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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 E04C
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 E04C
管理番号 1193158
審判番号 不服2007-7121  
総通号数 112 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2009-04-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2007-03-08 
確定日 2009-02-19 
事件の表示 特願2003-578134「石膏ボード及び該石膏ボードの製造方法」拒絶査定不服審判事件〔平成15年10月 2日国際公開、WO03/80329〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 【1】手続きの経緯
本願は、平成15年3月25日(優先権主張2002年3月27日、日本国)を国際出願日とする出願であって、平成19年1月30日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、平成19年3月8日付けで審判請求がなされるとともに、同日付けで手続補正がなされたものであって、当審にて、平成20年9月5日付けで審査官による前置報告書を提示するとともに請求人の意見を求めるため審尋したところ、平成20年11月7日付けで回答書が提出されたものである。

【2】補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
平成19年3月8日付けの手続補正を却下する。

[理由]
1.補正の内容・目的
平成19年3月8日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)は、特許請求の範囲の請求項1について、出願当初に、

「表面、裏面、二つの対向する側面及び二つの対向する端面を有する石膏コア、並びに前記石膏コアの前記表面、前記裏面、及び前記二つの対向する側面を被覆するカバー原紙、を含む石膏ボードにおいて、
前記石膏コアは、
前記カバー原紙で被覆された前記側面を含む高密度ハードエッジ部、
前記カバー原紙で被覆された前記表面又は前記裏面を含み、前記高密度ハードエッジ部の密度と実質的に等しい密度を有する少なくとも一つの高密度部、及び
前記高密度ハードエッジ部及び前記高密度部の密度よりも低い密度を有し、前記高密度ハードエッジ部及び前記高密度部に内接する中央低密度部を含み、
前記高密度ハードエッジ部が、前記石膏ボードを固定する釘が打たれる前記側面に沿った所定の位置に掛からないように形成された石膏ボード。」
とあったものを、

「表面、裏面、二つの対向する側面及び二つの対向する端面を有する石膏コア、並びに前記石膏コアの前記表面、前記裏面、及び前記二つの対向する側面を被覆するカバー原紙、を含む石膏ボードにおいて、
前記石膏コアは、
前記カバー原紙で被覆された前記側面を含む高密度ハードエッジ部、
前記カバー原紙で被覆された前記表面又は前記裏面を含み、前記高密度ハードエッジ部の密度と実質的に等しい密度を有する少なくとも一つの高密度部、及び
前記高密度ハードエッジ部及び前記高密度部の密度よりも低い密度を有し、前記高密度ハードエッジ部及び前記高密度部に内接する中央低密度部を含み、
当該石膏ボードの幅の方向における前記ハードエッジ部の幅は、0.1mm乃至10.0mmであり、
前記高密度ハードエッジ部が、前記石膏ボードを固定する釘が打たれる前記側面に沿った所定の位置に掛からないように形成された石膏ボード。」
と補正しようとするものである。

本件補正は、請求項1に係る発明を特定するために必要な事項である「ハードエッジ部の幅」について「0.1mm乃至10.0mm」とその寸法の範囲を限定したものと認められるから、本件補正は、少なくとも、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とする補正事項を含むものである。

そこで、上記本件補正後の請求項1に係る発明(以下、「本件補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか、すなわち、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項に規定する要件を満たしているか、について以下に検討する。

2.特許法第29条第2項違反について
2-1.引用刊行物
(1)刊行物1
原査定の拒絶の理由に引用され、本願優先日前に頒布された、特開平8-112808号公報(以下、「刊行物1」という。)には、図面とともに、以下の記載がある。
(1a)「【請求項8】 ・・・石膏ボード用原紙のロールコーティング方法において、
前記塗布ロールから前記石膏ボード用原紙の搬送方向上流側で、前記石膏ボード用原紙の上面に高比重の泥漿を供給し、
高比重の泥漿を前記所定間隔を通過させることにより、前記石膏ボード用原紙の幅方向に展延させて、高比重の泥漿の薄層を形成し、
前記塗布ロールを石膏ボード用原紙の搬送方向と逆方向に回転させることにより、前記所定間隔を通過しない高比重の泥漿を前記塗布ロールのロール面に沿って前記石膏ボード用原紙の搬送方向上流側に戻す、ことを含むことを特徴とする石膏ボード用原紙のロールコーティング方法。
【請求項9】 高比重の泥漿の展延の際の余剰の泥漿を、前記塗布ロールの端と前記石膏ボード用原紙の縁との間に形成された非展延部を通過させることをさらに含む請求項8に記載の石膏ボード用原紙のロールコーティング方法。
【請求項10】 (省略)
【請求項11】 (省略)
【請求項12】 請求項8又は請求項9のいずれか1項に記載のロールコーティング方法を石膏ボードの上紙及び/ 又は下紙に施し、
前記上紙及び前記下紙にそれぞれ形成された高比重の泥漿の薄層の間に低比重の泥漿を供給して、積層体を形成し、
該積層体を乾燥させる、ことを含む石膏ボードの成形方法。
【請求項13】 前記積層体形成前に、下紙の両縁部をその長手方向に沿って上方に折り曲げて、非展延部からの泥漿のせき止め部を形成することを含む請求項12に記載の石膏ボードの成形方法。」(【請求項8】乃至【請求項13】)

(1b)「【従来の技術】 ・・・石膏ボードは、石膏を主体とする芯を石膏ボード用原紙(以下、単に原紙という)で被覆してなる板状体であり、製造に際して、・・・焼石膏スラリー(以下、泥漿という)を下側の原紙に流し込みながら、該原紙の両端側のそれぞれの一部分を石膏ボードの裏面側に至るように折り曲げ、該裏面側になる原紙面に上側原紙の側面に付けた糊部分が重なるようにして成形機を通し、上下の原紙で幅方向に展延された原紙上の泥漿を被覆して板状に成形し、しかる後、硬化後に粗切断し、強制乾燥後に製品寸法に切断される。(中略)
又、石膏ボードの接着に関わる製造上の大きな要因として石膏ボードの乾燥が挙げられる。即ち、強制乾燥工程における石膏ボードは、一般に、石膏ボードの幅方向中央部分の乾燥速度よりも石膏ボードの縁部分又は縁部領域の乾燥速度の方が比較的速い。このため、その縁部分や縁部領域に乾燥過剰による強度低下や接着不良(ドライアウト)が発生し易い。かかるドライアウトの防止対策として、例えば、US2762738号公報には、石膏ボードの成形に際し、主ミキサーから流し込んだ下紙上の泥漿の両端部に、下紙の両端部の上方にそれぞれ設けた副ミキサーから高比重の泥漿を流し石膏ボードを成形し、該ボード端部のコア比重を中央部の比重より大きくすることによって、ドライアウトを防止する技術が開示されている。」(段落【0002】?【0003】)

(1c)「・・・原紙搬送手段によって下紙をその長手方向に搬送するとともに、泥漿供給手段12によって塗布ロール14から下紙の搬送方向上流側で、前記下紙の上面に泥漿を供給することにより、下紙の上面の泥漿は、下紙の上面と塗布ロール14のロール面の下端の間に形成された展延部20に到る。・・・泥漿はロール面の下端によって、下紙の幅員方向に展延され、それによって下紙の表面全体に亘って泥漿の薄層を形成することが可能になる。又、余剰の泥漿は、塗布ロール14両端側に形成された非展延部20を通り、塗布ロール14の両端からはみ出し、下紙の縁部(両端部を折り曲げた場合の石膏ボードの縁部)に流れ込むことができ、泥漿を高比重のものにすれば、副ミキサー等別個の装置を設けることなく、簡単に縁部の泥漿を高比重とし、それによってドライアウトを防止することができる。」(段落【0018】)

(1d)「・・・図2は、石膏ボードの成形工程を部分的且つ概略的に示す工程説明図である。石膏ボード用原紙の下紙110が生産ラインに沿って搬送される。・・・焼石膏、接着助剤、効果促進剤、添加剤等の粉体、泡及び水がミキサー120に供給され、ミキサー120はこれらの原料を混練し、高比重の泥漿130を管路140、150を介してロールコーター100から搬送方向上流側で下紙110及び上紙160上に供給する。下紙110及び上紙160上の泥漿はそれぞれロールコーター100の展延部20に到り、ここで前述のように展延され、高比重の泥漿130の薄層と縁部領域とが下紙110上に、薄層が上紙160上に形成される。下紙110は、そのまま搬送され、上紙160は転向ローラ170によって下紙110の搬送ライン方向に転向され、ともに成形ローラ180に達する。ここで、各紙110、160の上に形成された薄層の間に、ミキサー120から管路190を介して低比重の泥漿200を供給し、かくして、下紙110、泥漿200、上紙160からなる3層構造の連続的な積層体が形成され、該積層体は硬化しつつ、粗切断カッター(図示せず)に達する。粗切断カッターは、連続的な積層体を所定長さの板体に切断し、かくして、石膏を主体とする芯を石膏ボード用原紙で被覆してなる板状体、即ち、石膏ボードの原材料が形成される。粗切断された積層体は更に、乾燥機(図示せず)に通され、強制乾燥され、しかる後、所定の製品長に切断され、かくして石膏ボード製品が製造される。」(段落【0020】)

(1e)「・・・ 塗布ロール14の長手方向の長さは、原紙Aの幅より小さく、塗布ロール14の各端と原紙Aの各縁の間には、泥漿の非展延部20(図示せず)が形成されている。非展延部20の幅は、一般的には、10mm乃至50mmであるのが好ましい。従って、展延部20で原紙Aの幅方向に展延した泥漿は、非展延部20を通って塗布ロール14の両端からはみ出し、薄層の両端からそれぞれ原紙Aの縁部(両端部を折り曲げた石膏ボードの縁部)に流れ込むことができるようになっている。・・・」(段落【0015】)

そして、上記記載事項(1a)?(1d)の内容から、刊行物1に記載された石膏ボードの形成方法によって以下の石膏ボードが製造されることは当業者にとって明らかであるから、結局、刊行物1には、以下の石膏ボードの発明が記載されているものと認められる。

「石膏を主体とする芯を原紙(下紙、上紙)で被覆してなる板状体を乾燥して形成される石膏ボードであって、
下紙及び上紙の表面に展延され形成された高比重の泥漿の薄層と、下紙の表面に展延された高比重の泥漿の余剰分が下紙の両端部を折り曲げた縁部に流れ込んで形成された縁部領域、及び、前記縁部領域および下紙、上紙の高比重の泥漿の薄層の間に低比重の泥漿を供給して形成した低密度の部分からなる石膏ボード。」(以下、「刊行物1記載の発明」という。)

(2)刊行物2
本願優先日前に頒布された、特開2001-300933号公報(以下、「刊行物2」という。)には、以下の記載がある。
(2a)「主ミキサー4と副ミキサー7へ供給する予め発泡させた泡は、それぞれ希釈された発泡液中に空気が吹き込まれ、公知の装置を用いて公知の方法で製造される。また、発泡させた泡に水を添加した水泡も使用できる。副ミキサー7への泡または発泡剤の添加量は、石膏ボードを下地に釘・ビスなどでしっかりと固定するのに必要なASTM C473?92によるコア強度の測定値が8?20kgf(好ましくは、10?15kgf)になるように、石膏ボードの縁部のコア密度を0.64?0.81g/cm^(3)(好ましくは、0.68?0.77g/cm^(3))となるように調整する。この調整に際しては、副ミキサー7に投入する泡量は、濃度0.1?5.0重量%の0.2?4.5L/minの泡の液量に、エア量0?5L/minを吹き込んで得られる。なお、好ましくは、泡の液量が2?4L/minに対し、エア量0?2L/minとするのがよい。」(段落【0018】)

以上の記載から、刊行物2には、「石膏ボードを製造するに際して、石膏ボードを固定するために釘等を打つ個所を、釘打ち等に適した状態に形成すること」が記載されていると認められる。

2-2.対比・判断
本件補正発明と上記刊行物1記載の発明とを対比すると、刊行物1記載の発明の「石膏を主体とする芯」、「原紙(下紙、上紙)」、「高比重の泥漿の薄層」、「下紙の表面に展延された高比重の泥漿の余剰分が下紙の両端部を折り曲げた縁部に流れ込んで形成された縁部領域」及び「低比重の泥漿を供給して形成した低密度の部分」が、本件補正発明の「石膏コア」、「カバー原紙」、「高密度部」、「カバー原紙で被覆された側面を含む高密度ハードエッジ部」及び「中央低密度部」に相当している。
そして、刊行物1記載の発明の石膏ボードが板状体であることから考えると、その「石膏を主体とする芯」も板状体であり、板状という形状から、刊行物1記載の発明の「石膏を主体とする芯」は、本件補正発明と同様に「表面、裏面、二つの対向する側面及び二つの対向する端面を有」しているといえる。
そうすると、刊行物1記載の発明の該板状の「石膏を主体とする芯」の、表面、裏面、二つの対向する側面が上紙及び下紙によって被覆されていることは明らかである。

したがって、両者は、
「表面、裏面、二つの対向する側面及び二つの対向する端面を有する石膏コア、並びに前記石膏コアの前記表面、前記裏面、及び前記二つの対向する側面を被覆する原紙、を含む石膏ボードにおいて、
前記石膏コアは、
原紙で被覆された縁部領域を含む高密度ハードエッジ部、
前記カバー原紙で被覆された前記表面又は前記裏面を含み、前記高密度ハードエッジ部の密度と実質的に等しい密度を有する少なくとも一つの高密度部、及び
前記高密度ハードエッジ部及び前記高密度部の密度よりも低い密度を有し、前記高密度ハードエッジ部及び前記高密度部に内接する中央低密度部を含む、
石膏ボード。」
である点で一致し、以下の点で相違している。

(相違点1)
本件補正発明は、石膏ボードの幅の方向におけるハードエッジ部の幅が、0.1mm乃至10.0mmであり 高密度ハードエッジ部が、石膏ボードを固定する釘が打たれる側面に沿った所定の位置に掛からないように形成されているのに対して、刊行物1記載の発明は、ハードエッジ部の幅と石膏ボードを固定する釘が打たれる場所との関係について何ら特定されていない点。

上記相違点1について検討する。
本件補正発明及び刊行物1記載の発明である石膏ボードは、それ自体のみで作用効果を奏するものではなく、例えば建築用の内装材として建築物に固定してはじめてその作用効果を奏するものであって、「石膏ボード」を製造する上で固定する際の作業性等は常に考慮すべき事項である。
上記相違点1に係る本件補正発明の構成は、石膏ボードの幅方向におけるハードエッジ部の幅を、0.1mm乃至10.0mmとして、高密度ハードエッジ部が、石膏ボードを固定する釘が打たれる側面に沿った所定の位置に掛からないように形成するものであるが、ハードエッジ部の幅を、0.1mm乃至10.0mmとすることは、石膏ボードを固定する釘が打たれる側面に沿った所定の位置に掛からない程度の範囲を数値的に示したものであって、その数値自体には臨界的な意味はない。
そして、上記のように石膏ボードを製造する上で該石膏ボードを固定する際の作業性等を考慮して設計することは、当業者が当然行うべき設計事項に過ぎず、製造する石膏ボードがその外縁付近に釘等が打たれると想定される場合に、その部分を釘打ちに適した状態に製造することは、当業者が普通に行いうることであって(例えば、刊行物2)、石膏ボードに釘による固定が困難であるほどの高密度ハードエッジ部を形成するのであれば、取り付ける状況に応じて該高密度ハードエッジ部を釘が打たれる側面に沿った所定の位置に掛からないように、ハードエッジ部の幅を0.1mm乃至10.0mm程度に小さくすることは、当業者が適宜なし得た設計事項である。
また、予め固定する対象が決まっていない石膏ボードを製造するに際しても、汎用性を高めるべく釘の打てる範囲をできるだけ広めるために、(釘による固定が困難であるほどの)高密度ハードエッジ部をできるだけ小さくすることは当業者が適宜なし得た設計事項に過ぎない。
さらに、上記相違点1に係る構成を備える本件補正発明の効果も、当業者が容易に予測できる程度のものでしかない。

なお、刊行物1に、「非展延部20の幅は、一般的には、10mm乃至50mmであるのが好ましい。」(記載事項(1e))という記載があるが、これは、ハードエッジ部(非展延部によって形成される縁部領域)によってドライアウトを防止するという作用効果のみを考えると上記幅が好ましいことを示しているに過ぎず、上記幅でなければハードエッジ部による効果が全く生じないことを意味するものではないことは明かであるから、上記記載によって刊行物1記載の発明の「ハードエッジ部」を上記相違点1に係る本件補正発明の構成のごとくすることを妨げるものではない。

以上より、上記相違点1に係る本件補正発明の構成は、刊行物1記載の発明の石膏ボードを製造するに際して、当業者が必要に応じて適宜なし得た設計事項である。

よって、本件補正発明は、刊行物1記載の発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

3.補正の却下の決定のむすび
以上より、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項で準用する同法第126条第5項に規定する要件を満たしていないものであるから、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により、却下されるべきものである。
よって、上記[補正の却下の決定の結論]のとおり、決定する。

【3】本願発明
1.本願発明
平成19年3月8日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、請求項1に係る発明は、出願当初の明細書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、以下のとおりのものと認める。
「表面、裏面、二つの対向する側面及び二つの対向する端面を有する石膏コア、並びに前記石膏コアの前記表面、前記裏面、及び前記二つの対向する側面を被覆するカバー原紙、を含む石膏ボードにおいて、
前記石膏コアは、
前記カバー原紙で被覆された前記側面を含む高密度ハードエッジ部、
前記カバー原紙で被覆された前記表面又は前記裏面を含み、前記高密度ハードエッジ部の密度と実質的に等しい密度を有する少なくとも一つの高密度部、及び 前記高密度ハードエッジ部及び前記高密度部の密度よりも低い密
度を有し、前記高密度ハードエッジ部及び前記高密度部に内接する中央低密度部を含み、
前記高密度ハードエッジ部が、前記石膏ボードを固定する釘が打たれる前記側面に沿った所定の位置に掛からないように形成された石膏ボード。」
(以下、請求項1に係る発明を、「本願発明」という。)

2.引用刊行物
原査定の拒絶の理由に引用され、本願出願前に頒布された上記刊行物1には、前記「【2】 2. 2-1」に記載したとおりの発明が記載されているものと認められる。

3.対比・判断
本願発明は、前記「2.」で検討した本件補正発明から「ハードエッジ部の幅」の限定事項である「0.1mm乃至10.0mm」との構成を省いたものである。
そうすると、本願発明の構成要件をすべて含み、さらに他の構成要件を付加したものに相当する本件補正発明が、前記「【2】 2. 2-2」に記載したとおり、刊行物1記載の発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により、刊行物1記載の発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

【4】むすび
以上のとおり、本願発明が特許を受けることができないから、本願のその余の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2008-12-11 
結審通知日 2008-12-16 
審決日 2009-01-07 
出願番号 特願2003-578134(P2003-578134)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (E04C)
P 1 8・ 575- Z (E04C)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 西村 隆住田 秀弘  
特許庁審判長 石川 好文
特許庁審判官 家田 政明
宮崎 恭
発明の名称 石膏ボード及び該石膏ボードの製造方法  
代理人 伊東 忠彦  

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