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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 B28B
管理番号 1193232
審判番号 不服2006-12764  
総通号数 112 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2009-04-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2006-06-21 
確定日 2009-02-23 
事件の表示 平成 8年特許願第248931号「セラミックグリーンシート積層方法及び装置」拒絶査定不服審判事件〔平成10年 3月17日出願公開、特開平10- 71611〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 I.手続の経緯・本願発明
本願は平成8年8月31日の出願であって、平成15年10月3日付けで拒絶理由が通知され(発送日は平成15年10月14日)、平成15年11月17日付けで意見書・手続補正書が提出され、平成18年5月17日付けで拒絶査定され(発送日は平成18年5月22日)、その後、平成18年6月21日に拒絶査定不服審判請求がなされたものであって、平成18年7月11日付け手続補正書(手続補正書は方式指令を受けて平成18年8月2日付けで補正されている。)によって補正されたものである。

II.平成18年7月11日付けの手続補正の却下の決定

[補正却下の結論]

平成18年7月11日付けの手続補正を却下する。

[理由]

1.平成18年7月11日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)は、
特許請求の範囲の請求項1を、補正前の
「【請求項1】 裁断された複数枚のセラミックグリーンシート(b)を積み重ね、これらセラミックグリーンシート(b)をその積層方向に加圧して圧着させるセラミックグリーンシート積層方法において、長尺なセラミックグリーンシート(a)を所定の形状に裁断すると共に、裁断されたセラミックグリーンシート(a)を順次積み重ねる裁断積層工程と、積層されたセラミックグリーンシート(a)をその積層方向に加圧して圧着する圧着工程とを有し、前記裁断積層工程が複数個所で同時に行なわれ、これら複数個所で積層されたセラミックグリーンシート(a)が1つの下金型(22)に押し込まれて仮圧着され、次いで1個所の圧着工程において加圧され、圧着されることを特徴とするセラミックグリーンシート積層方法。」
から、
「【請求項1】 裁断された複数枚のセラミックグリーンシート(b)を積み重ね、これらセラミックグリーンシート(b)をその積層方向に加圧して圧着させるセラミックグリーンシート積層方法において、長尺なセラミックグリーンシート(a)を所定の形状に裁断すると共に、裁断されたセラミックグリーンシート(a)を順次積み重ねる裁断積層工程と、積層されたセラミックグリーンシート(a)をその積層方向に加圧して圧着する圧着工程とを有し、前記裁断積層工程がセラミックグリーンシート(a)の積層時の積層条件を各々各別に調整、設定可能な複数個所で同時に行なわれ、これら複数個所で積層されたセラミックグリーンシート(a)が1つの下金型(22)に押し込まれて仮圧着され、次いで1個所の圧着工程において加圧され、圧着されることを特徴とするセラミックグリーンシート積層方法。」(以下、「本願補正後発明」という。)
とする補正を含むものである。

そこで、この請求項1に係る補正が適法になされたかどうかについて検討する。この補正は、複数個所で同時に行われる裁断積層工程について、「セラミックグリーンシート(a)の積層時の積層条件を各々各別に調整、設定可能」とする旨具体化するものであるから、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項第2号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本願補正発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるものか(平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか)について以下検討する。

2.引用文献
2-1.引用文献1
原査定の拒絶の理由に引用文献1として引用された本願出願前に頒布された刊行物である特開平4-2196号公報には、以下の記載がある。
(1-1)「[実施例]・・・・・・まず、この製造装置は、長尺のキャリアフィルム上にグリーンセラミック層がその長手方向にわたって連続的に形成された長尺の複合体1を供給する供給源となる供給リール2を備える。・・・・・・次いで、複合体1は、打抜きステーション13に導かれる。打抜きステーション13には、複合体1を搬送するためのコンベア19と、コンベア19の上方に複合体1を介して配置されるピックアップ装置20とを備える。ピックアップ装置20は、グリーンセラミック層に切断線を形成するための切断刃21を備える。打抜きステーション13の詳細が、第2図または第3図に示されている。・・・・・・第3図に示したピックアップ装置20は、それ自身によって、セラミックグリーンシート26の打抜きばかりでなく、セラミックグリーンシート26の積層を行なうように構成されている。・・・・・・第3図に示した装置の動作について説明する。まず、ピックアップ装置20がコンベアベルト24に近接され、それによって、切断刃21によってグリーンセラミック層23の所定の領域に閉ループをなす切断線32が形成される。・・・・・・次に、ピックアップ装置20は、コンベアベルト24から離隔される。これによって、切断線32によって囲まれた領域が与えるセラミックグリーンシート26が、ピックアップ装置20の退避に伴なってグリーンセラミック層23から切り出される。このとき、ヘッド28に設けられた空気穴29には、負圧が与えられており、積層されるべき最初のセラミックグリーンシート26(a)は、接触面27上に吸着されるとともに、キャリアフィルム22から剥離される。
その後、同様のステップが繰返され、切断刃21に囲まれた空間内において、所望の積層数のセラミックグリーンシート26のすべてが積層される。」(4頁左上欄10行?6頁右下欄3行)

そうすると、引用文献1には、セラミックグリーンシートの積層に当たり、セラミックグリーンシートを切断(打抜き)し、積重ねテーブル(積層台)上に所望数の積層数だけ積層するピックアップ装置に代え、セラミックグリーンシートの打抜きを行うと共に積層をも行うピックアップ装置を用いてもよいこと、すなわち、切断と積層を別の装置で行ってもよいし同じ装置で行ってもよいことが示されているといえる。

2-2.引用文献2
原査定の拒絶の理由に引用文献2として引用された本願出願前に頒布された刊行物である特開平4-127410号公報には、以下の記載がある。
(2-1)「本発明はセラミック積層体に関し、特に、積層セラミック形電歪効果素子や積層セラミックコンデンサなどに用いられるセラミック積層体の製造方法に関する。」(2頁左上欄2?5行)
(2-2)「〔実施例〕・・・・・・第1図は、本発明の実施例の製造工程を示す工程図である。・・・・・・本実施例では、電歪材料としてチタン酸ジルコン酸鉛系のセラミックを選び、泥漿製造工程で、この材料粉末に有機系のバインダと有機系の溶剤とを加え、混練して泥漿を作る。・・・・・・次に、テープキャスティング工程で、ドクターブレード法により、この泥漿をフィルム上にテープキャスティングしてグリーンシートを作製する。・・・・・・次いで、内部電極・切断線印刷工程で、このグリーンシート上に、銀・パラジウム合金を主成分とする内部電極ペースト6をスクリーン印刷する。
印刷パターンは、第5図(b)及び(c)に示すパターンである。・・・・・・更に、別に、空孔形成材印刷工程で、グラファイトを主成分とする空孔形成ペースト8を印刷する。
印刷パターンは、第5図(d)に示すパターンである。
その後、シート切断工程で、それぞれのグリーンシートを、100mm×70mmの形状に切断する。
次に、上述の加工を施したグリーンシートを、積層工程で所定枚数積層した後、熱プレス工程で、プレス金型中に投入後、110℃に加熱して300kgf/cm3で加圧して熱圧着することにより第6図に示すプレス体を得る。」(4頁右上欄5行?同頁右下欄9行)
(2-3)「本発明の実施例の製造工程を示す工程図」と説明されている第1図その1には、一つの「テープキャスティング」工程から分岐する「内部電極・切断線印刷」工程及び「空孔形成材印刷」工程、これら分岐する工程の後にあるそれぞれの「シート切断」、このそれぞれの「シート切断」工程を経て、合流し一つの「積層」工程に至る工程、並びに該一つの「積層」工程の後にある一つの「熱プレス」工程へ至る工程を含む工程が視認される。
(2-4)「スリット形素子の製造工程における内部電極・切断線印刷工程および空孔形成材印刷工程での印刷パターンを表す図」と説明されている第5図(b)には、番号「6a」により指し示されている「内部電極ペースト」が、
同第5図(c)には、番号「6b」により指し示されている「内部電極ペースト」が、
同第5図(d)には、番号「8」により指し示されている「空孔形成ペースト」があり、「内部電極ペースト」と「空孔形成ペースト」とは印刷パターンが異なっていること、
「スリット形素子のプレス体の構造を示す縦断面図」と説明されている第6図には、内部電極ペースト6aを有する積層体、同6bを有する積層体、同6aを有する積層体、同6bを有する積層体、空孔形成ペースト8を有する積層体の順の積層をひとまとまりとするプレス体が厚さ方向に繰り返して積層されていることが、それぞれ、視認される。

上記(2-1)?(2-2)の記載事項及び(2-3)の視認事項について検討する。
(あ)上記(2-2)の記載によれば、「シート切断工程で・・・・・・切断する。・・・・・・上述の加工を施したグリーンシートを積層工程で所定枚数積層した後・・・・・・熱プレス工程でプレス金型に投入後・・・・・・加圧して熱圧着」しており、積層するためにはグリーンシートは複数枚必要であるから、引用文献2に記載のセラミック積層体の製造方法は、「切断された複数のグリーンシートを積層し、これらグリーンシートを加圧して熱圧着している」といえる。
(い)上記(2-2)に記載の「フィルム上にテープキャスティング」される「泥漿」は、「電歪材料としてチタン酸ジルコン酸鉛系のセラミックを選」んでいるから、「セラミック」であるといえ、この「泥漿」を「フィルム上にテープキャスティングしてグリーンシートを作製」しているから、「グリーンシート」は「セラミックグリーンシート」であるといえる。
(う)上記(2-2)の記載から「シート切断工程」において、「それぞれのグリーンシートを、100mm×70mmの形状に切断」しているから、切断前のグリーンシートはこの大きさよりも大きく、長尺なものであることは明らかである。
(え)上記(あ)において検討したように、切断された「グリーンシートを、積層工程で所定枚数積層」しており、切断されたシートが次々に所定枚数積層されているといえるから、引用文献2に記載のセラミック積層体の製造方法は、「切断されたグリーンシートは順次積層される積層工程」を有しているといえる。
(お)上記(2-2)の「内部電極・切断線印刷工程で」と「別に、空孔形成印刷工程で」なる記載、及び、「シート切断工程で、それぞれのグリーンシートを・・・・・・切断する」との記載、並びに上記(2-3)の視認事項から、「内部電極・切断線印刷工程」と「空孔形成印刷工程」は別になされる工程であるといえ、これら各工程に、それぞれ、「シート切断工程」が続くものといえる。
(か)上記(2-2)の「シート切断工程で・・・・・・切断する。次に、・・・・・・積層工程で所定枚数積層した後、熱プレス工程で・・・・・・熱圧着する」との記載、及び、上記(2-3)の視認事項である、それぞれの「シート切断」工程を経て一つの「積層」工程に合流して「熱プレス」工程に至る工程の流れから、引用文献2に記載のセラミック積層体の製造方法は、それぞれのシート切断工程の後は1個所の積層工程、プレス工程へ至るものといえる。
そこで、上記(2-1)?(2-2)の記載事項及び(2-3)の視認事項を上記(あ)?(か)の検討を踏まえて、本願補正後発明の記載ぶりに則して記載すると、引用文献2には、
「切断された複数枚のセラミックグリーンシートを積層し、これらセラミックグリーンシートを加圧して熱圧着させるセラミック積層体の製造方法において、長尺なセラミックグリーンシートを100mm×70mmの形状に切断するシート切断工程と、切断されたセラミックグリーンシートを順次積層する積層工程と、積層されたセラミックグリーンシートを加圧して熱圧着する熱圧着工程を有し、前記シート切断工程が2個所で行われ、これら2個所で切断されたセラミックグリーンシートが1個所の熱圧着工程において加圧され熱圧着されるセラミック積層体の製造方法」の発明(以下、「引用発明2」という。)が記載されているといえる。

3.対比・判断
本願補正後発明と引用発明2とを対比する。
(さ)「切断」とは「たちきる」ことであるから「裁断」と同義である。また、「積層」とは「積み重ねる」ことである。
(し)引用発明2の「加圧して熱圧着させる」はセラミック積層体を製造するために行うものであるから、「積層方向に加圧」していることは明らかである。
また、本願発明の「圧着」は、本願明細書の【0026】の記載によれば、所定温度に加熱して行うものであるから、引用発明2の「熱圧着」、「熱圧着工程」は、それぞれ、本願発明の「圧着」、「圧着工程」に相当する。
(す)引用発明2の「セラミック積層体の製造方法」は、セラミックグリーンシートを積層する方法に関するものであるから、本願発明の「セラミックグリーンシート積層方法」に相当する。
(せ)引用発明2では、セラミックグリーンシートを「100mm×70mm」の形状に切断しているから、「所定」の形状に切断しているといえる。
そうすると、両者は、共に、
「裁断された複数枚のセラミックグリーンシートを積み重ね、これらセラミックグリーンシートをその積層方向に加圧して圧着させるセラミックグリーンシート積層方法において、長尺なセラミックグリーンシートを所定の形状に裁断する工程と、裁断されたセラミックグリーンシートを順次積み重ねる工程と、積層されたセラミックグリーンシートをその積層方向に加圧して圧着する圧着工程とを有し、前記所定の形状に裁断する工程が複数個所で行われ、これら積層されたセラミックグリーンシートをが1個所の圧着工程において加圧され、圧着させるセラミック積層方法」である点で一致し、
(a)本願補正後発明では、セラミックグリーンシートの積層時の積層条件を各々各別に調整、設定可能である、長尺なセラミックグリーンシートを所定の形状に裁断すると共に、裁断されたセラミックグリーンシートを順次積み重ねる裁断積層工程を複数個所で同時に行っているのに対して、引用発明2では、長尺なセラミックグリーンシートを所定の形状に裁断する裁断工程は複数個所で行っているものの、積層工程は1個所で行っており、セラミックグリーンシートの積層時の積層条件を各々各別に調整、設定可能であるかどうかの言及がない点、
(b)本願補正後発明では、積層されたセラミックグリーンシートが1つの下金型に押し込まれて仮圧着され、次いで加圧され、圧着されるのに対し、引用発明2では、加圧前に1つの下金型に押し込まれて仮圧着されることについて言及がない点
で相違している。
そこで、これら相違点について検討する。
・相違点(a)について
上記(2-2)の記載によれば、内部電極・切断線ペーストは銀、パラジウム合金を主成分としたものであり、空孔形成ペーストはグラファイトを主成分とするものであり、ペーストの成分が異なり、上記(2-4)の視認事項によれば、ペーストの印刷パターンも異なるから、内部電極ペーストを有するセラミックグリーンシートと、空孔形成ペーストを有するセラミックグリーンシートとでは、積層時の積層条件が異なっていることは明らかであり、引用文献2では明言がないものの、印刷ペーストの異なるグリーンシートに応じて積層条件を調整、設定しているものといえる。
一方、引用文献1には、上述のとおり、切断(すなわち、裁断)と積層を別の装置で行ってもよいし同じ装置で行ってもよいこと、すなわち、裁断工程と積層工程を分けるか、裁断工程と積層工程を一緒にするかは適宜選択できることが示されているといえるから、引用発明2において、複数個所にある裁断工程と1個所にある積層工程を一緒にして、複数個所にある裁断積層工程とし、セラミックグリーンシートに応じて積層時の積層条件を各々各別に調整、設定可能とすることは、当業者であれば困難なくなしえたことである。なお、上記(2-4)の視認事項である、第6図に、内部電極ペースト6aを有する積層体、同6bを有する積層体、同6aを有する積層体、同6bを有する積層体、空孔形成ペースト8を有する積層体の順の積層をひとまとまりとするプレス体が厚さ方向に繰り返して積層されていることからみて、同じ切断工程から供給される内部電極を有するグリーンシートのみの積層工程があることが明らかといえ、上述の裁断工程と積層工程を一緒にすることを何等阻害するものではない。
また、生産性向上等のために、複数の同じ処理を行う工程を同時行うことは周知技術であるから、裁断積層工程を複数個所で同時に行うことは単なる周知技術の採用にすぎない。
・相違点(b)について
セラミックグリーンシートの加圧の前に仮圧着することは周知技術であり(要すれば、拒絶査定時に示された特開平8-162364号公報(本公報には「仮圧着」なる文言は使用されていないが、積層熱圧着を少数枚単位で実施し、最終的に必要数積み重ねて最終的に熱圧着することが記載されている)、特開平5-237829号公報、特開平7-106189号公報、特開平4-267319号公報を参照)、また、その際下金型に押し込まれることも周知技術であるから(要すれば、特開平7-106189号公報、特開平4-267319号公報を参照)、相違点(b)に係る本願発明の構成事項を引用発明2に付加することは当業者であれば困難なくなしえたことである。
そして、本願補正後発明が奏する作用・効果は当業者であれば当然に予想できる程度のものである。

4.手続補正の却下の決定のむすび
よって、本願補正後発明は、引用文献1及び2に記載された発明、及び周知技術に基づいて、当業者であれば容易に発明をすることができたものといえるから特許法第29条第2項の規定により特許を受けることはできない。
したがって、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

III.本願発明
上記II.のとおり平成18年7月11日付けの手続補正は却下されたので、本願の請求項1?8に係る発明は平成15年11月17日付け手続補正書により補正された請求項1?8に記載されたとおりのものであって、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、次のとおりのものである。

「【請求項1】 裁断された複数枚のセラミックグリーンシート(b)を積み重ね、これらセラミックグリーンシート(b)をその積層方向に加圧して圧着させるセラミックグリーンシート積層方法において、長尺なセラミックグリーンシート(a)を所定の形状に裁断すると共に、裁断されたセラミックグリーンシート(a)を順次積み重ねる裁断積層工程と、積層されたセラミックグリーンシート(a)をその積層方向に加圧して圧着する圧着工程とを有し、前記裁断積層工程が複数個所で同時に行なわれ、これら複数個所で積層されたセラミックグリーンシート(a)が1つの下金型(22)に押し込まれて仮圧着され、次いで1個所の圧着工程において加圧され、圧着されることを特徴とするセラミックグリーンシート積層方法。」

IV.引用文献
原査定の拒絶の理由に引用文献1として引用された本願出願前に頒布された刊行物である特開平4-2196号公報、及び同引用文献2として引用された本願出願前に頒布された刊行物である特開平4-127410号公報には、上記II.2で記載されたとおりの記載事項、視認事項を有している。

V.対比・判断
本願発明と上記II.2に記載した引用発明2とを対比すると、両者は、上記II.3に記載した点で一致し、相違点(a)に含まれる相違点と相違点(b)と同じ相違点で相違する。
そうすると、これらの相違点に係る本願発明の特定事項をなすことは、上記II.3に記載した理由により、当業者であれば容易になしえたものである。
よって、本願発明は引用文献1及び2に記載された発明、及び周知技術に基づいて、当業者であれば容易に発明をすることができたものといえるから特許法第29条第2項の規定により特許を受けることはできない。

VI.むすび
以上のとおり、本願発明は、引用文献1及び2に記載された発明、及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることはできない。
したがって、その余の請求項について論及するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2008-12-19 
結審通知日 2008-12-22 
審決日 2009-01-07 
出願番号 特願平8-248931
審決分類 P 1 8・ 121- Z (B28B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 山田 靖  
特許庁審判長 松本 貢
特許庁審判官 木村 孔一
大工原 大二
発明の名称 セラミックグリーンシート積層方法及び装置  
代理人 北條 和由  

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