• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) F02M
管理番号 1193361
審判番号 不服2006-28334  
総通号数 112 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2009-04-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2006-12-19 
確定日 2009-02-19 
事件の表示 平成 7年特許願第522288号「蒸気を内燃エンジンの吸気に供給する方法およびその装置」拒絶査定不服審判事件〔平成 7年 8月31日国際公開、WO95/23286、平成 9年 9月30日国内公表、特表平 9-509714〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1.手続の経緯・本願発明
本願は、1995年1月16日(パリ条約による優先権主張外国庁受理1994年2月25日、スウェーデン国)を国際出願日とする出願であって、平成17年6月23日付けで拒絶理由が通知され、平成17年10月5日付けで手続補正がなされると共に意見書が提出され、平成18年1月4日付けで拒絶理由が通知され、平成18年7月18日付けで手続補正がなされると共に意見書が提出され、平成18年9月11日付けで拒絶査定がなされ、平成18年12月19日に拒絶査定に対する審判請求がなされ、その後、当審において平成19年10月25日付けで拒絶理由が通知され、平成20年2月7日付けで意見書が提出され、当審において平成20年5月22日付けで再度拒絶理由が通知され、平成20年8月28日付けで手続補正がなされると共に意見書が提出されたものであり、その請求項2に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、上記平成20年8月28日付けの手続補正によって補正された明細書及び出願当初の図面の記載からみて、特許請求の範囲の請求項2に記載されたとおりのものと認められるところ、次のとおりである。

「【請求項2】
湿潤タワー(8)と、
液体を前記湿潤タワー(8)の上部内に送る第1接続部と、
前記第1接続部に接続され、前記液体を前記湿潤タワーの上部内に送る前、内燃エンジン(1)の冷却水または排気の固有のエネルギを使用し、前記液体を予熱する予熱器(11)と、
吸気を圧縮するコンプレッサ(6)と、
前記コンプレッサ(6)に接続され、圧縮された吸気を前記湿潤タワー(8)の下部内に送る第2接続部とからなり、
前記液体を前記湿潤タワー(8)内で下方に流し、圧縮された吸気を前記液体内で上方に流すことにより、圧縮された吸気と液体を前記湿潤タワー(8)内で逆方向に流し、前記湿潤タワー(8)内で圧縮された吸気を液体と接触させ、これによって前記液体の一部を蒸発させ、蒸気を前記エンジン(1)に供給される吸気に供給し、
前記湿潤タワー(8)内に送るとき、前記液体をタンク(10)から前記予熱器(11)を介して前記湿潤タワー(10)に供給し、その後、前記液体を前記湿潤タワー(8)の下部から前記タンク(10)に排出するようにしたことを特徴とする装置。」(原文の「前記湿潤タワー(10)」は、「前記湿潤タワー(8)」の誤記。)


第2.引用文献記載の発明
2-1.引用文献1
(1)当審における平成20年5月22日付け拒絶理由に引用された、本願の優先日前に頒布された刊行物である実願昭59-139959号(実開昭61-55127号)のマイクロフィルム(以下、「引用文献1」という。)には、図面とともに、次の事項が記載されている。

ア.「本考案は、エンジンに対する給気を圧縮して同エンジンに供給する過給エンジンの改良に関するものである。」(明細書第1頁下から2行?同第2頁第1行)

イ.「以下本考案の実施例を添付図面について具体的に説明する。図中符号10は車両用のエンジンを総括的に示し、同エンジンは排気管12と給気管14とを具えている。16は上記排気管12に連結されエンジン10の排気ガスによって駆動される排気ガスタービン18と、同排気ガスタービンに直結して駆動されるコンプレッサ20とからなる過給機であって、上記コンプレッサ20は、エアクリーナ22を経て吸入した外気を圧縮し、圧縮した空気を圧縮空気通路24を経て上記給気管14に供給する。26は上記圧縮空気通路24内に設けられた水噴射ノズルであって、水タンク28内に貯留された水が、電磁式水ポンプ30、電磁切換弁32及び温度検知給水弁34を経て供給され、一方、水の噴霧化を促進するための圧縮空気が、空気タンク36、フィルタ38、電磁切換弁40及び調圧弁42を経て供給されるようになっている。44は上記圧縮空気通路24内において水噴射ノズル26の下流側に設けられた気水分離装置であって、図示の実施例では、圧縮空気通路24を構成する管の一部を切り離して距離dだけ離間させかつ好ましくは上流側の管径を下流側の管径より若干大きくし、当該離間部44aの外周を囲むケーシング44bを設けた簡単な構造のものである。46は上記気水分離装置のケーシング44bに溜った未蒸発水を受容するトラップであって、同トラップに捕集された水は上記水タンク28に回収される。」(明細書第4頁第2行?同第5頁第9行)

ウ.「上記構成において、エンジン10の運転中、その排気ガスが過給機16の排気タービン18に供給されてコンプレッサ20が駆動され、同コンプレッサがエアフィルタ22を経て吸入した外気を圧縮して圧縮空気通路24からエンジンの給気管14に圧送し、エンジン10に過給空気を供給する。この場合、コンプレッサ20内で行なわれる断熱圧縮によって給気の温度が不可避的に上昇し、エンジン10に対する過給の効果、換言すれば充填効率の向上を妨げるので、コンプレッサ20の吐出圧縮空気を冷却してエンジンに供給することが好ましい。」(明細書第6頁第13行?同第7頁第4行)

エ.「水タンク28内の水が水ポンプ30によって切換弁32、・・・、圧縮空気によって効果的に霧化された水が圧縮空気通路24内に噴射され、圧縮空気即ち過給空気と混合して気化し、過給空気を冷却する。・・・又、水噴射ノズル26から噴射された水のうち未蒸発のものは、気水分離装置44によって捕捉され、水タンク28に還流されるので、水滴がエンジン10内に持込まれて、各構成部品を錆つかせたり、潤滑油を希釈して潤滑不良及びこれに基づく異常摩耗を生起したりすることがない。」(明細書第7頁第14行?第8頁第12行)

オ.「なお、水噴射によってインタクーラと同様、又はそれ以上に給気の温度を低下し充填効率を改善し得るだけでなく、給気内の水蒸気の存在によって排気ガス中の有害成分であるNOxの発生が抑制され更にNOx発生の抑制により燃費を改善し得る追加の利点がある。」(明細書第9頁第13行?同第19行)

カ.「4.図面の簡単な説明
添付図面は本考案の一実施例を示す概略構成図である。
10…エンジン、 34…温度検知給水弁、
16…過給機、 44…気水分離装置、
24…圧縮空気通路、 48…感温センサ、
26…水噴射ノズル、 50…結露センサ
30…水ポンプ、」(明細書第10頁第17行?同第11頁第4行)

(2)ここで、上記記載事項ア.ないしカ.及び図面から、次のことが分かる。

上記ア.、ウ.及びオ.の記載から、引用文献1に記載されたものは、過給エンジンに関するものであり、給気に水を供給することにより給気の温度の上昇を防ぎ、NOx発生の抑制を目的としていることが分かる。

上記イ.、カ.及び図面の記載から、引用文献1に記載されたものは、圧縮空気通路24内に設けられた水噴射ノズル26からなり、給気に水を供給する手段(以下、「水供給手段」と称す。)と、給気を圧縮するコンプレッサ20を有していることが分かる。
なお、水を水供給手段内に送る接続部(以下、「接続部A」と称す。)及びコンプレッサ20に接続され圧縮された給気を前記水供給手段内に送る接続部(以下、「接続部B」と称す。)を有していることは、図面から自明な事項である。

上記イ.、エ.、オ.、カ.及び図面の記載から、引用文献1に記載されたものは、水を水供給手段内で流し、圧縮された給気を前記水内において流すことにより、圧縮された給気と水を前記水供給手段内で同方向に流していることが分かる。また、前記水供給手段内で圧縮された給気を水と接触させ、これによって前記水の一部を蒸発させ、水蒸気をエンジン10に供給される給気に供給していることが分かる。

上記イ.、カ.及び図面の記載から、引用文献1に記載されたものは、水を水供給手段内に送るとき、前記水を水タンク28から前記水供給手段に供給し、その後、前記水を前記水供給手段の下部から前記水タンク28に排出するようにした構成を有していることが分かる。

(3)引用文献1記載の発明
上記記載事項(1)、(2)より、引用文献1には次の発明が記載されていると認められる。
「水供給手段と、
水を前記水供給手段内に送る接続部Aと、
給気を圧縮するコンプレッサ20と、
前記コンプレッサ20に接続され、圧縮された給気を前記水供給手段内に送る接続部Bとからなり、
前記水を前記水供給手段内で流し、圧縮された給気を前記水内で流すことにより、圧縮された給気と水を前記水供給手段内で同方向に流し、前記水供給手段内で圧縮された給気を水と接触させ、これによって前記水の一部を蒸発させ、水蒸気を前記エンジン10に供給される給気に供給し、
前記水供給手段内に送るとき、前記水を水タンク28から前記水供給手段に供給し、その後、前記水を前記水供給手段の下部から前記水タンク28に排出するようにした過給エンジン。」(以下、「引用文献1記載の発明」という。)

2-2.引用文献2
(1)当審における平成20年5月22日付け拒絶理由に引用された、本願の優先日前に頒布された刊行物である米国特許4,423,704号明細書(以下、「引用文献2」という。)には、図面とともに、次の事項が記載されている。

ア.「In accordance with the present invention, a method is provided for improving efficiency of an internal combustion irrigation engine by cooling and humidifying, within specified ranges, an inlet air stream to the engine.」(第2欄第30?33行)
(仮訳:本発明に従って、エンジン吸気流を特定範囲内に冷却し加湿することにより、灌漑用内燃エンジンの効率の改善を図る方法を提示する。)

イ.「As shown in the drawings, and with reference to FIG. 1, the illustrated apparatus for effecting the method in accordance with one embodiment of the present invention comprises a generally cylindrical single pass tower (denoted 10) for cooling and humidifying an inlet air stream to an internal combustion irrigation engine (not shown). The tower 10 comprises outer shell 12 constructed from suitable corrosion resistance metals or plastics.」(第2欄第49?57行)
(仮訳:図面の図1に示されるように、本発明の1つの実施例によって、この方法を達成するための図示された装置は、灌漑用内燃エンジン(図示なし)への吸気流を冷却し加湿するために、一般に円筒状の一つのパス・タワー(符号10)を含んでいる。タワー10は、適切な耐蝕性金属あるいはプラスチックからなる外側シェル12から構成されている。)

ウ.「A feed stream 20, of fresh irrigation water, typically supplied at an ambient temperature of from about 50°F. to 70°F., is flowed from the base of the tower shell 12 by means of centrally disposed tubing upwardly through the packing bed 14 to a distributor head 22 provided in the top portion of the shell 12. Once received at the distributor head 22, the fresh irrigation water stream 20 is substantially uniformly dispersed over the packing bed 14 and trickles downward to directly contact, in a counter current manner, an inlet air stream 24 being fed upwardly from the base of the tower shell 12.」(第3欄第12?23行)
(仮訳:新鮮な灌漑水の供給流20は、だいだい華氏約50度から70度の周囲温度下で供給され、タワーシェル12の頂部に設けられた散布へッド22へ、中央に配置されている配管により、タワーシェル12基部からパックベッド14内を通過して上方に流れる。新鮮な灌漑水流20は、散布ヘッド22に供給されると、パックベッド14上にだいたい一様に散布され、下方へ流されて、タワーシェル12の下方から上方へ供給される吸気流24と逆流の態様で直接接触する。)

エ.「The cooled and humidified inlet air stream 24 is flowed from the top of tower 10, optionally through a mist eliminator 26 to the carburetor of the internal combustion irrigation engine for admixture with fuel, for instance, natural gas, liquified petroleum, diesel fuel or the like.」(第3欄第36?41行)
(仮訳:冷却され加湿された吸気流24は、タワー10の頂部から、必要に応じて、霧除去装置26を経て、燃料、例えば、天然ガス、液化された石油、ディーゼル燃料又は同種のもの、を混合する灌漑用内燃エンジンの気化器へ流される。)

オ.「The expended feed stream of irrigation water is collected from the lower portion of the tower 10, by gravity flow and optional pump to be discharged from the cooling and humidifying system to a suitable irrigation network to provide water for crop growth.」(第3欄第42?46行)
(仮訳:使用済み灌漑水の供給流は、重力流及び付加的なポンプによって、タワー10の基部から集められ、冷却及び加湿システムから、作物成育用の水を供給する適切な灌漑ネットワークまで放出される。)

カ.「Accordingly, the inventive method is designed for improving the performance and longevity of internal combustion irrigation engines in terms of increased engine power, reduced fuel consumption and reduced engine maintenance. These advantages are achieved in part by lowering the temperature at which combustion takes place and slowing the burn rate of the air/water vapor/fuel mixture providing for an extended burn period.」(第3欄第68行?第4欄第6行)
(仮訳:従って、この創造性のある方法は、エンジン出力の向上、燃費改善及びエンジン・メンテナンスの簡素化の点から、灌漑用内燃エンジンの性能及び耐久性を改善するために設計されている。これらの利点は、燃焼温度の低下や、燃焼期間が延長される、空気/水蒸気/燃料混合物の燃焼速度の低下によって、ある程度達成される。)

(2)ここで、上記記載事項ア.ないしカ.及び第1図から、次のことが分かる。

上記ア.の記載から、引用文献2に記載されたものは、吸気を冷却し加湿することにより、燃費改善を図る灌漑用内燃エンジンに関するものであることが分かる。

上記イ.及び第1図の記載から、引用文献2に記載されたものは、吸気流24を冷却し加湿する手段として、タワー10を有していることが分かる。

上記ウ.、エ.、カ.及び第1図の記載から、引用文献2に記載されたものは、新鮮な灌漑水流20をタワー10の上部にある散布ヘッド22に供給され、また、吸気流24をタワー10の下部に供給されていることが分かる。
なお、引用文献2に記載されたものは、新鮮な灌漑水流20をタワー10の上部にある散布ヘッド22内に送る接続部(以下、「接続部C」という。)と、吸気流24をタワー10の下部内に送る接続部(以下、「接続部D」という。)があることは、上記ウ.及び第1図から自明である。
また、新鮮な灌漑水流20をタワー10内で下方に流し、吸気流24を前記新鮮な灌漑水流20内において上方に流すことにより、吸気流24と新鮮な灌漑水流20を前記タワー10内で逆方向に流し、前記タワー10内で吸気流24を新鮮な灌漑水流20と接触させ、新鮮な灌漑水流20を灌漑用内燃エンジンに供給される吸気流24に供給していることが分かる。なお、特に、上記エ.及びカ.の記載から、前記タワー10内で吸気流24を新鮮な灌漑水流20と接触させることにより、水の一部が蒸発し、水蒸気が前記灌漑用内燃エンジンに供給されていることが分かる。

上記ウ.、オ.及び第1図の記載から、新鮮な灌漑水流20をタワー10内に送る際、前記新鮮な灌漑水流20を前記タワー10に供給し、その後、前記新鮮な灌漑水流20を前記タワー10の下部から排出していることが分かる。

(3)引用文献2記載の発明
上記記載事項(1)、(2)より、引用文献2には次の発明が記載されていると認められる。
「タワー10と、
新鮮な灌漑水流20を前記タワー10の散布ヘッド22内に送る接続部Cと、
吸気流24を前記タワー10の下部内に送る接続部Dとからなり、
前記新鮮な灌漑水流20を前記タワー10内で下方に流し、吸気流24を前記新鮮な灌漑水流20内で上方に流すことにより、吸気流24と新鮮な灌漑水流20を前記タワー10内で逆方向に流し、前記タワー10内で吸気を新鮮な灌漑水流20と接触させ、これによって前記新鮮な灌漑水流20の一部を蒸発させ、水蒸気を灌漑用内燃エンジンに供給される吸気流24に供給し、
前記タワー10内に送るとき、前記新鮮な灌漑水流20を前記タワー10に供給し、その後、前記新鮮な灌漑水流20を前記タワー10の下部から排出するようにした装置。」(以下、「引用文献2記載の発明」という。)

第3.対比
本願発明と引用文献1記載の発明を対比すると、引用文献1記載の発明の「水」、「接続部A」、「給気」、「コンプレッサ20」、「接続部B」、「エンジン10」、「水蒸気」、「水タンク28」及び「過給エンジン」は、それぞれの有する機能に照らして、本願発明の「液体」、「第1接続部」、「吸気」、「コンプレッサ(6)」、「第2接続部」、「内燃エンジン(1)」、「蒸気」、「タンク(10)」及び「装置」にそれぞれ相当する。
また、引用文献1記載の発明の「水供給手段」と、本願発明の「湿潤タワー(8)」は、いずれも「湿潤手段」の限りにおいて共通する。

してみると、両者は、
「湿潤手段と、
液体を前記湿潤手段の上部内に送る第1接続部と、
吸気を圧縮するコンプレッサと、
前記コンプレッサに接続され、圧縮された吸気を前記湿潤手段内に送る第2接続部とからなり、
前記液体を前記湿潤手段内で流し、圧縮された吸気を前記液体内で流すことにより、圧縮された吸気と液体を前記湿潤手段内に流し、前記湿潤手段内で圧縮された吸気を液体と接触させ、これによって前記液体の一部を蒸発させ、蒸気を前記エンジンに供給される吸気に供給し、
前記湿潤手段内に送るとき、前記液体をタンクから前記前記湿潤手段に供給し、その後、前記液体を前記湿潤手段の下部から前記タンクに排出するようにした装置。」
の点で一致し、以下の点で相違している。

[相違点1]
「湿潤手段」に関して、本願発明においては「湿潤タワー」であり、また、「液体を湿潤タワーの上部内に送る第1接続部」及び「圧縮された吸気を湿潤タワーの下部内に送る第2接続部」を有し、更に、「液体を前記湿潤タワー内で下方に流し、圧縮された吸気を前記液体内で上方に流すことにより、圧縮された吸気と液体を前記湿潤タワー内で逆方向に流」す構成を有しているのに対し、引用文献1記載の発明においては、そのような構成を有していない点。

[相違点2]
本願発明においては、「第1接続部に接続され、液体を湿潤タワーの上部内に送る前、内燃エンジンの冷却水または排気の固有のエネルギを使用し、前記液体を予熱する予熱器」を有しており、「液体をタンクから前記予熱器を介して前記湿潤タワーに供給」するのに対し、引用文献1記載の発明においては、「予熱器」が設けられているか否か明らかでない点。

第4.当審の判断
上記相違点について検討する。
本願発明と引用文献2記載の発明とを対比すると、引用文献2記載の発明の「タワー10」、「新鮮な灌漑水流20」、「散布ヘッド22」、「接続部C」、「吸気流24」、「接続部D」、「水蒸気」及び「灌漑用内燃エンジン」は、それぞれの有する機能に照らして、本願発明の「湿潤タワー(8)」、「液体」、「湿潤タワー(8)上部」、「第1接続部」、「吸気」、「第2接続部」、「蒸気」及び「エンジン(1)」にそれぞれ相当することから、引用文献2には、
「湿潤タワーと、
液体を前記湿潤タワーの上部内に送る第1接続部と、
吸気を前記湿潤タワーの下部内に送る第2接続部とからなり、
前記液体を前記湿潤タワー内で下方に流し、吸気を前記液体内で上方に流すことにより、吸気と液体を前記湿潤タワー内で逆方向に流し、前記湿潤タワー内で吸気を液体と接触させ、これによって前記液体の一部を蒸発させ、蒸気をエンジンに供給される吸気に供給し、
前記湿潤タワー内に送るとき、前記液体を前記湿潤タワーに供給し、その後、前記液体を前記湿潤タワーの下部から排出するようにした装置。」(以下、「引用文献2記載の技術事項」という。)が記載されているといえる。

ここで、上記[相違点1]について検討する。
引用文献1記載の発明と引用文献2記載の技術事項とは、両者共に、水分を内燃エンジンの吸気に供給し、燃費を改善する技術である点で共通している。

したがって、引用文献1記載の発明における「水供給手段」として、引用文献2記載の技術事項における「タワー10」を適用して、上記[相違点1]に係る本願発明の構成とすることは、当業者が格別困難なく想到し得るものである。

次に、上記[相違点2]について検討する。
水分を内燃エンジンの吸気に供給する装置において、「液体を湿潤手段に送る前、内燃エンジンの冷却水または排気の固有のエネルギを使用し、前記液体を予熱する予熱器」を設けることは、従来周知の技術(例えば、特開平6-17662号公報、特開昭53-41632号公報等参照されたい。)(以下、「周知技術1」という。)であり、また、コンプレッサを備えた内燃エンジンにおいて、内燃エンジンの吸気に供給する水分を予熱する「予熱器」を設けることも従来周知の技術(例えば、実願昭59-183362号(実開昭61-97533号)のマイクロフィルム、特開平3-70850号公報等参照されたい。)(以下、「周知技術2」という。)であり、更に、コンプレッサを備えた内燃エンジンにおいて、液体及び吸気を加熱すれば吸気中の液体含有量が増すことも従来周知の知見(例えば、特開昭54-9324号公報等参照されたい。)にすぎない。

したがって、引用文献1記載の発明において、従来周知の知見を加味して、上記従来周知の技術1,2を適用し、上記[相違点2]に係る本願発明の構成とすることは、当業者が格別困難なく想到し得るものである。
なお、「予熱器」により、事前に「液体」をどの程度予熱するかは、吸気への液体含有量を加味して、当業者が適宜設計し得る事項である。

また、本願発明を全体として検討しても、引用文献1記載の発明、引用文献2記載の技術事項、上記周知技術1,2及び上記従来周知の知見から予測される以上の格別の効果を奏するとも認められない。

第5.むすび
したがって、本願発明は、引用文献1記載の発明、引用文献2記載の技術事項、上記周知技術1,2及び上記従来周知の知見に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2008-09-17 
結審通知日 2008-09-24 
審決日 2008-10-07 
出願番号 特願平7-522288
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (F02M)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 佐藤 正浩  
特許庁審判長 早野 公惠
特許庁審判官 西本 浩司
小谷 一郎
発明の名称 蒸気を内燃エンジンの吸気に供給する方法およびその装置  
代理人 武石 靖彦  
代理人 村田 紀子  
復代理人 特許業務法人みのり特許事務所  

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ