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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G06T
管理番号 1193407
審判番号 不服2007-19238  
総通号数 112 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2009-04-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2007-07-09 
確定日 2009-03-17 
事件の表示 特願2000-552620「線形センサを使用する指紋走査の方法および装置」拒絶査定不服審判事件〔平成11年12月 9日国際公開、WO99/63476、平成14年 6月18日国内公表、特表2002-517835、請求項の数(25)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 1.本願発明
本願の請求項1?25に係る発明は、明細書の特許請求の範囲の請求項1?25にその記載のあるとおりのものであるところ、本願特許請求の範囲の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、次のとおりのものである。

「【請求項1】 線形撮像デバイスと、
円周表面と両端とを有する円筒形透明ローラであって、そのローラの長手軸の周りに回転可能であり、その円周表面上で指を回転させるようにする透明ローラと、
透明ローラの円周表面を通してその透明ローラの長手軸に直角の光を照射する光源と、
線形撮像デバイス上に、透明ローラの円周表面を通して照射される光を集光するように位置決めされた集光デバイスと
を備える指紋走査装置。」

なお、他の請求項2ないし25に記載された発明は、次のとおりである。
【請求項2】 ローラの回転運動を検出する回転検出器をさらに備える請求項1に記載の装置。
【請求項3】 ローラに隣接して位置決めされた指ガイドをさらに備える請求項1に記載の装置。
【請求項4】 光源が発光ダイオード(LED)である請求項1に記載の装置。
【請求項5】 線形撮像デバイスが電荷結合素子(CCD)である請求項1に記載の装置。
【請求項6】 線形撮像デバイスが相補型金属酸化膜半導体(CMOS)センサである請求項1に記載の装置。
【請求項7】 線形撮像デバイスが密着型イメージ・センサ(CIS)である請求項1に記載の装置。
【請求項8】 ローラがプラスチック製ローラである請求項1に記載の装置。
【請求項9】 ローラがガラス製ローラである請求項1に記載の装置。
【請求項10】 集束デバイスがレンズを備える請求項1に記載の装置。
【請求項11】 集束デバイスが鏡を備える請求項1に記載の装置。
【請求項12】 回転検出器が、ローラに結合されたスロット付きホイールと、
スロット付きホイールを通して光を照射するように位置決めされた第2光源と、
スロット付きホイールを通して照射された光を検出するように位置決めされた光検出器
とを備える請求項2に記載のシステム。
【請求項13】 回転検出器が、
ローラ標識と、
標識の動きを検出するように位置決めされた標識検出器とを備える請求項2に記載の装置。
【請求項14】 標識検出器が線形撮像デバイスを備える請求項13に記載の装置。
【請求項15】 ローラ標識が、バンプ、ピット、リッジ、スロット、光学式デカル、光学式マークからなるグループから選択されるいずれかのマークである請求項13に記載の装置。
【請求項16】 線形撮像デバイスに結合され、線形撮像デバイスに指紋の画像を取り込みを始動させるトリガをさらに備える請求項1に記載の装置。
【請求項17】 長手軸の周りに回転可能な透明ローラの円周表面上で指を回転させるステップと、
透明ローラの円周表面を通してその透明ローラの長手軸に直角の光で指を照らすステップと、
線形撮像デバイス上に、透明ローラの円周表面を通して照射される光を集光するステップと、
線形撮像デバイスを使用して、ローラを通して指紋の画像を取り込むステップと
を含む指紋走査方法。
【請求項18】 線形撮像デバイスと、
ローラの長手軸上の回転ポイントの周りに回転可能で、ローラの円周表面上で指を回
転させるようにしている透明ローラと、
透明ローラの円周表面を通してその透明ローラの長手軸に直角の光を照射する光源と、
線形撮像デバイス上に、透明ローラの円周表面を通して照射される光を集光するための集光デバイスと
を備える指紋走査装置。
【請求項19】 線形撮像デバイスと、
円周表面と両端とを有する透明ローラであって、そのローラの長手軸の周りに回転可能で、そのローラに形成された突状の光学要素上に指を受けるようにしている透明ローラと、
透明ローラの円周表面を通してその透明ローラの長手軸に直角の光を照射する光源と、
透明ローラの円周表面に出てくる光線を捕捉することにより指紋の画像を得るための撮像デバイスと
を備える指紋走査装置。
【請求項20】 ローラの回転運動を検出するステップを、さらに含む請求項17に記載の方法。
【請求項21】 ローラの回転運動を検出するステップがローラに沿った標識の運動を検出するステップを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】 その標識が線形撮像デバイスによって検出される、請求項21に記載の方法。
【請求項23】 ローラ標識が、バンプ、ピット、リッジ、スロット、光学式デカル、光学式マークからなるグループから選択されるいずれかのマークである、請求項13に記載の方法。
【請求項24】 ローラの回転運動を検出するステップがローラに結合されたスロット付きホイールにより光を検出するステップを含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】 ローラに隣接した指ガイドを有することにより、指の側方への運動を防止するステップを、さらに含む、請求項17に記載の方法。

2.引用例
(1)特開平10-079017号公報
「回転可能に支持し、外周面が円筒状で周辺部に速度認識用パターン6を形成した透明の採取部1と、この採取部1の一方の側面側又は内側から外周面側を照明する光源2と、この光源2によって照明された採取部1の外周面上に載置した指,掌等からの反射光を、採取部1の他方の側面側から導出して、直接又はミラーを介して入射する一次元配列の撮像素子3と、この撮像素子3の出力信号を入力して画像処理する画像処理部4と、撮像素子3の出力信号に含まれる速度認識用パターンを抽出して回転可能の採取部1の回転を検出する速度処理部5と、採取した指掌紋を記憶する記憶装置13,表示する表示部9,各部を制御するコンピュータ7等を備えている指掌紋採取装置。」
(2)特開平08-263631号公報
「 回転可能な円筒形導波路101を被検体の指111との接触媒体に用いて、被検体の指111の接する部分を移動可能にし、撮像装置108を通して回転走査により指紋全体を入力し、このときの円筒形導波路101の回転角を回転角検出手段102で検出し、この検出回転角に基づき、画像処理手段103の画像処理によって正しい指紋画像として再構成し、該回転可能な円筒形導波路101を指111との接触媒体に使用することで、光学部品を小型化して大幅な小型化と、その小型化による低電力化を可能にした指紋入力装置。」

(3)特開平10-093785号公報
「 読み取り原稿側を向いて整列して配設された複数の受光素子を有するイメージセンサ部と、該イメージセンサ部の前記読み取り原稿側に密着して配設され、前記読み取り原稿に向けて光を発する薄型光源とを備えるイメージセンサ装置において、
前記薄型光源が、個々の前記受光素子に対して前記受光素子より少ない面積の一個以上の発光部を有し、前記発光部は、前記受光素子側に遮光層を有し、前記受光素子と前記読み取り原稿との間の前記受光素子の下面に配置されている、ことを特徴とするイメージセンサ装置。」

(4)特開平10-098586号公報
「副走査方向への走査速度を検出する速度検出手段と、スキャナ本体の外側から視認可能とされ、前記速度検出手段により検出される走査速度に応じて表示状態が変化する表示手段と、を備えたことを特徴とするハンドスキャナ。」
3.対比
本願発明と引用例1(特開平10-79017号公報)に記載された発明(以下、「引用発明」という。)とを対比すると、本願発明と引用発明とは次の点で相違する。

(相違点1)
本願発明は、線形撮像デバイス上に、透明ローラの円周表面を通して照射される光を集光するように位置決めされた集光デバイスを備えているのに対して、
引用発明は、そのような集光デバイスを備えていない点。

(相違点2)
本願発明の光源は、透明ローラの外部に配置され(第2図参照。)、透明ローラの円周表面を通してその透明ローラの長手軸に直角の光を照射するものであるのに対して、
引用発明の光源は、円筒61の内部に配置され、円筒61の外周面側を照明する発光ダイオード・アレー62である(段落【0034】の記載参照。)点。

4.当審の判断
(相違点1について)
前記相違点1を判断するに、本願発明を特定するところの「線形撮像デバイス上に、透明ローラの円周表面を通して照射される光を集光するように位置決めされた集光デバイス」は、引用例2ないし4のいずれにも開示または記載されていない。
そして、本願発明は、前記集光デバイスを備えることにより、明細書記載の顕著な効果を奏するものと認められる。
したがって、他の相違点を判断するまでもなく、本願発明は、引用発明及び他の引用例に記載された発明、そして周知事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたとすることはできない。
そして、他の請求項に係る発明についても、請求項1に係る発明と同様に引用発明及び他の引用例に記載された発明、そして周知事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたとすることはできない。
また、他の拒絶理由を見いだせない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2009-02-25 
出願番号 特願2000-552620(P2000-552620)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (G06T)
最終処分 成立  
前審関与審査官 ▲広▼島 明芳  
特許庁審判長 原 光明
特許庁審判官 廣川 浩
加藤 恵一
発明の名称 線形センサを使用する指紋走査の方法および装置  
代理人 黒川 弘朗  
代理人 山川 政樹  
代理人 紺野 正幸  
代理人 山川 茂樹  
代理人 西山 修  

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