3は本実施例の特徴部分である玉寄せ部材76の構造を示す図である。図3において、遊技盤13はベニアを素材として矩形に形成され、この遊技盤13の裏側に玉寄せ部材76がビスなどの固定手段によって固定されている。玉寄せ部材76は透明の樹脂製(例えば、ABS樹脂)で、遊技盤13の各入賞口に入ったセーフ玉を寄せて集める機能を有している。」、
(2-2)「【0037】一方、玉寄せ部材76の周縁部にも同様の複数の切り欠き部121?124が形成されており、切り欠き部121?124はU字形に周縁部を切り欠くようにして形成される。切り欠き部121?124は遊技盤13に取り付けられる電気部品から遊技盤13の裏面側に延びた配線(リード線)131?134を導出するものである。」、
(2-3)「【0040】図4は、上記切り欠き部での配線処理を具体的に説明する図であり、一例として玉寄せ部材76の周縁部に形成された1つの切り欠き部123の詳細を示している。図4に示すように、U字形に切り欠くようにして形成された切り欠き部123には、遊技盤13に取り付けられる電気部品(この場合は入賞装置181のセーフランプ181a)のコネクタから遊技盤13の裏面側に延びた配線(リード線)133が差し込まれている。・・・
【0041】配線133は切り欠き部123に差し込まれた後、玉寄せ部材76の後面側に設けられた配線処理部191を通して電気部品中継基盤161に接続されている。・・・
【0042】図5は遊技盤13の後面に玉寄せ部材76を取り付け、入賞装置181のセーフランプ181aのコネクタから遊技盤13の裏面側に延びた配線133を切り欠き部123に差し込んで配線処理部191を通して固定した様子を示している。このようにして配線133を切り欠き部123に差し込んで配線処理部191を通して固定した後、図6に示すように基枠体80を遊技盤13に取り付ける。・・・」、
(2-4)「【0049】なお、玉寄せ部材における切り欠き部の数や配置場所、形状などは上記実施例のようなタイプに限定されず、本発明の目的の範囲内で各種の変形が可能である。」、
(2-5)「【0053】
【発明の効果】本発明によれば、役物装置を裏面側に突出させるために玉寄せ部材に形成された中央開口部を利用し、該中央開口部の縁部あるいは玉寄せ部材の周縁部のうちの少なくとも一方に切り欠き部を形成し、この切り欠き部を通して電気部品から遊技盤裏面側に延びたリード線を導出しているので、リード線を単に切り欠き部に差し込むのみでよいから(従来のように穴を通すような面倒さがない)、配線処理を簡単にすることができ、玉寄せ部材の組み立て又は取り外しのときの作業性を向上させることができる。」。
(2-6)また、【図3】乃至【図6】には、「左側周縁部に、周縁側および表裏側に開口する形状に切り欠き部123が形成された玉寄せ部材76であって、該切り欠き部123の内部を通して玉寄せ部材76の表裏に跨がって配線(リード線)133が配線された玉寄せ部材76」の技術事項が示されている。

したがって、引用刊行物2には、
「遊技盤13の裏側に固定され、
左側周縁部に、周縁側および表裏側に開口する形状に切り欠き部123が形成された玉寄せ部材76であって、
該切り欠き部123の内部を通して玉寄せ部材76の表裏に跨がって配線(リード線)133が配線され、
前記切り欠き部123の配置場所は上記の左側周縁部に限定されず、変形が可能であり、配線処理を簡単にすることができる玉寄せ部材76。」の発明(以下、「引用発明2」という。)が記載されていると認められる。

(第三、い)本願発明と引用発明1との比較・検討
(い-1)引用発明1の「機枠2」は、本願発明の「機枠」に相当し、以下同様に、「盤面3」は「ゲージ盤」に、「ベニヤ板より成る基板16」は「遊技板」に、「4個の発光部19a?19d」は「エレクトロルミネセンスランプ」に、「給電線21」は「電線」に、「パチンコゲーム機1」は「パチンコ機」に、それぞれ相当する。
(い-2)引用発明1の「盤面3、ベニヤ板より成る基板16、面状発光体としてのELパネル17、プラスチック製化粧シート18」について検討すると、「盤面3は、基板16上に、ELパネル17を配置すると共に、このELパネル17上に、形象15a?15dを施した化粧シート18を重ね合わせた構成」、即ち「盤面3は、基板16上に化粧シート18を備え」た構成となっているから、引用発明1は本願発明の「ゲージ盤が遊技板と遊技板の前面にセルシートとを備え」に相当する事項を有している。また、「4個の形象15a?15dを施した化粧シート18」は、「ELパネル17上に重ね合わせた構成となって」いるのであるから「表面パネル」の形態を有していることは技術常識から明らかである。そうすると、引用発明1は本願発明の「セルシートが表面パネルに発光表示部を有し」に相当する事項を備えているといえる。
(い-3)引用発明1の「給電線21」はELパネル17に設けられた4個の発光部19a?19に接続されているから、引用発明1は本願発明の「エレクトロルミネセンスランプと接続する電線が配線された」に相当する事項を備えているといえる。また、「給電線21」は基板16の上側のELパネル17に側方から給電されるのであるから、本願発明の「ゲージ盤の表裏に跨って配線され」と比較して「遊技板の表側に配線され」に対応する事項を備えているといえる。
(い-4)引用発明1の「4個の形象15a?15d」はパチンコゲーム機1の遊技状態の変化に伴い、「発光部19a?19dの発光に応じて選択的に透過照明」されるのであるから、引用発明1は本願発明の「エレクトロルミネセンスランプからなる発光表示部」に相当する事項、及び「パチンコ機の電飾装置」に相当する事項を備えているといえる。

そうすると、本願発明と引用発明1との一致点及び相違点は次のとおりである。

一致点
ゲージ盤が遊技板と遊技板の前面にセルシートとを備え、セルシートが表面パネルにエレクトロルミネセンスランプからなる発光表示部を有し、エレクトロルミネセンスランプと接続する電線が遊技板の表側に配線された、パチンコ機の電飾装置。

相違点1
ゲージ盤が、本願発明では機枠の内部に組み付けられるのに対し、引用発明1では機枠の前面側に備えられる点
相違点2
セルシートが、本願発明では遊技板の前面に結合され、光透過性の表面パネルの裏面に非発光表示部と発光表示部とからなるデザイン図を有しているのに対し、引用発明1では遊技板の前面に備えられ、表面パネルに発光表示部を有するものの、非発光表示部を有しているか否か不明な点
相違点3
本願発明では、遊技板の裏面にはドライバー回路がゲージ盤のアウト口や機枠の賞球払い出し口を避けるように横方向に位置をずらして取り付けられているのに対し、引用発明1ではそのような構成を有するかどうか明らかでない点
相違点4
エレクトロルミネセンスランプと接続する電線が、本願発明では、ゲージ盤の下縁のドライバー回路より真下となる位置に下側および前後側に開口する形状に形成された凹部の内部を通してゲージ盤の表裏に跨がって配線され、ドライバー回路と接続されるのに対し、引用発明1では遊技板の表側から側方に配線され、DC-ACインバータに接続される点

そこで、上記相違点について検討する。
相違点1について
ゲージ盤と機枠との取付構造をどのようなものとするかは、パチンコ機組立時の作業性や点検時の作業容易性などを考慮して定めることが通常であって、枠状部材の内部に盤状体を取り付けることはパチンコ機においては多用されている事項にすぎないから、引用発明1に基づいて当該相違点1に係る本願発明を特定する事項とすることは、当業者が容易になし得たものである。
相違点2について
遊技板と遊技板の前面に備えられたセルシートとを結合させることは、パチンコ機組立時の作業性や点検時の容易性などを考慮して普通に行われている事項にすぎず、また、裏面に非発光表示部と発光表示部とからなるデザイン図を有する光透過性の表面パネルは、例えば、特開平6-210050号公報に示された「裏面に図柄に加え発色図柄を付加形成した透明セルロイド板」(段落【0011】及び【0012】参照)及び実公平6-140号公報に示された「背面側に形成された絵柄の一部を点灯可能な透明フィルム2」(公報第2頁第3欄第36行乃至第40行、及び第2頁第4欄第34行乃至第38行、並びに【第1図】参照)のように、当該技術分野において周知・慣用の技術であるから、引用発明1のセルシートに上記周知・慣用の技術を適用し、当該相違点2に係る本願発明を特定する事項とすることは、当業者が容易になし得たものである。
相違点3について
遊技板に設けられた各種の部品を駆動するためのドライバー回路を、パチンコ球の流れる通路近傍を避けるように横方向に位置をずらして遊技板の裏面に取り付けることは、例えば、特開平5-184722号公報に示された「賞品玉放出樋225に対応しない位置で遊技盤216の裏面に装着され、基板ボックス235に収納された制御回路基板」(段落【0055】及び【0057】並びに【図16】参照)及び実公平1-33104号公報に示された「賞品玉放出樋25に相対しない位置で遊技盤16の裏面に装着され、基板ボックス35に収納された回路基板」(公報第3頁第5欄第44行乃至第6欄第2行、及び第3頁第6欄第25行乃至第28行、並びに第1A図参照)のように、当該技術分野においては周知・慣用の技術である。そして、パチンコ機組立時において、パチンコ機を構成する各種の部品を限られたスペース内に各種の部品の機能を阻害しないように効率良く配置することは技術常識にすぎないから、ドライバー回路を取り付ける際に、上記周知・慣用の技術における「賞品玉放出樋」と同様にパチンコ球が流下する「アウト口や賞球払い出し口」を避けるように横方向に位置をずらして取り付けること、即ち、当該相違点3に係る本願発明を特定する事項とすることは、当業者が容易になし得たものである。
相違点4について
引用発明2には、「板状体(玉寄せ部材76)左側周縁部に、周縁側および前後側(表裏側)に開口する形状に凹部(切り欠き部123)が形成され、該凹部の内部を通して板状体表裏に跨がって電線(配線(リード線)133)が配線された板状体」が記載されている。また引用発明2の凹部の配置場所は限定されず、板状体の下縁が周縁部であることに相違はなく、かつ、電線を凹部に配線する機能を果たす点において相違はないから、電線が配線される凹部を板状体の下縁に設けることは、引用発明2に基づいて当業者が容易になし得ることである。そして、遊技板の裏面にドライバー回路を設けることは上記「相違点3について」に記載したとおり、当該技術分野においては周知・慣用の技術であるから、引用発明2の「凹部が形成された板状体」を引用発明1の「ゲージ盤(盤面3)」に適用し、当該相違点4に係る本願発明を特定する事項とすることは、当業者が容易になし得たものである。

また、効果においても、引用発明2は「配線処理を簡単にすることができる」ものであるから、本願発明が格別の効果を奏するものとは認められない。

(第三、う)むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明1及び2、並びに周知・慣用技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。

 
審理終結日 2008-12-04 
結審通知日 2008-12-09 
審決日 2008-12-24 
出願番号 特願平7-252667
審決分類 P 1 8・ 121- Z (A63F)
P 1 8・ 56- Z (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 納口 慶太  
特許庁審判長 三原 裕三
特許庁審判官 川島 陵司
▲吉▼川 康史
発明の名称 パチンコ機の電飾装置  
代理人 宮園 純一  

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